JPH06321548A - ガラスの製造方法 - Google Patents

ガラスの製造方法

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JPH06321548A
JPH06321548A JP13295893A JP13295893A JPH06321548A JP H06321548 A JPH06321548 A JP H06321548A JP 13295893 A JP13295893 A JP 13295893A JP 13295893 A JP13295893 A JP 13295893A JP H06321548 A JPH06321548 A JP H06321548A
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荘尚 福岡
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C1/00Ingredients generally applicable to manufacture of glasses, glazes, or vitreous enamels
    • C03C1/006Ingredients generally applicable to manufacture of glasses, glazes, or vitreous enamels to produce glass through wet route

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  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属塩を用いて金属種を多孔質体中に導入す
る方法において、多孔質体細孔中に溶解状態で存在する
金属塩を確実に多孔質体細孔中に固定し得る方法を提供
する。 【構成】 多孔質体を経由して多成分系のガラスを製造
するにあたり、金属成分を多孔質体中に固定する工程に
おいて、多孔質体を有機酸または有機酸塩から選ばれた
化合物を少なくとも1種類を含んだ溶液に浸漬して、金
属成分を多孔質体中に固定する。また、多孔質体を経由
して屈折率分布を有したガラスを製造するにあたり、金
属成分に濃度分布を付与した後、その濃度分布を固定す
る工程において、多孔質体を有機酸または有機酸塩から
選ばれた化合物を少なくとも1種類を含んだ溶液に浸漬
して、金属成分を多孔質体中に固定する。前記有機酸ま
たは有機酸塩溶液の濃度を時間とともに変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質体を経由するガ
ラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔質体を経由して多成分系のガ
ラスを製造する方法として、第1に、金属アルコキシド
等の加水分解、重縮合反応、水ガラスまたはSiO2
の酸化物粒子を溶媒に分散させたゾルのpH調製により
作製した多孔質ゲルを利用するゾルゲル法、第2に、ア
ルカリ−ボロシリケート系のガラスを溶融し、熱処理に
より分相させ、酸処理により可溶相を溶出させて作製し
た多孔質体を利用する方法(特公昭61−21173号
公報)、第3に、CVD法に代表されるような金属酸化
物粒子を堆積させて作製した多孔質体を利用する方法
(セラミックス,21(1986)419−424)等
が提案されている。
【0003】多孔質体を経由して多成分系のガラスを製
造する工程の概略を図1に示す。金属イオンを含んだ多
孔質体を金属イオンに濃度分布がない状態で固定(図1
中の固定1)し、(1)、(2)、(5)の工程により
乾燥、焼成すれば、均質なガラスを作製することができ
る。一方、金属イオンに濃度分布を付与した後に固定
(図1中の固定2)し、(1)〜(5)の工程により乾
燥、焼成すれば、屈折率分布等を有したガラスを作製す
ることができる。
【0004】従来、多孔質体中に金属成分を固定する方
法は、多孔質体の強度や性質により様々の方法が提案さ
れている。分相ガラスを利用する場合、まずこの細孔中
に100℃程度のドーパントの硝酸塩水溶液を含浸し、
細孔中に金属硝酸塩を充填する(スタッフィング工
