JPH0655968B2 - 発泡合成繊維 - Google Patents

発泡合成繊維

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JPH0655968B2
JPH0655968B2 JP59221016A JP22101684A JPH0655968B2 JP H0655968 B2 JPH0655968 B2 JP H0655968B2 JP 59221016 A JP59221016 A JP 59221016A JP 22101684 A JP22101684 A JP 22101684A JP H0655968 B2 JPH0655968 B2 JP H0655968B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、スポンジ状空孔部を有する芯部と、これと明
確に区別し得る鞘部とからなる鞘/芯形二層構造の発泡
繊維に関するものであり、従来の発泡繊維の特徴を備
え、且つその最大の欠点である強力を補強し、新たに獣
毛状の外観、風合、色彩効果を付与した新規且つ有用な
繊維を提供するものである。即ち、その主たる目的は製
品の軽量化、嵩高性、保温性、断熱性の利用、及び軽量
化に基づく経済性の向上を図ることにあり、又他の目的
は獣毛に似た外観と風合、及び特殊な色彩効果を有する
繊維を得ることにある。従つて、その用途は各種編織物
は勿論のことシート、寝装具、インテリア製品、不織
布、立毛製品等応用範囲は広汎に亙るものである。
「従来の技術」「発明が解決しようとする問題点」 近年、新たな繊維組成の設計や後付加による繊維特性の
付与等、所謂本質的な繊維改良や機能性向上の他に、繊
維の立体的構造に工夫を凝らし付加価値を高める種々の
方策が取られる様になつた。例えば、合成皮革に見られ
る海島型断面繊維の分割、極細化を始め、断面形状の異
形化、繊維表面の微細構造に亙る改質等である。発泡繊
維は後者の範疇に属し、繊維中に独立或いは相互に連通
した気泡部、又はこれらの混在した構造を持たせ軽量
化、嵩高性、ソフト感、弾力性等の向上を目的として、
多数の試みがなされて来た。
かかる代表例として、特公昭43−4536、特公昭4
6−850、特開昭58−36208があるが、いずれ
も合成イ草や産業資材分野、或いはインテリヤ製品への
部分使用用途のものであり、衣料を始めとする所謂一般
的繊維を対象としたものではない。又、その構造上紡
績、編、織等一般的繊維としての加工に耐えうる機械的
物性、特に強度、伸度の点で不足しており、更に決定的
なことは着色(原液着色、染色、捺染)時に光沢、透明
感が低下し著しく品位を損なうことになる。一方、特公
昭42−21300、特公昭51−210、特公昭58
−38527等は、正にこの分野を意図したものと思わ
れるが、その実態は繊維断面当たり、たかだか数個の空
孔を有するのみであつて、発泡繊維の特徴が発揮されて
おらず未だ不十分といわざるをえない。更に、特開昭5
0−77616では複合繊維の例が開示されているが (1)同一組成物からなる鞘/芯が得られない、 (2)常に二種以上の紡糸原液が必要となる、(3)複
合ノズルを使用することによる製品装置の複雑化等経済
的にも有利とはいえず、(4)性能も本発明の目的とす
るものとは大きく異なる。
「問題点を解決するための手段」 本発明はかかる実情に鑑み、完成されたもので、発泡構
造を鞘/芯に二層化することにより、従来の発泡繊維が
有していた上記欠点を解消し、更に優れた風合、色彩効
果を付与したものである。
1種の紡糸原液を用いた湿式紡糸により得られるアクリ
ロニトリルを25重量%以上含有する繊維からなり、繊
維断面が、多数の空孔部とそれを仕切る壁面によりスポ
ンジ状に配置された芯部、及びその芯部と区別できる構
造を有する鞘部とからなり、且つ鞘部と芯部を構成する
重合体が同一組成物であつて、断面積に対する芯部の面
積比が5〜90%であることを特徴とする獣毛状発泡合
成繊維。
本発明の多数の空孔部とそれを仕切る壁面によりスポン
