JPH0641688A - エッチング加工性に優れたシャドウマスク用金属薄板 - Google Patents

エッチング加工性に優れたシャドウマスク用金属薄板

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JPH0641688A
JPH0641688A JP3604093A JP3604093A JPH0641688A JP H0641688 A JPH0641688 A JP H0641688A JP 3604093 A JP3604093 A JP 3604093A JP 3604093 A JP3604093 A JP 3604093A JP H0641688 A JPH0641688 A JP H0641688A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カラーブラウン管シャドウマスク用のエッチ
ング加工性に優れたFe−Ni系合金薄板およびFe−Ni−Co
系合金薄板を提供する。 【構成】 合金表面の結晶面の集積度はそれぞれ{11
1}≦5,{100}:50〜93,{110}≦2
4,{311}:1〜10,{331}:1〜14,
{210}:1〜10,{211}:1〜10で、
〔{100}+{311}+{210}〕/〔{11
0}+{111}+{331}+{211}〕:0.8〜
20を満足するFeとNiを主成分とするFe−Ni系およびFe
−Ni−Co系合金からなる金属薄板。 【効果】 エッチング加工性に優れ、エッチング後のそ
りの発生が極めて小さく、エッチングファクターが高
く、フラットマスクの明るさとムラ品位に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エッチング加工性に優
れたFe−Ni系合金およびFe−Ni−Co系合金に係り、カラ
ーブラウン管に使用される好ましいシャドウマスク用合
金薄板に関するものである。
【0002】近年、カラーテレビの高品位化に伴い、色
ずれの問題に対処できるシャドウマスク用合金として、
34〜38wt%のNiを含有するFe−Ni系合金が使用され
ている。このFe−Ni系合金は、シャドウマスク用材料と
して従来から使用されてきた低炭素鋼に比べ、熱膨張率
が著しく小さい。従って、Fe−Ni系合金によってシャド
ウマスクを作れば、シャドウマスクが電子ビームにより
加熱されても、シャドウマスクの熱膨張による色ずれの
問題は生じ難い。また、さらに進んだ合金としてFe−Ni
−Co系の合金も有望である。
【0003】このような、シャドウマスク用合金薄板
は、通常、下記工程によって、シャドウマスクに加工さ
れる。即ちシャドウマスク用合金薄板に、フォトエッチ
ングによって、電子ビームの通過孔(以下、単に「孔」
という)を形成し(以下、エッチングによって穿孔され
たままのシャドウマスク用合金薄板を「フラットマス
ク」という)、次いで、フラットマスクに焼鈍を施し、
次いで、焼鈍を施したフラットマスクを、ブラウン管の
形状に合うように曲面形状にプレス成形し、次いで、そ
れをシャドウマスクに組立て、そして、次いでその表面
上に黒化処理を施す。
【0004】しかしながら、このような従来のFe−Ni系
合金およびFe−Ni−Co系合金を使用する場合には、従来
の低炭素鋼のシャドウマスク材に比べて多数の細孔をあ
けるためのエッチング加工性に劣る。即ち前記合金の場
合、エッチング液に対する腐食性が軟鋼に比べて著しく
悪く、かつ結晶粒径も軟鋼に比べて大きく、その結果、
該エッチングにより穿孔された細孔部に光を透過させる
とフラットマスクにもやがかったむらが生じ、かつ、こ
のようなフラットマスクの明るさ(光を透過させた場合
の明るさ)は軟鋼のマスクに比べて劣っていた。特に、
近年急増しているファインピッチで孔径の小さい高精細
マスクにおいては上記したむらが発生し易く、かつマス
クの明るさも劣っており、カラー受像管の品位を著しく
低下させてしまう。
【0005】特に最近においては画面の明るさが強く求
められ、斯かるニーズに対しても前記したようなフラッ
トマスクの明るさが劣っていることは大きな問題となっ
ている。更にFe−Ni系合金およびFe−Ni−Co系合金の場
合、エッチング後にそりが発生し易い不利も有してお
り、このそりがある場合、エッチング後にブラウン管メ
ーカでの焼鈍工程やプレス成形工程の作業性を著しく損
う。これらエッチング加工性上における不利を解決する
