JPH0651105B2 - セリシンを架橋薄膜化した分離膜及びその製法 - Google Patents

セリシンを架橋薄膜化した分離膜及びその製法

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JPH0651105B2
JPH0651105B2 JP2086599A JP8659990A JPH0651105B2 JP H0651105 B2 JPH0651105 B2 JP H0651105B2 JP 2086599 A JP2086599 A JP 2086599A JP 8659990 A JP8659990 A JP 8659990A JP H0651105 B2 JPH0651105 B2 JP H0651105B2
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健作 溝口
隆 岩坪
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はセリシンを架橋成形して分離膜とすることを目
的としたセリシンの架橋薄膜化方法及びその分離膜とし
ての利用方法に関するものである。
本発明によるセリシンをベースとする分離膜は、セリシ
ンが多官能性であるために非晶質構造をとり易くしたが
って結晶化度の小さい薄膜となって優れた分離性能を発
揮し、水−アルコール分離など化学工業やバイオインダ
クトリー等の産業分野に広く利用することができる。
従来の技術 生糸繊維は結晶性・配向性の高いフィブロインとそれを
保護するセリシンという2種の蛋白質から構成されてい
る。絹はこのうちほとんどのセリシンを精錬によってと
り除いたフィブロインを主体とする繊維であり、従来こ
のセリシンをいかに経済的にとり除くかが大きな技術問
題であった。
ところで、セリシンが高温水に溶解しうること、すなわ
ち比較的親水性に富むこと、多官性能であり反応性に富
むこと、すなわちたとえばホルムアルデヒドで架橋しう
ること、非晶性に富むことなどは絹科学の分野では良く
知られている(石川欣造監修「繊維」81ページ東京電
機大学出版局1984年、皆川基著「絹の科学」109
ページ及び322ページ関西衣生活研究会1981年な
ど)・また近年セリシンを天然資源として有効利用しよ
うとする気運もあり、たとえばセリシンをグルタルアル
デヒドで架橋薄膜化した酵素固定化膜(宮入、杉浦、Jo
urnal of Fermentation Technology56巻4号303ペ
ージ1978年)などの報告も見られる。しかしながら
セリシン薄膜を分離膜として利用することについての研
究は従来報告されていない。一方、水−エタノール、水
−イソプロピルアルコール、水−アセトンなど水溶性有
機物の濃厚溶液から水を選択的に透過分離させる水選択
分離膜については近年著しく研究が進み、一部は実用に
供されるに至っている。しかしながら、高性能,安定で
ありかつ安価な水選択分離膜へのニーズは今後なお継続
すると思われ、研究開発の一環としてセリシンのごとき
天然高分子化合物の膜素材としての利用にも期待の大き
いのが現状である。
発明が解決しようとする課題 しかしながら一方で生糸重量の20%をしめる除去セリ
シンは、年約2000トンが排水中に放出されて環境汚
染の一因となるなどその放出防止及び有効利用について
は古くから大きな期待がかけられていた。
本発明は、このようにこれまで利用されていなかったセ
リシンを用いて分離膜として有用な高分子膜を得ること
を目的としてなされたものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは、鋭意研究を進めた結果、ガラス板上に流
延したある種の架橋剤を含む流延用セリシン水溶液が架
橋薄膜を形成し、かつこれが水−アルコール系における
水の選択的分離にすぐれた性能を発揮することを見出し
て本発明をなすに到った。すなわち本発明はセリシンの
架橋薄膜化方法と該架橋薄膜からなる高分子分離膜に関
するものである。
本発明は親水性であるため水を選択的に透過させる可能
性があること、非晶性であるため結晶性材料に比べ透過
性が大きいと予想されること、多官能性であるため適当
な架橋剤によって強大なる薄膜が形成しうること等セリ
シンのもつ性質を積極的に活用して水選択透過型の分離
膜を製造したものであり、具体的にはセリシン水溶液に
架橋剤を加えてガラス板等平滑面上に流延し、しかる後
に架橋を進行させて架橋薄膜とし、洗浄してセリシン分
離膜とする。流延すべき架橋剤含有セリシン水溶液すな
わち流延用セリシン水溶液はセリシン水溶液、塩酸、架
橋剤A水溶液、架橋剤B水溶液から構成される。セリシ
ン水溶液の濃度は望ましくは1〜10%、さらに望まし
くは1〜3%であり、10%以上では水溶液全体がゲル
化して流動性を失うことがある。塩酸水溶液の濃度に
は、特に制限はないが、通常1%の程度が望ましい。架
橋剤Aはホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなどセ
リシン分子中のアミノ基、カルボキシル基などと架橋反
応を起こしやすいアルデヒド類でその水溶液濃度はホル
ムアルデヒドの場合望ましくは5〜40%、さらに望ま
しくは30%であり、グルタルアルデヒドの場合で望ま
