JPH0667196A - 空間光変調素子 - Google Patents

空間光変調素子

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JPH0667196A
JPH0667196A JP33559692A JP33559692A JPH0667196A JP H0667196 A JPH0667196 A JP H0667196A JP 33559692 A JP33559692 A JP 33559692A JP 33559692 A JP33559692 A JP 33559692A JP H0667196 A JPH0667196 A JP H0667196A
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light
light modulator
spatial light
film thickness
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望 大河内
Masaru Imanishi
大 今西
Yasuyuki Natsubori
泰行 夏堀
Shigeo Shimizu
滋雄 清水
Toshio Konno
俊男 昆野
Masanobu Shigeta
正信 茂田
Hiromitsu Takenaka
博満 竹中
Tadayuki Shimada
忠之 島田
Kazunari Otawara
一成 大田原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 動画を扱う場合であっても残像を伴うことな
く良好なコントラストや解像度を得ることができる空間
光変調素子を提供する。 【構成】 駆動用電界を形成する透明電極14,16間
に光変調体22とともに積層された光導電体18は、膜
厚が10乃至30μmの水素化アモルファスシリコンに
よって形成されている。また、この水素化アモルファス
シリコンには、シリコン対する原子割合が0.1〜1.
0ppm以下となるようにボロンがドープされている。
これによって、動画を扱っても、残像を伴うことなく良
好なコントラスト比や解像度が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光導電体と光変調体を
有し、動画や静止画の並列処理やその表示,記憶などの
光情報処理に用いられる空間光変調素子にかかり、特に
その光導電体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】画像処理などに使用される空間光変調素
子としては、たとえば特開昭58−199327号公報
に開示された液晶ライトバルブ素子がある。この液晶ラ
イトバルブ素子は、高抵抗で優れた高感度の光導電体を
得ることを目的としており、非晶質シリコン層,遮光
層,液晶による光変調体が順に設けられた構成となって
いる。そして、光導電体に相当するa−Si(アモルフ
ァスシリコン)には、そのフェルミレベルの変動の程度
を考慮して10〜400ppm(Parts Per Million)
のボロンがドープされている。
【0003】このような空間光変調素子の実用化を図る
ためには、光導電体の書込み光感度の向上と、それに伴
う光変調体の変調度の増大が不可欠である。従来の空間
光変調素子の光導電体の膜厚は、一般に光変調体とのイ
ンピーダンスバランスを考慮して決定されており、光変
調体よりも厚ければよいとされている。光変調体の膜厚
は一般に5μm程度であるため、a−Si:H(水素化
アモルファスシリコン)による光導電体の膜厚は5〜6
μm程度となる。
【0004】これに対し、応用物理学会1990年秋の
講演会予稿集のP753,26a−H−7には、感度の
向上を目的とした空間光変調素子が開示されている。こ
の従来技術によれば、STN液晶を用いるとともに、a
−Siによる光導電体の膜厚が3μmの薄さとなってい
る。
【0005】また、同予稿集の同ページ,26a−H−
9には空間光変調素子を用いたホログラム技術が開示さ
れている。これによれば、a−Si:Hによる光導電体
の膜厚は3μmの薄さとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来技術では次のような不都合がある。 (1)特開昭58−199327号公報に開示された従
来技術では、アモルファスシリコン自体の光応答速度が
必ずしも高速ではないため、光変調体への駆動電圧印加
も遅くなってしまう。このため、同公報に開示されてい
る欠陥検査装置などに適用する場合はよいが、動画表示
を行う場合には残像を伴うようになって良好な画質を得
ることができない。
【0007】(2)次に、光導電体と光変調体とのイン
ピーダンスバランスのみで高感度化を図ろうとしている
