JPH06346988A - 油井管継手とその表面処理法 - Google Patents

油井管継手とその表面処理法

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JPH06346988A
JPH06346988A JP5134986A JP13498693A JPH06346988A JP H06346988 A JPH06346988 A JP H06346988A JP 5134986 A JP5134986 A JP 5134986A JP 13498693 A JP13498693 A JP 13498693A JP H06346988 A JPH06346988 A JP H06346988A
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Akira Fujimoto
旭 藤本
Akira Nakajima
晃 中島
Haruyuki Nagayoshi
治之 永吉
Toshiharu Sakamoto
俊治 坂本
Yukinobu Higuchi
征順 樋口
Ryusuke Inoue
隆介 井上
Tsuneo Nakaizumi
恒男 中泉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Cr含有量10%以上の高Cr含有鋼製鋼管
継手部分に、皮膜強度、密着性に優れ、耐ゴーリング性
が向上した表面処理面を有する油井管継手の提供。 【構成】 Cr含有量が10%以上の高Cr含有の合金
鋼からなる油井管の継手の摺動部分に耐焼付き性付与の
ための表面処理を行うに際して、下地処理として窒化処
理を施して、窒化層を形成したのち、通常の化成処理あ
るいは金属めっきを施す。継手部分の表面の不動態化皮
膜は、溶融塩によって溶融除去され、表層には脱Cr反
応の進行と共に窒化鉄層を主成分とする窒化層を生成す
る。この表面に形成された窒化鉄層は、化成処理、亜
鉛,銅のようなめっき処理に馴染み性が良く、皮膜強
度、密着性に優れた均一な皮膜を形成し、継手部分の耐
ゴーリング性が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原油または天然ガス採
掘に使用される油井管相互を連結するカップリング継手
に関する。
【0002】
【従来の技術】油井管の連結に用いられる継手部分は、
油井管の先端に形成されたねじ部とその基部に形成され
たテーパ部分からなる継手部分と、このねじ部と螺合す
るねじ部と先端に先細のテーパ部分を形成した継手部材
を回転締め付けて、両テーパ部の接触面に高面圧を発生
せしめてメタル−メタルシールを形成して完全なシール
性を維持している。
【0003】しかし、この継手には、メークアップ、ブ
レークアウトの際に、高い面圧での摺動が繰り返し行な
われるために、管材との間に焼付けとムシレが発生し、
これによってシール性が阻害される。このため、例え
ば、特公平1−12995号公報に記載されているよう
に、通常、ねじ部とメタル−メタルシール部分に、種々
の化成処理による化成皮膜の生成あるいは、Cu,Z
n,Pbなどの軟質金属、あるいはFe,Ni,Co,
Ptなどのめっきを施して焼付けとムシレの発生を防い
でいる。即ち、油井管の継手部分と継手部材間に生じる
ゴーリングを防止している。
【0004】一方、近年、耐圧性を増すために10%以
上の高Cr含有鋼、さらにこれにNi,Moなどを添加
した高合金鋼製の高耐圧鋼油井管が使用されるようにな
った。
【0005】このような、高いCr含有量の油井管の継
手部分への化成処理や合金めっきを施すに当たっては、
継手部分の表面にCr酸化物を含有する不動態皮膜が存
在し、これが、化成処理あるいはめっき処理を阻害して
均一な皮膜が生成されず、充分な耐ゴーリング性が得ら
れない原因となっている。
【0006】そのため、かかる高Cr含有合金鋼からな
る油井管継手部分への表面処理層付与に際しては、強酸
洗によるCr鋼表面の酸化物からなる不動態化皮膜除
去、ストライクめっき法などによる活性化処理を施し、
さらにめっき層とCr鋼の密着性を向上せしめるために
Niめっき層を設け、その上にCuめっき、あるいはZ
nめっきなどを行う方法が通常採用されている。
【0007】すなわち、高Cr含有合金鋼の油井管継手
部分に、メタル同士の接触によるシール部の耐ゴーリン
グ性に優れた表面処理層を設けるには、高Cr含有鋼継
手部分に対して非常に優れた密着性を有する表面処理皮
膜の形成が必要とされるため、前記のように煩雑な処理
工程が必要とされ、生産性およびコスト面からも極めて
不利である。さらに、従来の処理方法ではCrを含有す
る酸化物を除去するための強酸洗およびストライクめっ
きによる活性化処理過程において、水素ガス発生雰囲気
に曝されるため、高Cr合金鋼中への水素侵入が避けら
