JPH0670765A - プロテアーゼ、それをコードする遺伝子、そのプロテアーゼの製造方法および用途 - Google Patents

プロテアーゼ、それをコードする遺伝子、そのプロテアーゼの製造方法および用途

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JPH0670765A
JPH0670765A JP4296360A JP29636092A JPH0670765A JP H0670765 A JPH0670765 A JP H0670765A JP 4296360 A JP4296360 A JP 4296360A JP 29636092 A JP29636092 A JP 29636092A JP H0670765 A JPH0670765 A JP H0670765A
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phe
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Eiji Ichijima
英治 一島
Yohei Yamagata
洋平 山形
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 バチルスNKS−21のゲノムDNAの未発
現部分を発現させて得ら れる下記性質を有するプロテアーゼ、それをコードする
遺伝子、そのプロテアー ゼの製造法及び用途:(1) 至適pHは11以上;(2) 安
定pHは5〜11.5;(3) 至適作用温度は約50℃;(4) pH10で55℃まで安
定、65℃で完全失活; (5) Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA 、カゼイン、ヘモグロビ
ン、クルペイン、サルミ ン及びゼラチンを分解;(6) アガロース電気泳動法によ
る等電点は2.8 未満;(7 ) SDS−PAGE法による分子量は約37,000;(8) フ
ェニルメタンスルフォニ ルフルオリド、キモスタチン及びアンチパインにより完
全阻害。 【効果】 熱、界面活性剤に対して安定性を有し洗浄補
助剤などの工業用酵素と して有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なアルカリプロテ
アーゼ、それをコードする遺伝子、およびそのプロテア
ーゼの製造方法および用途に関する。さらに詳しく言え
ば、バチルス属NKS−21菌のゲノムDNAの未発現
部分を導入した形質転換微生物を培養して得られる界面
活性剤や熱に対する安定性に優れた新規なアルカリプロ
テアーゼ、それをコードする遺伝子、そのプロテアーゼ
の製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】バチルス属細菌が分泌する典型的な菌体
外産生蛋白のアルカリプロテアーゼは、皮革加工用、食
品工業用、洗剤添加用、医薬品用など多岐にわたって利
用されている。しかし、自然界から得られる微生物由来
の野生型アルカリプロテアーゼは、その特性において十
分満足できるものではなく、産業上利用するためには、
温度、pH、酸素、溶媒、圧力、酸化剤、界面活性剤、
その他の反応液中の添加剤などに対する安定性を改良す
る必要がある。
【0003】特に洗浄補助剤として添加されるプロテア
ーゼは、粉末タイプのみならず、液体タイプの洗剤に配
合された状態で十分な安定性を示し、さらに十分な機能
を発揮することが望まれる。しかし、液体タイプの洗剤
中では、粉末タイプと比べてプロテアーゼの安定性が低
く、製品として保存されている間に分解を受けたり洗浄
中に失活するなどの問題があり、十分な洗浄効果を上げ
るに至っていない。
【0004】そこで、新しい界面活性剤の開発、安
定化剤の添加、酵素のマイクロカプセル化等により酵
素の液体洗剤中での安定性を向上させる技術が多数開示
されている(特開平2-41398 号、米国特許第4287082
号、英国特許第2021142 号、特開昭62-596号、特開昭63
-137996 号等)。
【0005】しかし、酵素の安定化技術と共に、酵素自
体の液体洗剤中での安定性が従来品よりもより優れたも
のが強く求められるようになり、安定性に優れたアルカ
リプロテアーゼを生産する新規な微生物の探索が行なわ
れている。また、より安定性に優れ、応用価値の高いプ
ロテアーゼが常に求められており、いわゆる蛋白質工学
により、アミノ酸配列の部位特異的改変を用いたプロテ
