JPH07109537A - 亜共晶Al−Si系合金及びその鋳造法 - Google Patents

亜共晶Al−Si系合金及びその鋳造法

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JPH07109537A
JPH07109537A JP25435993A JP25435993A JPH07109537A JP H07109537 A JPH07109537 A JP H07109537A JP 25435993 A JP25435993 A JP 25435993A JP 25435993 A JP25435993 A JP 25435993A JP H07109537 A JPH07109537 A JP H07109537A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳造材,押出し材,鍛造材の何れにも適した
亜共晶Al−Si系合金を得る。 【構成】 Si:3.3〜5.5%,Mg:0.2〜
0.7%,Ti:0.01〜0.2%,B:0.000
1〜0.01%,Fe:0.2%以下,P:0.005
%以下及びCa:0.005%以下を含み、P/Caの
重量比が1.0以下の亜共晶Al−Si系合金である。
必要に応じ、Mn:0.02〜0.5%,Cr:0.0
1〜0.3%,Zr:0.01〜0.2%及びCu:
0.2〜0.5%の一種又は二種以上を含むことができ
る。また、Ca+Na+2×Sr≧3×P+0.3×S
bの条件下でSb:0.03%以下,Na:0.001
〜0.01%及びSr:0.001〜0.05%の一種
又は二種以上を含むこともある。この亜共晶Al−Si
合金は、平均粒径30μm以下の共晶Siが分散した鋳
造組織をもっている。 【効果】 共晶Siが微細なため、切削性,鍛造性,展
延性,伸び及び強度等に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、T6 処理後に30kg
f/mm2 以上の引張り強さ及び10%以上の伸びをも
つ鋳造材として、更には押出し材又は鍛造材としても使
用される亜共晶Al−Si系合金に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金の代表的な鍛造用素材
として、6061合金が使用されている。しかし、60
61合金は、押出し工程を経て鍛造用素材にされること
から、コスト高になる。また、押出し材を鍛造するの
で、製品形状がおのずと単純な形状に限定される。その
ため、形状が複雑な製品を得る場合、鍛造用素材を鋳造
で得る必要が生じる。鋳造によって所定の形状が付与さ
れた素材、すなわち予形材で鍛造が可能な材料として
は、AC4C,AC4CH等がJISで掲げられる。し
かし、AC4C,AC4CH等のアルミニウム合金は、
6061合金に比較し伸び率等の引張り特性が劣り、形
状特性に優れた鍛造製品を得ることができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】AC4C,AC4CH
等のアルミニウム合金を鋳造することにより得られた鍛
造用素材の伸び率を大きくするため、Si含有量を3重
量%程度まで少なく、更にNa、Sr、Sb等を添加
し、共晶Siを微細化することが、特開昭54−134
07号公報で紹介されている。共晶Siの微細化によっ
て、伸び率がある程度改善される。しかし、依然として
6061合金の伸び率に及ばず、鍛造性に問題が残って
いる。また、得られた鍛造製品の耐力が十分でないこと
から、所定の構造強度をだすために厚肉化することを余
儀なくされていた。その結果、軽量化部品としてのアル
ミニウム材料の長所を活用できない現状である。
【0004】このように、従来のAl−Si合金は、鋳
造,押出し,鍛造等の製造工程を考慮して成分設計され
ており、それぞれの工程ごとに異なった組成をもってい
る。そのため、汎用性に乏しく、たとえば鋳造材に押出