れず、そのため鋼管継手部分の脆化が懸念されるなどの
問題点を有している。
【0008】また、従来鋼管の継手部分の焼付けとムシ
レ発生の防止のために施されている燐酸マンガンによる
化成処理により、かかる10%以上の高Cr含有鋼板に
対して、密着性の良好な皮膜を均一に生成せしめること
は極めて困難であることが知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記従来の10%以上の高Cr含有鋼さら
にはこれに、Ni,Moなどを添加した高Cr含有鋼製
鋼管継手部分における上記従来手段による問題点を解消
することにあって、皮膜の密着性,皮膜強度および耐ゴ
ーリング性に優れた表面処理皮膜を有する高Cr含有鋼
製鋼管継手部分とその表面処理法を提供するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、Cr含有量が
10%以上の高Cr含有の合金鋼からなる油井管の継手
の摺動部分に焼付きとムシレ発生の防止のための皮膜層
を付与するための表面処理を行うに際して、下地処理と
して窒化処理を施して、窒化層を形成したのち、化成処
理あるいは金属めっきを施すことを特徴とする。
【0011】この本発明の処理は、油井管の連結に用い
られる継手部分即ち油井管の先端に形成されたねじ部と
その基部に形成されたテーパ部分からなる継手部分、お
よびこのねじ部と螺合するねじ部と先端に先細のテーパ
部分を形成した継手部材の両方に施してもよく、またど
ちらかの片方、特に継手部材にのみ施してもよい。
【0012】而して、本発明の骨子である窒化処理は、
継手部分の製作過程で付着する油脂類を除去した後、窒
素化合物を含有する溶融塩浴を用いて行われる。
【0013】即ち、本発明の目的を達成するための窒化
層は、溶融塩浴の浴温が400〜700℃の条件下での
加熱処理による窒化処理により形成することができる。
この処理において、溶融塩浴の温度が400℃未満で
は、高Cr含有合金鋼の表面に均一な窒化層を形成する
のが困難であり、また700℃を超える処理温度では、
溶融塩浴の蒸発が著しく、安定して窒化処理を行うこと
が工業的に困難である。したがって、本発明における窒
化処理は、溶融塩浴の浴温が400〜700℃、好まし
くは450〜600℃の溶融塩浴中での加熱処理によっ
て行われる。
【0014】而して、この窒化層の厚さは、本発明の前
記した目的を達成するためには、1μ以上から30μ以
下で生成されることが必要である。窒化層の厚さが1μ
未満では、窒化層に欠陥部が多く、密着性の良好な表面
処理層を安定して得るための下地層としての機能を有し
ない。また、この厚さが30μを超える場合には、下地
層としての作用効果が飽和するとともに、経済的に不利
である。むしろ、この窒化層は硬度が高いため、その厚
さが増加しすぎると高Cr含有合金鋼の材質が劣化する
ので好ましくない。したがって、本発明における窒化層
の厚さは、1〜30μ厚さ、好ましくは5〜20μ厚さ
に限定される。
【0015】なお、この窒化層を得るための溶融塩の浴
組成および処理時間などは、特に限定されるものではな
く、例えば処理浴組成としては、 (A) NaCN 25% KCN 10% NaCNO 25% KCNO 10% Na2 CO3 20% K2 CO3 10% (B) NaCNO 10% KCNO 45% Na2 CO3 10% K2 CO3 35% のような窒素化合物を含有する溶融塩浴が用いられると
ともに、継手部分の適用される条件あるいはサイズ、処
理温度などに対応してそれぞれ選定された処理時間で処
理される。
【0016】また、本発明においては、溶融塩浴中での
窒化処理に先立って、予め高Cr含有合金鋼の表面をグ
リットブラスト、ガラスビーズショットなどの機械的手
段による清浄化処理を行うことによって、窒化層の形成
時間を短縮することができる。
【0017】次いで、この窒化層からなる下地層を形成
した後の表面処理としては、従来かかる鋼管継手部分の
耐ゴーリング性の向上のために施されている燐酸マンガ
ンによる化成処理、Cu,Zn,Sn,Niなどの金属
めっきが目的とする機能に対応して、それぞれ任意に施
される。即ち、これらの各表面処理層を窒化層からなる
下地層に施す方法については、何ら規定されるものでな
く、既に公知の燐酸マンガン処理法および電気めっき法
などによる金属めっき法が適用される。
【0018】而して、この表面処理層の厚さとしては、
一般的に化成処理皮膜については5μ〜25μ、また金
属めっき皮膜については7.5μ以上から40μ以下の
厚さが選定される。また、金属めっき皮膜は常層でな
く、二層皮膜として設けてもよい。
【0019】なお、本発明の窒化層からなる下地層を施
した後、高Cr含有合金鋼製の継手部分に対して、従来
から行われている処理方法により、下地層が除去されて
