JPH0680592B2 - 溶融炭酸塩型燃料電池用電解質マトリツクス - Google Patents

溶融炭酸塩型燃料電池用電解質マトリツクス

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JPH0680592B2
JPH0680592B2 JP60181382A JP18138285A JPH0680592B2 JP H0680592 B2 JPH0680592 B2 JP H0680592B2 JP 60181382 A JP60181382 A JP 60181382A JP 18138285 A JP18138285 A JP 18138285A JP H0680592 B2 JPH0680592 B2 JP H0680592B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は溶融炭酸塩を電解質として用いる燃料電池の電
解質マトリックスの改良に関する。
〔発明の技術的背景とその問題点〕
従来、水素のように酸化され易いガスと、酸素のように
酸化力のあるガスとを電気化学的反応プロセスを経て反
応させることにより直流電力を得るようにした燃料電池
が広く知られている。この燃料電池は、使用する電解質
によってリン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型等に大
別される。
ところで、上記のような燃料電池のうち、溶融炭酸塩型
の燃料電池は、650℃近辺の温度で動作させるようにし
たものであり、その主要部は、通常、炭酸リチウム、炭
酸カリウム等の炭酸塩の電解質と、リチウムアルニネー
ト等のセラミックス系保持材とを平板状に一体化してな
る電解質マトリックスの両面にニッケル合金等のガス拡
散極を当接して単位電池を構成し、この単位電池を複数
個、相互間に双極性隔離板を介在させて積層した積層体
に構成されている。
しかしながら、上記のように構成された従来の電解質マ
トリックスにあっては、電解質保持材と溶融温度以下の
固相状態の電解質との熱膨張率差及び電解質マトリック
スと電極、セルハウジングとの熱膨張率差に起因して、
熱サイクルを与えると降温時に電解質マトリックスに貫
通割れの発生することが往々にしてあった。
そこで、このような不具合を解消するために、カンタル
線やアルミナ(Al2O3)繊維等を補強繊維として混入
し、これらによって貫通割れに至るまでの強度を向上さ
せることが考えられている。
しかし、補強繊維として用いられるカンタル線やアルミ
ナ繊維は電解質と化学反応を起すため、長期にわたって
補強の役割を果たさないという問題点があった。このた
め、熱サイクルを与えることにより電解質マトリックス
に一旦微小な割れが発生すると、この割れに応力が集中
して大きな割れに発展することには変わりがなかった。
一方、溶融炭酸塩に対して比較的安定な物質としてジル
コニア(ZrO2)が知られており、特にY2O3、CaO等の添
加により安定化あるいは部分安定化されたものに関して
は、溶融炭酸塩に対する長期間にわたる安定性が立証さ
れている。また、ジルコニアは酸化物セラミックスとし
ては容易に繊維状物質(通常、径が8μm程度、長さ数
mm)が得られる材料である。したがって、これらの観点
のみから判断すれば、ジルコニア繊維は電解質マトリッ
クスの補強繊維の用途に適しているといえる。
ただし、ジルコニア繊維は溶融炭酸塩に対するぬれ性に
乏しいため、電解質マトリックスに1重量%程度混入さ
せても電解質の保持性が著しく低下する。そして、混入
量を多くすると、電解質マトリックスのスランプ特性の
劣化を引起こす原因となる。このため、補強繊維として
ジルコニア繊維を用いる場合には、スランプ特性の劣化
が起らないような表面処理が必要となるという問題があ
った。
〔発明の目的〕
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、スラ
ンプ特性の劣化等を招くことなく、熱サイクルを受けて
も長期にわたって貫通割れを防止できる等、高強度を有
する溶融炭酸塩型燃料電池用電解質マトリックスを提供
しようとするものである。
〔発明の概要〕
本発明の溶融炭酸塩型燃料電池用電解質マトリックス
は、溶融状態で電解質として用いられる炭酸塩及び溶融
炭酸塩を保持するセラミックス保持材に、1〜20重量%
のLi2ZrO3繊維を混入したことを特徴とするものであ
る。
本発明において補強繊維として用いられるLi2ZrO3繊維
は、ジルコニア繊維とLiを含む溶融炭酸塩とを800℃以
上の高温で反応させることにより得られる。この反応温
度は通常の溶融炭酸塩型燃料電池の動作温度よりも高温
であることから、Li2ZrO3繊維は電池の動作温度程度の
溶融炭酸塩中では長期にわたって化学的に安定である。
また、Li2ZrO3繊維は溶融炭酸塩に対するぬれ性が良好
であるので、電解質マトリックスに多量に混入させても
電解質の保持性を低下させることがなく、スランプ特性
の劣化を招くことがない。更に、従来の電解質マトリッ
クスでは降温に伴う溶融炭酸塩の固化時において気孔が
発生し、これが凝集して粗大化することが熱サイクル後
の強度低下、更には割れの要因となっていると考えられ
ているが、Li2ZrO3繊維が混入されている電解質マトリ
ックスでは、降温に伴う溶融炭酸塩の固化時の気孔の発
生及び流動が繊維によって抑制されて気孔が細かく分散
するので、熱サイクルを受けても強度低下を防止するこ
とができる。
