JPH0650966B2 - 組識培養によるメロン苗の増殖方法 - Google Patents

組識培養によるメロン苗の増殖方法

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JPH0650966B2
JPH0650966B2 JP18213589A JP18213589A JPH0650966B2 JP H0650966 B2 JPH0650966 B2 JP H0650966B2 JP 18213589 A JP18213589 A JP 18213589A JP 18213589 A JP18213589 A JP 18213589A JP H0650966 B2 JPH0650966 B2 JP H0650966B2
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melon
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悦子 松永
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はメロンの茎頂部から不定胚を作出せしめること
によって、クローン苗を増殖する方法に関する。
(従来の技術) メロンの形質遺伝は複雑であり、育種の目標とする形質
には遺伝的に劣性あるいは量的遺伝の形質が多く、これ
らの形質を複合して固定することは、従来から行われて
いる交配育種では極めて困難と言われている。従って、
雑種や突然変異によって得られる優れた特性を持った品
種を育成することが望まれている。
しかし、突然変異等により得られた植物固体は、栄養増
殖以外に増殖法がなく、栽培を目的とする場合には、迅
速かつ効率的に幼苗を栄養増殖しなければならない。そ
の最も効率的な方法は、組織培養の応用である。
既に、メロンについてはカルスから不定芽に由来する植
物体の再生が報告されている(豊田秀吉,1987:植物組
織培養4(1),8、Suematsu,N.,H.Otsuka,1986:Japan J.Br
eed.,36(suppl.1),22、Bouabdallah,L.,M.Branchard,198
6:Z.Pflanzenzucht 96,82、Naito,T.,M.Sato,1985:Jap
an J.Breed.,35(suppl.2),30)。しかし、上記の方法
は、カルスからシュートを誘導した後、そのシュートを
発根させ植物体を得るという二段階のステップが必要な
ために、大量増殖を行うには効率が悪い。
また、別の方法としては、完熟種子中の子葉と無菌播種
して育成した幼苗の胚軸から不定胚の作出を行う方法が
報告されている(Oridate,T.,K.Oosawa,1986:Japan J.B
reed.,36,424)。しかし、この方法では、通常、優良な
形質或いは目的とする形質を有するクローンの大量増殖
には、突然変異株、優良雑種などの植物体の組織を材料
としなければならないので、種子由来の子葉からの不定
胚の形成が認められたところで、クローン苗の大量増殖
を期待することはできない。
また、特開昭63−248320号公報には、茎頂組織
や子葉から液体培養によって体細胞胚を作出する方法が
提案されているが、材料とする茎頂組織から直接作出さ
れる体細胞胚の数は限定されているので、この方法で多
量の植物体を得るのは困難である。
(発明が解決しようとする課題) 上記の如く、従来の方法には、種子から誘導される不定
胚のような材料上の制約、茎頂組織から直接誘導される
体細胞胚のような量的な制限、またカルスからの不定胚
の再分化のような大量増殖の適性の不十分等の欠点が見
られる。従って、本発明は、不定胚を作出しメロンの種
苗を効率良く大量に増殖することのできる新規な増殖法
を提案するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、メロン栄養体の一部を外植体とし、高濃度に
シュークロースを含有する植物組織培養用培地に置床
し、これを培養することにより不定胚形成カルス(somat
