JPH0762495A - エッチング加工性に優れた電子機器用合金薄板 - Google Patents

エッチング加工性に優れた電子機器用合金薄板

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JPH0762495A
JPH0762495A JP5206628A JP20662893A JPH0762495A JP H0762495 A JPH0762495 A JP H0762495A JP 5206628 A JP5206628 A JP 5206628A JP 20662893 A JP20662893 A JP 20662893A JP H0762495 A JPH0762495 A JP H0762495A
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JP5206628A
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Tadashi Inoue
正 井上
Naoji Yamanouchi
直次 山之内
Kiyoshi Tsuru
清 鶴
Yoshiaki Shimizu
義明 清水
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エッチング加工性に優れた電子機器用合金薄
板を得る。 【構成】 Niを34〜52重量% 含有し、残部がFeと不可避
的不純分からなるFe-Ni系合金薄板であって、合金表面
部分の{111}、{100}、{110}、{31
1}、{331}、{210}及び{211}の各結晶
面の集積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およびS7がそれぞれ
1〜5%、50〜93%、1〜24%、1〜10%、1
〜14%、1ないし10%および1ないし10%であ
り、かつ(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値が
0.8〜20であるエッチング加工性に優れた電子機器
用合金薄板。 【効果】 エッチング後の反りの発生が低減されるとと
もに、エッチングファクターも向上し、透過光の光量が
増える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エッチング加工性に
優れたFe-Ni 系、Fe-Ni-Co系、Fe-Ni-Cr系およびFe- Ni
- Co- Cr系合金薄板に関し、その特性からカラーブラウ
ン管のシャドウマスクやICリードフレームの材料とし
て使用される合金薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラーテレビの高品位化にともな
い、画像の色ずれを防止するために、34〜38wt%
のNiを含有するFe-Ni 合金薄板が、ブラウン管のシャド
ウマスクの材料として使用されている。
【0003】このFe-Ni 合金薄板は、従来からシャドウ
マスクの材料として使用されてきた低炭素鋼に比べ、熱
膨張率が著しく低いものである。したがって、このよう
なFe-Ni 合金薄板をシャドウマスクとして使用すると、
シャドウマスクが電子ビームにより加熱されても、シャ
ドウマスクが熱膨張することはなく、熱膨張に起因する
画像の色ずれが発生することはない。このような低熱膨
張を特徴とする合金は、Fe-Ni 系合金をはじめとして、
Fe-Ni-Co系、Fe-Ni-Cr系およびFe- Ni- Co- Cr系合金が
ある。
【0004】しかしながら、上述した低熱膨張率を特性
とするFe-Ni 系、Fe-Ni-Co系、Fe-Ni-Cr系およびFe- Ni
- Co- Cr系合金薄板を、エッチングして多数の細孔をあ
け、シャドウマスクを製造しようとする場合、従来の低
炭素鋼に比べてエッチング加工性が劣るという問題があ
る。これは、上述したような合金のエッチング液に対す
る腐食性が、低炭素鋼の場合に比べて著しく悪いからで
あり、合わせて結晶粒径も大きいので、エッチングによ
り穿孔された細孔部に光を通過させると、フラットマス
クにもやがかったむらが生じるとともに、透過光の明る
さも低炭素鋼に比べて劣るのである。特に、近年急増し
ているファインピッチで孔径の小さい高精細シャドウマ
スクにおいては、むらが発生しやすく、かつシャドウマ
スクの明るさも劣るので、カラーテレビの受像管の品位
を著しく低下させてしまう。
