JPH0639649B2 - 靭性の優れた高耐食性Ni基合金 - Google Patents
靭性の優れた高耐食性Ni基合金Info
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- JPH0639649B2 JPH0639649B2 JP61001201A JP120186A JPH0639649B2 JP H0639649 B2 JPH0639649 B2 JP H0639649B2 JP 61001201 A JP61001201 A JP 61001201A JP 120186 A JP120186 A JP 120186A JP H0639649 B2 JPH0639649 B2 JP H0639649B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、腐食環境下、特に従来から注目されていた
所謂サワーガス環境(H2S−CO2−Cl-環境)より
も更に腐食性が苛酷な、イオウ(S)がFeSやNiS等の硫
化物としてではなく単体として混入するサワーガス環境
下においても良好な耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性
を有する、靭性に優れた油井管用高強度Ni基合金に関す
るものである。
所謂サワーガス環境(H2S−CO2−Cl-環境)より
も更に腐食性が苛酷な、イオウ(S)がFeSやNiS等の硫
化物としてではなく単体として混入するサワーガス環境
下においても良好な耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ性
を有する、靭性に優れた油井管用高強度Ni基合金に関す
るものである。
近年のエネルギー事情は、油井の深井戸化やサワーガス
環境下での掘井が余儀なくされるところまできており、
高価ではあるが、上記苛酷な環境に十分耐えられるよう
な油井管用高強度・高耐性Ni基合金が開発され、適用
されるようになつてきた(例えば、特開昭54−107
828号公報や特開昭54−127831号公報参
照)。
環境下での掘井が余儀なくされるところまできており、
高価ではあるが、上記苛酷な環境に十分耐えられるよう
な油井管用高強度・高耐性Ni基合金が開発され、適用
されるようになつてきた(例えば、特開昭54−107
828号公報や特開昭54−127831号公報参
照)。
ところが、最近の油井情報によれば、腐食性が苛酷であ
るとされてきた上記サワーガス環境とは別に、該サワー
ガス環境に更にイオウ(S)が単体として混入している
環境が見出され、このような環境においては、これまで
に提案された如き耐サワーガス用Ni基合金をもつてし
ても耐食性の点で十分に満足できるものでないことが明
らかとなつた。
るとされてきた上記サワーガス環境とは別に、該サワー
ガス環境に更にイオウ(S)が単体として混入している
環境が見出され、このような環境においては、これまで
に提案された如き耐サワーガス用Ni基合金をもつてし
ても耐食性の点で十分に満足できるものでないことが明
らかとなつた。
この点について更に詳述すると、先にも説明した如く、
近年の新しい油井やガス井では油や天然ガスのほか、水
や塩類(Cl-,Br-等)と一緒にH2SやCO2等の腐
食性ガスの混在した環境が多くなる傾向にあつたが、地
上にて実施されるこれら環境成分の分析結果によると、
最近、上記腐食性ガスや、水、塩類等にまじつてイオウ
(S)が単体(FeSやNiS等の硫化物形態をとつて
いない)で認められるような新たな環境に属する油井の
存在も確認されるようになつたものである。このような
環境に存在するイオウ(S)は、地中深くにおいて H2SxH2S+Sx-1 なる式で示される如く、ポリサルフアイド(H2Sx)になる
とも、S単体のまま存在するとも言われているが、温度
や圧力(特にH2S分圧)の状態によつては、 4S+4H2O3H2S+H2SO4 なる式の如くにS或いはH2SO4等の形態となつている
ことも否定できない。
近年の新しい油井やガス井では油や天然ガスのほか、水
や塩類(Cl-,Br-等)と一緒にH2SやCO2等の腐
食性ガスの混在した環境が多くなる傾向にあつたが、地
上にて実施されるこれら環境成分の分析結果によると、
最近、上記腐食性ガスや、水、塩類等にまじつてイオウ
(S)が単体(FeSやNiS等の硫化物形態をとつて
いない)で認められるような新たな環境に属する油井の
存在も確認されるようになつたものである。このような
環境に存在するイオウ(S)は、地中深くにおいて H2SxH2S+Sx-1 なる式で示される如く、ポリサルフアイド(H2Sx)になる
とも、S単体のまま存在するとも言われているが、温度
や圧力(特にH2S分圧)の状態によつては、 4S+4H2O3H2S+H2SO4 なる式の如くにS或いはH2SO4等の形態となつている
ことも否定できない。
このうち、H2SxはH2Sガスのリザーバー(貯蔵役)
としてH2S濃度を増大させる働きがあり、一方、H2S
O4はpHを低下させる働きがある。
としてH2S濃度を増大させる働きがあり、一方、H2S
O4はpHを低下させる働きがある。
ところで、これらの現象を確認するため、本発明者等も
H2S−CO2−Cl-環境下とH2S−CO2−Cl-−S
環境下でのNi基合金(含オーステナイト系合金)に及
ぼす耐食性の差異に関する調査実験を行つたが、その結
果、イオウ(S)添加の有無によつてNi基合金の耐食
性に及ぼす影響が異なり、イオウ(S)の存在がNi基
合金の耐食性を著しく劣化すると言う事実の確認はなさ
れたが、イオウ(S)が共存した場合の腐食機構につい