いない処理条件で表面処理皮膜層を付与しても何ら差し
支えない。
【0020】以上のように、本発明においては、高Cr
含有合金鋼の表面に、窒化層からなる下地層が生成され
ている効果により、皮膜の密着性、皮膜の強度に優れる
上記の各種表面処理皮膜が容易に形成されるので、耐ゴ
ーリング性に優れた鋼管の継手を得ることができる。
【0021】
【作用】10%以上のCrを含有するCr含有鋼、さら
にこれにNi,Moなどを添加した高Cr合金鋼から製
造される鋼管継手は、溶融塩浴中での窒化処理により、
表面のCr酸化物を含有する不動態化皮膜が溶融除去さ
れ、脱Cr反応が進行するとともに、表層には窒化鉄を
主成分とする窒化層が、また内層には窒化鉄と窒化クロ
ムからなる窒化層が形成される。
【0022】この表面に形成される窒化鉄層は、Cr酸
化物を含有する不動態皮膜の生成され易い、高Cr含有
合金鋼の表面に比較して、極く一般的な表面の清浄化お
よび活性化処理により、容易に皮膜の密着性、皮膜強度
に優れた化成処理皮膜あるいはCu,Zn,Sn,Ni
のようなめっき処理皮膜が均一に形成される。その結
果、鋼管継手の耐ゴーリング性が著しく向上する。ま
た、鋼表面に生成される窒化層は、耐磨耗性に優れるた
め、表面処理皮膜の消耗後も、鋼管継手部のメタル同士
の接触によるシール部の耐焼付き性を防止する効果を鋼
管継手部分にさらに付与せしめる。
【0023】
【実施例】表1にそれぞれの組成を示すCr含有量10
%以上の高Cr含有鋼から製造された鋼管の継手部分、
即ち図1に示すカップリング1(継手部材)とピン2
(鋼管先端継手部)について、それぞれの継手部分を構
成するねじ部3およびメタル−メタルシール部4に対し
て、カップリング1のみ、あるいはカップリング1とピ
ン2に本発明の方法による窒化処理による下地層と表面
処理皮膜層を施した鋼管継手を作成し、評価試験に供し
た。
【0024】
【表1】 評価試験は、本発明の処理を施した評価材を図2に示す
ように、カップリング1とピン2を嵌合させる。後に締
め付け機により、1230kg・mのトルクにてメーク
アップし、これにより図2のカップリング1およびピン
2のそれぞれのねじ部3およびメタル−メタルシール部
4に高面圧を付与しつつ摺動させる。
【0025】かかる後に、締め付け機によりカップリン
グ1およびピン2をメークアップ時では逆方向に回転さ
せ、ブレークアウトする。
【0026】ブレークアウトした後に、カップリング1
およびピン2のねじ部3、シール部4を観察し、表面処
理皮膜の剥離、ゴーリングの有無を調査する。
【0027】剥離、ゴーリングが無いか、または軽度の
場合は再びカップリング1とピン2を嵌合させ、前述の
締め付け機により同一条件でメークアップを行う。
【0028】実施例1 供試鋼Aを用いて作成した内径4.5インチのカップリ
ング1およびこれに対応するサイズのピン2の先端部を
温度250℃で10分間大気中で加熱して、表面の油脂
分を除去後、20%NaCN−15%KCN−17.5
%NaCNO−17.5%KCNO−10%Na2 CO
3 −20%K2 CO3 からなる溶融塩浴中で、450
℃,30分間の加熱窒化処理を行い、オイルバス中で冷
却した。該窒化処理機を溶剤脱脂による脱脂後、0.0
5%のTiコロイドを含有する弱アルカリ水溶液中に室
温で10秒間浸漬処理を行い、F- を含有する濃度140
g/lのリン酸Mn系化成処理浴を用いて95℃−10
分間の化成処理を施して、本発明の方法による評価機を
作成した。なお、本発明の処理は、ねじ部3およびメタ
ルシール部4にそれぞれ施した。
【0029】窒化処理層7.5μとリン酸Mn処理皮膜
14μを得た。
【0030】カップリング1およびピン2のメタルシー
ル部4にコンパウンドグリースを塗布し、シール部4に
2000kg/cm2 の面圧を付与しつつ、継手部に対
して、メークアップ、ブレークアウトの繰り返しテスト
を行った。該テストを10回繰り返し行った結果は、シ
ール部の焼付け、ムシレ発生が極めて少なく、非常に良
好であった。
【0031】比較例1 供試鋼Aを用いて作成した内径4.5インチのカップリ
ング1とピン2の先端部を水素脱脂剤を用いて脱脂し、
次いで10%H2 SO4 を用いて温度60℃で60秒の
酸洗後、比較例1と同一の条件で、リン酸Mnを行い、
比較例1とした。
【0032】リン酸Mn処理皮膜の生成は不可能であっ
た。
【0033】実施例2 供試鋼Cを用いて作成した内径5.5インチのカップリ
ング1を水素脱脂剤を用いて脱脂を行い、(15%Na
CNO−40%KCNO−10%Na2 CO3−35%
K2 CO3 )系浴中で、590℃,30分間の加熱窒化
処理を施し、真空雰囲気下で冷却した。該窒化処理機を
溶剤脱脂、20%H2 SO4 水溶液中で50℃,20秒
の酸洗後、硫酸Zn系めっき浴を用いて、電流密度7.