【0005】特に最近においては、テレビ画面の明るさ
ができるだけ明るいことが求められており、フラットマ
スクの明るさが劣るのは、このようなニーズに対処する
上で大きな障害となる。また、上記したような合金薄板
をエッチングすると、エッチング後に反りが発生しやす
いので、ブラウン管メーカーにおいて、エッチングした
材料を焼鈍したり、プレス成形を行う際に、著しく作業
性を阻害するという問題もある。
【0006】また、シャドウマスクにかぎらず、ICリー
ドフレーム材料においても、近年のICの高密度化( 高集
積化) により、リードフレームのピン間隔がファインピ
ッチ化してきており、従来から使用されているFe-Ni 系
をはじめとする前記合金を使用する場合には、同じよう
にエッチング加工性が問題となっている。また、このよ
うな従来のFe-Ni 系合金をエッチングすると、メッキ性
が劣化するという問題もあった。
【0007】特に最近においては、テレビ画面の明るさ
ができるだけ明るいことが求められており、フラットマ
スクの明るさが劣るのは、このようなニーズに対処する
上で大きな障害となる。また、上記したような合金薄板
をエッチングすると、エッチング後に反りが発生しやす
いので、ブラウン管メーカーにおいて、エッチングした
材料を焼鈍したり、プレス成形を行う際に、著しく作業
性を阻害するという問題もある。
【0008】上述したような合金のエッチング加工性を
向上させる従来の技術としたは、次のような技術が知ら
れている。 特公平2-9655号公報に開示された技術であり、Fe-N
i 系インバー合金薄板表面に、{100}結晶面を35
%以上集合させることにより、高精度でかつ均一にエッ
チングできるようにするものである。
【0009】 特開昭62-243782 号公報に開示された
技術であり、Fe-Ni 系インバー合金の圧延面に、{10
0}結晶面を集合させ、表面粗さを中心線平均粗さRaが
0.2〜0.7 μm で表面の凹凸の平均間隔Smを100 μm 以
下とし、かつ結晶粒度を粒度No.8.0以上とすることによ
り、エッチング速度を向上させるとともに、むらの発生
を防止しようとするものである。
【0010】 特開平2-270941号公報に開示された技
術であり、エッチング速度を向上させるため、Fe-Ni 系
インバー合金の圧延面に、{200}結晶面を50% 以上
集積させるとともに、C 含有量を0.007%以下とするこ
と、また不純物のうちP を0.005%以下、S を0.005%以
下、その他の不純物元素の全含有量を0.10% 以下とする
ことが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たFe-Ni 系、Fe-Ni-Co系、Fe-Ni-Cr系またはFe- Ni- Co
- Cr系合金薄板のエッチング加工性を向上させる従来の
技術には次のような問題点があった。 特公平2-9655号公報に開示された技術 エッチングの精度および均一性は高まっているが、フラ
ットマスクにおけるもやむらが依然として消えず、また
透過光の明るさも劣っている。 特開昭62-243782 号公報に開示された技術 エッチング速度を高め、むらの発生を抑えているが、フ
ラットマスクの透過光の明るさも劣っている。また、上
述した先行技術においては、エッチング加工後の反りの
発生を防止することができないという問題点もある。
【0012】また、上記したいずれの技術においても、
エッチング加工されるICリードフレームのメッキ性の改
善は見られていない。例えば、上記したに記載した技
術によって得られるICリードフレーム部材にハンダメッ
キを施すと、ホイスカと呼ばれる針状結晶が以上に成長
し、品質上問題になっているのである。またこのに記
載した技術によって得られるICリードフレーム部材のサ
イドエッチは大きく、ICリードフレームとして加工され
る際に、加工精度が悪くなるという問題点もある。
【0013】この発明は、従来技術の上述のような問題
点を解消するためになされたものであり、高精度で均一
なエッチング穿孔が可能で、エッチング穿孔後のフラッ
トマスクの明るさも明るく、エッチング後の反りの発生
もないエッチング加工性に優れ、かつメッキ性に優れた
電子機器用合金薄板を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第一のエ
ッチング加工性に優れた電子機器用合金薄板は、Niを34
〜52重量% 含有するFe-Ni 系合金薄板であって、合金表
