JPH0637391B2 - 抗エイズウイルス剤 - Google Patents

抗エイズウイルス剤

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JPH0637391B2
JPH0637391B2 JP1254315A JP25431589A JPH0637391B2 JP H0637391 B2 JPH0637391 B2 JP H0637391B2 JP 1254315 A JP1254315 A JP 1254315A JP 25431589 A JP25431589 A JP 25431589A JP H0637391 B2 JPH0637391 B2 JP H0637391B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、2-アミノ -6-クロロプリン -9-β−D-2′,
3′−ジデオキシリボフラノシドを含有する抗エイズウ
イルス剤(抗HIV剤)と、これを用いたエイズの治療
または予防薬に関するものである。
〔従来の技術〕
抗エイズウイルス剤(抗HIV剤)としては、アジドチ
ミジン(AZT),ジデオキシアデノシン(DDA),
ジデオキシイノシン(DDI)などのジデオキシヌクレ
オシド類および硫酸デキストラン,可溶性CD4,ホス
ホノホルメート,リバビリン,スラミンなどが、従来知
られている。
ジデオキシヌクレオシド類という化合物群に属するAZ
TやDDA,DDIなどの抗HIV性がわかってから、
種々の置換基で修飾した新しいジデオキシヌクレオシド
が合成され、新しい抗HIV剤として提案されている。
これ等の化合物のうち、例えば、分子内にハロゲン原子
を有するものとしては、6-クロロプリン -9-β-D2′,
3′−ジデオキシリボフラノシドと6-ヨードプリン -9-
β-D2′,3′−ジデオキシリボフラノシド(特開昭63-
267796 )を挙げることができる。また、2-フルオロ-
2′,3′−ジデオキシアデノシン、2-ブロモ -2′,3′
−ジデオキシアデノシンが知られている(J.Biol.Chem.,
263,5870(1988))。さらに2-クロロ-2′,3′−ジデオキ
シアデノシン(J.Biol.Chem.,263,5870(1988):J.Med.Che
m.,32,1135(1989))や、2-クロロ-2′,3′−ジデヒドロ
-2′,3′−ジデオキシアデノシン(J.Med.Chem.,32,113
5(1989))も知られている。
そのほか、9-(2-フルオロ-2,3-ジデオキシ−β-D-スレ
オ−ペントフラノシル)−アデニンなどの化合物も知ら
れている(J.Med.Chem.,32,2131(1987))。
しかし、以上の化合物のうち、現在エイズ治療薬として
認可されているのは、唯一AZTのみである。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した、公知の抗エイズウイルス剤(抗HIV剤)
は、エイズウイルス(HIV)に対する活性や、細胞に
対する毒性、及び、生体への吸収性などの点で問題のあ
るものが大部分である。また、唯一の認可薬であるAZ
Tにも骨髄毒性などの副作用があることがわかってお
り、現在、より優れた抗エイズウイルス剤(抗HIV
剤)が、非常に待望されている。
本発明は、これらの問題点を解決した、抗エイズウイル
ス剤(抗HIV剤)を提供することを目的とするもので
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、2-アミノ -6-クロロプリン -9-β -D-2′,
3′−ジデオキシリボフラノシドが、高い抗エイズウイ
ルス活性を有し、かつ、細胞に対しての高い吸収性を持
つことを見出したことに基づいている。
本発明は、構造式[I] で示される。2′,3′−ジデオキシプリンヌクレオシド
すなわち、2-アミノ -6-クロロプリン-9-β-D-2′,3′
−ジデオキシリボフラノシドを有効成分として含有する
ことを特徴とする、抗エイズウイルス剤と、この抗エイ
ズウイルス剤(すなわち、2-アミノ -6-クロロプリン-9
-β-D-2′,3′−ジデオキシリボフラノシドを含む抗エ
イズウイルス剤)を用いた、後天性免疫不全症候群(エ
