JPH0685787B2 - 歯列矯正用ブラケットの製造方法 - Google Patents

歯列矯正用ブラケットの製造方法

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JPH0685787B2
JPH0685787B2 JP31188589A JP31188589A JPH0685787B2 JP H0685787 B2 JPH0685787 B2 JP H0685787B2 JP 31188589 A JP31188589 A JP 31188589A JP 31188589 A JP31188589 A JP 31188589A JP H0685787 B2 JPH0685787 B2 JP H0685787B2
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紀一 中島
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業の利用分野] 本発明は矯正歯科で用いられる、審美性に優れ且つ高強
度な歯列矯正用ブラケットの製造方法に関する。
[従来技術] 各歯に接着したブラケットは歯列矯正の際、金属製ワイ
ヤー等で強く引っ張られるため、破折、欠けを生じない
ように高強度、高靭性であることが必要とされる。従
来、この条件に合う歯列矯正用材料としてステンレス鋼
が広く使用されているが、ステンレス鋼は金属光沢を有
し色彩的に目立ち審美性に欠けるという欠点があった。
そこで、この欠点を解決するものとして、特開昭64-258
47号公報には単結晶アルミナを使用した歯列矯正用ブラ
ケットが開示されている。又、特開昭64-46451号公報に
はイットリアを含有する単結晶ジルコニアを使用した歯
列矯正用ブラケットが開示されている。さらに、特開昭
64-52448号公報には酸化マグネシウムと酸化アルミニウ
ムとから成るスピネル型結晶を有するセラミックスを使
用した歯列矯正用ブラケットが開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記特開昭64-25847号公報に記載の単結
晶アルミナは透明性には優れているので審美性は良い
が、加工コストが高く、またその強度に方向性があり、
靭性が低いので、割れたり、欠けたりし易いという欠点
がある。
又、前記特開昭64-46451号公報に記載のイットリアを含
有する単結晶ジルコニア及び前記特開昭64-52448号公報
に記載のスピネル型結晶セラミックスは透明性があり、
審美性に優れているが、機械的強度が低く破折のおそれ
があるという欠点がある。
したがって、本発明の目的は、審美性が高く、靭性、機
械的強度の高い歯列矯正用ブラケットの製造方法を提供
することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成するためになされたものであ
り、本発明の歯列矯正用ブラケットの製造方法は、イッ
トリアを1.7〜3.2mol%含有し、結晶系が単斜晶と正方
晶とからなるジルコニア粉末を成形し、成形体を得る工
程(A)と、 前記成形体を1200〜1400℃で焼結し、ジルコニア焼結体
を作製する工程(B)と、 前記焼結体を1000〜2000気圧下、1100〜1400℃で熱処理
する工程(C)と、 を含むことを特徴としている。
さらに、前記ジルコニア粉末にCo,Cr,Mn,Ce,Cd,Sr,Fe,C
u,Zn,Sb,V,Niの酸化物の一種または二種以上を合計0.5w
t%以下含有させることを特徴としている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のブラケットの製造方法は、上述の工程(A)、
(B)および(C)を含むものである。
工程(A) 工程(A)は、イットリアを1.7〜3.2mol%含有し、結
晶系が単斜晶と正方晶とからなるジルコニア粉末を成形
し、成形体を得る工程であり、例えば以下のようにして
行われる。
ヒ素、水銀等の人体に為害性の元素を含まない高純度の
オキシ塩化ジルコニウムの水溶液と塩化イットリウムの
水溶液とを、酸化物換算でイットリア濃度が1.7〜3.2mo