ジ状に配置された芯部とは、次に記す実質上空孔部を含
まない鞘部によつて包含される部分であつて、且つ独立
或いは相互に連通した気泡部、又はこれらの混在した多
数の空孔部が該繊維横断面のほぼ中心部分にランダム分
散、或いはフイルム状の膜でブロツクされた形態や製パ
ン時の酵母発泡状の構造、更には海島状構造等を意味す
る。但し繊維横断面に於ける位置付けは、鞘部によつて
囲まれて区域内であれば特に限定するものではない。
又、その芯部と区別できる構造を有する鞘部とは、発泡
構造をとらない通常繊維と同等の緻密性を有した部分を
指すが、必ずしも全く空孔部を含まないことを意味しな
い。即ち、芯部との対比に於いて差別化し得る程度の緻
密性を有した構造であれば十分である。但し、本発明の
重要な要点である二層構造による効果を損なわない程度
に留めなければならないことは言うまでもない。上記構
造に意図するものは、通常のホローフアイバーの如き完
全中空構造とはその目的を異にし、又このような構造で
は熱的或いは機械的外力により断面が変形し易く、本発
明の如き効果は得られない。更には芯部に於いて従来繊
維の如き繊維横断面当りたかだか数個の空孔部しか有し
ないものや、横断面全体に亙つて分散し鞘部との境界が
明確でないもの、或いは繊維表面部にまで芯部が突出し
たようなものも本発明の対象とするものではない。第6
図はこれら従来品の代表的な断面形状を示すもので、第
6図(A)は化学発泡剤による発泡繊維の例で、同
(B)は非相溶性ポリマーのブレンドによる相分離法の
例であり、更に同(C)は低沸点物を用いて得た中空構
造を有する発泡繊維である。
本発明の二層構造とは、第4図、第5図に一例として示
した天然獣毛の断面構造を一つの評価基準とすることが
でき、それは断面積に対する芯部の面積比で表しうる。
この時の、芯部/断面の面積比は断面写真により後述す
る方法で算出されるが、5〜90%の範囲が好ましい。
5%未満では発泡繊維として十分なる効果を発揮し得
ず、逆に90%を越えると特に機械的物性面で実用に供
し得ない。更に好ましくは10〜60%の時、最も本発
明の目的が効果的に達成される。又、一般繊維と同様の
各種繊維物性測定や、着色した際の特に濃・淡色におけ
る太さ感、微妙な光沢や透明感、色調等の特性を加える
ことによつて、評価により厳密なものとなる。
次に、本発明繊維の製法について述べる。先づ、このよ
うな構造物を得る基本的手段としては、次の方法の適用
が可能である。;(1)低沸点化合物による加熱発泡、
(2)化学発泡剤による分解発生ガスの利用、(3)不
活性ガス又は空気の封入、(4)発泡性樹脂のブレン
ド、(5)重合体中に分散した非相溶性液体若しくは固
体の後処理による抽出、(6)重合体と相溶性はないが
混和する樹脂のブレンドによる相分離、(7)後処理に
よる鞘部分の緻密化、(8)これら二種以上の組み合わ
せ等である。
以下、一例として(1)の方法に基づき記述する。
第一に、本発明の繊維を構成する重合体は、アクリロニ
トリル25重量%以上を含むことが必要で、より好まし
くはアクリロニトリル35〜85重量%、更に好ましく
はアクリロニトリル40〜60重量%である。アクリロ
ニトリルが25重量%未満では獣毛状の外観、風合、色
彩効果が得られ難い。これらは当然ながら単独或いは共
重合物、ポリマーブレンド物として使用できる。更に、
一般的に用いられる添加剤類、即ち、安定剤、有機、無
機の顔料や染料、艶消し剤、各種の触感改良剤、難燃
剤、増白剤等の使用も本発明の目的を阻害しない範囲で
あれば全く支障はない。尚、発泡効率を高める上で、ア
ルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、又はケイ酸
塩、金属酸化物、セルロース誘導体等の群より選ばれた
通常一般的に用いられる成核剤を後述する発泡剤と併用
することも有効である。
次に、繊維の基本的形状は通常の円形、馬蹄形、繭形、
ジヤガイモ形を初め、三角形、星形等の異形形状とする