アーゼの安定性の改良の開示もなされている(欧州特許
第0130756 号、米国特許第4760025 号等)。
【0006】洗剤添加用アルカリプロテアーゼは、その
殆どが比較的高温度で高い活性を示すものが多い中で、
バチルス属(Bacillus sp.)NKS−21株(以下、バ
チルスNKS−21という。)は、比較的低い温度で活
性を有するアルカリプロテアーゼAPI−21(以下、
API−21という。)を菌体外に生産することが知ら
れており(特公昭60-55118号)、その後この菌体の変異
株であるSD−515株(微工研菌寄第9968号)はアル
カリプロテアーゼSDP−515(以下、SDP−51
5という。)を生産することが明らかにされている(特
開平1-281084号参照) 。さらに、本出願人は、このNK
S−21株由来のAPI−21のアミノ酸配列を遺伝子
改変技術を用いた特異的部位改変により、より安定なプ
ロテアーゼの生産を提案している(特願平3-280313号参
照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、バチ
ルスNKS−21のゲノムDNA中の未発現部分を発現
させて安定性に優れたアルカリプロテアーゼを提供し、
さらにそのプロテアーゼをコードする遺伝子、そのプロ
テアーゼの製造方法、およびそのプロテアーゼの特に洗
浄剤組成物に対する用途を提供することにある。上記課
題を達成するために、本発明者らは、低温性アルカリプ
ロテアーゼの生産菌として公知であるバチルスNKS−
21菌のゲノムDNAを制限酵素により部分分解した断
片をショットガン法により導入して形質転換した微生物
を培養しスクリーニングを行なった。
【0008】本発明で用いたバチルスNKS−21は、
バチルス属に属する好気性有胞子細菌であり、その詳細
な菌学的緒性質は、文献(O.Tsuchida et al., Curr. M
icrobiol. 14, 7-12 (1986) および特公昭60-55118号公
報)に記載されている。本発明では、バチルスNKS−
21より得たゲノムDNAを制限酵素Sau3AIで部
分消化して断片を得たのち、これをアガロースゲル電気
泳動にかけ、ジーンクリーン(GENECLEAN) (Bio10
1社製)を用いて2〜6kbのDNA断片のみを調製し
た。次にこれをショットガン法で大腸菌HB101株に
形質転換を行ない、アンピシリンを含むLB−スキムミ
ルク寒天培地で培養し、コロニー周辺のクリアゾーン形
成を指標としてアンピシリンに耐性の形質転換体を選択
した。
【0009】この形質転換体を新たな同一プレート上で
培養し、クリアゾーンを形成させ、培地上でのクリアゾ
ーン形成部分を切り出し、電気泳動用アガロースゲルに
埋め込み、電気泳動した。電気泳動終了後、基質のSuc-
Ala-Ala-Pro-Phe-MCA (サクシニルアラニルアラニルプ
ロリルフェニルアラニル−4−メチルクマリル−7−ア
ミド)を含有するAtkins-Pantin 緩衝液(pH10.0)を
含ませたプロッティングろ紙を置き、室温で10〜30
分間反応させ、公知のAPI−21(等電点7.4 )とS
DP−515(等電点2.8 )とは異なる等電点(2.8 未
満)を有する新規なプロテアーゼを得、トランスイルミ
ネーター上で蛍光が生じるのを確認した。
【0010】かくしてスクリーニングしたプロテアーゼ
生産株を培地に植菌し培養し、得られた培養液を遠心分
離して、上清として粗酵素液を得、この粗酵素液をカラ
ムクロマトグラフィーで精製して蛋白的に均一な精製酵
素を得た。この精製酵素は、API−21と類似した基
質特異性を示すことが確認された。
【0011】さらに、この基質特異性においては、クル
ペインやサルミン等のアルギニンに富む塩基性蛋白質を
非常によく分解することが本プロテアーゼの大きな特徴
であり、このことは、本プロテアーゼが非常に低い等電
点を持つことに関係するものと考えられる。従って、以
上の性質により、本プロテアーゼは、バチルスNKS−
21由来の菌株から産生されるAPI−21やSDP−
515とは異なる新規なプロテアーゼであることが確認
された。
【0012】本プロテアーゼをコードする遺伝子の構造
解析を行なったところ、配列番号1に示すようにTTG
より始まる0.97kbのオープンリーディングフレームを
見出した。さらに、このDNA配列より推定されるアミ
ノ酸配列を調べたところ、活性中心にはセリンが存在す
るセリンプロテアーゼであることが確認された。
【0013】これを、最も良く知られているバチルス属
