JPH06318381A - ハードディスクドライブ装置、磁気ディスク及びリードライトヘッド - Google Patents

ハードディスクドライブ装置、磁気ディスク及びリードライトヘッド

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JPH06318381A
JPH06318381A JP5226398A JP22639893A JPH06318381A JP H06318381 A JPH06318381 A JP H06318381A JP 5226398 A JP5226398 A JP 5226398A JP 22639893 A JP22639893 A JP 22639893A JP H06318381 A JPH06318381 A JP H06318381A
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slider
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less
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JP5226398A
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Tu Chen
チュ・チェン
Tsutomu Tom Yamashita
ツトム・トム・ヤマシタ
Kyou H Lee
キョウ・エイチ・リー
Sakane Yasuo
ヤスオ・サカネ
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハードディスク装置に於いて、薄膜記録ヘッ
ドと磁気媒体との組み合わせにより、接触記録方式と同
等の高い記録密度を達成すると同時に、良好な接触スタ
ートストップ性能及び低いスティクションを実現する。 【構成】 ヘッドのエアベアリング面が、一定かつ低い
浮上高度を可能にするような信頼性の高い微視的に微細
な表面性状を有する。クロスカット方式のスライダを用
いてスキュー角の影響をあまり受けずにディスク面上に
於ける一定高度の飛行を可能にする。スライダのエアベ
アリング面をダイヤモンドでラッピングする際に、表面
下の損傷を受けた領域を機械的に除去することにより表
面性状加工される。エアベアリング面にこのような微細
な表面性状を設けることにより、従来よりも平滑な表面
のディスクを用いることがてきるようになり、ヘッドの
浮上高度をクラッシュの虞れなく低くすることができ、
極めて高い記録密度が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はデータを記憶するための
ハードディスクドライブ装置に関し、特にハード磁気デ
ィスク及びリードライトヘッドを有するディスクドライ
ブ装置に関する。本発明は更に、ディスク及びリードラ
イトヘッドの表面の性状(texture)を適切に定
める技術にも関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ハードディスクドライブの設計に於
いて、可及的に小さなスペース内に可及的に大量のデー
タを記憶しようとする傾向が見られる。同時に、ディス
クドライブの部品の値段も、一定であるかまたは減少傾
向にある。その結果、1MBの記憶容量に対するコスト
が、過去数年に亘って或る規則的な減少傾向を見せてき
た。従ってエンドユーザは、与えられたサイズのパッケ
ージに対して同様または従来よりも低い価格を支払うに
も拘わらず従来よりも大きな記憶容量のものを入手でき
るという恩恵を受けている。このような価格の低下と記
憶容量の増大という傾向は、かなり連続的であって規則
性を有するものではあるが、従来よりも高い記録密度を
得ようとすることが、技術の革新的な変化によってのみ
達成し得る場合がある。例えば、記録密度を増大させる
ためには、過去10年間に亘って、材料技術に関しては
酸化物から薄膜の媒体に重点が移ってきており、ヘッド
に関する技術についても、スライドヘッドから薄膜ヘッ
ドへと関心が移ってきており、現在では記録密度を更に
高めようとして、磁気−抵抗(magento−res
istive)ヘッドに対して関心が向けられている。
このような記録媒体及びヘッドに関する技術に於ける重
要な変化が、より高い記録密度を達成しようとする努力
を支えている。
【0003】記録ディスクの1インチ当たりのトラック
の数と線記録密度との積で表される密度は、現在市販さ
れているドライブに於いては約200メガビット/平方
インチに達しようとしている。最近、磁気−抵抗ヘッド
技術と、極めて低い浮上高度(2μインチ即ち50nm
以下)とを組み合わせたドライブによれば、1〜2ギガ
ビット/平方インチの記録密度を達成可能であることが
示されている。
【0004】このような記録密度を増大させようとする
新たな部品技術の変化に拘わらず、記録密度を大幅に改
善する全ての技術分野について共通のファクタが存在す
る。それは、ヘッドを媒体の表面に可及的に近接させた
状態で浮上させることである。低い浮上高度とそれによ
り増大する記録密度との関係は、記録変化(recor
ding transition)により引き起こされ
るパルス幅の長さPW50の他の装置及び部品パラメー
タに対する依存関係を表す次の式から理解することがで
きる。
【0005】 PW50 = {g2+4(d+a)(d+a+δ)}1/2……(式1)
【0006】ただし、gは記録ヘッドのギャップの長
さ、dはヘッドと媒体との間隔、aは記録変化の長さ
(2Mrδ/Hc)、δは被膜の厚さ、Mrδは磁化×
厚さ、Hcは透磁率(coercivity)である。
【0007】この式は、Williams及びComs
tock氏による”Analytical Model
of the Write Process in
Digital Magnetic Recordin
g、17th AnnualAIP Conferen
ce Proceedings、Part1、No.
5、1971年、pp738−742、America
n Institute of Physicsから導
かれたものである。線記録密度を増大させるためには、
パルス幅PW50を減少させなければならない。パルス
幅を減少させるためには、上記した式に於ける全てのパ
ラメータg、d、a及びδを減少させなければならな
い。
【0008】浮上高度が低ければパラメータd即ちヘッ
ドと媒体との距離を直接小さくし得ることは当然である
が、浮上高度を低くした場合の他のパラメータに対する
影響はそれほど自明ではない。浮上高度が低いと、より
シャープな変化が引き起こされ、より強いリードバック
信号が得られ、それにより被膜厚さδの必要な厚さを減
少させる。しかも、低い浮上高度は、媒体のオーバライ
トを大幅に改善する。改善されたオーバライト特性は、
より高い保持度(coercivity)の媒体の使用
を可能にし、それにより変化長さaを小さくし、より小
さいギャップgを有するヘッドの使用を可能にする。従
って、低い浮上高度は、g、d及びδ等のファクタを効
果的に減少させ、PW50を減少させ、記録密度を向上
させることができる。
【0009】そのために、ヘッドを媒体に近接させるこ
と(即ちdを減少させること)は、記録密度を向上させ
る上では極めて重要なポイントとなっている。一見、ヘ
ッドの浮上高度を小さくし、媒体の平滑度を可及的に高
めることにより、ヘッドを媒体に近接して浮上させるこ
とは単純なことのようにも見える。しかしながら、実際
には、意図された記録のためにディスクドライブ装置の
性能を確保しつつ所望の低い浮上高度を実現することは
極めて困難である。その理由を次の例により説明する。
【0010】リードライトヘッドスライダの浮上高度を
低くするに従い、ドライブ動作に際してヘッドとディス
クとの衝突の頻度及び可能性が増大する。しかも、ドラ
イブモータがオンオフされる度ごとに、スライダがディ
スク表面と摺接する。このような、ドライブをオンオフ
した際のスライダとディスクとの間の衝突はコンタクト
スタートストップ(CSS)と呼ばれる。スライダとデ
ィスクとの間のCSS運動は、ハードディスクドライブ
装置に於ける故障の大きな原因であることから、ドライ
ブ装置の信頼性を高める上で極めて重要な考慮事項であ
る。現在市販されているディスクドライブ装置に於いて
は、デスクトップコンピュータについては約20,00
0CSSサイクル、ポータブル或いはハンドヘルドコン
ピュータについては100,000CSSサイクルが充
分であると考えられている。ポータブル及びハンドヘル
ドコンピュータへの応用に際しては、電池の消耗を回避
するためにドライブが頻繁にオンオフされるために、C
SSサイクルが極めて大きいことが必要とされる。最
近、デスクトップコンピュータに於いても電力消費を低
減させようとする傾向がある。従って、デスクトップコ
ンピュータなどの用途に於いても、CSSについての要
求が厳しくなることが予想される。
【0011】CSS性能を高めるためには、スライダと
ディスクとの間の摩擦を減少させなければならないこと
が認識され、従って、ディスクに対して潤滑剤を塗布す
ることが一般的に行われている。潤滑剤が極めて平滑な
ディスクの表面に塗布され、平滑なスライダがディスク
に当接すると、スティクション(stiction)と
呼ばれる現象が引き起こされる。スティクションとは、
2つの面を結合する力であり、ドライブモータが回転す
るのを妨げるのに充分な程強い場合があり、場合によっ
てはヘッドを損傷させ、スライダをディスクの表面から
引き離す際にヘッドスライダがディスク面をディング
(ding)する場合がある。ディングとは、ヘッドの
ディスク面に対する異常かつ激しい衝突を表す言葉で、
それにより衝撃を受けた点の周りのディスクの領域に凹
部を形成する。これは、例えばディスクドライブを堅い
表面に落とした場合に引き起こされる。また、ドライブ
の始動に際して、高いスティクションのためにヘッドが
ディスク面に付着し、ヘッドがディスク面から急激に引
き離されるに伴い、ヘッドがディスク面上で飛び跳ね、
ディスク面に凹部を形成するような具合で引き起こされ
る。
【0012】スライダとディスクとの間の有効な接触面
積を減少させる目的で、ディスクの表面にマイクロテク
スチャー即ち微視的な表面性状を与えることにより、ス
ティクションを減少させ得ることが認識されている。例
えば、Marchonらによる”Significan
ce of Surface RoughnessMe
asurements. Application t
o the Tribology of the He
ad/Disk Interface”、Tribol
ogy and Mechanics of Magn
eticStorage Systems VI、AS
LE SP−26、71頁、1990年を参照された
い。この論文は、概ね同心状の表面性状パターンを有す
るアルミニウム/NiP基層を用いたディスクについ
て、長期のCSS条件下に於いて、スティクションの増
大を許容し得る度合以下に抑えるために必要な表面粗さ
についての記載を含んでいる。また、Leeらによる”
Effect of Disk Cross Hatc
h Texture on Tribological
Performance”、IEEE Transa
ction onMagnetics、Vol.28、
No.5、1994年9月、2880−2882頁も参
照されたい。要するに、許容可能なCSS性能を得るた
めには、アルミニウム/NiP基層に於いて、従来より
も粗い表面性状及び表面性状の形態の変更が必要とされ
る。アルミニウム/NiP基層に於ける表面性状パター
ンは、自由な(即ち固定されていない)研削粒子からな
る研磨剤或いは固定された研削粒子を用いる研磨テープ
を用いて、基層表面を機械的に研磨或いは研削すること
によりディスクの表面に形成されるのが一般的である。
【0013】或いは、アルミニウム/NiP基層に代え
てガラス基層を用いた磁気ディスクについては、米国特
許第4,833,001号(Kijima et a
l)に記載されているように、表面を化学的にエッチン
グすることにより所望の表面性状を得ることもでき、米
国特許第5,029,317号(Kawai et a
l)に記載されているように、硬質のSiO2粒子を含
むシリカゲルをスピンコートし、それを熱硬化すること
により、或いは米国特許第5,055,359号(Ts
uno et al)に記載されているように、小さな
突起を形成するようにディスク面上に金属被膜を直接ス
パッタリングすることにより実現することができる。
尚、これらの特許の記載内容は、本件出願の一部をなす
ものであることを了解されたい。他の基層材料を用いた
場合でも、アルミニウム/NiP基層の場合と同様に、
許容できるCSS性能を得るために表面性状加工が必要
である。
【0014】ディスク表面上に表面性状を人為的に形成
する場合には必ず高さのばらつきの中に異常な突出部分
(asperity)が存在し、そのような突出部分の
高さ及び頻度は、与えられた表面性状の形成方法に対し
て、表面性状の粗さの増大に応じて増大するのが一般的
である。このような突出部分は、ドライブの通常の作動
に際してヘッドに対して悪い影響を及ぼす。このような
突出部分が充分に大きくかつ高い場合には、ヘッドがこ
のような突出部分に衝突し、ヘッドの浮上を不安定化
し、データの誤った読取を引き起こし得る。最悪の場合
には、衝撃があまりに激しく、ヘッドが墜落し、ディス
クドライブを破壊することがある。ドライブ装置の通常
の作動時に於いてディスクが極めて高速で回転すること
から、ヘッドがこのような突出部分に衝突しないように
しなければならない。従って、ヘッドの浮上可能性をテ
ストするためにディスクに対して滑空高さ試験と呼ばれ
るテストを一般的に行っている。滑空高さテストによれ
ば、ディスク表面の突出部に衝突することなくヘッドが
浮上し得る安全な浮上高さを定めることができる。
【0015】ディスクに表面性状が設けられたことによ
り浮上高度の安全マージンが必要となるが、これは、ヘ
ッドとディスクとの間隔を必要以上に増大させることか
ら、好ましくない。しかしながら、CSS及びスティク
ションに関する必要性から現在市販されている全てのデ
ィスクについて極めて顕著な表面性状を形成することが
必要となっている。
【0016】従来から、ディスク表面を平滑化すること
により、表面性状が付されたディスクに付随する問題を
回避する試みがなされており、そのようなものとして
は、ディスクドライブがオフ状態の時、スティクション
を回避するために、ヘッドがディスク上に着地しないよ
うにしたものがある。例えば、米国特許第4,933,
785明細書(Morehouse et al.)を
参照されたい。このディスクドライブの設計方針によれ
ば、ドライブがオフされたときに、ヘッドがディスクに
対して間隔を保つように、ヘッドは斜面即ちランプ上に
持ち上げられるようになっている。しかしながら、始動
時に於いてヘッドをディスク面上に移動させようとする
際に、ヘッドが安定な挙動を示さず、Yamada e
t al.による”Load−Unload Slid
er Dynamics in Magnetic D
isk Drives”、IEEE Trans. o
nMagnetics、Vol.24、No.6、pp
2742−2744、198年11月、或いは、Jeo
ng et alによる”An Experiment
al Study of the Parameter
s that Determine Slider−D
isk Contacts duringDynami
c Load−Unload”、ASME Journ
al ofTribology 1992、paper
#91、trib−29等に記載されているようなヘッ
ドとディスクとの接触が引き起こされることが指摘され
ている。信頼性の向上の観点から、このようなランプ構
造は、商業的にそれほど成功を収めなかった。しかも、
ランプ機構は、そのために縦方向の取付けスペースが必
要となることから、多重ヘッド式の積層ディスク構造に
組み込むのに適していない。多重ヘッド及び積層式ディ
スク構造は、ドライブに於いて高い体積密度を実現する
上で重要な特徴であり、この特徴に不向きであることは
重大な欠点である。
【0017】米国特許第4,839,756号(Che
w et al.)明細書には、ヘッドをディスク上に
移動させ或いは退避させるためのより複雑な構造が提案
されている。しかしながら、この提案によれば、縦方向
に極めて大きなスペースが必要であり、重さも増大する
ことから、小型のドライブ装置には適していない。しか
も、機構が複雑となることからコストが高騰し、現在で
は極めて高価な一部の大型のドライブシステム以外には
採用されていない。
【0018】低い浮上高度を達成するためにより一層斬
新な提案がなされている。米国特許第5,097,36
8号(Lemke et al.)明細書には、ヘッド
/ディスクのインタフェース即ち境界の全体を非ニュー
トン性流体からなる潤滑剤中に浸漬させ、特殊なヘッド
ベアリング面を用いることにより、ディスクの表面の1
μインチ上方をヘッドが滑空し得るようにしたドライブ
装置が提案されている。この設計によれば、ヘッドとデ
ィスクとの間隙を、空気中で従来可能であったよりも小
さくすることができる。この装置によれば、液体がドラ
イブ装置内の全ての部品に接触しており、それが、ドラ
イブ装置内で接触する種々の材料による汚染を受けた場
合には深刻な問題が発生し得る。また、ヘッド/ディス
クインタフェースに対して液体を保持しかつ供給するた
めの機構が必要となる。このような斬新な特徴を実用的
なドライブ装置の設計に取り入れることは、従来の装置
に於いては考えられないような様々な技術的な問題を克
服することが必要となる。
【0019】媒体の場合と同様に、エアベアリングを用
いた従来形式のドライブ装置に於いて低高度の滑空が可
能なスライダを設計することは原理的に困難ではない
が、ドライブ装置の置かれる環境に付随する全ての要求
を完全に満足することは容易ではない。例えば、従来形
式の2本レール式のテーパ平滑面を備えたスライダを、
レールの幅を減少させたり、その支持装置の負荷を軽減
したり、或いはこれらを組み合わせることにより、従来
よりも低く滑空し得るように設計することが可能であ
る。しかしながら、何れにしても、スライダエアベアリ
ング面(ABS)の接触圧力を増大させることから、摩
擦を増大させ、CSSに際する媒体の磨耗を増大させ
る。
【0020】ディスクの全表面に亘って高密度の記録を
可能にするためには、ヘッドが低く浮上することばかり
でなく、ヘッドがディスク面の全体に亘って移動するに
伴い、ロール運動を伴うことなく、一定の浮上高度を保
つことが肝要である。そのために、より洗練された対策
が必要であり、ヘッドを低高度でしかも一定の高さで浮
上し得るようにし、ディスクドライブに於けるCSSに
関する要求を満足すると同時に、ヘッドが内径部分(I
D)から外径部分(OD)に亘って移動するに伴い、ヘ
ッドと媒体との間の相対的な直線速度の変化を許容し得
るようにする必要がある。
【0021】ディスクのCSS寿命を延長するために摩
擦を低減し、浮上高度を低くすることは、スライダのエ
アベアリング設計に於ける開発努力の中心を占めてき