面部分の{111}、{100}、{110}、{31
1}、{331}、{210}及び{211}の各結晶
面の集積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およびS7がそれぞれ
表5の値を示し、かつ(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5
S7)の値が0.8〜20であるものである。
【0015】
【表5】
【0016】また、この発明に係る第二のエッチング加
工性に優れた電子機器用合金薄板は、Niを28〜38重量%
、Coを20重量% 以下含有するFe-Ni-Co 系合金薄板で
あって、合金表面部分の{111}、{100}、{1
10}、{311}、{331}、{210}及び{2
11}の各結晶面の集積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およ
びS7がそれぞれ表6の値を示し、かつ(S2+S4+S6)/
(S1+S3+S5+S7)の値が0.8〜20であるものであ
る。
【0017】
【表6】
【0018】また、この発明に係る第三のエッチング加
工性に優れた電子機器用合金薄板は、Niを34〜52重量%
、Crを3 重量% 以下含有するFe-Ni-Cr 系合金薄板で
あって、合金表面部分の{111}、{100}、{1
10}、{311}、{331}、{210}及び{2
11}の各結晶面の集積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およ
びS7がそれぞれ表7の値を示し、かつ(S2+S4+S6)/
(S1+S3+S5+S7)の値が0.8〜20であるものであ
る。
【0019】
【表7】
【0020】また、この発明に係る第四のエッチング加
工性に優れた電子機器用合金薄板は、Niを28〜38重量%
、Coを20重量% 以下 、Crを3 重量% 以下含有するFe-
Ni-Co系合金薄板であって、合金表面部分の{11
1}、{100}、{110}、{311}、{33
1}、{210}及び{211}の各結晶面の集積度
S1、S2、S3、S4、S5、S6およびS7がそれぞれ表8の値を
示し、かつ(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値が
0.8〜20であるものである。
【0021】
【表8】
【0022】また、この発明に係る第五のエッチング加
工性に優れた電子機器用合金薄板は、上記第一、二、三
または四のエッチング加工性に優れた電子機器用合金薄
板において、合金薄板の板厚方向の結晶粒径が10μm
以下であるものである。
【0023】
【作用】本発明は、Fe-Ni 、Fe-Ni-Co系、Fe-Ni-Cr系ま
たはFe- Ni- Co- Cr系合金薄板に、フォトエッチングに
より微細なパターンを形成させる際に、その大きさおよ
び形状を、全面にわたって均一に設けることを可能にす
るものである。そのためには、エッチング速度を全面に
わたって一定でかつ速くする必要があり、さらにはエッ
チングファクターを高めることが重要であって、エッチ
ング面(合金表面)への特定結晶面の集積度比率を制御
すること、合金薄板の板厚方向の結晶粒径を制御するこ
とが必要である。
【0024】ここでいうエッチングファクター(Ef)
とは、図1に示すように、被エッチング材21を、d1
の径の開口22aを有するレジストフィルム22でレジ
ストしてエッチングしたときに、被エッチング材21に
生成されるエッチング部23の最大径をd2 、エッチン
グ深さをH としたときに、(1)式で示される数値であ
る。 Ef=2H/(d2 −d1 )…………(1) すなわち、エッチングファクターが大きくなるほど、エ
ッチング孔が必要以上に大きくならないとともに、深く
エッチングできるのである。
【0025】さらには、エッチング穿孔後のフラットマ
スクを透過した光の輝度がより向上するためには、エッ
チングする合金薄板の表面粗さ(Ra、中心線平均粗さ)
を特定値以下とすることが重要であり、これはエッチン
グする合金薄板の表面近傍の結晶の特定の結晶面の集積
度を、制御することで達成できる。本発明においては、
これらの点に着目したものであり、以下にこれらの点に
つき数値的に限定した理由を述べる。
【0026】まず、各成分の含有%を限定した理由を説
明する。本発明のFe-Ni 系の電子機器用合金薄板をシャ
ドウマスクの材料として使用する場合には、膨張による