ために次のような先行技術が知られている。
【0006】 特公平2-9655号公報は、Fe−Ni系イン
バー合金薄板表面に{100}結晶面を35%以上集合
させることにより、高精度でかつ均一にエッチングする
ことを可能とするものである(以下、「先行技術1」と
いう)。
【0007】 特開昭62-243782 号公報は、Fe−Ni系
インバー合金の圧延面に{100}面を集合させ、表面
粗さをRa:0.2〜0.7μm、及びSm:100μm以下と
し、かつ結晶粒度を粒度番号8.0以上とすることによ
り、エッチングスピードを向上させ、かつむら品位を向
上させようとするものである(以下、「先行技術2」と
いう)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た先行技術1ではインバー合金の{100}結晶面を4
3%まで集合させてエッチングの精度及び均一性を高め
ているが、実際この技術で得られるフラットマスクはも
やむらが依然として消えず、フラットマスクの明るさの
点でも劣り、品質上の問題となっていた。
【0009】また、先行技術2は、インバー合金のエッ
チングスピードを高め、かつむら品位の向上までは図っ
ているが、実際この技術で得られるフラットマスクは明
るさの点で依然として劣っており、品質上の問題となっ
ていたのである。なお、この技術の中に記載されている
結晶粒度は粒度番号で10.0が最も細粒のものであり、
この結晶粒度番号に対応する結晶粒径は下記の式(1)
によると11μmである。
【0010】
【数1】 (結晶粒度No.)=16.6439 −6.6439 log(結晶粒径μm/1.125) ─(1)
【0011】なお、上記した先行技術では、エッチング
後のそりの問題は依然として改善されていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したよう
な実情に鑑み、検討を重ねて創案されたものであって、
エッチング加工性が優れ、高精度で均一なエッチング穿
孔が可能で、かつエッチング穿孔後のフラットマスクの
明るさも優れたレベルとすることが可能であり、エッチ
ング後のそりも適切に抑制されたシャドウマスク用Fe−
Ni系およびFe−Ni−Co系合金薄板を得ることに成功した
ものであって、以下の如くである。
【0013】(1) Fe及びNiを主成分とするFe−Ni系合金
またはFe−Ni−Co系合金からなり、かつ合金板表面への
{111}、{100}、{110}、{311}、
{331}、{210}、{211}の各結晶面の集積
度がそれぞれ下表の値を示し、かつそれらの比率〔{1
00}+{311}+{210}〕/〔{110}+
{111}+{331}+{211}〕が0.8〜20で
あることを特徴とするエッチング加工性に優れたシャド
ウマスク用金属薄板。
【0014】
【表1】
【0015】(2) 前記(1) に記載の成分および合金板表
面への各結晶集積度およびそれらの比率を有し、かつ合
金板の板厚方向の結晶粒径が10μm以下であることを
特徴とするエッチング加工性に優れたシャドウマスク用
金属薄板。
【0016】
【作用】上記したような本発明について更に説明する
と、本発明は、Fe−Ni系またはFe−Ni−Co系合金からな
る合金薄板にフォトエッチングにより微細なパターンを
形成する際に、その大きさおよび形状を全面にわたって
均一に設けるためには、エッチング速度が全面において
一定でかつ速くする必要があり、またこのためには、エ
ッチングファクターを高めることが重要であって、これ
はエッチング面(合金板表面)への特定結晶面の集積度
比率を制御すること、及び合金板の板厚方向の結晶粒径
を制御することにより達成される。
【0017】更には、エッチング穿孔後のフラットマス
クの明るさを優れたレベルとするためには、エッチング
孔の界面の表面粗さ(Ra)を特定値以下とすることが重
要であり、これはエッチング面(合金板表面)への特定
の結晶面の集積度を制御することにより達成される。ま
たエッチング後のそり発生の抑制は、エッチング面への
特定結晶面の集積度を制御することにより達成される。
本発明はこれらの点に着目したものである。
【0018】本発明のシャドウマスク用Fe−Ni系および
Fe−Ni−Co系合金薄板の結晶面の集積度及び結晶粒径を
限定した理由について述べると、本発明で用いるFe−Ni
系およびFe−Ni−Co系合金は、色ずれ発生を防止する効
果を有するものであり、この効果を発揮するためには3
