JPH0699767B2 - Ni―Fe系高透磁率磁性合金 - Google Patents

Ni―Fe系高透磁率磁性合金

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JPH0699767B2
JPH0699767B2 JP1260218A JP26021889A JPH0699767B2 JP H0699767 B2 JPH0699767 B2 JP H0699767B2 JP 1260218 A JP1260218 A JP 1260218A JP 26021889 A JP26021889 A JP 26021889A JP H0699767 B2 JPH0699767 B2 JP H0699767B2
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【発明の詳細な説明】 「発明の目的」 (産業上の利用分野) 本発明は、Ni−Fe系高透磁率磁性合金に係り、その磁気
特性を改良し、特に優れた直流磁気特性および卓越した
交流磁気特性を合わせ持ち、更に熱間加工性の良好な磁
性合金に関するものである。
(従来の技術) JIS PC相当のNi−Fe系磁性合金は、現在磁気ヘッドケー
スおよび各種コア、変成磁心、各種磁気シールド材など
のようにその利用範囲が極めて広い磁性材料である。即
ちこのようなPCパーマロイは高透磁率で、低保磁力であ
ることが特徴であり、今日実用化されているものは、80
%Ni−5%Mo−Fe(スーパーマロイ)や、77%Ni−5%
Cu−4%Mo−Fe(Mo、Cuパーマロイ)などであり、それ
ら合金で通常得られる透磁率のレベルは、直流特性でみ
ると初透磁率(以下μiという)が150,000、最大透磁
率(以下μmという)が300,000程度である。
また、交流特性でみると、たとえば、板厚0.2mmでのイ
ングクタンス透磁率μiは10000程度である。
ところが、昨今におけるエレクトロニクスの発達から各
種機器の小型高性能化が進み、上記したような磁性合金
の特性についてもより一層の向上が望まれている。即ち
このような要求に対して上記成分系の磁性合金における
直流磁気特性を不純物元素の低減およびCrの添加により
向上させた特開昭62−227053および特開昭62−227054が
発表されている。
又、特開昭63−149361では上記成分系の合金に製造時の
熱間加工性を改善するためBを添加した材料において、
磁性焼鈍時に脱Bを行ない直流磁性特性を改善すること
が発表されている。
一方、上記成分系ではNiが約80wt%程度含まれていて高
価なため、成分系を根本的に見直し、Niを低減し、代り
にNiより安価なCu、Mnを添加して高い初透磁率を達成し
た特公昭62−13420、更にはこの特公昭62−13420の技術
に加えて適量のAl添加を行ない酸化物系介在物を減少し
直流磁気特性を高めるという特開昭63−247336および特
開昭63−247339の技術も開発されている。特にこれら特
開昭63−247336および特開昭63−247339の提案による合
金のμiは最高で426,000という高いレベルである。
更に上記したような磁気特性向上の要望に加え、最近で
は所要の特性をより低コストに製造することも求められ
ており、このような観点からは特開平1−100232の技術
も提案されている。即ちこの技術は通常のMoスーパーマ
ロイにSiを1〜4wt%添加し、磁性焼鈍温度を1030℃以
下といった比較的低い温度によっても充分に満足する50
Hzでの透磁率および磁気シールド性を得ることを特徴と
している。
(発明が解決しようとする課題) 前記した特開昭62−227053および同227054で特徴として
いる不純物低減、Cr添加によっても最終の水素雰囲気で
の熱処理(1100℃×3時間)後の直流磁気特性は、例え
ばμiで高々100,000であり、それ以上の磁気特性が要
求される用途に対しては不適とならざるを得ない。
また、特開昭62−227054の提案では、通常のNi−Fe−Mo
系またはNi−Fe−Mo−Cu系の成分に新たにCrを添加する
ためコスト高となる。一方特開昭62−227053の提案では
このCr添加によるコスト高に加え、Mnを通常レベルより
高くする(1.2〜10wt%とする)ため熱間加工性が極め
て悪くなるという製造上の問題も有している。
なお上記した2つの提案では何れもBの添加が行なわれ
ているが、この場合のB添加は熱間加工性および打抜き
性を改善するためのもので、これらの提案で意図するB