程)。次に、金属硝酸塩を拡散できる溶液(70℃程度
のエタノール−水混合溶液)に浸漬して細孔内に含浸し
たドーパントの金属硝酸塩イオンを含む溶液を多孔質ガ
ラスの外に徐々に溶出させ(アンスタッフィング工
程)、濃度分布を付与する。そして、この濃度分布を固
定するために、溶解度が低い0℃付近のエタノールに浸
漬して、微結晶を析出させた後、乾燥、熱処理して密な
ガラスを作製する。このような、いわゆる分子スタッフ
ィング法による屈折率を有するガラスの製造方法は、特
公昭61−21173号公報に開示されている。
【0005】また、ゾルゲル法を利用してSiのアルコ
キシドを主成分とし、特定の金属イオンの水溶性塩を含
む溶液を加えて多孔質ゲルを作製し、この多孔質体を乾
燥して焼成するガラスの製造方法において、前記塩に対
する溶解度が低く、かつ水と混合する有機溶剤に多孔質
体を浸漬し、金属成分を導入した多成分系のガラスを製
造する方法が、特開昭63−277525号公報に開示
されている。さらに、ゾルゲル法により、金属アルコキ
シドを用いて、多成分系のゲルを作製する方法が、特公
平2−24773号公報に開示されている。この場合、
一般に原料として、金属塩と金属アルコキシドとが用い
られている。ゾルゲル法でこれらの原料を用いて均質な
ゲルを得るためには、これらを液体に溶解した状態で使
用することが望まれる。しかし、金属アルコキシドのな
かで、水やアルコールなどに対する溶解度の高いもの
は、Si,Ti,Ge,Zr,Al,P,Bなどのアル
コキシドに限られている。したがって、金属アルコキシ
ドの溶解度が小さい金属成分を導入したい場合には、溶
解度の大きい金属塩を利用する方法が、その金属組成の
バリエーションが大きく広がる点で有効な方法である。
【0006】ゾルゲル法により金属塩を用いて屈折率分
布を有したガラスを作製する方法としては、特開平3−
295818号公報に記載された方法がある。この方法
は、シリコンアルコキシドと、屈折率分布を付与するた
めの金属である鉛の塩とからゾルを作製した後、ゲル化
させ、このゲルを溶液に浸漬することにより、ゲル中の
塩の濃度分布を付与し、屈折率分布を有したガラスを得
る方法である。工程としては、(1)ゾルおよびゲルに
金属塩を導入する工程、(2)導入した金属塩をゲル中
に固定する工程、(3)ゲル中に固定した金属塩を溶出
し、金属塩に濃度分布を付与する工程、(4)前記
(3)で付与した濃度分布を崩れないように再度ゲル中
に固定する工程、(5)ゲル中の溶媒を乾燥し、焼結す
ることによりガラスを得る工程からなるものである。こ
こで、(2)および(4)の工程は、原理的には同様の
ものであり、湿潤ゲルを鉛の塩の溶解度の小さい溶液に
順次浸漬することにより、鉛の塩の微結晶をゲル細孔中
に析出させ、鉛の分布を固定する方法である。
【0007】この方法を用いて、前記の工程を(1)〜
(5)の順に行えば、組成分布を有するガラスを得るこ
とができ、(1)、(2)および(5)の工程を順序で
行えば、均質なガラスを作製できることは前述のとおり
である。
【0008】さらに、この方法でのゲル中の金属塩の挙
動について詳細に説明する。ゾルゲル法により作製した
シリカゾルにシリコン以外の金属種を金属塩(例えば酢
酸鉛)として導入し、湿潤ゲルを調製した場合、金属塩
は溶媒に溶解した状態で多孔質ゲル中に存在する。この
ゲルをイソプロパノールとアセトンの混合溶媒にイソプ
ロパノールとアセトンの混合比を徐々にアセトンの比率
を多くして順次浸漬していくことにより、酢酸鉛の微結
晶がゲル中の細孔の壁面に析出され、固定され。ここ
に、酢酸鉛の溶解度はイソプロパノールよりアセトンの
方が小さく、混合溶媒系ではアセトンの比率を多くして
いくほど溶解度は小さくなるために、酢酸鉛は析出して
くるものである。
【0009】次に、分布付与する工程では、このゲルを
分布付与液中に浸漬し、ゲルに金属濃度分布を付与す
る。ここで用いる分布付与液には、エタノールを用い
る。エタノールに対する酢酸鉛の溶解度は比較的高いた
め、ゲル内にエタノールが侵入することにより、いった
んゲル細孔壁に析出、固定した酢酸鉛の微結晶は溶解・
溶出される。この分布付与液への浸漬時間等を制御する
ことにより、酢酸鉛の分布形状を制御することができ