細菌の菌体外セリンプロテアーゼであるズブチリシン群
のアミノ酸配列と比較したところ、通常ズブチリシン間
では互いに80%程度の相同性を示すのに対して、AP
I−21やSDP−515も含めて約40%程度の相同
性しか示さなかった。また、これまでに知られているセ
リンプロテアーゼのうち最も相同性の高いものを検索し
たところ、バチルス・ズブチリスの細胞内セリンプロテ
アーゼ(ISP−1)との相同性が高いことがわかった
が、それでも50%程度の相同性しか示さなかった。
【0014】そのN末端にはシグナルシークエンスに相
当すると思われるアミノ酸配列は見出せなかった。従っ
て、本プロテアーゼは、構造的にも、従来にない新規な
プロテアーゼであることが明らかであり、また、熱や界
面活性剤に対してより高い優れた安定性を持つことが確
認された。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、 1)下記の性質を有するアルカリプロテアーゼ: (1)至適pH:合成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA を
基質として30℃で10分間反応させた時の至適作用p
Hは11以上である; (2)pH安定性:合成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA
を基質として30℃で10分間反応させた場合、pH5
〜11.5の範囲で安定である; (3)至適温度:1.0 %カゼインを基質としてpH10
で10分間反応させた場合、至適作用温度は50℃付近
である; (4)熱安定性:pH10で10分間処理した時、55
℃まで全く安定であり、65℃で完全失活する; (5)基質特異性:合成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA
、カゼイン、ヘモグロビン、クルペイン、サルミンお
よびゼラチンを分解する;
【0016】(6)等電点:アガロースゲル電気泳動法
による等電点は2.8 未満である; (7)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動法により測定した場合の分子量は約37,000である; (8)化学物質に対する影響:フェニルメタンスルフォ
ニルフルオリド、キモスタチンおよびアンチパインによ
り完全に阻害される、 2)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する前記
1)に記載のアルカリプロテアーゼ、 3)前記2)に記載のアルカリプロテアーゼをコードす
る配列番号1で示される遺伝子、
【0017】4)バチルス属NKS−21菌(微工研条
寄第93号)のゲノムDNAを部分分解し、ショットガ
ン法で配列番号1で示される配列を有するDNAを形質
転換した微生物を培養して、その培養液からアルカリプ
ロテアーゼを取得することを特徴とする前記1)または
2)に記載のアルカリプロテアーゼの製造方法、 5)前記3)に記載の遺伝子を導入した形質転換した微
生物を培養して、その培養液からアルカリプロテアーゼ
を取得することを特徴とする前記1)または2)に記載
のアルカリプロテアーゼの製造方法、および 6)前記1)または2)に記載のアルカリプロテアーゼ
を含有することを特徴とする洗浄剤組成物を提供したも
のである。
【0018】本発明における新規プロテアーゼは、目的
とする遺伝子を微生物中に導入し、その微生物を培地中
で培養することにより生産させ、培養液からプロテアー
ゼを回収することにより取得できる。この際用いるDN
Aとしては、前記バチルスNKS−21から得られる未
発現の遺伝子が用いられるが、このDNA中には少なく
とも配列番号1で示される本プロテアーゼ遺伝子または
配列番号1で示されるポリペプチドをコードする塩基配
列のDNAが含まれていればよく、必ずしもバチルスN
KS−21由来の未発現遺伝子全部を含んでいる必要は
ない。また、本プロテアーゼ構造遺伝子部分に、別のプ
ロモーター領域やシグナル配列、ターミネーター領域等
を結合したDNA断片を用いることもできる。この際用
いるプロモーター領域やシグナル配列、ターミネーター
領域等は遺伝子を導入する宿主菌中でアルカリプロテア
ーゼを発現、生産することができるものであれば如何な
るものを用いてもよい。
【0019】また、宿主菌としては、目的とするプロテ
アーゼ遺伝子を導入でき、発現、生産可能なものであれ
ばどのようなものを用いてもよいが、その生育速度、プ