の添加だけでは磁気特性の明らかな向上は見られず、逆
に劣化するケースも認められる。
更に、特開昭63−149361では、磁気性を脱B処理により
改善するものであるが、この処理の後で得られる直流磁
気特性はμiで高々75,000であり、このレベルは通常の
Ni−Fe−Mo−Cu系合金で得られるレベルである。従って
この技術ではそれ以上の磁気特性が要求される用途に対
しては不適とならざるを得ない。
なお、前記した特開昭62−227053、および同227054、特
開昭63−149361では、共通して交流磁気特性の向上は未
だ達成されていない。
一方、特公昭62−13420、特開昭63−247336および同247
339の技術によっては高い直流磁気特性を有するパーマ
ロイを提供し得るが、Mn、Cuを高めるため製造時の熱間
加工性が本質的に低くなるという製造上の問題点を有し
ている。又この提案で得られる合金の飽和磁束密度は、
例えばB10(10エルステッドでの磁束密度)で見ると、
高々5000ガウスであり、スーパーマロイやMo、Cuパーマ
ロイにおけるB10の7000〜8000ガウスに比較すると低
い。このことは、この合金がスーパーマロイやMo、Cuパ
ーマロイに比し低い外部磁場で材料内の磁束が飽和して
しまうことを意味し、シールド材料として用いる場合に
おいて外部磁場が比較的高い場所での使用は不適となら
ざるを得ない。さらには、この合金の交流磁気性質は、
スーパーマロイやMo、Cuパーマロイに比し低いという欠
点を有している。
なお、上記した特開平1−100232の技術では、Siを多く
添加するため加工性が劣化し、製造性が悪くなるという
不利を有している。またこの技術では50Hzのシールド性
能は所要のレベルに達しているが、直流でのシールド性
能がやや劣るという欠点を有している。
「発明の構成」 (課題を解決するための手段) 本発明は上記したような従来の技術における問題点を解
決するように検討を重ねて創案されたれものであって、
熱間加工性が良好で、特に優れた交流磁気特性と共に優
れた直流磁気特性の両者を合わせて有し、更には従来と
同じレベル要求磁気特性を得るのに、磁気焼鈍温度を従
来よりも100℃程度低温化することをも可能ならしめた
もので、磁気特性に対するNi、Mo、Cu、Feなどの主要成
分による影響を更に検討し、そこで得られた特性と成分
との関係をB添加系にまで拡大して実験、研究を行なっ
た結果、本発明を完成した。即ち本発明は以下の如くで
ある。
(1)Ni:77.5〜79.5wt%、Mo:3.8〜4.6wt%、 Cu:1.8〜2.5wt%、Mn:0.1〜1.10wt%、 Si:0.2〜1.0wt%、P:0.010wt%未満、 S:0.0020wt%以下、O:0.0030wt%以下、 N:0.0010wt%以下、C:0.020wt%以下 を含有し、かつBを の範囲内で含有し、残部が基本的にFeからなり、 しかもNi、Mo、Cu、Mn、Feが (但し〔 〕内はwt%) を満たす範囲でそれぞれ含有されたことを特徴とするNi
−Fe系高透磁率磁性合金。
(2)前項に記載の成分組成を有し、かつ磁気焼鈍後で
オーステナイト粒界およびその近傍でのB量が10〜50at
m%であることを特徴とするNi−Fe系高透磁率磁性合
金。
(作用) 本発明によるものは、不純物元素の適正制御のもとで、
熱間加工性を良好ならしめるレベルとして、Si、Ni、M
o、Cu、Mn、FeおよびBの各添加量を適正化し、かつ各
量の成分バランスを特定範囲内に制御することによって
従来の同系統によるMo、Cuパーマロイやスーパーマロイ
で見られなかった優れた直流磁気特性と、優れた交流磁
気特性を合わせ持ち、さらには従来と同じレベルの要求
磁気特性を得るのに磁気焼鈍温度を従来よりも100℃程
度低温化することを可能とする。
即ち、先ず本発明で意図する磁気特性の向上は合金中不
純物レベルの制御のもとで達成され、Si、S、O、N、
Cの限度理由はwt%(以下単に%という)で以下の如く
である。
Sは、熱間加工性に有害であり、かつ硫化物の形成を通
じて最終の水素焼鈍時における粒成長を阻害し、焼鈍後
の粒径が小さくなるため透磁率が向上しないという理由
から磁気特性に対しては極めて有害な元素である。この
S量が0.0020%を超えると、以下に示すようなNi、Mo、
Cu、Fe、B量の適正化を計っても本発明で目的とするよ
うな磁気特性の向上が計れず、又熱間加工性が著しく悪
くなるため0.0020%を上限とすることが必要である。な
お直流および交流での透磁率を更に向上するためには0.