ic embryogenic callus)が見られること、この様にして
得られた不定胚形成カルスは不定胚形成能力を失うこと
なく、遺伝的に安定した状態で継代培養が可能であるこ
と、更にこのカルスをシュークロースの濃度を低下させ
た固体培地で培養することにより多数の不定胚が形成さ
れ、不定胚から簡単に幼苗が得られること等の知見に基
くものである。
即ち、本発明に係るメロン苗の増殖方法は、メロンの茎
頂部を5〜12%のシュークロース、無機塩類、ビタミ
ン類、及び植物ホルモン類を含有する培地で培養して不
定胚形成能を持つカルスを誘導した後、更に、このカル
ス或いはこのカルスを継代培養して得られたカルスを、
1〜4%のシュークロース、無機塩類、及びビタミン類
を含有する培地に移植して不定胚の発達を促し、メロン
苗を得ることを請求項1の特徴とし、前記カルスから不
定胚を形成させるに際し、培地としてジェランガム固体
培地を用いることを請求項2の特徴とする。
以下、本発明による不定胚の作出、メロンの増殖法につ
き詳細に説明する。
不定胚形成カルスの誘導: メロンの茎頂を適当な濃度の次亞塩素酸ソーダーで殺菌
し、減菌水で洗浄後、実体顕微鏡下で無菌的に茎頂部を
摘出する。また、無菌的に育成したメロンの場合は殺菌
は行わずに茎頂部を同様に摘出する。この茎頂部をシュ
ークロース、無機塩類組成物、ビタミン類および植物ホ
ルモンを含む人工寒天固体培地に置床する。この寒天固
体培地は、シュークロースの濃度を5〜12%と高濃度
に設定されており、pHは通常5〜6に調整される。ま
た、無機塩類組成物としてはムラシゲ・スクーグ培地、
リンスマイヤー・スクーグ培地などの組成物を規定の濃
度に準じて或いは適宜稀釈する等して用いることができ
る。
本発明の特徴は、このシュークロースの濃度にあるので
あり、通常1〜4%とされている濃度を、本発明におい
ては5〜12%、更に好ましくは6〜9%に調整する。
4%以下及び13%以上では、不定胚及び幼植物体の収
率が低い。また、シュークロースに加えて、グルコー
ス、フラクトース、マントース、ガラクトース等の炭水
化物を併用しても良い。
シュークロース以外の培地の成分は、通常の濃度でよ
く、ビタミン類としてはチアミン、ピリドキシン、ニコ
チン酸、ビオチンなどを用い、また植物ホルモンとして
は、インドール酢酸(IAA)、インドール酪酸(IB
A)、2,4−ジクロルフェノキシ酢酸(2,4−
D)、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸(2,
4,5−T)、ナフタレン酢酸(NAA)などのオーキ
シン類およびベンジルアデニン(BA)、カイネチン、
ゼアチンなどのサイトカイニン類を使用することができ
る。これらの植物ホルモンは適宜併用することができ、
特に、2,4−Dとベンジルアデニンの併用は好まし
い。
なお、茎頂部の培養を行う温度は、良好な増殖を図るた
めに、20〜30℃とすることが望ましい。
茎頂部は1〜2ヶ月培養すると、淡黄色の柔らかいカル
スとして増殖する。このカルスを実体顕微鏡下で観察す
ると多数の初期不定胚が観察され、通常の完全に脱分化
したカルスとは明らかに異なっている。このようにして
高濃度にシュークロースを含有させた培地から誘導され
た不定胚形成カルスは、上述の組成からなるジェランガ
ムまたは寒天固体培地でその性質を変化させることなく
継代培養することが可能であり、また同組成の液体培地
に接種し20〜200rpmのゆるやかな振盪培養を行うことに
よっても、継代培養および増殖が可能である。
不定胚の形成と個体の再生、苗化: 本発明においては、上記のようにして増殖させた不定胚
形成能を持つカルスを、このカルスを誘導した培地とは
異なる培地に移植して、不定胚を形成せしめる。不定胚
形成のために使用される培地は、シュークロースの濃度
が1〜4%と少ないのが特徴である。
その他の組成は、基本的にカルスを誘導した培地と同じ
であって良い。但し、植物ホルモンについては、既にメ
ロン以外の多くの植物の組織培養で行われているよう
に、不定胚を形成する培地中には、この植物ホルモンを