0〜100℃の温度域における平均熱膨脹係数の上限値
を2.0×10-6/℃とする必要がある。この平均熱膨脹
係数はニッケル量に依存し、上述した平均熱膨脹係数の
条件を満たすNi量は34〜38%の範囲内である。な
お、このようなNi含有量の範囲内でも、平均熱膨脹係数
を低下させ得る好ましいNi量は35〜37wt%であり、
更にはこの平均熱膨脹係数をより低下させ得る更に好ま
しいNi量は35.5〜36.5wt%である。
【0019】なお、0.001〜1%のコバルトを含有す
る場合にも上述した平均熱膨張係数には影響を与えな
い。また、Fe−Ni−Co系合金においてCoを3〜6%、Ni
量を30〜33%にすることによりさらに優れた特性が
得られる。
【0020】また、本合金においては、板表面のX線回
折により、(111),(200),(220),(3
11),(331),(420)及び(422)の各回
折面のX線回折強度が得られ、これらにより結晶方位の
集積度を測定することができる。たとえば{111}結
晶面の集積度は(111)回折面の相対X線強度比を
(111),(200),(220),(311),
(331),(420)および(422)の各回折面の
相対X線強度比の和で割ることにより求めた。
【0021】他の{100},{110},{31
1},{331},{210},{211}結晶面の集
積度も同様に求められる。なお、ここで相対X線回折強
度比とは各回折面で測定されたX線回折強度をその回折
面の理論X線強度で割ったものである。即ち、たとえば
(111)回折面の相対X線回折強度比は(111)回
折面のX線回折強度を(111)回折面のX線回折理論
強度で割ったものである。
【0022】また{100},{110},{21
0},{211}の各結晶面の集積度はそれぞれこの結
晶面と方位的に同じ(200),(220),(42
0),(422)回折面の相対X線回折強度比を前記し
た(111)から(422)までの7個の回折面の相対
X線回折強度比の和で割ることにより求めた。
【0023】更に本発明者等は、Fe−Ni系およびFe−Ni
−Co系合金薄板表面への{111},{100},{1
10},{311}結晶面の集積度を制御することによ
り、エッチング後のそり発生を抑制し、かつムラ品位を
優れたものにすることができることを見い出した。つま
り{100}結晶面の集積はエッチング後のそり発生の
抑制には有効な結晶面である。{100}結晶面の集積
度が50%以上となると、エッチング後のそり発生が抑
制される。しかし、{100}結晶面の集積度が93%
を超えるとエッチングムラが発生し、問題となる。これ
らのことより、{100}結晶面の集積度は50%以
上、93%以下と定めた。
【0024】一方{111},{110},{311}
結晶面の集積はエッチング後のそり発生傾向を強める。
{111}結晶面の集積度が5%超え、{110}結晶
面集積度が24%超え、{311}結晶面集積度が10
%超えとなるとエッチング後のそり発生が著しくなり、
フラットマスクの品質上問題となる。またこれら{11
1},{110},{311}結晶面の集積度が1%未
満では後述するエッチングファクターを優れたレベルと
することができない。従って{111}結晶面の集積度
≦5%、{110}結晶面の集積度≦24%、{31
1}結晶面の集積度は1〜10%とそれぞれ定めた。
【0025】更に、本発明者等は、Fe−Ni系およびFe−
Ni−Co系合金薄板表面への{311},{210},
{211}の結晶面の集積度ならびにこれらの結晶面集
積度の比率を制御することにより、エッチングファクタ
ーの向上や、エッチング孔界面の表面粗さ(Ra) を小さ
くし、フラットマスクの明るさのレベルを優れたものに
することができることを見出した。即ち図1は、{11
1},{110},{311},{100}が本発明範
囲内で、{331},{210},{211}の結晶面
の合金板表面への集積度が種々に異る合金薄板をフォト
エッチングし、得られたフラットマスクの光線透過量を
測定し、この値を上記合金と同じ寸法で穿孔された従来
の軟鋼からなるフラットマスクの光線透過量で割り、こ
れをフラットマスクの光線透過率として、この透過率と
エッチング孔界面の表面粗さ(Ra)の関係をプロットし
たものである。ここで表面粗さの測定方法は後述する実
施例1に示す方法によって求めた。
【0026】前記図1によるならば、{331},{2
