JPH0646741A - コラーゲンケーシングの製造方法 - Google Patents

コラーゲンケーシングの製造方法

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JPH0646741A
JPH0646741A JP19115992A JP19115992A JPH0646741A JP H0646741 A JPH0646741 A JP H0646741A JP 19115992 A JP19115992 A JP 19115992A JP 19115992 A JP19115992 A JP 19115992A JP H0646741 A JPH0646741 A JP H0646741A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コラーゲン溶液をチューブ状に成形してコラ
ーゲンケーシングを製造する方法において、加熱調理性
を向上させることができると同時に、その他の品質性能
を低下させることのないコラーゲンケーシングの製造方
法を提供する。 【構成】 コラーゲン溶液中に、融点が20℃以下で酸
化安定性の高い食用油脂を、コラーゲン溶液中のコラー
ゲンの乾燥重量に対して2〜30重量%の割合で添加し
て均質に混合しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コラーゲンケーシン
グの製造方法に関し、詳しくは、ソーセージを製造する
際に天然の羊腸の代わりに使用されるチューブ状のケー
シングであって、特に、各種特性に優れたコラーゲンを
材料とするケーシングの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然の羊腸に代わる可食性のコラーゲン
ケーシングとして、天然の羊腸に近い特性を有するコラ
ーゲンケーシングが使用されている。コラーゲンケーシ
ングの製造方法としては、例えば、コラーゲンを含む原
料溶液を、筒状の成形ダイスから凝固液中に押し出し
て、コラーゲン成形チューブを作製する。このコラーゲ
ン成形チューブを水洗した後、乾燥し、さらに熱硬化さ
せればコラーゲンケーシングが製造できる。水洗したコ
ラーゲン成形チューブを、グリセリンなどの可塑化剤で
可塑化させた後に乾燥し、さらに熱硬化させると、製造
されたコラーゲンケーシングが柔軟になって取扱い易く
なったり、ソーセージの製造中や加熱調理中にコラーゲ
ンケーシングが破れるのを防止したりするのに有効であ
るとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記したよ
うな従来におけるコラーゲンケーシングの製造方法で
は、コラーゲンケーシングを構成するコラーゲンの原料
によって、前記した加熱調理性に大きなバラツキが生じ
るという問題があった。コラーゲンの原料の違いによる
コラーゲンケーシングの品質性能のバラツキは、上記加
熱調理性だけでなく、保存性や品質安定性などについて
も問題となっていた。
【0004】コラーゲンは、牛皮や豚皮などの天然原料
から抽出製造されるものであるから、原料となる牛や豚
の産地、種別、性別、年齢、屠殺時期などの条件によっ
て、原料に含まれる各種成分の割合が異なってくる。こ
のような原料の違いによって、コラーゲンの成分や特性
にも大きな違いが生じ、この特性の違いが、コラーゲン
ケーシングの品質性能にも大きな影響を与えているもの
と考えられる。
【0005】そこで、本願発明者らは、様々な原料から
得られたコラーゲンについて、その成分とコラーゲンケ
ーシングの品質性能の関係について検討した。その結
果、コラーゲンに含まれる油脂成分の量によって、加熱
調理性などに大きな影響が生じることが判明した。加熱
調理性とは、例えば、コラーゲンケーシングにソーセー
ジ肉等を詰めて、ソーセージを製造し、このソーセージ
をフライパンで炒めたり、熱湯でボイルしたり、油でフ
