JPH0670073B2 - パラジウムキレート錯体およびその製造方法 - Google Patents

パラジウムキレート錯体およびその製造方法

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JPH0670073B2
JPH0670073B2 JP62334266A JP33426687A JPH0670073B2 JP H0670073 B2 JPH0670073 B2 JP H0670073B2 JP 62334266 A JP62334266 A JP 62334266A JP 33426687 A JP33426687 A JP 33426687A JP H0670073 B2 JPH0670073 B2 JP H0670073B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、パラジウムキレート錯体およびその製造方法
に関する。
[発明の背景] パラジウム塩と1,10−フェナントロリンもしくは、2,
2′−ビピリジンなどの塩基性二座配位子とから形成さ
れるパラジウムキレート錯体および銅塩からなる触媒
が、o−フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせて
ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを製造する
際に使用できることは、すでに知られている。
上記パラジウムキレート錯体は、一般に熱安定性が高い
ため、上記酸化カップリング反応を高温で行なう場合に
おいても、金属パラジウムを析出して触媒活性を失うこ
となく、有利に使用することができる。
上記のパラジウムキレート錯体のひとつとして、ニトラ
トアセタトパラジウムキレート錯体が知られている。ニ
トラトアセタトパラジウムキレート錯体は、従来、ジア
セタトパラジウムキレート錯体のアニオン部のアセタト
基1個をニトラト基で置換して合成されている。たとえ
ば、2,2′−ビピリジンアセタトパラジウムを酢酸溶液
中にて過剰の二酸化窒素と反応させることにより、2,
2′−ビピリジンニトラトアセタトパラジウム−水塩が
得られることが報告されている(L.Eberson,E.Jonsson,A
cta Chemica Scandinavica,B28,771(1974))。
上記ニトラトアセタトパラジウムキレート錯体合成の出
発物質として使用される、ジアセタトパラジウムキレー
ト錯体は、酢酸パラジウムと塩基性二座配位子とから合
成することができる(J.E.Mckeon,P.Fitton,Tetrahedro
n,28,233(1972),T.A.Stephenson,S.M.Morehouse,A.R.
Powell,J.P.Heffer,G.Willkinson,J.CHem.Soc.,3632(1
965),A.Shiotani,M.Yoshikiyo,H.Itatani,J.Molecular
Catalysis,18,23(1981))。
一方、上記酸化カップリング反応の触媒としてジニトラ
トパラジウムキレート錯体を使用することが知られてい
る(特開昭60−51151号公報)。ジニトラトパラジウム
キレート錯体は、熱安定性に優れており上記酸化カップ
リング反応に有利に用いることができる。
しかしながら本発明者の検討によれば、ジニトラトパラ
ジウムキレート錯体は、誘導期(反応開始後、反応速度
が充分大きくなるまでに必要とする時間)が、上記ニト
ラトアセタトパラジウムキレート錯体に比較して長いこ
とが判明した。上記酸化カップリング反応は高温で行な
われるため、誘導期の短い触媒を使用して反応時間を短
縮することは、工業的に極めて有利である。そこで、ジ
ニトラトパラジウムキレート錯体を、誘導期の短い新規
なパラジウムキレート錯体に変換する技術の開発が望ま
れる。
[発明の目的] 本発明の目的は、誘導期の短い新規なパラジウムキレー
ト錯体およびその製造方法を提供することにある。
[発明の要旨] 本発明は、一般式[I]: L・Pd(OH)(NO3) ・・・[I] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
ビピリジンを表わす)で表わされることを特徴とするパ
ラジウムキレート錯体にある。
上記の一般式[I]で表わされるパラジウムキレート錯