が、両層の特性のバラツキなどからそのバランスを取る
ことは必ずしも容易ではなく実用的とはいえない。この
ような点からすれば、光導電体単体で高感度であること
が望ましい。しかし、前記応用物理学会講演会予稿集に
開示された従来例のように光導電体の膜厚を薄くする
と、分解能は改善されるかもしれないが、書込み光を吸
収しきれないために光の利用効率が低下し、感度の低下
を招くことになる。
【0008】本発明は、これらの点に着目したもので、
第1の目的は、動画を扱う場合であっても残像を伴うこ
となく良好なコントラストや解像度を得ることができる
空間光変調素子を提供することである。第2の目的は、
光変調体とは関係なく感度の向上を図ることができる空
間光変調素子を提供することである。第3の目的は、実
用的に十分な特性を有する空間光変調素子を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、第1の発明は、駆動用電界を形成する透明電極間
に、少なくとも光導電体と光変調体とが積層されている
空間光変調素子において、前記光導電体を、膜厚が10
乃至30μmの水素化アモルファスシリコンによって形
成するとともに、この水素化アモルファスシリコン中の
シリコンに対する原子割合が0.1乃至1.0ppmと
なるようにボロンをドープしたことを特徴とする。
【0010】第2の発明は、一対の透明電極間に、少な
くとも光導電体と光変調体とが積層されており、書込み
光を前記光導電体に照射して情報の書込みを行い、読出
し光を前記光変調体に照射して情報の読出しを行う空間
光変調素子において、前記光導電体の膜厚と書込み光の
波長との関係を、光導電体における書込み光の吸収率が
70乃至95%となるように設定したことを特徴とす
る。
【0011】第3の発明は、前記第2の発明において、
前記光導電体を水素化アモルファスシリコンによって形
成するとともに、この水素化アモルファスシリコン中の
シリコンに対する原子割合が0.1乃至1.0ppmと
なるようにボロンをドープしたことを特徴とする。
【0012】
【作用】第1の発明によれば、光導電体を構成する水素
化アモルファスシリコンの膜厚が10ないし30μmに
規定され、ボロンのドープ量が水素化アモルファスシリ
コン中のシリコンに対して0.1〜1.0ppmに制御
される。このようにすることで、良好な感度が得られる
とともに、光応答時間のうちの特に立ち下がり時間が減
少して残像が低減されるようになる。
【0013】第2の発明によれば、光導電体の膜厚と書
込み光の波長との関係が、光導電体における書込み光の
吸収率が70乃至95%となるように設定される。光導
電体における書込み光の吸収率とインピーダンス変化と
は、ある程度までは対応して増減し、書込み光が吸収さ
れるほどインピーダンス変化も増大して感度は向上す
る。しかし、あまり吸収率が大きくなると、却ってイン
ピーダンス比は減少して感度は低下することになるの
で、書込み光の吸収率が70〜95%程度となる膜厚と
することで、良好な感度が得られるようになる。
【0014】第3の発明によれば、光導電体は、第1の
発明のボロンドープ量条件と、第2の発明の膜厚条件を
満たすことになり、良好な光応答と感度が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明による空間光変調素子の実施例
について、添付図面を参照しながら説明する。 <第1実施例>最初に、図1乃至図7を参照しながら本
発明の第1実施例について説明する。図1には、本実施
例にかかる空間光変調素子の構成が示されている。同図
において、透明ガラス基板10,12には、いずれも外
部からの光入射側に反射防止膜11,13がそれぞれ形
成されており、反対側には透明電極14,16がそれぞ
れ形成されている。これら一対の透明電極14,16の
間には、a−Si:Hによる光導電体18,誘電体ミラ
ー層20,液晶による光変調体22が積層して形成され
ている。
【0016】詳述すると、透明ガラス基板10上にはま
ず透明電極14が形成され、更にその上に光導電体1
8,誘電体ミラー層20が各々積層して形成される。他
方、透明ガラス基板12上にも透明電極16が形成され
る。そして、誘電体ミラー層20及び透明電極16上に
適宜の配向膜24,26が各々形成されるとともに、そ
れらの間にスペーサ28,30によって適当な間隔が保
持されてセルが組み立てられる。このセル中に液晶が充
填されて、光変調体22となる。更に、透明電極14,
16間には、駆動交流電源31が接続されている。
【0017】以上の各部のうち、透明電極14,16と
しては、例えばITO(Indium TinOxide)やSnO2
どが用いられる。また、光導電体18としては、a−S