10},{211}の各結晶面の集積度がそれぞれ14
%以下,10%以下,同じく10%以下の場合、エッチ
ング孔界面の表面粗さ(Ra) が0.90μm以下となり、
フラットマスクの光線の透過比率が、1.0以上となっ
て、従来の軟鋼のフラットマスクの光線の透過量以上の
明るさが得られることがわかる。フラットマスクの明る
さとエッチング孔界面の表面粗さの関係については他の
粗さパラメータとの相関も調べたが、1番強い相関を示
したものが中心線平均粗さ(Ra) であった。
【0027】なお、本発明においては、前記のように
{111},{100},{110}結晶面の集積度が
特定値に制御されている場合、{331},{21
0},{211}結晶面の集積度がおのおの1%未満で
あると、後述するエッチングファクターを優れたレベル
とすることができない。
【0028】以上のような検討結果により、フラットマ
スクの明るさを優れたレベルとし、かつ、エッチングフ
ァクターを優れたレベルとするための条件として、{3
31}結晶面の集積度を1〜14%、{210}結晶面
の集積度を1〜10%、{211}結晶面の集積度を1
〜10%とそれぞれ定めた。
【0029】{331}結晶面の集積度が14%超え、
あるいは{210}結晶面の集積度が10%超え、もし
くは{211}結晶面の集積度が10%超えの場合、エ
ッチング孔界面はミクロ的にみると、微細なピット(凹
凸)が生面に生成されている。このことから、エッチン
グ孔界面の粗さ(Ra) が0.90μm超となっているの
は、このようなピットの生成のためであると考えられ
る。
【0030】合金板表面への主要7面の結晶面集積度比
率の制御はエッチングファクターの向上のために必要で
ある。図2は合金薄板のエッチングファクター及びムラ
品位と〔{100}+{311}+{210}〕/
〔{110}+{111}+{331}+{211}〕
の関係を要約して示すものである。エッチングファクタ
ーは後述実施例1に示したところと同じ方法で求めた。
また主要7個の結晶面集積度は前記したようなX線回折
の手法により求めた。更にムラ品位は肉眼観察して判定
したもので、ムラのないものはA、ムラが激しく実用上
問題のあるものをEとし、B〜DはそれらAとEとの間
をランクづけしたものであって、AからCまでが実用上
問題のないものである。
【0031】前記図2によれば、上記関係式〔{10
0}+{311}+{210}〕/〔{110}+{1
11}+{331}+{211}〕の値の増加に伴いエ
ッチングファクターの増加がみられるが、本発明では実
用上問題のないエッチングファクターの値として、20
を定め、この値以上のエッチングファクターとなる前記
関係式の値の下限値として0.8を定めた。なお前記関係
式の値が20を超えるとムラ品位が悪くなり実用上問題
がある。これらのことからムラ品位がA〜Cと良好で、
かつ本発明で意図する高いエッチングファクターが得ら
れる前記関係式の値の範囲として0.8〜20を定めた。
【0032】さて、本発明においては、上記したように
合金薄板表面への特定の結晶面集積度の比率制御により
エッチングファクターを向上させることができる。更に
エッチングファクターを向上させるためには、合金板の
板厚方向の結晶粒径を従来レベルよりも小さい10μm
以下(結晶粒度No. で10.3以上)とすることより、図
3で示すように同一の関係式〔{100}+{311}
+{210}〕/〔{110}+{111}+{33
1}+{211}〕の値でもエッチングファクターをよ
り高くすることができる。
【0033】以上よりエッチングファクターをより高く
するための合金板厚方向における結晶粒径の上限を10
μmと定めた。然して図4は前記図3において、上記関
係式〔{100}+{311}+{210}〕/〔{1
10}+{111}+{331}+{211}〕の値を
4.0の一定としたときのエッチングファクターと合金薄
板の板厚方向結晶粒径の関係を示すものである。
【0034】なお、本発明によるシャドウマスク用合金
は上記したように、Fe−NiまたはFe−Ni−Coの基本組成
に、合金板表面への結晶面の集積度とその比率、及び合
金板の板厚方向の結晶粒径をそれぞれ規定することを特
徴としているが、前記の組成の他C:0.0050%以
下,Mn:0.35%以下,Si:0.05%以下,Cr:0.05
%以下,N:0.0015%以下,O:0.0020%以下
であることが望ましい。不純物としてのCoは、1.0wt.%
