JPH07119410B2 - 極小球形の二酸化ケイ素を付着した蛍光体の製造方法 - Google Patents

極小球形の二酸化ケイ素を付着した蛍光体の製造方法

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JPH07119410B2
JPH07119410B2 JP3173289A JP3173289A JPH07119410B2 JP H07119410 B2 JPH07119410 B2 JP H07119410B2 JP 3173289 A JP3173289 A JP 3173289A JP 3173289 A JP3173289 A JP 3173289A JP H07119410 B2 JPH07119410 B2 JP H07119410B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
この発明は、カラー受像管、およびその他の陰極線管の
蛍光面に好適に使用される蛍光体に関する。
【従来の技術並びにその課題】
近年、ブラウン管には、特に鮮明な画像が要求されるよ
うになっている。鮮明な画像は、下記の特性を満足して
実現できる。 解像度を高くするために、最小ストライプ幅を小さ
くすること、 奇麗な色を表現するために、蛍光体のクロスコンタ
ミネーションを少なくすること、 明るい画面とするために、発光輝度を高くするこ
と、 これ等の特性を満足するために、カラー受像管に使用さ
れる蛍光体は、種々の表面処理が施されて、塗布特性を
改善している。 蛍光体の表面に付着させる物質として、ケイ酸塩化合
物、アルミン酸塩化合物、燐酸塩化合物、および、金属
酸化物などが使用されている。 特に、ケイ酸塩化合物は、その処理が容易であることか
ら、汎用されている。ケイ酸塩化合物として、二酸化ケ
イ素が知られている。さらに、二酸化ケイ素には、粒子
の大きさや状態、あるいは、その性質によっていくつか
の種類がある。 比較的粒子の大きい二酸化ケイ素として、粒状シリカが
ある。また、比較的粒子の小さい二酸化ケイ素として、
コロイダルシリカがある。水に溶けた二酸化ケイ素とし
てケイ酸カリウムがある。 平均粒子径が10mμ〜50mμ程度のコロイダルシリカを使
用して、蛍光体の表面に二酸化ケイ素を付着すると、蛍
光体の最小ストライプ幅を小さくできる特長がある。し
たがって、この方法で表面処理された蛍光体は、ドット
ピッチを小さくして、ブラウン管の解像度を向上できる
特長がある。しかしながら、この方法で蛍光体を表面処
理すると、ガラス面カブリ特性が著しく低下する欠点が
ある。コロイダルシリカを使用して、ガラス面カブリ特
性が改善できるなら、理想的な状態で表面処理された蛍
光体が実現できる。 現実には、10〜50mμのコロイダルシリカを使用して表
面処理された蛍光体は、最小ストライプ幅とガラス面カ
ブリとの両特性を同時に満足することができないのが実
状である。 微小粒子のコロイダルシリカを使用した蛍光体が、優れ
たガラス面カブリ特性を示さないのは、蛍光体表面に付
着する二酸化ケイ素の粒子径が小さすぎることが原因と
考えられている。 このため、コロイダルシリカを使用して蛍光体の表面に
二酸化ケイ素を付着させる場合、コロイダルシリカに微
小粒子と大粒の粒子とを混在させて蛍光体の表面に付着
させ、大粒のシリカでもって蛍光体のガラス面カブリ特
性を改善する技術が開発されている(特公昭61−46512
号公報)。 この公報に開示される製法は、蛍光体の表面に付着する
二酸化ケイ素の粒子径を特定して、最小ストライプ幅と
ガラス面カブリとを改善している。すなわち、平均粒子
径が、60〜300mμと極めて広く分布する二酸化ケイ素の
付着量を、70重量%以上に特定している。 特に、ガラス面カブリ特性を向上させるために、最小の
シリカを60mμとしている。 このように、微小粒子から大きな粒子に分布する二酸化
ケイ素を蛍光体の表面に付着させると、最小ストライプ
幅とガラス面カブリとを改善できる。しかしながら、こ
の方法で製造された蛍光体は、微細な粒子と、大粒子の
粒状シリカとを蛍光体の表面に付着させるので、二酸化
ケイ素の付着量が多くなる欠点がある。 多量の二酸化ケイ素は、蛍光体の相対輝度を低下させ
る。それは、蛍光体の表面に付着された二酸化ケイ素
が、蛍光体の発光と電子線とを吸収し、あるいは、散乱
させることが理由である。 50mμ以下の微小粒子を含まず、平均粒子径が数百mμ
である粒状シリカを液体に分散させて、蛍光体の表面に
付着させることも可能である。しかしながら、この方法
で製造された蛍光体は、ガラス面カブリはともかく、最
小ストライプ幅が極めて広くなる欠点がある。 以上のように、微小粒子のシリカを付着した蛍光体は、
ガラス面カブリが悪く、大粒子のシリカを付着した蛍光
体では最小ストライプ幅が大きくなる。すなわち、最小
ストライプ幅とガラス面カブリとは、粒子径の大小をパ
ラメータとして相反する特性であって、両特性を同時に