i:Hやa−Six1-x:H(x<1,アモルファスシ
リコンカーバイド)が用いられており、CVDなどの方
法で形成される。本実施例では、後述するように、10
〜30μmの厚さのa−Si:Hが用いられ、例えばプ
ラズマCVD法によって形成される。このときの不純物
であるボロン(B)のa−Si:H中のシリコンに対す
る原子割合は0.1〜1.0ppmである。
【0018】次に、誘電体ミラー層20としては、例え
ばSiとSiO2(TiO2とSiO2)とを交互に複数
回蒸着などの手法で積層した積層膜などが用いられる。
また、光変調体22としては適宜の液晶,たとえば印加
された電界の強度分布に応じて複屈折の程度が変化する
DAP(Deformation of vertical Aligned Phases)の
性質をもつn型ネマティック液晶が用いられる。配向膜
24,26としては、例えばSiO2の斜方蒸着層など
が用いられる。更に、駆動交流電源31は、透明電極1
4,16間に交流電圧を印加するためのものである。な
お、反射防止膜11,13は必要に応じて設けられる。
【0019】次に、以上のような構成の空間光変調素子
の基本的な作用を説明すると、透明電極14,16間に
は駆動交流電源31によって交流矩形電圧が予め印加さ
れる。この印加電圧は、光導電体18,誘電体ミラー層
20,光変調体22のインピーダンスに応じて各層に配
分される。このような状態で、画像情報を含む書込み光
が光源32から矢印FAのように空間光変調素子に入射
すると、この書込み光は反射防止膜11,透明ガラス基
板10,透明電極14を順に透過して光導電体18に到
達する。光導電体18では、書込み光が吸収されてその
インピーダンスが減少するようになる。すると、誘電体
ミラー層20や光変調体22に配分される駆動電圧が増
大することになる。すなわち、書込み光の強度分布に対
応した電界が光変調体22に形成されることになる。
【0020】ここで、光変調体22として、例えばネマ
ティック液晶が用いられているとすると、配分された電
圧の変化に伴って複屈折が生じる。ここで、読出し光が
光源34から矢印FBのように空間光変調素子に入射す
ると、この読出し光は反射防止膜13,透明ガラス基板
12,透明電極16を順に透過して光変調体22に到達
する。この読出し光は、前記液晶の複屈折,すなわち書
込み光強度に対応する変調を受け、更に誘電体ミラー層
20で反射されて矢印FCのように空間光変調素子から
出力される。これによって、書込み光によって空間光変
調素子に書き込まれた画像情報が読み出されたことにな
る。
【0021】なお、書込み光としては光導電体18がイ
ンピーダンス変化応答(すなわち感度)を有するような
波長のものが用いられる。また、読出し光としては、光
変調体22で変調されるものであれば書込み光と異なる
波長の光を使用してもよい。
【0022】次に、前記実施例における光導電体18に
ついて、図2〜図7を参照しながら更に説明する。空間
光変調素子全体としての書込み光に対する感度は、光導
電体18のインピーダンス変化応答(光照射前後におけ
るインピーダンスの変化の割合),光変調体22におけ
る印加電圧−透過率曲線の急峻性(γと呼ばれる),及
び各層のインピーダンスマッチングに依存する。従っ
て、光導電体18を構成するa−Si:Hの感度が高く
なれば画像のコントラスト比が向上し、a−Si:Hの
光によるインピーダンス変化の応答速度が速ければ動画
像表示に好適となる。
【0023】図2には、室温でのa−Si:Hの感度の
膜厚依存性が示されている。測定試料のa−Si:Hに
対するボロンのドープ量は0.5ppm(シリコンに対
する原子割合)である。また、測定光源の光の波長は7
00nm,強度は10μW/cm2である。また、駆動
電源31の周波数は1KHzである(以下の図3〜図6
の測定例でも同様)。この測定結果によれば、膜厚10
μm及び30μmでは約1/1.5倍のインピーダンス
変化となっており、20μmで約1/2.4倍のインピ
ーダンス変化となっている。このように、10〜30μ
mの範囲で良好な感度となっている。
【0024】次に、図3には、かかる感度のドーピング
依存性が示されている。測定試料の膜厚は15〜18μ
mである。また、グラフの横軸は対数となっている。こ
の測定結果によれば、B26のガス濃度,すなわちボロ
ンのドープ量の増加とともに感度も向上している。
【0025】次に、図4には、a−Si:Hの光応答時
間の膜厚依存性が示されている。同図中、インピーダン
ス全体の変化分を100%としたとき、その50%まで
立ち上がる時間がτr50、100%から50%まで立ち
下る時間がτd50である。その他の条件は図2と同様で
ある。また、縦軸は対数となっている。この測定結果に
よると、立ち上がり時間τr50は、ほぼ6μm以上の膜