イズ)およびHIV感染によって発病する痴呆症の治療
または予防薬に関するものである。
本発明に係る、2-アミノ -6-クロロプリン-9-β-D-
2′,3′−ジデオキシリボフラノシドは以下のようにし
て合成することができる。
すなわち、2′,3′-ジデオキシウリジンと2-アミノ -6
-クロロプリンとを原料として、これらを微生物の作用
により塩基交換反応させることにより、容易に、かつ収
率良く、対応する2-アミノ -6-クロロプリン-9-β-D-
2′,3′−ジデオキシリボフラノシドを得ることができ
る(特願平1-46183)。
また2′,3′-ジデオキシウリジンと2-アミノ -6-クロ
ロプリンとを原料として、これらを固定化微生物を用い
て塩基交換反応を行い、収率良く、かつ簡便に、対応す
る2-アミノ -6-クロロプリン -9-β-D-2′,3′−ジデ
オキシリボフラノシドを連続的に合成することができる
(特願平1-181885)。
なお、塩基部分にハロゲン原子を有する2′,3′ - ジ
デオキシプリンヌクレシオドは、いくつかの化合物が既
に知られている。
例えば、特開昭63-267796 には、a)6-クロロプリン-9-
β-D-2′,3′−ジデオキシリボフラノシドと、b)6-ヨ
ードプリン-9-β-D-2′,3′−ジデオキシリボフラノシ
ドの2種の化合物の合成法などについて開示されてい
る。ただし、この報告(特開昭63-267796)において
は、これらの化合物a,bの抗HIV試験のデータ等は
記載が無く、この報告から直ちに化合物a,bが抗HI
V剤として有用であるかどうかを推測することは難し
い。さらに同様に、化合物a,b以外の、6位がハロゲ
ン化された2′,3′-ジデオキシプリンヌクレオシド類
の抗HIV性について、この報告(特開昭63-267796)
から推測することは、全く不可能である。
また、J.Biol.Chem.,263,5870(1988)には、 c) 2-フルオロ-2′,3ジデオキシアデノシン, d) 2-クロロ-2′,3ジデオキシアデノシン, e) 2-ブロモ-2′,3ジデオキシアデノシンの3種の化
合物について、その抗HIV効果についての記載があ
る。ただし、この報告によると、c,d,eの化合物は
いずれも1〜10μMの濃度でHIV阻止効果を示すもの
の、細胞毒性も1〜10μMの濃度範囲より表れており、
治療係数(=細胞毒性を示す濃度/HIV阻止濃度)の
点から見ると、これらの化合物(c,d,e)を実際に
抗HIV剤として使用するのは難しい。
また、J.Med.Chem.,32,1135(1989)には、 d) 2-クロロ-2′,3′−ジデオキシアデノシンと f) 2-クロロ-2′,3′−ジデヒドロ-2′,3′−ジデオ
キシアデノシンの2種の化合物について、その抗HIV
効果が述べられている。この報告によると、化合物dは
2μMの濃度では全く効果がなく、 100μMの濃度でや
っと97%の逆転写酵素の産生を阻止できる。しかし、 1
00μMの濃度においては、化合物dは23%もの細胞毒性
を示している。化合物fは20μMの濃度で逆転写酵素の
産生を75%阻止できるが、20μM以上では試験ができな
いほど毒性が強い。したがって、化合物d,fは抗HI
V剤としての現実面での使用は無理がある。
このように、従来の報告からは、塩基部分にハロゲン原
子を有する2′,3′-ジデオキシプリンヌクレオシドの
うち、HIVに対する効果と細胞に対する毒性の両方を
満足すべき化合物は、未だみつかっていない。
以上述べてきたように、本発明は、2-アミノ-6-クロロ
プリン-9-β-D-2′,3′−ジデオキシリボフラノシドが
抗エイズウイルス剤(抗HIV剤)として、極めて有効
な作用を有することを初めて見出したものである。
すなわち、本発明は、2-アミノ-6-クロロプリン-9-β-D
-2′,3′−ジデオキシリボフラノシドが、その構造的
な特性から、高い抗エイズウイルス作用(抗HIV作
用)と低い細胞毒性を併せ持つことを見出したものであ
る。さらに本発明は、プリン塩基の6位に導入した塩素
原子の効果により、抗エイズウイルス剤(抗HIV剤)
たる2-アミノ-6- クロロプリン-9-β-D-2′,3′−ジデ
オキシリボフラノシドが、高い親脂性(lipophilicit