る。このゲルを再びイソプロパノールとアセトンの混合
溶媒に順次浸漬せることにより、分布付与の際にいった
ん溶解した結晶は再び微結晶として析出し、ゲル中に固
定される。このゲルを乾燥し、得られたドライゲルを焼
成することにより、径方向に屈折率分布を有するガラス
が得られる。
【0010】以上は、前記公報中での例をもとに、そこ
で用いられている金属塩および溶媒を用いた系について
説明したが、この原理は、他の多くの金属塩に適用でき
るものであると予想される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特開昭63−2775
25号公報に開示されている水溶性の金属塩を用いる方
法によると、例えば、酢酸塩、硝酸塩、塩化物等の化合
物(塩)を用いる。しかし、このような金属成分を多孔
質ゲル中に固定するために、前記塩に対する溶解度が低
く、かつ水と混合する有機溶媒に多孔質ゲルを浸漬する
と、多孔質ゲル中の金属塩の一部は、前述にように、多
孔質ゲル細孔中に微結晶を析出して固定されるが、残り
は多孔質ゲル細孔中の溶媒に溶解した状態で多孔質ゲル
外へ溶出し、結晶は前記有機溶媒中に析出してしまう。
一方、この有機溶媒中への結晶析出を抑制するために、
逆に、溶媒の種類や混合比を金属塩に対する溶解度の大
きなものに変えた場合には、溶媒に溶解した状態で多孔
質ゲル外へ金属塩が溶出するために、多孔質ゲル中に固
定されて残留する金属塩の量が少なくなるだけであっ
た。
【0012】導入する金属元素によっては、例えば希土
類元素のように、酢酸塩では水またはアルコールに対す
る溶解度が低い金属化合物もある。例えば酢酸塩等を用
いると、溶解度が十分確保できないために、多量に多孔
質体中へ含有させることができなかったり、ゾルゲル法
を利用して予めゾル中に金属イオンを添加する方法で
は、多量の溶媒を使用する必要があり、ゾルを薄めるこ
とになってしまった。このため、ゲルの強度が低下して
割れが非常に多く発生し、所望形状のガラスの作製は困
難であった。
【0013】このような場合には、酢酸塩ではなく、硝
酸塩や塩化物のような塩を用いる。この場合、特開昭6
3−277525号公報では、水と混和する有機溶媒に
多孔質体を浸漬して、微結晶を沈澱させて固定している
が、塩化物や硝酸塩は、このような有機溶媒に対する溶
解度が高く、浸漬溶媒中への溶け出しがあり、多孔質体
中への完全な固定は困難であった。
【0014】すなわち、硝酸塩、塩化物等、金属塩の使
用が避けられない希土類元素を初めとする金属種につい
ては、浸漬溶媒の種類により、結晶析出の程度は異なる
が、いずれの溶媒を用いてもゲル中の金属塩を残しなが
ら固定することが、この従来法においては困難であっ
た。
【0015】次に、特開平3−295818号公報によ
り屈折率分布型光学素子を作製する場合の問題点につい
て説明する。この製造方法で欠かせない工程は、多孔質
ゲル中の金属塩に濃度分布を付与する工程であるが、前
述のように、分布付与工程では、多孔質ゲル細孔中には
酢酸鉛の一部が微結晶の状態で、残りが分布付与液溶媒
に溶解した状態で存在する。分布付与は、分布付与液の
浸透と酢酸鉛の溶解、拡散により支配されるものであ
り、この段階では、酢酸鉛の分布形状は半径方向に変曲
点を持たない、図2に示すような、単調増加の形状をし
ていると考えられる。
【0016】このような湿潤ゲルを金属塩の溶解度の低
い溶液に浸漬していくと、溶液の浸透に伴い、細孔中の
溶液は次第に金属塩に対して溶解度が低くなり、金属塩
は微結晶として析出する。このとき、湿潤ゲルの細孔径
分布は、十〜数百オングストローム程度であり、その細
孔中を溶液が移動する速度は小さい。したがって、細孔
中の溶液とゲル外の溶液との交換はゆっくりと進行す
る。この間に、細孔中の溶液に溶解状態にある金属塩
は、ゲル外周部に向けて移動しやすく、分布付与の工程
で付与した金属の濃度分布が崩れたり、また、濃度分布
が付与された酢酸鉛を固定する工程において固定が十分
でなく、湿潤多孔質ゲルを乾燥する工程において、固定
するための溶液中に僅かに溶解している酢酸鉛が、乾燥
に伴う溶媒の移動によって外周部に移動してしまい、図
3に示すように、外周部に変曲点をもつ濃度分布になる
ことが観察された。このようにして得られたガラスの屈