厚では比較的大きく、それ以下の膜厚では急激に減少す
る。他方、立ち下がり時間τd50は、18μmまではほ
ぼ比例して増大するものの、それ以上の膜厚では減少す
る。
【0026】次に、図5には、光応答時間のドーピング
依存性が示されている。同図の縦軸及び横軸とも対数と
なっている。その他の条件は図3と同様である。この測
定結果によると、立ち下がり時間τd50はボロンのドー
プ量に対応して増大しているが、立ち上がり時間τr50
は1.0ppm付近にピークを有している。また、ドー
プ量に対する変化は、立ち上がり時間τr50よりも立ち
下がり時間τd50の方が著しい。
【0027】次に、図6には、光応答時間の光強度依存
性が示されている。いずれの軸も対数となっており、そ
の他の条件は図2と同様である。この測定結果によれ
ば、立ち上がり時間τr50は光強度の増大とともに減少
しており、立ち下がり時間τd50は光強度の増大ととも
に多少増大する関係にある。
【0028】以上の結果をまとめると、次のようにな
る。 (1)膜厚が10〜30μmでは、良好な感度が得られ
る(図2参照)。 (2)ボロンのドープ量を増大すると、感度及び立ち下
がり時間τd50は増大するが、立ち上がり時間τr50
1.0ppm付近でピークとなる(図3,図5参照)。 (3)感度が高いと立ち下がり時間τd50は長くなる関
係にあるが(図2,図4参照)、立ち上がり時間τr50
は光強度を上げると低下する(図6参照)。なお、光強
度を上げたときの立ち下がり時間τd50の上昇はわずか
である(同図参照)。
【0029】従って、立ち下がり時間τd50と感度の関
係を、膜厚及びボロンのドープ量を制御することによっ
て最適化すれば、立ち上がり時間τr50及び立ち下がり
時間τd50を低減してコントラスト比の高い動画表示を
行うことができる。
【0030】まず、膜厚について検討すると、図2に示
すように膜厚が10〜30μm程度,好ましくは15〜
25μmであれば良好な感度が得られると考えられる。
次に、ボロンのドープ量について検討すると、図3から
すればドープ量が多いほど感度が高くなって好ましいこ
とになるが、図5からすると立ち下がり時間τd50も増
大してしまう。従って、ボロンドープ量については、立
ち下がり時間τd50を考慮して、Siに対する原子割合
で1.0ppm以下であればほぼ満足し得る立ち下がり
時間τd50となる。
【0031】ところが、ボロンをドープしない場合に
は、図7に示すような不都合がある。同図は、光導電体
18に対して光のON(照射),OFF(遮断)を行っ
た場合のインピーダンス変化を示すものである。同図中
(A)はボロンをドープしない場合、(B)はボロンを
0.15ppmドープした場合である。この図に示すよ
うに、ボロンをドープしないと、光OFF直後は急激に
インピーダンスが変化するものの、その後の変化がなだ
らかとなって好ましくない。
【0032】このような点も考慮すると、光導電体18
を構成するa−Si:Hの膜厚は10〜30μm,ボロ
ンのドープ量はSiに対する原子割合で0.1〜1.0
ppmが良好な範囲となる。特に、ボロンのドープ量を
0.1〜0.5ppmとすると、立ち下がり時間τd50
が30〜50msec程度となるので、テレビジョンな
どのような1秒当り20〜30枚程度の画像を扱う動画
処理が可能となる。
【0033】次に、本実施例に関して試作した空間光変
調素子について説明する。透明電極14付きのガラス基
板10に、ボロンをドープしたa−Si:Hによる光導
電体18をプラズマCVD法により16μm成膜する。
具体的には、SiH4ガス15sccm(Standard Cubi
c Centimeter per Minute,1分間当りのガス流量をc
3で表わしたもの),H2ガス60sccmの流量比,
SiH4ガスに対するB26ガスの流量比(原子割合に
相当)が1.0ppm以下(すなわち、SiH4ガス1
sccmに対してB26ガスが100万分の1sccm
以下),基板温度200℃,ガス圧133Pa(1To
rr)の条件で成膜が行われる。本試作例では、SiH
4ガスに対するB26ガスの流量比が0.4ppmであ
り、a−Si:H中のシリコンに対するボロンの原子割
合は0.4ppmとなる。
【0034】このときのa−Si:Hは、約10〜20
atm%の水素を含んでいる。そして、その上にSi/
SiO2を交互に全体として13層とした誘電体ミラー
層20が蒸着により形成される。
【0035】他方、透明電極16付きガラス基板24に
SiO2を斜方蒸着し、更にシランカップリング剤(た
とえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製
の「AY43−021」)を積層形成する。そして、こ
れらの2枚のガラス基板を3μm厚のセルに組み立て、