色ずれの発生を防止する必要があり、このためには30〜
100 ℃の温度域における平均熱膨張係数を、2.0 ×10-6
/ ℃以下とする必要がある。この平均熱膨張係数の条件
を満たすNi量はFe-Ni 系合金薄板においては、34〜38重
量% である。また、このFe-Ni 系の電子機器用合金薄板
を、ICリードフレームの材料として使用する場合には、
半導体素子、ガラスおよびセラミックスとの間の熱膨張
の整合性を保つために必要なNi量は38重量% を超え、52
重量% 以下である。したがって、上記した二つのことを
考慮して、Ni量を34〜52重量% とした。
【0027】また、Fe-Ni-Co系合金薄板においては、Co
を20重量% 以下加えた場合、平均熱膨張係数の条件を満
たすNiの含有範囲は28〜38重量% である。なお、Coが20
重量% を超えると、平均熱膨張係数の条件を満たすNiの
含有量は存在しない。したがって、Fe-Ni-Co系合金薄板
においては、Niを28〜38重量% 、Coを20重量% 以下とし
た。
【0028】Crは機械的性質を改善しうる元素である
が、添加することにより平均熱膨張係数を高める傾向が
あり、上述した平均熱膨張係数を達成するためには、3%
以下としなければならない。したがって、Fe-Ni-Cr 系
合金薄板においては、Niを34〜52重量% 、Crを3 重量%
以下とし、Fe-Ni-Co 系合金薄板においては、Niを28〜
38重量% 、Coを20重量% 以下 、Crを3 重量% 以下とし
た。
【0029】次に、各結晶面の集積度を限定した理由を
述べる。合金薄板表面のX 線回折により、(111)、
(200)、(220)、(311)、(331)、
(420)及び(422)の各回折面のX線回折強度が
得られる。そして、これらのX線回折強度により、結晶
方位の集積度を測定することができる。例えば、{11
1}の結晶面の集積度は、(111)回折面の相対X線
回折強度比を、(111)、(200)、(220)、
(311)、(331)、(420)及び(422)の
各回折面の相対X線回折強度比の和で割ることにより求
められる。
【0030】{100}、{110}、{311}、
{331}、{210}、{211}の各結晶面の集積
度も同様にして求められる。なお、相対X線回折強度比
とは、各回折面で測定されたX線回折強度を、その回折
面の理論X線回折強度で割ったものである。例えば、
(111)回折面の相対X線回折強度比は、(111)
回折面のX線回折強度を、(111)回折面の理論X線
回折強度で割ったものである。
【0031】また、{100}、{110}、{21
0}、{211}の各結晶面の集積度は、それぞれこの
結晶面と方位的に同じ(200)、(220)、(42
0)、(422)回折面の相対X線回折強度比を、前記
した(111)から(422)までの7個の回折面の相
対X線回折強度比の和で割ることにより求めた。
【0032】本発明者等は、上述したようにして求まる
各結晶面の集積度を調査した結果、Fe-Ni 系、Fe-Ni-Co
系、Fe-Ni-Cr系またはFe- Ni- Co- Cr系合金薄板表面に
おける{111}、{100}、{110}、{31
1}結晶面の集積度を制御することにより、エッチング
後の反り発生を抑制し、かつむらの発生を防止すること
ができることを見いだした。すなわち、{100}結晶
面の集積度を50%以上に高めると、エッチング後の反
りの発生は抑制される。しかしながら、{100}結晶
面の集積度が94 %を超えると、エッチングむらが発生
する。これらにより、{100}結晶面の集積度は50
〜94 %とした。
【0033】一方、{111}、{110}、{31
1}結晶面の集積は、エッチング後の反りの発生を高め
る傾向にある。{111}結晶面の集積度が10 %を超
え、{110}結晶面の集積度が24%を超え、{31
1}結晶面の集積度が14 %を超えると、エッチング後
の反りの発生が著しく高まり、フラットマスクの品質を
低下させる。また、これら、{111}、{110}、
{311}結晶面の集積度が1%未満では、エッチング
ファクターを著しく低下させる。したがって、{11
1}結晶面の集積度は1〜10%、{110}結晶面の集
積度は1〜24%、{311}結晶面の集積度は1〜1
4 %とした。
【0034】さらに、本発明者等は、Fe-Ni 系、Fe-Ni-
Co系、Fe-Ni-Cr系またはFe- Ni- Co- Cr系合金薄板表面
