JPH0681038A - 高延性を有する冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
高延性を有する冷延鋼板の製造方法Info
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- JPH0681038A JPH0681038A JP3137274A JP13727491A JPH0681038A JP H0681038 A JPH0681038 A JP H0681038A JP 3137274 A JP3137274 A JP 3137274A JP 13727491 A JP13727491 A JP 13727491A JP H0681038 A JPH0681038 A JP H0681038A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 750℃未満の低温の連続焼鈍でも延性を全
伸び60%以上に向上させた冷延鋼板を製造する。 【構成】 C0.001%以下、Mn0.1%以下、N
0.001%以下、sol.Al0.0020〜0.0
15%、酸素0.004%を越え0.020以下%の鋼
をAc3 点以上、1200℃以下の温度に加熱して熱間
圧延を開始し、かつ熱間圧延における再結晶温度以下の
温度域での圧下率、もしくは熱間圧延における再結晶温
度以下の温度域での圧下率とその後の冷間圧延における
圧下率との合計圧下率を70%〜95%とし、さらに再
結晶温度以上、750℃未満の温度で連続焼鈍する。
伸び60%以上に向上させた冷延鋼板を製造する。 【構成】 C0.001%以下、Mn0.1%以下、N
0.001%以下、sol.Al0.0020〜0.0
15%、酸素0.004%を越え0.020以下%の鋼
をAc3 点以上、1200℃以下の温度に加熱して熱間
圧延を開始し、かつ熱間圧延における再結晶温度以下の
温度域での圧下率、もしくは熱間圧延における再結晶温
度以下の温度域での圧下率とその後の冷間圧延における
圧下率との合計圧下率を70%〜95%とし、さらに再
結晶温度以上、750℃未満の温度で連続焼鈍する。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は各種成形加工等の用途
に使用される冷延鋼板に関し、特に全伸び率で60%以
上の高延性を有しかつ低温焼鈍可能な冷延鋼板の製造方
法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、延性や絞り性等の加工性の優れた
冷延鋼板を製造する方法としては、炭素量が0.03〜
0.06%程度の低炭素Alキルド鋼を素材として、圧
延後箱焼鈍を施すことによる方法が一般的であった。し
かしながら箱焼鈍法は、処理に長時間を要して生産性が
著しく低いのみならず、コイル状態で熱処理されるため
にコイルの半径方向で加熱昇温速度や冷却速度にばらつ
きが生じ、そのためコイル全体にわたって均質な特性を
得ることができないという根本的な問題があった。 【0003】そこで最近では箱焼鈍法の欠点を解消する
ために連続焼鈍法を適用することが多くなっている。 【0004】しかしながら連続焼鈍法を適用した場合、
急速加熱を伴なうため、箱焼鈍法の場合と比較して鋼板
の再結晶温度が50〜100℃も高くなり、そのため結
晶の成長性も悪くなり、また急速冷却となるため鋼中に
固溶しているCの析出が充分に進行せず、その結果得ら
れる鋼板は硬質で延性、絞り性、耐時効性などが箱焼鈍
法により得られた鋼板よりも劣ってしまう問題がある。
またNに関しても、連続焼鈍法では短時間の加熱である
ため鋼中に固溶しているNがAlNとして析出しにく
く、焼鈍後も鋼中に固溶Nが多量に残存し、このことも
連続焼鈍法で得られた鋼板の加工性が低いことの一因と
なっている。 【0005】このような連続焼鈍法の欠点を解決する方
法の一つとしては、特公昭50−1341号公報におい
て提案されている方法がある。この提案の方法は、熱間
圧延時に高温で巻取ることにより、延性や絞り性の向上
に有利な方位の粒成長、あるいは鋼中に固溶されている
CやNの析出を促進させ、さらに連続焼鈍工程において
一旦急速冷却させた後に300〜500℃で数秒〜数分
の過時効処理を行なうことにより未析出の固溶Cの析出
を促進させ、これによって耐時効性の改善を図るもので
ある。しかしながらこの提案の方法の如く熱間圧延工程
で高温で巻取ることは酸洗性の低下を招く問題があり、
さらにこの提案の方法で製造された冷延鋼板も、箱焼鈍
法により得られた冷延鋼板と比較して未だ絞り性や延性
が劣り、前記欠点を根本的には解決し得なかったのが実
情である。 【0006】一方、連続焼鈍材の材質を悪化させている
主原因が鋼中に固溶しているCにあるところから、C含
有量を0.005%以下に低減した極低C鋼の素材を用
いて加工性を改善する方法も種々提案されている。この
ようにC含有量を極端に低下することは、延性、絞り
性、耐時効性の面で有利であることは当然であるが、単
にC量を低下させただけでは完全に非時効性の鋼板を得
ることは困難であった。そこでC量の低減と併せてT
i、Nb等の炭窒化物形成元素を添加して耐時効性、延
性を改善せざるを得ないのが実情である。しかしながら
このような特殊元素を添加することは、原料コストを上
昇させるのみならず、再結晶温度を著しく上昇させる結
果となるから、連続焼鈍を高温で行なわなければなら
ず、後述する特開昭58−141335号の方法につい
て述べると同様に、好ましい方法とは言えない。それに
加えて、上述のように特殊元素を添加することは、製品
の表面性状や化成処理性を悪化させる原因となる問題も
ある。 【0007】極低炭素鋼を用いて連続焼鈍法でも優れた
材質の冷延鋼板を得ようとする方法としては、例えば特
開昭58−141335号で提案されている方法があ
る。この提案の方法は、C≦0.0030%、N≦0.
0020%、Mn≦0.20%、0.020≦sol.