ライしたり、直火でバーベキューしたりしたとき、すな
わち加熱調理を行ったときに、ケーシングに破れが生じ
たり、肉から剥離したりしないという特性を言い、ケー
シングにとって重要な特性である。
【0006】コラーゲンの原料に含まれる油脂は、いわ
ゆるラードもしくはヘットであるが、これらの油脂の含
有量が多いコラーゲンを用いるほど、コラーゲンケーシ
ングの加熱調理性が良好になることが判った。コラーゲ
ンを製造する際には、原料を脱脂して、前記したラード
やヘットの成分を出来るだけ除いてから、コラーゲンの
抽出を行うこともあるが、製造されたコラーゲンには、
ある程度の油脂分が残っている場合がある。油脂分の多
い原料を用いた場合には、当然、コラーゲンに含まれる
油脂量も多くなるのである。また、脱脂工程を行わなけ
れば、当然、油脂分の残留も多くなる。
【0007】したがって、コラーゲンの原料として、油
脂分の多い牛皮や豚皮を用いたり、コラーゲン製造時
に、原料の油脂分が多く残るようにしておけば、前記し
た加熱調理性の向上が果たされることになる。ところ
が、コラーゲンの原料として、上記のような油脂分の多
いものを用いたり、コラーゲン中に油脂分が多く残るよ
うにしておいた場合には、加熱調理性は向上するが、保
存性や品質安定性が低下するなど、他の品質性能が低下
するという新たな問題が発生する。
【0008】すなわち、ラードもしくはヘットのような
動物性油脂は、天然の酸化防止剤を含まないため、安定
性が悪く、温度、光、水分、微生物などの影響で容易に
空気酸化を受けて変質(酸敗)するのである。変質した
油脂は、着色(褐変)したり、不快な酸敗臭が発生した
り、栄養価が低下するのみならず、毒性面でも消化器障
害等を起こす原因となり、食品衛生上問題となることが
多い。このようなことから、コラーゲンケーシングにラ
ードやヘットが多く含有されていると、品質低下の大き
な要因となるのである。
【0009】そこで、この発明の課題は、前記したよう
なコラーゲンケーシングの製造方法において、加熱調理
性を向上させることができると同時に、その他の品質性
能を低下させることのないコラーゲンケーシングの製造
方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかるコラーゲンケーシングの製造方法は、コ
ラーゲン溶液をチューブ状に成形してコラーゲンケーシ
ングを製造する方法において、コラーゲン溶液中に、融
点が20℃以下で酸化安定性の高い食用油脂を、コラー
ゲン溶液中のコラーゲンの乾燥重量に対して2〜30重
量%の割合で添加して均質に混合しておく。
【0011】コラーゲンケーシングの材料は、各種の動
物組織から得られる通常のコラーゲン材料が使用でき、
例えば、牛皮、豚皮その他の原料から、通常の製造処理
工程を経てコラーゲン溶液あるいはコラーゲン繊維材料
が得られる。溶液状のコラーゲンはそのままでコラーゲ
ンケーシングの成形に用いることができ、コラーゲン繊
維材料は、溶液状に溶かしてから使用すればよい。コラ
ーゲン溶液には、必要に応じて、コラーゲン以外の材料
を添加しておくこともできる。
【0012】この発明では、コラーゲン材料に含まれ
る、原料由来の油脂量は少なくしておいたほうがよい。
好ましくは、油脂の含有量がコラーゲン乾燥重量の5%
以下程度のコラーゲンを用いる。このようなコラーゲン
溶液に混合する食用油脂としては、食品に添加可能な油
脂の中から、酸化安定性の高い食用油脂を選択して使用
する。酸化安定性に劣る食用油脂は、コラーゲンケーシ
ングの品質安定性や保存性を損なうので好ましくない。
食用油脂の酸化安定性は、食用油脂に含まれる成分によ
って変わる。具体的には、リノール酸などの二重結合を
複数有する不飽和脂肪酸を多く含む油脂は酸化安定性が
低いので好ましくなく、オレイン酸などの二重結合を1
個だけ有する不飽和脂肪酸を多く含む油脂は酸化安定性
が高く好ましい。より具体的には、脂肪酸の全体に対し
て、二重結合を複数有する不飽和脂肪酸残基の割合が2