ロテアーゼ生産性の観点より、工業的生産においてはバ
チルス属細菌もしくは大腸菌を用いることが望ましい。
宿主菌の形質転換法は、通常用いられる方法で可能であ
る。例えば、プロトプラスト法、エレクトロポレーショ
ン法、コンピーテントセル法などにより実施可能であ
る。導入したプロテアーゼ遺伝子は、プラスミド等を用
いて染色体外に存在、複製させる方法で安定に保持させ
てもよいし、染色体中に組み込む方法でもかまわない。
染色体外の存在、複製する方法の場合には、宿主菌中で
複製可能なベクターを用いる。例えば、大腸菌を宿主菌
として用いる場合、pBR322、pUC18、Col
E1等を用いることができる。一方、バチルス属細菌の
宿主染色体中に組み込む方法では、ベクターを用いない
か、あるいは宿主菌内で複製しないものを用いることが
望ましく、例えば上記プラスミドあるいはpE194等
を用いることができるが、必ずしもこれらに限定されな
い。
【0020】形質転換体の選択は、スキムミルクあるい
はカゼインを加えた寒天培地上でのクリアゾーン形成
や、導入遺伝子に結合した遺伝子マーカーの発現により
行なうことができるが、必ずしもこれらに限られない。
上記のようにして得た形質転換体を培養する培地として
特に制限はなく、上記形質転換体が生育可能なものであ
ればどのような培地でも用いることができる。培養液か
らのプロテアーゼの分離精製は、一般的な蛋白質の分離
精製法にしたがって行なうことができる。例えば、塩
析、イオンクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフ
ィー等により可能であるが、必ずしもこれに限るもので
はない。
【0021】
【酵素活性の測定法】本発明においては酵素の活性は次
のような方法で測定した。50mM Atkins-Pantin 緩
衝液(pH10.0)1.5 mlに、10mMになるように合
成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA をジメチルスルホキシ
ド(DMSO)に溶解させたもの5μlを混合し、この
混合液に酵素溶液10μlを添加する。反応温度を30
℃とし、345nmの励起光より生じる7−アミノ−4
メチルクマリン(AMC)の蛍光を440nmで検出す
る。1秒間に1モルのAMCを生成する酵素量を1ka
talとする。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例1:大腸菌による新規アルカリプロテアーゼの生
バチルスNKS−21からクローニングされたゲノムD
NAの大腸菌への形質転換はショットガン法を用いて行
なった。すなわち、バチルスNKS−21のゲノムDN
Aを制限酵素Sau3AIで部分消化して断片を得た。
次にこれをアガロースゲル電気泳動にかけ、ジーンクリ
ーン(GENECLEAN) (Bio101社製)を用いて2〜6
kbのDNA断片のみを調製した。
【0023】ベクターとしてプラスミドpUC119を
用い、制限酵素HindIII で消化した。これをフェノ
ール処理、アルカリホスファターゼ処理した後、アガロ
ース電気泳動し、同じくジーンクリーン(GENECLEAN)
(Bio101社製)を用いて切断断片を調製した。ゲ
ノムDNAの制限酵素切断断片とベクタープラスミドと
のライゲーションを行ない、未発現遺伝子を含む、バチ
ルスNKS−21からクローニングされたゲノムDNA
の断片が組込まれたプラスミドDNAを得た。
【0024】このプラスミドDNAを用い、大腸菌HB
101株に形質転換を行ない、アンピシリン(50μl
/ml)が添加されたLB−スキムミルク寒天培地で3
7℃、24〜28時間培養し、コロニー周辺のクリアゾ
ーン形成を指標としてアンピシリンに耐性の形質転換体
を選択した。これらの形質転換体を新たな同一プレート
上で培養し、クリアゾーンを形成させた。培地上でのク
リアゾーン形成部分からパンチで断片を切り取り、電気
泳動用のアガロースゲルにはめ込み、そのままアガロー
ス電気泳動にかけた。
【0025】電気泳動終了後、基質として40μMのSu
c-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA を含有する0.1 M Atkins-Pan
tin 緩衝液(pH10.0)を含ませたプロッティングろ紙
を置き、室温で10〜30分間反応させると、トランス
イルミネーター上で公知のAPI−21(等電点7.4 )
とSDP−515(等電点2.8 )とは異なる等電点(2.