このセル中に液晶(たとえば、チッソ(株)社製「EN
−38」)を充填した。
【0036】このようにして得られた空間光変調素子
に、駆動交流電源31によって駆動周波数5kHzの交
流電圧を印加し、波長700nmの書込み光を用いて画
像を書き込むとともに、読出し光によって読み出したと
ころ、コントラスト比100:1以上,分解能7μm
(70ライン/mm)の画像を再生できた。また、この
空間光変調素子の応答時間は、読出し光強度が0から9
0%まで変化する立ち上がり時間が45ms,読出し光
強度が100から10%まで変化する立ち下がり時間が
35msと十分満足し得る値であり、動画表示に好適で
あることが確認できた。
【0037】以上のように、本実施例によれば、高コン
トラスト比及び高解像度を保ったままでビデオレートの
動画表示が可能となる。また、本実施例においてはa−
Si:Hの膜厚が10〜30μmであるため、書込み光
の波長の650〜750nmに感度のピークを持つこと
になる。このため、書込み光の光源としてレーザーダイ
オードやLEDを用いることができるようになり、本実
施例による空間光変調素子を搭載する装置の小型化を図
ることができる。
【0038】なお、本願の優先権主張の基礎となってい
る特願平03−334022号特許出願の明細書には、
「a−Si:Hに対するボロンのドープ量の重量割合が
1.0ppm以下」と記載しているが、前記第1実施例
では「原子割合が1.0ppm以下」としている。これ
は、一般的にa−Si:H中にドープされる不純物原子
(本実施例ではボロンが相当する)の原子割合がガス流
量比にほぼ等しいことが確かめられているためで、これ
に対応した表現に改めたものである。前記試作例でもガ
ス流量比による表現となっている。
【0039】また、優先権主張の基礎となっている特願
平04−98709号特許出願の明細書には、上述した
実施例が室温状態の特性を考慮したものである旨述べた
が、その後の空間光変調素子全体としての評価により、
通常の使用環境であれば、使用による温度上昇などがあ
っても、前記条件の範囲内で良好な結果が得られること
が明らかとなっている。
【0040】<第2実施例>次に、図8及び図9を参照
しながら本発明の第2実施例について説明する。なお、
空間光変調素子の構成は前記第1実施例と同様である。
本実施例は、使用時の温度を積極的に通常時よりも高く
設定するような場合に着目したものである。
【0041】図8には、a−Si:Hの感度の温度依存
性が示されている。測定試料のa−Si:Hに対するボ
ロンのドープ量はSiに対する原子割合で1.0ppm
であり、膜厚は17μmである。また、書込み光源の光
の波長は700nm,強度は50μW/cm2である。
また、駆動交流電源の周波数は5kHzである(以下の
図8の測定例でも同様)。この測定結果によれば、温度
の上昇とともに感度は穏やかに低下し、例えば、25℃
では3.6、50℃では2.9となっている。
【0042】次に、図9には、a−Si:Hの光応答時
間の温度依存性が示されている。同図中、立ち上がり時
間τr50,立ち下がり時間τd50は前記図4で説明した通
りである。この測定結果によると、立ち上がり時間τ
r50は温度にほとんど依存せず5〜6msであるのに対
し、立ち下がり時間τd50は温度の増加と共に急激に小
さくなっている。例えば、25℃で126msであるの
に対し、50℃では33msと短くなっている。
【0043】以上の結果によると、温度が高くなると、
感度は穏やかに低下するものの、応答時間(特に立ち下
がり時間τd50)は急激に短くなる。従って、動作時の
温度を積極的に高く設定することで、光導電体の応答を
急激に速くすることができ、動画処理に有利な特性を得
ることが可能となる。この場合に、感度も低下するが、
その程度はわずかである。また、ボロンのドープ量を増
大することで、感度低下を補うこともできる。すなわ
ち、前記第1実施例に示した膜厚10〜30μm,ボロ
ンドープ量0.1〜1.0ppmの範囲内で、適宜条件
を設定すればよい。温度については、光変調体の液晶の
特性との関係で、あまり高く設定することは好ましくな
く、40℃程度がよい。
【0044】このように、光導電体におけるボロンのド
ープ量をSiに対する原子割合で0.1〜1.0pp
m,膜厚を10〜30μm,使用温度を30〜70℃
(より好ましい範囲は、膜厚が15〜25μm,ボロン
ドープ量が0.1〜0.5ppm,温度が30〜40
℃)の範囲と想定して最適化条件を設定することによっ
て高い表示品質,すなわち高コントラスト比や高解像度
の動画像を得ることができる。
【0045】次に、本実施例に関して試作した空間光変
調素子について説明する。透明電極14付きのガラス基
板10に、ボロンをドープしたa−Si:Hによる光導
電体18をプラズマCVD法により17μm成膜する。