0%以下であるものが好ましい。さらに、ヨウ素価10
0以下のものが好ましい。食用油脂の成分として、天然
の酸化安定剤を含んでいるものが好ましい。また、融点
が20℃以下の食用油脂を用いる。融点が高いと、食用
油脂をコラーゲン溶液に均質に混合することが困難にな
る。
【0013】上記のような条件にあてはまる、この発明
で用いるのに好ましい食用油脂としては、オリーブ油、
パーム油、パーム核油、ヤシ油が挙げられる。但し、パ
ーム油、パーム核油、ヤシ油は、融点が高いので、比較
的融点の低いオリーブ油と混合して用いるのが好まし
い。すなわち、この発明では、食用油脂として、1種類
の食用油脂を単独で用いてもよいし、複数種類の食用油
脂が混合された混合油を用いてもよいのである。そし
て、単独油および混合油の何れでも、コラーゲン溶液に
混合する段階での食用油脂の特性として、前記した酸化
安定性が高く、融点が20℃以下のものを用いればよい
のである。実用上、前記したオリーブ油を単独で用いる
か、オリーブ油を主成分として、パーム油、パーム核
油、ヤシ油を混合した食用油脂が、最も好ましいものと
なる。前記したヘットやラードは、前記したように安定
性が悪いので好ましくないが、目的とする作用効果に影
響がない程度の少量であれば、食用油脂に含まれていて
も構わない。さらに、食用油脂に水素添加を行って、酸
化安定性を高めたものも使用できる。
【0014】上記のような食用油脂を、コラーゲン溶液
中のコラーゲンの乾燥重量に対して2〜30重量%、好
ましくは5〜20重量%の割合で添加して均質に混合し
ておく。食用油脂の添加量が少な過ぎると、加熱調理性
の向上などの目的とする作用効果が達成できず、食用油
脂の添加量が多過ぎても、それ以上の特性向上は果たせ
ず、味その他の品質に影響が出たりするので好ましくな
い。
【0015】食用油脂をコラーゲン溶液に均質に混合す
るには、単に攪拌混合するだけでもよいが、コラーゲン
溶液に均質に混合され難い食用油脂の場合には、混合乳
化させるのが好ましい。混合乳化の具体的手段として
は、各種油脂類を水系液体に混合乳化させる際に採用さ
れる通常の各種手段が適用できる。混合乳化に用いる乳
化剤としても、通常の各種乳化剤が使用できる。
【0016】乳化剤として、ゼラチンを用いると、食用
油脂をコラーゲン溶液に良好に均質混合できる。特に、
等電点6.5〜9.0の第1のゼラチンと、等電点4.
5〜5.5の第2のゼラチンとを、第1のゼラチン:第
2のゼラチン=95:5〜10:90の重量比率で含む
乳化剤を用いるのが好ましい。そして、この乳化剤を溶
解させた水溶液に、食用油脂を混合乳化させるととも
に、この溶液のpHを第1のゼラチンと第2のゼラチン
の等電点の間の値に設定しておくと、食用油脂が良好に
混合乳化する。この混合乳化液をコラーゲン溶液に添加
すればよい。コラーゲン溶液に直接、前記ゼラチンおよ
び食用油脂を添加して、混合乳化させる方法も採用でき
る。このようなゼラチンからなる乳化剤および食用油脂
の乳化方法としては、本願特許出願人が先に特許出願し
ている特願平3−154939号に開示された技術が適
用できる。
【0017】このようなコラーゲンを含む成形液から、
コラーゲン成形チューブを作製する工程、その後の可塑
化工程、乾燥工程、および最終的な熱硬化工程など、基
本的な個々の工程自体は、通常のコラーゲンケーシング
の製造方法と同様に行うことが出来る。したがって、具
体的な使用材料、処理薬剤、処理装置、処理条件など
は、既知のコラーゲンケーシングの製造技術などを任意
に組み合わせて実施することができる。例えば、本願特
許出願人が先に特許出願している特願平3−17849
3号に開示された、可塑化工程と乾燥工程を複数回繰り
返す方法を適用すれば、膜厚の薄いコラーゲンケーシン
グを得ることができる。
【0018】製造されたコラーゲンケーシングには、前
記のようにして添加した食用油脂、および、原料に由来
する油脂が含まれることになる。このコラーゲンケーシ