折率分布は、半径方向に変曲点を持つものであり、光学
設計上、用途が限られ、応用範囲が狭いものであった。
【0017】また、分布付与の後の固定時に、多孔質ゲ
ル中に徐々に結晶を析出させるため、溶媒交換の工程が
多段階となり、そのため浸漬液として多量の溶媒が必要
となって、工程全体が長時間になった。このように、長
時間にわたって浸漬することは、分布付与の工程で付与
された金属塩の濃度分布が崩れやすいという不都合を生
じさせた。これらを回避するために、溶媒の混合比率を
変え、溶解度を小さくする等の対策を試みたが、多孔質
ゲル外への溶出は避けられず、溶解度の低下により固定
液中に結晶析出が観察され、濃度分布の崩れについては
改善されなかった。
【0018】金属塩が多孔質ゲル細孔中に固定される量
と、ゲル外へ溶出される量との関係は、金属塩の種類や
量により異なるものであり、その比率を一概に比べるこ
とはできない。しかし、いずれにしても溶媒の混合比を
変化させて、その溶解度差により金属塩の微結晶を析出
させる特開平3−295818号公報開示の方法には限
界があり、導入する金属種によって、あるいは要求する
固定精度(例えば、屈折率分布型光学素子を作製する際
の分布形状の確実な保持)によっては、十分な効果を得
られないことが実験結果により明らかとなっている。
【0019】また、いわゆる分子スタッフィング法によ
り屈折率分布を有したガラスを作製する場合も、以上に
述べたことと同様の問題点があった。それは、金属成分
を多量に含有させるために、溶解度の高い硝酸塩を用
い、分布固定は約100℃の温度差と溶解度の低い溶媒
によっているが、硝酸塩は、一般的に水やアルコールな
どの極性溶媒に対する溶解度が高く、0℃の付近のエタ
ノールでも、硝酸塩としてまだ1g/100ml程度の
溶解度を有しており、多孔質体中の金属を完全に固定す
ることは困難であり、固定溶液中に溶解している金属塩
が乾燥工程中に移動するため、十分な精度の濃度分布を
付与することができず、そのうえ、大きな屈折率差を付
与することは困難であった。
【0020】これらはいずれも、金属塩を多孔質体中に
固定する際に生じた課題であり、本発明は、金属塩を用
いて金属種を多孔質体中に導入する方法において、多孔
質体細孔中に溶解状態で存在する金属塩を確実に多孔質
体細孔中に固定し得る方法を提供することを目的とす
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のガラスの製造方法は、多孔質体を経由して
多成分系のガラスを製造する場合、金属成分を多孔質体
中に固定する工程において、金属塩を含有した多孔質体
を有機酸または有機酸塩から選ばれた少なくとも1種類
を含んだ溶液に浸漬し、金属成分を多孔質体中に固定す
ることとした。また、多孔質体を経由して屈折率分布を
付与したガラスを製造する場合、金属成分に濃度分布を
付与し、その後の濃度分布を固定する工程において、多
孔質体を有機酸または有機酸塩から選ばれた少なくとも
1種類を含んだ溶液に浸漬し、金属成分を多孔質体中に
固定することとした。さらに、前記有機酸または有機酸
塩溶液の濃度を時間とともに変化させることにより、よ
り高い効果が得られる。
【0022】
【作用】ゾルゲル法や、CVD法、分相法により作製し
た多孔質体中に金属塩を導入し、細孔中において金属塩
が溶媒に溶解した状態とする。この状態の多孔質体を溶
解度が低い溶媒に浸漬するが、さらに有機酸、有機酸塩
から選ばれた少なくとも1つを含んだ溶液に浸漬する
と、以下に示したように、単に溶解度の低い溶媒に浸漬
した場合と比較して、更に多くの微結晶を析出させるこ
とができる。
【0023】固定溶媒であるアルコール中で、有機酸H
a Xは化1のように解離する。
【0024】
【化1】
【0025】また、有機酸イオンと金属イオンとの間に
は、化2の平衡が成り立つ。
【0026】
【化2】
【0027】ここで、Meは金属元素、Xは有機酸イオ
ンである。化1よりXa-が有機酸または有機酸塩により
供給されるために、化2の平衡は左に移動し、沈澱が生
成する。このとき、溶解度積を考えると、化3に示すよ
うになる。
【0028】
【化3】
【0029】このときに用いることができる金属イオン
と有機酸、有機酸塩の組み合わせは、化3に示した溶解