5A/dm2 で380秒間の電解処理(50℃)によ
り、Znめっき層をねじ部3とメタルシール部4に設
け、本発明の方法による評価機を作成した。
【0034】窒化処理層25.5μとZnめっき層12
μを得た。
【0035】実施例1と同様に、コンパウンドグリース
を塗布し、シール部4に2500kg/cm2 の面圧を
付与しつつ、継手部に対して、メークアップ、ブレーク
アウトの繰り返しテストを行った。該テストを10回繰
り返し行った結果は、シール部の焼付け、ムシレの発生
が極めて少なく、非常に良好であった。
【0036】なお、メークアップを行うに当たっては、
カップリング1およびピン2のねじ部3およびシール部
4にはAPI Bu1 5A2 Sect2相当の潤滑
剤を塗付し、メークアップ、ブレークアウトはカップリ
ングに対しピンを1〜3rpmの速度にて回転させた。
【0037】比較例2 供試鋼Cを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂後、20%H2 SO4 水溶液中で50℃,
60秒の酸洗処理を行い、実施例2と同一の条件で、Z
nめっき層をねじ部3とメタルシール部4に設け、比較
例2とした。
【0038】Znめっき層12μを得た。
【0039】実施例2と同一条件で評価試験を行った結
果、繰り返しテスト4回目にZnめっき層の剥離が生じ
るとともに、5回目のテストにおいて焼付けとムシレが
著しく発生した。
【0040】実施例3 供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂した後、(15%NaCN−20%KCN
−15%NaCNO−10%KCNO−20%Na2 C
O3 −10%K2 CO3 )系浴中で、550℃,20分
間の加熱窒化処理を施し、オイルバス中で冷却した。該
窒化処理機を溶剤脱脂、15%H2 SO4 水溶液中で室
温,10秒の酸洗処理を行った後、有機酸系Snめっき浴
(商品名;ロナスタン浴)を用いて、電流密度10A/
dm2 で300秒間の電解処理(室温)によりメタンシ
ール部4にSnめっき層を設けて評価機を作成した。
【0041】窒化処理層15μとSnめっき層15μを
得た。
【0042】実施例1と同様に、コンパウンドグリース
を塗布し、シール部4に3000kg/cm2 の面圧を
付与しつつ、継手部に対して、メークアップ、ブレーク
アウトの繰り返しテストを行った。該テストを10回繰
り返し行った結果は、シール部の焼付け、ムシレの発生
が極めて少なく、非常に良好であった。
【0043】比較例3 供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂後、15%H2 SO4 水溶液中で10秒間の
酸洗処理を行い、実施例3と同一の条件で、Snめっき
層をメタルシール部4に設け、比較例3とした。
【0044】Snめっき層15μを得た。
【0045】比較のために、カップリング1、あるいは
カップリング1とピン2のねじ部3およびメタル−メタ
ルシール部4に対して、本発明の方法における窒化処理
による下地層を設けることなく、実施例と同じ条件で表
面処理皮膜層を設けた鋼管継手を作成し、上記と同じ評
価法により耐ゴーリング性を調査した。
【0046】実施例3と同一条件で評価試験を行った結
果、繰り返しテスト2回目にSnめっき層の剥離が生じ
るとともに、3回目のテストにおいて焼付けとムシレが
シール部4に著しく発生した。
【0047】実施例4 供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂、ガラスビーズショット(粒子径#10
0,圧力5hgf/cm2 ,60秒)による前処理後、
(25%NaCN−10%KCN−25%NaCNO−
10%KCNO−20%Na2 CO3 −10%K2 CO
3 )系溶融塩浴中で、570℃,15分間の加熱窒化処
理を施し、オイルバス中で冷却した。該窒化処理機を水
素脱脂剤による脱脂、10%H2 SO4 水溶液中での酸
洗(室温−30秒)を行った後、改良ワット浴を用いた
下地Niめっき層と硫酸Cu系めっき浴によるCuめっ
きをねじ部3およびメタルシール部4にそれぞれ施し
て、本発明の方法による評価機を作成した。なお、Ni
めっきは電流密度5A/dm2 で60秒間,Cuめっき
は電流密度5A/dm2 で975秒間、それぞれ室温で
の電解処理を行った。
【0048】窒化処理層10μとNi下地めっき層 1μ
とCuめっき層18μを得た。
【0049】該評価試験により、メタル−メタルシール
部4におけるゴーリング(焼付けおよびムシレ)の発生
状況とメークアップ、ブレークアウトの繰り返し回数に
ついての調査した。
【0050】実施例1と同様に、コンパウンドグリース
を塗布し、シール部4に3000kg/cm2 の面圧を
付与しつつ、継手部に対して、メークアップ、ブレーク
アウトの繰り返しテストを行った。該テストを10回繰
り返し行った結果は、シール部の焼付け、ムシレの発生
が極めて少なく、非常に良好であった。
【0051】比較例4 同じく、供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカッ
プリング1を溶剤脱脂後、10%H2 SO4 による室温
−30秒の酸洗後、実施例4と同一の条件で、下地Ni
めっき層とCuめっき層をねじ部3とメタルシール部4
にそれぞれ設け、比較例4とした。
【0052】下地Niめっき層 1μとCuめっき層18
μを得た。
【0053】実施例4と同一条件で評価試験を行った結