た。米国特許第3,855,625号(Garnier
et al.)明細書に記載されている負圧式エアベ
アリングは、比較的速度に鈍感であることから、リード
ライトヘッドが内径部分(ID)から外径部分(OD)
に向けて移動する際に、一定かつ低い浮上高度を可能に
する。このような設計に於いては、負圧式エアベアリン
グの下側には大気圧よりも低い負圧が形成され、それに
伴い、浮上中のスライダを引き下げ、IDからODにか
けて媒体の面に対してヘッドを近接させ、かつ一定速度
で飛行するのを可能にする。この設計は、浮上時に於け
る支持構造の負荷を効果的に増大させ、エアベアリング
の剛性を高めることから、より一層安定な浮上を可能に
する。しかしながら、この従来技術の場合、直線的なリ
ードライトヘッドアクチュエータに対してのみ適用可能
であって、ディスクとリードライトヘッドとの間にスキ
ュー角が存在する場合には、スライダのロール運動を防
止することができない。従って、これは、アクセスを迅
速化するためにスライダとディスクとの間にスキュー角
が設けられるような回転式アクチュエータを用いる小型
のドライブ装置に適用することができない。
【0022】最近のものとして、米国特許第5,12
8,822号(Chapin etal.)明細書には
幾つかのスライダの設計が開示されているが、これによ
れば、ディスクのリードライトヘッドとの間にスキュー
角が存在した場合でも一定かつ低い浮上高度を維持する
ことができる。しかも、この提案によれば、CSSに際
する磨耗を低減し得るように或る程度迅速な離陸を可能
にするようなチャンネル及びスポイラーを含む複雑なエ
アベアリング構造が採用されている。残念ながら、この
提案にも幾つかの欠点がある。例えば、スライダを製造
する際に通常用いられる従来形式のダイヤモンドラッピ
ング処理を行った場合には、CSSサイクルに際してス
ライダから異物を発生する問題を回避することができな
い。これは、ダイヤモンドラッピング処理によりスライ
ダの材料が損傷を受け、損傷を受けた材料がCSS時に
スライダから脱落することによるもので、その詳細につ
いては米国特許出願第07/933,431号(Che
n et al.)明細書を参照されたい。
【0023】米国特許第5,128,822号明細書
は、このような問題に対処していない。従って、この米
国特許に記載されたスライダによれば、リードライトヘ
ッドがどのように着地し或いは離陸したとしても、この
ような異物の発生に伴う問題を回避することはできな
い。このような異物は、ディスクの磨耗を加速する。従
って、この形式のヘッドを用いる際には、スティクショ
ン及び摩擦を低減し、加速された摩擦傾向を緩和するた
めに、従来形式のヘッドに於いて必要であったものと同
様な粗いディスクの表面形状が必要となる。しかも、こ
のようにして形成されるヘッド及びディスクからの異物
がディスク面上の潤滑剤に混入し、凝集し、スライダA
BSに付着する可能性がある。この米国特許に記載され
たスライダに於ける負圧領域は、空気流が滞留すること
から、このような異物の堆積に対して特に敏感であっ
て、それに用いられているようなチャンネル或いはスポ
イラーといった小さな構造がこのような異物により早期
に閉塞してしまうおそれがある。このようなABSの汚
染はヘッドの浮上挙動を不安定化し、リードライト動作
に際してエラーを引き起こす。場合によってはスライダ
がディスク面に衝当し、ヘッドクラッシュを引き起こす
場合がある。
【0024】この米国特許に記載されたスライダの設計
は、ABSの非対称な汚染に対しても敏感である。異物
が負圧領域の一方或いは他方の側に最初に付着したり、
或いはチャンネルまたはスポイラーに付着した場合、ヘ
ッドは浮上時に一方に傾いたり、或いはロール運動を行
うおそれがある。このようなロール運動が充分に激しい
と、下側レールがディスクに接触し、ヘッドクラッシュ
などの致命的な故障の原因となる。しかも、この米国特
許に記載されたエアベアリング面の複雑な構造は、高価
なプラズマエッチング製造過程や、複雑な多ステップの
フォトリソグラフィーを必要とする。残念ながら、この
ような複雑な設計にも拘わらず、この米国特許に於いて
提案されているスライダは、高々2μインチの浮上高度
を達成し得るのみである。このようなスライダを2μイ
ンチ以下の高度で浮上させるためには、ABSに対して
何らかの変更を加えたり、支持装置に対してより大きな
負荷を加えることが必要であり、これらは何れも深刻な
CSS問題を引き起こす可能性がある。
【0025】一定の浮上高度を達成するための単純かつ
低コストの方法が、Clifford et al.に
よる”An Air Bearing Minimiz
ing the Effects of Slider
Skew Angle”、IEEE Transac
tion on Magnetics、Vol.25、
No.5、1989年9月、pp3713−371、及
び米国特許4,870,519号(White)明細書
に開示されており、その詳細な内容についてはこれらの
文献を参照されたい。Clifford氏の論文によれ
ば、クロスカットがスライダレールに設けられており、
より大きなグラム負荷をそれに付加することにより、デ
ィスクの全面に亘って低い浮上プロフィールを実現する
ことができる。米国特許によれば、レールの両側に低い
段差を設けることにより横方向に或る圧力分布(TP
C)を形成し、追加のリフト即ち負圧効果を実現し、ス
キュー角が変化した場合でもヘッドをほぼ一定の高度を
もって浮上させることができる。TPC及びクロスカッ
トは、一般に製造容易であることから、平坦な浮上プロ
フィールを達成する比較的低コストの手段である。これ
らのスライダの設計方法は、レールの幅を小さくした
り、支持負荷を増大させることにより低高度の浮上を達
成する点に於いて従来形式のテーパ式スライダと類似し
ている。
【0026】しかしながら、レールの幅に沿ってトラン
スデューサを設置しなければならないことから、レール
の幅を減少させる上で或る程度の制限がある。コイル及
び他のトランスデューサ部分を配置するために、ある程
度のレールの幅が必要となる。従って、支持構造のグラ
ム負荷を増大させることが、このような一定浮上高度を
達成するエアベアリングの設計にとっては、最も効果的
な浮上高度を低くする方法である。グラム負荷を増大さ
せることは比較的容易である。しかしながら、前記した
ように、グラム負荷を増大させることは媒体の磨耗特性
を悪化させ、この種の低浮上高度用のエアベアリング
は、摩擦学的な制約を受ける。
【0027】このように、低くかつ一定の浮上高度を達
成するための全ての形式のスライダエアベアリング設計
方法は、スティクションを回避するために、ディスク表
面をかなり粗面としなければならない。特に、低い浮上
高度を達成するために重い支持グラム負荷を伴うヘッド
の設計は、それだけ激しい磨耗を引き起こす。このよう
な重いグラム負荷を伴う設計は、長期間に亘るCSS動
作に伴い、より厳しい摩擦学的な要求が課せられること
を考慮した場合に、必要な信頼性を確保するためにディ
スクの表面の粗さを一層増大させなければならない。こ
のように、摩擦学的な要求を満足しかつコストエフェク
ティブに、低い浮上高度を達成するような好適なヘッド
構造及び媒体表面の性状の形態として充分満足できるも
のが現在に至るまで提供されていない。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の
問題点に鑑み、本発明の主な目的は、記憶媒体及び極め
て低い浮上高度をもって浮上するリードライトヘッドを
備えたハードディスクドライブ装置を提供することにあ
る。
【0029】本発明の第2の目的は、ヘッドが、ディス
ク表面の全体に亘ってほとんど接触しそうな即ち実質的
に接触しているのと同様な状態をもって浮上するような
ハードディスクドライブ装置を提供することにある。
【0030】本発明の第3の目的は、ヘッドとディスク
との間のスティクション及び磨耗を極小化するようなハ
ードディスクドライブ装置を提供することにある。本発
明の第4の目的はディスクの磨耗を極小化し得るような
ハードディスクドライブ装置を提供することにある。
【0031】本発明の第5の目的は、ヘッドが、ディス
クの表面にほぼ接触しているのと同等の記録性能を有す
ると同時に、ヘッドの浮上状態が、スキュー角に対して
鈍感であるようなハードディスクドライブ装置を提供す
ることにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】このような目的は、本発
明によれば、ハードディスクドライブ装置であって、磁
気ディスクと、スライダを含むリードライトヘッドを有
し、前記スライダが、前記スライダの材料に対して損傷
を引き起こすような第1の製造過程と、前記損傷を機械
的かつ選択的に除去する第2の製造過程とをもって製造
されることにより、前記第2の製造過程の前よりも前記
スライダの表面をより粗くかつ前記ディスクに対してよ
り小さい研磨性を有するようにし、前記リードライトヘ
ッドが前記ディスクの約2μインチ以下の高度をもって
浮上し得るように前記磁気ディスクの表面が充分に平滑
であって、更に前記リードライトヘッドの表面性状が、
前記磁気ディスクについて用いるのに充分顕著なもので
あることを特徴とするハードディスクドライブ装置を提
供することにより達成される。
【0033】本発明に基づくハードディスクシステムは
リードライトヘッド及び磁気ディスクを備えている。重
要なことは、ディスクの表面性状が、現在一般的に用い
られているディスクよりも平滑な点である。また、ディ
スクは1.2μインチ以下の滑空高度を有するべきであ
り、或いは表面性状加工が施されることなく平滑化され
たディスクと同等の滑空高度性能を有するものであるこ
とを必要とする。或る実施例に於いては、ディスクは約
60オングストローム以下の、好ましくは約50オング
ストローム以下のRA(高周波)及び約20オングスト
ローム以下の、好ましくは約15オングストローム以下
のRA(低周波)を有する。スライダABSは機械加工
により実現され、約20〜150オングストロームのR
A(AFM)を有し、或る実施例に於いてはその範囲が
50〜150オングストロームとなっている。従来技術
に於いては、全てのではないとしても、ハードディスク
システムに於ける表面性状の付与はディスクに対するも
のに限られているのに対し、本発明に於いては、表面性
状を与える処理がディスクよりもむしろリードライトヘ
ッドに対して施されることを特徴としている。これによ
り、ヘッドとディスクとの間の摩擦及びスティクション
を小さく保つことができる。しかしながら、以下に於い
て詳しく説明するように、これによってリードライトヘ
ッドとディスクの間隔を増大させることが無く、しかも
上記したような突出部の形成といった粗いディスク表面
性状に伴う他の問題を引き起こすこともない。
【0034】本明細書に於いては、表面粗さがRAによ
り表示される。RAは、表面粗さを表す良く知られた尺
度であって、その内容についてはH.E.Boyer及
びT.L.Gall編、”Metals Handbo
ok”、AmericanSociety for M
etals刊行、1985年11月、を参照されたい。
RA(高周波)及びRA(低周波)の値は、それぞれ、
50μmの距離に亘って0.15μmの直径を有するダ
イヤモンドのスタイラス(針)を走査し、1,200μ
mの距離に亘って2.5μmの直径を有するダイヤモン
ドのスタイラスを走査するようにしたコンタクトプロフ
ィーラにより求められる。RA(AFM)の値は、原子
力顕微鏡(atomic force microsc
ope)により測定されるRA値として与えられる。こ
れらのRA値についての詳しいことは後記する。
【0035】本発明の或る実施例に於いては、TPC或
いはクロスカット設計を、ヘッドを2μインチの高さに
保持するために必要となるグラム負荷と共に用いること
により、ディスクの全体に亘って、平坦なヘッドの浮上
高度を約2μインチ以下に保つことができる。ナノスラ
イダ(nano−slider)構造を有するスライダ
に対して、6グラム以上のグラム負荷を用い、ピコスラ
イダ(pico−slider)構造を有するスライダ
に対して4グラム以上のグラム負荷を加えることにより
低い浮上高度を達成することができる。ピコスライダ、
ナノスライダ、及びマイクロスライダ(micro−s
lider)は、スライダの寸法を記述する際に用いら
れる良く知られた用語である。重いグラム負荷を用いる
ことによるCSS性能に対する危険は、以下に説明する
ようなディスクの表面性状加工、スライダのABS性状
加工及びスライダABSコンディショニング処理を組み
合わせることにより克服することができる。
【0036】上記したように、ABS表面性状粗さRA
(AFM)は20〜150オングストロームであるのが
好ましい。ポールティップ窪み寸法を、0.5μインチ
以下に保つのが好ましい。ディスクの表面に与えられる
表面性状は、それが機械的に、スパッタリングにより或
いは化学的手段により形成されるものであるかを問わず
極小化することにより適切な滑空性能を実現し、ヘッド
−ディスク間の間隔による損失(スペーシングロス)を
極小化するためには、極めて小さくされなければならな
い。
【0037】或る実施例に於いては、スライダのABS
表面性状が、ZrO2により被覆された回転ディスクに
対してABSを摺接することにより得られる。この方法
によれば、20〜50オングストロームの範囲のスライ
ダ表面粗さRA(AFM)を簡単に得ることができる。
より大きな粗さRA(AFM)、即ち50〜150オン
グストロームを得るためには、約30%の結晶相材料を
含むMgO、ZnO、TiO2、Al2O3、B2O3、C
aO及びSiO2を含むガラスセラミック材料等を用い
て形成することができる。
【0038】別の実施例に於いては、スライダのABS
表面粗さRA(AFM)が約20〜50オングストロー
ムとなっている。磁気ディスクは、40〜60オングス
トロームのRA(高周波)及び約25オングストローム
以下のRA(低周波)を有するほぼ同心的な表面性状を
有する、機械式に研削されたアルミニウム/NiP基層
を含んでいる。或いは、ディスクが、アルミニウム/N
iPに代えて化学的に表面処理されたガラス基層を含む
ものである場合には、RA(高周波)が約20〜50オ
ングストロームで、RA(低周波)が10オングストロ
ーム以下であると良い。
【0039】更に別の実施例によれば、スライダのAB
S表面粗さRA(AFM)が約50〜75オングストロ
ームとなっており、磁気ディスクは、30〜50オング
ストロームのRA(高周波)及び約15オングストロー
ム以下のRA(低周波)を有するほぼ同心的な表面性状
を有する、機械式に研削されたアルミニウム/NiP基
層を含んでいる。或いは、ディスクが、アルミニウム/
NiPに代えて化学的に表面処理されたガラス基層を含
むものである場合には、RA(高周波)が約20〜30
オングストロームで、RA(低周波)が10オングスト
ローム以下であると良い。
【0040】更に別の実施例によれば、スライダのAB
S表面粗さRA(AFM)が約75〜150オングスト
ロームとなっており、磁気ディスクは、20〜30オン
グストロームのRA(高周波)及び約10オングストロ
ーム以下のRA(低周波)を有するほぼ同心的な表面性
状を有する、機械式に研削されたアルミニウム/NiP
基層を含んでいる。或いは、ディスクが、アルミニウム
/NiPに代えて化学的に表面処理されたガラス基層を
含むものである場合には、RA(高周波)が約10〜2
0オングストロームで、RA(低周波)が10オングス
トローム以下であると良い。
【0041】更に別の実施例に於いては、機械式研削処
理により与えられる表面性状を備えた更に他の基層材料
が用いられている。このような基層については、上記し
たアルミニウム/NiP基層についてのRA値を適用す
ることができる。
【0042】別の実施例に於いては、化学的に表面処理
された他の基層材料が用いられている。このような基層
については、上記したようなガラス材料についてのRA
値を用いることができる。
【0043】更に別の実施例に於いては、前記ディスク
の表面が、スパッタリングなどの真空処理を伴う凸部の
堆積により表面性状加工される。この場合、スライダの
ABS表面粗さRA(AFM)が約20〜150オング
ストロームであって良く、スパッタリングされた磁気デ
ィスクの表面は、10〜50オングストロームのRA
(高周波)及び約10オングストローム以下のRA(低
周波)を有するものであって良い。この方法により表面
性状を与えられた基層は、ガラス基層について前記した
RA値を有するものであって良い。
【0044】通常、スライダは一定の高度をもって浮上
する。ある実施例に於いては、使用時に於ける浮上高度
のばらつきは、ヘッドがディスク面上で位置を変えるに
伴い、0.5μインチ以下となっている。
【0045】別の実施例に於いては、領域ごとに異なる
表面性状が形成されたディスクが用いられる。即ち、デ
ィスクはその半径方向の内側に設けられた離陸及び着陸
領域(CSS領域)を有している。しかしながら、デー
タが記録される領域(データ領域)は平滑かつ研磨され
た表面性状を備えている。低高度を浮上するヘッドとデ
ィスクとの間の破壊的な接触を回避するために、CSS
領域の表面粗さを更に低減することもできる。ABS表
面が約20〜150オングストロームのRA(AFM)
を有し、CSS領域が約20〜50オングストロームの
RA(高周波)及び約30オングストローム以下のRA
(低周波)を有し、表面性状が与えられないデータ領域
が約10オングストローム以下の最大RA(高周波)及
びRA(低周波)を有するものであると良い。
【0046】更に別の実施例に於いては、上記した実施
例の場合と同様にCSS領域が粗い表面を有するものと
するが、CSS領域とデータ領域との間の遷移部分に段
差が生じることを回避するために、CSS領域とデータ
領域との間に、粗さが徐々に又は段階的に減少するよう
な遷移領域が設けられている。
【0047】
【作用】本発明に基づくスライダ及びディスクを含むデ
ィスクドライブ装置は、良好なCSS性能及び実質的に
ヘッドとディスクとが接触しているのと同等の記録性能
を備えている。
【0048】
【実施例】以下本発明を添付の図面について詳しく説明
する。
【0049】ハードディスクドライブ装置は、一般に薄
膜がスパッタリングされたディスク及び薄膜型の磁気ヘ
ッドを備えている。他の形式の磁気ディスク及びその製
造方法については米国特許第5,180,640号(Y
amashita et al.)明細書を参照された
い。典型的な薄膜がスパタリングされた磁気ディスク1
0及びヘッド20の断面図が図1に単純化されて示され
ている。基層材料は通常、NiP層12が被覆されたア
ルミニウム基層11からなっている。NiP層12は、
通常同心的若しくはほぼ同心的にパターン化された表面
性状を備えている。NiP層12上に被着された被膜
は、この表面性状の形状に適合している。第1の被着層
はアンダコート13からなり、その上に磁気層14が被
着されている。
【0050】記録が行われるべき磁気層14は、その上
面に被着されたオーバコート15の厚さ、オーバコート