ングに含まれる油脂分として、コラーゲンケーシング乾
燥重量に対し2〜15重量%好ましくは5〜10重量%
の油脂分を含有していれば、この発明の作用効果を良好
に発揮できる。
【0019】この発明にかかる製造方法で得られたコラ
ーゲンケーシングは、前記したソーセージ用のケーシン
グとして好適に使用されるほか、従来、コラーゲンケー
シングが使用されていた各種加工食品その他の用途にも
利用できる。
【0020】
【作用】コラーゲンケーシングの材料となるコラーゲン
に、油脂成分が含まれていると、コラーゲンケーシング
を用いたソーセージ等を加熱調理したときに、ケーシン
グが破れたり、ケーシングと肉が剥離したりするのを良
好に防止する効果がある。これは、油脂成分が、コラー
ゲン構造に柔軟性や耐久性を付与するためであると考え
られる。
【0021】しかし、コラーゲンに含まれる油脂成分
が、ラードやヘットのような、コラーゲン原料由来の油
脂であった場合には、コラーゲンケーシングの保存性や
品質安定性を損なうという新たな欠点を生じる。これ
は、油脂成分の酸化安定性が劣るためであると考えられ
る。そこで、この発明では、コラーゲン材料に原料由来
の油脂を含有させておくのではなく、コラーゲン材料と
は別に用意された、融点が20℃以下で酸化安定性の高
い食用油脂を、コラーゲンの乾燥重量に対して2〜30
重量%の割合でコラーゲン溶液に添加して均質に混合し
ておく。
【0022】酸化安定性の高い食用油脂であれば、コラ
ーゲンケーシングの保存性や品質安定性を損なうことな
く、加熱調理性を向上させることができる。コラーゲン
溶液に添加する食用油脂の種類や量を調整すれば、コラ
ーゲンケーシングの用途や要求性能に合わせて、加熱調
理性その他の特性を適切な範囲に制御できる。食用油脂
の融点が高いと、コラーゲン溶液に混合され難く、均質
に混合するには混合作業に時間がかかる。また、混合後
に、コラーゲン溶液中で食用油脂が固まる問題も生じ
る。しかし、食用油脂の融点が20℃以下であれば、上
記のような問題は起こらない。
【0023】上記のような特性を備えた食用油脂とし
て、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油の中か
ら選ばれた何れか1種の油脂、もしくは、これらの食用
油脂を主成分として含む混合油脂が好ましいものとな
る。コラーゲン溶液に食用油脂を添加する場合、均質に
混合されていないと、製造されたコラーゲンケーシング
の特性が十分に向上せず、場所による特性のバラツキも
生じる。
【0024】そこで、食用油脂をコラーゲン溶液中に乳
化混合すれば、単純に混合しただけでは均質に混合し難
い食用油脂であっても、コラーゲン溶液に均質かつ迅速
に混合することができ、コラーゲンケーシングの特性向
上に有効となる。乳化剤としてゼラチンを用いると、コ
ラーゲン溶液への食用油脂の乳化混合が良好に行われ
る。特に、前記した等電点の異なる2種類のゼラチンを
組み合わせ、溶液のpHを、両者の等電点の間のpH値
に設定しておくと、2種類のゼラチンの間に生じるコア
セルベーション反応で、食用油脂の微小な粒を核とし
た、いわゆるミクロコアセルベートが形成され、このミ
クロコアセルベートが溶液中で均質かつ安定して存在す
るので、良好に混合乳化状態が得られるものと考えられ
る。
【0025】
【実施例】
−実施例1− 〔コラーゲン成形材料の調製〕脱毛した新鮮な牛床を、
10cm平方大に裁断し、牛床1部に対して2部の割合か
らなる濃度0.4%の石灰乳中に20℃で30日間浸漬
した。浸漬処理された原料は水洗した後、塩酸を用いて
中和した。さらに、この処理原料を、牛床1部につき2
部の割合からなる濃度1%の塩化アンモニウム水溶液中
に5時間浸漬した後、流水で水洗し、精製した。得られ
た精製原料を、直径4mmの細孔を有するプレートを取り
付けた肉挽き機で細かく切断した。さらに、擂鉢の表面
と同じ構造をもった平らなプレートが互いに向かい合
い、その片方が高速回転するという解繊機を使用し、そ
