JPH0633536B2 - 耐切創性に優れたポリビニルアルコール系紡績糸 - Google Patents

耐切創性に優れたポリビニルアルコール系紡績糸

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JPH0633536B2
JPH0633536B2 JP1219672A JP21967289A JPH0633536B2 JP H0633536 B2 JPH0633536 B2 JP H0633536B2 JP 1219672 A JP1219672 A JP 1219672A JP 21967289 A JP21967289 A JP 21967289A JP H0633536 B2 JPH0633536 B2 JP H0633536B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はポリビニルアルコール紡績糸に関するもので,
特に,高強度を有し,かつ耐切創性に優れた紡績糸に関
するものである。
<従来の技術> ポリエステル,ナイロン等の汎用の繊維素材にあって
は,防護手段,防護エプロン等の防護衣料の分野におい
て,紡績糸番手を小さくして見掛けのかさを大きくす
る,編糸、織糸の構成本数を多くする等の対策を採るこ
とにより、切創抵抗の向上を図り,耐切創性に関する問
題点を回避すべく努力してきた。
しかしながら、前述したような対策を採用した場合にお
いては、得られた防護衣料の触感はゴワゴワしたものと
なり、その着用感は著しく悪いものとなる。あるいは,
十分な耐切創性が得られない等の問題点が依然として残
っていた。
また,従来のポリビニルアルコール系紡績糸は引張強度
が約6g/dと低い。そのため,該紡績糸の利用分野は
主に衣料用途であり,産業用途への展開はごく限られた
ものであった。
さらに,耐切創性を代表する切創抵抗は,刃物に対する
切れ難さを表わしており,切創抵抗が小さい場合には,
金切り屑,ガラスの破片,返り等のある金属板材等を取
り扱う作業や刃物を使用する食肉の解体作業等において
切り傷,刺し傷等を被りやすく、防護衣料,防護具等の
所定の目的を満足することができない。
該ポリビニルアルコール系紡績糸の場合,切創抵抗は約
0.05g/dと低く,従って,防護衣料,防護具等へ
の用途展開は困難ものとなっていた。
一方,高強度の紡績糸としては,パラ系アラミド繊維の
紡績糸が知られている。また,該紡績糸の切創抵抗は約
0.18g/dと優れた性能を示すものの,紡績糸引張
強度は約10g/dであり,単糸強度(約22g〜d)
に比べると十分に強度を反映しているとはいえない。
さらに,本来パラ系アラミド繊維は剛直な分子鎖から構
成されているため,捲縮付与の際,糸条単糸に座屈等の
損傷を受けやすい。そのため,該捲縮繊維より構成され
る紡績糸の品位も劣ったものとなっている。加えて,パ
ラ系アラミド繊維は耐光(候)性,特に耐紫外線性が悪
く,長時間にわたって日光に暴露する用途には不向きで
ある。
従って,例えば屋外において使用する保護手袋,保護前
掛け等の保護衣料に用いた場合には,日光,特に,紫外
線よる性能劣化が著しいという問題点があった。
<本発明が解決しようとする課題> 本発明の課題は高強度ポリビニルアルコール系繊維の特
徴を利用することによって高強度を有し,かつ耐切創
性,品位の優れた紡績糸を提供することにある。
<課題を解決するための手段> すなわち本発明は,以下の構成を有する。
重合度が1500以上のポリビニルアルコール系重合体
からなる単糸引張強度が13g/d以上,単糸平均繊維
長L(mm)が下式(I)を満足する高強度ポリビニルアル
コール系捲縮繊維により構成され,かつ紡績糸引張強度
DTが5.0g/d以上および紡績糸切創抵抗ΔCが