8 未満)を有する新規なプロテアーゼを得、Suc-Ala-Al
a-Pro-Phe-MCA の切断により生じたAMC(7−アミノ
−4メチルクマリン)の蛍光が生じるのが確認できた。
この新規なプロテアーゼ生産株は、約10,000株に1株の
割合で得られた。
【0026】1%酵母エキス、0.1 %スキムミルク、お
よび0.5 %NaClを含む培地(pH7.2 )100ml
を、500ml容坂口フラスコに入れ、115℃で15
分間オートクレーブで滅菌する。スクリーニングにより
得られた新規プロテアーゼ生産株を前記培地に植菌し、
26℃で48〜72時間振盪培養した。得られた培養液
を13,600gで10分間遠心分離し、上清液(90ml)
の酵素活性を測定したところ、2nkatal/mlで
あった。この溶液を凍結乾燥することにより粗酵素末を
得た。
【0027】実施例2:新規プロテアーゼの精製 以下、精製操作はすべて4℃以下で操作した。実施例1
で得られた粗酵素末1gを、2mMのカルシウムイオン
を含有する10mM Tris−HCl緩衝液(pH7.
2 )(以下、緩衝液Aという。)50mlに溶解させ
た。この酵素液を、予め緩衝液Aで平衡化したDEAE
−TOYOPEARL 650Sカラム(3×8cm)
にかけ、0〜1.0 MのNaCl直線濃度勾配で溶出させ
た。活性画分を分取し、30%飽和硫安を加えて沈殿さ
せ、上清を取り、予め30%飽和硫安を含む緩衝液Aで
平衡化させたオクチル−セルロファイン(Octyl-cellul
ofine )(3.4 ×12cm)にかけ、30〜0%の硫安
直線濃度勾配で溶出させた。活性画分を分取し、30%
飽和硫安を含む緩衝液Aに対して透析した後、再度同カ
ラムにかけて同条件で溶出を行なった。活性画分を合わ
せて緩衝液Aにて透析し、硫安を除去した。これを再度
予め緩衝液Aで平衡化したDEAE-TOYOPEARL 650S カラム
にかけ、同じく0〜1.0 MのNaCl直線濃度勾配で溶
出させ、蛋白的に均一な精製酵素(活性収率6%)を得
た。
【0028】実施例3:精製酵素の性質 (1) pH安定性および至適pHの測定 pH安定性は以下のような方法で測定した。実施例2で
得られたアルカリプロテアーゼを、各pHに調製した0.
1 M Britton-Robinson広域緩衝液と等量ずつ混合し、
30℃で10分間インキュベートした後、0.1 M Atki
ns-Pantin 緩衝液でSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA を基質と
して活性の測定を行なった。活性は、酵素反応停止後フ
ェノール試薬、あるいはニンヒドリンを用いて発色さ
せ、比色定量法により求めた。pH10.0における活性を
100として表示した結果を図1に示す。また、至適p
Hは、上記測定で用いたのと同様の各pHの緩衝液を用
いて、30℃で、同じくSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA を基
質として活性の測定を行なうことにより求めた。最高の
活性を示したpH11.0での活性を100として表示した
結果を図2に示す。図1および2より、本アルカリプロ
テアーゼは約pH5〜11.5の範囲で安定であり、至適p
Hが11以上であることがわかった。
【0029】(2) 熱安定性および至適温度の測定 熱安定性は以下のような方法で測定した。すなわち、同
じく実施例2で得られた新規プロテアーゼを、pH10.0
で各温度にて10分間インキュベートした後、Suc-Ala-
Ala-Pro-Phe-MCA を基質として30℃、pH10.0で活性
の測定を行なった。30℃で処理した時の活性を100
として表示した結果を図3に示す。図3より、本アルカ
リプロテアーゼは約55℃まで全く安定であり、65℃
で完全失活することがわかった。また、至適温度は、p
H10.0で1.0 %カゼインを基質とし10分間反応させた
時の各温度における活性の測定により求めた。30℃に
おける値を100として表示した結果は図4に示すとお
りであり、その至適温度は約50℃である。
【0030】(3) 等電点の測定 同じく実施例2で得られた新規プロテアーゼを、アガロ
ースゲル電気泳動法を用いて等電点を測定したところ、
2.8 未満であった。 (4) 分子量の測定 同じく実施例2で得られた新規プロテアーゼを、SDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分子量を測
定したところ、約37,000であった。
【0031】(5) 各種基質に対する活性測定 基質としてカゼイン、オブアルブミン、ウシ血清アルブ
ミン、ヘモグロビン、クルペイン、サルミン、リゾチー