ては明晰な解明がなされず、大別して H2Sx⇔H2Sのリザーバー説 式「H2S+Sx-1H2Sx」に従つてポリサルフアイド
(H2Sx)が高温環境で発生し、H2Sのリザーバーと
して働くので、H2Sxが材料に接すると高H2S環境と
同様の作用をする。
H2S−CO2−Cl-環境下とH2S−CO2−Cl-−S
環境下でのNi基合金(含オーステナイト系合金)に及
ぼす耐食性の差異に関する調査実験を行つたが、その結
果、イオウ(S)添加の有無によつてNi基合金の耐食
性に及ぼす影響が異なり、イオウ(S)の存在がNi基
合金の耐食性を著しく劣化すると言う事実の確認はなさ
れたが、イオウ(S)が共存した場合の腐食機構につい
ては明晰な解明がなされず、大別して H2Sx⇔H2Sのリザーバー説 式「H2S+Sx-1H2Sx」に従つてポリサルフアイド
(H2Sx)が高温環境で発生し、H2Sのリザーバーと
して働くので、H2Sxが材料に接すると高H2S環境と
同様の作用をする。
H2SO4による低pH化説 H2Sが存在しない単体Sのみの環境下でも、水があれ
ば「4S+4H2O3H2S+H2SO4」なる式に従つ
てH2Sが発生すると同時にH2SO4も生成され、これ
がpHを低下させる、 と言う2つの説のいずれかが有力であるとの推測の域を
脱することはできなかつた。
ば「4S+4H2O3H2S+H2SO4」なる式に従つ
てH2Sが発生すると同時にH2SO4も生成され、これ
がpHを低下させる、 と言う2つの説のいずれかが有力であるとの推測の域を
脱することはできなかつた。
本発明者等は、上述のような観点から、通常のサワーガ
ス環境(H2S−CO2−Cl-環境)のみならず、これ
にイオウ(S)が単体で混入している環境においても十
分に満足し得る耐食性を有した、靭性の良好な高強度合
金を提供すべく研究を続けた結果、以下に示される知見
を得るに至つたのである。即ち、 (a) サワーガス環境に更にイオウ(S)の単体が混入
する環境においては、間違いなく従来のサワーガス環境
におけるNi基合金の腐食機構と異なつた腐食形態が存
在し、単体Sは温度及び圧力(特にH2S分圧)に依存
して「Sx-1+H2SH2Sx」の反応に従い3態(S
x-1,H2S及びH2Sx)に変化することとなり、Sx-1
として遊離したイオウ(S)若しくH2Sxが存在する
と、これが油井管部材に局所的に付着し、その部分にお
いて著しい孔食が発生し、応力腐食割れを引き起すこ
と、 (b) 従来のサワーガス環境においては上記反応式に示
されるようなイオウ(S)の形態変化がほとんど認めら
れず、従つてSx-1或いはH2Sxによる特異な腐食形態
は生じないが、イオウ(S)の単体が混入するサワーガ
ス環境で上記のような特異な腐食形態が起きる理由は、
このような環境中においては「4S+4H2O3H2S
+H2SO4」なる反応もなされて、HSSが発生すると
同時にH2SO4も生じることとなり、該環境のpHを低
下させるためと考えられること、 (c) このような特異な腐食形態を呈する環境において
油井管用材料に十分な腐食性を発揮させるためには、従
来の耐サワーガス用Ni基合金において形成される耐食
性皮膜よりも更に強硬で、かつ修復性の良好な保護皮膜
を形成させることが不可欠であり、一方では、合金部材
の耐破壊特性(靭性等)を向上させて孔食の進展を阻止
し、応力腐食割れを未然に防ぐ手立てを講じる必要があ
ること、 (d) サワーガス環境における従来のNi基油井管用材
料の保護皮膜強度やその修復能は、概ねCr,Mo,W
の含有量に比例して向上するが、単体Sを含む環境で
は、これらに加えてCuの役割が極めて重要であり、
0.30%(以下、成分割合を示す%は重量%とする)
以上のCuを含有させた上で、環境温度が250℃以下
の場合には Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 を確保し、また環境温度がより高い300℃以下の場合
には Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧180 を確保しなければ、十分に強硬でしかも修復性の良好な
保護皮膜が形成されないこと、 (e) 更に、前記(c)項でも述べたように、特異な腐食形
態を緩和し合金部材の耐食性を向上させるには保護皮膜
強化策のみでは不十分であり、孔食の進展を阻止する内
質的改善が不可欠であるが、このためには前記(d)項で
示した成分調整に加えてNbの添加をも実施し、これら
によつてMo−W−Cr−C系炭化物の析出及びそのク
ラスター化を抑制することが極めて有効である。
ス環境(H2S−CO2−Cl-環境)のみならず、これ
にイオウ(S)が単体で混入している環境においても十
分に満足し得る耐食性を有した、靭性の良好な高強度合
金を提供すべく研究を続けた結果、以下に示される知見
を得るに至つたのである。即ち、 (a) サワーガス環境に更にイオウ(S)の単体が混入
する環境においては、間違いなく従来のサワーガス環境
におけるNi基合金の腐食機構と異なつた腐食形態が存
在し、単体Sは温度及び圧力(特にH2S分圧)に依存
して「Sx-1+H2SH2Sx」の反応に従い3態(S
x-1,H2S及びH2Sx)に変化することとなり、Sx-1
として遊離したイオウ(S)若しくH2Sxが存在する
と、これが油井管部材に局所的に付着し、その部分にお
いて著しい孔食が発生し、応力腐食割れを引き起すこ
と、 (b) 従来のサワーガス環境においては上記反応式に示
されるようなイオウ(S)の形態変化がほとんど認めら
れず、従つてSx-1或いはH2Sxによる特異な腐食形態
は生じないが、イオウ(S)の単体が混入するサワーガ
ス環境で上記のような特異な腐食形態が起きる理由は、
このような環境中においては「4S+4H2O3H2S