0.08g/d以上である耐切創性に優れたポリビニル
アルコール系紡績糸。
D×12≦L≦D×50 …(I) L:平均繊維長(mm) D:平均単糸繊度(d) すなわち,本発明のポリビニルアルコール系紡績糸(以
下本発明紡績糸という)におけるポリビニルアルコール
系重合体としては、完全ケン化型の直鎖状であることが
望ましいが部分ケン化型でも採用できる。重合度として
は少なくとも1500以上を必要とし、1500未満で
は高強度,高切創性の繊維が得られず,本発明が目的と
する紡績糸が得られない。好ましい重合度としては、1
500〜10000であり、特に好ましくは、3000
〜5000のものである。一般に、高重合度の方が高強
度の繊維を得られ易いが、重合度10000以上では製
造コストが問題となるので好ましくない。
また紡績方法としてはトウ紡績方法,すなわちパーロッ
ク(牽切)方式やスフ紡績方法が適用できるが,特に,
高強度を有し,かつ耐切創性の優れた紡績糸を得やすい
点でトウ紡績法が好ましい。
さらにポリビニルアルコール系繊維(PVA系繊維)の
平均繊維長は長くすると紡績糸の引張強度が高くなる
が,紡績糸の撚数が小さくなり,耐切創性の低下をきた
す。したがって,PVA系繊維の平均繊維長は紡績糸の
引張強度,耐切創性および紡績性の観点からD×12≦
L≦D×50(L:平均繊維長(mm),D:平均単糸繊
度(d))であり,好ましい平均繊維長はD×20≦L
≦D×35である。
産業用途への用途展開を図るには,紡績糸によって構成
される織物,編物の引裂強度等に大きな影響を与える紡
績糸引張強度DT(g/d)は,5.0≦DT,好まし
くは8.0≦DTが必要である。
加えて、防護手袋,防護前掛け等の防護衣料への用途展
開を行うには,紡績糸より構成される織物,編物の耐切
創性が優れていることが要求され,したがって紡績糸の
切創抵抗ΔC(g/d)は0.08≦ΔC,好ましくは
0.1≦ΔCに保持すべきである。
この切創抵抗が0.8g/d未満の場合には,刃物に対
する切れ難さが低下し,旋盤加工等によって発生する金
切り屑やガラスの破片により当該作業において使用する
防護衣料,防護具が容易に破れるようにな。その結果,
切り傷,刺し傷等を被りやすくなり,防護衣料,某子具
等の所期の目的を満足することができない。
ここで,紡績糸の切創抵抗は以下の方法で求めた。
すなわち,枠体の中央部に有効長が5mmとなるように2
本の試料紡績糸を10mmの間隔を開けて並行に把持し、
この2本の試料紡績糸間に角度60°である2辺に刃の
ある刃鋼の刃を垂直に立てて当て、この刃先に荷重をか
けていった時の該試料紡績糸が切創される荷重重量を測
定する。さらに,測定された荷重重量を該試料紡績糸の
繊度で除したものを紡績糸の切創抵抗とした。
なお、本発明の紡績糸には必要により他の有機繊維,無
機繊維が任意の割合で混合されてもよい。
次に,本発明の要件を満たし得るPVA系繊維,紡績糸
の製造例について説明する。
すなち,本発明においては重合度1500以上のポリビ
ニルアルコール系重合体を溶媒であるジメチルスルフォ
キシドに溶解して紡出原液を得る。得られた原液を口金
吐出孔から押出してメタノールからなる凝固浴中に乾湿
式紡糸した後,連続してメタノール液中で洗浄,浴延
伸,乾燥を行ない,有効全延伸倍率が15倍以上となる
ように加熱延伸後,繊維束温度が40℃以上70℃以下
になるように温水予熱した後,特定された捲縮特性を有
するように捲縮機で捲縮を付与し、80℃以下で実質的
な熱固定を行う。次いで,通常のスフ紡績法により所定
の紡績糸を得る。
上記方法によりはじめて高強度,かつ耐切創性に優れた
紡績糸に適したPVA系繊維を得ることが可能となる。
この場合の延伸条件としては,有効全延伸倍率が15倍
以上となるような条件とする。この有効全延伸倍率が1