ム、ゼラチン、およびコラーゲンを用い、各々1%にな
るように調製し、pH10.0にて活性測定を行なった。活
性測定は、反応停止後、フェノール試薬を用いる方法
(Folin らの方法)およびニンヒドリン法により行っ
た。カゼインに対する活性を100とする相対活性によ
り表示した結果を図5に示す。図5から、合成基質Suc-
Ala-Ala-Pro-Phe-MCA 、ヘモグロビン、クルペイン、サ
ルミン、ゼラチンなどの基質に対する活性が高いことが
わかる。本プロテアーゼは特に、アルギニンなどの塩基
性アミノ酸に富む塩基性蛋白質に対して効果的に作用す
る。
【0032】(6) 界面活性剤に対する安定性 表1に記載した各種界面活性剤各々0.1 %の存在下で、
60分間、30℃、pH10.0でインキュベートした後、
カゼインを用いて活性測定を行なった。発色はフェノー
ル試薬を用いて行なった。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1より、界面活性剤、特に非イオン性界
面活性剤に対して安定であることがわかる。 (7) 化学物質による活性阻害 表2に記載されている濃度の各種化学物質の存在下、3
0℃で10分間インキュベートした後、合成基質Suc-Al
a-Ala-Pro-Phe-MCA を用いて蛍光分光法により活性を測
定した。化学物質を添加しない場合の活性を100とし
て示した結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】この結果より、本プロテアーゼはフェニル
メタンスルフォニルフルオリド(PMSF)、キモスタ
チン、アンチパインにより活性は完全に阻害されること
がわかった。
【0037】実施例3:本プロテアーゼを含有する洗浄
剤組成物 本発明酵素を種々の洗剤に配合して血液汚染布の洗浄試
験を以下のとおり行なった。 A.全血液木綿汚染布の作成 採血直後の新鮮な牛全血液(血液9容に3.8 %クエン酸
ナトリウム溶液1容を加え、凝固防止したもの)を用
い、下記の条件で試布を浸漬汚染してマングルにより7
0%に絞り上げて均一に汚染した後、室内で直射日光を
避けて風乾し、0〜5℃の冷暗所に貯蔵した。調製後、
10cm×5cmに裁断して洗浄に供した。 <条件> 試布:10cm×15cm、 汚染液:試布10枚につき100ml、 汚染温度:10±2℃、 汚染時間:5分間(30秒毎に反転)。
【0038】B.洗浄方法 ターゴットメータ(Terg-O-Tometer)を用い、下記の条
件で洗浄および濯ぎ(3回)を行なった。 <洗浄条件> 汚染布:5cm×10cm、 洗剤:0.133 %(酵素5nkatal/ml)、 浴比:1:85、 反転数:105rpm、 洗浄時間:10分間、 洗濯温度:40℃。 <濯ぎ条件> 汚染布:5cm×10cm、 浴比:1:85、 反転数:105rpm、 濯ぎ時間:3分間。 濯ぎを終わった布は室内で直射日光を避けて風乾した。
【0039】C.使用洗剤および酵素 洗剤として、下記に示す組成の3種の無リン洗剤を使用
した。 <洗剤の組成> 界面活性剤(LAS系、SDS系またはAOS系) 15% ゼオライト 17% ケイ酸ソーダ 5% 炭酸ソーダ 3% カルボキシメチルセルロース 1% 水分 8% 硫酸ソーダ バランス 洗浄結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】本発明の方法により、通常条件下では発
現されない非分泌型のアルカリプロテアーゼを生産する
ことができる。また、このプロテアーゼは等電点が低
く、熱や界面活性剤に対してより優れた安定性を有する
新規なアルカリプロテアーゼである。本発明のプロテア
ーゼは、洗浄補助剤をはじめとする工業用酵素として有
用である。
【0042】
【配列表】
【0043】配列番号:1 配列の長さ:972 配列の型:核酸とアミノ酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列 TTG AGT AAA GTG AGC CTG ATT CCA TTC AAA GTT GAG AAG GTT CTA AAT 48 Met Ser Lys Val Ser Leu Ile Pro Phe Lys Val Glu Lys Val Leu Asn 1 5 10 15 GAC ACA AAG GTT ATT CCG CCC GGT ATT GAA ATG ATT GAA GCA CCA GCC 96 Asp Thr Lys Val Ile Pro Pro Gly Ile Glu Met Ile Glu Ala Pro Ala 20 25 30 GTA TGG GAG GCT GGA TAT AAG GGT GGT