JPH0676492B2 - ポリアミノ酸およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミノ酸およびその製造方法

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JPH0676492B2
JPH0676492B2 JP6790788A JP6790788A JPH0676492B2 JP H0676492 B2 JPH0676492 B2 JP H0676492B2 JP 6790788 A JP6790788 A JP 6790788A JP 6790788 A JP6790788 A JP 6790788A JP H0676492 B2 JPH0676492 B2 JP H0676492B2
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章 滝沢
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は規則性の良い一次構造を有するポリアミノ酸お
よびその製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
生体膜の持っている、特定の物質に対する選択透過性、
情報伝達、細胞間の相互認識といった機能は、膜タンパ
ク質と脂質二分子膜との相互作用に依存していると考え
られている。
チャネルを形成するような膜タンパク質の一次構造は、
親・疎水性アミノ酸の周期的配列から成り、これがα−
ヘリックスを形成して二分子膜内で会合することによ
り、チャネル内部に親水性残基が、脂質側に疎水性残基
が配向した安定なチャネル構造が形成されると言われて
いる。
一方、側鎖にエステル基を有するポリマーを、ケン化す
ることにより、カルボキシル基を有するポリマーに変換
することは一般に知られている。
また、エステル基とカルボキシル基とを一分子中に有す
るポリマーは、これら側鎖を有するモノマーの重合によ
り得られることも一般に知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
膜タンパク質様物質として、規則性の良い一次構造を有
するポリアミノ酸を製造するために、前者の方法を用い
ると、側鎖エステル基を有するポリアミノ酸を、均一溶
液系でケン化することにより、エステル基を一定量のカ
ルボキシル基に変換することは可能であるが、一次構造
はランダムになってしまう。
又、後者の方法では、エステル基とカルボキシル基の量
比を一定の割合に調整することは出来るが、この二つの
基を規則正しく配列させること、即ち、分子の一次構造
を制御することは出来ず、ランダムな一次構造をもつも
のしか製造することはできなかった。
本発明は、エステル基側鎖を有するアミノ酸単位とカル
ボキシル基側鎖を有するアミノ酸単位とが規則正しく配
列した規則性の良い一次構造を有するポリアミノ酸およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明は下記一般式(I)で示されるエステ
ル基側鎖の構造単位と下記一般式(II)で示されるカル
ボキシル基側鎖の構成単位とからなる、α−ヘリックス
構造を有するポリアミノ酸であって、該α−ヘリックス
構造による棒状体の軸方向特定の部分側面が、実質的に
一般式(II)で示されるカルボキシル基側鎖の構成単位
であることを特徴とするポリアミノ酸 (式中、mは1〜3の整数を表わし、Rはアルキル基ま
たはアラルキル基を表わす。) (式中、mは1〜3の整数を表わし、Mは水素原子又は
アルカリ金属を表わす。) および、α−ヘリックス構造を有し側鎖にエステル基を
含有するポリアミノ酸の単分子膜を水面上に形成した
後、水相にアルカリ溶液を添加して水中に存在するエス
テル基を選択的にケン化することを特徴とするポリアミ
ノ酸の製造方法を要旨とするものである。
本発明に用いるα−ヘリックス構造を有し、側鎖にエス
テル基を含有するポリアミノ酸としては、前記一般式
(I)で示される繰返し単位からなるポリアミノ酸を挙
げることができる。
一般式(I)において、mは1〜3の整数、Rはアルキ
ル基またはアラルキル基を表わすが、アルキル基として
は、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、オクチル等
及び炭素数18程度までの長鎖アルキル基が好ましく挙げ
られ、またアラルキル基としてはベンジル基等が好まし