5倍未満では目的とする紡績糸物性,特に引張強度DT
が5.0g/d以上のものが得られない。
また,延伸時の雰囲気温度として好ましい温度は220
〜260℃の範囲である。この温度範囲を維持すること
によって,有効全延伸倍率15倍以上の延伸が一層行い
やすく,所期の目的とする高物性のい繊維が得られる。
繊維束を温水予熱する方法としては温水浴浸漬方式,シ
ャワー方式等の実質的に温水を用いて必要な繊維束温度
を得る方式であれば何れの方式を用いてもよく,温水中
に油剤等を混合してもよいのは勿論のことである。
また,捲縮付与に際しては,実質的に繊維に座屈等の損
傷を与えない方法であればどのような方法でもかまほわ
ない。好ましくは押込み式捲縮機を用いた機械捲縮であ
る。
熱固定後必要な仕上油剤を付与し,紡績糸の引張強度,
耐切創性の観点からPVA系繊維の平均繊維長がD×1
2≦L≦D×50(L:平均繊維長(mm),D:平均単
糸繊度(d)),好ましくはD×20≦L≦D×35と
なるようにカッター等でカットして必要な原綿を得る。
ここで有効全延伸倍率とは乾熱延伸後の引取速度を凝固
浴出での引取速度で除したものである。
なお、紡糸方法は高強度ポリビニルアルコール系繊維の
製造に用いられている方法であればよく,乾式,湿式,
乾湿式あるいはゲル紡糸法等によって本発明の効果が変
ることはない。また,加熱延伸方法は液浴,湿熱,乾
熱,熱板,ピンあるいはホットローラ延伸等でもかまわ
ない。さらに加熱延伸後,湿熱,乾熱,緊張,定長ある
いは弛緩等いかなる熱処理を施してもよい。
仕上油剤の付与は乾熱延伸後であればどの工程で付与し
てもよい。
<実施例> 以下、実施例をあげて本発明を一層具体的に説明する。
実施例1 重合度2600の完全ケン化型ポリビニルアルコールを
溶媒に溶解した紡出原液を乾湿式紡糸した後,連続して
洗浄,浴延伸,乾燥,乾熱延伸して得られる原糸150
0D/600f(単糸強度20g/d,切断伸度4.6
%)を合糸し,10.8万Dのトウを作り,通常のパー
ロック方式のトウ紡績方法により平均繊維長76mmの2
6番手の紡績糸を得た。
パーロック方式によるトウのカット性は良好であり,紡
績工程通過性に問題はなかった。
また得られ課紡績糸はネップ等の発生のない良好な紡績
糸であった。
紡績糸の強力は1349g(強度13.4g/d)で切
断伸度は7.2%であった。
一方,得られた紡績糸の切創抵抗は0.1g/dであ
り、防護衣料用途には十分な耐切創性を有する優れた紡
績糸であった。
実施例2 実施例1と同一の紡出原液を乾湿式紡糸し,さらに同一
の製糸,延伸条件で得られた原糸1500D/600f
(単糸強度20g/d,切断伸度4.6%)を合糸し、
10.8万Dのトウを得た。得られたトウを加熱下で機
械捲縮を付与した後,51mm長に刃物でカットして紡績
用の綿を作り,通常のスフ紡績方法によって20番手の
紡績糸を得た。
その紡績糸の強力は2605g(強度9.8g/d)で
切断伸度は8.5%であり、機械捲縮による強度の低下
はなかった。また刃物の切れ味の低下によるミスカット
もなく,ネップ等の発生のない品位良好な紡績糸であっ
た。
また,得られた紡績糸の切創抵抗は0.11g/dであ
り,防護衣料用途には十分な耐切創性を有する優れた紡
績糸であった。
実施例3 実施例一と同様の紡出原液を乾湿式紡糸し,さらに同一
の製糸,延伸条件で得られた原糸1500D/400f
(単糸強度21g/d,切断伸度4.8%)を合糸し,
10.8万Dのトウを得た。得られたトウを加熱下で機
械捲縮を付与した後,64mm長に刃物でカットして紡績
用の綿を作り,通常のスフ紡績方法によって20番手の
紡績糸を得た。
その紡績糸の強力は2764g(強度10.4g/d)
で切断伸度は7.9%であり,機械捲縮による強度の低