し,鍛造等の加工を施して製品とすることは稀である。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたもの
であり、共晶Siが微細化するように各合金成分間のバ
ランスを図ることにより、鋳造材としては勿論,押出し
材,鋳造材等としても使用可能で、機械的特性及び切削
性に優れた亜共晶Al−Si系合金を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の亜共晶Al−S
i系合金は、その目的を達成するため、Si:3.3〜
5.5重量%,Mg:0.2〜0.7重量%,Ti:
0.01〜0.2重量%,B:0.0001〜0.01
重量%,Fe:0.2重量%以下,P:0.005重量
%以下及びCa:0.005重量%以下を含み、P/C
aの重量比が1.0以下である。この亜共晶Al−Si
系合金は、更にMn:0.02〜0.5重量%,Cr:
0.01〜0.3重量%,Zr:0.01〜0.2重量
%及びCu:0.2〜0.5重量%の一種又は二種以
上、及び/又はCa+Na+2×Sr≧3×P+0.3
×Sbの条件下でSb:0.03重量%以下,Na:
0.001〜0.01重量%及びSr:0.001〜
0.05重量%の一種又は二種以上を含むことができ
る。Sb,Na,Sr等を含む合金系では、P/Caの
重量比が1.0以下の制約を受けない。所定組成に調製
された合金溶湯は、冷却速度0.1℃/秒以上で鋳造さ
れる。得られた鋳塊は、平均長さ30μm以下の共晶S
iが分散した鋳造組織をもっている。
【0006】
【作用】本発明の亜共晶Al−Si系合金においては、
鋳造性を確保すると共に、高靭性化及び伸びを向上させ
るため、AC4C,AC4CH等の従来のアルミニウム
合金に比較しSi含有量を低めに設定している。共晶S
iの微細化は、微細化阻害元素であるP含有量を規制す
ると共に、P/Caの重量比が1.0以下の条件下でC
aを合金元素として含有させることによって促進され
る。また、Ca+Na+2×Sr≧3×P+0.3×S
bの条件下でNa,Sr,Sb等を添加するとき、共晶
Siが一層微細化される。更に、十分な伸びを確保でき
る範囲内でMgを増量することにより、耐力の向上を図
っている。この条件を満足する組成をもつ鋳造材は、平
均長さ30μm以下の共晶Siが晶出した鋳造組織をも
っており、鋳造材をT6 処理した後の機械的特性が30
kgf/mm2 以上の引張り強さ及び10%以上の伸び
率を呈する。鋳造材は、共晶Siが微細であるため、そ
のまま切削して製品にできることは勿論、押出し材や鍛
造材としても使用可能である。
【0007】以下、本発明で特定した合金成分,その含
有量等に関する条件を説明する。 Si:本発明の亜共晶Al−Si系合金は、鋳造材とし
ての用途の他に、押出し材,鍛造材等としても使用され
る。鋳造に際しては、溶湯の流動性,引け性等が良く、
鋳造割れ等の欠陥が発生しないことが要求される。この
鋳造性を確保する上から、Siを含有させることが必要
である。しかし、多量のSi含有は、アルミニウム合金
の伸びや機械的強度を低下させる。この点から、本発明
においては、Si含有量を3.3〜5.5重量%の範囲
に設定した。この範囲のSi含有量は、必要とする伸び
や機械的強度を得ると共に、鋳造性も良好にする。Si
含有量が5.5重量%を超えると、ミクロ組織でも検出
されるように粒界に比較的多量の共晶Siが晶出し、伸
び,機械的強度等が劣化する。逆に、Si含有量が3.
3重量%未満では、鋳造性が悪くなる。
【0008】Mg:Siと共存して熱処理によりMg2
Siとして析出し、引張強さ,耐力等の機械的強度を向
上させる。しかし、Mg含有量が0.7重量%を越える
と,伸び,衝撃値等が大きく低下する。また、6061
合金の性能に近づけるためには、Si含有量の低下によ
って伸びを増大させた分、Mg含有量を可能な限り増量
して強度向上を図る。このようなMgの効果を発現させ
るため、0.2重量%以上のMg含有が必要である。 Ti,B:アルミニウム合金の鋳造組織は、Ti及びB