0005%以下がより望ましい。
Oは、本発明で対象とする合金の中では酸化物系介在物
として存在し、その量が多いと最終の水素焼鈍時におけ
る粒成長を阻害し、焼鈍後の粒径が小さいため透磁率が
向上しないことから磁気特性に対し極めて有害な元素で
ある。即ちこのO量が0.0030%を超えると上記同様にN
i、Mo、Cu、Fe、B量の適正化を図っても本発明で意図
する磁気特性向上が計れないため0.0030%を上限とし
た。なお直流での透磁率向上のためには0.0010%以下が
より好ましい。
Nは、B添加を基本とした合金においては、Bと容易に
結合しBNを形成するため有効B量が低下する。また形成
されたBNにより磁気特性が著しく劣化せしめられるなど
の理由により合金中に多く含有されると悪影響を及ぼ
す。即ちこのNが0.0010%を越えると上記のような理由
から磁気特性劣化が著しくなるので0.0010%を上限とし
た。なお交流での透磁率のさらなる向上のためには0.00
05%以下がより好ましい。
Cは、本発明の対象合金の中では侵入型元素として存在
し、その量が多いと透磁率が低下するので磁気特性に対
して有害な元素であり、0.020%を越えるとこのような
理由により磁気特性劣化が著しくなるため、0.020%を
上限と定めた。
さて、本発明では上記のような不純物元素の制御下にお
いて、Ni、Mo、Cu、FeおよびBの各添加量を適正化し、
又各量の成分バランスを特性範囲内として始めてその目
的が達成され、これらについては以下の如くである。
Niは、77.5〜79.5%の範囲で本発明の意図するような高
い磁気特性および高いシールド特性を得しめる。このNi
が77.5%未満または79.5%を越えると何れの場合におい
ても透磁率が低下するので77.5%を下限とし、79.5%を
上限とした。
Moは、3.8〜4.6%の範囲内のときに本発明の目的とする
高い磁気特性および高いシールド特性を達成し得る。即
ちMoが3.8%未満または4.6%を超えると透磁率向上が達
成されないので、3.8〜4.6%とすることが必要である。
Cuは、Ni、Moや他の成分が本発明の規定範囲内にある合
金において、後述するBの共存のもとで、直流磁気特性
を飛躍的に向上させ、かつ交流の実効透磁率をも向上せ
しめ、しかも交流(50Hz)での角型性(Br/Bm)も向上
させる効果を有する。このようなCuの効果は、Niが77.5
〜79.5%、Mo:3.8〜4.6%のときにあらわれ、最適のCu
量は1.8〜2.5%である。なおCuが1.8%未満ではこのよ
うなCuによる特性向上が計れず、一方Cuが2.5%を越え
ると逆にこれらの特性が劣化するので、Cuの範囲は1.8
〜2.5%と定めた。
Mnは、上記したMo、Cuと同様に本発明対象合金の磁性に
影響を及ぼす元素であり、このMnが1.10%以下でも本発
明で目的とする高透磁率を達成し得るが、1.10%を超え
ると斯うした透磁率向上が達成されないので1.10%を上
限とする。一方Mnが0.10%未満では熱間加工性が劣化
し、好ましくないので0.10%を下限とした。
Bは、本発明で意図する高い透磁率を達成するためには
必須の元素である。
(〔B〕、〔N〕はそれぞれB、Nの合金中添加量、
%)が0.0005〜0.0070%の範囲では本発明の目的を有効
に達成し得るが、0.0005%未満では透磁率が向上せず、
一方0.0070%を超えると透磁率が低くなるので、 の下限および上限をそれぞれ0.0005%、0.0070%と定め
た。
Pは、本発明の対象とする高Ni−Fe合金の熱間加工性に
有害な元素である。このPが0.010%以上となると熱間
加工性が悪くなるため、上限を0.010%未満とした。な
お、下限は溶製上の経済性から好ましくは0.0010%であ
る。
Siは、本発明の規定範囲内の成分において、直流磁気特
性を劣化させることなく交流磁気特性、即ち交流での実
効透磁率の向上を達成する元素である。またこのSiも適