度積が十分に小さい値であり、従来法と比較して、更に
多くの金属成分を十分に固定することができる。有機
酸、有機酸塩としては、例えば、酢酸、クエン酸、リン
ゴ酸、マレイン酸、シュウ酸、乳酸等およびこれらの塩
を用いることができ、これらを混合したものでもよく、
多孔質体を溶液に複数回浸漬してもよい。
【0030】これらの有機酸または有機酸塩は、分解温
度、酸解離定数、これらの添加量等も加味して選ばれ
る。したがって、添加する有機酸等の種類や量によって
結晶析出速度をコントロールすることができる。
【0031】特に、従来、多量に導入することが困難で
あった希土類元素は、塩化物あるいは硝酸塩を用いる
か、または、水やアルコールに対する溶解度が低い塩を
用いる場合は、例えば、酢酸塩、アセチルアセトン塩、
金属アルコキシドを塩酸に溶解して溶解度を高くして作
製したゲルを、有機酸または有機酸塩を含む溶液中に浸
漬することにより、有機イオンと金属イオンの反応によ
り有機金属塩の微結晶として析出する。このため、ゲル
中には多くの微結晶を析出させることができる。このよ
うにして、結晶が析出したり、溶解度が低いためにガラ
ス中に大量にドープできなかった金属を、均一にガラス
中に大量にドープすることができる。
【0032】また、屈折率分布を有したガラスを作製す
る場合にも同様の原理で有機酸を作用させ、固定処理を
行うことができる。分布付与工程の後の固定工程(図1
中の固定工程2)において、固定が速やかに進むこと
は、前述したような分布の崩れを大幅に軽減することが
できる。したがって、この後に続く乾燥工程中にも、多
孔質体中の金属塩はしっかりと固定されており、多孔質
体中を移動して分布形状を崩したりすることがなく、金
属の濃度分布形状に十分な精度を有した多孔質体を作製
することができる。そして、引き続きこの多孔質体を焼
成することにより、細孔中に析出した金属塩の微結晶
は、容易に分解して多孔質体内に取り込まれ、無孔化し
て目的のガラスを作製することができる。
【0033】有機酸または有機酸塩は、分布固定液に初
めから加えた場合だけでなく、浸漬途中に加えることに
よっても効果的に働く。なぜならば、金属塩、溶媒、有
機酸等の選択方法によっては、一度に有機酸または有機
酸塩を加えた場合に、結晶析出作用が強すぎて多孔質体
を破損することにもなりかねない。このような場合に
は、溶液中の有機酸または有機酸イオンの濃度を時間と
ともに変化させることにより、固定を行えば高い効果が
得られる。
【0034】方法としては、例えば有機酸または有機酸
塩等の滴下により行い、ここで添加する有機酸または有
機酸塩の濃度は、加える有機酸または有機酸塩の種類に
より異なるので、有機酸の解離定数等を考慮して決定す
ればよい。これにより、溶媒交換のステップ数を減らす
ことができ、工程全体の時間を減らすことが可能とな
る。さらに、特にこの屈折率等の特性が分布したガラス
を作製する場合には、有機酸または有機酸塩を含む溶液
の有機酸または有機酸塩の濃度は、数百分の一規定から
数分の一規定でも効果を有し、多孔質体中へ金属塩の微
結晶としての固定が十分になされるため、多量の溶媒を
使用する従来法と比較して、溶媒量を格段に減らすこと
が可能となる。
【0035】また、金属元素を含有している多孔質体
は、どのような方法により作製されたものでもよく、ゾ
ルゲル法により予め希土類元素の塩等を水などに溶解し
てゾルを調製した後にゲル化させて多孔質体ゲルを作製
してもよいし、金属元素の溶液に多孔質体ゲルを浸漬し
て作製してもよい。また、このようにして作製したゲル
を乾燥または焼成して多孔質体を作製してもよい。さら
に、用いる多孔質体は、CVD法により作製した多孔質
体でもガラスを分相させて作製した多孔質体でもよい。
【0036】
【実施例1】15.5mlのSi(OC2 5 4 と4
3.1mlの1−プロパノールを混合し、次に1.25
mlの1/100規定HCl水溶液を加えて、60分間
攪拌し、部分加水分解した後に、9.0gのAl(Os
ec−C4 9 2 (C6 8 3 )を添加して60分
間攪拌した。次に、10.2gのLa(CH3 COO)
3 ・1.5H2 Oを溶解した16.3mlの3N−HC
lを添加して攪拌した後、ポリプロピレンビーカーに流