15の表面とスライダ表面16との間隔(即ち浮上高
度)及びスライダ表面16とトランスデューサの磁極1
8との間の間隔(即ちポール−ティップ間隔)との和を
もって、記録ヘッドのトランスデューサから隔置され
る。上記した層の厚さ及び間隔の典型的な値は次の通り
である。磁気層14の厚さは約500オングストローム
であり、オーバコート15の厚さは200〜300オン
グストロームであり、浮上高度は通常3〜5μインチで
あり、ポール−ティップ間隔は0.5〜1.0μインチ
である。更に、通常20〜40オングストロームである
ような厚さの薄い液体潤滑剤19の膜がオーバコート1
5の表面に存在する。
【0051】媒体とヘッドとの間の真の磁気的間隔(即
ち、磁気的間隔損失またはスペーシングロス)は、磁気
層14の表面から磁極18の下端との間隔(ポール−テ
ィップ間隔)として与えられる。スペーシングロスが、
磁気層14の表面の平均高さとポールティップとの間隔
として測定されることから、このような表面性状はスペ
ーシングロスを増大させる働きを有する。浮上高度を低
下させるに伴い、粗い表面性状のスペーシングロスに対
する影響が重要となり、高密度記録を行う上で特に問題
となる。高いトラック密度が用いられる場合、過度に深
い溝状の表面性状は個々のビットに対してかなりの信号
ロスを引き起こし、読取エラーの原因となる。このよう
な表面性状の線或いは溝が過度に深い場合、信号のロス
がいくつものビットに亘って引き起こされ、振幅変動又
は振幅変調として観察される。
【0052】高い記録密度を達成するためには、可及的
にスペーシングロスを極小化しなければならない。これ
は、ポール−ティップ間隔、浮上高度、表面粗さ及びオ
ーバコートの厚さなどを小さくすることにより達成され
る。浮上高度は、表面粗さを小さくするようにディスク
の表面を平滑化することによってのみ達成し得る。表面
性状を形成する過程に於いて、それに用いられる研削用
の粒子とディスクとの間の喰い込み(gouging)
その他の相互作用の結果として突出部が形成される。表
面の粗さが増大するに伴い、一般に突出部の数が増大す
る。ヘッドの浮上高度が過度に低い場合には、ヘッドは
このような突出部と衝突し、その運動が不安定となり、
リードライト動作時にエラーを発生し得る。接触が過度
に激しい場合には、ヘッドがクラッシュし、ドライブを
破壊する場合がある。このような破壊的な接触を回避す
るために、ヘッドはディスクの粗さのレベル及び突出部
の上方に安全な距離を保って浮上しなければならない。
しかしながら、CSSに際して摩擦及びスティクション
を低く保つためには或る程度の表面粗さが必要であり、
従来形式のスライダが用いられる場合には表面性状の粗
さを低減することは困難である。一般に、十分なCSS
性能が得られる限り、表面粗さは可及的に小さくされ
る。CSSについての要求が厳しくなるに従って、表面
性状の粗さが増大されなければならず、場合によっては
摩耗に対する更なる保護作用を得るためにオーバコート
の厚さも増大させなければならない。何れの場合もスペ
ーシングロスが増大する。
【0053】図2は、2μインチ及び4μインチの高さ
を浮上するように設計された従来形式の2本レール式テ
ーパ付き平坦ヘッドについての摩擦対ディスク回転速度
(rpm)の関係を示している。ディスクの回転速度が
低い場合には、ヘッドはディスクの表面に沿って引きず
られ、従って、摩擦が大きい。回転速度が増大するに伴
い、摩擦が減少し、最終的にはヘッドがディスクの表面
から離れ浮上するようになる。その時点に於いて摩擦が
極めて低くなる。低い浮上高度を有するように設定され
たヘッドはディスクから離陸するのがより困難であっ
て、ヘッドがディスクと長時間接触を保ち、ディスクの
回転速度が増大してもディスクとヘッドとの間の摩擦が
高い値に保持される。
【0054】図2には、説明の便宜のために離陸回転速
度の数値の例が与えられている。これらは、特定のドラ
イブ装置に於ける必ずしも実際の離陸回転速度ではな
い。与えられたドライブ装置の特性及びヘッド−ディス
クの組合せによって実際の値はこれらよりも高く或いは
低くなり得る。3,600rpmのドライブ装置に於い
て4μインチの高さで浮上するように設計されたヘッド
については(曲線21)、離陸回転速度は1,000r
pmであるのに対し、2μインチの高さで浮上するよう
に設計されたヘッドについては(曲線22)、離陸回転
速度は2,000rpmである。離陸に要する時間が長
いということは、それだけ長時間かつ長い距離に亘って
ヘッドがディスクに引きずられることを意味し、従って
CSS摩耗がそれだけ激しいということを意味する。
6,400rpmといった高い回転速度で回転するよう
に設計されたドライブ装置に於いては、このCSS特性
に対する要求がよりいっそう厳しくなる。4μインチの
高さを浮上するように設計されたヘッドについては(曲
線23)、離陸回転速度が3,500rpmに上昇し、
2μインチの高さを浮上するように設計されたヘッドに
ついては(曲線24)、離陸速度が4,300rpmと
なる。一般に、より高性能のドライブ装置に於いては、
より高速のデータ転送速度を達成し、より短いアクセス
時間が実現されるようにディスクの回転速度が高い。い
ずれにせよ、ヘッドの浮上高度が低くなり、ディスクの
回転速度が増大するに伴いCSSについての条件が厳し
くなることが理解される。
【0055】上記したように、ディスクの表面は、低い
スティクション及び良好なCSS性能を得るためにある
程度の表面粗さ即ち表面性状を備えていなければならな
い。このような表面性状を形成するために幾つかの方法
が可能である。表1には、いくつもの方法により形成さ
れた、異なる表面性状が形成された幾つかのアルミニウ
ム/NiPディスクについてのデータが示されている。
これらのディスク及び方法は、本発明によって得られる
ような低い浮上高度及び良好なCSS特性を達成するた
めに用いられるディスク及びヘッドの特性の組合せの例
を示している。
【0056】
【表1】
【0057】表面粗さをより正確に記述するために、磁
気的な性能に対する表面粗さの影響及び表面の摩擦学的
特性を表す2つのRAパラメータを用いて表面粗さを定
義することにした。カリフォルニア州Santa Cl
araに所在するテンコール・インストラメンツ社(T
encor Instruments)によるTenc
orモデルP2として製造されたステイラスプロフィー
ラが表面粗さの測定器として好適である。一般に表面粗
さはいくつもの周波数成分を有している。0.15μm
もの極めて細い直径のスタイラスを用いて50μmの距
離に亘って走査することにより、極めて短い波長(即ち
高周波)の表面粗さを検出することができる。本明細書
に於いては、この測定により得られるRA値を高周波R
Aと呼ぶものとする。それに対して、2.5μmの直径
を有するスタイラスを用いて、1,200μmもの、よ
り長い距離に亘って走査した場合には、長い波長の特徴
即ち低周波成分に関する情報が得られる。本出願に於い
てはこのRA値を低周波RAと呼ぶものとする。以下に
於いて示される実例から、この分類が有用であることが
理解されよう。
【0058】文献に於いては、上記したMarchon
et al.による”Significance o
f Surface Roughness Measu
rements. Application to t
he Tribologyof the Head/D
isc Interface”等に於いて見られるよう
に、例えば2.0μmといった比較的大きな直径を有す
るスタイラスを用いてRA値を定義するのが一般的であ
る。本明細書に於いては低周波RAとも定義させるべき
このようなRAは、CSSに際しての表面の挙動を記述
する上では不十分であることを以下に示す。
【0059】コンタクトプロフィーラに於いて用いられ
るものよりも数段細いスタイラスティップを用いる原子
力マイクロスコピー(AFM)等の、より高度な表面粗
さ特定手段も存在する。AFMは、表面性状の短波長部
分即ち高周波成分のみを測定し得るものであり、その走
査領域も極めて限られている。このようなAFM測定装
置が、カリフォルニア州Santa Barbaraに
所在するDigital Instruments社に
よりAFM Nano Scope IIとして市販さ
れている。AFMから得られたRA値は、コンタクトプ
ロフィーラにより得られたものとはかなり異なってい
る。従って、RAの測定値は測定方法に依存し、文献に
於いて記載されているRA値を評価する場合にはその点
を考慮しなければならない。スタイラスプロフィーラに
よる測定は迅速かつ便利であり、高周波及び低周波RA
値を用いることにより、ディスクの表面性状を実用的に
充分正確に記述することができる。
【0060】表1に於けるディスクの表面性状を形成す
るために用いられた方法について以下に詳しく説明す
る。これらのディスクは全てアルミニウム/NiP基層
を備えており、ディスクA以外は95mmの直径を有す
る。表面性状が人為的に形成されたディスクは全てほぼ
同心的なパターンをもって表面性状が与えられている。
【0061】ディスクAの基層の表面性状は、カリフォ
ルニア州San Luis Obispo所在のStr
asbaugh Co.,社により製造されたStra
sbaugh Model 6DE−2SP表面性状形
成装置を用いて形成した。用いられた表面性状形成用の
パッドは、デラウェア州Newark所在のRode
l,Inc.社により製造されたSuba IVが用い
られ、それと共に3μmの研削用自由アルミナ粒子を用
いた。低周波RAは77オングストローム、高周波RA
は93オングストロームであった。ディスクの表面性状
の交差角は4〜7°であった。このディスクは、約4〜
5μインチの滑空性能を有し、浮上高度が7μインチを
超えた。ディスクの直径は130mmであった。表面粗さ
は極めて高く、このようなディスクは、過度に高い浮上
高度を必要とするために現在は製造されていない。
【0062】ディスクBの基層に対しては、ディスクA
と同様にStrasbaugh表面性状形成装置を用い
て表面性状が与えられた。3μmの研削用自由アルミナ
粒子を用い、そして2μmの粒子を用いて仕上げ加工を
行った。表面性状を与えるためのパッドは、ベルベット
布からなるものであった。低周波及び高周波RAはそれ
ぞれ48オングストローム及び68オングストロームで
あった。このディスクは様々な表面性状の交差角を有
し、内径0.7インチの地点に於いて20〜40°の交
差角を有していた。ディスクは、1μmの直径を有する
アルミナテープによりテープバーニシング(burni
shing)が加えられた。テープバーニシングとは、
乾燥したテープが、高速回転するディスクに対して摺接
され、ディスク上の突出部を除去する方法であり、通常
スパタリングや潤滑過程が終了した後に行われる。一般
に、バーニシングはディスクのRAを変化させない。こ
のテープバーニシング過程のために、ディスクBは約2
μインチの滑空高度能力を有し、浮上高度能力は約4μ
インチであった。テープバーニシングが行われなかった
とすれば、滑空高度は0.5〜1.0μインチ劣化し、
同じディスクの浮上高度能力は高々5μインチとなった
はずである。テープバーニシングは、突出部による滑空
高度の問題を軽減すると同時に、より粗い表面性状の使
用を可能にするために極めて広く行われている。しかし
ながら、テープバーニシングを過度に行うと、ディスク
表面に擦過痕を残し、磁気層を除去することから、磁気
的な欠陥をディスク上に発生し得る。図3及び4は、こ
のディスクBについて、テンコール・プロフィーラによ
り、低周波及び高周波走査を行ったときに得られたトレ
ースである。
【0063】ディスクCの基層は、カリフォルニア州S
an Carlosに所在するEDC Corpora
tionにより製造されたEDC Model 180
0型表面性状形成装置を用いて表面性状が付与された。
2μmの研削用粒子を有する固定されたアルミナ研削テ
ープ及び潤滑剤が用いられ、次にナイロンのベルベット
テープ及び潤滑剤のみを用いて仕上げを行った。ディス
クの低周波及び高周波RAは、それぞれ25オングスト
ローム及び85オングストロームであった。半径0.7
インチの位置に於ける表面性状の交差角は16°であっ
た。テープバーニシング過程が行われた後は、滑空高度
能力は1.5μインチであったが、RAがディスクBの
場合よりも大きいにも拘わらず、ディスクの滑空高度能
力は1.5μインチであり、これはディスクBの場合よ
りも良好である。浮上高度能力は約3μインチであるも
のと考えられる。低周波RAがかなり減少したために、
滑空能力がかなり改善され、ディスクの表面に高周波の
表面性状を形成するために用いられた方法は、図3のデ
ィスクBについて用いられた方法の場合よりも、突出部
の形成を減少させた。
【0064】ディスクDの基層は、固定された研削テー
プを用いて、ディスクCと同様にEDC表面性状形成装
置を用いて表面処理された。研削粒子のサイズは、ディ
スクCの場合と同様であるが、研削用のアルミナ粒子
は、より軟質のバインダー材料によりテープに固定され
ていた。ディスクの対応する低周波及び高周波RAは、
それぞれ11オングストローム及び47オングストロー
ムであった。内径0.7インチの地点に於ける表面性状
の交差角度は約22°であった。テープバーニシング過
程の後、このディスクの滑空高度性能は約1.2μイン
チであって、2μインチ以下の浮上高度を維持可能であ
った。ディスクDについての低周波及び高周波テンコー
ル走査トレースが図5及び6に示されている。
【0065】ディスクEの表面性状は概ねディスクDと
同様に形成されたが、直径0.7インチの地点に於ける
交差角が11°に減少している。
【0066】ディスクFの表面性状はディスクDと同様
に形成されたが、表面性状は完全に同心円状をなしてい
る。
【0067】ディスクGは、なんら表面性状加工が施さ
れることなく平滑化されたアルミニウム/NiPディス
クからなっている。低周波及び高周波RAは10オング
ストローム及び10オングストロームであった。このデ
ィスクの滑空性能は約1.2μインチであって、2μイ
ンチの浮上高度を維持することができた。
【0068】一般的に市販されている媒体に於いては、
高周波RAは60〜150オングストロームであり、低
周波RAは35〜80オングストロームである。これら
の範囲は、製造者により最小の表面粗さとして許容され
たものであって、現在のヘッド及び媒体の組合せを用い
た場合には、充分良好なCSS性能を得ることができ
る。さもなければ、より低い浮上高度を達成するために
表面性状をより平滑なものとしたはずである。多くのデ
ィスクの最小滑空能力は約2μインチであり、これによ
れば約4μインチの浮上高度を維持することができる。
高周波及び低周波RAの配合は、表面性状形成方法及び
それに用いた機器に依存する。高周波及び低周波RAは
ある程度調整可能なものであり、例えばより大きな高周
波RA値の場合には、より低い低周波RA値を組み合わ
せることができ、その逆も成立する。このことは、表1
に於けるディスクB及びCを比較することにより理解で
きよう。表1に於けるディスクCについては低周波RA
がかなり低減されたが、高周波RAが増大している。こ
れは、ディスクBからディスクCに移る際に充分なCS
S性能を維持するために行われたものである。しかしな
がら、低い浮上高度を確保するために、低周波及び高周
波粗さRAの両者を低減しなければならない。
【0069】現在採用されているヘッド及びディスクの
組合せに於いては、RAの低減がその程度しか可能とさ
れていない。例えば、ディスクDからGについては、表
面が極めて平滑であって、約2μインチもの低い浮上高
度を許容するのに充分に低い滑空性能を可能にしてい
る。しかしながら、表面性状が過度に平滑であるため
(ディスクGはなんら表面性状を有していない)ディス
クD〜Gは従来形式のヘッド−ディスクの組合せを用い
た場合に良好なCSS性能を発揮しない。表面粗さの大
きなディスクについては、テープバーニシングを行った
後には、滑空高度性能に於けるある程度の改良が見られ
たが、その改良幅は極めて限られたものであった。表面
粗さの大きいディスクの滑空性能を改善するためにはテ
ープバーニシングを激しく行わなければならないが、テ
ープバーニシングを過度に行った場合には、ディスクの
表面に損傷を与えるおそれがある。
【0070】滑空性能を改善することに加えて、表面性
状に起因するヘッドとディスクとの間隔の不均一性によ
る読取信号の振幅変調を減少させるために、表面粗さを
減少させなければならない。測定時に於ける相対距離か
らも予想されるように、高周波及び低周波の粗さはそれ
ぞれ振幅変調に対して異なる影響を及ぼす。低周波粗さ
の測定に於いては、短波長領域に於けるカットオフ波長
が12μmのオーダである。即ち、低周波RAの測定に
際して測定される特徴は、12μm以上の大きさを有す
るものからなる。典型的なビットの大きさが5〜10μ
mの長さ(即ち記録トラックに直交する方向の長さが5
〜10μm)であって、その幅が0.1ミクロンのオー
ダである(即ち記録トラックの方向について0.1ミク
ロンのオーダの長さを有する)ことから、低周波RAの
測定により観測される最も小さな表面性状の特性の中に
たくさんのビットが含まれることになる。同様に、高周
波RAの測定に際しては、短波長カットオフが約700
オングストロームである。従って、高周波RAの測定値
は、個々のビットの幅のオーダの特徴を表すことができ
る。
【0071】一般には、読み出し信号の低周波振幅変調
が、あるタイミング区間に於いて、平均振幅に対するパ
ーセント偏差として測定される。図7は、様々なタイプ
の表面性状及び粗さを有するディスクについて、低周波
RAの関数としての変調の度合いの値をプロットしたも
のである。カリフォルニア州San Joseに所在す
るGuzik Technical Enterpri
ses社により製造されたGuzikテスタが用いら
れ、用いられたヘッドは、12μmのトラック幅と、
0.45μmのギャップ幅と、5μインチの浮上高度と
を有する薄膜マイクロスライダからなるものであった。
記録周波数は、5MHzであった。低周波RAと低周波
振幅変調値との間には良好な相関がみられた。この結果
は、低周波RAによりスペースロスが表現されることを
示している。このプロットの左下隅に於ける点は、低周
波変調値に関しては最も良い結果を生み出す、平滑なガ
ラス基層を備えたディスクについて得られたものであ
る。浮上高度及びトラック幅が更に減少するに従い、振
幅変調を減少させるために、低周波RAを、平滑な基層
のレベルにまでも減少させなければならない。
【0072】高周波粗さは、より局部的に作用し、個々
のビットに関して影響を及ぼす。極端な場合には、個々
の擦過ラインが、ビットシフトエラーの原因となるよう
な個々のビットの信号振幅の減少を引き起こす。図8A
は、高周波RAが68オングストロームであって、低周
波RAが48オングストロームであるように、ディスク
Bと同様の要領をもって製造されたアルミニウム/Ni
P基層を含むディスクについて、オシロスコープにより
得られた波形図である。読み出し振幅のギザギザは、一
連の個々のビットの振幅の変動による変調を表してい
る。この変動はディスクの表面性状が粗く、ヘッドと磁