+H2SO4」なる反応もなされて、HSSが発生すると
同時にH2SO4も生じることとなり、該環境のpHを低
下させるためと考えられること、 (c) このような特異な腐食形態を呈する環境において
油井管用材料に十分な腐食性を発揮させるためには、従
来の耐サワーガス用Ni基合金において形成される耐食
性皮膜よりも更に強硬で、かつ修復性の良好な保護皮膜
を形成させることが不可欠であり、一方では、合金部材
の耐破壊特性(靭性等)を向上させて孔食の進展を阻止
し、応力腐食割れを未然に防ぐ手立てを講じる必要があ
ること、 (d) サワーガス環境における従来のNi基油井管用材
料の保護皮膜強度やその修復能は、概ねCr,Mo,W
の含有量に比例して向上するが、単体Sを含む環境で
は、これらに加えてCuの役割が極めて重要であり、
0.30%(以下、成分割合を示す%は重量%とする)
以上のCuを含有させた上で、環境温度が250℃以下
の場合には Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 を確保し、また環境温度がより高い300℃以下の場合
には Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧180 を確保しなければ、十分に強硬でしかも修復性の良好な
保護皮膜が形成されないこと、 (e) 更に、前記(c)項でも述べたように、特異な腐食形
態を緩和し合金部材の耐食性を向上させるには保護皮膜
強化策のみでは不十分であり、孔食の進展を阻止する内
質的改善が不可欠であるが、このためには前記(d)項で
示した成分調整に加えてNbの添加をも実施し、これら
によつてMo−W−Cr−C系炭化物の析出及びそのク
ラスター化を抑制することが極めて有効である。
しかしながら、これらの方策に加えて、通常脱酸剤とし
て添加される元素であるSiの含有量を極力(多くとも
0.050%まで)低減し、かつMn含有量を特定範囲
に調整すると、合金の凝固時におけるミクロ偏析や金属
間化合物の析出が激減する上、炭・窒化物等の粒界部へ
の2次析出も抑制されて粒界強度が高まり、この結果、
合金の靭性、加工性並びに耐食性がより一層向上するこ
と。
て添加される元素であるSiの含有量を極力(多くとも
0.050%まで)低減し、かつMn含有量を特定範囲
に調整すると、合金の凝固時におけるミクロ偏析や金属
間化合物の析出が激減する上、炭・窒化物等の粒界部へ
の2次析出も抑制されて粒界強度が高まり、この結果、
合金の靭性、加工性並びに耐食性がより一層向上するこ
と。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、 Ni基合金を、 C:0.10%以下,Si:0.050%以下, Mn:0.10〜1.00%,P:0.030%以下, S:0.0050%以下,Ni:45〜60%, Cr:15〜30%, Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%,Ti:0.050%以下, Nb:0.30〜3.0%,Al:1.0%以下, N:0.050%以下 を含有し、必要により、更に Co:5.0%以下、 V,Ta,Zr及びHfの1種以上:各々1.0%以
下, 希土類元素:0.10%以下, Mg:0.10%以下, Ca:0.10%以下, Y:0.20%以下 のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成することにより、優れ
た靭性と高強度とを備えしめるとともに、最近見出され
た油井やガス井における如き、イオウ(S)を単体とし
て含むところの250℃以下程度のサワーガス環境下に
おいても極めて優れた耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ
性を発揮せしめるようにした点 に特徴を有するものである。
下, 希土類元素:0.10%以下, Mg:0.10%以下, Ca:0.10%以下, Y:0.20%以下 のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成することにより、優れ
た靭性と高強度とを備えしめるとともに、最近見出され
た油井やガス井における如き、イオウ(S)を単体とし
て含むところの250℃以下程度のサワーガス環境下に
おいても極めて優れた耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ
性を発揮せしめるようにした点 に特徴を有するものである。
次いで、この発明において、Ni基合金の成分組成を前
述のように数値限定した理由を説明する。
述のように数値限定した理由を説明する。
ア) C 合金中のC含有量が0.10%を超えるとM6Cタイプ
の炭化物量(但し、MはMo,Ni,Cr,W等であ
る)が著しく増加し、合金の延性並びに靭性を劣化する
ことから、C含有量は0.10%以下と定めた。なお、
好ましくはC含有量を0.020%以下にまで低減する
ことが推奨されるが、特にその含有量を0.010%以
下に抑制すると延性、靭性並びに耐食性はより一層顕著
に改善される。
の炭化物量(但し、MはMo,Ni,Cr,W等であ
る)が著しく増加し、合金の延性並びに靭性を劣化する
ことから、C含有量は0.10%以下と定めた。なお、
好ましくはC含有量を0.020%以下にまで低減する
ことが推奨されるが、特にその含有量を0.010%以
下に抑制すると延性、靭性並びに耐食性はより一層顕著
に改善される。
イ) Si Siは、脱酸剤として有効な元素であるため、この種の
合金には普通に添加される成分であるが、Siの添加に
よつてミクロ偏析の増加や、σ,P,Laves相等の
延性・靭性に対して好ましくない金属間化合物(以下、