y)を有し、このため生体内においては優れた細胞への
浸透性を有することを見出したものである。
〔作 用〕
本発明の、2-アミノ-6- クロロプリン-9- β-D- 2′,
3′−ジデオキシリボフラノシドの抗HIV作用につい
て説明する。
従来、抗エイズウイルス剤として開発されてきたものと
しては、前述したように種々の化合物が挙げられるが、
いずれも薬効,毒性の点で一長一短が有り、実用面での
使用に当たっては問題が多く存在する。唯一、アジドチ
ミジン(AZT)のみが、現在、抗エイズウイルス薬及
びエイズ治療薬として、認可されているものである。
AZTは、その構造から、2′,3′−ジデオキシプリン
ヌクレオシド類という化合物群に属し、3′位に水酸基
を持たないため、DNAチェーン・ターミネーターとし
て働き、直接エイズウイルスのDNA合成を中止させ
る。また、AZTは、エイズウイルスの逆転写酵素の非
常に良い基質であるため、逆転写酵素がエイズウイルス
RNAからDNAを合成する際に拮抗して働き、逆転写
酵素を阻害する。
AZTは、以上のように、エイズウイルスの増殖の鍵と
もいうべき逆転写酵素に対し、直接働く化合物であるた
め、高い抗HIV性を有し有用な薬であるが、反面、生
体内では骨髄毒性が出るなどの副作用も指摘されてきて
いる。
AZTがこのような副作用を有することが判明してか
ら、より副作用が少なく、かつ、より抗HIV性の高い
化合物が探索され、開発されつつある。
AZTに代わる、次期エイズ治療薬として、現在開発中
の薬としては、例えば、DDC(2′,3′−ジデオキシ
シチジン),DDA(2′,3′−ジデオキシアデノシ
ン)、DDI(2′,3′−ジデオキシイノシン)等であ
る。これ等は全て、AZTとよく似た構造を有し、
2′,3−ジデオキシプリンヌクレオシド類という化合物
群に属する。
DDC,DDA,DDI等は、いずれもインビトロ(in
vitro)においてはAZTより高い抗HIV効果を有
し、現在積極的に臨床試験が行われている。そこで、こ
れらの化合物は、AZTに次ぐ認可薬として、期待も大
きい。
ただし、これらの化合物にも最近になって、末梢神経障
害や骨髄毒性などの副作用が指摘されはじめている。そ
こで、現在より良い抗HIV剤の開発が待たれている。
さて、エイズウイルス(HIV)にら患した人々の症状
の重要なものの一つとして、脳の障害がある。
すなわち、エイズウイルスがHIV感染者の脳にまで達
し、脳細胞を感染破壊するために、ある種の痴呆になる
現象である。
HIV感染によるこの症状を緩和・治療するためには、
血液−脳関門を抗HIV剤がより効率良く通過する必要
がある。
薬剤の血液−脳関門の通過性は、その薬剤自体の親脂性
(lipophilicity)と深く関わっている。
前述のDDC,DDA,DDIなどは、この親脂性の点
から見ると、AZTよりむしろ低い(親脂性が良くな
い)。
より効果の高い抗HIV剤を開発してゆく上で、高い抗
HIV性や低い細胞毒性と共に、今後は親脂性に代表さ
れる細胞への親和性も考慮に入れてゆかねばならないの
は、当然のこととなろう。
以上の理由に鑑み、本発明者らは、高い抗HIV活性を
有し、かつ、低い細胞毒性を維持しながら、いかにして
親脂性をより上昇させることができるかを、詳細にわた
って検討した結果、本発明に係る、2-アミノ-6-クロロ
プリン-9-β-D-2′,3′−ジデオキシリボフラノシド
が、この目的に合致することを見出した。
すなわち、本発明の、2-アミノ-6- クロロプリン-9- β
-D-2′,3′−ジデオキシリボフラノシドは、3′の位置
に水酸基を持たないため、DNAチェーン・ターミネー
ターとして働き、エイズウイルス(HIV)の逆転写酵
素を阻害する。また、分子内にハロゲンを存在させるこ
とで、分子内にハロゲン原子である塩素原子を持たない
2′,3′−ジデオキシプリンヌクレオシド類に比較し
て、親脂性を上昇させることに成功した。結果として、
血液−脳関門の通過性が良くなることは容易に類推され
る。さらに、塩素原子をプリン塩基の6位に位置させる
ことで、高い抗ウイルス活性と、低い細胞毒性を両立さ
せることに、成功したものである。
〔実施例〕
以下に実施例に従い、本発明をさらに詳細な説明する。