気層との間のスペーシングロスが場所毎に変動すること
によるものである。対応するディスク表面の光学的顕微
鏡により得られた表面形状が図8Bに示されている。細
い水平線が、記録されたトラックに対応し、トラック内
の個々のビットは、磁性流体マーカを塗布することによ
り可視化されている。3本の細い垂直マークラインを有
する中央の太いバンドは、図8Aに於いて矢印により示
されるような、大きな振幅の変動を引き起こした深いピ
ット(同図に於ける矢印を参照)を発見するために用い
られた消去されたバンドマーカである。図8Bの波形図
を得るために用いたヘッドはトラック幅が5μmであっ
て、3μインチの高さを浮上する0.3μmのギャップ
を備えた薄膜ヘッドからなる。トラックの幅及び浮上高
度は更に減少するに伴い、表面の擦過痕によるスペーシ
ングロスに起因する振幅の変動が更に大きくなり、リー
ドライト動作に際して大きなビット数の読み出しエラー
或いはトラッキングエラーの原因となる。従って、特
に、トラック幅を小さくすることにより記録密度を増大
させようとするシステムに於いては、高い記録密度を得
るためには表面粗さを減少させなければならない。
【0073】アルミニウム/NiP基層に対して機械的
に表面性状を付与する際に、異常に大きな粒子がディス
ク面に喰い込むことにより、突出部(asperiti
es)が形成される。このような食い込みの様子が以下
に於ける図10A及び図10Bに示されている。突出部
とは、ディスク面の平均的な粗さよりもかなり大きな高
さに突出するピークを指している。このような突出部は
ヘッドと衝突する場合があり、ヘッド及び媒体に対して
激しい損傷を与えるおそれがある。機械的に基層に対し
て表面性状を与えようとする際に、突出部や喰い込み部
分が形成されるが、ガラス表面に対して化学的に表面性
状を形成しようとする際にも同様の問題が発生する。例
えば、米国特許第5,087,481号(Chen e
t al.)明細書に於いては、エッチングに先立って
ガラス基層に存在するマイクロクラックや埃の粒子のた
めに、ガラス基層に対して化学的に表面性状を形成しよ
うとする際に、リンケージバンプ(linkage b
umps)と呼ばれる突出部が形成されることが開示さ
れている。化学的或いは機械的方法によって、このよう
な突出部を形成する傾向に差異があるものの、一般的に
はこのような突出部は必ず形成される。一般に、それぞ
れの表面性状の形成方法について、表面粗さが増大する
に伴い突出部の密度及び高さが増大する。ヘッドは、破
壊的な衝突を回避するためにこのような突出部の上方を
飛行しなければならない。
【0074】図9は、表面性状の形成過程に際して発生
した喰い込みの結果として形成された小さなピットの周
りに異常な被膜の成長が見られる様子を示す高解像度の
走査電子顕微鏡(SEM)により得られた画像を示して
いる。表面性状を形成する過程に発生する突出部に加え
て、スパッタリングされた被膜が、ディスク表面の凹凸
部の周りに異常に高く盛り上がる様子が示されている。
ディスク表面に於ける凹凸は、小さなピットや、鋭利な
喰い込み痕のラインなどからなる。浮上高度が低い場合
には、ヘッドが飛行し得る最低高度を決定する際に、こ
のような盛り上がり部分を考慮しなければならない。
【0075】図10Aは、喰い込み領域からなる谷間か
ら押し出されたNiP材料により形成された高い突条部
分を示す。激しい喰い込み痕によるラインの近傍に於け
る、表面性状が付与された表面の原子間力顕微鏡(AF
M)により得られた画像を示している。この現象は、図
10Aの画像に対して6,000nm深い位置で得られ
た図10Bに示されるAFM波形図によっても示されて
いる。表面性状の形成過程に際して、異常に大きな研削
用の粒子がNiPに突入し、それを激しく変形させるこ
とにより、材料を表面性状の側壁に向けて流し込み、高
い突条を形成する。スパタリングを行った後、このよう
な突条に沿ってのみ異常な盛り上がりをなす成長が見ら
れ、このような突条の高さを一層大きくする。従って、
低い浮上高度を可能にするために、表面性状の影響によ
り発生した突出部を減少させるために表面性状の粗さを
やはり大幅に減少させなければならない。
【0076】ディスクについての浮上可能性を決定する
ための、表1に示されたのと同じ形式のディスクを用い
た方法が図11〜16に示されている。これらに示され
た数値は、一連の滑空雪崩(glide avalan
che)測定法により得られたものである。滑空雪崩測
定法とは、センサが装着されたテストスライダの飛行高
度を順次下げながら、ヘッドとディスク上の突出部との
機械的な相互作用の頻度及び強度を決定することによ
り、ディスク表面での浮上可能性をテストするための方
法である。図11〜16に示されたテストは、2.1mm
の幅、2.8mmの長さ及び0.610mmの厚さを有する
70%アルミナ及び30%チタンカーバイド(以下Al
TiCとする)を含む薄膜マイクロスライダを用いて行
った。滑空テストに加えて、以下に記載されている全て
のCSSテストは、特記されない限りAlTiCスライ
ダにより行われたものである。マイクロスライダなる用
語はこの技術分野に於いて広く用いられている用語であ
って、スライダの寸法を表すものである。
【0077】リードライトヘッドの板バネに装着された
ピエゾセンサは、ヘッドとディスクとの間の接触の結果
としてヘッドが振動するに伴い電圧を発生するために用
いられる。ヘッドの浮上高度は別の測定器により測定さ
れ、線速度の関数としての浮上高度が予め求められてい
る。更に、ディスク上の既知の高さを有するこぶ(bu
mps)を用いて、ヘッドが接触した突出部のサイズ即
ち高さに対する滑空するヘッドのセンサから得られる電
圧の大きさを較正しておく。図11〜16のプロット
は、1秒当たりのインチ(ips)により表されるヘッ
ドに対するディスクの線速度に対する滑空センサ信号を
ミリボルトで表したもので、これを浮上高度に変換する
ことができる。データは右側から左側に得られたもの
で、即ち初期段階に於いては、ヘッドはディスクのかな
り上方を浮上しており、センサの電圧が極めて低い。デ
ィスクの回転速度を徐々に減少させ、最終的にはヘッド
がディスクに接触し始め、センサの電圧が急激に増大す
る、即ち雪崩現象を呈する。雪崩現象が発生した電圧曲
線の急変部分がディスクの滑空能力として定義される。
信頼性を確保するためには、浮上高度と滑空高度との間
にマージンが存在しなければならないことから、ヘッド
の実際の浮上高度は滑空能力高度よりも高い。このマー
ジンは、ヘッドの浮上高さの分布などに依存する。現在
のところ、滑空能力が2.0μインチであるディスクに
於いては、ヘッドは通常3.0μインチの高度を浮上す
る。1.5μインチの滑空能力を有する場合、ヘッドは
約3.0μインチの高さを浮上する。2.0μインチ以
下の浮上高度については、ディスクの滑空能力は1.0
μインチ以下に近づかなければならない。
【0078】図11〜16に示されたディスクの全て
は、約500オングストロームの厚さのCoNiCrP
t合金及び200オングストロームの厚さの炭素の皮膜
がスパタリングされている。ディスクは、20〜30オ
ングストロームの厚さのペルフルオロポリエーテル(p
erfluoropolyether)潤滑剤により潤
滑されている。表面性状が与えられていない図6Eのデ
ィスク以外については、全てのディスクに対して1μm
のアルミナテープを用いたテープバーニシングが施され
ている。図11〜16に於いて測定された滑空能力は表
1にまとめられている。
【0079】図11は、表1に於けるディスクBについ
ての滑空高さ雪崩曲線を示している。このディスクの滑
空能力は約200ipsであり、これは2.0μインチ
に対応する。この方法により得られた表面性状は、図9
及び図10Bについて前記したように、表面性状形成時
に於ける喰い込み部分或いはスパッタリングにより誘起
された異常な盛り上がりのために高い突出部を有する。
【0080】図12は、85オングストロームの高周波
RA及び25オングストロームの低周波RAを有する、
表1に於けるディスクCの滑空高度雪崩曲線を示す。そ
の表面性状に於ける交差角は内径部分(ID)に於いて
16°である。滑空高度能力はディスクBに対して改善
され、その値は150ips即ち1.5μインチであっ
た。ここで注意すべきことは、このディスクは高周波R
Aに関してはディスクBよりも粗いが、低周波RAにつ
いてはかなりディスクBよりも低い。ディスクCについ
ての滑空高度についての改善は、ディスクBに比較し
て、表面性状の形成過程に起因する突出部が大幅に低減
されたことによるものである。
【0081】図13は、47オングストロームの高周波
RA及び11オングストロームの低周波RAを有する、
表1に於けるディスクDの滑空高度雪崩曲線を示す。そ
の表面性状に於ける交差角は22°である。滑空高度能
力は、120ips即ち1.2μインチよりやや小さい
値であって、ディスクA〜Cに対して適用された方法に
より達成された結果よりもかなりよい結果が得られてい
る。特に、ディスクCに比較して、ディスクDは、軟質
のバインダについて以外には同様の二段階の表面性状形
成方法が施されたものであって、その結果大幅に良好な
滑空高度性能が得られた。これは、ディスクのRAにつ
いての要求が高くない場合には、表面性状の形成過程に
際して、それほどテープバーニシングを激しく行わない
ことにより、そのために喰い込み部分の形成が低減さ
れ、より良好な滑空高度性能が得られ、かつ低い浮上高
度が許容されるようになることを示している。
【0082】図14は、37オングストロームの高周波
RA及び10オングストロームの低周波RAを有する、
表1に於けるディスクEの滑空高度雪崩曲線を示す。デ
イスクは、ディスクDと同様の方法で準備されたが、そ
の表面性状に於ける交差角は11°である。滑空高度能
力は120ips即ち1.2μインチであった。
【0083】図15は、34オングストロームの高周波
RA及び10オングストロームの低周波RAを有する、
表1に於けるディスクFの滑空高度雪崩曲線を示す。デ
イスクは、ディスクDと同様の方法で準備されたが、そ
の表面性状に於ける交差角は0°である。滑空高度能力
は、やはり、120ips即ち1.2μインチよりやや
小さい値であった。
【0084】図16は、10オングストロームの高周波
RA及び10オングストロームの低周波RAを有する平
滑化されたアルミニウム/NiP基層を有する表1に示
されたディスクGについての滑空高度雪崩曲線を示す。
滑空能力は120ipsをやや下回るレベルで、これは
約1.2μインチに対応する。より微細な表面性状を有
する図13〜15に於けるディスクD、E、Fが、表面
性状を与えられていない平滑化されたディスクと同等の
良好な滑空能力を呈することが理解される。見たとこ
ろ、表面性状がこれらのディスクのレベルである場合に
は、表面性状に於ける喰い込み部分や異常なスパッタリ
ングの盛り上がり部分が発生する可能性が低い。従っ
て、滑空性能が、表面性状加工が施されない平滑化され
たディスクと同等なものとなる。図11〜16に示され
た結果は、高い表面性状粗さの必要がない場合には、そ
れほど表面粗さを引き起こすことなく喰い込み部分を発
生し難いような、例えば軟質のバインダといった、より
おとなしい材料を用い得ることを示している。このよう
にして低浮上高度を達成することが出来る。
【0085】表面性状を形成する前に、ディスクD、
E、Fに於いて用いられている基層は、ディスクGに於
ける基層の場合と同様に平滑であって表面性状が付与さ
れていないものであった。ディスクD〜Gについて得ら
れた滑空性能は、それが表面性状が施される前の元の基
層の平滑度によって限定されることを示唆している。こ
れはまた、表面性状が形成される前の基層が更に平滑で
ある場合には、より良好な滑空性能が発生されることを
示唆している。
【0086】平滑なディスクD〜Fについて示された滑
空性能の有利性にも拘らず、従来形式のスライダと共に
用いられた場合にはCSS性能が不十分なものとなるこ
とから、このようなディスクは現在用いられている実用
的なディスクドライブ装置に用いることはできない。デ
ィスクが余りに平滑であり、スティクションの値が余り
に高いからである。しかも、平滑なディスクを従来形式
のスライダと共に用いようとした場合、スライダから発
生する異物が摩擦、スティクション及び摩耗を、従来形
式のスライダを粗い表面を有するディスクについて用い
た場合以上に悪化させることとなる。その理由を理解す
るためには、CSSに際して長波長及び短波長の粗さ
(即ち低周波及び高周波RA粗さ)がどのように異物と
相互作用するかを理解しなければならない。
【0087】発明者の実験によれば、長波長及び短波長
の粗さはCSS性能に対して重要な影響を及ぼす。CS
Sに際してスライダはディスク面に対して摺接し、スラ
イダ及びディスクの表面から異物を形成する。この現象
は米国特許出願第07/933,431号及び第07/
957,535号明細書に記載されており、従来形式の
スライダは、CSSに際してスライダとディスクとの間
の境界に向けて粒子を放出するような損傷を受けた層を
そのABSに有しており、これが摩擦及びスティクショ
ンの値を急激に増大させることが見い出された。スライ
ダから発生する硬質の異物からなる粒子は、ディスク面
を摩耗させる研磨材としての働きをする。
【0088】発明者は、短波長及び長波長の粗さの両者
が存在する場合に於いては、CSSに際して発生する異
物は、表面性状の割れ目或いは窪み内に埋没することに
より、ディスク面の摩耗を早期に引き起こすことがない
ことを見い出した。粗さが大きければ大きいほど、より
多量の異物を表面性状の割れ目内に収容することが可能
となる。長波長及び短波長の粗さはいずれもCSSによ
り発生する異物を隠す働きを有するものの、長波長即ち
低周波のRAの粗さが、短波長即ち高周波の粗さのみを
有するものに比較して、ヘッドから脱落する異物を隠す
上で効果的であることが見い出された。このことについ
て、以下のCSSテスト結果についての議論中に於いて
より詳しく説明する。
【0089】スライダからの異物の発生は、CSS性能
の劣化を引き起こす重要なファクタである。異物が隠れ
るための割れ目がない平滑なディスクを用いようとした
場合、異物が発生しないようにすることが一層重要とな
る。前記した米国特許出願は、異物の発生の原因となる
全ての可能性を除去するスライダの表面処理に関するも
のであるが、結果として特定の表面性状を有するスライ
ダが提供される。本発明者は、上記米国特許出願に記載
された発明に基づく表面処理方法即ちコンディショニン
グを、平滑なディスクについて用い得るようなABS表
面性状を形成するように行い得ることを見い出した。こ
の発見の中心となるポイントは、従来平滑なディスクを
用いることができなかった理由の1つが、平滑なディス
クに於いては異物が隠れるための割れ目が何ら存在しな
いことにあったという認識に基づいている。この先行発
明のコンディショニングによれば、CSSに際して新た
な異物の発生を妨げられることから、このようなコンデ
ィショニングがなされたスライダを平滑なディスクにも
用い得ることが見い出された。
【0090】要するに、ヘッドの製造及び表面処理過程
は次のようなステップを含んでいる。
【0091】1. スライダをソーを用いてウエハから
切断する。
【0092】2. スライダに対して、約2μm以上の
比較的粗いダイヤモンドの粒子を用いて第1のラッピテ
ィング過程を行い、スライダの余剰材料を急速に除去
し、スライダの寸法を略最終的な値に揃える。そのよう
な寸法の内で特に重要なものとしては、ABSとポール
ティップとの間の距離として与えられる「のど高さ(t
hroat height)」がある。ダイヤモンドに
よるラッピングは、ソーによる切断過程よりも厳密に制
御された過程として行われる。従って、この寸法を制御
するためにダイヤモンドラッピング過程を用いることが
望ましい。
【0093】3. 次いで、スライダに対して、0.1
〜0.25μmの直径を有するより小径のダイヤモンド
粒子を用いた第2のダイヤモンドラッピング過程を行
い、より緩慢にかつより正確にのど高さを最終的な所望
値に仕上げる。
【0094】4. 次いで、スライダをスライダの硬度
とほぼ同様或いはそれよりも軟質の材料(或る実施例に
於いては、スライダ材料のKnoop硬度の120%も
のが用いられた。)に対してこすり、ラッピングに際し
て損傷を受けたスライダ材料を除去し、ABS上のもの
を含めて、すべての異物の発生の原因を除去し、スライ
ダABSに対して所定の表面性状を与える。この過程は
コンデイショニングと呼ばれる。上記した米国特許出願
はABSに対するコンディショニングを行うための材料
についての更に詳しい議論を含んでいる。
【0095】図17は、10オングストロームのRA
(AFM)及び13オングストロームのRMS粗さを有
する、ラッピングしたままのコンディショニングされて
いないABS表面を備えたマイクロスライダのAFM顕
微鏡画像である。RMSとは、自乗平均を意味し、粗さ
の1つの尺度を与える。
【0096】図18は、21オングストロームのRA
(AFM)及び29オングストロームのRMSを有し、
スパッタリングされたZrO2皮膜に覆われたコンディ
ショニング用のディスクに対してヘッドを摺接させるこ
とによりコンディショニングされたABS表面を備える
ヘッドAFM顕微鏡画像を示す。スライダは11グラム
負荷を有していた。コンディショニング過程は次のよう
に行われた。コンディショニングディスクの回転速度
は、4秒間に亘って0から1,300rpmに加速さ
れ、1秒間1,300rpmに保持された。次に、回転
速度を、4秒間に亘って100rpmに低下させ、10
0rpmに1秒間保持した。このサイクルを30回繰り
返した。更に、4秒間に亘って回転速度を500rpm
に上昇させ、その状態に10分間保持した後、再び4秒
間に亘って回転速度を0rpmに低下させた。
【0097】図19は、56オングストロームのRA
(AFM)及び77オングストロームのRMSを有し、
コンディショニング用のガラスセラミックディスクに対
してヘッドを摺接させることによりコンディショニング
されたABS表面を備えるヘッドAFM顕微鏡画像を示
す。ガラスセラミックは、52.2モル%のSiO2、
10.2モル%のAl2O3、2.3モル%のB2O3、1
9.3モル%のMgO、4.7モル%のCaO、4.7
モル%のZnO、6.5モル%のTiO2及び残余量の
不純物からなる。主な結晶相は、エンスタタイト、ガー
ナイト及びルータイル(enstatite、gahn
ite、rutile)の混合物からなる。結晶相は、
ディスクの約30体積%を構成していた。この材料は、
日本国の旭ガラス株式会社により”New Cryst
on”なる商品名をもって製造、市販されている。
【0098】図18について上記したディスク回転速度
プログラムを、図19に於いても実施した。ガラスセラ
ミック材料は、スパッタリングされたZrO2よりもス
ライダをコンディショニングする働きが激しく、より短
時間にコンディショニングを行い、より深い表面性状を
形成することができた。
【0099】ガラスセラミックが、高速かつ効果的なコ
ンディショニングが可能である理由は次の通りである。
ガラスセラミックは微細かつ硬質の結晶粒子が機械的強