Al≦0.070%を含む鋼を素材とし、仕上温度85
0℃以上、巻取温度500〜700℃で熱間圧延し、冷
延率80%以上で冷間圧延し、750℃以上の温度で連
続焼鈍するものであって、耐時効性、深絞り性に優れた
冷延鋼板が製造できるとされている。しかしながらこの
提案の方法では、連続焼鈍温度を750℃以上としなけ
れば平均r値(平均ランクフォード値)が1.8以上と
ならず、750℃未満の温度では深絞り性が劣るとされ
ている。またこの提案の方法では延性についてもその最
高値が53.3%に過ぎない。 【0008】上記提案に示されるような750℃以上の
高温での連続焼鈍は、高温で軟化した鋼板に対する過大
な張力により鋼板が破断する危険があるほか、炉内や炉
内ロールの寿命を短くし、さらには熱エネルギコストを
増大させる等の問題があり、特に上記提案の如き極低炭
素鋼の場合は極めて軟質であるため、鋼板破断の危険が
大きく、したがってこのような高温での連続焼鈍は避け
ることが望ましい。 【0009】一方低温焼鈍可能でかつ加工性の優れた極
低炭素冷延鋼板としては、特開昭59−166650号
公報に提案されているものがある。すなわちこの提案
は、C≦0.0050%、Mn≦0.5%、P≦0.1
%、N≦0.0050%、O0.0016〜0.035
%を含む鋼、およびこれらにさらにB0.0001〜
0.0050%、Nb0.003〜0.080%、Zr
0.005〜0.1%の1種または2種以上を含有する
鋼からなる冷延鋼板を提供するものである。しかしなが
らこの提案の場合、その明細書中には連続焼鈍の焼鈍温
度が600〜770℃と記載されてはいるものの、実施
例では連続焼鈍温度が750℃とされており、750℃
より低い連続焼鈍温度が実際に適用可能であるか否かは
不明である。またこの提案の方法で得られる連続焼鈍材
の材質特性は、降伏点強さ≧17 kgf/mm2 、引張強さ
≧29.9 kgf/mm2 、伸び49%、平均r値≦1.7
3であって、特に優れた材質を得るということはできな
い。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】前述のように従来は、
連続焼鈍法を適用ししかも鋼板破断等のおそれがないよ
うに低温での連続焼鈍を可能とし、かつそのような低温
での焼鈍でも加工性、特に延性の優れた冷延鋼板を製造
することは困難であった。 【0011】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、低温での連続焼鈍、具体的には750℃未満
の温度での連続焼鈍でも加工性、特に延性を全伸び60
%以上となるように向上させた冷延鋼板の製造方法を提
供することを目的とするものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】前述のような目的を達成
するべく本発明者等は鋭意実験検討を重ねた結果、C、
Al、N、Mn等の成分量を従来よりも一層低減すると
同時に酸素量を比較的高目の特定範囲内とし、さらには
熱間−冷間圧延の圧延条件を特定の条件とすることによ
って高延性を有する冷延鋼板を低温の連続焼鈍で製造し
得ることを見出し、この発明をなすに至ったのである。 【0013】具体的には、第1発明の冷延鋼板製造方法
は、重量%にしてC0.001%以下、Mn0.1%以
下、N0.001%以下、sol.Al0.0020〜
0.015%、酸素0.004%を越え0.020以下
%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
鋼をAc3 点以上、1200℃以下の温度に加熱して熱
間圧延を開始し、かつその熱間圧延における再結晶温度
以下の温度域での圧下率、もしくは熱間圧延における再
結晶温度以下の温度域での圧下率とその後の冷間圧延に
おける圧下率との合計圧下率が70%以上、95%以下
になるように圧延し、しかる後、再結晶温度以上、75
0℃未満の温度で連続焼鈍することを特徴とするもので
ある。なおここで、全伸びとは板厚0.5〜2.0mmに
おける全伸びを意味するものとする。 【0014】そして第2発明の冷延鋼板製造方法は、重
量%にしてC0.001%以下、Mn0.1%以下、N
0.001%以下、sol.Al0.0020〜0.0
15%以下、酸素0.004%を越え0.020%以下
を含有し、さらにTi0.02%以下およびNb0.0
1%以下のうち1種または2種を含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物よりなる鋼をAc3 点以上、120
0℃以下の温度に加熱して熱間圧延を開始し、かつその
熱間圧延における再結晶温度以下の温度域での圧下率、
もしくは熱間圧延における再結晶温度以下の温度域での
圧下率とその後の冷間圧延における圧下率との合計圧下
率が70%以上、95%以下になるように圧延し、しか
る後、再結晶温度以上、750℃未満の温度で連続焼鈍
することを特徴とするものである。 【0015】なおここで前述した特開昭59−1666
50号公報で提案されている冷延鋼板は、その実施例の
記載からはC0.0020%以上、Mn0.10%以
上、N0.0017%以上、O0.0229%以上の鋼
しか開示されておらず、したがってこの発明の冷延鋼板
は、特開昭59−166650号の提案の冷延鋼板より
C、Mn、Nを一層低減し、かつ酸素量を多目とすると
いえども前記提案よりは少量としたものと言うことがで
きる。 【0016】 【作用】先ずこの発明をなすに至る基礎となった実験に
ついて説明する。 【0017】重量%にしてC0.0006%、Mn0.