量添加により直流および交流の透磁率の歪による劣化を
小さくすることを可能とする元素である。
直流磁気特性を劣化させることなく上記のような交流磁
気特性を向上させるSi量は0.20〜1.00%の範囲である。
即ちSiが0.20%未満では本発明で意図する交流磁気特性
の向上が図れず、一方1.00%を超えると直流磁気特性が
劣化するため上記のような範囲とした。
なお本発明で意図する透磁率の歪による劣化を小さくす
るSiの添加量としては0.30%以上であることが必要であ
る。
本発明の目的とする磁気特性向上のためには、上記した
S、O、C、Ni、Mo、Cu、Mn、B量の適正化とSiの適量
添加のもとで、Ni、Mo、CuおよびFeの成分バランスを適
正化することが必要である。即ちこの成分バランスを規
定するパラメータXは、 において、3.2〜3.8の範囲内で、かつ が0.0005〜0.0070%の範囲内であり、磁気焼鈍後におけ
る直流の初透磁率、500ミリガウスの直流磁界に対する
磁気遮蔽度、1KHzでの実効透磁率、50Hzでの角型性とい
った直流および交流の磁気特性を飛躍的に向上させるこ
とができる。
即ち上記のような成分規定および成分バランスの規定に
より、後述する実施例に示すように、初透磁率μiは30
0,000以上、500ミリガウスの直流磁界に対する磁気遮蔽
度を250以上、板厚0.20mmにおける1KHzでの実効透磁率
を15,000以上、50Hzでの角型性を0.90以上とそれぞれ向
上することができる。
本発明合金において磁気特性を更に高めるためには、最
終の磁性を高めるための熱処理後のオーステナイト結晶
粒界およびその近傍でのB量が10〜50atm%の範囲内
で、より高い初透磁率とより高い磁気遮蔽度、比較的高
い実効透磁率、比較的高い角型性を合わせ持つことがで
きる。
即ち、本発明合金を用いて、磁気焼鈍後のオーステナイ
ト粒界およびその近傍でのB量が上記の範囲であれば後
述する実施例1より優れた磁気特性を付与することがで
きる。つまり後述する実施例2に示すように初透磁率μ
iは400,000以上、500ミリガウスの直流磁界に対する磁
気遮蔽度を350以上、板厚0.20mmにおける1KHzでの実効
透磁率を16,000以上、50Hzでの角型性を0.92以上と、そ
れぞれ高めることができる。このような磁気特性の向上
原因は必ずしも明らかでないが、粒界およびその近傍で
適量のBが存在することにより粒界部分の性状を変え、
この変化が磁気特性、特に初透磁率といった磁壁の移動
のしやすさ、又は回転磁化のしやすさが求められる特性
値に対して良い影響を与えているものと推察される。
なお本発明で対象とするNi−Fe合金では、熱間加工性が
劣っている。この加工性を改良する方法としては微量の
B添加と微量のCa添加を組合せることがしばしば行なわ
れるが、斯うした微量Ca添加を行なっても上述したよう
な本発明の構成要件を満たせば本発明の目的とする初透
磁率の向上は達成される。又本発明においては上記した
ような成分組成の他、鉄合金とする場合に不可避的に含
まれるAlについても、詳しく言及しないが、例えば、A
l:0.03%以下の範囲内での含有が許容される。
本発明によるものの具体的な実施例について説明する
と、以下の如くである。
実施例1. 次の第1表に示すような化学成分を有する高Ni−Fe合金
の本発明合金および比較合金を真空溶解にて溶製し、こ
れを熱間加工、脱スケールを施し、冷延素材を準備し
た。
上記したような第1表の各素材は次いで冷延加工、焼鈍
して0.5mmないし0.2mmの薄板サンプルとし、これらのサ
ンプルより外径が45mmで内径33mmのJISリングを打抜き
試料とした。又磁気特性をこれらの試料について、パラ
ジウム膜を透過させ精製した高純度水素気流中雰囲気下
において1100℃で3時間の熱処理を行ない、1100℃〜65
0℃の間は400℃/hrにて冷却し、その後は炉冷させて測
定し、μiを0.005エルステッドでの透磁率として求め