度のより低いガラス層内に埋設されている。コンディシ
ョニングに際して、弱いガラス層が、スライダよりも早
期に摩耗し、スライダ及びガラスセラミック両者から発
生する異物がコンディショニング用のディスクの有効な
部分から押し出されることにより、連続的に硬質の結晶
相を露出させスライダを研磨する。スライダの形状に適
合するような溝がガラスセラミック層に形成され、より
効果的なコンディショニングが行われる。即ち図18に
示されたZrO2などの硬質表面からなるコンディショ
ニング材料に比較して短時間でABS表面の全面に亘っ
てより深くかつ均一な表面性状を形成することができ
る。スパッタリングされたZrO2の表面は硬質であっ
て比較的強靭であることから、ガラスセラミックほど容
易に摩耗することがないため、ヘッドがZrO2表面の
下層に到達して最適なコンディショニングを行うことが
できない。ガラスセラミックディスクの表面より下の部
分で行われる最適なコンディショニングは、スライダA
BSをコンディショニングする上で高速かつ効果的であ
るばかりでなく、ABSの隅部から鋭利かつ損傷を受け
た粒子をより効果的に除去することができる。
【0100】図20は、図19と同一の方法を用いてコ
ンディショニングされたABSの様々な部分のAFM顕
微鏡画像を示す。図20は、ガラスセラミック材料がA
BS全体をコンディショニングする上で有効であること
を示している。位置4に於けるAFM画像及び図20に
示された対応する低いRMS及びRA値から理解される
ように、ABSの後縁は、他の領域程はコンディショニ
ングされない。しかしながら、このコンディショニング
に於ける非均一性はコンディショニング過程を変更する
ことにより改善することができる。例えば、回転速度の
履歴を変更したり、グラム負荷を付加したり、或いは追
加したり、回転速度を変更することにより改善可能であ
る。例えば、図20のABSの後縁のコンディショニン
グを改善したい場合、コンディショニング過程に際して
支持装置に対して荷重を追加したり、回転速度を変更し
たり、回転速度の変化履歴を変更するなどして、スライ
ダの後縁が、ABSの他の部分よりも長時間に亘ってコ
ンディショニング用のディスクに対して摺接するように
すれば良い。
【0101】図21はCSSテストの結果を示す。この
テストは、本明細書に於いて言及されている他のCSS
テストと同様に、20℃及び通常の室内の湿度の環境に
於いて行われた。ディスクとしては、64オングストロ
ームの低周波RA及び42オングストロームの高周波R
Aを有する表1に於いてディスクBと同様の要領をもっ
て用意された130ミリの直径を有するディスクを用い
た。この粗さは、比較的大型の130ミリの直径を有す
るディスクを、性状加工装置に於けるセットアップ上の
僅かな差異のために、95ミリメートルの直径を有する
ディスクについて得られたものよりもやや低い値を示し
ている。コンディショニングされていないマイクロスラ
イダを11グラムの負荷をもって使用した。スライダは
ディスクの中心から半径1.2インチの位置に配置され
た。ヘッドは、4〜5μインチの高さを浮上するように
設計され、ディスクは2μインチの滑空高度能力を有す
るものであった。ディスクは、30オングストロームの
厚さを有する潤滑剤により潤滑された。
【0102】CSSプロットは、初期に於いて約5グラ
ムの値から急激に増大する摩擦値を示し、この値は25
グラムに於いて約3,000サイクルの値でピークを示
した。次に摩擦がやや減少し、比較的高いが一定の値約
20グラムの値で安定化した。CSSプロットに於ける
この山の意味は次の通りである。初期に於いて、CSS
に際してディスク表面とヘッドとの間の相互作用により
スライダABSから粒子が脱落し、それがヘッド−ディ
スク間の境界に侵入する。この初期の事象の原因はいつ
くも考えられる。ディスク表面が、その表面性状のため
に研削能力を有することや、オーバコート或いは潤滑剤
の量などをその原因として挙げることができる。脱落し
た粒子はスライダ表面と相互作用し、より多量の粒子を
発生する。このようにして引き起こされた連鎖反応は、
摩擦の急激な増大として表れる。しかしながら、スライ
ダから脱落可能な粒子がほぼ脱落し終わると、スライダ
からの粒子の発生がやがて減少する。この時点に於い
て、動摩擦が減少し始め、25グラムの値で定常化す
る。その時には、ディスク表面に対して摩耗という形で
損傷が常に行われていることから、ディスク表面が平滑
となる。図21に示されているCSSテストは、データ
を収集する方法の特殊性から動的及び静的摩擦両者間の
区別をしていないが、初期のグラフの山は、ヘッドとデ
ィスクとの境界に於ける大量の粒子の存在による動的摩
擦の増大が原因であると考えられる。粒子の発生が治ま
ると、摩擦はその大部分が静的摩擦からなるようにな
る。
【0103】ディスク表面の表面性状及び研削性は、ス
ライダによる異物発生の度合いに影響を及ぼす。表面性
状が例えば粗い場合、ヘッドから発生した粒子は、表面
性状の割れ目内に隠れ、スライダの表面に対して再び作
用を及ぼすことがない。表面性状が平滑であると、粒子
は表面性状の割れ目内に隠れることができず、スライダ
ABS及びディスク表面と相互作用し続ける。従って、
平滑な表面は、スライダから次々に粒子を脱落させるこ
とによりスライダによる異物発生を助長する。潤滑膜を
大きくすることにより、スライダとディスクとの間の摩
擦を減少させ、スライダから粒子が脱落する度合いを減
少させることができる。
【0104】図22Aは、図21の場合と同様に、11
グラムの支持負荷を伴ったコンディショニングされてい
ないマイクロスライダを用いて、95mmの直径を有する
ディスクについてのCSSテストから得られた摩擦対C
SSサイクルの数の関係を示している。CSSテスト
は、0.70インチの半径の位置の部分に於いて行われ
た。ディスクは、ディスクBと同様に準備されたが、よ
り大きな表面粗さ即ち68オングストロームの高周波R
A及び48オングストロームの低周波RAを有するもの
であった。CSSの結果は、2,000サイクルまでの
初期段階に於いては摩擦特性が不規則であって、その後
10,000サイクルまで安定に増加する様子を示し
た。次に、摩擦が25グラムまでの高い値で安定化する
ように見受けられた。この結果は、スライダABSとデ
ィスク表面との相互作用に基づいて理解することができ
る。初期の不規則な摩擦特性は、ヘッドから脱落した粒
子がヘッドとディスクとの間の境界に侵入することを示
している。図21の130mmディスクの場合と異なり、
摩擦の増大はより緩慢であって、曲線中には何ら大きな
山が見られない。この違いは、上記したようにディスク
の表面性状の粗さと潤滑剤との厚さに少なくとも部分的
に依存するのであると考えられる。しかしながら、摩擦
の増大は特に顕著であって、その性能はかろうじて許容
可能なものであると考えられる。
【0105】従来の知識によれば、図21及び22Aの
CSS性能を改良する方法としては、表面性状粗さを増
大させ、カーボンの厚さを増大させ、或いは潤滑剤の厚
さを増大させることが考えられる。しかしながら、これ
らの方法は、スペーシングロスの増大を引き起こす。C
SSに際して摩擦を減少させる別の従来から知られた方
法としては、ヘッドに対するグラム負荷を減少させるこ
とがある。これは図22Bに示されており、これはより
軽量の4.5グラムの支持負荷を伴うコンディショニン
グされていないマイクロスライダを用いたCSSテスト
から得られた摩擦対CSSテストのサイクル数との関係
を示している。用いられたディスクは、表1に於けるデ
ィスクBに対応する図8Bのディスクと同様に用意され
た直径95mmのものであった。より軽いグラム負荷を用
いることにより、図22BのCSSの結果は、15,0
00サイクルに於ける約15グラムという値に代表され
る低い最大摩擦値により示されるように、図22Aに示
されたものに対して改善されている。しかしながら、摩
擦は約4,000サイクルまでのCSSサイクルの数に
応じて増大し、この摩擦特性は、依然としてスライダA
BSから異物が発生していることを示している。
【0106】実験室の環境に於いて質的目的のために十
分なデータを効率的に生成するために、通常CSSチャ
ートは、動的及び静止モードとの間の短いサイクルタイ
ムを用いて得られるのが一般的である。例えば、これら
の数値を得るために行われたCSSテストは、5秒間の
静止状態と10秒間のディスクの回転状態とを含む合計
15秒のサイクルタイムを用いて行われたものである。
スティクション及び動的摩擦値が、ディスクが0から
3,600rpmに向けて回転し始める際に、各サイク
ルについて測定される。
【0107】実際の使用時に際しては、しばしば、ドラ
イブ装置は電源が遮断され、ヘッドが媒体上に、少なく
とも数時間のオーダの長時間に亘ってパークされること
になる。長時間のパークは、ヘッドと媒体との間のステ
ィクションを増大させることから、通常のCSSテスト
に際しては、ヘッドを数時間パークさせた後に数千サイ
クルの間隔毎にスティクションの値を測定することも一
般的となっている。この長時間のパークの後のスティク
ション値の測定により、実際の使用に際しての最大のス
ティクションが、ドライブ装置の設計限界を超えること
のないようにすることができる。
【0108】図22Bに於いて、”*”により示される
ように5,000サイクル毎に与えられた線分は、2時
間のパークを行った後のヘッドと媒体との間の境界に於
けるスティクションの値を示している。このグラフから
理解されるように、長時間のパークによるスティクショ
ンの値は、CSSサイクルの数に応じて増大し、約5秒
間であるような通常の短時間CSSテストサイクルにつ
いて得られたスティクションの値の約2倍となってい
る。長時間のパークに引き続くスティクションの値は、
ディスク表面の摩耗を示している。表面が平滑化される
と、或る時間に亘ってその上に載置されたヘッドは付着
する傾向を有するようになる。図21及び22Aについ
ては、長時間のパークに引き続くスティクションテスト
は行われていない。そのようなテストが行われたとする
と、値は図22Bのものよりも高くなったはずである。
【0109】図21、22A及び22Bに示された結果
は、スライダABSがコンディショニングされかつ表面
性状が付与されていない場合には、粗く表面性状加工さ
れかつ限られた浮上能力(2μインチの滑空高度)を有
するディスク面を用いた場合でも極めて高いスティクシ
ョン及び摩擦の値が得られることを示している。図22
Aは、パークによるスティクションを考慮しない場合で
も、11グラムの負荷について10,000CSSサイ
クルを行うと、スティクションの値が25グラムに近付
くことを示している。パークによるスティクションを考
慮した、4.5グラムの負荷について、15,000C
SSサイクルの後に得られた25グラムに近付くような
スティクションの値が、図22Bに示されている。この
ような高いスティクションの値は、たとえそれが与えら
れた仕様の範囲内であったとしても、それだけモータの
トルクを大きくしなければならず、しかも、このような
ドライブ装置のCSS信頼性が必ずしも満足できるもの
ではないため、ドライブ装置の設計を極めて困難にす
る。従来技術に基づく方法により粗い表面形状をディス
ク表面上に形成することにより、設計上の要求及びCS
Sの必要性に対する十分なマージンを確保しようとして
も、2μインチの浮上高度を確保することは殆ど不可能
であり、接触を伴うのと同等の記録方法に於いて必要と
なるような2μインチ以下の浮上高度のために必要とな
るような1.2μインチ以下の滑空高度を確保すること
は到底不可能となる。
【0110】図23A、23B、24A及び24Bは、
コンディショニングされてはいるがそれ以外については
従来形式のスライダを用いた場合に、ディスクの表面性
状を平滑化し得る度合いを示している。CSSテストに
用いられたスライダは、図21、22Aに示されたもの
と同様に11グラムの支持負荷を伴うマイクロスライダ
からなる。但し、スライダはコンディショニングされて
いる。ZrO2が被覆されたディスクを用いて、図18
の場合と同様の方法でスライダABSのコンディショニ
ングを行った。スライダABSのRA(AFM)は、こ
のABSのコンディショニング方法を用いた場合約30
オングストロームとなるのが一般的である。約30スト
ロングオームのスライダ粗さRA(AFM)が用いられ
た場合にCSSの要求を満足するために必要となるディ
スクの粗さを決定するために様々な表面粗さを有するデ
ィスクを用意した。
【0111】図23Aに示されたディスクは表面性状を
形成するための研削用の自由な粒子を用いて、表1のデ
ィスクBと同様に用意された95mmの直径を有するディ
スクからなる。潤滑剤の厚さは約40オングストローム
であった。低周波RAは48オングストロームであり、
高周波RAは68オングストロームであった。CSSテ
ストは0.7インチ(17.8mm)の半径位置に於いて
行われた。ディスクの滑空高度能力は約2.0μインチ
であった。摩擦の値は初期に於いては約3.5グラムで
あったが、15,000CSSサイクルの後に高々6グ
ラムに上昇するのみであった。同一形式のディスク及び
11グラムの負荷を伴うコンディショニングされていな
いスライダを用いた図22Aに示された結果と比較する
と、コンディショニングされたヘッドを用いることによ
りCSS性能がかなり改善されたことが理解される。こ
こで注意すべきことは、摩擦の値について何ら不規則な
挙動が見られないことであり、これはスライダABSか
ら粒子の発生が見られないことを示している。従って、
許容できるCSS性能を確保しつつ平滑なディスク表面
性状を用い得るように見える。
【0112】図23Bは、表1に於けるディスクD〜F
について用いられた研削用テープを用いて同様の2段階
式の方法により形成された表面性状を有するディスクに
ついて行われたCSSテストの結果を示している。ディ
スクの高周波RAは58オングストロームであり、低周
波RAは11オングストロームであった。より大きなテ
ープの送り速度のために高周波RAはディスクD〜Fの
場合より高く、表面性状は22度の交差角を有するもの
であった。潤滑剤の厚さは約42オングストロームであ
った。図23Bに示されるように、初期段階に於いては
摩擦が約7グラムであり、約15,000CSSサイク
ルまで低い値を保ち、それほど増加することがなかっ
た。15,000サイクルの後、スティクションは1
0.5グラム以下となった。従って、スライダのグラム
負荷が依然としてかなり高かったが(11グラム)、コ
ンディショニングされたスライダを用いた場合には、平
滑な表面性状を有するディスクを用い得ることが示され
た。
【0113】図24Aは、52オングストロームの高周
波RA及び11オングストロームの低周波RAを有す
る、図23Bに示されたディスクと同様の方法で準備さ
れた表面性状を有するディスクを用いて行われたCSS
テストの結果を示している。潤滑剤の厚さは約39オン
グストロームであった。テープの送り速度を変えたた
め、表面性状は図23Bのものよりも平滑であった。表
面性状の交差角は依然として22度であった。ディスク
は図9Bのものよりも平滑であって、或る程度のばらつ
きは見られるものの摩擦の値はやはり比較的低いもので
あった。スティクションは初期の段階に於いては8グラ
ムであったが、15,000サイクルの後に11グラム
に増大した。
【0114】図24Bは図23Bに示されたものと同様
の方法により形成された表面性状を備えたディスクにつ
いて行われたCSSテストの結果を示しているが、ディ
スクの高周波RAは37オングストロームまで減少さ
れ、低周波RAは11オングストロームまで低下してい
る。これは、テープの送り速度を変更したことによるも
のである。表面性状の交差角度は22度であった。潤滑
剤の厚さは約26オングストロームであった。CSSテ
ストの結果は、依然として、図22Aに示されたコンデ
ィショニングされていないスライダのものよりも良好で
あった。図24Bに於ける摩擦は図23A、23B及び
24Aに於けるものよりも速く増大しており、CSSト
レースの包絡線の振幅から理解されるように、摩擦の値
はこれらよりも高かった。特に、初期段階に於いて摩擦
は約8グラムであって、15,000サイクルの後に1
5グラムに増大した。しかしながら、このような平滑な
ディスクについては、同一の11グラムの負荷を用いか
なり粗いディスクを用いた図22Aのコンディショニン
グされていないスライダについて得られたものよりもか
なり良好であることに留意されたい。この結果は、30
オングストロームのRA(AFM)を有するスライダA
BSについては、37〜52オングストロームの範囲の
高周波RAを有するディスクを用いてCSSの要求を満
足し得ることを示している。
【0115】図25A、25B、26A及び26Bに示
されたCSSデータの次のセットは、全てアルミニウム
/NiP基層を有する同様の表面性状が与えられ、炭素
により被覆されたディスクを用いて得られたものであ
る。ディスクは全て95mmの直径を有し、CSSテスト
は、0.70インチ(17.8mm)の半径位置に於いて
行なわれた。これらのディスクは、表1に於けるディス
クEと同様の要領をもって表面性状加工され、37オン
グストロームの高周波RA、10オングストロームの低
周波RA及び11°の交差角を有し、平滑化された表面
性状加工のされていないディスクと同等の約1.2μイ
ンチの滑空高度を有するものであった。CSSテストに
於ける全てのディスクは、ペルフルオロポリエーテル潤
滑剤により潤滑され、潤滑剤の厚さは約27オングスト
ロームであった。ディスクの表面性状が同一だったの対
し、スライダの表面粗さは、異なるコンディショニング
過程を行なうことにより異なるものとなるようにされ
た。AlTiCナノスライダを、3.0グラムの支持負
荷を用い、ヘッドは3μインチの高度に浮上した。「ナ
ノスライダ」はよく知られた用語であって、1.5mmの
幅と、2.0mmの長さと、0.5mmの厚さとを有する。
【0116】図25Aは、通常の磁気ディスクと同様の
構造を有するが、炭素被膜に代えてスパッタリングされ
たZrO2被膜を有するディスク上でスライダを引き摺
ることによりコンディショニングされたスライダを用い
て行なったCSSテストの結果を示す。コンディショニ
ング用のディスクは、表1に於けるディスクBと同様に
微細なスラリにより形成された約30°の性状交差角を
有するものであった。コンディショニングディスクは、
20秒の周期をもって、0から1,300rpmにかけ
てサイン波状に変化し、これが15分間繰り返された。
この結果ABSは15オングストロームのRA(AF
M)を有するものとなった。スライダのABSに於ける
RAのばらつきや、スライダごとのばらつきのため、図
25、26、27、28及び32に於いて用いられてい
るABS表面性状のRAは、同一のコンディショニング
過程を行なった多数のスライダから得られた値の平均値
からなる。このCSSテスト結果は、スティクションの
問題を示す多数のスパイクを示している。この結果は、
現在のディスクの潤滑条件下に於いてABSを使用する
には、ディスク表面のRAが過度に円滑であって、従っ
てスティクションの問題が引き起されることを意味して
いる。CSSトレースのベースラインは、磨耗が制御さ