果、繰り返しテスト6回目にCuめっき層の剥離が生
じ、7回目に耐焼付けとムシレがシール部に著しく発生
した。
【0054】この結果から、本発明の方法に基づく窒化
処理による下地層と各種表面層処理層を施した高Cr含
有鋼管継手部分は、そのメタル−メタルシール部の耐焼
付き性の向上とムシレの発生が起こりにくく、耐ゴーリ
ング性に著しく優れる。
【0055】
【発明の効果】本発明の高Cr含有合金鋼製の鋼管継手
部分に対する表面処理皮膜の形成方法によって、鋼表面
のCr酸化物を含有する不動態皮膜の除去と同時に該表
面に生成される窒化鉄層を主成分とする下地層の効果に
より、皮膜の密着性、皮膜強度に優れる均一な化成処理
皮膜あるいは金属めっき皮膜が容易に形成されるため、
鋼管継手部分における耐焼き性を向上させ、またムシレ
の発生防止が可能となる。
【0056】即ち、本発明の処理法の適用により、耐ゴ
ーリング性に非常に優れた高Cr含有合金鋼製の鋼管継
手部分の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した継手構成部材を示す。
【図2】 各継手構成部材の組立構成を示す。
【符号の説明】
1 カップリング 2 鋼管先端部 3 ねじ部 4 メタル−メタル
シール部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原油または天然ガス採
掘に使用される油井管相互を連結するカップリング継手
に関する。
【0002】
【従来の技術】油井管の連結に用いられる継手部分は、
油井管の先端に形成されたねじ部とその基部に形成され
たテーパ部分からなる継手部分と、このねじ部と螺合す
るねじ部と先端に先細のテーパ部分を形成した継手部材
を回転締め付けて、両テーパ部の接触面に高面圧を発生
せしめてメタル−メタルシール部を形成して完全なシー
ル性を維持している。
【0003】しかし、この継手には、メークアップ、ブ
レークアウトの際に、高い面圧での摺動が繰り返し行な
われるために、管材との間に焼付きとムシレが発生し、
これによってシール性が阻害される。このため、例え
ば、特公平1−12995号公報に記載されているよう
に、通常、ねじ部とメタル−メタルシール部分に、種々
の化成処理による化成皮膜の生成あるいは、Cu,Z
n,Pbなどの軟質金属、あるいはFe,Ni,Co,
Ptなどのめっきを施して焼付きとムシレの発生を防い
でいる。即ち、油井管の継手部分と継手部材間に生じる
ゴーリングを防止している。
【0004】一方、近年、耐圧性を増すために10%以
上の高Cr含有鋼、さらにこれにNi,Moなどを添加
した高合金鋼製の高耐圧鋼油井管が使用されるようにな
った。
【0005】このような、高いCr含有量の油井管の継
手部分への化成処理や合金めっきを施すに当たっては、
継手部分の表面にCr酸化物を含有する不動態皮膜が存
在し、これが、化成処理あるいはめっき処理を阻害して
均一な皮膜が生成されず、充分な耐ゴーリング性が得ら
れない原因となっている。
【0006】そのため、かかる高Cr含有合金鋼からな
る油井管継手部分への表面処理層付与に際しては、強酸
洗によるCr鋼表面の酸化物からなる不動態化皮膜除
去、ストライクめっき法などによる活性化処理を施し、
さらにめっき層とCr鋼の密着性を向上せしめるために
Niめっき層を設け、その上にCuめっき、あるいはZ
nめっきなどを行う方法が通常採用されている。
【0007】すなわち、高Cr含有合金鋼の油井管継手
部分に、メタル同士の接触によるシール部の耐ゴーリン
グ性に優れた表面処理層を設けるには、高Cr含有鋼継
手部分に対して非常に優れた密着性を有する表面処理皮
膜の形成が必要とされるため、前記のように煩雑な処理
工程が必要とされ、生産性およびコスト面からも極めて
不利である。さらに、従来の処理方法ではCrを含有す
る酸化物を除去するための強酸洗およびストライクめっ
きによる活性化処理過程において、水素ガス発生雰囲気
に曝されるため、高Cr合金鋼中への水素侵入が避けら
れず、そのため鋼管継手部分の脆化が懸念されるなどの
問題点を有している。
【0008】また、従来鋼管の継手部分の焼付きとムシ
レ発生の防止のために施されている燐酸マンガンによる
化成処理により、かかる10%以上の高Cr含有鋼板に
対して、密着性の良好な皮膜を均一に生成せしめること
は極めて困難であることが知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記従来の10%以上の高Cr含有鋼さら
にはこれに、Ni,Moなどを添加した高Cr含有鋼製
鋼管継手部分における上記従来手段による問題点を解消
することにあって、皮膜の密着性,皮膜強度および耐ゴ
ーリング性に優れた表面処理皮膜を有する高Cr含有鋼
製鋼管継手部分とその表面処理法を提供するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、Cr含有量が
10%以上の高Cr含有の合金鋼からなる油井管の継手
の摺動部分に焼付きとムシレ発生の防止のための皮膜層
を付与するための表面処理を行うに際して、下地処理と
して窒化処理を施して、窒化層を形成したのち、化成処
理あるいは金属めっきを施すことを特徴とする。
【0011】この本発明の処理は、油井管の連結に用い
られる継手部分即ち油井管の先端に形成されたねじ部と
その基部に形成されたテーパ部分からなる継手部分、お
よびこのねじ部と螺合するねじ部と先端に先細のテーパ
部分を形成した継手部材の両方に施してもよく、またど
ちらかの片方、特に継手部材にのみ施してもよい。