し込んでゲル化させ、湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲルを
60℃で7日間熟成して、4N酢酸水溶液、エタノール
に順次浸漬した。このゲルを100℃で乾燥して140
0℃まで焼成したところ、70SiO2・15Al2
3 ・15La2 3 (mol%)組成の脈理および不純
物のない均質な目的組成のガラスが得られた。
【0037】[比較例1]実施例1と同様にしてゾルを
調製し、ゲルを得た。このゲルをエタノールに浸漬した
後、100℃で乾燥して1400℃まで焼成したとこ
ろ、78SiO2 ・15Al2 3 ・7La2 3 (m
ol%)組成となり、目的組成のガラスを得ることはで
きなかった。
【0038】
【実施例2】88.1mlのSi(OCH3 4 に、1
51.8mlのイソプロパノール、10.7mlの1/
100規定HCl水溶液を加え、30分間攪拌し、部分
加水分解した後に、42.64gのTi(OiC
3 7 4 を添加して、更に30分間攪拌した。次に、
15.3gのシリカ粉(Aerosil(Aerosi
l社))を108.0mlのイソプロパノールに分散し
た溶液と混合した。その後に、26.8gのY(OCH
3 3 を溶解した200mlの塩酸水溶液を滴下し、攪
拌して加水分解し、ゾルを調製した。このゾルをポリプ
ロピレン容器に入れて密封し、ゲル化させ、湿潤ゲルを
得た。この湿潤ゲルを0.2mol/lのクエン酸水溶
液に12時間浸漬した後、イソプロパノールとアセトン
の混合液に24時間浸漬した。このゲルを60℃で乾燥
を行い、1400℃まで昇温したところ、脈理は全く見
られず、均質で透明な74SiO2 ・13TiO2 ・1
3Y2 3 (mol%)組成の仕込組成どおりのガラス
が得られた。
【0039】
【実施例3】4.81mlのSi(OCH3 4 と1
1.4mlのエタノールを混合し、次に0.6mlの1
/100規定HCl水溶液を加え、60分間攪拌し、部
分加水分解した後に、4.5gのAl(Osec−C4
9 2 (C6 8 3 )を添加して60分間攪拌し
た。次に、2.5gのTi(OiC3 7 4 を添加し
て更に30分間攪拌した。そこへ、8.7gのLa(N
3 3 ・6H2 Oを溶解した25.0mlの1N−H
Clを添加して攪拌した後、ポリプロピレンビーカーに
流し込んでゲル化させ、湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲル
を60℃で3日間熟成して、0.3mol/lのEDT
Aに浸漬してLaを固定した。次に、メタノール:H2
O=6:4(体積比)の溶液に浸漬してLaに濃度分布
を付与した。この後、順次、エタノール、アセトンに浸
漬し、このゲルを100℃で乾燥して1380℃まで焼
成したところ、Laに濃度分布を持つ、屈折率分布を有
したガラスが得られた。このガラスを切断して光学特性
を測定したところ、図4に示すような光学特性を示し、
効果のある光学特性であることがわかった。
【0040】
【実施例4】106.9mlのSi(OC2 5
4 に、104.7mlの1−C3 7 OHと6.3ml
の2規定HCl水溶液を加えて部分加水分解を行った。
その後に、67.6gのZr(OnC4 9 4 と4
4.9mlの1−C3 7 OHを添加し、更に1時間攪
拌して、Si−O−Zr結合を有する複合金属アルコキ
シドを形成させて、複合金属アルコキシド溶液を調製し
た。次に、115gのYbCl3 ・6H2 Oを溶解した
塩酸を加えて湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲルをシュウ酸
ナトリウム水溶液に浸漬した。80℃で乾燥後、145
0℃まで焼成して、55SiO2 ・17ZrO2 ・26
Yb2 3 ・2Na2 O(mol%)組成の透明なガラ
スを得た。
【0041】
【実施例5】21.1mlのSi(OC2 5 4 と4
3.1mlの1−プロパノールを混合し、次に1.7m
lの1/100規定HCl水溶液を加えて60分間攪拌
し、部分加水分解した後に、1.5gのAl(Osec
−C4 9 2 (C6 8 3 )を添加して60分間攪
拌した。次に、2.41gのNd(C5 7 2 3
溶解した16.3mlの1N−HClを添加して攪拌し
た後、ポリプロピレンビーカーに流し込んでゲル化さ