た結果および遮蔽度、実効透磁率、50Hzでの角型性、保
磁力、磁束密度および面圧付加時の初透磁率の結果は次
の第2表の如くである。
即ち遮蔽度は、上記と同じ製造履歴を経た板厚0.5mmの
素材を直径50mm、長さ200mmの円筒に加工し、上記と同
じ磁気焼鈍条件にて熱処理したサンプルを用いて、ヘル
ムホルツコイルにて外部磁場(H0)、500ミリガウスを
円筒の軸方向に対して直角方向にかけた場合の円筒内側
中央部での内部磁場(H1)を測定することにより求め
た。遮蔽度の測定に際しては地磁気の影響が十分無視で
きるレベルまで磁気シールドしたボックスを用いて行な
った。
1KHzの実効透磁率は、上記と同じに磁気焼鈍を経た板厚
0.2mmのリングサンプルを用い、5ミリエルステッドで
のイングクタンス透磁率を測定することにより求め、50
Hzでの角型性は実効透磁率を測定した場合と同じリング
サンプルを用いて磁場の0.1エルステッドでの残留磁束
密度(Br)と磁束密度(B0.1)の比から求めた。
なお磁束密度および保磁力は、初透磁率を求めたと同じ
リングサンプルにて測定した。即ち磁束密度B1000は100
0A/mの外部磁界を加えたときの磁束密度であり、保磁力
は1000A/mの外部磁場を加え、次に反転し、磁束密度を
0とする磁界の強さである。
面圧付加時の初透磁率は、上記の初透磁率を測定したサ
ンプルを用い、リングサンプルの板面に垂直な方向に均
一な荷重(面圧4kgf/mm2)を印加して初透磁率を測定す
ることにより求めた。
また熱間加工性は第1表の合金鋼塊(厚さ70mm)を1150
℃に加熱し、最終板厚5mmまで熱間圧延し、その熱延板
エッヂ部における割れの発生状態を観察することにより
行なった。一般に熱間加工性の悪い場合にはエッヂ部に
割れが発生し易くなることは経験的に知られている。然
して上記したような第1、2表の結果について言うなら
ば、合金No.1およびNo.2の各材はC、S、O、N、B、
P、Si、Ni、Mo、CuおよびMn量が何れも本発明成分範囲
内のもので、μiは350,000以上、遮蔽度も約250以上、
実効透磁率(以下μeという)も15,000以上、50Hzでの
角型性(以下Br/Bmと略称する)も0.90以上と、比較合
金No.4〜No.19の各材に比較して優れた磁気特性を示し
ている。また熱延板のエッヂ割れもなく、熱間加工性が
良好である。なおNo.2材ではC、S、O、Nがより好ま
しいレベルまで低減されており、μi、遮蔽度、μe、
Br/BmはNo.1材より更に高くなっている。又これらNo.1
〜No.2材の本発明合金では、面圧4kgf/mm2付加時の初透
磁率劣化も後述比較合金No.4〜19のものより小さくなっ
ており、歪に対する特性の劣化も小さい。No.3合金材
は、Siが0.25%で、他の成分は何れも本発明範囲内のも
のであり、μi、遮蔽度、μe、Br/Bmは、上記したNo.
1およびNo.2合金材と略同じレベルを示している。しか
し面圧4kgf/mm2付加時の初透磁率劣化の大きさは約75,0
00と、No.1およびNo.2合金材の約50,000に比し大きい。
このように初透磁率の歪に対する劣化を小さくするため
にはSi量を本発明の規定範囲内でも、0.30%以上と高く
しなければならないことが理解される。
比較合金No.4材は、Pのみが本発明規定を超えるもので
あり、この場合にはμi、遮蔽度、μe、Br/Bm、歪付
加時のμiは本発明合金No.1、No.2と略同じレベルを示
しているが、熱延板のエッヂ割れがあり、熱間加工性が
劣っている。なおNo.21材はPのみが本発明規定範囲を
超えるものであるが、Pが0.090%と0.080%を超える場
合にはμi、遮蔽度、μe、Br/Bm、歪付加時のμiは
本発明合金に比し低いレベルを示している。又この場合
も熱延板のエッヂ割れがあり、熱間加工性は悪い。この
ように本発明で意図する磁気特性を確保するにはPが0.