何等制約を受けるものではない。但し、中空やトライア
ングルのような形状のものは、機械的外力によつて変
形、或いは破壊を受けやすく好ましくない。複合繊維の
場合も前記理由からも好ましくない。
第二は紡糸方法についてあるが、先ず低沸点化合物を用
いる場合の基本的概念について述べておく。通常、低沸
点化合物により発泡繊維を得る為には熱可塑性重合体の
溶剤溶液が紡糸ノズルに供給される以前の段階で、常用
圧力下で液体の低沸点化合物(以下、発泡剤という)を
添加混合し、紡糸原液とする。紡出後、繊維糸条中に含
有せる該発泡剤を繊維形成の過程に於いて、その沸点温
度以上に加熱気化せしめ、発生したガス膨張力により当
該構造物を得る。その他延伸、熱処理後は通常の繊維で
行なわれるものと何等変わるものではない。以下の説明
は、この基本的方法の順序に従う。
次に発泡剤は、通常の紡糸工程に於ける処理温度内で容
易に蒸発気化するものがよく、沸点温度120℃以下、
好ましくは10〜100℃の範囲のものが紡糸原液の調
整、発泡効率、熱エネルギー消費の点で好ましい。かか
る発泡剤としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、石油エーテル等の低級脂肪族炭化水素、シクロペン
タン、シクロヘキサン等の低級脂環式炭化水素、メタノ
ール、エタノール等のアルコール類、臭化エチル、沃化
メチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、ジエチ
ルエーテル等のエーテル類、1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン、トリクロロモノフル
オロメタン等の塩化弗化炭化水素、其他ケトン類、アル
デヒド類、エステル類等が挙げられる。これら発泡剤は
重合体の溶剤溶液中に添加され該繊維の紡糸原液となる
が、特に溶剤を用いる場合発泡剤の種類と共に、この溶
剤を後述する様に慎重に選択する必要がある。本発明に
到達し得たものも正に此の点に有り、又凝固過程に於け
るこの二者の挙動が重要となる。即ち、従来の方法、例
えばアクリル系発泡繊維の特許を引用すれば、使用する
溶剤との関係に於いて、発泡剤は重合体に対し非溶剤で
あつて、且つ該重合体の溶剤溶液、及び該重合体の凝固
液(以下、凝固液という)に不溶性、又は難溶性である
ことを必要条件としている。かかる例として、特公昭5
1−210、特公昭58−38527の実施例にみられ
る硝酸、チオシアン酸ソーダの如き無機系溶剤、特公昭
41−6297号、特公昭42−21300にみられる
ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシ
ド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)の如
き極性有機溶剤の例がある。しかしこの方法によれば、
発泡剤は何れも溶液中で単に分散されているに過ぎず、
かかる状態は紡糸原液の配管移送中に於ける発泡剤の凝
集、紡糸口金の目詰まり、発泡効率の低下、得られた発
泡繊維の強度低下等、重大な影響を及ぼしかねない。し
かも、後述する理由により本発明の目的とする構造物と
はならない。即ち、本発明に於ける発泡剤とは、重合体
に対しては非溶媒であつて、且つ重合体の溶剤及び溶剤
溶液に可溶、且つ重合体の凝固液、水に不溶性、又は難
溶性でなければならない。ここで重合体に対して非溶媒
でなければならない理由は、該構造物が発泡剤の気化に
よる発生ガスの膨張力によつて形成される為に、重合体
との間に界面の存在が必要であるからであり、又重合体
の溶剤及び溶剤溶液に可溶とは、上記分散状物の及ぼす
影響の防止、及び次に記す本発明の構造物を得るに不可
欠の要点であるからである。又、湿式紡糸に於ける凝固
液、水に不溶性又は難溶性とは発泡剤の系外への溶出を
防止すると共に、最大限有効に機能させる為である。
上記定義に従つて選ばれた溶剤と発泡剤との組み合わ