く挙げられる。これらのうち、特に好ましいのはメチ
ル、エチル基である。
一般式(I)を与えるモノアミノ酸としては、グルタミ
ン酸、アスパラギン酸が挙げられ、一般式(I)の単位
からなるポリアミノ酸としては、ポリ(L−グルタミン
酸−γ−ベンジル)、ポリ(L−アスパラギン酸−β−
ベンジル)、好ましくはポリ(L−グルタミン酸−γ−
メチル)、ポリ(L−グルタミン酸−γ−エチル)、ポ
リ(L−アスパラギン酸−β−メチル)、ポリ(L−ア
スパラギン酸−β−エチル)等が挙げられる。
これらポリアミノ酸は、α−アミノ酸−N−無水物(い
わゆるNCA)の重合により得られる。例えば、ポリ(L
−グルタミン酸−γ−メチル)は、γ−メチル−L−グ
ルタメート−N−カルボン酸無水物を、有機アミン、ア
ルコラート、水、アルカリ等の触媒を用いて公知の方法
で重合することにより得られる。
単分子膜の製造は、常法(例えば、新実験化学講座18巻
「界面とコロイド」(丸善、昭和52年10月)p.442)に
よることができる。例えば、前記ポリアミノ酸を、非水
系でかつポリアミノ酸と非会合である溶媒(好ましく
は、クロロホルム、トリクロロエチレン、エチレンジク
ロライド、ベンゼン等)に、溶解して0.01〜1%溶液を
調製し、これを水面上に展開し、膜が固体状態となる表
面圧で調整し、α−ヘリックス構造を有するポリアミノ
酸の単分子膜が、形成される。
次に、図面に従って、本発明を詳細に説明すると、第1
図は本発明の製造方法の各工程を示す図である。水槽1
に水を入れ、仕切り板2を移動させて清浄な水面3とす
る。次にポリアミノ酸の上記溶液をマイクロシリンジ4
を用いて一定量を水面3にゆっくり滴下し、ポリアミノ
酸単分子5の膜を展開し仕切り板2を移動させて単分子
膜6を作成する(1−a図)。
この単分子膜を形成するポリアミノ酸5は、α−ヘリッ
クス構造を有するので、側鎖エステル基はヘリックス上
に100゜の間隔をおいて存在する。即ち、エステル基の
配列は、そのヘリックス断面に対する投影図(第2図)
の如く、エステル基18個で5回転(3.6個/回転)が単
位周期である。ただし第2図中の番号は分子鎖末端アミ
ノ酸の側鎖エステル基を1として示した。単分子膜形成
時においてエステル基が水側に存在するか非水(空気)
側に在るかはヘリックス断面に対する水のぬれ角度に依
存するが、これを120゜に採ると、ヘリックス上のエス
テル基は概略水側のエステル基−空気側のエステル基
−空気側のエステル基のくり返しで形成される。
次いでエステル基の1/2モル以上の量のアルカリを含む
水溶液を、1−b図の如くマイクロシリンジ4等で添加
し、単分子膜6の水相側をケン化させる。ケン化時間
は、アルカリ溶液が均一分散後5〜10分間で十分であ
る。ケン化反応後、アルカリと等モル量の酸を添加し、
反応を停止させる(1−c図)。酸としては、塩酸、リ
ン酸、酢酸等を挙げることができる。
単分子膜製造から中和に至る工程においての水温として
は、5〜30℃を挙げることができる。
かくして、水中に存在するエステル基のみ、即ち、単分
子膜の片側のみがケン化され、概略カルボキシル基1ケ
にエステル基2ケのくり返しからなる、規則性のよい一
次構造を有するポリアミノ酸が得られる。
1−d図は、本発明のポリアミノ酸の構造を示す模式図
であり、5はα−ヘリックス構造による棒状体として表
わされるポリアミノ酸分子を示し、6はケン化されてい
ないエステル基側鎖部であり、斜線部7はケン化された
カルボキシル基側鎖部であり、カルボキシル基側鎖部が
α−ヘリックス構造による棒状体の軸方向部分側面に存
在することを示す。
エステル基のケン化可能な範囲がヘリックス断面に対し
120゜の範囲であると仮定すると、次の18個のアミノ酸
配列をくり返し単位とする規則性のよい一次構造を有す
るポリアミノ酸が得られる。
EAEEAAEEAEEEAEEAAEn (ここでEおよびAは、各々前記一般式(I)のエステ
ル基、一般式(II)のカルボキシル基を有するアミノ酸
単位を示す。)この場合、重合度30のポリアミノ酸に対
するカルボキシル基の含率は36.7%となる。同様にケン
化可能な範囲を100゜、140゜、160゜に仮定した時のカ
ルボキシル基含率は、各々30%、40%、46.7%となる。
本発明で得られるポリアミノ酸は、両親媒性であり、二
分子膜形成物質に膜タンパク質様物質として添加する
と、有効なチャネルを形成することが出来る。従って、
徐放薬剤等への応用が考えられる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本
