JPH07108227B2 - 光合成関連遺伝子及びそのプロモーター - Google Patents

光合成関連遺伝子及びそのプロモーター

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JPH07108227B2
JPH07108227B2 JP2075774A JP7577490A JPH07108227B2 JP H07108227 B2 JPH07108227 B2 JP H07108227B2 JP 2075774 A JP2075774 A JP 2075774A JP 7577490 A JP7577490 A JP 7577490A JP H07108227 B2 JPH07108227 B2 JP H07108227B2
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信 松岡
宗明 鮫島
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三井東圧化学株式会社
農林水産省農業生物資源研究所長
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、植物の光合成に関する集光性クロロフィルa/
b結合タンパク質の遺伝子及びそのプロモーターに関す
るものであり、遺伝子組替えを利用した植物の新品種の
開発や代謝産物を生産させる培養細胞の改変に利用され
る。
[従来の技術] 近年、植物でも遺伝子組み換え技術の利用が可能にな
り、特に双子葉植物での研究が活発に行なわれている。
中でも土壌細菌アグロバクテリウム・トゥメファシエン
スのT1プラスミドを利用したベクター系がいくつか作製
され、植物の形質転換実験に用いられてきた(Hoekema
ら(1985)Plant Molecular Biology 5:85−89。Velten
ら(1984)The EMBO Journal 3:2723−2730他)。しか
しながら、アグロバクテリウム属は双子葉植物と単子葉
植物の極く限られた一部にしか感染しないため、イネを
始めとする主要穀物では殆ど形質転換実験は不可能であ
った。この問題を解決した技術がエレクトロポレーショ
ン法である(Frommら(1986)Nature 319:791−793
他)。この方法は単離したプロトプラストに電気的刺激
を与えることにより、細胞表面に極く小さな穴を開け、
そこから遺伝子を取り込ませて形質転換を行う技術であ
る。この方法が開発されたことにより、イネを始めとす
る主要穀物においても形質転換実験が可能となり、現在
盛んに行なわれている。
従来用いられてきたベクター系におけるプロモーターは
アグロバクテリウム・トゥメファシエンスのTiプラスミ
ドの遺伝子由来のプロモーターであるか、あるいはカリ
フルワーモザイクウイルス(CaMV)の遺伝子由来のプロ
モーターが殆どである。これらのプローモーターは、遺
伝子を植物内で効率よく発現させるためのプロモーター
として使用されてきた。しかしながら、これらのプロモ
ーターは遺伝子導入後の植物を生育時期や植物部位に関
係なく常に遺伝子を発現させるものであり、制御するこ
とが不可能なプロモーターであった。
[発明が解決しようとする課題] 現在、植物細胞に効率よく遺伝子を挿入する技術は完成
されており、遺伝子を発現させるための強力なプローモ
ーターが使用されている。しかしながら、実際の植物育
種にあたっては常に遺伝子を発現させているプロモータ
ーでは不都合な面もある。そこで、生育時期特異的にあ
るいは器官特異的に発現させることのできるプロモータ
ーや人為的に制御が可能なプロモーターが望まれる。
[課題を解決するための手段] 植物の葉緑体のチラコイド膜に存在している集光性クロ
ロフェイルa/b結合タンパク質(以下、LHCP IIと略すこ
とがある)は光合成系IIの集光性クロロフィルを結合し
た複合タンパク質であり、光合成において重要な役割を
果している。その遺伝子は核DNAにコードされており、
光によって誘導がかかり葉緑体中で発現することが知ら
れている。
本発明者らは、このLHCP II遺伝子のプロモーターを利
用することにより、光によって遺伝子発現の誘導を岡な
えるのではないか、すなわち、人為的に遺伝子発現を誘
導できるのではないかと考えLHCP IIの遺伝子をクロー
ニングし、プロモーター部分の解析を行なった。そして
このプロモーター部分を切り出し大腸菌由来のβ−グル
クロニダーゼ遺伝子に接続し、このキメラ遺伝子を植物