【0012】而して、本発明の骨子である窒化処理は、
継手部分の製作過程で付着する油脂類を除去した後、窒
素化合物を含有する溶融塩浴を用いて行われる。
【0013】即ち、本発明の目的を達成するための窒化
層は、溶融塩浴の浴温が400〜700℃の条件下での
加熱処理による窒化処理により形成することができる。
この処理において、溶融塩浴の温度が400℃未満で
は、高Cr含有合金鋼の表面に均一な窒化層を形成する
のが困難であり、また700℃を超える処理温度では、
溶融塩浴の蒸発が著しく、安定して窒化処理を行うこと
が工業的に困難である。したがって、本発明における窒
化処理は、溶融塩浴の浴温が400〜700℃、好まし
くは450〜600℃の溶融塩浴中での加熱処理によっ
て行われる。
【0014】而して、この窒化層の厚さは、本発明の前
記した目的を達成するためには、1μ以上から30μ以
下で生成されることが必要である。窒化層の厚さが1μ
未満では、窒化層に欠陥部が多く、密着性の良好な表面
処理層を安定して得るための下地層としての機能を有し
ない。また、この厚さが30μを超える場合には、下地
層としての作用効果が飽和するとともに、経済的に不利
である。むしろ、この窒化層は硬度が高いため、その厚
さが増加しすぎると高Cr含有合金鋼の材質が劣化する
ので好ましくない。したがって、本発明における窒化層
の厚さは、l〜30μ厚さ、好ましくは5〜20μ厚さ
に限定される。
【0015】なお、この窒化層を得るための溶融塩の浴
組成および処理時間などは、特に限定されるものではな
く、例えば処理浴組成としては、 (A) NaCN 25% KCN 10% NaCNO 25% KCNO 10% Na2 CO3 20% K2 CO3 10% (B) NaCNO 10% KCNO 45% Na2 CO3 10% K2 CO3 35% のような窒素化合物を含有する溶融塩浴が用いられると
ともに、継手部分の適用される条件あるいはサイズ、処
理温度などに対応してそれぞれ選定された処理時間で処
理される。
【0016】また、本発明においては、溶融塩浴中での
窒化処理に先立って、予め高Cr含有合金鋼の表面をグ
リットブラスト、ガラスビーズショットなどの機械的手
段による清浄化処理を行うことによって、窒化層の形成
時間を短縮することができる。
【0017】次いで、この窒化層からなる下地層を形成
した後の表面処理としては、従来かかる鋼管継手部分の
耐ゴーリング性の向上のために施されている燐酸マンガ
ンによる化成処理、Cu,Zn,Sn,Niなどの金属
めっきが目的とする機能に対応して、それぞれ任意に施
される。即ち、これらの各表面処理層を窒化層からなる
下地層に施す方法については、何ら規定されるものでな
く、既に公知の燐酸マンガン処理法および電気めっき法
などによる金属めっき法が適用される。
【0018】而して、この表面処理層の厚さとしては、
一般的に化成処理皮膜については5μ〜25μ、また金
属めっき皮膜については7.5μ以上から40μ以下の
厚さが選定される。また、金属めっき皮膜は単層でな
く、二層皮膜として設けてもよい。
【0019】なお、本発明の窒化層からなる下地層を施
した後、高Cr含有合金鋼製の継手部分に対して、従来
から行われている処理方法により、下地層が除去されて
いない処理条件で表面処理皮膜層を付与しても何ら差し
支えない。
【0020】以上のように、本発明においては、高Cr
含有合金鋼の表面に、窒化層からなる下地層が生成され
ている効果により、皮膜の密着性、皮膜の強度に優れる
上記の各種表面処理皮膜が容易に形成されるので、耐ゴ
ーリング性に優れた鋼管の継手を得ることができる。
【0021】
【作用】10%以上のCrを含有するCr含有鋼、さら
にこれにNi,Moなどを添加した高Cr合金鋼から製
造される鋼管継手は、溶融塩浴中での窒化処理により、
表面のCr酸化物を含有する不動態化皮膜が溶融除去さ
れ、脱Cr反応が進行するとともに、表層には窒化鉄を
主成分とする窒化層が、また内層には窒化鉄と窒化クロ
ムからなる窒化層が形成される。
【0022】この表面に形成される窒化鉄層は、Cr酸
化物を含有する不動態皮膜の生成され易い高Cr含有合
金鋼の表面に比較して、極く一般的な表面の清浄化およ
び活性化処理により、容易に皮膜の密着性、皮膜強度に
優れた化成処理皮膜あるいはCu,Zn,Sn,Niの
ようなめっき処理皮膜が均一に形成される。その結果、
鋼管継手の耐ゴーリング性が著しく向上する。また、鋼
表面に生成される窒化層は、耐磨耗性に優れるため、表
面処理皮膜の消耗後も、鋼管継手部のメタル同士の接触
によるシール部の焼付きを防止する効果を鋼管継手部分
にさらに付与せしめる。
【0023】
【実施例】表1にそれぞれの組成を示すCr含有量10
%以上の高Cr含有鋼から製造された鋼管の継手部分、
即ち図1に示すカップリングl(継手部材)とピン2
(鋼管先端継手部)について、それぞれの継手部分を構
成するねじ部3およびメタル−メタルシール部4に対し
て、カップリング1のみ、あるいはカップリング1とピ
ン2に本発明の方法による窒化処理による下地層と表面
処理皮膜層を施した鋼管継手を作成し、評価試験に供し
た。
【0024】
【表l】 評価試験は、本発明の処理を施した評価材を図2に示す
ように、カップリング1とピン2を嵌合させる。後に締
め付け機により、カップリング径に応じて所定のトルク
値でメークアップし、これにより図2のカップリング1
およびピン2のそれぞれのねじ部3およびメタル−メタ
ルシール部4に高面圧を付与しつつ摺動させる。