080%以下であることが必要である。
これに対し、合金No.5およびNo.6の各材は、Ni量がそれ
ぞれ上限を越え、あるいは下限未満のものであり、又、
合金No.7およびNo.8の各材はMo量が上限を越えたもの、
あるいは下限未満のものであって、合金No.9およびNo.1
0はCu量がそれぞれ上限を越え、あるいは下限未満のも
のである。さらに合金No.11は、Mn量が上限を越えたも
のであり、合金No.12はSi量が上限を越えたものであっ
て、合金No.13およびNo.14のものは、それぞれB量が上
限を越え、あるいは下限未満のものである。さらに、合
金No.15〜18の各材は、それぞれC、S、O、Nの何れ
かが本発明成分範囲を超えるもの、又合金No.19およびN
o.20はそれぞれパラメータXが本発明で規定した下限を
超えるものと、下限未満のものであるが、これらの供試
材No.5〜No.20は何れも本発明例に比べて低いレベルに
ある。
なお、比較合金において、No.6、No.7、No.9〜No.16、N
o.18〜No.20の各材は、Pが本発明規定を超える場合で
あり、熱延板のエッヂ割れは何れも発生しており、熱間
加工性は劣っている。これに対して、合金No.8および合
金No.17はPが本発明規定内であり、熱延板のエッヂ割
れはなく、熱間加工性は良好である。又合金No.22のも
のはMn量が下限未満のもので、μi、遮蔽度、μe、Br
/Bm、歪付加時のμiは本発明合金と略同じレベルにあ
るが、熱延板のエッヂ割れがあり、熱間加工性は劣って
いる。
即ち本発明によるものは、C、P、S、O、Nの不純物
元素低減のもとで、Ni、Mo、Cu、Mn、B、Si、Feをそれ
らの単独量およびバランスが厳密に規定された範囲とす
ることにより、良好な熱間加工性を有し、しかも優れた
初透磁率、遮蔽度、実効透磁率、50Hzでの角型性の何れ
もを適切に得ることができる。なお本発明において所要
の特性を得るためには熱処理に使用するガスは、この実
施例で示したような高純度のH2ガスでよいが、同様な特
性はJISに規定されているような通常のH2雰囲気、すな
わち融点−40℃以下のH2ガス気流中で熱処理を行なうこ
とによっても得られる。
実施例2. 前記した実施例1の本発明合金No.2について冷延、焼鈍
を経た0.5mmの薄板サンプルより外径45mm、内径33mmのJ
ISリングを打抜きによって作製し、試料とした。またオ
ージエ観察用ステージに取付け可能なノッチ入り試験片
も同様のサンプルより切出した。
上記のようにして得られたサンプルは、次の第3表
(A)に示すような種々の雰囲気下で、1100℃×3時間
の熱処理を行ない、1100℃〜650℃の間をそれぞれに異
なった冷却速度で冷却し、その後は炉冷したサンプルに
より磁気特性および遮蔽度を測定した。
またオーステナイト粒界およびその近傍でのB量は、上
記熱処理の後に、カソード電解法により電解水素を添加
して粒界脆化処理を施し、粒界破壊を真空中で行ない、
顕われた粒界破面の成分分析をオージエ分光法により異
なる10点について行ない平均して求めた。これら結果は
第3表(A)(B)に併せて示す如くである。
即ち、本発明の前記した合金No.2を用いたものにおい
て、供試材No.1〜4は、そのオーステナイト粒界および
その近傍でのB量が本発明規定範囲内であり、μi、遮
蔽度、μe、Br/Bmはオーステナイト粒界およびその近
傍でのB量が本発明規定範囲外の供試材No.6のものより
高くなっている。また、これらの供試材では面圧4kgf/c
m2付加時の初透磁率劣化も前記した実施例1の比較合金
に比較して小さく、歪による特性劣化が小さいことがわ
かる。
なお第3表における供試材5は1100℃×3hrの雰囲気保
持中におけるH2の露点が−40℃より高い場合であり、こ
のような条件で熱処理されたサンプルのμi、遮蔽度、
μe、Br/Bmは他の発明例に比較して低い。即ち本発明