具体的には、SiH4ガス15sccm,H2ガス60s
ccmの流量比,SiH4ガスに対するB26ガスの流
量比(原子割合に相当)が0.1〜1.0ppm,基板
温度200℃,ガス圧133Pa(1Torr)の条件
で成膜が行われる。本試作例では、SiH4ガスに対す
るB26ガスの流量比が1.0ppmであり、a−S
i:H中のシリコンに対するボロンの原子割合は1.0
ppmとなる。
【0046】このときのa−Si:Hは、約10〜20
(atm%)の水素を含んでいる。そして、その上にS
i/SiO2を交互に17層,及びTiO2/SiO2
交互に2層,全体で19層とした誘電体ミラー層20が
蒸着により形成される。
【0047】他方、透明電極16付きガラス基板11
に、SiO2を斜方蒸着するとともに、上述したシラン
カップリング剤を積層形成する。そして、これらの2枚
のガラス基板を3μm厚のセルに組み立て、このセル中
に液晶を充填した。液晶としては、例えば、Merck
Japan社製「MLC−2010」が用いられてい
る。この液晶は、クリアリングポイントが約92℃と高
い。
【0048】このようにして得られた空間光変調素子
に、駆動交流電源31によって駆動周波数5kHzの交
流電圧を印加し、波長700nmの書き込み光を用いて
画像を書き込むとともに、読み出し光によって読み出し
たところ、室温にてコントラスト比100:1以上の画
像が再生できた。このときの応答時間は、室温で、読み
出し光強度が0から90%まで変化する立ち上がり時間
が100ms,100%から10%まで変化する立ち下
がり時間が60msであった。
【0049】この空間光変調素子の温度を約40℃に設
定して駆動したところ、コントラスト比100:1を維
持したまま前記立ち上がり時間が40ms,立ち下がり
時間が30msとなった。これらの値は十分満足し得る
ものであり、動画表示に好適であることが確認された。
このように、第2実施例によれば、空間光変調素子の使
用温度を高く設定することで、光応答速度の向上を図る
ことができる。
【0050】<第3実施例>次に、図10〜図13を参
照しながら本発明の第3実施例について説明する。この
第3実施例は、光導電体18の膜厚と書込み光の吸収係
数との条件に関係するものである。空間光変調素子の基
本的な構成は、図1に示した第1実施例と同様である。
【0051】光導電体18は、上述したように書込み光
の強弱に応じてインピーダンスが変化するが、弱い光で
も大きなインピーダンス変化が引き起こされるものが高
感度となって望ましい。a−Si:Hやa−SiC:H
はこのような条件を満たす代表的な材料の例である。こ
こで、a−Si:Hを用いた場合の光導電体18におけ
る書込み光の吸収係数の波長依存性をみると、例えば図
10に示すようになる。これによれば、波長が短いほど
書込み光はよく吸収されることが分る。
【0052】次に、光導電体18のインピーダンス変化
は、書込み光の吸収が多ければ多いほど大きいと予想さ
れる。しかし、実際には必ずしもそうではない。図11
には、光導電体18における書込み光の吸収率と明暗時
のインピーダンス比(暗時のインピーダンス/明時のイ
ンピーダンス)との関係が示されている。このグラフ
は、波長700nm,周波数1KHzでa−Si:Hに
ついて測定したものであるが、他の波長の光,他のa−
Six1-x:H(x<1)などの材料でもほぼ同様の傾
向が見られる。なお、横軸の吸収率は主に光導電体18
の膜厚に対応する。
【0053】このグラフに示すように、ある程度までは
吸収率とインピーダンス比とは対応し、書込み光が吸収
されるほどインピーダンス変化も増大して感度は向上す
る。しかし、吸収率が大きくなる場合を考えると、光
は、光導電体18の表面側(書込み光入射側)で吸収さ
れ、深層側(光変調体側)に行くに従って光は弱くな
る。光電変換による電荷発生によってインピーダンス変
化が起こる原理から考えると、このような場合、光導電
体18の深層側では弱い光しか届かないため、少ないイ
ンピーダンス変化しか生じない。光導電体18の層全体
としてのインピーダンス変化を考えると、光導電体18
の深層側の部分は逆に有効に作用しないため、結果的に
インピーダンス変化,すなわち感度が低下することにな
る。
【0054】このような測定結果からすれば、光導電体
18の感度を向上するには、書込み光の吸収率が70〜
95%程度,好ましくは90%前後となるような膜厚と
すればよい。この範囲は、明暗時のインピーダンス比が
ほぼ1.5以上となる範囲である。本実施例は、このよ
うな知見に基づくもので、光変調体22とは無関係に光
導電体18の膜厚を調整することで、良好な感度を得る
ことができる。
【0055】次に、本実施例に関して試作した空間光変
調素子について説明する。Siに対する原子割合が0.