の併用添加により微細化される。鋳造組織の微細化に伴
い、粒界に析出する不純物やシュリンケージ等が細かく
分散され、機械的特性が向上する。このような効果を得
るため、0.01重量%以上のTi及び0.0001重
量%以上のBを含有させることが必要である。しかし、
Ti含有量及びB含有量がそれぞれ0.2重量%及び
0.01重量%を超えると、析出する介在物が多くな
り、却って靭性,強度,伸び等が劣化する。
【0009】Fe:原料から混入する不純物であり、多
量に含まれるとFe系金属間化合物を晶出し、伸びを低
下させる。Fe系晶出物に起因する悪影響は、Fe含有
量を0.2重量%以下に規制することによって抑制され
る。 Ca:共晶Siを微細化して伸び,衝撃値等を向上させ
る上で、有効な合金元素である。共晶Siの微細化作用
は、0.005重量%以下のCaを含有させることによ
り得られる。Caは、P/Caの重量比が1.0以下の
条件で添加したときに共晶Siの微細化に効果を発揮す
る。しかし、0.005重量%を超えて過剰のCaを含
有させると、鋳造性,靭性等に悪影響を与える。Ca含
有量は、P含有量との間でP/Ca≦1.0の関係を満
足していることが好ましい。P/Ca≦1.0の条件
は、本発明者等の実験によって見出されたものであり、
特にNa,Sr,Sb等が10ppm以下のとき効果的
に適用される。他方、Na,Sr,Sb等が本発明で規
定した範囲まで増加した場合、Caによる微細化作用が
打ち消され、P/Ca≦1.0の条件に有意性がみられ
なくなる。
【0010】Na,Sr,Sb:Caと同様に共晶Si
を微細化して伸び,衝撃値等を向上させるため、必要に
応じて添加される合金元素である。共晶Siの微細化作
用は、0.001重量%以上のNa,0.001重量%
以上のSr或いは0.03重量%以下にSbを規制する
ことにより得られる。これら合金元素のうち、Sbは、
Pのみが含まれる合金系においては共晶Siを微細化す
る作用を呈し、10×Sb≧Pで共晶Siの平均粒径が
30μm以下になる。しかし、Sbは、Ca,Na,S
r等の1種以上が共存するとき、Pと同様に共晶Siを
粗大化させる元素として働く。そこで、P共存下でN
a,Sr,Sb等を添加するとき、共晶Siの平均長さ
を30μm以下にする上で、Ca+Na+2×Sr≧×
P+0.3×Sbの関係を成立させることが好ましい。
【0011】Na,Sr,Sb等の添加元素は、ガスの
吸収及び化合物の生成を促進させると共に、引け性を変
化させる傾向を呈する。その結果、多量にNa,Sr,
Sb等を添加すると、アルミニウム合金の靭性が劣化す
る。この点で、Na,Sr及びSb含有量の上限を、そ
れぞれ0.01重量%,0.05重量%及び0.03重
量%に設定した。Ca,Na,Sr,Sb等は、一般的
に合金の副原料やスクラップから混入してくる元素であ
る。そこで、これら元素の含有量が上限値を超えている
場合、Cl2 ガス処理,フラックス処理等によって合金
中に含まれている各元素を減少させる。他方、元素含有
量が少ない場合には、アルミニウム母合金やフラックス
等として必要量が添加される。
【0012】P:Na,Sr,Sb,Ca等の添加元素
は、合金中のPと反応し、共晶Siの微細化に有効に作
用しなくなる。そのため、本発明においては、微細化効
果を阻害するPを0.005重量%以下に規制して、N
a,Sr,Sb,Ca等の作用を効率よく発揮させる。
特にCaとの関係では、P/Caの重量比を1.0以下
にすることが必要である。 Cu:アルミニウム合金の強度を向上させる上で、必要
に応じて添加される元素である。0.2〜0.5重量%
のCuをMgと併用添加するとき、十分な伸びを確保で
きる範囲で耐力の向上が図られる。
【0013】Zr,Mn,Cr:加工時におけるアルミ
ニウム合金の再結晶を防止するため、必要に応じて添加
される元素である。再結晶防止を図る上で、0.01重
量%以上のZr,0.02重量%以上のMn或いは0.