製造例1 酵母エキス50g/,ペプトン10g/,NaCl5
g/を含みpH 7.0に調節した液体培地の10をファ
ーメンター・ジャーに入れ殺菌した。
この培地に E.coli JA-300(Gene 10,157(1980))を 10
0mg接種し37℃にて16時間振盪培養した。
得られた培養液より菌体を遠心分離して集め生理食塩水
にて洗浄後、KHPOとNaHPOにより調節
した0.05M燐酸緩衝液(pH 7.5)に懸濁した(100mg湿
量/ml)。
上記の菌体懸濁液を50℃まで加温した後、その70mlを
2′,3′−ジデオキシウリジン 7.0mmol,2-アミノ -6-
クロロプリン 7.0mmolを含みKHPOとNaHP
によりpH 7.5に調節した0.05Mの燐酸緩衝液より
なるあらかじめ50℃に加温した反応液70mlに加えた。
これを50℃に振盪しながら4時間保ち、次いで 100℃に
て3分間加熱した。
反応終了後、遠心分離により菌体を沈殿させて残りの上
澄み液を傾斜法によりビーカーに移した(上澄液1) 沈殿している菌体にpH 7.5の燐酸緩衝液(0.05M)を
70ml加え、しばらく撹拌した後遠心分離操作を行い、こ
の上澄み液を傾斜法によりビーカーに移した。これを2
回繰返した(上澄液2,3)。
上記の上澄み液1,2,3を順に吸着樹脂(三菱化成
製,HP-20)をつめたカラム(4×20cm)に通液した。
試料を適用後、このカラムを1の蒸留水により洗浄し
生成物をメタノールで溶離した。
溶媒を除去した後、メタノール10%を含有するクロロホ
ルムに再溶解してシリカゲルを充填したカラム(4×20
cm)によりクロマトグラフィーを行った。移動層はメタ
ノール10%を含有するクロロホルムで行った。
生成物を含むフラクションを合せて濃縮し、得られた固
形分をメタノールより再結晶した。結晶を乾燥後、2-ア
ミノ -6-クロロプリン -9-β -D-2′,3′−ジデオキシ
リボフラノシド(1.057g,3.92mmol)を得た(収率56
%)。融点138℃ 試験方法 A−1.抗ウイルス試験(1) 本発明で合成した2-アミノ-6-クロロプリン-9- β-D-
2′,3′−ジデオキシリボフラノシド(以下6−Cl
DDGと略記)の抗HIV効果は、ATH8細胞(OK
T4+T細胞クローン:Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,8
3,1911(1986))を用いて、満屋らの方法(Biochemical P
hama-cology,36,2179(1987))に準じて行った。
すなわち、2×105個のATH8細胞を、あらかじめポ
リブレン(シグマ社製)にて前処理した後、エイズウイ
ルス(HIV)に45分間さらして感染させた(ATH8
細胞1個あたり、HIVが2000個になるようにした)。
続いて、インターロイキン2(IL−2)を含み、か
つ、抗HIV剤を種々の濃度で加えたそれぞれの培地1
mlごとに、および、1L−2のみで抗HIV剤を全く含
まない培地1mlに、HIV感染細胞をそれぞれ再懸濁し
た。
これらを、5%の二酸化炭素と95%の空気よりなる混合
気体中で、37℃培養した。
対照とする細胞は、エイズウイルス(HIV)に感染さ
せる以外は、同様にして調製した。
5日後、全細胞数を、トルファンブルー染色による血球
計測計(ヘモチトメーター)法によって数えた。
A−2.抗ウイルス試験(2) 6-Cl DDGの抗HIV効果をH9細胞系を用いて、
満屋らの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,83,1911(198
6))に準じて行った。すなわち、抗HIV剤を種々の濃
度で加えたHIV感染H9細胞を、それぞれ8日間およ
び9日間培養して、p24 gag蛋白が発現した細胞の割合
(%)を見た。測定はモノクロナール抗体(M261)法
によって行なった。
B.親脂性試験 HIVはT4細胞に感染するのみならず、中枢神経系の
細胞にも感染して、痴呆に至らせる。多くの薬剤は血球
脳関門を通過できないが、AZTは比較的通過しやす
く、AIDS痴呆の改善にもある程度効果の有ることが
知られている。
一般に、親脂性(lipophilicity)の大きい物質は比較
的容易に脳に取込まれ、その後髄液に出てくることが認