相貌に導入した。遺伝子導入を行なった細胞を培養した
カルス(細胞塊)やそれより再分化した植物体では光を
照射することによってβ−グルクロニダーゼ遺伝子が発
現することが確認できた。従ってLHCP II遺伝子のプロ
モーターは光によって誘導がかけられることを確認し、
本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の塩基配列を有するDNA断片
又はプロモーター活性を有するその一部から成るDNA断
片を提供する。
さらにまた、本発明は、上記本発明のDNA断片を含む植
物細胞用ベクターを提供する。
[発明の効果] 本発明により、光照射によって発現を制御できるプロモ
ーターを含む新規なDNA断片及びこれを含む新規な植物
細胞用ベクターが提供された。本発明により開発された
ベクターを用いることにより導入遺伝子を光を照射する
ことにより発現させることが可能となった。また、葉で
最も発現量が認められることから、遺伝子を発現させる
部位に特異性を持たせられる可能性も示唆された。従っ
て、本発明は、植物の遺伝子工学に大いに貢献するもの
と考えられる。
[発明の具体的説明] 上述のように、本発明のDNA断片は、LHCP II遺伝子のプ
ロモーターを含む。該プロモーターの由来は特に限定さ
れないが、下記実施例においてはプロモーター部分を含
む、イネのLHCP II遺伝子が単離されている。下記実施
例において単離されたLHCP II遺伝子の全構造及びプロ
モーター領域のDNA塩基配列が図1に示されている。枠
で囲んだ部分がLHCP II遺伝子の構造部分を示す。+1
はLHCP II遺伝子の転写開始点を、また+60のATGは成熟
LHCP IIのタンパク質の第1番目のアミノ酸をコードす
る塩基配列を表わす。遺伝子の転写に必要な要素である
CATボックスとTATAボックスはそれぞれ−91と−29に認
められる。また、−64には最近Grobらによって報告され
た光感受性ボックスが存在する(Grobら(1988)Nuclei
c Acids Resaerch 23:9953−9973)。下記実施例におい
ては、図1に示される塩基配列の第−785番目から+59
番目の塩基配列を有するDNA断片をベクターに組み込ん
で該DNA断片の下流に存在する外来遺伝子の発現に成功
しているので、プロモーター配列は少なくともこのDNA
断片中に完全に含まれていることは明らかである。
一般に、特定の機能を有するDNA配列において、少数の
ヌクレオチドが置換し、欠失し又は付加された場合であ
っても実質的に同一の機能を発揮し得る場合があること
は当業者に広く認識されているところである。従って、
図1に示されるDNA断片中に含まれるプロモーターのDNA
配列のうち、少数のヌクレオチドが置換し、欠失し又は
付加された配列を有するDNA断片であっても、その配列
がプロモーターとして機能するのであれば、その配列は
本願特許請求の範囲にいう「プロモーター」に含まれる
ものとし、このような配列を含むDNA断片は本発明の範
囲に含まれるものと解釈するものとする。
本発明はさらに、上記本発明のDNA断片を含む植物細胞
用ベクターを提供する。本発明のベクターは、宿主細胞
内で自律的に複製するための複製開始点と、好ましくは
例えば薬剤耐性のような適当な選択マーカーを有するプ
ラスミドに上記本発明のDNA断片を組み込むことによっ
て得ることができる。このようなプラスミドとしては、
植物細胞用のベクターとして公知のもの、例えばpBI101
(クローンテック社製)を用いることができ、このよう
な公知のベクターのクローニング部位に本発明のDNA断
片を常法により組み込むことによって本発明のベクター
を得ることができる。下記実施例においては、図1に示
す配列の−785番目の+59番目の塩基配列を有する断片
を上記pBI101のXbaI−BamHI消化物中に組み込むことに
よって本発明のベクターを構築した。本発明のベクター
においては、上記本発明のDNA断片の下流に所望のタン
パク質をコードする構造遺伝子が組み込まれる。下記実
施例においては、構造遺伝子としてβ−グルクロニダー
ゼ遺伝子が挿入されたベクターpLH/GUSが得られてい
る。
次に、上記本発明のDNA断片及びベクターの調製方法を
イネを例にとって説明する。なお、本発明のDNA断片の
調製方法は下記のものに限定されるものではない。
先ず、イネのcDNAライブラリーを作製する。イネの場
合、例えば発芽後約2週間経過した芽生えより全RNAを
抽出することが好ましい。全RNAよりmRNAのみを単離
し、市販のキット等を用いた常法によりcDNAを合成す