における{331}、{210}、{211}結晶面の
集積度ならびに前記した{111}、{100}、{1
10}、{311}の結晶面集積度の比率を制御するこ
とにより、エッチングファクターの向上させるととも
に、エッチング孔界面の表面粗さ(中心線平均粗さ、R
a)を小さくし、フラットマスクを透過する透過光の明
るさを高めることができることを見いだした。
【0035】すなわち、{111}、{100}、{1
10}、{311}結晶面の集積度を、前述したような
範囲にしたとしても、{331}、{210}、{21
1}結晶面の集積度がそれぞれ14%、14 %、14 %
を超えると、図2のフラットマスクの光線透過率とエッ
チング孔界面の表面粗さ(Ra、μm)の関係を示すグ
ラフにおいて●印で示すように、エッチング孔界面の表
面粗さが粗くなり、フラットマスクの光線透過率は低
く、すなわちフラットマスクの透過光は暗くなる。
【0036】それに反して、{331}、{210}、
{211}結晶面の集積度をそれぞれ14%、14 %、
14 %以下にすると、図2において○印で示すように、
エッチング孔界面の表面粗さが粗くなくなり、フラット
マスクの光線透過率は高く、すなわちフラットマスクの
透過光は明るくなる。なお、ここで言うフラットマスク
の光線透過率とは、前述した合金薄板を材料としたフラ
ットマスクの光線透過量を、このフラトマスクに穿孔さ
れた孔と同じ孔を穿孔された従来の低炭素鋼のフラット
マスクの光線透過量で割った値である。すなわち、1以
上は従来のものより明るいものである。
【0037】このように、{331}、{210}、
{211}結晶面の集積度はそれぞれ14%、14 %、
14 %以下にする必要があるが、これらの値が1%未満
になると、エッチングファクターが低下するので、{3
31}結晶面の集積度は1〜14%、{210}結晶面
の集積度は1〜14 %、{211}結晶面の集積度は1
〜14 %とした。
【0038】合金薄板表面の主要7結晶面の集積度の比
率の制御は、エッチングファクターを向上させるために
必要である。図3は、{100}結晶面の集積度S2
{311}結晶面の集積度S4 および{210}結晶面
の集積度S6 を足し合せたものを、{111}結晶面の
集積度S1 、{110}結晶面の集積度S3 、{33
1}結晶面の集積度S5 および{211}結晶面の集積
度S7 を足し合せたもので割った値、すなわち(S2+S4
+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値とエッチングファクタ
ーおよびむらの程度との関係を示すグラフである。な
お、むらの程度は肉眼観察をしたものであり、むらのな
いものをA、むらが大きく実用上問題のあるものをEと
し、B〜DはAとEの管にあるものを程度に応じてラン
クづけしたものである。そして、A〜Cが実用上問題の
ないものである。
【0039】図2から明らかなように、エッチングファ
クターは(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値が大
きくなるほど大きくなるが、むらの程度は(S2+S4
S6)/(S1+S3+S5+S7)の値が極端に小さくなった場
合、あるいは大きくなると悪くなる傾向にあり、(S2
S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値は、実用上問題のな
い0.8〜20とした。
【0040】さらには、図4の板厚方向の結晶粒径(D
で表示)をパラメターとした前記(S2+S4+S6)/(S1
+S3+S5+S7)の値とエッチングファクターの関係を示
すグラフ、および図5の板厚方向の結晶粒径とエッチン
グファクターの関係を示すグラフから明らかなように、
板厚方向の結晶粒径が大きくなるとエッチングファクタ
ーが低下するので、実用上問題のないエッチングファク
ター2以上を確保すべく、板厚方向の結晶粒径を10μ
m以下とした。
【0041】なお、本発明に係るエッチング加工性に優
れた電子機器用合金薄板は、Fe-Ni、Fe-Ni-Co系、Fe-Ni
-Cr系またはFe- Ni- Co- Cr系合金において、その主要
成分を規定するとともに、合金薄板表面の結晶面の集積
度とその比率および合金薄板表面の板厚方向の結晶粒径
を規定するものであるが、主要成分の他にC:0.00
5%以下(重量%、以下の成分についても同じ)、M
n:0.6 0%以下、Si:0.3 0%以下、N:0.