01重量%以上のCrを含有させることが必要である。
しかし、これら元素を多量に添加すると、マトリックス
の硬度が上昇し、却って加工性が低下する。そこで、Z
r含有量,Mn含有量及びCr含有量の上限を、それぞ
れ0.2重量%,0.5重量%及び0.3重量%に規定
した。 共晶Siの粒径:本発明のアルミニウム合金は、平均長
さで30μm以下の小さな共晶Siが晶出した鋳造組織
をもつ。この微細化された共晶Siのため、鋳造材にあ
っては、T6 処理後に伸びが大きくなり、且つ良好な切
削性を呈し、所定形状の製品に切削仕上げされる。ま
た、展延性や鍛造性が良好であることから、亀裂等の欠
陥を発生することなく押出し材や鍛造材に加工される。
特に鍛造材にあっては、強度及び伸びの高い製品が得ら
れる。
【0014】鋳造条件:所定の組成に調製されたアルミ
ニウム合金溶湯は、金型鋳造,DC鋳造等によって鋳塊
に鋳造される。このとき、鋳造組織を微細化するため、
冷却速度0.1℃/秒以上の速度で凝固させることが必
要である。鋳造組織は、共晶Siが十分に微細化された
状態になっている。他方、0.1℃/秒未満の緩慢な冷
却速度で鋳造した場合には、粒径30μmを超える大き
な共晶Siが晶出した鋳造組織となる。このような粗い
鋳造組織は、伸びの低下をもたらし、切削性,展延性,
鍛造性に有害である。
【0015】鋳塊の均質化熱処理:得られた鋳塊は、押
出し材又は鍛造材として使用する場合、共晶Siの球状
化及び合金成分の均質化を図るため、均質化熱処理を施
すことが好ましい。共晶Siが球状化したものでは、材
料の伸びが増大し、鍛造時に割れ等の欠陥が発生しな
い。そのため、鍛造速度を上昇させることが可能にな
り、生産性が向上する。均質化熱処理の条件は、特に本
発明を制約するものではないが、たとえば500〜55
0℃×1〜24時間に設定される。一般的にいって、熱
処理温度が高くなるほど共晶Siの球状化が促進され
る。しかし、過度に高い熱処理温度では、共晶組織がバ
ーニングし易く、鍛造時に割れを発生させる原因とな
る。また、鋳塊を均質化温度に昇温するとき、450℃
以上の温度領域における昇温速度を50℃/時間以下に
することが好ましい。この温度領域における昇温速度が
50℃/時間を超えると、共晶組織がバーニングし易く
なる。しかし、450℃未満の温度領域においては、昇
温速度の如何によってバーニングが影響されることはな
い。この点、450℃までを急速に昇温し、次いで50
℃/時間以下の速度で500〜550℃の均質化温度に
加熱することが実際的である。
【0016】鍛造後の熱処理:鍛造された亜共晶Al−
Si系合金は、均質化処理後の冷却過程でα−晶内に析
出したSi粒子を再固溶させるために溶体化される。溶
体化処理の条件は、本発明を制約するものではないが、
たとえば鋳造材に対する熱処理と同様に500〜550
℃×0.5〜10時間が採用される。溶体化処理後の亜
共晶Al−Si系合金は、固溶Siの析出を防止するた
め水焼入れされる。このようにしてSi粒子の析出を抑
えることにより、亜共晶Al−Si系合金の強度が改善
される。亜共晶Al−Si系合金は、水焼入れしたまま
の状態に維持されると、MgSiを自然に析出させ、
強度が低下する。そこで、水焼入れ後6時間以内に、1
40〜200℃×1〜12時間の戻し処理を亜共晶Al
−Si系合金に施し、所定の強度を確保することが好ま
しい。水焼入れから戻し処理までの時間が6時間を超え
ると、Mg Siの過剰析出に起因して強度が低下す
る場合がある。本発明の亜共晶Al−Si系合金は、T
6 処理後の鋳造材として30kgf/mm2 以上の引張
り強さ及び10%以上の伸び率を示す。また、鍛造材に
6 処理を施した状態では、30kgf/mm2 以上の
引張り強さ及び12%以上の伸びを示す。
【0017】
【実施例】
実施例1:鋳造材 表1に示した合金成分の素材をJIS 4号の舟形鋳型
を使用し、型温150℃で鋳造した。このときの冷却速
度は、1.5℃/秒であった。得られた鋳造材から、引
張り試験用の試験片を切り出した。切削時に発生した切
り粉は小さく、良好な切削性を呈するものであった。切
り出された試験片に、535℃×3時間→水冷→150
℃×6時間→室温に冷却のT6 処理を施した。T6 処理
後の機械的特性を、共晶Siの平均長さと共に表2に併
せ示す。
【0018】
【表1】
【0019】Si含有量が少ない組成(試料番号1)で
は、鋳造性が悪く、鋳造割れを評価するリングテストで
割れが入っていた。しかし、舟型鋳込みでは割れは入ら
ず、試験片が採取できた。Si含有量が多すぎる場合