“TCP相”と略称する)が生成すやすくなる。その
上、Si含有量が多くなると合金凝固時のミクロ偏析が
助長され、前記M6C及びP相の形成が著しく促進され
る傾向がみられる。このような観点からは、Si含有量
は0.30%以下程度に制限すべきと考えられるが、こ
のSi含有量を特に0.050%以下にまで低減すると
ともに、Mnの適量添加実施すると、凝固時におけるミ
クロ偏析が飛躍的に改善され、しかも炭・窒化物等の粒
界部への2次析出を抑制して粒界強度を高める効果も加
わつて、合金の靭性、加工性、耐食性並びに冷間加工に
伴う機械的性質の不均一性が一層顕著に向上することと
なる。そして、これらの効果は、Si含有量が0.05
0%を超える領域では十分でないことから、Si含有量
は0.050%以下と定めた。
合金には普通に添加される成分であるが、Siの添加に
よつてミクロ偏析の増加や、σ,P,Laves相等の
延性・靭性に対して好ましくない金属間化合物(以下、
“TCP相”と略称する)が生成すやすくなる。その
上、Si含有量が多くなると合金凝固時のミクロ偏析が
助長され、前記M6C及びP相の形成が著しく促進され
る傾向がみられる。このような観点からは、Si含有量
は0.30%以下程度に制限すべきと考えられるが、こ
のSi含有量を特に0.050%以下にまで低減すると
ともに、Mnの適量添加実施すると、凝固時におけるミ
クロ偏析が飛躍的に改善され、しかも炭・窒化物等の粒
界部への2次析出を抑制して粒界強度を高める効果も加
わつて、合金の靭性、加工性、耐食性並びに冷間加工に
伴う機械的性質の不均一性が一層顕著に向上することと
なる。そして、これらの効果は、Si含有量が0.05
0%を超える領域では十分でないことから、Si含有量
は0.050%以下と定めた。
なお、第1図は、この発明で規定される成分内にてSi
量及びMn量のみ変化させた合金を調整し、冷間加工に
よつて強度(0.2%耐力)を85〜90kgf/mm2とほ
ぼ一定にしたものについて靭性(0℃における衝撃吸収
エネルギー値)を比較したものであるが、この第1図か
らも、Si含有量が0.050%以下でかつMn含有量
が0.10〜1.00%の領域になると優れた靭性を発
揮することがわかる。従つて、このようなNi基合金を
油井管用に適用した場合には、寒冷地における油井の一
時生産停止時の靭性保証が確実になされることも明らか
である。
量及びMn量のみ変化させた合金を調整し、冷間加工に
よつて強度(0.2%耐力)を85〜90kgf/mm2とほ
ぼ一定にしたものについて靭性(0℃における衝撃吸収
エネルギー値)を比較したものであるが、この第1図か
らも、Si含有量が0.050%以下でかつMn含有量
が0.10〜1.00%の領域になると優れた靭性を発
揮することがわかる。従つて、このようなNi基合金を
油井管用に適用した場合には、寒冷地における油井の一
時生産停止時の靭性保証が確実になされることも明らか
である。
また、第2図は、同様にSi量及びMn量を変化させた
Ni基合金を真空溶製した後高温引張試験片(6mmφ)
を採取し、ε=10-2sec-1の歪速度で試験を行つて高
温絞り率を求め、熱間加工性を比較したグラフである
が、この第2図からも、Si含有量が0.050%以下
でかつMn含有量が0.10〜1.00%の領域の合金
が良好な熱間加工性を示すことを確認できる。
Ni基合金を真空溶製した後高温引張試験片(6mmφ)
を採取し、ε=10-2sec-1の歪速度で試験を行つて高
温絞り率を求め、熱間加工性を比較したグラフである
が、この第2図からも、Si含有量が0.050%以下
でかつMn含有量が0.10〜1.00%の領域の合金
が良好な熱間加工性を示すことを確認できる。
更に、第3図は、同様にSi量及びMn量を変化させN
i基合金を35mm厚にまで熱間加工後、表面脱スケール
して31mm厚とし、その後冷間圧延を施して得られた2
5mm厚の板材について、その肉厚方向の硬度分布を比較
したものであり(なお、板材の“0.2%耐力”は約8
5〜90kgf/mm2程度であつた)、次に示す第1表は、
この板材のシヤルピー衝撃試験での吸収エネルギーの異
方性を比較したものである。
i基合金を35mm厚にまで熱間加工後、表面脱スケール
して31mm厚とし、その後冷間圧延を施して得られた2
5mm厚の板材について、その肉厚方向の硬度分布を比較
したものであり(なお、板材の“0.2%耐力”は約8
5〜90kgf/mm2程度であつた)、次に示す第1表は、
この板材のシヤルピー衝撃試験での吸収エネルギーの異
方性を比較したものである。
この第3図及び第1表からも、Si含有量が0.050
%以下でかつMn含有量が0.10〜1.00%の領域
のNi基合金では冷間加工に伴う不均一性の少ないこと
がわかり、厚肉大径材として使用しても、また極薄材と
して使用しても極めて優れた均一性を確保し得ることが
明らかである。
%以下でかつMn含有量が0.10〜1.00%の領域
のNi基合金では冷間加工に伴う不均一性の少ないこと
がわかり、厚肉大径材として使用しても、また極薄材と
して使用しても極めて優れた均一性を確保し得ることが
明らかである。
ウ) Mn Mnは、通常、脱硫剤として添加される成分であるが、
その含有量が0.10%を下回つても、また1.00%
を上回つても、極低Si化とともに相乗的に醸し出され
る前記効果を確保できないばかりか、Mn含有量が1.
00%を超えた場合にはTCP相の生成が促進される傾
向がみられることから、Mn含有量は0.10〜1.0
0%と定めた。
その含有量が0.10%を下回つても、また1.00%
を上回つても、極低Si化とともに相乗的に醸し出され
る前記効果を確保できないばかりか、Mn含有量が1.