添加しない方が好ましく、添加する場合にも極めて微量
とし、不定胚形成の後は、やはり植物ホルモンを除いた
培地で培養を継続することが望ましい。この培地は、寒
天培地でも液体培地でも良いが、幼植物の効率的な培養
の面からは、ジェランガム固体培地が最適であって、形
成される不定胚の表面に軟弱さがなく、健全な幼植物が
得られる。
移植されたカルスは、通常の温度条件、照度条件で培養
すると、多数の不定胚が生じ、それに続いて微小な茎葉
体を生じる。適当な条件は、20〜30℃の温度、2,000〜
5,000ルクスの照度である。この状態のままで培養を続
けると、茎葉体が高密度のため生育が悪くなるので、個
々に分割し同様な条件で固体培地上で培養を継続する
と、発根し完全なメロンの植物体となる。液体培地の場
合は、20〜100rpmで振盪培養し不定胚とそれに続く微小
な茎葉体が形成された後、液体培地より取り出し個々に
分割し固体培地上で培養することにより完全な植物体と
することが出来る。この様にして得られた植物体をバー
ミキュライトあるいは育苗用土壌に移植し一般的な方法
で馴化することにより、温室、圃場に植栽可能なメロン
苗を得ることができる。
本発明で増殖可能なメロンは、Cucumis melo Lに属する
ものであって、アールス系、カンタループ系、ハネデュ
ー系を例示することができるが、それに限定されない。
(実施例) 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1] 無菌的に発芽させた温室メロン「南勝アールス」から摘
出した0.2〜0.5mmの茎頂組織10個をシュークロースを7
%と高濃度に含有させ、2,4−Dを1ppmと、ベンジ
ルアデニンを0.1ppm含むムラシゲ・スクーグ培地に
置床し、温度25℃、照度3000ルクスの連続照射を
2か月間行ったところ、茎頂組織から平均0.6gの黄
白色のカルスが誘導された。誘導されたカルスを顕微鏡
下で観察すると多数の初期不定胚が認められた。次に、
このカルスをシュークロースを3%と低濃度に含有さ
せ、且つ植物ホルモンを含まないムラシゲ・スクーグの
ジェランガム固体培地に移植し、25℃、3000ルク
スの条件で20日間培養すると多数の不定胚が生じた。
30日間培養後、不定胚及び幼植物を組織から分離し、
同組成の培地に移し更に30〜60日間培養することに
より2〜4枚の本葉を有する3cm程度の健全な苗を得る
ことが出来た。一茎頂から得られた不定胚数は平均32
5個、幼植物体数は平均111個体であった。
[比較例1] 比較のために、実施例1において、カルスの誘導培地を
一般に使用されているシュークロース3%とした以外
は、実施例1と全く同様の条件でメロン苗を得た。不定
胚数は1茎頂当たり平均24個、幼植物体数は平均5個
体であり、シュークロース7%で誘導されたカルスに比
較し著しく低かった。
[実施例2及び3] 実施例1において、カルスを誘導する培地のシュークロ
ースの濃度を5%及び9%とした以外は全く同様にし
て、メロン苗を得た。シュークロース5%のときは不定
胚数が1茎頂当たり平均162個、幼植物体数は平均3
6個体であり、シュークロース9%のときは不定胚数が
平均182個、及び幼植物体数が平均48個体であっ
た。
[比較例2] 実施例2において、カルスを誘導する培地のシュークロ
ースを15%とした以外は全く同様にして培養を行った
ところ、誘導されたカルスは極めて微量で実験に適さな
かった。
[実施例4] 実施例1において、カルスを誘導する培地の組成とし
て、シュークロースを11%、2,4−Dを0.2pp
m、ベンジルアデニンを0.1ppm含むムラシゲ・スクー
グ培地を使用した以外は全く同様にして、メロン苗を得
た。不定胚数は1茎頂当たり平均85個、幼植物体数は
平均36個体であった。
[実施例5] 実施例1と同様に、シュークロース濃度7%の培地で誘
導した不定胚形成カルスを、継代培養した。同一培地に
2か月ごとに、増殖したカルスから0.3gをとって植え継
ぐことにより継代培養を行った。カルスの増殖率は生鮮