AAT ACT GTT GTA GCT GTT CTA 144 Val Trp Glu Ala Gly Tyr Lys Gly Gly Asn Thr Val Val Ala Val Leu 35 40 45 GAT ACA GGG TGT GAA ACG ACC CAC ATC GAA TTT AAG GAT CAA ATT ATT 192 Asp Thr Gly Cys Glu Thr Thr His Ile Glu Phe Lys Asp Gln Ile Ile 50 55 60 GAC GGT CGT AAC TTT ACT ACA GAT GAT AAC AGC GAC CCT GAT AAT GTA 240 Asp Gly Arg Asn Phe Thr Thr Asp Asp Asn Ser Asp Pro Asp Asn Val 65 70 75 80 GAA GAT TCT AAC GGT CAT GGT ACT CAC GTA TGC GGA CCC GTT GCT GCC 288 Glu Asp Ser Asn Gly His Gly Thr His Val Cys Gly Pro Val Ala Ala 85 90 95 TGT GAG AAT GAC AAG GGC GTC ATT GGT ACC GCC CCA AAA GCG AAA CTG 336 Cys Glu Asn Asp Lys Gly Val Ile Gly Thr Ala Pro Lys Ala Lys Leu 100 105 110 CTC GTT GTA AAG GTG CTT AGC GGA CAA GGG TAC GGA GAT ACA AAA TGG 384 Leu Val Val Lys Val Leu Ser Gly Gln Gly Tyr Gly Asp Thr Lys Trp 115 120 125 GTC ATT GAA GGG GTT CGT TAT GCG ATA AAT TGG CGT GGA CCA AAC AAT 432 Val Ile Glu Gly Val Arg Tyr Ala Ile Asn Trp Arg Gly Pro Asn Asn 130 135 140 GAA CGA GTT CGT GTC ATT TCT ATG TCA CTC GGG GGA AGA ATT GAT ACT 480 Glu Arg Val Arg Val Ile Ser Met Ser Leu Gly Gly Arg Ile Asp Thr 145 150 155 160 CCT GAA CTT CAT CAA GCG ATA AAA CAT GCT GTA GCT GAG GAT ATT TTA 528 Pro Glu Leu His Gln Ala Ile Lys His Ala Val Ala Glu Asp Ile Leu 165 170 175 GTT GTA TGT GCA GCT GGA AAT GAA GGG GAT GGC AAT CAT GAC ACA GAT 576 Val Val Cys Ala Ala Gly Asn Glu Gly Asp Gly Asn His Asp Thr Asp 180 185 190 GAA TAT GCC TAC CCT GGA GCT TAT CCG GAA GTC GTT CAA GTA GGC TCT 624 Glu Tyr Ala Tyr Pro Gly Ala Tyr Pro Glu Val Val Gln Val Gly Ser 195 200 205 GTC AAT CTA GAA GGC GAG ATC TCT AGA TTC AGC AAT ACA AAT TGT GCG 672 Val Asn Leu Glu Gly Glu Ile Ser Arg Phe Ser Asn Thr Asn Cys Ala 210 215 220 ATT GAC CTT GTC GCA CCA GGC GAA GAA ATT ATT TCA ACT TAT CTT AAC 720 Ile Asp Leu Val Ala Pro Gly Glu Glu Ile Ile Ser Thr Tyr Leu Asn 225 230 235 240 AAC GGC TAC GCT GTC TTA TCC GGT ACT TCA ATG GCT ACA CCG CAT GTA 768 Asn Gly Tyr Ala Val Leu Ser Gly Thr Ser Met Ala Thr Pro His Val 245 250 255 TCC GGT GCG GCA GCC CTG TTA ATT GAA CAA GTA GAA AAA GAG TTT GAA 816 Ser Gly Ala Ala Ala Leu Leu