04%、Si0.008%、P0.001%、S0.0
03%、sol.Al0.003%、N0.0007%
を基本組成とし、酸素量を0.001〜0.030%と
変化させた鋼のスラブを1050℃で30分間加熱して
熱間圧延を施した。熱間圧延における仕上温度は850
℃、巻取温度は500℃とし、かつ熱延圧下率は70%
とした。さらに酸洗後冷間圧延して86%の圧下を加
え、板厚を0.9mmとした。次いで650℃に20秒間
加熱保持する連続焼鈍を行ない、空冷で冷却した。得ら
れた各酸素量の冷延鋼板について引張試験を行なったと
ころ図1に示す結果が得られた。また比較のため、C
0.0026%、Mn0.25%、Si0.011%、
P0.009%、S0.007%、sol.Al0.0
026%、N0.0021%を基本成分とする比較鋼に
ついても同様に酸素量を種々変化させ、前記同様の熱間
圧延−冷間圧延−連続焼鈍を施した。その引張試験結果
を図1に併せて示す。 【0018】一方、前記同様にC0.0006%、Mn
0.04%、Si0.008%、P0.001%、S
0.003%、sol.Al0.003%、N0.00
7%を基本成分とし、酸素量を0.009%とした鋼を
1000℃で30分間加熱して熱間圧延を施した。熱間
圧延における仕上温度は600℃、巻取温度は490℃
とし、かつ熱延圧下率は70%とした。酸洗後冷間圧延
して86%の圧下を加え、板厚0.9mmとした。次いで
540〜930℃の種々の温度に20秒間加熱保持して
空冷する連続焼鈍を行なった。得られた各焼鈍温度の冷
延鋼板について引張試験を行なったところ図2に示す結
果が得られた。また比較のため、C0.0023%、M
n0.21%、P0.013%、S0.008%、so
l.Al0.036%、N0.0020%、O0.00
51%の鋼について、同様に処理した結果を図2に併せ
て示す。 【0019】図1から明らかなようにCを0.0006
%、Nを0.007%と極低C、極低N化した本発明鋼
では、鋼中酸素量によって延性値が変化し、特に鋼中酸
素量が0.004%を越え、0.020%以下の範囲内
で伸びが60%以上と著しい高延性となることが判明し
た。この事実は、単純にCを低下させれば延性が改善さ
れるという従来の常識とは異なるものである。一方図2
から極低C化、極低N化しかつ酸素量を適量とした本発
明鋼では、連続焼鈍における焼鈍温度を900℃から低
下させるにしたがって延性が良好となって650〜70
0℃付近で最大値を示し、600℃程度でも全伸び60
%以上の高延性が得られることが判明した。 【0020】上述のように極低C化、極低N化しかつ鋼
中酸素量を適量とした鋼において600℃程度の低温で
の連続焼鈍でも全伸び60%以上の高延性が得られる理
由は未だ明確ではないが、次のように考えられる。 【0021】すなわち、本発明鋼の如く清浄度が増した
場合に一般に回復・再結晶が遅れる傾向があることは良
く知られている。しかるに本発明鋼の場合には、主に冷
間圧延で高い加工歪を付加することに加えて、鋼中酸素
量が高いため粗大な析出物が析出してこれが再結晶核と
なる結果、低温でも再結晶が起り易くなり、さらに酸素
以外の成分、特にC、Nを極少量としたため粒成長性が
良くなって結晶粒が粗大化し、なおかつAlも少ないた
め粒内に微細な析出が少なくなって転位が動き易くな
り、これらが相乗的に作用して、延性が著しく向上した
ものと考えられる。 【0022】以上のように、極低C化および極低N化
と、適切な酸素量と、低Al化とが相乗的に作用し、さ
らには圧延条件(低温の高圧下による高加工歪)も相乗
的に作用し、低温での連続焼鈍でも全伸び60%以上の
高延性が得られることを見出し、この発明をなすに至っ
たのである。 【0023】次にこの発明における鋼成分の限定理由に
ついて説明する。 【0024】C:Cが含有されることは、延性、絞り
性、耐時効性の良好な材質を得るには不利となる。この
発明では連続焼鈍法で再結晶温度を低下せるとともに粒
成長を促進させて延性を充分に向上させるためにCを
0.001%以下にする必要がある。したがってCの上
限を0.001%とした。 【0025】Mn:Mnは赤熱脆性の原因となるSを固
定するために有効ではあるが、多量の含有は延性を低下
させる。特に伸び率60%以上の高延性を得るためには
Mnを0.1%以下とする必要があり、したがってMn
の上限を0.1%とした。 【0026】N:NはCと同様に多量に含有されれば結
晶粒を微細化し、延性を損う原因となるから極力低減す
る必要がある。したがってこの発明では0.001%以
下とした。 【0027】sol.Al:Alは軟質な鋼を得るに有
害なNをAlNとして固定するに有効であるが、多量に
存在すれば再結晶温度を上昇させて高温の焼鈍が必要と
なり、この発明の目的を損う。したがってsol.Al
の上限を0.015%とした。また鋼中の酸素量を適切
にコントロールするためには、sol.Alで0.00
20%以上含むことが好ましく、したがってsol.A
lの下限を0.0020%とした。 【0028】O(酸素):鋼中の酸素量が0.004%
以下では再結晶の核となるべき比較的大きな酸化物が生
成され難くなり、そのため再結晶を促進する効果が充分
に得られなくなって低温の焼鈍で延性を向上させること
が困難となるから酸素量の下限は0.004%越えとし
た。但し酸素含有の効果を充分に得るためには、酸素量
は0.005%以上とすることが望ましい。一方酸素量
が0.020%を越えれば酸化物が粗大化し過ぎ、かえ
って延性を劣化させることから上限は0.020%とし
た。 【0029】なおここで、鋼中の酸素量が0.004%
以下になると清浄度が向上するが、その一方では介在物
個々の大きさが非常に小さくなり粒成長性を阻害するよ
うになる。それに対して酸素量がある程度多くなると介
在物の全体積は増加するものの介在物個々の大きさが大
きくなり、それとともに介在物個数が減少する。したが
って酸素量がある程度多い方が粒成長性が良好になる。
また一方で伸びを支配する因子すなわち破断の開始は常
に介在物である。この場合介在物の大きさが重要である
ものの、介在物の数すなわち介在物の間隔がより重要な
因子となり、介在物間隔が大きいほど破断しにくくな
る。鋼中酸素量が0.004%を越え0.020%以下
のこの発明の範囲では、先に述べた再結晶し易いという
製造時の優位性に加えて鋼組織自体での特性改善効果が
加わり非常に良好な結果が得られたものと考えられる。 【0030】上記各成分のほかは、その他のS、P、S
i等の不可避的不純物およびFeとすれば良いが、その
他の不純物(S、P、Si)もこの発明では可及的に低
減することが望ましく、通常はS0.005%以下、P
0.005%以下、Si0.005%以下とすることが
好ましい。 【0031】また場合によってはNb0.01%以下お
よびTi0.02%以下のうちの1種または2種を含有