00%を超えた場合にはTCP相の生成が促進される傾
向がみられることから、Mn含有量は0.10〜1.0
0%と定めた。
エ) P,及びS P及びSは不可避的に混入してくる不純物であり、合金
中に多量に存在すると粒界偏析により熱間加工性を低下
させ、また耐食性をも劣化させることから、P含有量は
0.030%以下、S含有量は0.0050%以下とそ
れぞれ定めた。
中に多量に存在すると粒界偏析により熱間加工性を低下
させ、また耐食性をも劣化させることから、P含有量は
0.030%以下、S含有量は0.0050%以下とそ
れぞれ定めた。
しかしながら、S含有量を特に0.0007%以下に抑
制すると合金の熱間加工性が飛躍的に向上し、またP含
有量を0.0030%に抑制することで合金の耐水素割
れ性が著しく改善されるので、好ましくはP及びSの含
有量をこのようなレベルにまで低減するのが良い。
制すると合金の熱間加工性が飛躍的に向上し、またP含
有量を0.0030%に抑制することで合金の耐水素割
れ性が著しく改善されるので、好ましくはP及びSの含
有量をこのようなレベルにまで低減するのが良い。
なお、第4図は、この発明で規定される成分内にてP量
のみ変化させた合金を調整し、30%程度の冷間加工に
よつて高強度としたものより、平行部が40mmφでGL
(ゲージレンクス)が30mmの試験片を採取し、これに
対して10気圧でH2Sを飽和させたところのH2S−5
%NaCl溶液(25℃)中にて5mA/cm2の陰極電
流を付加した状態で1×10-71/sec の定歪速度での
引張試験を行い、その耐水素割れ性を評価したものであ
る。
のみ変化させた合金を調整し、30%程度の冷間加工に
よつて高強度としたものより、平行部が40mmφでGL
(ゲージレンクス)が30mmの試験片を採取し、これに
対して10気圧でH2Sを飽和させたところのH2S−5
%NaCl溶液(25℃)中にて5mA/cm2の陰極電
流を付加した状態で1×10-71/sec の定歪速度での
引張試験を行い、その耐水素割れ性を評価したものであ
る。
また、第5図は、この発明で規定される成分内にてS量
のみ変化させた合金を調整し、1150℃にて高温延性
試験(試験片10mmφ、歪み速度:1sec-1)を行つて
熱間加工性に及ぼす影響を示したものである。
のみ変化させた合金を調整し、1150℃にて高温延性
試験(試験片10mmφ、歪み速度:1sec-1)を行つて
熱間加工性に及ぼす影響を示したものである。
この第4図及び第5図からも、P及びS含有量は、でき
れば極低域にまで低減するのが好ましいことが明らかで
ある。
れば極低域にまで低減するのが好ましいことが明らかで
ある。
オ) Ni この発明の合金は、Niマトリツクスに固溶強化及び加
工硬化能の良好な元素たるMo,Cr,W,Nb等を添
加して強化することを基本としているが、上記元素の多
量添加はオーステナイトの不安定化を招くため、オース
テナイト基地を安定化するに足るNi量である45%を
その含有量の下限と定めた。一方、Niはそれ自身加工
硬化能を向上させる元素であるが、60%を超えて含有
させると耐水素割れ性が劣化することから、Ni含有量
の上限を60%と定めた。
工硬化能の良好な元素たるMo,Cr,W,Nb等を添
加して強化することを基本としているが、上記元素の多
量添加はオーステナイトの不安定化を招くため、オース
テナイト基地を安定化するに足るNi量である45%を
その含有量の下限と定めた。一方、Niはそれ自身加工
硬化能を向上させる元素であるが、60%を超えて含有
させると耐水素割れ性が劣化することから、Ni含有量
の上限を60%と定めた。
カ) Cr Crは、Moと共に合金の耐食性及び強度を向上させる
成分であるが、この効果は15%以上の割合で含有させ
ることにより顕著する。一方、30%を超えてCrを含
有させると合金の熱間加工性が低下し、更にTCP相が
生成しやすくなることから、Cr含有量は15〜30%
と定めた。
成分であるが、この効果は15%以上の割合で含有させ
ることにより顕著する。一方、30%を超えてCrを含
有させると合金の熱間加工性が低下し、更にTCP相が
生成しやすくなることから、Cr含有量は15〜30%
と定めた。
キ) Mo,及びW これらの成分は、Crとの共存下で合金の強度と耐食
性、特に耐孔食性を著しく向上させる作用を有している
ので1種以上添加含有せしめられるものであるが、その
含有量が の値で12未満であると上記作用に所望の効果が得られ
ず、他方、Mo含有量が16%以上であつたり、W含有
量が5.0%を超えたり、或いは の値が16以上である場合には、Crの多量添加の場合
にみられるようなオーステナイト基地の不安定化を招
く。従つて、MoとWの添加においては、Moは16%
未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する値にその含有量を定めた。
性、特に耐孔食性を著しく向上させる作用を有している
ので1種以上添加含有せしめられるものであるが、その
含有量が の値で12未満であると上記作用に所望の効果が得られ
ず、他方、Mo含有量が16%以上であつたり、W含有
量が5.0%を超えたり、或いは の値が16以上である場合には、Crの多量添加の場合
にみられるようなオーステナイト基地の不安定化を招
く。従つて、MoとWの添加においては、Moは16%
未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する値にその含有量を定めた。
ク) Cu イオウ(S)が単体で認められるサワーガス環境下で
は、Cr,Mo,Wと共にCuは耐食性向上に極めて有
効な成分であるが、Cu含有量が0.30%未満では所
望の耐食性が得られず、一方、3.0%を超えてCuを
含有させてもその効果が飽和してしまうことから、Cu
含有量は0.30〜3.0%定めた。
は、Cr,Mo,Wと共にCuは耐食性向上に極めて有
効な成分であるが、Cu含有量が0.30%未満では所
望の耐食性が得られず、一方、3.0%を超えてCuを
含有させてもその効果が飽和してしまうことから、Cu
含有量は0.30〜3.0%定めた。
ケ) Ti Tiは、合金中の微量Cの安定化に有効であるが、その
含有量が2.0%を超えるとTCP相が生成し易くなる
ことから、Ti含有量は2.0%以下と定めた。なお、
必要TiはC含有量に応じて定まるものであり、特にそ
の下限値が定まるものではない。
含有量が2.0%を超えるとTCP相が生成し易くなる
ことから、Ti含有量は2.0%以下と定めた。なお、
必要TiはC含有量に応じて定まるものであり、特にそ
の下限値が定まるものではない。
コ) Nb Nbは、イオウ(S)が単体で認められるサワーガス環
境下での合金の耐食性能を著しく向上させる成分であ
り、その上Tiと同様にCの安定化作用を有し、また強
度上昇にも寄与するものであるが、その含有量が0.3
0%未満では上記作用に所望の効果が得られず、一方、
3.0%を超えて含有させるとTCP相が生成しやすく
なることから、Nb含有量は0.30〜3.0%と定め
た。
境下での合金の耐食性能を著しく向上させる成分であ
り、その上Tiと同様にCの安定化作用を有し、また強
度上昇にも寄与するものであるが、その含有量が0.3
0%未満では上記作用に所望の効果が得られず、一方、
3.0%を超えて含有させるとTCP相が生成しやすく
なることから、Nb含有量は0.30〜3.0%と定め
た。
なお、第6図は、この発明で規定される成分内にてNb
量のみを変化させ、耐応力腐食割れに及ぼすNbの効果
をみたものである。供試材は、強度(0.2%耐力)を
80〜85kgf/mm2にほぼ一定としたものを用い、4.