せ、湿潤ゲルを得た。この湿潤ゲルを60℃で7日間熟
成して、乳酸に浸漬した後、メタノールに浸漬して40
℃で乾燥し、1400℃まで焼成したところ、透明な仕
込み組成どおりの95SiO2 ・2.5Al2 3
2.5Nd2 5 (mol%)組成のガラスが得られ
た。このガラスの蛍光特性を測定したところ、720〜
830μm付近の励起光に対してレーザー遷移を観測す
ることができた。さらに、1.06μmでレーザー発振
させたところ、発振することができた。
【0042】
【実施例6】51.1gのTi(OnC4 9 4 を含
有する125.7mlのSi(OCH3 4 に、350
mlのエタノールおよび45.5gのAl(Osec−
49 3 に30.4gのTm(HCOO)3 を溶解
した300mlの1/100規定のHCl水溶液を加え
て加水分解し、内径20mmのガラス容器内でゲル化さ
せて湿潤ゲルを作製した。この湿潤ゲルを40℃で熟成
して、クエン酸溶液に浸漬した後、100℃で乾燥さ
せ、酸素雰囲気中で400℃まで焼成して多孔質ガラス
を得た。さらに、この多孔質ガラスをTm(NO3 3
のエタノール溶液に浸漬し、細孔中に含浸した後に、マ
レイン酸の溶液に浸漬した。次に、このゲルを50℃で
乾燥し、1420℃まで焼成して56.5SiO2 ・1
5TiO2・18.5Al2 3 ・10Tm2 3 (m
ol%)組成のガラスが得られた。このガラスの蛍光特
性を測定したところ、レーザー遷移を観測することがで
き、レーザー発振させたところ、発振することができ
た。
【0043】
【実施例7】Si(OCH3 4 30ml、Si(OC
2 5 4 30mlおよびトリエチルボレート12.4
mlを混合し、ここへpH2の塩酸水溶液25mlを加
えて1時間攪拌し、部分加水分解反応を行った。ここ
に、1.25mol/lの酢酸鉛水溶液107.63m
lと酢酸15.35mlを混合したものを添加し、激し
く混合して得たゾルを分注した後、ゲル化させた。この
ゲルを酢酸鉛イソプロパノール−水混合溶液に浸漬し、
ゲルを強化した後に、イソプロパノール−アセトン溶液
に浸漬し、酢酸鉛の微結晶を析出し、固定した。その
後、酢酸鉛の微結晶を含むゲルを酢酸カリウムエタノー
ル溶液に6時間浸漬して、ゲル中に酢酸鉛濃度が中心部
で高く、周辺部で低くなるように分布させた。このゲル
を酢酸0.01N−イソプロパノール/アセトンの体積
比で5対5の混合溶液およびアセトンに順次浸漬して分
布の固定を行い、乾燥した後、620℃まで焼成して無
色透明のガラスを得た。得られたガラスの屈折率分布形
状は、図5に示すような変曲点を持たない応用範囲の広
いものであった。
【0044】[比較例2]実施例7と同様にして、分布
付与までの操作を行って作製したゲルを、その後の固定
時に酢酸を含有していないイソプロパノール/アセトン
の体積比で5対5の混合溶液およびアセトンの順に浸漬
し、乾燥、焼結することによりガラスを得た。そのガラ
ス中の酢酸鉛の分布形状はくずれていたため、屈折率分
布形状も周辺部がくずれた分布をしており、このガラス
素子は、光学設計上、その特性に問題のあるものであっ
た。
【0045】
【実施例8】Si(OCH3 4 15ml、Si(OC
2 5 4 30mlを混合し、ここへpH2の塩酸水溶
液20mlを加えて1時間攪拌し、部分加水分解反応を
行った。ここに、1.25mol/lの酢酸鉛水溶液5
0.38ml、1.0mol/lの酢酸バリウム水溶液
10.85mlおよび酢酸15.35mlを混合したも
のを添加し、激しく混合して得たゾルを分注した後、ゲ
ル化させた。このゲルを、酢酸鉛および酢酸バリウムを
含有するメタノール溶液にイソプロパノール/水混合溶
液に浸漬し、ゲルを強化した後に、イソプロパノール/
アセトン混合溶液に浸漬して、酢酸鉛および酢酸バリウ
ムの微結晶を析出し、固定した。酢酸鉛および酢酸バリ
ウムの微結晶を含むゲルを、酢酸カリウムエタノール溶
液に6時間浸漬して、ゲル中に酢酸鉛濃度および酢酸バ
リウム濃度が中心部で高く、周辺部で低くなるように、
酢酸カリウムが中心部で低く、周辺部で高くなるように
分布させた。このゲルを乳酸0.02N−イソプロパノ
ール/アセトンの体積比で6対4の混合溶液およびアセ
トンに順次浸漬して、分布の固定を行い、乾燥した後、