させても良い。Nb、Tiは炭窒化物を形成し、非時効
化に効果があるとともに絞り性に有利な集合組織を形成
する効果があるが、これらが過剰に含有されれば再結晶
温度が上昇してこの発明の低温焼鈍の目的を損うから、
可及的にその添加量は少なくすることが望ましく、した
がってNb、Tiを添加する場合の上限はTiで0.0
2%、Nbで0.01%とした。 【0032】次にこの発明におけるプロセス条件につい
て説明する。 【0033】先ず熱間圧延のための加熱温度、すなわち
スラブ加熱温度はAc3 点以上とする必要がある。これ
は、溶鋼を鋳込んだ後の冷却中に析出した析出物を再溶
解し、熱処理前組織を均一化する必要があるからであ
る。微細な析出物を溶解させるためには最低温度とし
て、Ac3 点以上にする必要がある。一方、スラブ加熱
温度が高温すぎると溶鋼を鋳込んだ後の冷却中に析出し
た粗大な析出物をも溶解し、冷却中に微細な析出物を析
出させて結晶粒を微細化し、全伸びを劣化させてしまう
ので、1200℃以下にする必要がある。 【0034】次に熱間圧延および冷間圧延においては、
鋼の再結晶温度以下の温度域で圧下率70%以上、95
%以下の圧延を行なう必要がある。すなわち、前述のよ
うに高純度化した鋼に高加工歪を与えて焼鈍時の再結晶
温度を低下させ、最終的に750℃より低い温度の連続
焼鈍でも伸び率60%以上の高延性を得るためには、再
結晶温度以下の温度域で70%以上の圧下率を与える必
要がある。なおここで再結晶温度以下で70%以上の圧
下率とは、熱間圧延での再結晶温度以下の圧下率が70
%以上であっても、また熱間圧延での再結晶温度以下の
圧下率と冷間圧延での圧下率との合計の圧下率で70%
以上であっても良い。後者の場合、冷間圧延での圧下率
が70%以上であればそれでも充分である。また合計圧
下率は高ければ高い方が望ましい。しかしながら95%
超の圧下率にするには、設備的に、特に圧延機にかかる
負荷が大きくなることから、合計圧下率の上限は95%
とする。 【0035】圧延後の連続焼鈍における焼鈍温度(均熱
保持温度)は最終的に軟質で高延性の鋼板を得るために
再結晶温度以上とする必要があることは勿論であるが、
その焼鈍温度の上限は750℃未満とする。この発明の
鋼の場合、前述のように連続焼鈍でも再結晶温度を充分
に低くすることができ、したがって750℃未満の低温
で充分に高延性を得ることができるのである。750℃
以上の高温での焼鈍を施した場合、この発明の如く極低
C化、極低N化した鋼では著しく軟質化するため、連続
焼鈍のための張力により鋼板が破断するおそれがあり、
またこのほか炉内ロールや炉体寿命を短くしたりするか
ら、連続焼鈍温度の上限を750℃未満とした。なおこ
の発明の鋼の場合、組成によっても異なるが再結晶温度
は550〜650℃程度であるから、実際上は550〜
720℃程度の温度域で連続焼鈍すれば良い。 【0036】 【実施例】表1に示す成分組成の鋼A〜H(但しA〜E
は本発明成分範囲内の鋼、F〜Hは本発明成分外の鋼)
からなるスラブを、940〜1000℃に加熱した後、
3パスの粗圧延を施して板厚30mmのシートバーとし
た。引続いて6スタンドの仕上圧延機で510〜890
℃の温度域での仕上温度で熱間圧延を終了し、板厚を
5.0mmとした。酸洗後圧下率55%以上の冷間圧延を
施し、次いで連続焼鈍を行なった。連続焼鈍条件は、加
熱昇温速度20℃/sec 、均熱保持温度550〜750
℃、均熱保持時間10〜40sec 、冷却速度20℃/se
c である。連続焼鈍後、1.0%の圧下率の調質圧延を
施し、機械的諸特性、すなわち降伏強さ(YS)、引張
強さ(TS)、全伸び(El)、降伏点伸び(YE
l)、およびランクフオード値(平均r値)を調べた。
各鋼に対する詳細な処理条件を表2に、また機械的諸特
性の調査結果を表3に示す。 【0037】なお表2において条件番号7は本発明成分
範囲内の鋼Bについて、冷間圧延圧下率は70%未満で
あるが、熱間圧延での再結晶温度以下での圧下率と冷間
圧延の圧下率との合計圧下率が70%を越える75%と
なっているものである。また条件番号11は、鋼の成分
組成は本発明範囲内(鋼B)であるが、再結晶温度以下
での圧下率が62%であり、70%に満たないものであ
る。 【0038】 【表1】【0039】 【表2】【0040】 【表3】【0041】表3から明らかなようにこの発明の成分範
囲内の鋼を素材としてこの発明の製造条件に従って得ら
れた冷延鋼板は、成分組成がこの発明の範囲を外れた冷
延鋼板や製造条件特に圧延圧下率条件がこの発明の範囲
を外れた冷延鋼板と比較して格段に高延性を有し、いず
れも750℃未満の低温での連続焼鈍であるにもかかわ
らず全伸び60%以上の高延性を示している。また延性
以外の平均r値等の特性も比較例の鋼板と同等かまたは
それ以上であることが判る。 【0042】 【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、こ
の発明の方法により得られた冷延鋼板は、低温での連続
焼鈍でも全伸び率60%以上と著しく高い延性を示し、
また絞り性等も優れており、したがって特に苛酷な加工
が施される各種成形加工用の冷延鋼板として最適なもの
である。またこの発明の方法では前述のように低温での
連続焼鈍が可能となるため、連続焼鈍での鋼板の破断の
おそれが少なく、そのため低温高速通板による高能率生
産が可能となり、また炉内ロールや炉体の寿命延長、さ
らにはエネルギ原単位の低減等、各種の効果を得ること
ができる。
に使用される冷延鋼板に関し、特に全伸び率で60%以
上の高延性を有しかつ低温焼鈍可能な冷延鋼板の製造方
法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、延性や絞り性等の加工性の優れた
冷延鋼板を製造する方法としては、炭素量が0.03〜
0.06%程度の低炭素Alキルド鋼を素材として、圧
延後箱焼鈍を施すことによる方法が一般的であった。し
かしながら箱焼鈍法は、処理に長時間を要して生産性が
著しく低いのみならず、コイル状態で熱処理されるため
にコイルの半径方向で加熱昇温速度や冷却速度にばらつ
きが生じ、そのためコイル全体にわたって均質な特性を
得ることができないという根本的な問題があった。 【0003】そこで最近では箱焼鈍法の欠点を解消する
ために連続焼鈍法を適用することが多くなっている。 【0004】しかしながら連続焼鈍法を適用した場合、
急速加熱を伴なうため、箱焼鈍法の場合と比較して鋼板
の再結晶温度が50〜100℃も高くなり、そのため結
晶の成長性も悪くなり、また急速冷却となるため鋼中に
固溶しているCの析出が充分に進行せず、その結果得ら
れる鋼板は硬質で延性、絞り性、耐時効性などが箱焼鈍
法により得られた鋼板よりも劣ってしまう問題がある。
またNに関しても、連続焼鈍法では短時間の加熱である