の効果はJISで規定されている露点−40℃以下のH2で熱
処理を行なうことにより適切に発揮される。また1×10
-5Torrというような高真空下の熱処理でも本発明の効果
は発揮し得る。
実施例3. 前記した実施例1の本発明合金No.2および次の第4表に
示すような成分を有する比較合金No.23について実施例
2と同様の作製条件にてサンプルを作製し、それぞれ、
第5表に示すような磁気焼鈍条件にて、熱処理を行な
い、磁気特性および遮蔽度を実施例2と同様の方法にて
測定した。結果を次の第6表に示す。
なお、この比較合金No.23は、Ni、Cu、P、Siが本発明
規定外であり、その他の成分は、本発明規定内のもので
ある。
発明合金No.2を用いて、1000℃×1時間の磁気焼鈍後で
得られる特性は、比較合金No.23を用いて、1100℃×1
時間の磁気焼鈍後に得られる磁気性質、即ちμi、遮蔽
度、μe、Br/Bm、μmおよびHcと比べて略同じレベル
か、稍々高い値を示している。つまり本発明によれば、
比較合金と同じ特性を得るのに磁気焼鈍温度を約100℃
低温化することができることを理解し得る。
本発明によるものは、上記した実施例の製造方法のみで
なく、溶解・溶製し、薄鋳板に鋳造し、鋳造のまま又は
熱間加工後および又は脱スケールし、冷延加工、焼鈍し
ても良い。
熱間加工に代えて又は冷延加工の高能率化のために温間
加工を施しても良い。
但し表面性状、板厚形状、寸法精度が要求される場合
は、最終溶製の前に冷延加工を施した方が好ましい。
更に、1回の冷延加工に代えて冷延加工、再結晶焼鈍
(例えば800℃以上)、冷延加工を繰りかえしても良
い。
以上のような製造方法であっても、本発明の範囲内であ
ればほぼ同等のものが得られる。
「発明の効果」 以上説明したような本発明によるときは、Ni−Fe系の高
透磁率磁性合金における磁気特性を適切に改善し、特に
直流および低周波域での透磁率などの磁気特性およびシ
ールド性能、更には交流透磁率が従来におけるPCパーマ
ロイの如きに比し飛躍的に優れた高透磁率磁気合金を提
供せしめ、従来におけるより更にシールド特性の要求さ
れる各種磁器シールド材や磁気ヘッドケース、コア類、
さらには磁器増幅器、パルス変圧器などの非線形応用に
用いられる材料などに広く採用せしめ得、更には従来と
同じレベルの要求特性を得るための磁気焼鈍温度を相当
に低温化することを可能とし、又、歪による特性劣化も
小さく、シールドルームのような構造部材とした際にお
いても所要の磁気特性を発揮せしめ、加うるに熱間加工
性も良好なことから製造時における歩留まりを高くする
ことができるなどの効果を有しており、近時におけるエ
レクトロニクス産業の要請に対して適切に即応し得るも
のであるから工業的にその効果の大きい発明である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni:77.5〜79.5wt%、Mo:3.8〜4.6wt%、 Cu:1.8〜2.5wt%、Mn:0.1〜1.10wt%、 Si:0.2〜1.0wt%、P:0.010wt%未満、 S:0.0020wt%以下、O:0.0030wt%以下、 N:0.0010wt%以下、C:0.020wt%以下 を含有し、かつBを の範囲内で含有し、残部が基本的にFeからなり、 しかもNi、Mo、Cu、Mn、Feが (但し〔 〕内はwt%) を満たす範囲でそれぞれ含有されたことを特徴とするNi
    −Fe系高透磁率磁性合金。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の成分組成を有し、かつ磁
    気焼鈍後でオーステナイト粒界おおよびその近傍でのB
    量が10〜50atm%であることを特徴とするNi−Fe系高透
    磁率磁性合金。
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