003 0%以下、O:0.006 0%以下であることが
望ましい。また、不純物としてのCoは1重量%以下で
あればエッチング加工性に影響を及ぼすことはない。
【0042】合金薄板表面の結晶面の集積度を本発明で
規定した値とするためには、溶鋼から合金薄板を製造す
る加工工程、すなわち溶鋼の凝固から熱間圧延、以降の
冷間圧延およびそれにともなう焼鈍工程において、極力
これらの結晶面を形成させない製造条件を採ればよい。
例えば、本合金薄板を、鋼塊または連続鋳造スラブを分
塊圧延し、分塊したスラブを熱間圧延して得た鋼帯によ
って製造する場合には、熱間圧延後に適正な熱延板焼鈍
を施せばよい。この際の熱延板焼鈍温度は、熱間圧延に
おける圧下率に応じて、910〜990℃の間の適切な
温度を選択すればよい。
【0043】本発明に係る合金薄板の特性は、前記した
熱延板焼鈍の後の合金板表面の各結晶面の集積度に応じ
て、以降の冷間圧延率、焼鈍条件(温度、時間、加熱速
度)を最適な条件の組合せにすることにより、発揮でき
る。なお、熱延板焼鈍による効果は、熱間圧延で得られ
た本合金の熱延鋼帯が、熱延板焼鈍前に十分に再結晶し
ているときに発揮できるものである。
【0044】また、本発明で意図する7つの結晶面の集
積度を得るためには、本合金を製造するに際して、分塊
圧延後の均一化熱処理の実施は好ましくない。例えば、
上記の均一化熱処理が1200℃以上で10時間以上の
条件で行われる場合、上記した7つの結晶面の集積度の
うち少なくとも1つ以上が、本発明の規定値を超えてし
まうので、このような処理は避けなければならない。
【0045】
【実施例】この発明を具体的実施例によってさらに詳し
く説明する。取鍋精錬により精錬した溶鋼を鋳型に鋳造
し、表9の合金符号A〜Nを付した合金の鋼塊を得た。
【0046】
【表9】
【0047】これらの鋼塊を疵取り手入れした後、分塊
圧延してスラブを製造し、このスラブをさらに手入れし
た後加熱炉に装入し、1100℃で3時間加熱して、熱
間圧延を行い、熱延鋼帯を得た。なお、合金符号Nの合
金薄板は、溶鋼を炉外精錬した後直接薄板スラブに鋳造
し、引続き1350〜1000℃の温度で30%の圧下
率の熱間圧延を行って鋼帯を得た。
【0048】このようにして得られた鋼帯を熱延板焼鈍
(910〜990℃)を行い、この鋼帯を材料として、
圧延条件あるいは焼鈍条件を変化させながら、冷間圧延
およびそれに続く焼鈍を行い、合金符号A〜Nの各成分
から構成される合金薄板を得た。表10、11および12
に、このようにして得られた材料No.1〜No.52 の材料の
7 つの結晶面の集積度S1〜S7(%)と、前記(S2+S4
S6)/(S1+S3+S5+S7)の値および合金薄板の板厚方
向の結晶粒径(μm)を示す。
【0049】
【表10】
【0050】
【表11】
【0051】
【表12】
【0052】次に、これらの合金薄板の表面にレジスト
パターンを設け、レジスト開口径135μmにおけるエ
ッチングファクターを測定した。エッチングファクター
の測定は、上記したサンプルを比重が45ボーメで液温
が40℃のFeCl3 水溶液を用い、スプレー圧力2.