下はなかった。また刃物の切れ味の低下によるミスカッ
トもなく,ネップ等の発生のない品位良好な紡績糸であ
った。
さらに,得られた紡績糸の切創抵抗は0.11g/dで
あり,防護衣料用途には十分な耐切創性を有する優れた
紡績糸であった。
比較例1 重合度1000の完全ケン化型ポリビニルアルコールを
溶媒に溶解した紡出原液を乾湿式紡糸した後,連続して
洗浄,浴延伸,乾燥,乾熱延伸して得られる原糸150
0D/600f(単糸強度10.6g/d,切断伸度
3.2%)を合糸し,10.8万Dのトウを得た。得ら
れたトウを加熱下で機械捲縮を付与した後,51mm長に
刃物でカットして紡績用の綿を作り,通常のスフ紡績方
法によって20番手の紡績糸を得た。
その紡績糸の強力は1197g(強度4.8g/d)で
切断伸度は4.8%であり、重合度1500以上のポリ
ビニルアルコールを用いた原糸より得られる紡績糸比
べ,強度は低い。
さらに,得られた紡績糸の切創抵抗は0.04g/dと
低く,産業用,防護衣料用には不十分な耐切創性しか有
しなかった。
比較例2 実施例1と同一の紡出原液を乾湿式紡糸し,さらに同一
の製糸,延伸条件で得られた原糸1500D/400f
(単糸強度21g/d,切断伸度4.8%)を合糸し、
10.8万Dのトウを得た。得られたトウを加熱下で機
械捲縮を付与した後,38mm長に刃物でカットして紡績
用の綿を作り,通常のスフ紡績方法によって20番手の
紡績糸を得た。
その紡績糸の強力は2020g(強度7.6g/d)で
切断伸度は5.2%であり,平均繊維長が短いことによ
る交絡不足のため強度の低下が見られた。
また平均繊維長が短いことによる紡績工程途中での脱落
が多くなるため,紡績性は悪く,満足のいく品位の紡績
糸は得られなかった。
加えて得られた紡績糸の切創抵抗は0.06g/dであ
り、防護衣料用途には不十分な耐切創性しか有しなかっ
た。
比較例3 実施例1と同一の紡出原液を乾湿式紡糸し,さらに同一
の製糸,延伸条件で得られた原糸1500D/400f
(単糸強度21g/d,切断伸度4.8%)を合糸し,
10.8万Dトウを得た。得られたトウを加熱下で機械
捲縮を付与した後,200mm長に刃物でカットして紡績
用の綿を作り,通常のスフ紡績方法によって29番手の
紡績糸を得た。
その紡績糸の強力は2340g(強度8.8g/d)で
切断伸度は5.2%であった。
しかし、得られた紡績糸の切創抵抗は0.04g/dで
あり、防護衣料用途には不十分な耐切創性しか有しなか
った。
<発明の効果> 高強度かつ耐切創性に優れた本発明のポリビニルアルコ
ール系紡績糸を用いることにより,金切り屑,ガラスの
破片,返り等のある金属板剤等を取り扱う作業や刃物を
使用する食肉の解体作業等切り傷,刺し傷等を被むる危
険性のある作業に適した安全性の高い防護衣料,防護具
等を安価に提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合度が1500以上のポリビニルアルコ
    ール系重合体からなる単糸引張強度が13g/d以上,
    単糸平均繊維長L(mm)が下式(I)を満足する高強度ポ
    リビニルアルコール系捲縮繊維により構成され,かつ紡
    績糸引張強度DTが5.0g/d以上および紡績糸切創
    抵抗ΔCが0.08g/d以上である耐切創性に優れた
    ポリビニルアルコール系紡績糸。 D×12≦L≦D×50 …(I) L:平均繊維長(mm) D:平均単糸繊度(d)
JP1219672A 1989-08-25 1989-08-25 耐切創性に優れたポリビニルアルコール系紡績糸 Expired - Fee Related JPH0633536B2 (ja)

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