の間隙に前記切断原料を通過させることにより微細化し
て、コラーゲン繊維分散物を得た。
【0026】このコラーゲン繊維の20重量%を、固型
分濃度8%及び水酸化ナトリウム濃度3%の水性懸濁状
態にして、20±1℃で2日間保温した。このようにし
て、可溶化したコラーゲンを含む乳濁液が得られ、この
乳濁液を20℃を超えないように注意して、塩酸でpH
4.0まで低下させて繊維状物質を凝集させ析出させた
後、脱水分離した。
【0027】得られた脱水分離物に、前記のコラーゲン
繊維の残量(80重量%)を加え、これを牛床固体濃度
3.5%でpH3.5になるように乳酸水溶液で膨潤さ
せた。ここに、パーム油と水添オリーブ油の混合油から
なる食用油脂(融点15℃)を0.3%添加し、均質に
混合した。コラーゲンの乾燥重量に対する食用油脂の割
合は、(0.3/3.5)×100=8.6%になる。
この均質混合物をホモジナイザーに通過させて、成形液
となる糊状コラーゲン混合物(コラーゲン成形原液)を
得た。 〔コラーゲンケーシングの製造〕糊状コラーゲン混合物
を、減圧下で脱泡した後、互いに逆回転するダイスで構
成された環状ノズルを通して、成形凝固液中にチューブ
状に押し出して成形した。上記成形凝固液は、燻液5%
(HCHO換算濃度:1.02mg/ml )を含む20%食
塩水(20℃、pH10.0)からなるものであった。
環状ノズルのノズル間隙は1.0mm、ダイス直径は19
mmであった。成形されたコラーゲン成形チューブは、そ
のまま成形凝固液中に60分間浸漬しておいた。
【0028】コラーゲン成形チューブを、成形凝固液か
ら取り出し、流水で60分間水洗した後、pH5.0で
2.0%のグリセリンを含む可塑化処理液に、10℃で
30分間浸漬した。可塑化処理液から取り出したコラー
ゲン成形チューブの内部に空気を送り込み、コラーゲン
成形チューブを中空円筒状に保った状態で、75℃(1
0%Rh)で温風乾燥を行った。
【0029】乾燥工程を終えたコラーゲン成形チューブ
に、熱硬化工程を行った。熱硬化工程では、40℃で3
時間の予備加熱を行った後、80℃で8時間の加熱処理
を行った結果、コラーゲンケーシングが得られた。前記
実施例で得られたコラーゲンケーシングに、ソーセージ
肉等を詰めてソーセージを製造し、このソーセージを、
フライパンで炒めたり、熱湯でボイルしたり、油でフラ
イしたり、直火でバーベキューしたりする加熱調理を行
ったが、ケーシングの破裂やケーシングと肉の剥離など
の不都合は全く起こらなかった。コラーゲンケーシング
を一定期間保管しておいてから、同様にソーセージを製
造したが、品質の低下は認められなかった。
【0030】上記実施例において、食用油脂の添加量を
種々に変更して、その結果を評価した。図1にその結果
を示している。図中、食用油脂の添加量は、前記コラー
ゲン原料溶液中に含まれるコラーゲンの乾燥重量に対す
る食用油脂の添加量の重量%で示している。評価点は、
加熱調理後のケーシングの破れおよび剥離の程度を、下
記評価基準により、5段階に分けて評価したものであ
る。評価点5が最も加熱調理性が良く、評価点が少ない
ほど加熱調理性が悪いことになる。
【0031】<評価基準> 1=ケーシングが大きく破れ、完全に充填肉から剥がれ
た。 2=ケーシングが大きく破れ、充填肉との接着性も悪か
った。 3=ケーシングに小さな破れが起こり、充填肉との接着
性が多少悪かった。 4=ケーシングに破れは無かったが、充填肉との接着性
が少し悪かった。
【0032】5=ケーシングに破れは全くなく、充填肉
との接着性も良好であった。 図1の評価結果から、食用油脂の添加量が、2重量%以
上あれば、加熱調理性の向上効果が十分に発揮できるこ
とが判る。さらに、図2には、上記実施例において、製
造されたコラーゲンケーシングの油脂含量と加熱調理性
との関係を表している。
【0033】<コラーゲンケーシングの油脂含量測定方
法> (1) 試料を適当な容器に入れ、105℃の乾燥器中で6