0mmφ、GL:30mmの試験片を作成した後、20%N
aCl−0.5%CH3COOH−1g/S−10atm
H2S−20atmCO2の溶液(250℃)中にて1×1
0-71/secの定歪速度引張試験を行つて伸びを測定
し、これを大気中での伸びと比較して耐応力腐食割れ性
を評価した。
量のみを変化させ、耐応力腐食割れに及ぼすNbの効果
をみたものである。供試材は、強度(0.2%耐力)を
80〜85kgf/mm2にほぼ一定としたものを用い、4.
0mmφ、GL:30mmの試験片を作成した後、20%N
aCl−0.5%CH3COOH−1g/S−10atm
H2S−20atmCO2の溶液(250℃)中にて1×1
0-71/secの定歪速度引張試験を行つて伸びを測定
し、これを大気中での伸びと比較して耐応力腐食割れ性
を評価した。
この第6図からも、Nb含有量が0.30%を超えた場
合に優れた耐応力腐食割れ性が得られることは明らかで
ある。
合に優れた耐応力腐食割れ性が得られることは明らかで
ある。
サ) Al Alは有効な脱酸剤として添加されるものであるが、そ
の含有量が1.0%を超えるとTCP相が生成しやすく
なることから、Al含有量は1.0%以下と定めた。
の含有量が1.0%を超えるとTCP相が生成しやすく
なることから、Al含有量は1.0%以下と定めた。
シ) N 合金中のN含有量が0.050%を超えると粗大な窒化
物が形成されて延性並びに靭性が劣化するようになるこ
とから、N含有量は0.050%以下と定めた。
物が形成されて延性並びに靭性が劣化するようになるこ
とから、N含有量は0.050%以下と定めた。
ス) Co,V,Ta,Zr,及びHf これらの成分には、合金の延性・靭性を改善するととと
もに耐食性をも改善する作用があるので、必要により1
種以上含有せしめられるものであるが、以下、個々の元
素について含有割合を限定した理由を特徴的な作用とと
もに説明する。
もに耐食性をも改善する作用があるので、必要により1
種以上含有せしめられるものであるが、以下、個々の元
素について含有割合を限定した理由を特徴的な作用とと
もに説明する。
i) Co Co成分は、特に合金の耐水素割れ性の向上に有効なも
のであるが、その含有量が5.0%を超えるTCP相が
生成しやすくなることから、Co含有量は5.0%以下
と定めた。
のであるが、その含有量が5.0%を超えるTCP相が
生成しやすくなることから、Co含有量は5.0%以下
と定めた。
ii) V,Ta,Zr,及びHf これらの成分はCの安定化に有効なものであるが、それ
ぞれ1%を超えて含有させるとTCP相が生成しやすく
なることから、V,Ta,Zr及びHfのうちの1種以
上の含有量は1.0%以下と定めた。
ぞれ1%を超えて含有させるとTCP相が生成しやすく
なることから、V,Ta,Zr及びHfのうちの1種以
上の含有量は1.0%以下と定めた。
セ) 希土類元素(REM)、Mg,Ca,及びY これらの成分は、少なくとも1種の微量添加により合金
の熱間加工性を向上させる作用を有しているので、必要
により1種以上含有せしめられるものであるが、希土類
元素含有量が0.10%を、Mg含有量が0.10%
を、Ca含有量が0.10%を、そしてY含有量が0.
20%をそれぞれ超えた場合には、低融点化合物を生成
しやすくなつて逆に熱間加工性を劣化するようになるこ
とから、希土類元素含有量は0.10%以下と、Mg含
有量は0.10%以下と、Ca含有量は0.10%以下
と、そしてY含有量は0.20%以下とそれぞれ定め
た。
の熱間加工性を向上させる作用を有しているので、必要
により1種以上含有せしめられるものであるが、希土類
元素含有量が0.10%を、Mg含有量が0.10%
を、Ca含有量が0.10%を、そしてY含有量が0.