までは特性に影響を及ぼさない。また、Fe−Ni−Co系合
金においてもCoを除き不純物量は同様に制御することが
望ましい。
【0035】合金薄板表面への結晶面の集積度を本発明
で規定した値とするためには、合金薄板の製造にかかわ
る、凝固から熱間での加工、以降の冷間圧延・焼鈍工程
で極力これらの結晶面を形成させない製造条件を採るこ
とにより、達成される。例えば、本合金が造塊または連
続鋳造スラブを分塊圧延し、熱間圧延することにより得
た熱延鋼帯によって製造する場合は熱間圧延後で、適正
な熱延板焼鈍を施すことが{111},{110},
{211},{100}が{331},{210},
{211}結晶面の集積を制御するためには有効であ
り、この際の熱延板焼鈍の温度は、熱間圧延での圧下率
に応じて、910〜990℃の範囲で適切な温度を選択
して実施できる。
【0036】本発明は、前記した熱延板焼鈍後の合金板
表面への各結晶面集積度に応じて、以降冷間圧延とこれ
に引き続く焼鈍を行なったのち、仕上冷間圧延歪み取り
焼鈍を施す工程で製造するに際して、この冷間圧延率、
焼鈍条件(温度、時間、加熱速度)及び仕上冷間圧延の
一連の工程を最適条件に組み合わせることにより達成さ
れる。なお上記した熱延板焼鈍による効果は本合金の熱
延鋼帯が熱延板焼鈍前で十分に再結晶している時に発揮
されるものである。
【0037】また、本発明で意図する3つの結晶面の集
積度を得るには、本合金を製造するに際して、分塊圧延
後のスラブの均一化熱処理の実施は好ましくない。たと
えば、上記の均一化熱処理が1200℃以上、10Hr以
上の条件で行なわれる場合、上記した7つの結晶面の集
積度のうち少なくとも1つ以上が本発明の規定値を超え
てしまうのでこのような処理は避けねばならない。
【0038】
【実施例】次に、この発明を具体的実施例によって、更
に詳しく説明すると、以下の如くである。
【0039】(実施例1)取鍋精錬によって次の表2に
示す化学成分を有する合金の鋼塊を得た。
【0040】
【表2】
【0041】上記のようにして得られた各鋼塊は次い
で、その手入れ後、分塊圧延、表面疵取り、熱間圧延
(加熱は1100℃×3hr) して熱延鋼帯となし、この
ようにして得られた熱延鋼帯を用いて、以降熱延板焼鈍
(910〜990℃)を行ない、以降、冷間圧延焼鈍条
件ならびに仕上冷間圧延条件を変化させ、表3〜表6に
示すような結晶面の集積度および合金板の板厚方向の結
晶粒径を有する材料(材料No.1〜40)を得た。各熱延
鋼帯は熱延後十分に再結晶しており、{111},{1
00},{110},{311},{210},{21
1}結晶面の集積度測定は前記したようなX線回折によ
る手法によって求めた。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】次に、これらの合金板の表面にレジストパ
ターンを設け、レジスト開口径135μmにおけるエッ
チングファクターを測定した。エッチングファクターの
測定は上記サンプルを、45ボーメ、FeCl3 溶液、液温
40℃、スプレー圧2.5kgf/cm2 にて50秒エッチング
した後に図5で示すような方法にて算出した。また、同
様の合金板をフォトエッチングによりフラットマスクに
し、この光線の透過量を測定し、この値を上記した合金
と同じ寸法で穿孔された従来の軟鋼からなるフラットマ
スクの光線の透過量で割り、これをフラットマスクの光
線の透過率とした。なおエッチング後のそり量は、エッ
チング後のフラットマスクを水平定盤の上に置き、そり
の高さを測ることにより求めた。
【0047】また、これらのフラットマスクにおけるエ
ッチング孔界面の表面粗さを非接触型のレーザー粗さ計
にて測定した。カットオフ値は0.02mmであり、孔界面
のテーパー形状部分はうねり成分として除去することに
より粗さ曲線を抽出し、この曲線から中心線平均粗さ
(Ra) を求めた。更にフラットマスクのムラ品位は肉眼
観察して判定したものであり、図2と同じ基準にて求め
た。
【0048】表3〜表6に示した結果から明らかなよう
に、本発明の範囲内の{111},{100},{11
0},{331},{311},{210},{21
1}結晶面の集積度及び〔{100}+{311}+
{210}〕/〔{110}+{331}+{211}
+{111}〕の値を有する材料No.15 〜No.45 の各材
は、エッチング後のそり量は2mm以下と後述する比較例
に比べて低く、エッチング孔界面の表面粗さ(Ra) は0.