(試料番号4)も、伸びが減少した。過剰のFe含有量
も、伸びを低下させる(試料番号8)。P/Ca比が大
きく且つP量も多い鋳造材(試料番号9)では、共晶S
iの平均長さが大きいことから、伸びが小さくなってい
た。P/Ca比が大きいと、P含有量が本発明範囲にあ
る鋳造材(試料番号11)でも、共晶Siの平均長さが
大きく、伸びが小さくなっていた。Mg含有量に関して
は、少なすぎても(試料番号5)、多すぎても(試料番
号7)、必要とする強度或いは伸びが得られなかった。
Ca含有量が多い(試料番号10)は、鋳巣が発生し、
鋳造材として使用することはできなかった。これに対
し、各合金成分及びP/Ca比が本発明で規定した要件
を満足する試料番号2,3,6の鋳造材は、何れも高い
引張り強さ及び伸びを示した。このことから、各合金成
分及びP/Ca比に対する条件設定が機械的特性の改善
に必要であることが判る。
【0020】実施例2:試料番号6と同じ組成をもつア
ルミニウム合金溶湯を、JIS 4号の舟形鋳型を使用
して鋳造した。冷却速度による影響を調査するため、鋳
型を400℃の温度に保持する冷却条件1及び塗型材を
塗布した鋳型を400℃の温度に保持する冷却条件2を
採用した。冷却条件1は試料番号6の冷却速度より小さ
い0.5℃/秒であり、冷却条件2は更に遅い冷却速度
0.05℃/秒であった。鋳造材の機械的特性を実施例
1と同様に調査した結果を、表2に示す。この場合、共
晶Siの平均長さが大きい鋳造組織になっているため、
6 処理後の伸びが小さかった。
【0021】
【表2】
【0022】実施例3:試料番号6と同じ組成のアルミ
ニウム合金溶湯にMn,Cr,Zr,Cu等を添加し、
実施例1と同様に鋳造した後でT6 処理を施した。得ら
れた鋳造材の機械的特性を示す表3から明らかなよう
に、合金元素の添加によって強度が上昇した。また、伸
びの低下は、僅かなものであった。
【0023】
【表3】
【0024】実施例4:試料番号6と同じ組成のアルミ
ニウム合金溶湯にSb,Na,Sr等を添加し、P及び
Caが共存している状態で共晶Siの微細化に与える影
響を調査した。なお、冷却速度及び鋳造後のT6 処理
は、実施例1と同じ条件に設定した。得られた鋳造材の
機械的特性を示す表4から明らかなように、Ca+Na
+2×Sr≧3×P+0.3×Sbの関係式が成立して
いるものにあっては、何れも30kgf/mm2 以上の
引張り強さ及び10%以上の伸びを示した。
【0025】
【表4】
【0026】実施例5:実施例4で30kgf/mm2
以上の引張り強さ及び10%以上の伸びを示した組成
に、更にMn,Cr,Zr及びCuを添加し、これら合
金元素の影響を調査した。本実施例においても、実施例
1と同じ鋳造材に対するT6 処理を採用した。調査結果
を示す表5から明らかなように、Mn,Cr,Zr,C
u等の添加によって強度の改善が図られている。
【0027】
【表5】
【0028】実施例6:次の工程で製造した押出し材に
6 処理を施し、合金成分が基体的特性に与える影響を
調査した。試料番号32の組成をもつアルミニウム合金
溶湯を冷却速度約5℃/秒でDC鋳造し、500℃×1
0時間の均質化熱処理を施した後、ビレットを直径27
3mm及び長さ600mmの円柱状に切断し、押出し速
度1.0m/分,押出し圧力85kgf/cm2 及びビ
レット温度410℃の条件下で断面50mm×3mmの
板材を押し出した。得られた板材に、535℃×3時間
→水冷→170℃×5時間→室温に冷却のT6 処理を施
した後、機械的特性を測定した。その結果、引張り強さ
σB =32.7kgf/mm2 及び伸びδ=18.2%
で、目標値をクリアーする材料であることが判った。
【0029】実施例7:鋳造で得られた合金材料は、凝
固速度の違いにより鋳塊のデンドライトアームスペーシ
ングが異なる。デンドライトアームスペーシングが大き
すぎると、共晶Siが30μmを超えるようになり、材
料の伸びが低下する。また、荷重が加わったとき、共晶
Siとマトリックスとの界面を起点として破断等が発生
する。この点、本発明合金においては、共晶Siが30
μm以下の微細な晶出物として分散されているため、鍛
造によって亀裂を発生させることなく、伸び率が大きな
中実の製品にすることが可能である。得られた鍛造材に
6 処理を施すことにより、目標値(引張り強さ30k
gf/mm2 以上及び伸び10%以上)をクリアーする
鍛造材となる。
【0030】たとえば、試料番号32と同じ組成をもつ
アルミニウム合金溶湯をJIS 4号の舟型鋳型に鋳込
み、鋳塊から断面30mm×20mm及び長さ150m