体は、一般式[II]: L・Pd(NO3)2 ・・・[II] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
ビピリジンを表わす)で表わされるジニトラトパラジウ
ムキレート錯体を、水に溶解した状態にて加熱すること
により、有利に製造することができる。
[発明の詳細な記述] 本発明のパラジウムキレート錯体は、一般式[I]: L・Pd(OH)(NO3) ・・・[I] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
ビピリジンを表わす)で表わされることを特徴とする。
上記一般式[I]で表わされるニトラトヒドロキソパラ
ジウムキレート錯体は、出発物質として一般式[II]: L・Pd(NO3)2 ・・・[II] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
ビピリジンを表わす)で表わされるジニトラトパラジウ
ムキレート錯体を用い、該錯体を水に溶解した状態にて
加熱することにより有利に製造することができる。
上記ジニトラトパラジウムキレート錯体は公知であり、
その製造法は、特開昭60−51151号公報に記載されてい
る。
本発明の方法においては、上記ジニトラトパラジウムキ
レート錯体を水に溶解した状態にて加熱することが必要
である。上述の処理により、ジニトラトパラジウムキレ
ート錯体のアニオン部を構成するニトラト基の1個をヒ
ドロキソ基で置換することができる。
上記の水の使用量は、ジニトラトパラジウムキレート錯
体を溶解する量であればよく、該錯体10g当り300〜3000
mlの範囲であることが好ましい。
上記の加熱処理は、20〜250℃の温度範囲にて行なうこ
とが好ましく、常圧下にて上記水溶液を還流して行なう
か、あるいは、1〜50気圧の範囲に加圧して100〜250℃
の温度範囲にて行なう。上記の加熱処理を加圧下に行な
う場合は、オートクレーブなど公知の圧力容器を用いる
ことができる。上記の加熱処理は、空気あるいは窒素な
どの実質的に不活性な基体の雰囲気下に実施することも
できる。
上述の条件下に、1〜10時間反応を行なったのち、反応
液を放冷すると、ニトラトヒドロキソパラジウムキレー
ト錯体が優先的に析出するので、これを濾過して分離、
回収する。上記錯体を回収したのち、水から再結晶する
ことにより、さらに純度の高い錯体が得られる。
本発明の一般式[I]: L・Pd(OH)(NO3) ・・・[I] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
ビピリジンを表わす)で表わされるニトラトヒドロキソ
パラジウムキレート錯体を用い、該錯体を、RCOOHにて
表わされる脂肪族カルボン酸の存在下に加熱して、一般
式[III]: L・Pd(RCOO)(NO3) ・・・[III] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
ビピリジンを、Rは好ましくは炭素数1〜6の飽和アル
キル基を表わす)で表わされるニトラトカルボキシラト
パラジウムキレート錯体を生成させることができる。
上記ニトラトカルボキシラトパラジウムキレート錯体
は、ジニトラトパラジウムキレート錯体から直接一段階
の反応の生成させることは困難であり、ジニトラトパラ
ジウムキレート錯体を一旦ニトラトヒドロキソパラジウ
ムキレート錯体に変換したのち脂肪族カルボン酸と反応
させることにより、有利に製造することができる。
上記の脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン
酸、酪酸など25℃以下で液体の低級脂肪族カルボン酸を
挙げることができるが、酢酸が好適である。上記脂肪族
カルボン酸の使用量は、ニトラトヒドロキソパラジウム
キレート錯体10g当り100〜2000mlの範囲であることが好
ましい。
上記の加熱処理は、20〜250℃の温度範囲にて行なうこ
とが好ましく、常圧下にて上記脂肪族カルボン酸をパラ
ジウムキレート錯体とともに還流して行なうことがさら
に好ましい。
上述の条件下に、1〜20時間反応を行なったのち、反応
液を放冷すると、均一溶液からニトラトカルボキシラト
パラジウムキレート錯体が析出するので、これを濾過し
て分離、回収する。
本発明の方法によって製造された、ニトラトヒドロキソ
パラジウムキレート錯体は、硝酸と処理することによ