ため鋼中に固溶しているNがAlNとして析出しにく
く、焼鈍後も鋼中に固溶Nが多量に残存し、このことも
連続焼鈍法で得られた鋼板の加工性が低いことの一因と
なっている。 【0005】このような連続焼鈍法の欠点を解決する方
法の一つとしては、特公昭50−1341号公報におい
て提案されている方法がある。この提案の方法は、熱間
圧延時に高温で巻取ることにより、延性や絞り性の向上
に有利な方位の粒成長、あるいは鋼中に固溶されている
CやNの析出を促進させ、さらに連続焼鈍工程において
一旦急速冷却させた後に300〜500℃で数秒〜数分
の過時効処理を行なうことにより未析出の固溶Cの析出
を促進させ、これによって耐時効性の改善を図るもので
ある。しかしながらこの提案の方法の如く熱間圧延工程
で高温で巻取ることは酸洗性の低下を招く問題があり、
さらにこの提案の方法で製造された冷延鋼板も、箱焼鈍
法により得られた冷延鋼板と比較して未だ絞り性や延性
が劣り、前記欠点を根本的には解決し得なかったのが実
情である。 【0006】一方、連続焼鈍材の材質を悪化させている
主原因が鋼中に固溶しているCにあるところから、C含
有量を0.005%以下に低減した極低C鋼の素材を用
いて加工性を改善する方法も種々提案されている。この
ようにC含有量を極端に低下することは、延性、絞り
性、耐時効性の面で有利であることは当然であるが、単
にC量を低下させただけでは完全に非時効性の鋼板を得
ることは困難であった。そこでC量の低減と併せてT
i、Nb等の炭窒化物形成元素を添加して耐時効性、延
性を改善せざるを得ないのが実情である。しかしながら
このような特殊元素を添加することは、原料コストを上
昇させるのみならず、再結晶温度を著しく上昇させる結
果となるから、連続焼鈍を高温で行なわなければなら
ず、後述する特開昭58−141335号の方法につい
て述べると同様に、好ましい方法とは言えない。それに
加えて、上述のように特殊元素を添加することは、製品
の表面性状や化成処理性を悪化させる原因となる問題も
ある。 【0007】極低炭素鋼を用いて連続焼鈍法でも優れた
材質の冷延鋼板を得ようとする方法としては、例えば特
開昭58−141335号で提案されている方法があ
る。この提案の方法は、C≦0.0030%、N≦0.
0020%、Mn≦0.20%、0.020≦sol.
Al≦0.070%を含む鋼を素材とし、仕上温度85
0℃以上、巻取温度500〜700℃で熱間圧延し、冷
延率80%以上で冷間圧延し、750℃以上の温度で連
続焼鈍するものであって、耐時効性、深絞り性に優れた
冷延鋼板が製造できるとされている。しかしながらこの
提案の方法では、連続焼鈍温度を750℃以上としなけ
れば平均r値(平均ランクフォード値)が1.8以上と
ならず、750℃未満の温度では深絞り性が劣るとされ
ている。またこの提案の方法では延性についてもその最
高値が53.3%に過ぎない。 【0008】上記提案に示されるような750℃以上の
高温での連続焼鈍は、高温で軟化した鋼板に対する過大
な張力により鋼板が破断する危険があるほか、炉内や炉
内ロールの寿命を短くし、さらには熱エネルギコストを
増大させる等の問題があり、特に上記提案の如き極低炭
素鋼の場合は極めて軟質であるため、鋼板破断の危険が
大きく、したがってこのような高温での連続焼鈍は避け
ることが望ましい。 【0009】一方低温焼鈍可能でかつ加工性の優れた極
低炭素冷延鋼板としては、特開昭59−166650号
公報に提案されているものがある。すなわちこの提案
は、C≦0.0050%、Mn≦0.5%、P≦0.1
%、N≦0.0050%、O0.0016〜0.035
%を含む鋼、およびこれらにさらにB0.0001〜
0.0050%、Nb0.003〜0.080%、Zr
0.005〜0.1%の1種または2種以上を含有する
鋼からなる冷延鋼板を提供するものである。しかしなが
らこの提案の場合、その明細書中には連続焼鈍の焼鈍温
度が600〜770℃と記載されてはいるものの、実施
例では連続焼鈍温度が750℃とされており、750℃
より低い連続焼鈍温度が実際に適用可能であるか否かは
不明である。またこの提案の方法で得られる連続焼鈍材
の材質特性は、降伏点強さ≧17 kgf/mm2 、引張強さ
≧29.9 kgf/mm2 、伸び49%、平均r値≦1.7
3であって、特に優れた材質を得るということはできな
い。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】前述のように従来は、
連続焼鈍法を適用ししかも鋼板破断等のおそれがないよ
うに低温での連続焼鈍を可能とし、かつそのような低温
での焼鈍でも加工性、特に延性の優れた冷延鋼板を製造
することは困難であった。 【0011】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、低温での連続焼鈍、具体的には750℃未満
の温度での連続焼鈍でも加工性、特に延性を全伸び60
%以上となるように向上させた冷延鋼板の製造方法を提
供することを目的とするものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】前述のような目的を達成
するべく本発明者等は鋭意実験検討を重ねた結果、C、
Al、N、Mn等の成分量を従来よりも一層低減すると
同時に酸素量を比較的高目の特定範囲内とし、さらには
熱間−冷間圧延の圧延条件を特定の条件とすることによ
って高延性を有する冷延鋼板を低温の連続焼鈍で製造し
得ることを見出し、この発明をなすに至ったのである。 【0013】具体的には、第1発明の冷延鋼板製造方法
は、重量%にしてC0.001%以下、Mn0.1%以
下、N0.001%以下、sol.Al0.0020〜
0.015%、酸素0.004%を越え0.020以下
%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
鋼をAc3 点以上、1200℃以下の温度に加熱して熱
間圧延を開始し、かつその熱間圧延における再結晶温度
以下の温度域での圧下率、もしくは熱間圧延における再
結晶温度以下の温度域での圧下率とその後の冷間圧延に
おける圧下率との合計圧下率が70%以上、95%以下
になるように圧延し、しかる後、再結晶温度以上、75
0℃未満の温度で連続焼鈍することを特徴とするもので
ある。なおここで、全伸びとは板厚0.5〜2.0mmに
おける全伸びを意味するものとする。 【0014】そして第2発明の冷延鋼板製造方法は、重
量%にしてC0.001%以下、Mn0.1%以下、N
0.001%以下、sol.Al0.0020〜0.0
15%以下、酸素0.004%を越え0.020%以下
を含有し、さらにTi0.02%以下およびNb0.0
1%以下のうち1種または2種を含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物よりなる鋼をAc3 点以上、120