時間乾燥し、デシケータ中に放冷したのち、速やかに3
〜5gを量り、200mlの共栓付き三角フラスコに入れ
る。 (2) 18%塩酸100mlを入れ、栓をして、沸騰水浴中
で3時間分解する。
【0034】(3) 分解後、30℃以下に冷却し、n−ヘ
キサン50.0mlを入れ、30℃の水浴中で20分間激
しく攪拌する。 (4) 二層に分離したら、上層をNo.5Aの濾紙で濾過
し、濾液25.0mlを蒸発皿(予め105℃で1時間乾
燥した後、デシケータ中で室温まで放冷し精秤したも
の)に採取する。
【0035】(5) この蒸発皿を、70℃の水浴バス上で
加熱し、n−ヘキサンを蒸発させた後、さらに、105
℃の乾燥器中で1時間乾燥する。 (6) この蒸発皿を、デシケータ中で室温まで放冷し、重
量を精密に量り、油脂含量を下式で算出する。 油脂含量(%)={残量(g)×2/乾燥試料重量
(g)}×100 上記コーラゲンケーシングの油脂含量の測定データか
ら、コラーゲンケーシング乾燥重量に対し2重量%以上
の油脂分を含有していれば、良好な性能が発揮できるこ
とが判る。
【0036】−実施例2− 実施例1において、食用油脂として、水素添加したオリ
ーブ油(融点5〜8℃)を0.5重量%(コーラゲンの
乾燥重量に対しては5.7%)添加した以外は、実施例
1と同様の方法でコラーゲンケーシングを製造した。そ
の結果、実施例1と同様に優れた性能が発揮できた。
【0037】−実施例3− 実施例1において、食用油脂として、ヤシ油とオリーブ
油の混合油(融点12℃)を0.5重量%(コーラゲン
の乾燥重量に対しては14.3%)添加した以外は、実
施例1と同様の方法でコラーゲンケーシングを製造し
た。その結果、実施例1と同様に優れた性能が発揮でき
た。
【0038】−実施例4− 実施例1において、脱水分離物を得た後、以下の工程を
行った。得られた脱水分離物に、前記のコラーゲン繊維
の残量(80重量%)を加えた。ここで、パーム核油と
水添オリーブ油の混合物からなる食用油脂(融点13
℃)を均質に混合するために、ゼラチンからなる乳化剤
を用いた。まず、等電点8.5の酸処理ゼラチンと等電
点5.0のアルカリ処理ゼラチンを50:50の重量比
率で膨潤、溶解させて乳化剤を得た。この乳化剤を溶解
させた水溶液に、前記食用油脂を混合乳化させた。この
混合乳化液を、前記脱水分離物とコラーゲン繊維の分散
物に十分攪拌混合させた後、乳酸水溶液で膨潤させ均質
に混合した。このときの牛床固体濃度は、3.5%、食
用油脂濃度は0.5%(コーラゲンの乾燥重量に対して
は14.3%)、pHは3.5であった。この均質混合
物をホモジナイザーに通過させて、成形液となる糊状コ
ラーゲン混合物(コラーゲン成形原液)を得た。
【0039】その後の工程は、実施例1と同様にしてコ
ラーゲンケーシングを製造したところ、実施例1と同様
に優れた性能が発揮できた。 −実施例5− 食用油脂の違いによる性能の比較を行った。酸化安定性
の悪い食用油脂として、ラードおよびサフラワー油を用
い、酸化安定性の良い食用油脂として、パーム油、オリ
ーブ油、ヤシ油、パーム核油を用いた。
【0040】実施例1に準じて、コラーゲンケーシング
を製造した。なお、融点の高い食用油脂については、単
独ではコラーゲン溶液に均質に混合することができなか
ったので、融点の低いオリーブ油との混合油として使用
した。製造直後の性能については、何れの食用油脂も、
実用上問題はなかった。そこで、コラーゲンケーシング
を、25℃−70%RHで4か月間保管した後の経時変
化を測定した。実施例1と同様の加熱調理性試験を行っ
た。表1に測定結果を示している。
【0041】