4ppmとなるようにボロンがドーピングされたa−S
i:Hを、ITO付きの第1のガラス基板上にプラズマ
CVD法によって成膜した。この場合に、a−Si:H
の膜厚を18μmとした。この膜厚は、書込み光源であ
るLEDの波長700nmの書込み光に対する光吸収率
が約90%となる膜厚である。次に、このa−Si:H
上に、蒸着法によってSi及びSiO2を交互に全体で
13層積層し、誘電体ミラー層を形成した。
【0056】次に、前記第1のガラス基板及びITO付
きの第2のガラス基板上に、SiO2の斜方蒸着を各々
行い、更にその上に東レ・ダウコーニング・シリコーン
(株)社製のシランカップリング剤「AY43−02
1」を各々積層して配向膜を形成した。この後、第1及
び第2のガラス基板を3μmのセルに組み立て、このセ
ル中にMerck Japan社製の液晶「MJ911
393」を充填してサンプル1を得た。他方、特性比較
のため、前記サンプル1のa−Si:Hの膜厚を10μ
mとしたサンプル2を得た。
【0057】次に、このようなサンプル1及び2の空間
光変調素子に、駆動周波数10KHzの交流矩形電圧を
印加し、LED(波長700nm)で画像の書き込みを
行ない、読出し光によりその読出しを行って書込み光強
度と読出し光強度との関係を調べたところ、図12の結
果が得られた。これから明らかなように、a−Si:H
の膜厚が18μmのサンプル1の方が10μmのサンプ
ル2よりも2倍近い読出光強度が得られ、空間光変調素
子の感度は2倍程度向上した。
【0058】次の試作例として、Siに対する原子割合
が0.4ppmとなるようにボロンがドーピングされた
a−Si:Hを、ITO付きの第1のガラス基板上にプ
ラズマCVD法によって10μm成膜した。このa−S
i:H上に、蒸着法によってSi及びSiO2を交互に
全体で13層積層し、誘電体ミラー層を形成した。次
に、前記第1のガラス基板及びITO付きの第2のガラ
ス基板上に、SiO 2の斜方蒸着を各々行い、更にその
上に東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製のシ
ランカップリング剤「AY43−021」を各々積層し
て配向膜を形成した。この後、第1及び第2のガラス基
板を3μmのセルに組み立て、このセル中にMerck
Japan社製の液晶「MJ911393」を充填し
てサンプル3を得た。
【0059】次に、このようなサンプル3の空間光変調
素子に、駆動周波数10KHzの交流矩形電圧を印加
し、同様に書込み光強度と読出し光強度との関係を調べ
た。このとき、a−Si:Hによる吸収率の異なる3種
類の書込み光を用いた。第1の書込み光は、a−Si:
Hの吸収率が約90%となる半導体レーザの光で、波長
は670nmである。第2の書込み光は、それよりも吸
収率が低いLEDの光で、波長は700nmである。第
3の書込み光は、逆に吸収率が90%よりも高い白色光
にフィルタを用いた光で、波長は500nmである。測
定結果は、図13に示すようになった。これらのグラフ
によれば、a−Si:Hの吸収率が90%の書込み光を
用いた場合(波長670nm)が最も感度が高く、それ
より吸収率が低くても高くても感度は低下した。
【0060】このように、光導電体の膜厚を書込み光源
に応じた値とするか、あるいは光導電体の膜厚に応じた
波長の書込み光源を選択して、光導電体が書込み光を7
0〜95%吸収するようにすれば、光変調体とは無関係
に空間光変調素子の高感度化を図ることができる。
【0061】<他の実施例>なお、本発明は何ら上記実
施例に限定されるものではなく、たとえば次のようなも
のも含まれる。 (1)前記実施例の誘電体ミラー層12と光導電体18
の間に、CdTe,Si,Ge,Bなどによる遮光層を
設けるようにしてもよい。 (2)前記実施例では、光変調体としてネマティック液
晶を用いたが、その他、例えば高分子中に液晶が分散さ
れた高分子液晶複合体など、種々のものが適用可能であ
る。
【0062】(3)本発明は、動画の表示に好適ではあ
るが、静止画に適用することを妨げるものではない。 (4)a−Si:Hは、他にC,N,Oを若干量(原子
割合で数%程度)含むようなものでも同様の効果を得る
ことができる。 (5)更に、前記第3実施例に前記第1実施例あるいは
第2実施例を適用することを妨げるものではない。例え
ば、前記第3実施例で説明した試作例は、いずれも第1
実施例の膜厚及びボロンドープ量の条件を満たすもので
ある。特に、a−Si:Hによる光導電体の膜厚を、1
0〜30μmの範囲で、かつ、書込み光の吸収率が70
〜95%の範囲となるように設定することで、非常に良
好な感度特性を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による空間
光変調素子によれば、次のような効果がある。 (1)光導電体を膜厚が10乃至30μmのa−Si:
Hによって形成するとともに、このa−Si:H中のシ
リコンに対する原子割合が0.1〜1.0ppmとなる
ようにボロンをドープすることとしたので、動画を扱う