620℃まで焼成して、無色透明のガラスを得た。得ら
れたガラスの屈折率分布形状は、変曲点を持たない応用
範囲の広いものであった。
【0046】[比較例3]実施例8と同様にして、分布
付与までの操作を行って作製したゲルを、その後固定す
る時に乳酸を含有していない実施例8と同じ混合比率が
体積比で6対4のイソプロパノール/アセトン混合溶液
を用いた場合には、酢酸バリウムの分布が崩れて良い光
学特性が得られなかった。そこで、固定溶媒に用いる、
イソプロパノール/アセトン混合溶液の混合比を、より
微結晶析出が進むようにアセトン比率を増やしたが、こ
のような固定溶液に浸漬したゲルは、液中に結晶析出
し、ゲルの外部にも結晶が付着して固定後の乾燥時に割
れ、一体性の良いものは得られなかった。
【0047】
【実施例9】実施例7と同様にして作製したゲルを、酢
酸鉛イソプロパノール−水混合溶液に浸漬し、ゲルを強
化した後に、イソプロパノール/アセトン混合溶液に浸
漬して、酢酸鉛の微結晶を析出し、固定した。酢酸鉛の
微結晶を含むゲルを酢酸カリウムエタノール溶液に2時
間浸漬して、ゲル中に酢酸鉛濃度が中心部で高く、周辺
部で低くなるように分布させた。このゲルをイソプロパ
ノール/アセトン混合溶液に浸漬し、1時間後より1m
ol/l酢酸−アセトン溶液を1.2ml/hずつ滴下
した。このように分布を固定したゲルを乾燥した後、6
20℃まで焼成して無色透明のガラスを得た。得られた
ガラスの屈折率分布形状は、変曲点を持たない応用範囲
の広いものであった。
【0048】なお、多成分系のガラスの製造方法につい
て、上記では焼成してガラスとしているが、用途により
必ずしも無孔化する必要はなく、多孔質ガラスを製造す
ることも何等原理的に制限されるものではない。また、
適用できる元素は実施例中に示したものに限られている
わけではなく、金属イオンの有機酸または有機酸塩との
酸解離定数が十分に小さいものであれば、原理的に何等
制限されるものではない。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明のガラスの製造方
法によれば、多孔質体細孔中に溶解状態で存在する金属
塩を確実に固定することができ、種々の元素を含む多成
分系のガラスおよび濃度分布が付与された屈折率分布を
有したガラスを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質体を経由してガラスを製造する製造方法
の工程を示す工程図である。
【図2】金属成分に濃度分布を付与した直後のゲル中の
金属成分の濃度分布を示すグラフである。
【図3】金属成分に濃度分布を付与し、従来法により固
定した場合のゲル中の金属成分の濃度分布を示すグラフ
である。
【図4】本発明の実施例3により得られた屈折率分布を
有するガラスの光学特性を示す特性図である。
【図5】本発明の実施例7により得られた屈折率分布を
有するガラスの径方向屈折率分布を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質体を経由して多成分系のガラスを
    製造するにあたり、金属成分を多孔質体中に固定する工
    程において、多孔質体を有機酸または有機酸塩から選ば
    れた化合物を少なくとも1種類を含んだ溶液に浸漬し
    て、金属成分を多孔質体中に固定することを特徴とする
    ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 多孔質体を経由して屈折率分布を有した
    ガラスを製造するにあたり、金属成分に濃度分布を付与
    した後、その濃度分布を固定する工程において、多孔質
    体を有機酸または有機酸塩から選ばれた化合物を少なく
    とも1種類を含んだ溶液に浸漬して、金属成分を多孔質
    体中に固定することを特徴とするガラスの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機酸または有機酸塩溶液の濃度を
    時間とともに変化させることを特徴とする請求項1また
    は2記載のガラスの製造方法。
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