Ile Glu Gln Val Glu Lys Glu Phe Glu 260 265 270 AGA AAG TTG ACG GAA CCA GAA ATT TTC GCA CAA CTG ATC AAA CAC ACC 864 Arg Lys Leu Thr Glu Pro Glu Ile Phe Ala Gln Leu Ile Lys His Thr 275 280 285 GTT TCT CTT AAC TTC AGC CGC CGC GCA CAA GGA AGC GGG CTG TTG AAA 912 Val Ser Leu Asn Phe Ser Arg Arg Ala Gln Gly Ser Gly Leu Leu Lys 290 295 300 TTA TCA TCA AGC GTT GTA TCA GTA GAG GAT GCC GAA TAT ACA ACT AGC 960 Leu Ser Ser Ser Val Val Ser Val Glu Asp Ala Glu Tyr Thr Thr Ser 305 310 315 320 TCT ATT AAA TAG 972 Ser Ile Lys *
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明酵素のpH安定性を示すグラフである。
【図2】本発明酵素の至適pH範囲を示すグラフであ
る。
【図3】本発明酵素の熱安定性を示すグラフである。
【図4】本発明酵素の至適温度範囲を示すグラフであ
る。
【図5】本発明酵素の各基質に対する相対活性を示すグ
ラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の性質を有するアルカリプロテアー
    ゼ。 (1)至適pH:合成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA を
    基質として30℃で10分間反応させた時の至適作用p
    Hは11以上である。 (2)pH安定性:合成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA
    を基質として30℃で10分間反応させた場合、pH5
    〜11.5の範囲で安定である。 (3)至適温度:1.0 %カゼインを基質としてpH10
    で10分間反応させた場合、至適作用温度は50℃付近
    である。 (4)熱安定性:pH10で10分間処理した時、55
    ℃まで全く安定であり、65℃で完全失活する。 (5)基質特異性:合成基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA
    、カゼイン、ヘモグロビン、クルペイン、サルミンお
    よびゼラチンを分解する。 (6)等電点:アガロースゲル電気泳動法による等電点
    は2.8 未満である。 (7)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
    動法により測定した場合の分子量は約37,000である。 (8)化学物質に対する影響:フェニルメタンスルフォ
    ニルフルオリド、キモスタチンおよびアンチパインによ
    り完全に阻害される。
  2. 【請求項2】 配列番号1で示されるアミノ酸配列を有
    する請求項1に記載のアルカリプロテアーゼ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のアルカリプロテアーゼ
    をコードする配列番号1で示される遺伝子。
  4. 【請求項4】 バチルス属NKS−21菌(微工研条寄
    第93号)のゲノムDNAを部分分解し、ショットガン
    法で配列番号1で示される配列を有するDNAを形質転
    換した微生物を培養して、その培養液からアルカリプロ
    テアーゼを取得することを特徴とする請求項1または2
    に記載のアルカリプロテアーゼの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の遺伝子を導入した形質
    転換微生物を培養して、その培養液からアルカリプロテ
    アーゼを取得することを特徴とする請求項1または2に
    記載のアルカリプロテアーゼの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載のアルカリプロ
    テアーゼを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
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