90μm以下であり、フラットマスクの光線透過率も1.
0以上で、従来の軟鋼のフラットマスクの光線の透過率
以上の明るさが得られることがわかる。更には、これら
の材料のエッチングファクターは2.0以上であり、かつ
フラットマスクのムラ品位も実用上問題のないレベルで
ある。
【0049】特に、材料No.18 ,No.16 ,No.17, No.3
1, No.34 およびNo.38 の各材は、〔{100}+{3
11}+{210}〕/〔{110}+{331}+
{211}+{111}〕の値が2であるが、No.18 に
比べて、No.16 ,No.38 ,No.31,No.17 ,No.34 の各
材の合金板の板厚方向の結晶粒径は10μm以下と従来
レベルより小さくなっており、エッチングファクターは
より高い値を示し、エッチング性がより優れていること
が明らかである。更にはこれらの材料No.16 ,No.38 ,
No.31 ,No.17 ,No.34 の各材の中でも合金板の板厚方
向の結晶粒径が小さい材料ほどエッチングファクターが
より高くなっており、エッチングファクターをより高め
るためには、合金板の板厚方向の結晶粒径を小さくする
ことが重要であることが理解される。また、Fe−Ni−Co
系のE,G,H鋼のNo. 41〜43も同様に優れた特性を示
している。
【0050】これらの本発明例に対して、材料No.1〜N
o.5の各材はそれぞれ{111}結晶面の集積度が本発
明規定上限を超えるもの、{100}結晶面の集積度が
本発明規定の下限未満のもの、上限以上のもの、{11
0}結晶面の集積度が本発明規定の上限を超えるもの、
{311}結晶面の集積度が本発明規定の上限を超える
ものであり、エッチング後のそり量が7mm以上と、前記
した本発明例に比べて大きい。
【0051】また材料No.6〜No.8の各材はそれぞれ、
{331}結晶面が本発明規定上限を超えるもの、{2
10}結晶面が本発明規定条件を超えるもの、{21
1}結晶面が本発明規定上限を超えるものであり、エッ
チング孔界面の表面粗さ(Ra) は0.90μmを超え、フ
ラットマスクの光線の透過率は1.0未満と前記した本発
明例に比べて低い。
【0052】更に、材料No.14 は{100}結晶面の集
積度が本発明規定の上限を超えるもの、〔{100}+
{311}+{210}〕/〔{110}+{111}
+{331}+{211}〕の値が本発明規定の上限を
超えるものであり、フラットマスクのムラ品位が本発明
例に比べて劣っている。また、材料No.3では、{21
0}結晶面の集積度も本発明規定の下限を下まわるもの
であり、エッチングファクターが2.00未満と本発明で
意図するレベルが得られていない。
【0053】材料No.9〜No.13 の各材はそれぞれ{21
1}結晶面の集積度、{210}結晶面の集積度、{3
31}結晶面の集積度、{311}結晶面の集積度、
〔{100}+{311}+{210}〕/〔{11
0}+{111}+{331}+{211}〕の値が本
発明規定の下限を下まわる場合であり、いずれの材料で
も、エッチングファクターが2.00未満と本発明で意図
する高いレベルが得られていない。
【0054】上記したところから明らかなように、本発
明の範囲内の{111},{100},{110},
{311},{331},{210},{211}結晶
面の集積度とし、かつ〔{100}+{311}+{2
10}〕/〔{110}+{111}+{331}+
{211}〕の値も本発明の範囲内とすることにより、
エッチング後のそりを小さくし、エッチング孔界面の表
面粗さ(Ra) を制御しフラットマスクの光線の透過率を
優れたレベルとし、かつエッチングファクターおよびフ
ラットマスクのムラ品位を優れたものとすることがで
き、更には合金板の板厚方向の結晶粒径を本発明範囲内
でさらに小さくすることにより、エッチングファクター
をより高めることが可能である。すなわち、本発明によ
れば、優れたエッチング加工性を有するシャドウマスク
用Fe−Ni系およびFe−Ni−Co系合金薄板が得られること
がわかる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したような本発明によれば、エ