重量比で10.4倍であった。継代培養を5回行った不定胚
形成カルスを、植物ホルモンを含まずシュークロース濃
度3%のムラシゲ・スクーグのジェランガム固体培地で
60日間培養した結果、カルス1g当たり2200個の
不定胚と540個体の幼植物が得られた。この実施例か
ら、シュークロースを7%と高濃度に調整した培地で誘
導したカルスは、不定胚形成能を消失することなく継代
培養が可能であることが分る。
[実施例6] 実施例5において、シュークロース7%の培地でカルス
の継代培養を4回行った後、5回目の継代培養をシュー
クロース3%の培地で行った以外は、同様にした。結果
は、カルス1g当たり2080個の不定胚、920個体
の幼植物が得られ、極めて優秀であった。
[比較例3] 比較のために、実施例5においてシュークロース7%の
培地に代えて、シュークロース3%の培地を使用して、
実施例5と同様にして継代培養を試みたところ、2回の
継代培養で不定胚形成能は消失してしまった。
[実施例7] 実施例1と同様にシュークロース7%の培地で誘導した
不定胚形成カルスを、液体培養により継代培養した。方
法としては、先ずシュークロースを7%、2,4−Dを
2ppm、ベンジルアデニンを0.1ppm含むムラシゲ・ス
クーグ液体培地で、不定胚形成カルスの細胞懸濁液を調
製した。この細胞懸濁液を篩分することにより125〜100
0μmの大きさのカルス塊を集め、その0.4gを細胞懸濁
液を調製した培地と同組成の培地20mlに接種し暗黒下、
25℃、60rpmで30日間振盪培養した。増殖した細胞を
同様に篩分、125〜1000μmの細胞1gを得、その0.6gを1
00mlの同組成の培地に接種し培養を繰り返した。30日
間培養後篩分し、250〜1000μmの大きさの細胞塊1.72g
を得た。
次に、得られた細胞塊0.1gをとり、シュークロース1.
5%で植物ホルモンを含まない1/2稀釈ムラシゲ・ス
クーグの寒天培地に置床し、25℃、3000ルクスの
条件で60日間培養することによりカルス1g当たり不
定胚320個と50個体の幼植物を得ることができ、液
体培養によっても不定胚形成能を消失することなく継代
培養が可能であることが確認された。
[実施例8] 実施例7において、液体培養によって得られた細胞塊の
培養に際して、寒天の固体培地の代わりにジェランガム
の固体培地を用いて同様な条件で不定胚を発生させたと
ころ、60日間の培養でカルス1g当たり不定胚286
0個と870個体の幼植物体が得られた。不定胚の発生
には、ジェランガムの固体培地の使用が効果的であるこ
とが明らかになった。
(発明の効果) 本発明の方法によれば、培地のシュークロースの濃度を
調整するのみで、極めて効率良くメロンのクローン苗を
増殖することができる。特に、本発明は、メロンの茎頂
部由来の不定胚形成カルスについて、簡単な操作で継代
培養することを可能にしたので、クローン苗の大量増殖
が実行可能になった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メロンの茎頂部を、シュークロースが5〜
    12%であって、無機塩類、ビタミン類、及び植物ホル
    モン類を含有する培地で培養して不定胚形成能を持つカ
    ルスを誘導した後、このカルス或いはこのカルスを継代
    培養して得られたカルスを、シュークロースが1〜4%
    であって、無機塩類、及びビタミン類を含有する培地に
    移植して不定胚の発達を促し、苗を得ることを特徴とす
    る組織培養によるメロン苗の増殖方法。
  2. 【請求項2】前記カルスから不定胚を形成させるに際
    し、培地としてジェランガム固体培地を用いることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
JP18213589A 1989-07-14 1989-07-14 組識培養によるメロン苗の増殖方法 Expired - Lifetime JPH0650966B2 (ja)

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