場合であっても残像を伴うことなく良好なコントラスト
や解像度を得ることができる。 (2)光導電体が書込み光を70〜95%吸収するよう
にしたので、良好に感度の向上を図ることができる。
【0064】(3)光導電体をa−Si:Hによって形
成するとともに、書込み光を70〜95%吸収する膜厚
とし、このa−Si:H中のシリコンに対する原子割合
が0.1〜1.0ppmとなるようにボロンをドープす
ることとしたので、動画を扱う場合であっても残像を伴
うことなく良好なコントラスト,解像度,及び感度を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空間光変調素子の実施例を示す構
成図である。
【図2】光導電体の感度の膜厚依存性を示すグラフであ
る。
【図3】光導電体の感度のドーピング依存性を示すグラ
フである。
【図4】光導電体の光応答時間の膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図5】光導電体の光応答時間のドーピング依存性を示
すグラフである。
【図6】光導電体の光応答時間の光強度依存性を示すグ
ラフである。
【図7】光ON,OFFによる光導電体のインピーダン
ス変化を示すグラフである。
【図8】光導電体の感度の温度依存性を示すグラフであ
る。
【図9】光導電体の光応答時間の温度依存性を示すグラ
フである。
【図10】a−Si:Hの吸収係数の波長依存性を示す
グラフである。
【図11】a−Si:Hにおける光の吸収率と明暗時の
インピーダンス比との関係を示すグラフである。
【図12】第3実施例のサンプル1及び2の空間光変調
素子における書込み光強度と読出し光強度との関係を示
すグラフである。
【図13】第3実施例のサンプル3の空間光変調素子に
おける書込み光波長を変化させたときの書込み光強度と
読出し光強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10,12…透明ガラス基板、11,13…反射防止
膜、14,16…透明電極、18…光導電体、20…誘
電体ミラー層、22…光変調体、24,26…配向膜、
28,30…スペーサ、31…駆動交流電源、32…書
込み光源、34…読出し光源、FA…書込み光の入射方
向、FB…読出し光の入射方向、FC…読出し光の出力
方向。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏堀 泰行 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 清水 滋雄 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 昆野 俊男 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 茂田 正信 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 竹中 博満 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 島田 忠之 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 大田原 一成 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動用電界を形成する透明電極間に、少
    なくとも光導電体と光変調体とが積層されている空間光
    変調素子において、前記光導電体を、膜厚が10乃至3
    0μmの水素化アモルファスシリコンによって形成する
    とともに、この水素化アモルファスシリコン中のシリコ
    ンに対する原子割合が0.1乃至1.0ppmとなるよ
    うにボロンをドープしたことを特徴とする空間光変調素
    子。
  2. 【請求項2】 一対の透明電極間に、少なくとも光導電
    体と光変調体とが積層されており、書込み光を前記光導
    電体に照射して情報の書込みを行い、読出し光を前記光
    変調体に照射して情報の読出しを行う空間光変調素子に
    おいて、前記光導電体の膜厚と書込み光の波長との関係
    を、光導電体における書込み光の吸収率が70乃至95
    %となるように設定したことを特徴とする空間光変調素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の空間光変調素子におい
    て、前記光導電体を水素化アモルファスシリコンによっ
    て形成するとともに、この水素化アモルファスシリコン
    中のシリコンに対する原子割合が0.1乃至1.0pp
    mとなるようにボロンをドープしたことを特徴とする空
    間光変調素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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