20%をそれぞれ超えた場合には、低融点化合物を生成
しやすくなつて逆に熱間加工性を劣化するようになるこ
とから、希土類元素含有量は0.10%以下と、Mg含
有量は0.10%以下と、Ca含有量は0.10%以下
と、そしてY含有量は0.20%以下とそれぞれ定め
た。
ソ) Fe Feには、合金の強度を確保するとともに、Ni含有量
を低減ならしめて合金価格を引き下げる効果があるの
で、残部成分は実質的にFeとした。
を低減ならしめて合金価格を引き下げる効果があるの
で、残部成分は実質的にFeとした。
タ) Cr,Mo及びWの含有量バランス H2S−CO2−Cl-−S環境でのNi合金の溶出(腐
食)は、Cr,Ni,Mo,W,並びにCu及びNbに
依存する。即ち、耐食性はこれらの元素から成る表面皮
膜によつて確保されるものであり、この表面皮膜中のこ
れらの元素の含有バランスが耐食性を左右する上で最も
重要な因子となる。上記油井環境下での応力腐食割れに
対しては、MoはCrの10倍の効果があり、またWは
Crの5倍の効果をもつており、このCr,Mo及びW
が、式 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 がそれぞれ満たすとともに、Crが15〜30%,Cu
が0.30〜3.0%,Nbが0.30〜3.0%,N
iが45%以上であれば、単位イオウ(S)を含んだ環
境においても応力腐食割れに対して優れた抵抗性を有す
る耐食性皮膜を得ることができる。
食)は、Cr,Ni,Mo,W,並びにCu及びNbに
依存する。即ち、耐食性はこれらの元素から成る表面皮
膜によつて確保されるものであり、この表面皮膜中のこ
れらの元素の含有バランスが耐食性を左右する上で最も
重要な因子となる。上記油井環境下での応力腐食割れに
対しては、MoはCrの10倍の効果があり、またWは
Crの5倍の効果をもつており、このCr,Mo及びW
が、式 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 がそれぞれ満たすとともに、Crが15〜30%,Cu
が0.30〜3.0%,Nbが0.30〜3.0%,N
iが45%以上であれば、単位イオウ(S)を含んだ環
境においても応力腐食割れに対して優れた抵抗性を有す
る耐食性皮膜を得ることができる。
つまり、Cr,Mo及びWの含有量バランスが Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)<140 の範囲では、250℃以下程度のH2S−CO2−Cl-
−S環境において十分な耐食性能を示さなくなる。
−S環境において十分な耐食性能を示さなくなる。
なお、その他のB,Sn,Zn,Pb等の元素は、微量
ではこの発明の合金の特性に何ら悪影響を与えることが
ないので、不純物としてそれぞれ0.10%まで許容さ
れるが、この上限値を超えると加工性や耐食性に悪影響
を与えることになるので注意を要する。
ではこの発明の合金の特性に何ら悪影響を与えることが
ないので、不純物としてそれぞれ0.10%まで許容さ
れるが、この上限値を超えると加工性や耐食性に悪影響
を与えることになるので注意を要する。
続いて、この発明を、実施例によつて比較例と対比しな
がら説明する。
がら説明する。
〔実施例〕 まず、第2表に示される化学成分組成の各合金を溶製し
た後、熱間加工によつて板材とし、これに20%程度の
冷間加工を施して所望の強度(室温での0.2%耐力に
て70〜100kgf/mm2)を得た。この板材から、引張
試験、衝撃試験及び腐食試験に供する各試験片を採取
し、下記要領にて各種試験を実施した。
た後、熱間加工によつて板材とし、これに20%程度の
冷間加工を施して所望の強度(室温での0.2%耐力に
て70〜100kgf/mm2)を得た。この板材から、引張
試験、衝撃試験及び腐食試験に供する各試験片を採取
し、下記要領にて各種試験を実施した。
なお、耐水素割れ試験に供した材料は、300℃にて1
000hrの長時間加熱処理を施した後試験片とした。
000hrの長時間加熱処理を施した後試験片とした。
(A) 引張試験 試験温度:室温、 試験片:4.0mmφで、GLが20mm、 (B) シヤルピー衝撃試験 試験温度:0℃ 試験片:10mm×10mm×55mmの2mmVノツチ付、 (C) 耐応力腐食割れ試験 腐食溶液:20%NaCl−1g/ S−(0.1,
1,10)atmH2S−20atmCO2、 試験温度:250℃ 浸漬時間:500hr 付加応力:1σy、 試験片:10mm幅×2mm厚×75mm長のR0.25Uノ
ツチ付、 (D) 耐水素割れ試験 NACE条件:5%NaCl−0.5%CH3COOH
−1atmH2S、 試験温度:25℃、 浸漬時間:720hr、 付加応力:1σy、 試験片:10mm幅×2mm厚×75mm長のR0.25Uノ
ツチ付。
1,10)atmH2S−20atmCO2、 試験温度:250℃ 浸漬時間:500hr 付加応力:1σy、 試験片:10mm幅×2mm厚×75mm長のR0.25Uノ
ツチ付、 (D) 耐水素割れ試験 NACE条件:5%NaCl−0.5%CH3COOH
−1atmH2S、 試験温度:25℃、 浸漬時間:720hr、 付加応力:1σy、 試験片:10mm幅×2mm厚×75mm長のR0.25Uノ
ツチ付。
このようにして得られた試験結果を、第1表に併せて示
す。
す。
なお、腐食試験の結果は、“割れ又は孔食のみられなか
つたもの”「O」、“試験後に割れ又は孔食の発生した
もの”を「X」で示した。
つたもの”「O」、“試験後に割れ又は孔食の発生した
もの”を「X」で示した。
第2表に示される結果からも、本発明合金は苛酷な腐食
環境下であつても優れた耐食性を示すことが明らかであ
るのに対して、合金の成分組成が本発明で規定する条件
から外れた比較合金では、いずれも十分な耐食性を示さ
ないことがわかる。
環境下であつても優れた耐食性を示すことが明らかであ
るのに対して、合金の成分組成が本発明で規定する条件
から外れた比較合金では、いずれも十分な耐食性を示さ
ないことがわかる。
また、同時に、本発明合金が極めて優れた靭性を有して
いることも確認できる。
いることも確認できる。
以上に説明した如く、この発明によれば、イオウ(S)
が単体として存在するサワーガス環境下においても抜群
に優れた耐食性、特に耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ
性を示し、しかも良好な靭性を有していて、油井管用と
して好適な高強度Ni基合金が得られるなど、産業上の
有用性は極めて大きなものである。
が単体として存在するサワーガス環境下においても抜群
に優れた耐食性、特に耐応力腐食割れ性及び耐水素割れ
性を示し、しかも良好な靭性を有していて、油井管用と
して好適な高強度Ni基合金が得られるなど、産業上の
有用性は極めて大きなものである。
第1図は、Si及びMnを除いては本発明と同様組成の
合金におけるSi量及びMn量と靭性(vEo)との関
係を示すグラフ、第2図は、同様合金における熱間加工
性(高温絞り率)を比較したグラフ、第3図は、同様合
金から得た冷延板における肉厚方向の硬度分布を、Si
量及びMn量として整理して比較したグラフ、第4図
は、本発明合金におけるP含有量と耐水素割れ性(腐食
性溶液中での伸び/大気中での伸び)との関係を示すグ
ラフ、第5図は、本発明合金におけるS含有量と熱間加
工性(1150℃における絞り率)との関係を示すグラ
フ、第6図は、Nbを除いては本発明と同様組成の合金
におけるNb含有量と耐応力腐食割れ性(腐食性溶液中
での伸び/大気中での伸び)との関係を示すグラフであ
る。
合金におけるSi量及びMn量と靭性(vEo)との関
係を示すグラフ、第2図は、同様合金における熱間加工
性(高温絞り率)を比較したグラフ、第3図は、同様合
金から得た冷延板における肉厚方向の硬度分布を、Si
量及びMn量として整理して比較したグラフ、第4図
は、本発明合金におけるP含有量と耐水素割れ性(腐食