り、再び出発物質のジニトラトパラジウムキレート錯体
に変換することができる。
次に本発明の実施例を示す。
[実施例1] 1,10−フェナントロリンジニトラトパラジウム2gを水10
0mlに溶解し、7時間還流した。放冷後、析出した黄色
針状結晶を濾別、回収した。収量は、1.52gであった。
IRスペクトルおよび元素分析の結果から、上記結晶は、
1,10−フェナントロリンニトラトヒドロキソパラジウム
であることが確認された(収率85%)。
添付した図面(第1図)にIRスペクトルを、下記に元素
分析の結果をそれぞれ示す。
C H N 実験値 39.26 2.45 11.81 計算値 39.42 2.48 11.49 (C12H9N3O4Pd=365.62) [実施例2] 1,10−フェナントロリンジニトラトパラジウム0.822gを
水80mlに溶解し、空気圧10気圧に加圧したオートクレー
ブ中を、200℃に加熱して1時間反応させた。放冷後、
析出した生成物を濾別、回収した。収量は、0.405gであ
った。
IRスペクトルおよび元素分析の結果から、上記生成物
は、1,10−フェナントロリンニトラトヒドロキソパラジ
ウムであることが確認された(収率55%)。
[実施例3] 2,2′−ビピリジンジニトラトパラジウム1.933gを水60m
lに溶解し、3時間還流した。放冷後、析出した黄色針
状結晶を濾別、回収した。収量は、0.509gであった。
IRスペクトルおよび元素分析の結果から、上記結晶は、
2,2′−ビピリジンニトラトヒドロキソパラジウムであ
ることが確認された(収率30%)。
添付した図面(第2図)にIRスペクトルを、下記に元素
分析の結果をそれぞれ示す。
C H N 実験値 34.96 2.65 12.22 計算値 35.16 2.66 12.30 (C10H9N3O4Pd=341.60) [参考例1] 実施例1で製造した、1,10−フェナントロリンニトラト
ヒドロキソパラジウム0.5gを、酢酸50ml中で5時間還流
した。放冷すると、均一溶液から結晶が析出し、該結晶
を濾別、乾燥して、オレンジ色の結晶0.326gを得た。
IRスペクトルおよび元素分析の結果から、上記結晶は、
1,10−フェナントロリンニトラトアセタトパラジウムで
あることが確認された(収率58%)。
添付した図面(第3図)にIRスペクトルを、下記に元素
分析の結果をそれぞれ示す。
C H N 実験値 40.36 2.58 10.00 計算値 41.25 2.72 10.31 (C14H11N3O5Pd=407.66) [参考例2] 実施例3で製造した、2,2′−ビピリジンニトラトヒド
ロキソパラジウム0.5gを、酢酸10ml中で3時間還流し
た。放冷すると結晶が析出し、該結晶を濾別、乾燥し
て、オレンジ色の結晶0.493gを得た。
IRスペクトルおよび元素分析の結果から、上記結晶は、
2,2′−ビピリジンニトラトアセタトパラジウムである
ことが確認された(収率88%)。
添付した図面(第4図)にIRスペクトルを、下記に元素
分析の結果をそれぞれ示す。
C H N 実験値 36.16 2.96 10.28 計算値 37.57 2.89 10.95 (C12H11N3O5Pd=383.64) [比較例1] 1,10−フェナントロリンジニトラトパラジウム0.411gを
酢酸10ml中で5時間還流したが、反応液は均一溶液とは
ならず、酢酸に不溶な固体0.392gを得た。
IRスペクトルおよび元素分析の結果から、上記固体は、
出発物質の1,10−フェナントロリンジニトラトパラジウ
ムであることが確認された。
[比較例2] 2,2′−ビピリジンジニトラトパラジウム0.773gを酢酸2
0ml中で2時間還流したところ均一な溶液が得られた。
該均一溶液を放冷すると黄色の固体が0.760g析出した。
IRスペクトルおよび元素分析の結果から、上記固体は、
出発物質の2,2′−ビピリジンジニトラトパラジウムで
あることが確認された。
比較例1および比較例2から、ジニトラトパラジウムキ
レート錯体を、ニトラトヒドロキソパラジウムキレート
錯体に変換することなく直接に酢酸を反応させた場合に
は、目的のニトラトアセトナトパラジウムキレート錯体
を得ることが困難なことが明らかである。
[触媒としての評価] パラジウムキレート錯体0.4ミリモルおよび酢酸銅−水
塩0.12ミリモルを触媒に用いて、o−フタル酸ジメチル
(以下、DMPと略記する)119gを300mlフラスコ中で、空