る。合成したcDNAを例えば大腸菌用のクローニングベク
ターに接続しcDNAライブラリーを完成させる。
LHCP II遺伝子に特異的な配列をプローブとして合成
し、コロニーハイブリダイゼーションによってスクリー
ニングしLHCP II遺伝子のcDNAを得ることができる。
次に暗所発芽させたイネよりCTAB法(Plant Molecular
Biology(1985)5:69)によってDNAを抽出し、大腸菌の
クローニング用のベクターに接続し、イネのゲノミック
ライブラリーを作製することができる。
LHCP II遺伝子のcDNAをプローブとしてゲノミックライ
ブラリーをスクリーニングし、イネのLHCP II遺伝子を
単離することができる。
プロモーターとしての活性についての検討は次のように
実験を行なえばよい。例えば、プロモーター活性を持つ
と考えられる部分をβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝
子の5′側上流に接続する。β−グルクロニダーゼは本
来植物には存在せず、4−メチルウンベリフェロン(4
−MU)にグルクロン酸が結合した4−MUGを基質として
反応し、その反応生成物4−MUが強い蛍光を発すること
により定量できる(Richardら(1986)The EMBO Journa
l 6:3901−3907)。LHCP II遺伝子のプロモーターとGUS
遺伝子を植物細胞用ベクターに組み込んだ組換えプラス
ミドを植物のプロトプラストにエレクトロポレーション
法により導入する。導入した植物細胞は培養後、ベクタ
ーの選択マーカーに従って選抜する。例えば、本発明の
プロモーター含有DNA断片を、GUS遺伝子を有するpBI101
に組み込んだ場合には、pBI101のカナマイシン耐性に基
づいて選抜することができる。すなわち、pBI101にはNP
T II遺伝子も含まれており、この酵素が合成されるとカ
ナマイシンに対して耐性となる。従って、カナマイシン
存在下で生き残る細胞はLHCP IIプロモーターとGUS遺伝
子のキメラ遺伝子を持つ可能性が高くなる。
このようにして外来遺伝子を有すると考えられるカルス
(細胞塊)より常法に基づき植物体を再分化させる。再
分化した植物体を光条件下で遺伝子を発現させ、その植
物体を葉、茎、花弁及び根の各器官ごとにGUS活性を測
定することにより、いずれの植物体においても葉で最も
大きな発現量が確認される。従って、LHCP IIプロモー
ターは光存在下において遺伝子を発現させることが可能
であり、その発現する場所も葉等の光合成開器官の存在
する部位に発現しやすいことが確認される。
従って、本発明によるLHCP II遺伝子のプロモーターを
利用することにより、光によって遺伝子が発現誘導でき
る。また、葉等の光合成器官を有する部位に発現しやす
いことから器官特異的に遺伝子を発現させることができ
る可能性も示唆された。
なお、下記実施例において得られたLHCP IIプロモータ
ーはイネを始めとする単子葉のみでなく、タバコ等の双
子葉植物においても発現可能なプロモーターであった。
[実施例] 本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の実
施例はこれらに限られれものではない。なお、下記実施
例において特に断わらない限り、各操作は、Maniatisら
Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Lab.に記載さ
れた方法に基づいて行なった。
先ず、芽生えより以下の方法によりcDNAライブラリーを
作製した。すなわち、芽生え後2週間経過した芽生え30
gよりグアニジンチオシアネート法により全RNAを抽出し
た。抽出した全RNAよりオリゴdTセルロースカラムによ
りmRNAを単離した。mRNAは全RNAのほぼ1.5%の収量であ
った。mRNAよりcDNAの合成は市販の合成キット(アマシ
ャム社製)を使用した。合成したcDNAは市販の大腸菌用
クローニングベクターであるpUC8のEcoRI部位に接続
し、大腸菌を形質転換することによりcDNAライブラリー
を得た。
次に、既知のLHCP II遺伝子の構造部分より17塩基の合
成プローブ(塩基配列:GCCCATCTGCAGTGGAT)を作製し、
コロニーハイブリダイゼーション法によってポジティブ
クローンを得た。これを解析したところ既知のLHCP II
遺伝子の構造と類似しており、イネのLHCP II遺伝子と
断定した。
次に、ゲノミックライブラリーを作製した。すなわち、