mの試験片を切り出し、400℃×2時間の熱処理を施
した後、据込み率20%及び鍛造温度400℃の条件で
据込み鍛造した。鍛造材に、535℃×3時間→水冷→
170℃×5時間→室温に冷却のT6 処理を施した後、
機械的特性を測定した。その結果、引張り強さσB =3
0.8kgf/mm2 及び伸びδ=17.1%で、目標
値をクリアーする材料であることが判った。
【0031】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の亜共晶
Al−Si系合金は、結晶粒や晶出物の微細化によって
機械的強度を確保している。この亜共晶Al−Si合金
は、鋳造材として優れた特性を呈することは勿論、押出
し材,鍛造材としても使用されるため、広範囲な用途に
適合した材料となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北岡 山治 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内 (72)発明者 滑川 洋児 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内 (72)発明者 高木 潔 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 吉岡 英夫 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 金指 研 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:3.3〜5.5重量%,Mg:
    0.2〜0.7重量%,Ti:0.01〜0.2重量
    %,B:0.0001〜0.01重量%,Fe:0.2
    重量%以下,P:0.005重量%以下及びCa:0.
    005重量%以下を含み、P/Caの重量比が1.0以
    下である機械的特性に優れた亜共晶Al−Si系合金。
  2. 【請求項2】 Si:3.3〜5.5重量%,Mg:
    0.2〜0.7重量%,Ti:0.01〜0.2重量
    %,B:0.0001〜0.01重量%,Fe:0.2
    重量%以下,P:0.005重量%以下及びCa:0.
    005重量%以下を含み、更にMn:0.02〜0.5
    重量%,Cr:0.01〜0.3重量%,Zr:0.0
    1〜0.2重量%及びCu:0.2〜0.5重量%の一
    種又は二種以上を含み、P/Caの重量比が1.0以下
    である機械的特性に優れた亜共晶Al−Si系合金。
  3. 【請求項3】 Si:3.3〜5.5重量%,Mg:
    0.2〜0.7重量%,Ti:0.01〜0.2重量
    %,B:0.0001〜0.01重量%,Fe:0.2
    重量%以下,P:0.005重量%以下及びCa:0.
    005重量%以下を含み、更にCa+Na+2×Sr≧
    3×P+0.3×Sbの条件下でSb:0.03重量%
    以下,Na:0.001〜0.01重量%及びSr:
    0.001〜0.05重量%の一種又は二種以上を含む
    機械的特性に優れた亜共晶Al−Si系合金。
  4. 【請求項4】 Si:3.3〜5.5重量%,Mg:
    0.2〜0.7重量%,Ti:0.01〜0.2重量
    %,B:0.0001〜0.01重量%,Fe:0.2
    重量%以下,P:0.005重量%以下及びCa:0.
    005重量%以下を含み、更にMn:0.02〜0.5
    重量%,Cr:0.01〜0.3重量%,Zr:0.0
    1〜0.2重量%及びCu:0.2〜0.5重量%の一
    種又は二種以上と、Ca+Na+2×Sr≧3×P+
    0.3×Sbの条件下でSb:0.03重量%以下,N
    a:0.001〜0.01重量%及びSr:0.001
    〜0.05重量%の一種又は二種以上を含む機械的特性
    に優れた亜共晶Al−Si系合金。
  5. 【請求項5】 平均長さ30μm以下の共晶Siが分散
    した鋳造組織をもつ請求項1〜4の何れかに記載の亜共
    晶Al−Si合金。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4の何れかに記載の組成をも
    つ溶湯を調製し、冷却速度0.1℃/秒以上で鋳造する
    亜共晶Al−Si合金の鋳造法。
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