れたものであって、過度でないことを示す、良好な、僅
かに比例的に増大する傾向を示している。テストを行な
った後のディスク表面の目視観察によっても、磨耗が小
さいことが示された。
【0117】図25Bは、図25Aについて記載された
ものと同様にコンディショニングされたが、コンディシ
ョニング中に於ける引き摺り時間を30分に増大させる
ことにより得られたスライダについてのCSSテスト結
果を示す。スライダABSのRA(AFM)は17オン
グストロームであった。やはり、CSSのテスト結果
は、図25Aに於ける場合と同様の理由によりディスク
とヘッドとの間の高いスティクションを示すかなりの高
いスパイクを含むものであった。
【0118】図26Aは、60分間に亘ってコンディシ
ョニングされたスライダを用いたCSSテスト結果を示
す。これにより得られたABSのRA(AFM)は25
オングストロームであった。図25A及び25Bのもの
に比較してかなりABSの粗さが増大しCSSが改善さ
れた。スティクションの値は、図25A及び25Bの平
滑なスライダについて得られた値よりも改善され、7,
000サイクルの後も20グラム以下であった。
【0119】図26Bは、図19について前記したよう
に、ZrO2ディスクに代えてガラスセラミックディス
クを用いてコンディショニングを行なったABSについ
て得られたCSSテスト結果を示す。コンディショニン
グに要した時間は僅かに15分であったが、セラミック
ディスクはZrO2ディスクよりもヘッドをコンディシ
ョニングする力が強いことから、得られたABSの粗さ
RA(AFM)は50オングストロームにも達した。従
って、上記した結果に比較して、CSSの結果は顕著な
改善を示した。スティクションは、15,000サイク
ルの後も5グラム以下であった。
【0120】コンディショニングのためにZrO2を用
いて得られた、図25A、25B及び26Aに示された
結果は、コンディショニングの時間を15分から60分
に延長することによりCSS性能を改善し得ることを示
している。これは、延長されたコンディショニング時間
がABSのRAを増大させたことのみならず、ABSの
全面に亘ってコンディショニングの状態をより一様化し
得ることによるものである。ABSの全面に亘ってコン
ディショニングを均一化することの意義は、図20につ
いて前記した。図26Bに於ける最も良い結果は、ガラ
スセラミックディスクを15分間のみ用いることが、Z
rO2面に対してABSを60分間に亘ってコンディシ
ョニングするよりも有効であることを示している。ガラ
スセラミックの効果的である理由は、図19について前
記した。
【0121】図27A、27B、28A及び28Bは、
図25A、25B、26A及び26Bについてのデータ
と同様なデータを示しているが、表1に於けるディスク
Dと同様の方法により形成された表面性状を有するアル
ミニウム/NiP基層を有するディスクについて得られ
たものである。これらのテストに於いて用いられたディ
スクは、図25A、25B、26A及び26Bの場合と
同様に37オングストロームの高周波RAと、11オン
グストロームの低周波RAとを有し、図25及び26に
示されたディスクの場合と同様に滑空高度能力は1.2
μインチであったが、図25及び26に於ける表面性状
の交差角は11°であったの対し、この場合には交差角
が22°であった。表面性状の交差角を大きくすること
により、微視的に見て表面粗さを増大させるが、これは
ヘッドとディスクとの間の有効な接触面積を減少させる
ことを意味する。これは高周波RAに於いて表われる。
有効な接触面積を減少させることによりスティクション
を低減することができる。いずれの場合に於いても、図
25及び26に於ける場合と同様にディスクは約28オ
ングストロームの厚さの潤滑剤膜を有している。スライ
ダは、図25及び26について前記したのと同様の要領
をもってコンディショニングされたAlTiCナノスラ
イダからなるものであった。3グラムの支持負荷が用い
られた。
【0122】図27Aは、スパッタリングされたZrO
2オーバコートを有するコンディショニングディスクを
用いてコンディショニングされたスライダについて得ら
れたCSSテスト結果を示す。コンディショニングディ
スクの速度は、15分間に亘って図25Aに示されるよ
うにサイン波状に変化した。スライダABSのRA(A
FM)は15オングストロームであった。図30に於い
て、スティクションは初期に於いて約7グラムであった
が、11グラムに増大し、スパイクは18グラムもの高
さに達した。
【0123】図27BのCSSテスト結果は、図25A
のテスト結果よりも良好であったが、しかしながら依然
としてスティクションのスパイクが見られた。図27B
は、30分間に亘ってコンディショニングされたスライ
ダから得られたCSSテスト結果を示す。ABSのRA
(AFM)は17オングストロームであった。CSSテ
スト結果は、図27Aのものに比較してやや改善され
た。スティクションは、約6.5グラムから、7,00
0サイクルの後には11グラムへと増大し、約5,00
0サイクルに於いて20グラムのスパイクが見られた。
【0124】図28Aは、ABSが60分間コンディシ
ョニングされ、25オングストロームのRA(AFM)
を有するスライダについて得られたCSSテスト結果を
示す。図27A及び27Bに示されたものに対してCS
S性能が改善されていた。スティクションは初期に於い
て7.5グラムであって、7,000サイクルの後に1
0グラムに上昇した。図27A、27B及び28Aに示
されたCSSのテスト結果が、図25A、25B及び2
6Aに示されたものに対して改善された理由は、先に仮
説を立てたように、表面性状の交差角が増大したかまた
はヘッドとディスクとの間の有効な接触面積が減少した
ことによるものと見られる。
【0125】最後に、図28Bは、ABSをガラスセラ
ミックディスクにより15分間のみコンディショニング
して得られたスライダについてのCSSテスト結果を示
す。得られたRA(AFM)は約50オングストローム
であった。図26Bの場合と同様に図28Bに示された
CSSテストの結果は、ガラスセラミック製のコンディ
ショニングディスクを用いることにより表面性状が与え
られたABSは、RAが高いことから、この一連のテス
トの内で最もよい結果を示した。摩擦は、初期に於いて
7グラムであったが、15,000サイクルの後に約1
0グラムに上昇した。
【0126】図25〜28に示されたCSSテスト結果
は、スライダABSが適当な表面性状粗さを得るまでコ
ンディショニングされた場合には、ディスクの表面性状
をかなり低減し得ることを明瞭に示している。図25〜
28に於いて用いられたディスクは、その滑空雪崩性能
の点からは、略平滑に研磨された表面を有するものに近
い表面性状を有するものであった。従って、これらのデ
ィスクは、2μインチ以下の浮上高度を達成するのに適
するものでった。特に重要なことは、ディスクの表面性
状に適合した適当な粗さを有するスライダを用いること
により、それ以外の点で従来の設計のものと同様のドラ
イブ装置に於いて、しかも接触式の記録方式と同等であ
るような用途に適合するようなCSS性能を得ることが
できる点である。
【0127】ここで更に議論されるべきことは、前面に
亘ってしかもロータリアクチュエータに用いるのに適す
るような、低高度かつ平坦な飛行プロフィールを有する
ように設計されたスライダを、低滑空能力を有するよう
に平滑な表面性状が与えられたディスクについて用いた
場合に、許容できるCSS性能を得ることができるか否
かである。図29は、50%Al2O3−50%TiCの
TPCナノスライダを単純化して示す。TPCスライダ
に於いては、スキュー角に対する感度を減少させるため
にスライダ本体及びレールに段差が切込まれている。T
PCエアベアリングの設計の理論は、米国特許第4,8
70,519号及び同4,673,996号に記載され
ている。図29に示されたスライダの幾何学的パラメー
タが表2にまとめられている。
【0128】
【表2】
【0129】ヘッドのためのスライダ支持負荷は5グラ
ムであって、スライダはドライブ装置に於いてディスク
の最内径部分(ID)に於いてマイナス9°、最外径部
分(OD)に於いてプラス11°のバランスされたスキ
ュー角を用いて、2μインチの高さの浮上高度を有する
ように設計されたものであった。図30は、図29に示
されたスライダの理論的な浮上高度(曲線41)及びピ
ッチ角(曲線42)を示す。95mmの直径を示すディス
クの全体に亘って、浮上高度が一定の2μインチに保持
されていることが示されている。図31は、図29に示
された設計に基づく3つのスライダについて実測された
浮上高度及びピッチ角を示す。図30に示された理論値
及び図31に示された、対応する実験値とを比較するこ
とにより、単純なTPC設計方法に基づく低くかつ一定
の浮上高度を有するような実際のヘッドジンバルアセン
ブリを、接触とほぼ同等の状態で記録を行う目的で製造
し得ることを理解することができる。
【0130】ディスクのIDからODにかけての浮上高
度の変動は、表3に示されるように極めて良好であっ
て、表3には、3つのヘッドについて、fhip、fh
op、ピッチ及びロールを含む、高さに関するパラメー
タがまとめられている。内側レール53に於けるスライ
ダの後端の浮上高度がfhipにより示され、外側レー
ル54に於ける後端の浮上高度がfhopにより示され
ている。ロールは、スライダの後端に於ける内側レール
の浮上高度と外側レールの浮上高度の差である。ピッチ
は、テーパの直後のスライダの前縁に於ける浮上高度か
ら、スライダの後端の浮上高度を引いた値である。
【0131】
【表3】
【0132】表3に示されるように、適切に設計された
単純なTPC構造は、ほとんど無視できるほどのロール
を伴うのみで、ディスクの全面に亘って極めて平坦な飛
行を行うことができる。単純なTPC構造がこのような
良好な結果を生み出すことができ、しかも満足できるC
SS性能を有するものであるとすると、米国特許第5,
128,822号に於いて提案されているような、平坦
な飛行を行いロールを制御するためのより複雑な設計を
採用することには合理性がない。しかも、この、より複
雑な解決方法は、この単純な構造により得られる、表3
に示されるような平坦な浮上特性及びロール特性を達成
することができない。TPCスライダは比較的単純な構
造を有する。フォトリソグラフィー及びスライダABS
のエッチングが必要であるが、約1μmの比較的浅いエ
ッチングが1回だけ必要となるのみであることから、こ
の方法は、スライダに於いて低くかつ平坦な浮上特性を
得る上で低コストかつ現実的な方法であると考えられ
る。
【0133】図32A及び32Bに於いては、図29に
於ける場合とほぼ同様の設計基準に基づいて製造された
スライダから得られたCSSテスト結果が示されてお
り、これは、TPCスライダに関する単純なABSコン
ディショニングを行うことにより、低い滑空高度能力を
有する軽度に表面形状加工されたディスクについて、低
くしかも平坦な浮上が可能なTPC設計に基づくスライ
ダを用い得ることを示している。CSSテストに於いて
用いられたディスクは、表1に於けるディスクEと同様
の方法を用いて表面性状加工されたアルミニウム/Ni
P基層を備えたもので、37オングストロームの高周波
RA、10オングストロームの低周波RA、及び11°
の交差角度を有し、その滑空能力は1.2μインチであ
った。潤滑剤の厚さは24オングストロームであった。
【0134】図32Aは、ABSコンディショニングを
行っていないTPCスライダを用いて得られたCSSテ
スト結果を示す。CSSテストの結果は、かなり変動
し、急激に増大する摩擦及びスティクションを示してい
る。摩擦は初期に於いて7グラムであったが、10,0
00サイクルの後に30グラムに増大した。この性能
は、ディスクのオーバコートの磨耗を示すもので、許容
できるものではない。
【0135】図32Bは、通常の磁気ディスクに於ける
炭素オーバコートに代えてスパッタリングされたZrO
2オーバコートを有するコンディショニング用ディスク
上でスライダを引き摺ることによりコンディショニング
されたTPCスライダを用いたCSSテスト結果を示
す。コンディショニング用のディスクは、60分間に亘
って250rpmで回転され、スライダは0.9インチ
の半径位置に置かれた。得られたRA(AFM)は30
オングストロームであった。ZrO2がスパッタリング
されたコンディショニングディスクは、図11のディス
クと同様の方法をもって形成された表面性状を有するア
ルミニウム/NiP基層を含むものであるが、所謂ロー
ズパターン(rose pattern)をなすよう
に、比較的大きな120°の表面性状の交差角を有す
る。図32Bに示されたCSSテスト結果は良好なもの
であって、摩擦は、初期に於いて4グラムであり、1
0、000サイクルの後でも、摩擦がほとんど増大して
いない。図32BのスライダのRAが高いことによるC
SSの改善効果は、コンディショニングディスクに於け
る表面性状の交差角の差異によるばかりでなく、グラム
負荷を、図28Aの場合には3グラムであったものを5
グラムとするなど、コンディショニングに際する板バネ
からスライダに及ぼされるグラム負荷が大きいことにも
よるものである。しかも、図32Bに於けるABSの面
積は、表2に示された寸法から理解されるように、図2
5Aのわずか半分であった。従って、コンディショニン
グに際して図32BのABSに対しては単位面積当たり
より大きな負荷が加えられ、それによってより効果的な
コンディショニングが達成された。或いは、コンディシ
ョニングに際して、ヘッドに加えられる通常の支持負荷
に加えて外部負荷を加えることにより、ヘッドに対する
コンディショニングに要する時間を短縮することができ
る。
【0136】図32Aに示されたCSSデータを、図3
2Bに示されたものと比較することにより、非TPC設
計に基づくスライダの場合と同様に、TPCスライダの
ABSをコンディショニングすることによりCSS性能
を改善することができ、TPCヘッドに対するこのよう
な改善結果が特に顕著であることが理解される。TPC
ヘッドに於ける性能の改善された理由は、異物の除去及
び図12に示されるようなABS51の平坦な部分に対
する表面性状の形成のみならず(これは非TPC設計に
基づくヘッドについても同様なことがいえる)、TPC
ヘッドに対するコンディショニングが、ディスク面の磨
耗を助長するような鋭利な隅部52の作用を緩和するこ
とによるものである。
【0137】米国特許第5,128,822号に記載さ
れた平坦な飛行を行うスライダを作り出すために用いら
れた他の変形TPC設計方法を含むTPCのスライダ設
計方法に於いては、ABSが、図12に示されるような
1μmのオーダの深さを有する正確な段差を含むような
幾何学的形状を備えていなければならない。ABSに於
いてこのように正確な幾何学的形状を有する段差を設け
るためには、複雑なフォトリソグラフィーを行い、それ
に続いて正確なラッピングを行うことを必要とする。こ
のような一連の処理過程により、段差のエッジに極めて
鋭利な隅部を形成し、これがディスクに摺接されること
によりディスク面に対して顕著な擦過痕を形成し、これ
が、特にCSS動作に対して大きなスキュー角を伴う場
合には、磨耗速度を加速する。更に悪いことに、ABS
に於ける鋭利な隅部は、平坦な領域をラッピングする際
に損傷を受けた材料を含んでおり、ラッピングに用いら
れた研削用のダイヤモンド粒子が段差のエッジ部分に保
持され、CSS動作に際して脱落することにより、磨耗
速度を一層速めることが考えられる。
【0138】スライダを、ダイヤモンドの粒子が埋設さ
れたテープに対して、ABSの長手方向に直交する方向
に繰り返し擦ることにより鋭利な隅部を平滑化する、ブ
レンディング(blending)と呼ばれる従来の方
法は、段差の高さを正確に制御する必要のあるTPCス
ライダに於ける鋭利な隅部に丸みを与えるためには用い
ることはできない。しかしながら、コンディショニング
過程により、段差のエッジを効果的に丸め、損傷を受け
た材料及びそれに埋設された粒子をエッジ領域から、C
SS動作に際する磨耗助長効果を緩和することができ
る。微細な段差を形成するためにイオン加工を用いるT
PC設計に基づくヘッド或いは部分的負圧ABS設計方
法(米国特許第5,128,822号)に基づくヘッド
によっては、良好なコンディショニング過程を経ること
なく、接触するのと同等の記録動作を行うために必要な
極めて微細な表面性状を有する、より平滑なディスクを
用いてCSSテスト結果で良好な成績を収めることが困
難である。
【0139】TPCスライダのABSをZrO2オーバ
コートまたはガラスセラミックディスクによりコンディ
ショニングすることは効果的なことである。しかしなが
ら、上記したように、ガラスセラミックは、ABSの表
面形状に適合するような、ディスク表面を貫通する溝を
形成する。ガラスセラミックによりスライダをコンディ
ショニングすることは、ZrO2に比較するとTPC段
差の鋭利なエッジをコンディショニングしたり、微細な
エッジに丸みを与える上でより効果的である。
【0140】結論として、1.2μインチの滑空高度を
有する極めて平滑な表面性状を有するディスクとコンデ
ィショニングされたTPCスライダを組み合わせること
により、実用的に2μインチ以下の浮上高度を有するド
ライブ装置を、専用のCSS着地領域を有する、その他
の点に於いては従来形式と同様なドライブ装置の設計方
法に基づき製造することができる。これは、米国特許第
5,128,822号に記載されたような複雑なスライ
ダの設計方法や、米国特許第5,097,368号に記
載された斬新なドライブ装置の設計方法、或いは米国特
許第4,933,785号に記載されたランプ負荷方法
等を採用することなく達成される。
【0141】図33Aは、従来形式に基づく、領域毎に
異なる表面性状を有するディスクを示しており、IDの
近傍に於けるハッチングされた領域55は、ヘッドが離
着陸するための着地領域(CSS領域)を表している。
領域毎に異なる表面性状を有するディスクの設計方法に
於いては、CSS動作を可能にするために着地領域は粗
面化されており、データ領域56は、最も低い浮上高度
及び最小限のスペーシングロスを達成するのに適する平
滑な表面を有している。図33Bには、従来形式の、領
域毎に異なる表面性状を有するディスクが断面図により
示されており、CSS領域とデータ領域とは異なる表面
性状を有することが示されている。図33Bに示される
ように、従来形式のCSS領域55は、信頼性の高いC
SS性能を提供するように、均一かつ比較的高い粗さの
表面性状を有している。CSS領域55に於ける比較的
粗くかつ均一な表面性状のために、CSS領域55とデ
ータ領域56との間に明瞭かつ急激な段差57が設けら
れている。1〜2μインチ(25〜50nm)の高さを
有するこの段差57は、CSS領域55に於いてディス
ク面から離陸したヘッドが、CSS領域55からデータ
領域56に移動しようとする際のハードルを構成する。
このハードル即ち段差を超えることは、特にヘッドが接
触と同様の記録動作を行うように2μインチ以下の低い
高度を浮上するように設計される場合に特に困難とな
る。これは、浮上高度は2μインチ以下であると、ディ