l%になるように混合し、周知の共沈法、加水分解法、
熱分解法によって得た沈殿物を乾燥、800〜1000℃で仮
焼した後、ボールミルやアトリッションミル等で粉砕し
て原料粉末を得る。なお着色或いは焼結温度を低下させ
るためブラケットに含有させるCo,Cr,Mn,Ce,Cd,Sr,Fe,C
u,Zn,Sb,V,Niの酸化物については、必要に応じて上記水
溶液混合時、例えば塩化物等の水溶性塩の水溶液として
同時に混合し、ブラケットの製造過程で酸化物にするこ
とができる。こうして得た原料粉末は単斜晶と正方晶か
らなり、例えば平均一次粒径が0.1μm以下の構成元素
が均一に分布した焼結性の良好な粉末である。また金属
アルコキシド法、ゾルゲル法、気相法によっても同様な
原料粉末を得ることができる。
次に上記原料粉末をラバープレス法、金型成形法、押出
成形法、射出成形法等の周知の成形法を用いて成形し、
成形体を得る。
そして、前記ラバープレス法、金型成形法、押出成形法
で作製した成形体は工程(B)の本焼結前に仮焼して一
次加工して歯列矯正用ブラケットの形状とすることもで
きる。また、成形体を射出成形で作製した場合は、成形
体の形状は所望の歯列矯正用ブラケットの形状になるの
で、特に後加工する必要はない。
工程(B) 工程(B)は、前記工程(A)で得られた成形体を1200
〜1400℃で焼結し、ジルコニア焼結体を作製する工程で
あり、例えば以下のように行われる。
工程(A)で得られた成形体を脱脂した後、20〜100℃
/時の昇温速度で1200〜1400℃まで昇温し、その温度に
10分〜3時間保持して焼結し、200〜500℃/時の速度で
約600℃まで冷却し、その後自然放冷して室温まで冷却
してジルコニア焼結体を作製する。焼結温度が1200℃未
満では焼結が不十分であり、1400℃を超えると、イット
リア含有量が低く高靭性が期待される材料について特に
顕著に認められることであるが、結晶粒成長のため正方
晶が不安定となり、緻密な焼結体が得られずまた耐食性
も悪くなる。このようにして所望の組成、結晶構造、結
晶粒径の焼結体を得ることができる。しかしながら、こ
の焼結体では気孔率が0.7〜1.7%であり、十分な機械的
強度、審美性が得にくい。
そこで次の工程(C)が必要となる。
工程(C) 工程(C)は、前記工程(B)で得られた焼結体を1000
〜2000気圧下、1100〜1400℃で熱処理する工程である。
この工程(C)は、HIP処理(熱間静水処理)と呼ば
れ、本発明においては10分〜3時間行なうのが好まし
い。このHIP処理によって焼結体は気孔が押し潰されて
気孔率1%以下と緻密になり、さらに結晶粒界の不完全
性が改善されるので透光性を生じる等、審美性が向上す
る。なおHIP処理は非還元性雰囲気で行なわなければな
らない。ジルコニアは還元されると黒または茶系に着色
するからである。また雰囲気中に炭素や炭化物があると
同様な着色が認められる場合もあるので避けたほうがよ
い。
次に必要に応じてHIP処理後の焼結体を所望の歯列矯正
用ブラケットに加工する。
本発明によれば、素材としてジルコニア焼結体を用いる
ことにより靭性、機械的強度の高い歯列矯正用ブラケッ
トが得られる。即ちこのジルコニア焼結体が外部より応
力を受けたとき、正方晶ジルコニア成分の一部が局部的
に単斜晶に相変態することにより、材料を破壊しようと
するエネルギーを緩和する作用(応力誘起変態強化機
構)がその相変態部分に働くため、高靭性、高強度が発
現するのである。
歯列矯正用ブラケットを構成するジルコニア焼結体にお
いて、正方晶ジルコニアの平均結晶粒径は0.12〜0.5μ
mであるのが好ましい。その理由は0.12μm未満では正
方晶ジルコニアの相安定性が良すぎるため応力誘起変態
強化作用が働きにくく、また緻密な焼結体を作りにくい
からであり、一方0.5μmを超えると正方晶ジルコニア
の相安定性が悪くなり、滅菌時の高温水蒸気中或いは長
時間、体液中に浸漬した場合の耐食性の低下がおこり、
応力が材料に加わると材料全体に亘り結晶粒界に沿って
相変態が起こるので、粒界破壊が起こるおそれがあるか
らである。
そして上記の如く正方晶ジルコニアの平均結晶粒径が0.