せ、例えばDMFに対する1,1,2−−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン、或いはアセトンに対
する1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオ
ロエタン、ペンタン、ヘキサン等を用いた場合、何故に
本発明の構造物となり得るかについて、本発明者らは次
の様に考えている。即ち、紡糸原液は紡糸ノズルより凝
固液中の押し出され、先ず表面部分から溶剤の繊維系外
への拡散、湿式法の場合凝固液、ここでは主に水の侵入
に伴う重合体に対する溶剤濃度の低下、重合体の遊離、
沈澱といつた所謂凝固と呼ばれる一連の繊維形成過程が
始まる。この凝固過程は、繊維の表面部分より溶剤の系
外への拡散と凝固液の内部侵入の相互拡散を繰りかえし
ながら、繊維中心部に向かつて徐々に進行し、所謂未凝
固弾性糸を形成する。このとき、最も凝固相に近い繊維
表面部分には本発明でいう鞘部、一般的にはスキン層と
呼ばれる鞘状の殻が形成されるが、このスキン層は繊維
内部の急激な凝固を抑止すると共に、発泡剤の系外への
溶出を防止する働きを有している。従つて、この時点に
於ける重合体に対する溶剤の濃度を、繊維断面の外周部
より中心に至る半径方向でみた場合、中心に近いほど溶
剤濃度が高くなるといつた、濃度分布を示すことにな
る。一方、発泡剤は本来重合体に対し非溶媒である為
に、紡糸原液中にあつては溶剤と溶解状態にあり、従つ
て凝固過程では溶剤に準じた拡散挙動を取る。但し、凝
固液或いは水に不溶性又は難溶性である為に繊維系外へ
は溶出しないか、溶出しても微量に留まる。つまり繊維
表面に近い部分では、溶剤が繊維系外へ拡散することに
よつて、溶剤と発泡剤との混合液(以下、混合液とい
う)は重合体への溶解力を失い、重合体中に分散した形
となるがそれ以外の部分では重合体との溶解状態にあ
る。この点を従来法と比較すると、従来法ではの性質
上、溶剤と発泡剤は全く違つた挙動を示す。特に発泡剤
は、元々紡糸原液中に分散状態にあつたものが、凝固が
開示されるとより一層重合体及び溶剤よりはじき出さ
れ、繊維全体にわたつて単独で不規則に孤立するか、又
は互に凝集して明らかな相分離を呈し、本発明の状態と
は本質的に異なる。
続いて、この未凝固弾性糸を水洗工程に於ける熱水、加
熱蒸気等の熱媒体でその内部に含有する発泡剤の沸点温
度以上に加熱、気化せしめることになるが、この時の外
部加熱によつて凝固は一層促進され、スキン層はより強
固なものに、又中心部分における溶剤の繊維系外への拡
散に伴い、重合体と該混合液との遊離も進行する。だが
同時に残存する溶剤自体が加熱されることによつて再び
重合体に対する溶解力を生ずると共に、繊維表面に近い
部分で分散状態にあつた該混合液の、鞘部よりも溶剤濃
度が高く従つて機械的な妨害の少ない繊維中心部への移
行といつた現象が、本発明でいう芯部に相当する部分で
急激に行なわれる。これらの相互作用と、沸点温度以上
に加熱され溶剤と分離し気化した発泡剤の膨張力及び加
熱による重合体の可塑化効果とが相俟つて、スポンジ状
空孔部を有する芯部を形成すると共に、一方繊維表面に
近い部分では発泡剤(混合液)の繊維中心部への移行に
伴つて、芯部に比し緻密化した鞘部を形成し、ここに初
めて本発明の基本的構造、即ち鞘/芯形二層構造が発明
するものである。従来の方法、即ち溶剤に不溶性の発泡
剤を用いた場合、上記溶剤及び発泡剤の挙動の内、特に
発泡剤を含む溶剤の移行といつたことは本質的に取り得
ない。従つて得られる繊維の構造も、単に分散状態にあ
つた発泡剤のランダム発泡物か、或いは発泡剤のみが繊
維中で重合体と分離凝集し局所的に発泡した所謂少数の
巨大空孔のみを有するものにしかならない。これら発泡
剤及び溶剤の繊維内部に於ける性状や分布、加熱時の挙
動が最終繊維の発泡構造を決定すると言つても決して過
言ではない。
次に凝固、加熱(発泡)の工程を経た該繊維は所定の処
理、即ち一次延伸、水洗、乾燥、二次延伸、熱処理、ク
リンプ付与等を受け最終繊維となるが、これら一般的繊