5kgf/cm2 で50秒間エッチングした後、前記
(1)式に示した計算式を用いて算出した。
【0053】また、同じ合金薄板をフォトエッチングに
よりフラットマスクにし、これを水平な定盤の上に置
き、反りを測定した。また、このフラットマスクに光線
を当てて光線の透過量を測定し、この値をこの合金薄板
と同じ寸法で穿孔された従来の低炭素鋼のフラットマス
クの光線透過量で割り、光線透過率を求めた。
【0054】また、同じ合金薄板のフラットマスクにお
けるエッチング孔界面の表面粗さを非接触型のレーザー
粗さ計により測定した。カットオフ値は0.02mmで
あり、孔界面のテーパー形状部分はうねり成分として除
去して、粗さ曲線を抽出し、この曲線から中心線平均粗
さ(Ra)を求めた。
【0055】さらには、フラットマスクのむら品位を、
肉眼観察により判定した。表13、14および15に、
材料No.1〜No.52 の材料のエッチング後の反り量(m
m)、エッチング孔界面の表面粗さ(中心線平均粗さR
a、μm)、フラットマスクの光線の透過率(前記した
ように規定した透過率)、フラットマスクのむらの品位
(前記したように規定したむらの品位)およびエッチン
グファクターを示す。また、材料No46〜49の各合金
薄板については、フォトエッチングのエッチング界面の
表面粗さを前記したと同じ方法で測定した。また、これ
らの資料にハンダメッキを施し、ハンダメッキ性の良否
を評価した。
【0056】
【表13】
【0057】
【表14】
【0058】
【表15】
【0059】合金表面部分の{111}、{100}、
{110}、{311}、{331}、{210}及び
{211}の各結晶面の集積度S1、S2、S3、S4、S5、S6
およびS7および(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の
値が、本発明で規定する規定値内にある材料No.15 〜48
および50〜52の材料は、エッチング後の反り量は2mm
以下であり、後述する比較例に比べて低くなっている。
また、エッチング孔界面の表面粗さ(Ra)も0.90
μm以下であるとともに、フラットマスクの光線透過率
も1.0以上であり、従来の低炭素鋼のフラットマスク
よりも透過光が明るいフラットマスクが得られているこ
とが分かる。さらには、これらの材料のエッチングファ
クターはいずれも2.0以上であり、むら品位も実用上
問題のないレベルにある。
【0060】これらの発明に対して、材料No.1は{11
1}結晶面の集積度S1 が規定値の上限を超え、材料N
o.2は{100}結晶面の集積度S2 が規定値の下限を
割り、材料No.3は{100}結晶面の集積度S2 が規定
値の上限を超え、材料No.4は{110}結晶面の集積度
3 が規定値の上限を超え、材料No.5は{311}結晶
面の集積度S4 が規定値の上限を超えているので、エッ
チング後の反り量7mm以上と、前記した本発明例に比
べて大きい。
【0061】また、材料No.6は{331}結晶面の集積
度S5 が規定値の上限を超え、材料No.7は{210}結
晶面の集積度S6 が規定値の上限を超え、材料No.8は
{211}結晶面の集積度S7 が規定値の上限を超えて
いるので、エッチング孔界面の表面粗さ(Ra)が0.
90μmを超えるとともに、フラットマスクの光線の透
過率も1.0 未満であり、前記した本発明例に比べて悪
い。
【0062】材料No.9は{211}結晶面の集積度S7
が、材料No.10 は{210}結晶面の集積度S6 が、材
料No.11 は{331}結晶面の集積度S5 が、材料No.1
2 は{110}結晶面の集積度S3 および{311}結
晶面の集積度S4 が、材料No.13 は(S2+S4+S6)/
(S1+S3+S5+S7)の値がそれぞれ本発明の規定値を下
回っているので、いずれの材料もエッチングファクター
が2.0 を下回っており、本発明で意図する高いレベルが
得られていない。
【0063】材料No.14 は(S2+S4+S6)/(S1+S3
S5+S7)の値が規定値の上限を超えるので、フラットマ
スクのむら品位が本発明例に比較して劣っている。材料
No.49 は{210}結晶面の集積度S6 および{21
1}結晶面の集積度S7 が規定値の上限を超えているの
で、エッチング孔界面の表面粗さ(Ra)が1.21と
本発明例に比較して粗くなっている。なお、前記した材
料No.3は{311}結晶面の集積度S4 および{21
0}結晶面の集積度S6 も本発明の規定値を下回ってい
るので、エッチングファクターも2.0 未満と本発明例よ
りも劣っている。
【0064】上述したことから明らかなように、合金表
面部分の{111}、{100}、{110}、{31
1}、{331}、{210}及び{211}の各結晶
面の集積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およびS7および(S2
+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値を、本発明で規定
する規定値内にすることにより、エッチング後の反りを
小さくし、エッチング孔界面の表面粗さ(Ra)を制御
し、フラットマスクの光線の透過量を増大させ、かつエ
ッチングファクターを高めるとともに、フラットマスク
のむら品位を優れたものにすることができる。
【0065】さらには、合金薄板の板厚方向の結晶粒径
を本発明で規定する範囲内にすることにより、エッチン
グファクターをより高めることができる。なお、本発明
の説明をフラトマスクにより説明してきたが、本発明の