12〜0.5μmであると正方晶の相安定性が高いので、応
力誘起変態強化機構が有効に作用するためには正方晶ジ
ルコニア含有量は実用上50mol%以上とするのが好まし
い。
また、ブラケットを構成するジルコニア焼結体の気孔率
は、上記したように1%以下とするのが好ましい。その
理由は1%を超えると、強度が低下し、透光性が得られ
ず、また正方晶ジルコニアの相安定性が悪くなり、耐食
性が低下するからである。ジルコニア焼結体の物性は原
料粉末の性質、成形条件、焼結温度、圧力等の焼結条件
によって変化するが、上記した性能を有するジルコニア
焼結体は安定化物質であるイットリアの含有量が、上記
したように1.7〜3.2mol%であるときに実現する。1.7mo
l%未満では正方晶ジルコニアが不安定で緻密な焼結体
が得られず、また3.2mol%を超えると靭性が著しく低下
する。
本発明の好ましい態様によれば、Co,Cr,Mn,Ce,Cd,Sr,F
e,Cu,Zn,Sb,V,Niの酸化物の一種または二種以上を合計
0.5wt%以下含有させることにより青色、桃色、黄色、
緑色等に着色することができる。彩度、色相、明度は酸
化物の種類、含有量によってコントロールするが、0.5w
t%を超えると色調は暗くなるので好ましくない。またC
r,Ni,Cu,Mn,Zn等の酸化物を原料粉末中に少量添加する
ことにより焼結温度を下げることが可能となり、前記し
た0.12〜0.5μmの正方晶ジルコニアの平均結晶粒径を
有する焼結体が得やすくなる。
ブラケットを構成するジルコニア焼結体の硬さはビッカ
ース硬さで900〜1250kg/mm2でありアルミナに比べてか
なり軟らかいが、患者によってはブラケットが対合歯と
接触し、歯質、歯並びの関係で対合歯を摩耗させる可能
性があるので、天然歯より軟らかいか或いは天然歯の硬
さに近い硬さ(実質的にはビッカース硬さ100〜700kg/m
m2)の材料からなる被覆層を設けることにより、上記磨
耗を防ぐことができる。この被覆層の厚さは50μm未満
であると被覆層が摩滅してしまい、300μmを超えると
ブラケット焼結体との剥離などの不都合が生ずるので、
50〜300μmが良い。被覆層としてはエポキシ樹脂、ポ
リウレタン樹脂等の高分子樹脂を単独或いはアルミナ、
マグネシア、シリカ等の無機材料粉末フィラーを混入し
たもの、マイカの微結晶を折出させた結晶化ガラスなど
が用いられ、例えば、直接ディップコート、刷毛塗り或
いはエポキシ系接着剤等を用いてジルコニア焼結体に被
覆される。
[実施例] 次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 工程(A) イットリアを2.5mol%含有し、純度が99.5%であるジル
コニア粉末に、純度が98%である塩化カドミウムの水溶
液を酸化物換算で0.1wt%混入し、水分を蒸発除去した
後、950℃で焼成して原料粉末を作製した。粉末は単斜
晶ジルコニアと正方晶ジルコニアとから成り、正方晶ジ
ルコニア含有率は54.3%、比表面積は15m2/gであった。
次にスプレイドライヤーを用いて球状化した上記原料粉
末を、金型成形法によってブラケット形状及び物性測定
用試験片形状に成形した成形体を得た。
工程(B) 得られた成形体を電気炉中で100℃/時の昇温速度で140
0℃まで昇温し、その温度に2時間保持して焼結し、500
℃/時の速度で約600℃まで冷却し、その後室温まで炉
内で冷却した。この焼結体の比重は6.0、即ち気孔率は
1.6%であった。
工程(C) この焼結体を酸素1%を含むアルゴンガス中で圧力2000
気圧下、1400℃で90分HIP処理を行なった。その結果、
焼結体の正方晶ジルコニア含有量が95mol%、平均粒径
が0.45μm、比重が6.09(気孔率で0.2%)となり、ブ
ラケット形状の焼結体をバレル研磨して光沢のある黄色
のブラケットを作製した。また試験用焼結体の曲げ強さ