しくは5〜25%、さらに望ましくは10%である。架
橋剤Bはウレタン結合によってセリシン分子間を強固に
架橋し、薄膜の強度向上に役立つものであり、熱反応型
水溶性ウレタン樹脂と呼ばれるものである。その水溶液
は、市販品をそのまま使用することが可能である。流延
用セリシン水溶液は、上記の各構成成分水溶液を混合し
て調整する。この場合セリシン水溶液は80〜90部、
架橋剤A水溶液0〜10部,架橋剤B水溶液2〜20
部、計100部とすることが好適である。塩酸水溶液は
必要に応じ、全体としてのpHが4〜6程度となるよう
添加する。セリシン水溶液量の多少は薄膜の膜厚に関係
する。架橋剤A量の多少は主に薄膜内の架橋度に関係
し、多ければ架橋構造が密となる。架橋剤Bは強固な架
橋構造を形成し従ってその量の多少は、薄膜の強度に関
係する。
以上のように調整された流延用セリシン水溶液を、でき
るだけ清浄な環境条件下、室温で平滑板上に流延する。
平滑板としては、ガラス板、ポリイミドフィルム等が好
適である。流延後は室温条件下であるいは好ましくはほ
こりの付着を避けるため相対湿度50%程度、20℃前
後に調節された乾燥機中に40〜50時間静置して架橋
剤Aによる架橋を進行させ、しかる後100〜150℃
好ましくは120℃付近の熱風で5〜20分間好ましく
は約10分間処理して架橋剤Bによる架橋を進行させ
る。以上の手順により、セリシン架橋膜が形成される。
このようなセリシン架橋膜の形成にあたり塩酸を添加し
て流延用セリシン水溶液をpH4〜6程度の酸性側に保
つようにしてもよい。これにより架橋剤A、Bによる架
橋が促進されるが、酸成分存在下での100〜150℃
の熱風処理のため、セリシン架橋膜が脆化する場合があ
り、この点に留意して処理時間を短縮する等の対策を講
じる必要がある。形成されたセリシン架橋膜を分離膜と
して用いるに際しては該膜を十分水洗した後多孔性担持
体上に保持して使用する。水−アルコール系など水溶性
有機物水溶液を対象とする膜分離の方法としては、該膜
の一方に水溶性有機物水溶液を置きもう一方の側を減圧
として、水溶液を膜透過・蒸発させつつ分離させる浸透
気化法が好適である。次に実施例により本発明をさらに
詳細に説明する。
実施例 セリシンの2.4%水溶液90重量部、35%ホルムア
ルデヒド水溶液5重量部、熱反応型水溶性ポリウレタン
樹脂(第一工業製薬株式会社製、エラストロンE−3
7)5重量部からなる流延用セリシン水溶液を調製し
た。流延用セリシン水溶液をガラス板上にポリイミドフ
ィルムをおいた金型に入れ、約50%RHの乾燥機中に
40〜50時間静置乾燥した。このようにしてできた薄
膜をさらに120℃の熱風で10分間処理しセリシン薄
膜とした。2度の乾燥により、金型中の流延用セリシン
水溶液の液高さ6mmは0.13mmに減少し薄膜とな
った。該膜の一部を切取り、重量514mgの小片を4
0℃の温水中に放置したところ18時間後に314m
g,26時間後に309mgとなった。放置26時間
で、該膜内の未架橋セリシンなど水溶性物質は除去され
たと考えられる。次に分離性能測定に必要な大きさの膜
を切取り40℃温水中に26時間放置した後、浸透気化
分離装置に該膜を設置し、40℃で83.9重量%エタ
ノール水溶液を対象に浸透気化実験を行った。その時の
透過液濃度は34.2重量%であり、エタノール水溶液
は薄められて透過した。すなわち該膜は水選択透過性の
分離膜として有効であることがわかる。また透過量は
0.201g/時であった。
発明の効果 本発明は、セリシンを架橋薄膜化した分離膜の製造方法
及び形成された分離膜に関するものである。従来、生糸
の20重量%を占めその主成分の一つであるセリシン
は、いわゆる絹精錬によって除去され、そのほとんどは
排水中に放出され環境汚染の一因となっていた。本発明
はこのセリシンが比較的反応性に富んだ蛋白質であるこ
とに注目してこれを積極的に活用しようとするものであ
り、形成された膜は水−アルコール系分離膜として有用
であるのみならず、セリシンの排水への放出を抑制する
ことになる。また本発明の架橋製膜法はセリシンを広く
天然資源といて活用することに有効であって、たとえば
酵素固定化用の糸状担体、芳香剤用球状担体として利用
することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セリシン、ホルムアルデヒド、熱反応型水
    溶性ウレタン樹脂を含む混合水溶液を平滑面上に流延し
    て薄膜とし、しかるのち該膜内のセリシンを架橋して固
    体化することを特徴とするセリシンの架橋薄膜化方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法によって形成されたセ
    リシンをベースとして成る架橋高分子分離膜。
JP2086599A 1990-03-30 1990-03-30 セリシンを架橋薄膜化した分離膜及びその製法 Expired - Lifetime JPH0651105B2 (ja)

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JPH03284337A JPH03284337A (ja) 1991-12-16
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