0℃以下の温度に加熱して熱間圧延を開始し、かつその
熱間圧延における再結晶温度以下の温度域での圧下率、
もしくは熱間圧延における再結晶温度以下の温度域での
圧下率とその後の冷間圧延における圧下率との合計圧下
率が70%以上、95%以下になるように圧延し、しか
る後、再結晶温度以上、750℃未満の温度で連続焼鈍
することを特徴とするものである。 【0015】なおここで前述した特開昭59−1666
50号公報で提案されている冷延鋼板は、その実施例の
記載からはC0.0020%以上、Mn0.10%以
上、N0.0017%以上、O0.0229%以上の鋼
しか開示されておらず、したがってこの発明の冷延鋼板
は、特開昭59−166650号の提案の冷延鋼板より
C、Mn、Nを一層低減し、かつ酸素量を多目とすると
いえども前記提案よりは少量としたものと言うことがで
きる。 【0016】 【作用】先ずこの発明をなすに至る基礎となった実験に
ついて説明する。 【0017】重量%にしてC0.0006%、Mn0.
04%、Si0.008%、P0.001%、S0.0
03%、sol.Al0.003%、N0.0007%
を基本組成とし、酸素量を0.001〜0.030%と
変化させた鋼のスラブを1050℃で30分間加熱して
熱間圧延を施した。熱間圧延における仕上温度は850
℃、巻取温度は500℃とし、かつ熱延圧下率は70%
とした。さらに酸洗後冷間圧延して86%の圧下を加
え、板厚を0.9mmとした。次いで650℃に20秒間
加熱保持する連続焼鈍を行ない、空冷で冷却した。得ら
れた各酸素量の冷延鋼板について引張試験を行なったと
ころ図1に示す結果が得られた。また比較のため、C
0.0026%、Mn0.25%、Si0.011%、
P0.009%、S0.007%、sol.Al0.0
026%、N0.0021%を基本成分とする比較鋼に
ついても同様に酸素量を種々変化させ、前記同様の熱間
圧延−冷間圧延−連続焼鈍を施した。その引張試験結果
を図1に併せて示す。 【0018】一方、前記同様にC0.0006%、Mn
0.04%、Si0.008%、P0.001%、S
0.003%、sol.Al0.003%、N0.00
7%を基本成分とし、酸素量を0.009%とした鋼を
1000℃で30分間加熱して熱間圧延を施した。熱間
圧延における仕上温度は600℃、巻取温度は490℃
とし、かつ熱延圧下率は70%とした。酸洗後冷間圧延
して86%の圧下を加え、板厚0.9mmとした。次いで
540〜930℃の種々の温度に20秒間加熱保持して
空冷する連続焼鈍を行なった。得られた各焼鈍温度の冷
延鋼板について引張試験を行なったところ図2に示す結
果が得られた。また比較のため、C0.0023%、M
n0.21%、P0.013%、S0.008%、so
l.Al0.036%、N0.0020%、O0.00
51%の鋼について、同様に処理した結果を図2に併せ
て示す。 【0019】図1から明らかなようにCを0.0006
%、Nを0.007%と極低C、極低N化した本発明鋼
では、鋼中酸素量によって延性値が変化し、特に鋼中酸
素量が0.004%を越え、0.020%以下の範囲内
で伸びが60%以上と著しい高延性となることが判明し
た。この事実は、単純にCを低下させれば延性が改善さ
れるという従来の常識とは異なるものである。一方図2
から極低C化、極低N化しかつ酸素量を適量とした本発
明鋼では、連続焼鈍における焼鈍温度を900℃から低
下させるにしたがって延性が良好となって650〜70
0℃付近で最大値を示し、600℃程度でも全伸び60
%以上の高延性が得られることが判明した。 【0020】上述のように極低C化、極低N化しかつ鋼
中酸素量を適量とした鋼において600℃程度の低温で
の連続焼鈍でも全伸び60%以上の高延性が得られる理
由は未だ明確ではないが、次のように考えられる。 【0021】すなわち、本発明鋼の如く清浄度が増した
場合に一般に回復・再結晶が遅れる傾向があることは良
く知られている。しかるに本発明鋼の場合には、主に冷
間圧延で高い加工歪を付加することに加えて、鋼中酸素
量が高いため粗大な析出物が析出してこれが再結晶核と
なる結果、低温でも再結晶が起り易くなり、さらに酸素
以外の成分、特にC、Nを極少量としたため粒成長性が
良くなって結晶粒が粗大化し、なおかつAlも少ないた
め粒内に微細な析出が少なくなって転位が動き易くな
り、これらが相乗的に作用して、延性が著しく向上した
ものと考えられる。 【0022】以上のように、極低C化および極低N化
と、適切な酸素量と、低Al化とが相乗的に作用し、さ
らには圧延条件(低温の高圧下による高加工歪)も相乗
的に作用し、低温での連続焼鈍でも全伸び60%以上の
高延性が得られることを見出し、この発明をなすに至っ
たのである。 【0023】次にこの発明における鋼成分の限定理由に
ついて説明する。 【0024】C:Cが含有されることは、延性、絞り
性、耐時効性の良好な材質を得るには不利となる。この
発明では連続焼鈍法で再結晶温度を低下せるとともに粒
成長を促進させて延性を充分に向上させるためにCを
0.001%以下にする必要がある。したがってCの上
限を0.001%とした。 【0025】Mn:Mnは赤熱脆性の原因となるSを固
定するために有効ではあるが、多量の含有は延性を低下
させる。特に伸び率60%以上の高延性を得るためには
Mnを0.1%以下とする必要があり、したがってMn
の上限を0.1%とした。 【0026】N:NはCと同様に多量に含有されれば結
晶粒を微細化し、延性を損う原因となるから極力低減す
る必要がある。したがってこの発明では0.001%以
下とした。 【0027】sol.Al:Alは軟質な鋼を得るに有
害なNをAlNとして固定するに有効であるが、多量に
存在すれば再結晶温度を上昇させて高温の焼鈍が必要と
なり、この発明の目的を損う。したがってsol.Al
の上限を0.015%とした。また鋼中の酸素量を適切
にコントロールするためには、sol.Alで0.00
20%以上含むことが好ましく、したがってsol.A
lの下限を0.0020%とした。 【0028】O(酸素):鋼中の酸素量が0.004%
以下では再結晶の核となるべき比較的大きな酸化物が生
成され難くなり、そのため再結晶を促進する効果が充分
に得られなくなって低温の焼鈍で延性を向上させること
が困難となるから酸素量の下限は0.004%越えとし
た。但し酸素含有の効果を充分に得るためには、酸素量
は0.005%以上とすることが望ましい。一方酸素量
が0.020%を越えれば酸化物が粗大化し過ぎ、かえ
って延性を劣化させることから上限は0.020%とし
た。 【0029】なおここで、鋼中の酸素量が0.004%
以下になると清浄度が向上するが、その一方では介在物
個々の大きさが非常に小さくなり粒成長性を阻害するよ
うになる。それに対して酸素量がある程度多くなると介