【0025】かかる後に、締め付け機によりカップリン
グlおよびピン2をメークアップ時とは逆方向に回転さ
せ、ブレークアウトする。
【0026】ブレークアウトした後に、カップリング1
およびピン2のねじ部3、シール部4を観察し、表面処
理皮膜の剥離状況、ゴーリングの発生状況を調査する。
【0027】皮膜の剥離、ゴーリングの発生が無いか、
または軽度の場合は再びカップリング1とピン2を嵌合
させ、前述の締め付け機により同一条件でメークアップ
を行う。
【0028】以上のように、本発明の方法による評価材
について、皮膜の剥離あるいはゴーリングが発生するま
で上記の試験を最大10回まで繰り返し、評価を行っ
た。
【0029】なお、メークアップを行うに当たっては、
カップリング1およびピン2のねじ部3とシール部4に
は、API Bul 5A2 Sect2 相当の潤滑
剤(コンパウンドグリース)を塗布し、メークアップ,
ブレークアウトはカップリングに対してピンを1〜3r
pmの速度で回転させた。
【0030】また、比較のために、カップリング1、あ
るいはカップリング1とピン2のねじ部3およびメタル
シール部4に対して、本発明の方法における窒化処理に
よる下地処理層を設けることなく、実施例と同じ条件で
表面処理皮膜層を設けた鋼管継手を比較材として作成
し、上記と同じ評価試験に供した。
【0031】実施例1 供試鋼Aを用いて作成した内径4.5インチのカップリ
ング1およびこれに対応するサイズのピン2の先端部を
温度250℃で10分間大気中で加熱して、表面の油脂
分を除去後、20%NaCN−15%KCN−17.5
%NaCNOー17.5%KCNO−10%Na2 CO
3 −20%K2 CO3 からなる溶融塩浴中で、450
℃,30分間の加熱窒化処理を行い、オイルバス中で冷
却した。該窒化処理材を溶剤脱脂による脱脂後、0.0
5%のTiコロイドを含有する弱アルカリ水溶液中に室
温で10秒間浸漬処理を行い、F- を含有する濃度14
0g/lのリン酸Mn系化成処理浴を用いて95℃−1
0分間の化成処理を施して、本発明の方法による評価材
を作成した。なお、本発明の処理は、カップリング1と
ピン2の先端部のねじ部3およびメタルシール部4にそ
れぞれ施し、これらに窒化処理層7.5μとリン酸Mn
処理皮膜層14μからなる二層皮膜を形成した。
【0032】カップリング1およびピン2のメタルシー
ル部4にコンパウンドグリースを塗布し、トルク値64
0kg・mの条件でメークアップを行い、継手部に対し
て、メークアップ、ブレークアウトの繰り返しテストを
行った。該テストを10回繰り返し行った結果は、リン
酸Mn皮膜層の表面が少し剥離したものの、ゴーリング
の発生(シール部の焼付け、ムシレの発生)が極めて少
なく、非常に良好であった。
【0033】比較例1 供試鋼Aを用いて作成した内径4.5インチのカップリ
ング1とピン2の先端部を水系脱脂剤を用いて脱脂し、
次いで10%H2 SO4 を用いて温度60℃で60秒の
酸洗後、比較例lと同一の条件で、リン酸Mn処理を行
い、比較例lとした。
【0034】しかし、リン酸Mn処理皮膜は殆んど生成
されず、また実施例1と同一条件で評価試験を行った結
果、繰り返しテスト2回目で焼付きとムシレの発生、即
ちゴーリングが著しく発生した。
【0035】実施例2 供試鋼Cを用いて作成した内径5.5インチのカップリ
ング1を水系脱脂剤を用いて脱脂を行い、(15%Na
CNO−40%KCNO−10%Na2 CO3−35%
K2 CO3 )系浴中で、590℃,30分問の加熱窒化
処理を施し、真空雰囲気下で冷却した。該窒化処理材を
溶剤脱脂、20%H2 SO4 水溶液中で50℃,20秒
の酸洗後、硫酸Zn系めっき浴を用いて、電流密度7.
5A/dm2 で380秒間の電解処理(50℃)によ
り、Znめっき層をカップリング1のねじ部3とメタル
シール部4に設け、本発明の方法による窒化処理層2
5.5μとZnめっき層12μが形成された評価材を作
成した。
【0036】実施例lと同様に、コンパウンドグリース
を塗布し、トルク値770kg・mの条件でメークアッ
プを行い、継手部に対して、メークアップ、ブレークア
ウ卜の繰り返しテストを行った。該テストを10回繰り
返し行った結果は、Znめっき層の表面が極く少量剥離
するのみで、シール部の焼付き、ムシレの発生が極めて
少なく、耐ゴーリング性は非常に良好であった。
【0037】比較例2 供試鋼Cを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂後、20%H2 SO4 水溶液中で50℃,
60秒の酸洗処理を行い、実施例2と同一の条件で、め
っき厚さ12μのZnめっき層をカップリング1のねじ
部3とメタルシール部4に設け、比較例2とした。
【0038】実施例2と同一条件で評価試験を行った結
果、繰り返しテスト4回目にZnめっき層の剥離が生じ
るとともに、5回目のテストにおいて焼付きとムシレの
発生、即ちゴーリングが著しく発生した。
【0039】実施例3 供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂した後、(15%NaCN−20%KCN
−15%NaCNO−10%KCNO−20%Na2 C
O3 −10%K2 CO3 )系浴中で、550℃,20分
間の加熱窒化処理を施し、オイルバス中で冷却した。該
窒化処理材を溶剤脱脂、15%H2 SO4 水溶液中で室
温,10秒の酸洗処理を行った後、有機酸系Snめっき
浴(商品名;ロナスタン浴)を用いて、電流密度I0A