維のそれとほとんど同様に行つて何等差し支えない。加
熱(発泡)処理を凝固や一次延伸、水洗等と同時期に行
うことも自由である。又、紡績性、制電、撥水、撥油、
防汚、風合改良等を目的とした各種油剤の付着も本発明
の性能を何等左右するものではなく、必要に応じて実施
出来る。更に、染色、捺染、コーテイング、ラミネー
ト、型付け等後加工に於いても同様にである。
「作用」「発明の効果」 かくして得られた発泡繊維は、通常の一般繊維と同様の
特徴を有することは勿論のこと、その構造に基づく各種
の優れた性質を有している。即ち、軽量感、嵩高性、保
温性、断熱性等である。特に二層構造に基づく最大の特
徴は、従来なしえなかつた発泡の強度保持にあり、染
色、紡績、編・織等一般的繊維の高次加工にも十分に耐
えうるものである。更に驚くべきことは、本発明が天然
獣毛と同様の光沢、風合、色彩効果を有することであ
り、この点につき以下に詳述する。
天然獣毛の特徴は、本来有している色素或いは染料等で
着色した際に顕著となる。即ち、天然の獣毛をよく観察
すると特に業界で刺し毛、或いはガードヘアと呼ばれる
ものは、繊度的にはほぼ同一のものであつても、淡色と
濃色の違いでその太さ感及び艶感が全く異なつて見え
る。つまり、ベージュ、グレイ等の淡色では太く且つ艶
消し調に見えたものが、ブラウン、ブラツク等濃色にな
るとその部分だげが極端に細く見え且つ透明感のある光
沢を呈する。更に、この濃、淡色調が一本のヘアの中で
連続して変化している為に、誠に微妙で味わいのある外
観となる。本発明者らは、この原因が獣毛断面の所謂骨
の髄にあたる部分の光学的特性にあると仮定し、検討を
加えた結果次の結論を得た。即ち、詳細な理由は未だ明
らかではないが、本発明者らは鞘部と芯部の境界、及び
芯部のスポンジ構造に対する入射光の多重反射、光散乱
にあると推察している。つまり、淡色では着色剤の絶対
量も少なく繊維の透明度も高い為に、入射光は鞘部分を
ほぼ直線的に透過し、鞘/芯の境界に達する。しかし、
ここで一部乱反射すると共に、残りの大部分はスポンジ
層中に多重反射し、見掛け無機物等を添加したと同じ艶
消し効果を呈する。反対に濃色の場合、着色剤量が多い
為に入射自体これに吸収されて、境界面に於けるこれら
の現象が見た目に影響を殆ど及ぼさない。又、鞘部は本
来緻密である為に繊維表面の光沢は、鞘/芯の境界が作
り出す所謂鏡面効果と相俟つて微妙な艶感を見る側に与
える。太さ感は、この艶、光沢の有無(強弱)、透明感
の差に基づく見かけの膨張、収縮の感覚変化に起因する
ものと考えられる。更に、つけ加えるならばスポンジ部
分自体を多重層と見たとき、鱗片顔料を添加した時と同
様のパール調の光沢が生じている可能性が有り、「微妙
な艶感」の一因になつているとも考えられる。更に風合
に関しては、この太さ感や機械的外力に強く、反発性に
富む二層構造に起因するものと考えている。
「実施例」 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、
これらは一例にすぎず本発明がこれら実施例の記載につ
て何等限定されるものではない。
尚、本文及び実施例中に記載の面積比、見かけ比重の測
定は下記方法によつた; (イ)面積比の算出法; 走査電子顕微鏡(日立製作所S-510型)を用いて、単繊
維横断面の垂直上方より一定倍率、一定距離で写真撮影
し、鞘/芯構造であることを確認後、全断面積を求め
た。次に当該繊維と同組成、同繊度であつて非発泡の繊
維(ブランク)の全断面積を同法により求め、下式によ
り全断面積に対する芯部の面積比を算出し、合計20本
の平均値を求めた。
面積比(%)=(Ss−Sb)/Ss×100 但し、Ss:発泡繊維の全断面積 Sb:非発泡繊維の全断面積 (ロ)見かけ比重の算出法; 試料(スライバー)0.5g程度を取り空気中で精秤後、
水中置換法に基づく自動比重計(東洋精機製作所製)の
上下式水槽中に繊維自体の濡れ速度よりも速くならない
様に浸漬せしめ、検出した水の置換量により求めた。