在物の全体積は増加するものの介在物個々の大きさが大
きくなり、それとともに介在物個数が減少する。したが
って酸素量がある程度多い方が粒成長性が良好になる。
また一方で伸びを支配する因子すなわち破断の開始は常
に介在物である。この場合介在物の大きさが重要である
ものの、介在物の数すなわち介在物の間隔がより重要な
因子となり、介在物間隔が大きいほど破断しにくくな
る。鋼中酸素量が0.004%を越え0.020%以下
のこの発明の範囲では、先に述べた再結晶し易いという
製造時の優位性に加えて鋼組織自体での特性改善効果が
加わり非常に良好な結果が得られたものと考えられる。 【0030】上記各成分のほかは、その他のS、P、S
i等の不可避的不純物およびFeとすれば良いが、その
他の不純物(S、P、Si)もこの発明では可及的に低
減することが望ましく、通常はS0.005%以下、P
0.005%以下、Si0.005%以下とすることが
好ましい。 【0031】また場合によってはNb0.01%以下お
よびTi0.02%以下のうちの1種または2種を含有
させても良い。Nb、Tiは炭窒化物を形成し、非時効
化に効果があるとともに絞り性に有利な集合組織を形成
する効果があるが、これらが過剰に含有されれば再結晶
温度が上昇してこの発明の低温焼鈍の目的を損うから、
可及的にその添加量は少なくすることが望ましく、した
がってNb、Tiを添加する場合の上限はTiで0.0
2%、Nbで0.01%とした。 【0032】次にこの発明におけるプロセス条件につい
て説明する。 【0033】先ず熱間圧延のための加熱温度、すなわち
スラブ加熱温度はAc3 点以上とする必要がある。これ
は、溶鋼を鋳込んだ後の冷却中に析出した析出物を再溶
解し、熱処理前組織を均一化する必要があるからであ
る。微細な析出物を溶解させるためには最低温度とし
て、Ac3 点以上にする必要がある。一方、スラブ加熱
温度が高温すぎると溶鋼を鋳込んだ後の冷却中に析出し
た粗大な析出物をも溶解し、冷却中に微細な析出物を析
出させて結晶粒を微細化し、全伸びを劣化させてしまう
ので、1200℃以下にする必要がある。 【0034】次に熱間圧延および冷間圧延においては、
鋼の再結晶温度以下の温度域で圧下率70%以上、95
%以下の圧延を行なう必要がある。すなわち、前述のよ
うに高純度化した鋼に高加工歪を与えて焼鈍時の再結晶
温度を低下させ、最終的に750℃より低い温度の連続
焼鈍でも伸び率60%以上の高延性を得るためには、再
結晶温度以下の温度域で70%以上の圧下率を与える必
要がある。なおここで再結晶温度以下で70%以上の圧
下率とは、熱間圧延での再結晶温度以下の圧下率が70
%以上であっても、また熱間圧延での再結晶温度以下の
圧下率と冷間圧延での圧下率との合計の圧下率で70%
以上であっても良い。後者の場合、冷間圧延での圧下率
が70%以上であればそれでも充分である。また合計圧
下率は高ければ高い方が望ましい。しかしながら95%
超の圧下率にするには、設備的に、特に圧延機にかかる
負荷が大きくなることから、合計圧下率の上限は95%
とする。 【0035】圧延後の連続焼鈍における焼鈍温度(均熱
保持温度)は最終的に軟質で高延性の鋼板を得るために
再結晶温度以上とする必要があることは勿論であるが、
その焼鈍温度の上限は750℃未満とする。この発明の
鋼の場合、前述のように連続焼鈍でも再結晶温度を充分
に低くすることができ、したがって750℃未満の低温
で充分に高延性を得ることができるのである。750℃
以上の高温での焼鈍を施した場合、この発明の如く極低
C化、極低N化した鋼では著しく軟質化するため、連続
焼鈍のための張力により鋼板が破断するおそれがあり、
またこのほか炉内ロールや炉体寿命を短くしたりするか
ら、連続焼鈍温度の上限を750℃未満とした。なおこ
の発明の鋼の場合、組成によっても異なるが再結晶温度
は550〜650℃程度であるから、実際上は550〜
720℃程度の温度域で連続焼鈍すれば良い。 【0036】 【実施例】表1に示す成分組成の鋼A〜H(但しA〜E
は本発明成分範囲内の鋼、F〜Hは本発明成分外の鋼)
からなるスラブを、940〜1000℃に加熱した後、
3パスの粗圧延を施して板厚30mmのシートバーとし
た。引続いて6スタンドの仕上圧延機で510〜890
℃の温度域での仕上温度で熱間圧延を終了し、板厚を
5.0mmとした。酸洗後圧下率55%以上の冷間圧延を
施し、次いで連続焼鈍を行なった。連続焼鈍条件は、加
熱昇温速度20℃/sec 、均熱保持温度550〜750
℃、均熱保持時間10〜40sec 、冷却速度20℃/se
c である。連続焼鈍後、1.0%の圧下率の調質圧延を
施し、機械的諸特性、すなわち降伏強さ(YS)、引張
強さ(TS)、全伸び(El)、降伏点伸び(YE
l)、およびランクフオード値(平均r値)を調べた。
各鋼に対する詳細な処理条件を表2に、また機械的諸特
性の調査結果を表3に示す。 【0037】なお表2において条件番号7は本発明成分
範囲内の鋼Bについて、冷間圧延圧下率は70%未満で
あるが、熱間圧延での再結晶温度以下での圧下率と冷間
圧延の圧下率との合計圧下率が70%を越える75%と
なっているものである。また条件番号11は、鋼の成分
組成は本発明範囲内(鋼B)であるが、再結晶温度以下
での圧下率が62%であり、70%に満たないものであ
る。 【0038】 【表1】【0039】 【表2】【0040】 【表3】【0041】表3から明らかなようにこの発明の成分範
囲内の鋼を素材としてこの発明の製造条件に従って得ら
れた冷延鋼板は、成分組成がこの発明の範囲を外れた冷
延鋼板や製造条件特に圧延圧下率条件がこの発明の範囲
を外れた冷延鋼板と比較して格段に高延性を有し、いず
れも750℃未満の低温での連続焼鈍であるにもかかわ
らず全伸び60%以上の高延性を示している。また延性
以外の平均r値等の特性も比較例の鋼板と同等かまたは
それ以上であることが判る。 【0042】 【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、こ
の発明の方法により得られた冷延鋼板は、低温での連続
焼鈍でも全伸び率60%以上と著しく高い延性を示し、
また絞り性等も優れており、したがって特に苛酷な加工
が施される各種成形加工用の冷延鋼板として最適なもの
である。またこの発明の方法では前述のように低温での
連続焼鈍が可能となるため、連続焼鈍での鋼板の破断の
おそれが少なく、そのため低温高速通板による高能率生
産が可能となり、また炉内ロールや炉体の寿命延長、さ
らにはエネルギ原単位の低減等、各種の効果を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中酸素量と全伸びElとの関係を示す相関図
である。 【図2】連続焼鈍における焼鈍温度と全伸びElとの関
係を示す相関図である。