なお、上述したようにジルコニア繊維を溶融炭酸塩に浸
漬してLi2ZrO3繊維を製造する場合、中心層にジルコニ
アが残存し、表面層がLi2ZrO3となった繊維が得られる
が、この表面層が溶融炭酸塩に対する化学的安定性及び
ぬれ性を発揮するので、上記のような本発明の効果を得
ることができる。
また、本発明において、電解質マトリックスを構成する
各要素の配合割合は、電解質55〜70重量%、保持材25〜
45重量%、Li2ZrO3繊維1〜20重量%であることが望ま
しい。上記配合割合は保持材の材質等によっても変動す
るが、Li2ZrO3繊維の配合割合については以下のような
理由による。すなわち、Li2ZrO3繊維が1重量%未満で
は本発明の効果を得ることができず、一方20重量%を超
えると所定の機械的強度を得るためには電解質の量を減
少させなければならず、電池反応時の内部抵抗の増大に
より電池特性の劣化を生じるためである。より好ましい
範囲は5〜15重量%である。また、電解質及び保持材の
配合割合については、使用される保持材の比表面積にも
よるが、例えば比表面積25m2/gのもので、保持材1重量
部に対し電解質3重量部以下でなければ、電解質を保持
することができない。このように電解質及び保持材の配
合割合は保持材により電解質を保持し得るという要件を
満たしたうえで、機械的強度と電池特性とを考慮して上
記範囲内で適宜設定される。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
まず、ジルコニア繊維を800℃の溶融炭酸塩(Li2CO3とK
2CO3との混合溶融炭酸塩)に浸漬して反応させ、Li2ZrO
3繊維を得た。このLi2ZrO3繊維は径が約10μm、長さが
約70μmの短繊維であった。次に、Li2ZrO3繊維、炭酸
塩(Li2CO3とK2CO3)及び保持材(γ−LiAlO2)を下記
表に示す配合割合で総量が100gとなるように配合し、そ
れぞれアルミナボールとともにアルミナポットに入れ、
アセトンを溶媒として20時間湿式混合を行なった。つづ
いて、混合後の粉末を乾燥・分級した後、それぞれ60g
を採取し、10cm角の金型に均一充填した。次いで、460
℃で300kg/cm2の圧力を15分間かけてプレス成形を行な
い、厚み約2.4mmで10cm角の電解質マトリックスを作製
した。なお、下記表中、比較例1はLi2ZrO3繊維を全く
混入させていないもの、比較例2はLi4ZrO4繊維を10wt
%混入させたものである。
以上のようにして得られた各電解質マトリックスから炭
酸ガスレーザーにより4cm角の熱サイクル試験片を切出
した。これら各試験片の上下をそれぞれアノード及びカ
ソードで挟み、炭酸ガス雰囲気中で1kg/cm2の圧力をか
け、650℃で1時間保持した後、降温した。
各電解質マトリックスについて、熱サイクル試験を行な
っていないものと、熱サイクル試験を行なったものとか
らそれぞれ2cm×4cmの曲げ試験片を切出し、3点曲げ試
験を行なった。この結果を下記表に併記する。
また、試験後の構成相の安定性を評価するため、構成相
の割合をX線回折から算出し、単斜晶ZrO2への相変化率
を求めた。その結果を下記表に併記する。
上記表から明らかなように、比較例1の電解質マトリッ
クスでは熱サイクル後に微細な割れが生じたため、熱サ
イクル後の曲げ強度が熱サイクル前と比べると大幅に低
下している。これに対し、実施例1〜5の電解質マトリ
ックスはいずれも熱サイクルを受けても割れが生じず熱
サイクル後の曲げ強度は比較例1の電解質マトリックス
と比べて向上している。また、実施例1〜5の電解質マ
トリックスではLi2ZrO3繊維の配合割合が多くなるにつ
れ、熱サイクル後の曲げ強度が向上している。一方、比
較例2では試験後に単斜晶ZrO2へ相変化する割合が非常
に大きくなっている。
なお、上記実施例では保持材(γ−LiAlO2)の配合割合
を40重量%に固定し、電解質(K2CO3及びLi2CO3)とLi2
ZrO3繊維との和を一定としている。この場合、Li2ZrO3
繊維を20重量%以上混入すると、電解質が40重量%以下
となり、電池反応時の内部抵抗の増大により電池特性が
劣化するため、Li2ZrO3繊維を20重量%以上混入するこ
とは好ましくない。
更に、実施例3の電解質マトリックスについて、熱サイ
クルを与えた試験片の抗折破面を走査型電子顕微鏡によ
り観察したところ、気孔が細かく分散していることが確
認された。
〔発明の効果〕
以上詳述した如く本発明によれば、スランプ特性の劣化
等を招くことなく、熱サイクルを受けても長期にわたっ
て貫通割れを防止できる等高強度を有する溶融炭酸塩型
燃料電池用電解質マトリックスを提供できるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柘植 章彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭56−82583(JP,A) 特開 昭60−101876(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融状態で電解質として用いられる炭酸塩
    及び溶融炭酸塩を保持するセラミックス保持材に、1〜
    20重量%のLi2ZrO3繊維を混入したことを特徴とする溶
    融炭酸塩型燃料電池用電解質マトリックス。
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