尚、このとき水中の試料表面に気泡が付着しやすい為、
フツ素系界面活性剤を気泡除去剤として微量添加した。
実施例1 アクリロニトリル50重量%、塩化ビニル49重量%、
及びスチレンスルホン酸ソーダ1重量%共重合してなる
重合体をアセトンで溶解し、重合体重量当たり40%の
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエ
タン、及び二酸化チタン0.2%を加え、最終重合体濃度
が25重量%となる様に調整後、密閉容器中で40℃に
保ちながら30分間攪拌し紡糸原液を得た。該原液を孔
径0.18mm孔数だ200ホールの紡糸口金を用いて、2
5℃の21%アセトン水溶液中へ吐出し、巻き取り速度
4.5m/分で9秒間浸漬した。続いて同組成、同温度の
浴中で1.8倍の延伸をかけながら6秒間浸漬後、75℃
の熱水洗浴に緊張状態で導き約1分間の滞留で発泡を完
了させた。得られた水洗糸を120℃の気流乾燥機内で
水分率1%以下とした後、引き続き2.72倍の二次延伸
及び145℃、5分間の緊張熱処理を経て、單繊度15
デニール、面積比43%、見かけ比重0.86の発泡繊維
を得た。このものに通常の仕上げ処理を施してハイパイ
ルに仕上げたところ、従来の疑似獣毛立毛品には見られ
ない。軽くしてしかも高級感の有る色あい、艶、風合を
有していた。得られた繊維横断面の走査電子顕微鏡写真
を第1図に示した。
実施例2 孔径0.1mm孔数1000ホールの紡糸口金を用いた以
外は、実施例1とまつたく同装置、同条件で紡糸し最終
繊度3デニール、面積比28%、見かけ比重1.05の発
泡繊維を得た。このものでジヤージを作つたところ、品
質の有る艶と風合、シヤリ味を有し且つ軽量感、保温性
にも優れていた。得られた繊維横断面の走査電子顕微鏡
写真を第2図に示した。
実施例3 実施例1と同じ組成の重合体をアセトンに溶解し、これ
に重合体重量当たり20%のn−ベンタン、及び2%の
炭酸カルシウム粉末を添加して、最終重合体濃度が25
%になる様に調整後、33℃に保つた密閉容器中で30
分間攪拌し紡糸原液を得た。該原液を実施例1と同じ紡
糸口金を用いて、10℃の50%アセトン水溶液中へ吐
出し、巻き取り速度4.5m/分で9秒間浸漬した。続い
て30℃の40%アセトン水溶液中で3.06倍の延伸を
かけながら18秒間浸漬後、第1次発泡を50℃の温水
浴中で12秒間連続実施した。更に70℃の熱水中に1
3秒間滞留させ、発泡を完了させた。得られた水洗糸を
120℃の気流乾燥機内で水分率1%以下とした後、引
き続き2.65倍の二次延伸及び145℃、5分間の緊張
熱処理を経て、單繊度15デニール、面積比16%、見
かけ比重0.95の発泡繊維を得た。このものを用いてウ
イルトンカーペットを作つたところ、嵩高で腰が有り、
且つ繊維断面及び側面方向の色調が微妙に変化する。特
徴あるものが得られた。第3図に、得られた繊維横断面
の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1、第2図同じく実施例2、第
3図は同じく実施例3で得られた繊維の形状を示すもの
で、繊維横断面の走査電子顕微鏡写真である。第4図及
び第5図は本文中参考例として引用した天然獣毛の繊維
の形状を示す横断面写真であり、第6図は従来の発泡繊
維横断面の概略図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1種の紡糸原液を用いた湿式紡糸により得
    られるアクリロニトリルを25重量%以上含有する繊維
    からなり、繊維断面が、多数の空孔部とそれを仕切る壁
    面によりスポンジ状に配置された芯部、及びその芯部と
    区別できる構造を有する鞘部とからなり、且つ鞘部及び
    芯部を構成する重合体が同一組成物であつて、断面積に
    対する芯部の面積比が5〜90%であることを特徴とす
    る獣毛状発泡合成繊維。
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