である。 【図2】連続焼鈍における焼鈍温度と全伸びElとの関
係を示す相関図である。
フロントページの続き
(72)発明者 佐藤 進
千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式
会社技術研究本部内
(72)発明者 角山 浩三
千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式
会社技術研究本部内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 (1) 重量%にしてC0.001%以下、Mn0.1
%以下、N0.001%以下、sol.Al0.002
0〜0.015%、酸素0.004%を越え0.020
%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物より
なる鋼をAc3 点以上、1200℃以下の温度に加熱し
て熱間圧延を開始し、かつその熱間圧延における再結晶
温度以下の温度域での圧下率、もしくは熱間圧延におけ
る再結晶温度以下の温度域での圧下率とその後の冷間圧
延における圧下率との合計圧下率が70%以上、95%
以下になるように圧延し、しかる後、再結晶温度以上、
750℃未満の温度で連続焼鈍することを特徴とする、
全伸びが60%以上の高延性冷延鋼板の製造方法。 (2) 重量%にしてC0.001%以下、Mn0.1
%以下、N0.001%以下、sol.Al0.002
0〜0.015%、酸素0.004%を越え0.020
%以下を含有し、さらにTi0.02%以下およびNb
0.01%以下のうち1種または2種を含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物よりなる鋼をAc3 点以上、
1200℃以下の温度に加熱して熱間圧延を開始し、か
つその熱間圧延における再結晶温度以下の温度域での圧
下率、もしくは熱間圧延における再結晶温度以下の温度
域での圧下率とその後の冷間圧延における圧下率との合
計圧下率が70%以上、95%以下になるように圧延
し、しかる後、再結晶温度以上、750℃未満の温度で
連続焼鈍することを特徴とする、全伸びが60%以上の
高延性冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (2)
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|---|---|---|---|
| JP60193411A JPS6254058A (ja) | 1985-09-02 | 1985-09-02 | 高延性を有する冷延鋼板およびその製造方法 |
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| JP60193411A JPS6254058A (ja) | 1985-09-02 | 1985-09-02 | 高延性を有する冷延鋼板およびその製造方法 |
| JP3137274A JPH0711025B2 (ja) | 1985-09-02 | 1991-05-13 | 高延性を有する冷延鋼板の製造方法 |
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|---|---|---|---|
| JP60193411A Division JPS6254058A (ja) | 1985-09-02 | 1985-09-02 | 高延性を有する冷延鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0681038A true JPH0681038A (ja) | 1994-03-22 |
| JPH0711025B2 JPH0711025B2 (ja) | 1995-02-08 |
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|---|---|---|---|
| JP60193411A Pending JPS6254058A (ja) | 1985-09-02 | 1985-09-02 | 高延性を有する冷延鋼板およびその製造方法 |
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP60193411A Pending JPS6254058A (ja) | 1985-09-02 | 1985-09-02 | 高延性を有する冷延鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (2) | JPS6254058A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP3150734A4 (en) * | 2014-05-30 | 2017-12-13 | JFE Steel Corporation | Steel sheet for cans and manufacturing method thereof |
Families Citing this family (2)
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|---|---|---|---|---|
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Family Cites Families (4)
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- 1985-09-02 JP JP60193411A patent/JPS6254058A/ja active Pending
-
1991
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP3150734A4 (en) * | 2014-05-30 | 2017-12-13 | JFE Steel Corporation | Steel sheet for cans and manufacturing method thereof |
| US10301702B2 (en) | 2014-05-30 | 2019-05-28 | Jfe Steel Corporation | Steel sheet for cans and manufacturing method thereof |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0711025B2 (ja) | 1995-02-08 |
| JPS6254058A (ja) | 1987-03-09 |
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