【表1】 ────────────────────────────────── 食用油脂 外観状態 色調変化 臭気変化 製造時→経時後(備考) ────────────────────────────────── 比較例5.1 ラード 5→3(破れ、剥離) 褐 変 酸敗臭 +オリーブ油 比較例5.2 サフラワー油 5→2(破れ、剥離) 褐 変 酸敗臭 実施例5.1 パーム油 5→5(変化なし) 変化なし 変化なし +水添オリーブ油 実施例5.2 水添オリーブ油 5→5(変化なし) 変化なし 変化なし 実施例5.3 やし油 5→5(変化なし) 変化なし 変化なし +オリーブ油 実施例5.4 パーム核油 5→5(変化なし) 変化なし 変化なし +水添オリーブ油 ────────────────────────────────── 以上の結果、酸化安定性の悪い油を用いた場合、製造直
後の加熱調理性は改善できても、経時的に性能を維持す
ることができないことが判る。
【0042】−実施例6− 市販のコラーゲンケーシングと、本願発明の実施例にか
かるコラーゲンケーシングの性能比較を行った。A〜C
社製の市販コラーゲンケーシングと、前記実施例1で製
造されたコラーゲンケーシングを用いて、ソーセージを
製造し、加熱調理性を評価した。
【0043】ソーセージの製造プロセスとしては、一般
的に採用されている以下の方法を採用した。 A:ケーシングへの肉充填→ボイル(湯煮)→冷却→製
品 B:ケーシングへの肉充填→スチームクック(蒸煮)→
冷却→製品 C:ケーシングへの肉充填→乾燥→ボイル(湯煮)→冷
却→製品 D:ケーシングへの肉充填→乾燥→スチームクック(蒸
煮)→冷却→製品 上記工程中、乾燥は、温度65〜85℃、処理時間20
〜60分で行い、ボイルおよびスチームクックは、温度
70〜85℃、処理時間30〜90分で行った。乾燥工
程を省略したA,Bの製造プロセスは、コラーゲンケー
シングに対して最も苛酷な条件であるとされており、従
来、このような製造プロセスに良好に適用できるコラー
ゲンケーシングは見当たらなかった。
【0044】得られたソーセージに対し、実施例1と同
様の加熱調理試験を行った。表2に測定結果を示した。
測定結果は、5〜7個の試料に対して評価を行い、その
評価点の平均値で示した。
【0045】
【表2】 ─────────────────────────────── 製造プロセス コラーゲンケーシング 加熱調理性 ─────────────────────────────── 実施例6.1 A又はB 実施例1の実施品 5.0 比較例6.1 〃 A社製市販品 3.4 比較例6.2 〃 B社製市販品 3.1 比較例6.3 〃 C社製市販品 2.2 ─────────────────────────────── 実施例6.2 C又はD 実施例1の実施品 5.0 比較例6.4 〃 A社製市販品 4.1 比較例6.5 〃 B社製市販品 3.9 比較例6.6 〃 C社製市販品 3.2 ─────────────────────────────── 上記試験の結果、この発明の製法で得られたコラーゲン
ケーシングは、市販のコラーゲンケーシングに比べて、
はるかに優れた加熱調理性を示していることが判る。
【0046】−実施例7− 実施例6と同様の手順で、市販のコラーゲンケーシング
と、本願発明の実施例にかかるコラーゲンケーシングの
性能比較を、ソーセージを製造するのに用いる充填肉を
変えて行った。市販の各種ソーセージの成分組成を分析
したところ、下記のようにかなりのばらつきがある。
【0047】〔ソーセージの成分組成〕 水分 …65.6〜48.0%(平均57.7%) 蛋白質…17.5〜9.1%(平均12.5%) 脂肪 …34.6〜10.0%(平均20.5%) 食塩 …2.6〜0.9%(平均1.6%) 従来、同じコラーゲンケーシングを用いても、充填肉が
違うと加熱調理性も違ってくることが判っている。そこ
で、市販の各種充填肉を用いて、ソーセージを製造し、
その加熱調理性を評価した。ソーセージの製造プロセス
としては、肉充填→ボイル(70℃、45分)→冷却と
いうプロセスを採用した。
【0048】