スクが最終的な作動線速度即ち回転速度に到達した後で
あっても、ヘッドが段差の高さよりも低い高度をもって
浮上する場合があるからである。この場合は、段差を超
えてデータ領域56に達することが困難であったり、場
合によっては不可能となる。
【0142】この困難を解消するために、CSS領域に
於いて、段階的または連続的に変化する粗さを有するよ
うな新しい形式の、領域毎に異なる表面性状を与える方
法が提案されている。図33Cに示されるように、この
構造に於けるCSS領域の半径方向の最も内側部分の表
面性状は、例えば、約60オングストローム高周波RA
を有するような、機械的に表面性状加工された基層など
からなる、比較的粗い構造をなしており、更にCSS領
域の外径部分に向けてその粗さが徐々に減少する。粗さ
の勾配は、スライダの外側レールについての、ディスク
上に於ける最小の表面性状の必要性に依存する。このよ
うに、他方のレールが着地したり離陸するべきCSS領
域の部分は、上記したようにスライダが良好なCSS特
性を維持するのに充分な粗さを有するべきである。この
ように段差を有することなく徐々に変化する表面性状
を、高度に表面性状加工されたABSを有するコンディ
ショニングされたスライダと組み合わせることにより、
CSS領域からデータ領域へ飛行する際の問題を解消
し、同時に信頼性の高いCSS動作を可能にする。この
方法は、高度にコンディショニングされた表面性状を有
するヘッドを用いたことにより、CSS信頼性がディス
クの表面性状の粗さに対して比較的鈍感であることによ
り良い結果を生み出すことができるものである。従っ
て、スライダの幅よりもやや広いCSS領域があれば、
最小限の面積をもって安全且つ信頼性の高いCSS性能
を達成し、貴重なデータ領域のスペースを最大化するこ
とができる。
【0143】或る実施例に於いては、徐々に変化する表
面性状を有するCSS領域が、スライダの幅の約2倍以
下となっている。
【0144】図23、24、25、26及び32に示さ
れたCSSのテスト結果から、コンディショニングされ
たヘッドは、オーバコート面に対して優しいことが分か
る。現在一般的な用いられているオーバコートは、少な
くとも1μインチの厚さを有する高い電気抵抗を有する
絶縁性の材料、例えば、水素添加炭素皮膜(米国特許第
5,045,165号)、ZrO2(米国特許第4,9
29,500号、米国特許第4,898,774号)、
SiO2、或いはその他の硬質の絶縁材料からなる。こ
の厚さは、CSS領域に於ける、従来形式のヘッドのA
BSにより引き起こされる磨耗に耐え得るように定めら
れている。このオーバコートの厚さは、下側に設けられ
た金属被膜を腐食から守るためにも必要なもので、特
に、オーバコートを被着するのが困難であるために、意
図された1μインチの被覆をかなり下回るような厚さを
有するような、粗い表面性状のラインからなる最も深い
割れ目に於いても金属被膜を被覆するために充分なもの
でなければならない。より優しいコンディショニングが
なされたヘッドと浅い表面性状加工が施されたディスク
とを用いる本発明の装置によれば、オーバコートの厚さ
をかなり低減し、上記したようにスペーシングロスを減
少させることができる。従って、150オングストロー
ム以下のオーバコートでも充分である。
【0145】上記したように、本発明に基づく表面性状
加工されたアルミニウム/NiP基層を有するディスク
のRAは、本発明に基づくガラス基層を含むディスクの
RAよりもやや大きいのが普通である。その理由は、R
Aが粗さの平均値を表すからである。アルミニウム/N
iP基層は一般に機械的に表面性状加工されることか
ら、異常に深い喰い込み込み領域を含む場合があり、こ
のような喰い込み領域が、ディスクのRAを求める際に
平均値を求めるデータの一部をなすからである。上記し
たように、化学的に表面性状加工された基層はリンケー
ジバンプ(linkage bump)と呼ばれるこぶ
を有するが(米国特許第5,087,481号明細書参
照)、このようなこぶは、機械的に表面性状加工された
ディスクに於ける喰い込み部に比較して数が少なく、そ
の度合いも軽いものである。従って、或る有効粗さを有
するように化学的に表面性状加工された基層(或いは、
スパッタリングによるこぶを形成したり、他の非機械的
表面性状加工方法により得られた基層)は、同じ有効粗
さを有する機械的に表面性状加工された基層よりも低い
RAを有する。これは、機械的に表面性状加工された基
層のRAが、化学的に表面性状加工された基層には見ら
れない喰い込み部分がその算出過程に於いて影響を及ぼ
すことによるものである。
【0146】アルミニウム/NiP及びガラス基層を有
するディスクについて上記したが、セラミックまたは炭
素基層など他の材料を用いた実施例も可能である。別の
材料について適用される表面性状は、アルミニウム/N
iP基層について採用されたものと異なる場合もある
が、良好なCSS性能を確保しスティクションを回避す
るためには、ディスク表面に或る程度の粗さが依然とし
て必要となる。浮上高度を低減するためには、表面性状
の粗さを、アルミニウム/NiP基層について前記した
ようにかなり低減しなければならない。従って、ディス
ク粗さとスライダABS粗さとの間に必要となるトレー
ドオフは、他の基層材料に設けられた表面性状について
も依然適用される。
【0147】以上本発明を特定の好適実施例について説
明したが、当業者であれば本発明の概念から逸脱するこ
となく種々の変形・変更実施例に思い至ることができ
る。例えば、上記した例の多くに於いてはスライダRA
(AFM)が約150オングストローム以下であるとさ
れたが、150オングストローム以上のRA(AFM)
を有するスライダを用いることもできる。また、本発明
を、米国特許出願第07/957,535号明細書に於
いて開示されているような他のスライダ材料についても
適用可能である。或る実施例に於いては、スライダは、
ラッピングに際して異なる損傷を受ける少なくとも2つ
の層からなるマトリクスを含むものであるのが好まし
い。また、ZrO2或いはガラスセラミック表面以外の
材料を用いてスライダをコンディショニングすることが
できる。やはり、米国特許第957,535号明細書な
どを参照されたい。このようなコンディショニング表面
はディスクの形状を有するものに限らない。ディスク状
の媒体を用いる代わりに、ドラムなど他の形状のものを
用いることもできる。従って、このような変形変更は本
発明の概念に含まれることを了解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】スライダとディスク面との間のスペーシングロ
スの原理を示すダイヤグラム図である。
【図2】浮上高度が低下するに従い、ヘッドがディスク
から離陸するのが困難になることを示すグラフであり、
3,600及び6,400rpmのディスクの回転速度
について、2及び4μインチの浮上高度を有するヘッド
について得られたディスクの回転速度に対する摩擦係数
を示すグラフである。
【図3】ほぼ同心的な表面性状を有するアルミニウム/
NiP基層を備えた、95mmの直径を有し、2μインチ
の滑空高度を有するディスクについて(本明細書中に於
いて、特記された場合以外には、全てのディスクにはア
ルミニウム/NiP基層を備えるものとする)得られた
テンコールトレースであって、これは2.5μmの直径
を有するダイヤモンドスタイラスを1,200μmの長
さに亘って走査することにより得られたものであり、デ
ィスクは、3μmの直径の研削用自由アルミナ粒子及び
ベルベット布からなる研磨用パッドを用いて、更に2μ
mの直径を有するアルミナ粒子により仕上げられたもの
からなる。
【図4】図3と同様のディスクのテンコールトレースで
あるが、0.15μmの直径を有するダイヤモンドスタ
イラスを50μmの長さに亘って走査することにより得
られたものである。
【図5】接触と同等の記録性能を有する、ほぼ同心的な
表面性状を備えた95mmの直径を有し、1.2μインチ
の滑空高度を有するディスクのテンコールトレースであ
り、これは2.0μmの直径を有するダイヤモンドスタ
イラスを1,200μmの長さに亘って走査することに
より得られたもので、ディスクはより軟質のバインダ材
料を有用いた、固定された2.0μmの直径の粒子のア
ルミナテープを用い、研磨剤を含まないナイロンのベル
ベット布により仕上げられたものである。
【図6】図5と同様のディスクのテンコールトレースで
あるが、但し0.15μmの直径を有するダイヤモンド
スタイラスを50μmの長さに亘って走査することによ
り得られたものである。
【図7】異なる表面形成方法により準備されたディスク
についての低周波RAに対する低周波振幅変調のプロッ
トを示すグラフであり、左下隅に於ける点は、表面性状
加工されない平滑なガラス基層を含むディスクについて
得られたプロットである。
【図8】図8はA及びBからなり、Aは68オングスト
ロームの高周波RA及び48オングストロームの低周波
RAを有する表面性状加工された95mmの直径のディス
クについて、3μインチの浮上高度を有するヘッドを用
いて得られたリードバック振幅信号のオシロスコープ波
形図であり、Bは、Aのオシロスコープ波形図を得るの
に用いたディスクの光学的顕微鏡画像であり、記録され
たトラックは、磁性流体を塗布することにより明るい帯
状部分として可視化され、更に個々のビットもそれぞれ
に磁性流体溶液を塗布することにより可視化されてい
る。
【図9】ほぼ同心状のパターンをもって性状形成された
アルミニウム/NiP基層に於いて表面性状加工に伴う
喰い込み部分の周りに形成された異常な被膜の成長を示
す高解像度SEM顕微鏡画像である。
【図10】図10はA及びBからなり、Aは表1のディ
スクBと同様の方法を用いて表面性状加工され、68オ
ングストローム高周波RA及び48オングストロームの
低周波RAを有する95mmの直径のディスクについて、
表面性状加工の結果として形成された突出部のAFM顕
微鏡画像であり、Bには、Aの画像に於けるY軸に添う
600nmの深さの部分に於いて得られた単一のAFM
トレースであり、表面性状加工に際して発生した喰い込
みラインの結果として形成された突出部を表す2つのピ
ークが示されている。
【図11】表1に於けるディスクBと同様の方法により
表面性状加工され、68オングストロームの高周波RA
及び48オングストロームの低周波RAを有すると共
に、ディスクのIDに於いて16°の表面性状交差角度
を有する95mmの直径のディスクの滑空高度雪崩曲線を
示すグラフである。
【図12】表1に於けるディスクCと同様の方法により
表面性状加工され、85オングストロームの高周波RA
及び25オングストロームの低周波RAを有すると共
に、ディスクのIDに於いて16°の表面性状交差角度
を有し、表1に於けるディスクBよりも少ない突出部を
有する95mmの直径のディスクの滑空高度雪崩曲線を示
すグラフである。
【図13】表1に於けるディスクDと同様の方法により
表面性状加工され、47オングストロームの高周波RA
及び11オングストロームの低周波RAを有すると共
に、ディスクのIDに於いて22°の表面性状交差角度
を有する95mmの直径のディスクの滑空高度雪崩曲線を
示すグラフである。
【図14】表1に於けるディスクEと同様の方法により
表面性状加工され、37オングストロームの高周波RA
及び10オングストロームの低周波RAを有すると共
に、ディスクのIDに於いて11°の表面性状交差角度
を有する95mmの直径のディスクの滑空高度雪崩曲線を
示すグラフである。
【図15】表1に於けるディスクFと同様の方法により
表面性状加工され、34オングストロームの高周波RA
及び10オングストロームの低周波RAを有すると共
に、ディスクのIDに於いて0°の表面性状交差角度を
有する95mmの直径のディスクの滑空高度雪崩曲線を示
すグラフである。
【図16】表1に於けるディスクGと同様に、表面性状
加工されることなく平滑化され、10オングストローム
の高周波RA及び10オングストローム以下の低周波R
Aを有する95mmの直径のディスクの滑空高度雪崩曲線
を示すグラフである。
【図17】13オングストロームのRA(AFM)を有
するマイクロスライダのコンディショニングされないA
BS表面のAFM顕微鏡画像である。
【図18】スパッタリングされたZrO2オーバコート
を有するコンディショニングディスクに対してヘッドを
摺接させることによりコンディショニングが行われた、
28オングストロームのRA(AFM)を有するマイク
ロスライダのABS表面のAFM顕微鏡画像である。
【図19】ガラスセラミックディスクに対してヘッドを
摺接させることによりコンディショニングが行われた、
56オングストロームのRA(AFM)を有するマイク
ロスライダのABS表面のAFM顕微鏡画像である。
【図20】ガラスセラミックディスクに対してヘッドを
摺接させることによりコンディショニングが行われた、
14〜86オングストロームの範囲のRA(AFM)を
有するマイクロスライダの、コンディショニングされた
ABSの様々な部分のAFM顕微鏡画像である。
【図21】64オングストロームの高周波RA及び42
オングストロームの低周波RAを有する、表1に於ける
ディスクBと同様の方法をもって用意された130mmの
直径を有するディスクについて得られたCSSテスト結
果を示すグラフであり、このCSSテストは、以下”A
lTiC”と呼ばれる、70%のAl2O3及び30%T
iCを含むコンディショニングされないマイクロスライ
ダを、11グラムの負荷を用いて、1.2インチの半径
位置に於いて得られたものである。
【図22】図22はA及びBからなり、Aは、68オン
グストロームの高周波RA及び48オングストロームの
低周波RAを有する、表1に於けるディスクBと同様の
方法をもって用意された95mmの直径を有するディスク
について得られたCSSテスト結果を示すグラフであ
り、このCSSテストは、コンディショニングされない
AlTiCマイクロスライダを、11グラムの負荷を用
いて、0.7インチ(17.8mm)の半径位置に於いて
得られたものであり、Bは、Aと同様のディスクについ
て得られたCSSテスト結果を示すグラフであり、この
CSSテストは、コンディショニングされないAlTi
Cマイクロスライダを、4.5グラムの負荷を用いて、
0.7インチ(17.8mm)の半径位置に於いて得られ
たものである。
【図23】図23はA及びBからなり、Aは図22Aに
於けるディスクと同様の方法をもって準備された95mm
の直径を有するディスクについて得られたCSSサイク
ルの数に対する摩擦の関係を示すグラフで、このマイク
ロスライダは、30オングストロームのRA(AFM)
を有するコンディショニングされたABSを有すると共
に、0.7インチの半径位置に於いて11グラムの負荷
を用いて得られたものであり、Bは、表1のディスクD
と同様の方法をもって、テープに固定された研削用の2
μmの直径を有する粒子により表面性状加工された95
mmの直径のディスクについて得られたCSSテストサイ
クルの数に対する摩擦の関係を示し、ディスクの高周波
RAは58オングストロームで、低周波RAは11オン
グストロームであり、交差角は22°であり、用いられ
たスライダは、スパッタリングがされたZrO2膜を有
するディスクを用いて、11グラムの負荷によりコンデ
ィショニングされたマイクロスライダからなる。
【図24】図24はA及びBからなり、Aは、表1のデ
ィスクDと同様の方法をもって、テープに固定された研
削用の2μmの直径を有する粒子により表面性状加工さ
れた95mmの直径のディスクについて得られたCSSテ
ストサイクルの数に対する摩擦の関係を示し、ディスク
の高周波RAは52オングストロームで、低周波RAは
11オングストロームであり、交差角は22°であり、
用いられたスライダは、スパッタリングがされたZrO
2膜を有するディスクを用いて、11グラムの負荷によ
りコンディショニングされたマイクロスライダからな
り、Bは、表1のディスクDと同様の方法をもって、テ
ープに固定された研削用の2μmの直径を有する粒子に
より表面性状加工された95mmの直径のディスクについ
て得られたCSSテストサイクルの数に対する摩擦の関
係を示し、ディスクの高周波RAは37オングストロー
ムで、低周波RAは10オングストロームであり、交差
角は22°であり、用いられたスライダは、スパッタリ
ングがされたZrO2膜を有するディスクを用いて、1
1グラムの負荷によりコンディショニングされたマイク
ロスライダからなる。
【図25】図25はA及びBからなり、Aは、37オン
グストロームの高周波RAと、10オングストロームの
低周波RAと、11°の交差角を有する95mmの直径の
ディスクを用いたCSSテストサイクルの数に対する摩
擦の関係を示すグラフであり、ABSのコンディショニ
ングは、ZrO2により被覆されたディスクに対して3
グラムの支持負荷をもって、ナノスライダを15分間摺
接させることにより約15オングストロームのABS表
面RA(AFM)を得るようにして行われたものであ
り、Bは、Aと同様の95mmディスク及びテスト条件を
用いたCSSテストサイクルの数に対する摩擦の関係を
示すグラフであるが、ABSのコンディショニングは、
ZrO2により被覆されたディスクに対して、ナノスラ
イダを30分間摺接させることにより約15オングスト
ロームのABS表面RA(AFM)を得るようにして行
われたものである。
【図26】図26はA及びBからなり、Aは、図25A
と同様の95mmディスク及びテスト条件を用いたCSS
テストサイクルの数に対する摩擦の関係を示すグラフで
あるが、ABSのコンディショニングは、ZrO2によ
り被覆されたディスクに対して、ナノスライダを60分
間摺接させることにより約25オングストロームのAB
S表面RA(AFM)を得るようにして行われたもので
あり、Bは、図25Aと同様の95mmディスク及びテス
ト条件を用いたCSSテストサイクルの数に対する摩擦
の関係を示すグラフであるが、ABSのコンディショニ
ングは、ガラスセラミックディスクに対して、ナノスラ
イダを15分間摺接させることにより約50オングスト
ロームのABS表面RA(AFM)を得るようにして行
われたものである。
【図27】図27はA及びBからなり、Aは、47オン
グストロームの高周波RAと、11オングストロームの
低周波RAと、11°の交差角を有する95mmの直径の
ディスクを用いたCSSテストサイクルの数に対する摩
擦の関係を示すグラフであり、ディスクは表1のディス
クDと同様の方法で表面性状加工されたものからなり、
ABSのコンディショニングは、ZrO2により被覆さ
れたディスクに対して3グラムの支持負荷をもって、ナ
ノスライダを15分間摺接させることにより約15オン
グストロームのABS表面RA(AFM)を得るように
して行われたものであり、Bは、Aと同様の95mmディ
スク及びテスト条件を用いたCSSテストサイクルの数
に対する摩擦の関係を示すグラフであるが、ABSのコ
ンディショニングは、ZrO2により被覆されたディス
クに対して、ナノスライダを30分間摺接させることに
より約17オングストロームのABS表面RA(AF
M)を得るようにして行われたものである。
【図28】図28はA及びBからなり、Aは、図27A