暗所で発芽させて1週間経過したイネの芽生え30gよりC
TAB法(Plant Molecular Biology(1985)5:69)によっ
てDNAを抽出した。DNA10μgを制限酵素Sau3AI(宝酒造
社製)によって部分分解した。これをベクターEMBL3
(ストラータジーン社製)のBamHI部位に接続し、大腸
菌に感染させてゲノミックライブラリーを作製した。
cDNAの一部(5′側非翻訳領域から成熟タンパク質のN
末端まで含む約260塩基)をプローブとして用いて、ゲ
ノミックライブラリーのスクリーニングを行ない、4つ
のポリティブクローンを得た。これらの塩基配列をディ
デオキシ法に従って決定したところ、いずれも同じ配列
を有するLHCP II遺伝子であると確認できた。図1に示
したものがそのLHCP II遺伝子及びそのプロモーター領
域の塩基配列である。
次に、LHCP II遺伝子のプロモーターの活性を検討する
ためにLHCP II遺伝子のプロモーター部位を切り出し、G
US遺伝子に接続した。すなわち、図1に示す配列の−78
5番目から+59番目までの部分をPCR法(Saikiら、(198
8),Science 239;482−491)によって増幅し、−785側
には制限酵素XbaIのリンカーを、+59側には制限酵素B
amHIのリンカーを接続した。次に、pBI101のXbaI部位
BamHI部位をそれぞれ制限酵素で切断し、この部分にL
HCP II遺伝子の上記プロモーター含有断片(LHCP−pr
o)を接続した(プラスミドpLH/GUS)。得られたプラス
ミドpLH/GUSの部分遺伝子地図を図2に示す。このプラ
スミドpLH/GUSを用いて次の形質転換実験を行ない形質
転換植物のGUS活性を検定した。
タバコの葉より常法に基づきプロトプラストを調製し
た。プロトプラストを精製した後に2×105個/mlの濃度
に緩衝液に懸濁した。この溶液に図2に示す構造を持つ
pLH/GUSプラスミドDNAを20μg/mlの濃度で加えた。この
懸濁液をエレクトロポレーション用の容器に移し電気刺
激を与えた後、プロトプラストを回収しMS培地で培養し
た。培養開始後1週間してカナマイシンを50μg/mlの濃
度で培地に添加し、さらに細胞を増殖させた。カルスが
径5〜10mmになった時点で植物ホルモンフリーの培地に
移植し再分化させた。このようにして再分化した植物体
の葉、茎、花弁、根についてRichardらの方法に従ってG
US遺伝子の発現量を測定した。具体的にはGUS遺伝子の
産物である酵素が4MUGを分解した産物の4MUの蛍光を測
定することになる。
結果を表1に示す。表1にも明らかなように、各固体に
よる差があるものの、いずれにおいても葉においてGUS
遺伝子の発現が最も多かった。
【図面の簡単な説明】
図1は、イネのLHCP II遺伝子の全構造と5′側(プロ
モーター部分)のDNA配列を示す。 図2は、図1に示したLHCP II遺伝子のプロモーター部
分を切り出し、植物ベクターであるpBI101に含まれるβ
−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子の上流に接続するこ
とにより構築したプラスミドpLH/GUSの遺伝子地図を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鮫島 宗明 茨城県つくば市松代5―242―1―545―2 (56)参考文献 Annual Meeting of the American Societ y of Plant Physiolo gists,(July,1987),P.19 −23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の塩基配列を有するDNA断片又はプロ
    モーター活性を有するその一部から成るDNA断片。
  2. 【請求項2】イネ由来のものである請求項1記載のDNA
    断片。
  3. 【請求項3】請求項1又は2のいずれか1項に記載のDN
    A断片を含む植物細胞用ベクター。
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AU9001998A (en) * 1998-09-10 2000-04-03 Nissan Chemical Industries Ltd. Dna fragment having promoter function

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