【表3】 ─────────────────────────── 充填肉 ケーシング 加熱調理性 ─────────────────────────── 実施例6.1 α社製−1 実施例1の実施品 5.0 比較例6.1 α社製−1 A社製市販品 4.8 実施例6.2 α社製−2 実施例1の実施品 5.0 比較例6.2 α社製−2 A社製市販品 1.8 実施例6.3 β社製 実施例1の実施品 5.0 比較例6.3 β社製 A社製市販品 1.3 実施例6.4 γ社製 実施例1の実施品 5.0 比較例6.4 γ社製 A社製市販品 3.3 ─────────────────────────── 上記試験の結果、この発明の実施品であれば、充填肉の
違いに全く影響を受けず、常に良好な加熱調理性を示
す。したがって、ソーセージの種類や加工業者によっ
て、異なる様々な原料を用いた場合でも、この発明の製
法で得られたコラーゲンケーシングであれば、確実に加
熱調理性を向上させ得ることが判る。
【0049】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかるコラー
ゲンケーシングの製造方法によれば、コラーゲン溶液中
に、前記のような食用油脂を添加して均質に混合してお
くことにより、製造されたコラーゲンケーシングは、品
質安定性や保存性を低下させることなく、加熱調理性を
大幅に向上させることができる。
【0050】その結果、天然の羊腸に近い優れた特性を
備えたケーシングを提供することが可能になり、ソーセ
ージ等のケーシングを用いた食品の品質向上に大きく貢
献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例および比較例の加熱調理性
評価試験の結果を、食用油脂の添加量との関係で示す線
【図2】 この発明の実施例および比較例の加熱調理性
評価試験の結果を、コラーゲンケーシングの油脂含量と
の関係で示す線図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲン溶液をチューブ状に成形して
    コラーゲンケーシングを製造する方法において、コラー
    ゲン溶液中に、融点が20℃以下で酸化安定性の高い食
    用油脂を、コラーゲン溶液中のコラーゲンの乾燥重量に
    対して2〜30重量%の割合で添加して均質に混合して
    おくことを特徴とするコラーゲンケーシングの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において、食用油脂とし
    て、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油の中か
    ら選ばれた何れか1種の油脂、もしくは、これらの食用
    油脂を主成分として含む混合油脂を用いるコラーゲンケ
    ーシングの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の方法において、食用
    油脂をコラーゲン溶液中に混合乳化させておくコラーゲ
    ンケーシングの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の方法において、乳化剤とし
    て、等電点6.5〜9.0の第1のゼラチンと、等電点
    4.5〜5.5の第2のゼラチンとを、第1のゼラチ
    ン:第2のゼラチン=95:5〜10:90の重量比率
    で含む乳化剤を用いるコラーゲンケーシングの製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003017770A1 (en) * 2001-08-25 2003-03-06 Devro Plc Collagen casing
JP2010536350A (ja) * 2007-08-20 2010-12-02 エバーハルト・カールス・ユニバーシタット テュービンゲン ユニバーシタットスクリニクム コラーゲン含有細胞担体

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