気を300ml/分で通気し、500rpmで攪拌しながら、8時間
酸化カップリング反応を行ない、該反応における各パラ
ジウムキレート錯体の触媒作用を評価した。
第1表に、パラジウムキレート錯体として、1,10−フェ
ナントロリンニトラトヒドロキソパラジウム、1,10−フ
ェナントロリンニトラトアセタトパラジウム、または1,
10−フェナントロリンジニトラトパラジウムを用い、22
0℃にて反応を行なった場合の反応成績を示す。
また、第2表および添付した図面(第5図)に、パラジ
ウムキレート錯体として、1,10−フェナントロリンニト
ラトヒドロキソパラジウム(△印)、1,10−フェナント
ロリンニトラトアセタトパラジウム(×印)、または、
1,10−フェナントロリンジニトラトパラジウム(○印)
を用い、200℃にて反応を行なった場合の反応成績およ
び3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメ
チル(s−体)収率の経時変化曲線を示す。
第5図に示すように、各錯体を用いた場合の曲線の傾き
の変化から、1,10−フェナントロリンニトラトヒドロキ
ソパラジウムが最も誘導期が短いことが明らかである。
[発明の効果] 本発明により、ジニトラトパラジウムキレート錯体を容
易にニトラトヒドロキソパラジウムキレート錯体に変換
することができ、さらに、ニトラトヒドロキソパラジウ
ムキレート錯体を用いて有利にニトラトカルボキシラト
パラジウムキレート錯体を製造することができる。
ニトラトヒドロキソパラジウムキレート錯体は、ジニト
ラトパラジウムキレート錯体に比較してo−フタル酸ジ
エステルの酸化カップリング反応における誘導期が短い
ので、上記反応の触媒として有利に使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1、2、3、4図は、実施例1、実施例3、参考例1
および参考例2でそれぞれ得られたパラジウムキレート
錯体のIRスペクトル(KBr錠剤法で測定)を示したもの
である。 第5図は、パラジウムキレート錯体を触媒に用いて、o
−フタル酸ジメチルの酸化カップリング反応を行なった
際のs−体の収率の経時変化曲線を示したものであり、
△印はパラジウムキレート錯体に1,10−フェナントロリ
ンニトラトヒドロキソパラジウムを、×印は1,10−フェ
ナントロリンニトラトアセトナトパラジウムを、およ
び、○印は1,10−フェナントロリンジニトラトパラジウ
ムを用いた場合をそれぞれ示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[I]: L・Pd(OH)(NO3) ・・・[I] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
    ビピリジンを表わす)で表わされるパラジウムキレート
    錯体。
  2. 【請求項2】一般式[II]: L・Pd(NO3)2 ・・・[II] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
    ビピリジンを表わす)で表わされるジニトラトパラジウ
    ムキレート錯体を、水に溶解した状態にて加熱して一般
    式[I]: L・Pd(OH)(NO3) ・・・[I] (ただし、Lは1,10−フェナトロリンもしくは2,2′−
    ビピリジンを表わす)で表わされるニトラトヒドロキソ
    パラジウムキレート錯体を生成させることを特徴とする
    パラジウムキレート錯体の製造方法。
  3. 【請求項3】上記加熱を20〜250℃の範囲の温度にて行
    なう特許請求の範囲第2項記載のパラジウムキレート錯
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】上記加熱を常圧下に水を還流して行なう特
    許請求の範囲第2項記載のパラジウムキレート錯体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】上記加熱を、1〜50気圧の範囲にて加圧し
    ながら、100〜250℃の範囲の温度にて行なう特許請求の
    範囲第2項記載のパラジウムキレート錯体の製造方法。
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