められている(J.Pharm.Pharmacol., 9,345,(1957))。
従って、親脂性の大きさを測定することにより、血液脳
関門の通過しやすさを推定することができる(V intern
ational Conference on AIDS Abstracts559 (1989))。
脂溶性の大きさを測定する方法としては、水-n-オクタ
ノールでの分配係数(P)を求めるのが、一般的であ
る。そこで本発明に係る、2-アミノ-6-クロロプリン-9-
β-D-2′,3′−ジデオキシリボフラノシドの親脂性試
験は、Shake-flask法(J.Pham.Pharmacol.,39,253(198
7))によって分配計数Pを用いる方法によって行った。
すなわち、n-オクタノールとリン酸緩衝液(pH 7.4)
を分液ロートに移し、3時間シェーカーで振盪した後、
12時間静置してそれぞれ分けた。この様にして得られた
n-オクタノール飽和の緩衝液50mlに試料1mg(減圧乾燥
機にて、50℃にて12時間乾燥したもの)を溶解し、この
うちの、 0.5mlを定量用試料として採取した。残りのn-
オクタノール飽和の緩衝液49.5mlと緩衝液飽和のn-オク
タノール 49.5mlと分液ロート300mlに移して、シェーカ
ーで3時間振盪した後、2時間静置して、遠心分離(15
00rpm,15分間)を行った。n-オクタノール層を静かに取
除いた後、定量用試料を採取した。定量はHPLCによ
って行った(表1 参照)。
実施例1 A−1.抗ウイルス試験(1) 2-アミノ -6-クロロプリン-2′,3′−ジデオキシリボ
フラノシド(以下6-Cl−DDGと略記)の抗HIV試
験の結果を第1図に示した。この化合物(6-Cl−DD
G)は、2μMの濃度でHIV阻害効果を示し、5μM
の濃度ではHIVを完全に阻害した。
比較のため、既存化合物であるDDG(2-アミノ -6-ク
ロロプリン-2′,3′−ジデオキシリボフラノシド)を
用いて行った、抗HIV試験の結果を第2図に示した。
DDGによるHIV完全阻止濃度は、10μの濃度であ
る。
以上の結果より、本発明に係る6-Cl−DDGは、従来
効果の認められているDDGと比較して同等あるいはそ
れ以上の抗HIV効果があることがわかる。
なお、6-Cl−DDGの抗HIV試験においては、6-C
l−DDGを溶解させるために50μM以上の濃度ではD
MSO(ジメチルスルホキシド)を添加している。6-C
l−DDGが50μM,200μM,500μM,1000μMのと
きに、DMSOをそれぞれ0.25%,1%,2.5%,5%
だけ試験系内に加えた。
したがって、6-Cl−DDGの抗HIV試験において、
200μM以上で細胞毒性が出ているように見えるのは、
DMSOの影響によるものである(Biochemical Pharma
cology,36,2719(1987))。
さらに、比較例として、既存化合物である2-クロロ-
2′,3′−ジデオキシアデノシン(以下2-Cl−DDA
と略記)の抗HIV試験の結果を第3図に示した。
この化合物(2-Cl−DDA)の抗HIV効果は、0〜
100μMの濃度範囲において、全く抗ウイルス効果が見
られなかった。また、細胞毒性は、5μMの濃度により
観察された。
A−2.抗ウイルス試験(2) 6-Cl−DDGの抗HIV試験の結果を第4図に示す。
6-Cl−DDGは、3μMの濃度でp24抗原の発現抑制
効果を示し、10μMでほぼ完全にp24の発現を抑えてい
る。
比較のため、同一条件で測定したDDGの結果を第5図
に示す。
6-Cl−DDGがDDGと同等またはそれ以上の抗HI
V効果を有することが、この結果からもわかる。
B.親脂性試験 先に述べたように脂溶性の大きさは、分配計数Pを求め
るのが一般的である。
分配計数Pは、次のように定義される。
P=(Co−Cw)/Cw Co:振盪前の緩衝液中の試料の濃度 Cw:振盪後の緩衝液中の試料の濃度 2-アミノ -6-クロロプリン -2′,3′−ジデオキシリボ
フラノシド(以下、6-Cl−DDGと略記)のlogPの
結果を表2に示す。比較のため、AZT(アジドチミジ
ン),DDI(ジデオキシイノシン),DDG(ジデオ
キシグアニン)のlogPの結果も併記した。
この結果から、AZTはDDIやDDGに比較してより