性溶液中での伸び/大気中での伸び)との関係を示すグ
ラフ、第5図は、本発明合金におけるS含有量と熱間加
工性(1150℃における絞り率)との関係を示すグラ
フ、第6図は、Nbを除いては本発明と同様組成の合金
におけるNb含有量と耐応力腐食割れ性(腐食性溶液中
での伸び/大気中での伸び)との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 史朗 兵庫県尼崎市西長洲本通1丁目3番地 住 友金属工業株式会社中央技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−110856(JP,A) 特開 昭60−2653(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】重量割合にて、 C:0.10%以下,Si:0.050%以下, Mn:0.10〜1.0%,P:0.030%以下, S:0.0050%以下,Ni:45〜60%, Cr:15〜30%, Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%,Ti:2.0%以下, Nb:0.30〜3.0%,Al:1.0%以下, N:0.005%以下, Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、靭性の優れた高耐食性Ni基合金。 - 【請求項2】重量割合にて、 C:0.10%以下,Si:0.050%以下, Mn:0.10〜1.0%,P:0.030%以下, S:0.0050%以下,Ni:45〜60%, Cr:15〜30%, Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%,Ti:2.0%以下, Nb:0.30〜3.0%,Al:1.0%以下, N:0.005%以下 を含有し、更に Co:5.0%以下、 V,Ta,Zr及びHfの1種以上:各々1.0%以下
のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、靭性の優れた高耐食性Ni基合金。 - 【請求項3】重量割合にて、 C:0.10%以下,Si:0.050%以下, Mn:0.10〜1.0%,P:0.030%以下, S:0.0050%以下,Ni:45〜60%, Cr:15〜30%, Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%,Ti:2.0%以下, Nb:0.30〜3.0%,Al:1.0%以下, N:0.005%以下, を含有し、更に 希土類元素:0.10%以下, Mg:0.10%以下, Ca:0.10%以下, Y:0.20%以下 のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、靭性の優れた高耐食性Ni基合金。 - 【請求項4】重量割合にて、 C:0.10%以下,Si:0.050%以下, Mn:0.10〜1.0%,P:0.030%以下, S:0.0050%以下,Ni:45〜60%, Cr:15〜30%, Mo及びWの1種以上: Moは16%未満、Wは5.0%以下であつて、かつ を満足する量、 Cu:0.30〜3.0%,Ti:0.0050%以
下, Nb:0.30〜3.0%,Al:1.0%以下, N:0.005%以下, を含有し、更に Co:5.0%以下, V,Ta,Zr及びHfの1種以上:各々1.0%以下
のうちの1種以上、並びに 希土類元素:0.10%以下, Mg:0.10%以下, Ca:0.10%以下, Y:0.20%以下 のうちの1種以上をも含み、 Fe及び他の不可避的不純物:残り から成るとともに、 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧140 なる式を満足する成分組成に構成されたことを特徴とす
る、靭性の優れた高耐食性Ni基合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61001201A JPH0639649B2 (ja) | 1986-01-07 | 1986-01-07 | 靭性の優れた高耐食性Ni基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61001201A JPH0639649B2 (ja) | 1986-01-07 | 1986-01-07 | 靭性の優れた高耐食性Ni基合金 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62158846A JPS62158846A (ja) | 1987-07-14 |
| JPH0639649B2 true JPH0639649B2 (ja) | 1994-05-25 |
Family
ID=11494847
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61001201A Expired - Lifetime JPH0639649B2 (ja) | 1986-01-07 | 1986-01-07 | 靭性の優れた高耐食性Ni基合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0639649B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5529642A (en) * | 1993-09-20 | 1996-06-25 | Mitsubishi Materials Corporation | Nickel-based alloy with chromium, molybdenum and tantalum |
| CN104878249A (zh) * | 2015-05-15 | 2015-09-02 | 新奥科技发展有限公司 | 一种镍基合金及其制备方法和应用 |
| EP3744865B1 (en) | 2018-01-26 | 2024-08-28 | Nippon Steel Corporation | Cr-ni alloy and seamless pipe made of cr-ni alloy |
| DE102020106433A1 (de) | 2019-03-18 | 2020-09-24 | Vdm Metals International Gmbh | Nickel-Legierung mit guter Korrosionsbeständigkeit und hoher Zugfestigkeit sowie Verfahren zur Herstellung von Halbzeugen |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS57203740A (en) * | 1981-06-11 | 1982-12-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Precipitation hardening alloy of high stress corrosion cracking resistance for high strength oil well pipe |
| JPS60110856A (ja) * | 1983-11-21 | 1985-06-17 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 析出強化型ニッケル基合金の製造法 |
-
1986
- 1986-01-07 JP JP61001201A patent/JPH0639649B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62158846A (ja) | 1987-07-14 |
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