合金薄板はフラトマスクにかぎらず、エッチング加工す
る主として電子機器用部品に適用できるのはもちろんで
ある。
【0066】
【発明の効果】この発明により、エッチング加工する電
子機器用材料のエッチング後の反りを小さくし、エッチ
ング孔界面の表面粗さ(Ra)を制御し、フラットマス
クの光線の透過量を増大させ、かつエッチングファクタ
ーを高めるとともに、フラットマスクのむら品位を優れ
たものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エッチングファクターの測定方法を示す説明図
である。
【図2】フラットマスクの光線透過率とエッチング孔界
面の表面粗さの関係を示すグラフである。
【図3】(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値とエ
ッチングファクターおよびむらの程度との関係を示すグ
ラフである。
【図4】板厚方向の結晶粒径をパラメターとした(S2
S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値とエッチングファク
ターの関係を示すグラフである。
【図5】板厚方向の結晶粒径とエッチングファクターの
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 義明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを34〜52重量% 含有するFe-Ni 系合金
    薄板であって、合金表面部分の{111}、{10
    0}、{110}、{311}、{331}、{21
    0}及び{211}の各結晶面の集積度S1、S2、S3
    S4、S5、S6およびS7がそれぞれ表1の値を示し、かつ
    (S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の値が0.8〜2
    0であることを特徴とするエッチング加工性に優れた電
    子機器用合金薄板。 【表1】
  2. 【請求項2】 Niを28〜38重量% 、Coを20重量% 以下含
    有するFe-Ni-Co 系合金薄板であって、合金表面部分の
    {111}、{100}、{110}、{311}、
    {331}、{210}及び{211}の各結晶面の集
    積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およびS7がそれぞれ表2の
    値を示し、かつ(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の
    値が0.8〜20であることを特徴とするエッチング加
    工性に優れた電子機器用合金薄板。 【表2】
  3. 【請求項3】 Niを34〜52重量% 、Crを3 重量% 以下含
    有するFe-Ni-Cr 系合金薄板であって、合金表面部分の
    {111}、{100}、{110}、{311}、
    {331}、{210}及び{211}の各結晶面の集
    積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およびS7がそれぞれ表3 の
    値を示し、かつ(S2+S4+S6)/(S1+S3+S5+S7)の
    値が0.8〜20であることを特徴とするエッチング加
    工性に優れた電子機器用合金薄板。 【表3】
  4. 【請求項4】 Niを28〜38重量% 、Coを20重量% 以下
    、Crを3 重量% 以下含有するFe-Ni-Co 系合金薄板で
    あって、合金表面部分の{111}、{100}、{1
    10}、{311}、{331}、{210}及び{2
    11}の各結晶面の集積度S1、S2、S3、S4、S5、S6およ
    びS7がそれぞれ表4 の値を示し、かつ(S2+S4+S6)/
    (S1+S3+S5+S7)の値が0.8〜20であることを特
    徴とするエッチング加工性に優れた電子機器用合金薄
    板。 【表4】
  5. 【請求項5】 合金薄板の板厚方向の結晶粒径が10μ
    m以下であることを特徴とする請求項1、2、3または
    4に記載のエッチング加工性に優れた電子機器用合金薄
    板。
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CN93120826A CN1035778C (zh) 1993-07-22 1993-12-15 一种具有高蚀刻性能的合金薄板
KR1019930028313A KR960008889B1 (ko) 1993-07-22 1993-12-17 에칭가공성이 우수한 합금판

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014101543A (ja) * 2012-11-20 2014-06-05 Jx Nippon Mining & Metals Corp メタルマスク材料及びメタルマスク
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KR20210049888A (ko) * 2018-09-27 2021-05-06 닛테츠 케미컬 앤드 머티리얼 가부시키가이샤 메탈 마스크 재료 및 그의 제조 방법과 메탈 마스크

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