脂溶性が高く、さらに本発明に係わる6-Cl−DDGは
AZTよりさらに脂溶性が高いことがわかる。
そして、logPが−1.5から+0.7の間にある場合には、l
ogPの値が大きくなるに従い、血液脳関門を通過する割
合(脳脊髄液/血漿)も大きくなるという仮説的な関係
が知られている(V International Conference on AIDS
Abstracts 559(1989))。
そこで、この仮説に例えば、本発明に係る6-Cl−DD
Gは従来知られているAZT,DDI,DDGなどより
も、優れた血液脳関門通過性を持つため、中枢神経系の
細胞に侵入したHIVに対しより有効に働きかけ、阻害
できると考えられる。このため6-Cl−DDGはAID
Sに起因する痴呆症などに特に有効であると考えられ
る。
〔発明の効果〕 本発明は、従来に例のない、高い抗HIV性,低い細胞
毒性,良い親脂性(脂溶性)の3点を兼備えた、全く新
しい抗HIV剤であり、AIDSやAIDS関連疾患の
予防および治療に対して有用な発明である。また、特に
HIV感染によって起こる中枢神経障害や痴呆症などの
予防・治療にも、極めて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明化合物(6-Cl−DDG)の抗HIV試
験の結果を示す図表である。 図面中、ソリッドカラムはHIVに感染している細胞。
オープンカラムはHIVに未感染の細胞(Control)。 縦軸は観測された細胞数[×105]。横軸は抗HIV剤
(6-Cl−DDG)の濃度[μM]。 6-Cl−DDGの濃度が50μM以上の場合、溶解性を良
くするためにDMSO(ジメチルスルホキシド)を添
加。例えば、6-Cl−DDG200 μMのときは、DMS
Oを1%の濃度で添加した。 第2図は比較化合物(DDG)の抗HIV試験の結果を
示す図表である。 図面中、ソリッドカラムはHIVに感染している細胞。
オープンカラムはHIVに未感染の細胞(Control)。 縦軸は観測された細胞数[×105]。横軸は抗HIV剤
(DDG)の濃度[μM]。 第3図は比較化合物(2-クロロ-2′,3′−ジデオキシ
アデノシン:以下2-Cl−DDAと略記)の抗HIV試
験の結果を示す図表である。 図面中、ソリッドカラムはHIVに感染している細胞。
オープンカラムはHIVに未感染の細胞(Control)。 縦軸は観測された細胞数[×105]。横軸は比較化合物
(2-Cl−DDA)の濃度[μM]。 第4図は、6-Cl−DDAの抗HIV試験の結果を示す
図表である。左側が8日目、右側が9日目の結果。 縦軸は、HIVの p24抗原を発現したH9細胞の割合
(%)。横軸は、6-Cl−DDGの濃度[μM]。 第5図はDDGの抗HIV試験の結果を示す図表であ
る。左側が8日目、右側が9日目の結果。 縦軸はHIVの p24抗原を発現したH9細胞の割合
(%)。横軸はDDGの濃度[μM]。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白坂 琢磨 アメリカ合衆国,メリーランド20852,ロ ックビル,井302,ロックビル パイク 204 (72)発明者 サムエル ブローダー アメリカ合衆国,メリーランド20814,ベ セスダ,ロスモア ドライブ 6004

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造式[I] で示される、2′,3′-ジデオキシプリンヌクレオシド
    類を有効成分として含有することを特徴とする、抗エイ
    ズウイルス剤。
  2. 【請求項2】2-アミノ -6-クロロプリン -9-β -D-
    2′,3′−ジデオキシリボフラノシドを有効成分として
    含有することを特徴とする、後天性免疫不全症候群(エ
    イズ)の治療薬及び予防薬。
  3. 【請求項3】2-アミノ -6-クロロプリン -9-β -D-
    2′,3′−ジデオキシリボフラノシドを有効成分として
    含有することを特徴とする、エイズウイルス感染性痴呆
    症の予防薬および治療薬。
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