ッチング加工性に優れ、またエッチング後のそり発生が
極めて小さく、エッチングファクターが高くて、フラッ
トマスクの明るさも優れたレベルであり、またフラット
マスクのムラ品位も卓越したシャドウマスク用Fe−Ni系
およびFe−Ni−Co系合金薄板を提供することができるも
のであるから、工業的に有利な効果がもたらされ、その
効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラットマスクの光線透過率とエッチング孔界
面の表面粗さ(Ra) の関係を示した図表である。
【図2】エッチングファクター、ムラ品位と〔{10
0}+{311}+{210}〕/〔{110}+{1
11}+{331}+{211}〕の関係を示した図表
である。
【図3】エッチングファクターと〔{100}+{31
1}+{210}〕/〔{110}+{111}+{3
31}+{211}〕、合金板の板厚方向における結晶
粒径との関係を示した図表である。
【図4】エッチングファクターと合金板の板厚方向の結
晶粒径の関係を示した図表である。
【図5】エッチングファクターの測定方法についての説
明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大北 智良 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 清水 義明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe及びNiを主成分とする合金からなり、
    かつ合金板表面への{111},{100},{11
    0},{311},{331},{210},{21
    1}の各結晶面の集積度がそれぞれ下表の値を示し、か
    つそれらの比率〔{100}+{311}+{21
    0}〕/〔{110}+{111}+{331}+{2
    11}〕が0.8〜20であることを特徴とするエッチン
    グ加工性に優れたシャドウマスク用金属薄板。
  2. 【請求項2】 Fe,NiおよびCoを主成分とする合金から
    なり、かつ合金板表面への{111},{100},
    {110},{311},{331},{210},
    {211}の各結晶面の集積度がそれぞれ下表の値を示
    し、かつそれらの比率〔{100}+{311}+{2
    10}〕/〔{110}+{111}+{331}+
    {211}〕が0.8〜20であることを特徴とするエッ
    チング加工性に優れたシャドウマスク用金属薄板。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の成分及び合金板表面へ
    の各結晶集積度及びそれらの比率を有し、かつ合金板の
    板厚方向の結晶粒径が10μm以下であることを特徴と
    するエッチング加工性に優れたシャドウマスク用金属薄
    板。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の成分及び合金板表面へ
    の各結晶集積度及びそれらの比率を有し、かつ合金板の
    板厚方向の結晶粒径が10μm以下であることを特徴と
    するエッチング加工性に優れたシャドウマスク用金属薄
    板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100500490B1 (ko) * 2001-11-20 2005-07-12 닛꼬 긴조꾸 가꼬 가부시키가이샤 섀도우마스크용 철-니켈계 및 철-니켈-코발트계 합금 스트립
JP2014101543A (ja) * 2012-11-20 2014-06-05 Jx Nippon Mining & Metals Corp メタルマスク材料及びメタルマスク
US10287722B2 (en) 2014-02-28 2019-05-14 Samsung Electronics Co., Ltd. Washing machine
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