発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1 <ポリアミノ酸溶液の調製> γ−メチル−L−グルタメート−N−カルボン酸をクロ
ロホルムに溶解して10%溶液とし、これにトリエチルア
ミンを加え室温で重合したところ、重合度30の低分子量
ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)を得た。これ
を、クロロホルムで希釈し、0.1%濃度に調製した。
<単分子膜の製造> 前記ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)の0.1%ク
ロロホルム溶液を、室温下水面上に展開し、膜が固体状
態となる表面圧(第3図)で調整し、α−ヘリックス構
造を有するポリアミノ酸の単分子膜を製造した。
<単分子膜の片側面のケン化方法> 室温下で、水相の水酸化カリウム濃度が0.1モル(メチ
ルグルタメート総残基の105倍モル)となるように、水
酸化カリウム溶液を添加し、3分間ケン化反応を行なっ
た。その後等量の塩酸で反応を停止し、目的の片側ケン
化の膜を得た。
<ケン化膜の評価> 得られた片側ケン化膜のトリフルオロ酢酸系での高分解
能NMRスペクトルのα−水素と側鎖メトキシのピークの
面積の比よりグルタミン酸コンテントは大過剰のKOH添
加にもかかわらず34モル%であった。またこの値はヘリ
ックス断面に対するケン化可能な範囲を120゜として得
たグルタミン酸コンテントの計算値36.7%と良好に一致
した。
第4図に、本願発明の片側ケン化物(A)、比較例とし
てメチルグルタメート/グルタミン酸が70/30のランダ
ム共重合体(B)およびポリ(γ−メチル−L−グルタ
メート)(C)の側鎖NMRを測定した結果を示す。三種
のスペクトルの差異は明白であり、片側ケン化物(A)
の低磁場側の複雑なショルダーは、このポリアミノ酸の
一次構造の規則性を示している。
また、本発明の片側ケン化ポリアミノ酸の二次構造をCD
測定(JASCO J−40C)によって検討した(第5図)。リ
ン酸トリメチル(TMP)系、水系(pH7.2)およびベシク
ル系(pH7.2)のいずれにも可溶であり、222nmおよび20
8nmに負のピークを持つα−ヘリックス構造に固有のス
ペクトルを示し、水系およびベシクル系でのヘリックス
コンテントは約40%となった。以上のことから考える
と、ポリメチルグルタメートを単分子膜状態でケン化し
て得たポリアミノ酸は、両親媒性物質であり、pH7.2に
おいてもヘリックス構造を形成しうることが判った。
〔発明の効果〕
本発明方法によれば、エステル基側鎖を有するアミノ酸
単位とカルボキシル基側鎖を有するアミノ酸単位とが規
則正しく配列した規則性の良い一次構造を有するポリア
ミノ酸を得ることができる。
又、本発明のポリアミノ酸は、物質の選択透過等に有用
であり、例えば、徐放薬剤等に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリアミノ酸の製造工程を示す図、第
2図は側鎖エステル基の配列を示す模式図、第3図はポ
リ(L−グルタメート−γ−メチル)の単分子膜が固体
状態となる表面圧を示す図、第4図は本発明のポリアミ
ノ酸のNMRスペクトルを示す図、第5図は本発明のポリ
アミノ酸の二次構造をCD測定した結果を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるエステル基側
    鎖の構成単位と下記一般式(II)で示されるカルボキシ
    ル基側鎖の構成単位とからなる、α−ヘリックス構造を
    有するポリアミノ酸であって、該α−ヘリックス構造に
    よる棒状体の軸方向特定の部分側面が、実質的に一般式
    (II)で示されるカルボキシル基側鎖の構成単位である
    ことを特徴とするポリアミノ酸。 (式中、mは1〜3の整数を表わし、Rはアルキル基ま
    たはアラルキル基を表わす。) (式中、mは1〜3の整数を表わし、 Mは水素原子又はアルカリ金属を表わす。)
  2. 【請求項2】α−ヘリックス構造を有し側鎖にエステル
    基を含有するポリアミノ酸の単分子膜を水面上に形成し
    た後、水相にアルカリ溶液を添加して水中に存在するエ
    ステル基を選択的にケン化することを特徴とするポリア
    ミノ酸の製造方法。
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