をJIS R1601、破壊靭性をビッカース圧痕によるIM法に
よって測定したところ、それぞれ1500MPa、 であった。
実施例2 工程(A) 純度99.5%以上のオキシ塩化ジルコニウムの水溶液と純
度99.5%の塩化イットリウムの水溶液を酸化物換算でイ
ットリア濃度が3.0mol%となるように調製し、酸化物換
算量全体に対し酸化コバルト濃度0.3wt%、酸化銅濃度
0.2wt%になるように純度98%の塩化コバルト水溶液及
び純度98%の塩化銅水溶液を加えて混合し、アンモニア
水溶液を添加して得た沈殿物を乾燥、擦り潰し1000℃で
焼成した後、水を加えてジルコニア製ボールミルで24時
間粉砕した。こうして得た原料粉末は単斜晶ジルコニア
と68mol%の正方晶ジルコニアからなり、比表面積が10m
2/gであった。
次に上記原料粉末を2トン/cm2の静水圧でラバープレス
法によって成形し、成形体を得た。
工程(B) 得られた成形体を電気炉中で100℃/時の昇温速度で120
0℃まで昇温し、その温度に2時間保持して焼結し、500
℃/時の速度で約600℃まで冷却し、その後、室温まで
炉内で冷却した。この焼結体の正方晶ジルコニア含有量
は85モル%、平均粒径0.2μm、比重は6.02(気孔率で
1.3%)であった。
工程(C) この焼結体をブラケット形状及び物性測定用試験片に研
削加工し、1200℃で90分HIP処理したところ比重は6.1
(気孔率ほぼ0)となった。ブラケット形状焼結体をバ
レル研磨して透光性光沢のある青色のブラケットを作製
した。また試験用焼結体の曲げ強さをJIS R1601、破壊
靭性をIM法によって測定したところ、それぞれ1540MP
a、 であった。
実施例3 実施例2によって作製したブラケットおよび物性測定用
試験片を、実施例2によって作製したジルコニア原料粉
末を、10重量%分散した液状の市販ポリウレタン樹脂
(日本ポリウレタン社製RU−39)にデイップコートして
硬化して、表面に厚さ120μm、ビッカース硬さ150kg/m
m2の被覆層を形成し、天然歯の摩耗を防ぐ、光沢のある
ブラケットを作製した。被覆層形成による材料の強度、
靭性の変化はなかった。
実施例4〜11 組成比、焼結体焼成温度、HIP処理温度を変えて実施例
2と同様な方法で作製したブラケットの材料物性を表−
1に示す。なお、表−1には前記実施例1〜3の結果も
併せて示した。
[発明の効果] 以上、説明したように、本発明によれば、高靭性、高強
度で破折や欠けがおこりにくく、さらに、金属にくらべ
て色調が天然歯に近い着色が可能で透明感もあるので審
美性に優れ、必要に応じて被覆層も形成でき対合歯の摩
耗を防ぐことができる歯列矯正用ブラケットを製造する
ことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イットリアを1.7〜3.2mol%含有し、結晶
    系が単斜晶と正方晶とからなるジルコニア粉末を成形
    し、成形体を得る工程(A)と、 前記成形体を1200〜1400℃で焼結し、ジルコニア焼結体
    を作製する工程(B)と、 前記焼結体を1000〜2000気圧下、1100〜1400℃で熱処理
    する工程(C)と、 を含むことを特徴とする歯列矯正用ブラケットの製造方
    法。
  2. 【請求項2】ジルコニア粉末にCo,Cr,Mn,Ce,Cd,Sr,Fe,C
    u,Zn,Sb,V,Niの酸化物の一種または二種以上を合計0.5w
    t%以下含有させることを特徴とする請求項1記載の歯
    列矯正用ブラケットの製造方法。
  3. 【請求項3】工程(C)の後、前記焼結体に被覆層を設
    ける、請求項1または2に記載の歯列矯正用ブラケット
    の製造方法。
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