/dm2 で300秒間の電解処理(室温)により、カッ
プリング1のねじ部3とメタルシール部4にSnめっき
層を設け、窒化処理層15μとSnめっき層15μの二
層皮膜が形成された評価材を作成した。,実施例1と同
様に、コンパウンドグリースを塗布し、トルク値126
0kg・mの条件でメークアップを行い、継手部に対し
て、メークアップ、ブレークアウトの繰り返しテストを
行った。該テストを10回繰り返し行った結果は、Sn
めっき層の表面が少量剥離するのみで、シール部の焼付
き,ムシレの発生が極めて少なく、即ちゴーリングの発
生は極めて少なく良好であった。
【0040】比較例3 供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂後、15%H2 SO4 水溶液中で10秒間
の酸洗処理を行い、実施例3と同一の条件で、めっき厚
さ15μのSnめっき層をカップリング1のメタルシー
ル部4に設け、比較例3とした。
【0041】実施例3と同一条件で評価試験を行った結
果、繰り返しテスト2回目にSnめっき層の剥離が生じ
るとともに、3回目のテストにおいてゴーリング(焼付
きとムシレ)がシール部4に著しく発生した。
【0042】実施例4 供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカップリング
1を溶剤脱脂、ガラスビーズショット(粒子径#10
0,圧力5hgf/cm2 ,60秒)による前処理後、
(25%NaCN−10%KCN−25%NaCNO−
10%KCNOー20%Na2 CO3 −10%K2 CO
3 )系溶融塩浴中で、570℃,15分間の加熱窒化処
理を施し、オイルバス中で冷却した。該窒化処理材を水
系脱脂剤による脱脂、10%H2 SO4 水溶液中での酸
洗(室温−30秒)を行った後、改良ワット浴を用いた
下地Niめっき層と硫酸Cu系めっき浴によるCuめっ
きをカップリング1のねじ部3およびメタルシール部4
にそれぞれ施して、本発明の方法による評価材を作成し
た。なお、Niめっきは電流密度5A/dm2 で60秒
間,Cuめっきは電流密度5A/dm2 で975秒間、
それぞれ室温での電解処理を行った。
【0043】該処理により、窒化処理層10μとNi下
地めっき層1μ、Cuめっき層18μからなる評価材を
作成した。
【0044】実施例1と同様にコンパウンドグリースを
塗布し、トルク値1260kg・mの条件でメークアッ
プを行い、継手部に対して、メークアップ、ブレークア
ウトの繰り返しテストを行った。該テストを10回繰り
返し行った結果は、Cuめっき層の表面が少量剥離する
のみで、焼付き,ムシレの発生が極めて少なく、即ち、
ゴーリングの発生は認められなかった。
【0045】比較例4 同じく、供試鋼Bを用いて作成した内径7インチのカッ
プリング1を溶剤脱脂後、10%H2 SO4 による室温
−30秒の酸洗後、実施例4と同一の条件で、下地Ni
めっき層1μとCuめっき層18μをカップリング1の
ねじ部3とメタルシール部4にそれぞれ設け、比較例4
とした。
【0046】実施例4と同一条件で評価試験を行った結
果、繰り返しテスト6回目にCuめっき層の剥離が生
じ、7回目に焼付けとムシレがシール部に著しく発生
し、耐ゴーリング性が劣化した。
【0047】この結果から、本発明の方法に基づく窒化
処理による下地層と各種表面層処理層を施した高Cr含
有鋼管継手部分は、そのメタル−メタルシール部の耐焼
付き性の向上とムシレの発生が起こりにくく、耐ゴーリ
ング性に著しく優れる。
【0048】
【発明の効果】本発明の高Cr含有合金鋼製の鋼管継手
部分に対する表面処理皮膜の形成方法によって、鋼表面
のCr酸化物を含有する不動態皮膜の除去と同時に該表
面に生成される窒化鉄層を主成分とする下地層の効果に
より、皮膜の密着性、皮膜強度に優れる均一な化成処理
皮膜あるいは金属めっき皮膜が容易に形成されるため、
鋼管継手部分における耐焼付き性を向上させ、またムシ
レの発生防止が可能となる。
【0049】即ち、本発明の処理法の適用により、耐ゴ
ーリング性に非常に優れた高Cr含有合金鋼製の鋼管継
手部分の製造が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永吉 治之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 坂本 俊治 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 樋口 征順 東京都中央区日本橋一丁目15番1号 日本 パーカライジング株式会社内 (72)発明者 井上 隆介 東京都中央区日本橋一丁目15番1号 日本 パーカライジング株式会社内 (72)発明者 中泉 恒男 東京都中央区日本橋一丁目15番1号 日本 パーカライジング株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr含有量が10%以上の高Cr含有合
    金鋼からなる油井管の継手構造であって、少なくともね
    じ部を含むメタル−シール部に窒化鉄の下地層を有し、
    同下地層の上に焼付き防止皮膜を形成してなる油井管継
    手。
  2. 【請求項2】 Cr含有量が10%以上の高Cr含有量
    の合金鋼からなる油井管の継手部分を、窒化処理溶融浴
    中に浸漬したのち、焼付き防止のための表面処理を行う
    油井管継手とその表面処理法。
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