と同様の95mmディスク及びテスト条件を用いたCSS
テストサイクルの数に対する摩擦の関係を示すグラフで
あるが、ABSのコンディショニングは、ZrO2によ
り被覆されたディスクに対して、ナノスライダを60分
間摺接させることにより約25オングストロームのAB
S表面RA(AFM)を得るようにして行われたもので
あり、Bは、図27Aと同様の95mmディスク及びテス
ト条件を用いたCSSテストサイクルの数に対する摩擦
の関係を示すグラフであるが、ABSのコンディショニ
ングは、ガラスセラミックディスクに対して、ナノスラ
イダを15分間摺接させることにより約50オングスト
ロームのABS表面RA(AFM)を得るようにして行
われたものである。
【図29】図29はA〜Cからなり、Aは、50%のA
l2O3及び50%TiCを含むTPCナノスライダを示
す底面図であり、Bは、このスライダの側面図であり、
Cは、Aに於ける29C−29C線について見た断面図
である。
【図30】図29に示されたスライダの理論的な浮上高
度とピッチ角との関係を示すグラフである。
【図31】図29に示されたスライダの浮上高度とピッ
チ角との関係の実測値を占示すグラフである。
【図32】図32はA及びBからなり、Aは、図29に
示された、ABSコンディショニングされないTPCス
ライダを、37オングストロームの高周波RA、10オ
ングストロームの低周波RA及び11°の交差角度を有
する、表1に於けるディスクEと同様の方法をもって用
意された95mmの直径を有するディスクについて得られ
たCSSテスト結果を示すグラフであり、Bは、120
度の交差角を有する、ローズパターンの性状加工がなさ
れ、ZrO2により被覆されたディスクに対して摺接さ
せることにより約30オングストロームのABS表面R
A(AFM)を得るようにコンディショニングされた、
図29に示されたTPCスライダを、Aと同様の方法を
もって用意された95mmの直径を有するディスクについ
て得られたCSSテスト結果を示すグラフである。
【図33】図14はA〜Cからなり、A及びBは、着地
領域に於いては均一な粗い表面性状を有し、データ領域
に於いては平滑な表面を有する、従来形式の領域毎に異
なる表面性状を有するディスクの平面図及び断面図であ
り、Cは、着地領域とデータ領域との間の急激に遷移を
解消するためにIDからODに向けて表面性状粗さが徐
々に減少するような、領域毎に異なる表面性状を有する
ディスクの断面図である。
【符号の説明】
9 ディスク 11 基層 12 NiP層 13 アンダコート 14 磁気層 15 オーバコート 16 スライダ面 18 磁極 20 ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/82 7303−5D 5/84 A 7303−5D (72)発明者 ツトム・トム・ヤマシタ アメリカ合衆国カリフォルニア州95035・ ミルピタス・グランビュウドライブ 2305 (72)発明者 キョウ・エイチ・リー アメリカ合衆国カリフォルニア州95132・ サンノゼ・チュレリドライブ 3081 (72)発明者 ヤスオ・サカネ アメリカ合衆国カリフォルニア州95014・ クーペルティーノ・ユナイテッドプレイス 10110

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハードディスクドライブ装置であっ
    て、 磁気ディスクと、 スライダを含むリードライトヘッドを有し、 前記スライダが、前記スライダの材料に対して損傷を引
    き起こすような第1の製造過程と、前記損傷を機械的か
    つ選択的に除去する第2の製造過程とをもって製造され
    ることにより、前記第2の製造過程の前よりも前記スラ
    イダの表面をより粗くかつ前記ディスクに対してより小
    さい研磨性を有するようにし、 前記リードライトヘッドが前記ディスクの約2μインチ
    以下の高度をもって浮上し得るように前記磁気ディスク
    の表面が充分に平滑であって、 更に前記リードライトヘッドの表面性状が、前記磁気デ
    ィスクについて用いるのに適するように充分顕著なもの
    であることを特徴とするハードディスクドライブ装置。
  2. 【請求項2】 前記した損傷を受けた材料が、前記ス
    ライダのエアベアリング面から実質的に完全に除去され
    ることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 もし前記スライダの前記エアベアリン
    グ面に対して前記第2の製造過程が加えられず、しかも
    同等のスティクション及びCSS性能を得ようとした場
    合に必要となるディスクの表面粗さの約3分の2以下の
    表面粗さを前記ディスクが有することを特徴とする請求
    項1に記載の装置。
  4. 【請求項4】 もし前記スライダの前記エアベアリン
    グ面に対して前記第2の製造過程が加えられず、しかも
    同等のスティクション及びCSS性能を得ようとした場
    合に必要となるディスクの表面粗さの約2分の1以下の
    表面粗さを前記ディスクが有することを特徴とする請求
    項1に記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記スライダの前記エアベアリング面
    の粗さRA(AFM)が約20オングストローム以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記粗さRA(AFM)が50オング
    ストローム以上であることを特徴とする請求項5に記載
    の装置。
  7. 【請求項7】 前記スライダの前記エアベアリング面
    の粗さRA(AFM)が約150オングストローム以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記ディスクが、機械的な表面性状処
    理が加えられたものであって、約30オングストローム
    以下のRA(低周波)を有することを特徴とする請求項
    1に記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記ディスクが、機械的な表面性状処
    理が加えられたものであって、約60オングストローム
    以下のRA(低周波)を有することを特徴とする請求項
    1に記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記ディスクが、化学的な表面処理
    または真空処理を伴う凸部の堆積により表面性状加工さ
    れた基層を有し、前記ディスクが約50オングストロー
    ム以下のRA(高周波)を有することを特徴とする請求
    項1に記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記ディスクが、化学的な表面処理
    または真空処理を伴う凸部の堆積により表面性状加工さ
    れた基層を有し、前記ディスクが約10オングストロー
    ム以下のRA(低周波)を有することを特徴とする請求
    項1に記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記ディスクが、ガラス、セラミッ
    ク材料及び炭素からなるグループから選ばれた材料から
    なる基層を含むことを特徴とする請求項10若しくは1
    1に記載の装置。
  13. 【請求項13】 前記真空処理を行うための技術が、
    スパタリング過程を含むことを特徴とする請求項12に
    記載の装置。
  14. 【請求項14】 前記ディスクが、化学的な表面処理
    または真空処理を伴う凸部の堆積により表面性状加工さ
    れた基層を有し、前記ディスクが約10オングストロー
    ム以下のRA(高周波)を有することを特徴とする請求
    項1に記載の装置。
  15. 【請求項15】 前記ディスクが、もし前記スライダ
    に対して前記第2の製造過程が加えられなかった場合に
    必要となる厚さの約半分の厚さの保護用オーバコートを
    有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
  16. 【請求項16】 前記リードライトヘッドが、TiC
    及びAl2O3混合物を含むスライダを有することを特徴
    とする請求項1に記載の装置。
  17. 【請求項17】 前記リードライトヘッドが、CaT
    iO3、MnZn、及びNiZnフェライト、及びイッ
    トリアにより安定化されたZrO2からなるグループか
    ら選ばれた1つまたは複数の材料を含むスライダを有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  18. 【請求項18】 前記リードライトヘッドが、前記第
    1の過程に際して異なる度合いに損傷を受けるように異
    なる機械的強度を有する少なくとも2つの相を含むセラ
    ミック材料からなるスライダを有することを特徴とする
    請求項1に記載の装置。
  19. 【請求項19】 前記スライダが、エアベアリングを
    有し、該エアベアリングが、予め少なくとも1つの段差
    を有するものからなり、かつ、前記第2の製造過程に際
    して、前記スライダをガラスセラミックに対して摩擦す
    ることにより、前記段差の隅に丸みを与えるようにして
    製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載
    の装置。
  20. 【請求項20】 前記第2の製造過程が、前記スライ
    ダを、MgO、ZnO、TiO2、Al2O3、B2O3、
    CaO及び又はSiO2を含むガラスセラミック材料に
    対して摩擦する過程を含み、前記ABSスライダ表面の
    性状を、50オングストローム以上のRA(AFM)を
    有するものとすることを特徴とする請求項1に記載の装
    置。
  21. 【請求項21】 ディスクドライブ装置であって、 約50オングストローム以下の表面粗さRA(高周波)
    を有する基層を備えた磁気ディスクと、 少なくとも20オングストロームの粗さRA(AFM)
    を有する空気ベアリング面を備えたリードライトヘッド
    とを有し、 前記リードライトヘッドが、使用時に於いては約2μイ
    ンチ以下の高さをもって浮上することを特徴とするディ
    スクドライブ装置。
  22. 【請求項22】 前記基層が、同心的な表面性状を有
    し、前記ヘッドが、使用時にあっては2μインチ以下の
    高さをもって浮上し、かつ前記ディスクの全体に亘って
    概ね一定の高さをもって浮上し、前記装置が、前記エア
    ベアリング面と前記ディスクとの間に於いて約1.0以
    下の初期スティクション係数を有し、前記ヘッドと前記
    ディスクとの間の摩擦係数が、通常の作動条件に於い
    て、20,000CSSサイクルの後に約2.0以下で
    あることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  23. 【請求項23】 前記リードライトヘッドがTPCス
    ライダを有することを特徴とする請求項22に記載の装
    置。
  24. 【請求項24】 前記リードライトヘッドがクロスカ
    ットスライダを有することを特徴とする請求項22に記
    載の装置。
  25. 【請求項25】 ディスクドライブ装置であって、 約50オングストローム以下の同心的な表面粗さRA
    (高周波)を有するアルミニウム/NiP層を含む磁気
    ディスクと、 20オングストローム以上の粗さRA(AFM)を有す
    るエアベアリング面を備えたリードライトヘッドとを有
    し、 前記ヘッドが、使用時にあっては2μインチ以下の高さ
    をもって浮上し、かつ前記ディスクの全体に亘って概ね
    一定の高さをもって浮上し、前記装置が、前記エアベア
    リング面と前記ディスクとの間に於いて約1.0以下の
    初期スティクション係数を有し、前記ヘッドと前記ディ
    スクとの間の摩擦係数が、通常の作動条件に於いて、2
    0,000CSSサイクルの後に約2.0以下であるこ
    とを特徴とする装置。
  26. 【請求項26】 磁気ディスクであって、 データ記録領域と、離陸及び着陸領域とを有し、 前記データ記録領域が前記離陸及び着陸領域よりも平滑
    であって、前記離陸及び着陸領域が、前記データ記録領
    域の粗さのレベルに向けて漸次減少する粗さを有する遷
    移領域を含むことを特徴とする磁気ディスク。
  27. 【請求項27】 リードライトヘッドであって、 特定の表面性状を有するスライダを有し、 前記スライダが、該スライダに対して損傷を受けた領域
    を形成する第1の製造過程と、前記した損傷を受けた領
    域を除去する第2の製造過程を行うことにより製造され
    たものからなることにより、何の表面性状加工も施され
    ない平滑なディスクについて得られる滑空高さに概ね等
    しい滑空高さが得られるように充分な平滑度を有するよ
    うな表面性状を有するディスクについて用いるのに充分
    なように前記スライダが充分な表面粗さを有するように
    スライダの表面性状が定められ、しかも通常の作動環境
    に於いて20,000CSSサイクルの後に約2.0以
    下のスティクション係数が得られるようにしたことを特
    徴とするリードライトヘッド。
  28. 【請求項28】 ディスクドライブ装置であって、 約60オングストローム以下のRA(高周波)及び約3
    0オングストローム以下のRA(低周波)を有する第1
    の表面領域を備えた磁気ディスクと、 約20オングストローム以上のRA(AFM)を有する
    エアベアリング面を含むリードライトヘッドと、 前記リードライトヘッドをもって前記ディスクに対して
    データを書き込み、或いはデータを読み取り得るよう
    に、前記リードライトヘッドを前記ディスクに近接させ
    た状態で保持するための手段とを有することを特徴とす
    る装置。
  29. 【請求項29】 前記ヘッドが、使用に際して、前記
    ディスクに当接することなく該ディスクから約1.2μ
    インチの高さをもって浮上し得るものであることを請求
    項28に記載の装置。
  30. 【請求項30】 前記ヘッドが、凹部により互いに隔
    置された一対のレールを有するスライダを含み、前記レ
    ールに対して横方向に所定の圧力勾配を形成するための
    輪郭形状が与えられていることを特徴とする請求項29
    に記載の装置。
  31. 【請求項31】 前記ディスクが機械的に形成された
    表面性状を有することを特徴とする請求項28に記載の
    装置。
  32. 【請求項32】 前記ディスクが約40〜60オング
    ストロームのRA(高周波)及び約25オングストロー
    ム以下のRA(低周波)を有し、前記スライダのABS
    が約20〜50オングストロームRA(AFM)を有す
    ることを特徴とする請求項28に記載の装置。
  33. 【請求項33】 前記ディスクが約30〜50オング
    ストロームのRA(高周波)及び約15オングストロー
    ム以下のRA(低周波)を有し、前記スライダが約50
    〜75オングストロームのRA(AFM)を有すること
    を特徴とする請求項28に記載の装置。
  34. 【請求項34】 前記ディスクが約20〜30オング
    ストロームのRA(高周波)及び約10オングストロー
    ム以下のRA(低周波)を有し、前記スライダが約75
    〜150オングストロームのRA(AFM)を有するこ
    とを特徴とする請求項28に記載の装置。
  35. 【請求項35】 ディスクドライブ装置であって、 約50オングストローム以下のRA(高周波)及び約1
    0オングストローム以下のRA(低周波)を有する第1
    の表面領域を備えた磁気ディスクと、 約20オングストローム以上のRA(AFM)を有する
    エアベアリング面を含むリードライトヘッドと、 前記リードライトヘッドをもって前記ディスクに対して
    データを書き込み、或いはデータを読み取り得るよう
    に、前記リードライトヘッドを前記ディスクに近接させ
    た状態で保持するための手段とを有することを特徴とす
    る装置。
  36. 【請求項36】 前記ディスクが、化学的な表面処理
    または凸部の堆積により表面性状加工されたものからな
    ることを特徴とする請求項35に記載の装置。
  37. 【請求項37】 前記スライダのABSが約20〜5
    0オングストロームRA(AFM)を有し、前記ディス
    クが約20〜50オングストロームのRA(高周波)を
    有することを特徴とする請求項36に記載の装置。
  38. 【請求項38】 前記スライダのABSが約50〜7
    5オングストロームRA(AFM)を有し、前記ディス
    クが約20〜30オングストロームのRA(高周波)を
    有することを特徴とする請求項37に記載の装置。
  39. 【請求項39】 前記スライダのABSが約75〜1
    50オングストロームRA(AFM)を有し、前記ディ
    スクが約10〜20オングストロームのRA(高周波)
    を有することを特徴とする請求項37に記載の装置。
  40. 【請求項40】 作動時に於いて、前記ヘッドが前記
    ディスクから約2μインチ以下の高度をもって浮上する
    ことを特徴とする請求項28若しくは35に記載の装
    置。
  41. 【請求項41】 前記第1の表面が、離陸及び着陸領
    域と、それよりも平滑なデータ記録領域とを有すること
    を特徴とする請求項28若しくは35に記載の装置。
  42. 【請求項42】 前記スライダの前記ディスクの中心
    からの距離に拘わらず、使用時にあっては、前記スライ
    ダが概ね同一の高さをもって浮上することを特徴とする
    請求項28若しくは35に記載の装置。
  43. 【請求項43】 前記スライダが前記ディスク上の最
    も内側のトラックから前記ディスクの最も外側のトラッ
    クに移動する間に、前記スライダの浮上高さが0.5μ
    インチ以上変動しないことを特徴とする請求項28若し
    くは35に記載の装置。
  44. 【請求項44】 ディスクドライブ装置であって、 約20オングストローム以上のRA(AFM)を有する
    スライダを備えたリードライトヘッドと、 データ領域及びCSS領域を有するディスクとを有し、 前記データ領域が約10オングストローム以下のRA
    (高周波)及びRA(低周波)を有し、前記ディスク
    が、30オングストローム以下のRA(低周波)及び5
    0オングストローム以下のRA(高周波)を有する領域
    を含むCSS領域を有することを特徴とする装置。
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