満足することは極めて難しい。 したがって、最小ストライプ幅と、ガラス面カブリと、
相対輝度との3つの特性を同時に改善することはさらに
難しい技術である。 にもかかわらず、互いに相反するこれ等3特性を同時に
満足する蛍光体が切望されているのが実状である。 微小粒子のコロイダルシリカを使用して、ガラス面カブ
リと相対輝度とが改善できるなら、全ての特性を満足で
きる理想的な蛍光体を得ることができる。
【発明の目的】
この発明は、この難問題を解決することを目的に開発さ
れたもので、この発明の重要な目的は、微小粒子のコロ
イダルシリカを使用するにもかかわらず、最小ストライ
プ幅と、ガラス面カブリと、相対輝度との3特性を同時
に満足する蛍光体の製造方法を提供するにある。
【従来の課題を解決する為の手段】
本発明者等は、互いに相反する特性であるにもかかわら
ず、現在の蛍光体に切望されている極めて大切な特性、
すなわち、 最小ストライプ幅、 ガラス面カブリ、 相対輝度、 特性を同時に改善する蛍光体を開発することを目的に、
膨大な実験を繰り返し、あらゆる方法から徹底して原因
を究明した結果、コロイダルシリカに独得のものを使用
することによって、極めて特異な現象を開発した。すな
わち、極めて粒度分布がシャープである微小粒子のコロ
イダルシリカを使用するにもかかわらず、微小粒子シリ
カの最大の欠点であった、「ガラス面カブリ」を著しく
改善することに成功した。さらに、ガラス面カブリが向
上されるにもかかわらず、この特性に加えて、発光輝度
をも著しく改善され、さらに好都合なことに、最小スト
ライプ幅までも向上させることに成功した。 すなわち、この発明にかかる蛍光体の製造方法は、微小
粒子のコロイダルシリカを使用して、二酸化ケイ素を表
面に付着するものであるが、蛍光体に付着されるコロイ
ダルシリカを独得のものに特定することによって、互い
に相反する全ての特性を向上させることに成功したもの
である。コロイダルシリカには下記のものを使用してい
る。 (a) コロイダルシリカに含まれる二酸化ケイ素に
は、球形のものを使用している。この二酸化ケイ素に
は、最大粒子径をDL、最小粒子径をDSとするとき、全
体粒子の70重量%以上が、 1≧DS/DL≧0.7を満足する。さらに好ましくは、1≧
DS/DL≧0.8を満足する。 (b) コロイダルシリカに含まれる二酸化ケイ素に
は、平均粒子径が10mμ以上で50mμ以下と、微小粒子に
特定している。 (c) コロイダルシリカに含まれる微小粒子の二酸化
ケイ素には、平均粒子径をDavとするとき、Dav±0.4Dav
の粒径の粒子が全体の60重量%以上、好ましくは65重量
%以上、さらに好ましくは70重量%以上に特定して、粒
度分布が極めてシャープなものに特定している。 さらに、この発明で製造される蛍光体は、二酸化ケイ素
の付着量を、蛍光体100重量部に対して、0.01〜3重量
部の範囲に調整すると好ましい特性を示す。 また、表面処理物質を蛍光体粒子の表面に付着させる接
着剤には、例えば、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、
燐酸塩化合物、Mg,Ca,Sr等のアルカリ土類金属化合物、
およびホウ酸塩化合物のうち少なくとも1種が使用でき
る。 亜鉛化合物には、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛等の水
溶性の亜鉛塩を使用する。 アルミニウム化合物には、硝酸アルミニウム、硫酸アル
ミニウム等の水溶性のアルミニウム塩が使用できる。 また、燐酸化合物には、ピロ燐酸ナトリウム等の水溶性
塩を使用する。 ホウ酸化合物には、ホウ酸またはホウ酸ナトリウム等が
使用できる。 この発明の方法で製造された蛍光体は、カラー受像管に
使用して優れた特性を示すものであるから、カラー受像
管は言うにおよばず、モノクローム受像管にも使用でき
るのは言うまでもない。 蛍光体には、銀、銅、金のうち少なくとも一種を付活と
する硫化亜鉛または硫化亜鉛カドミウム蛍光体の他、例
えば、 ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体、マンガ
ン付活燐酸亜鉛蛍光体、マンガン付活ケイ酸亜鉛蛍光体
などの酸化物系の蛍光体、 ユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体、テル
ビウム付活酸硫化イットリウム蛍光体などの酸硫化物系
の蛍光体を使用することができる。 この発明の蛍光体は、下記の工程で製造される。 蛍光体を水に懸濁させる。 蛍光体懸濁液をよく撹拌しながら、コロイダルシリ
カと亜鉛化合物などのカチオン水溶液とを加える。 コロイダルシリカとカチオン水溶液とが添加された
液体を、さらに撹拌しながら、酸またはアルカリ水溶液
を添加して、pHを5〜8に調整する。アルカリ水溶液に
はアンモニア水が、酸性水溶液には酢酸が使用できる。 一定時間静置した後、上澄み液をデカンテーション
により除去し、沈澱物を脱水して、乾燥し、フルイ分け
をする。 本発明の蛍光体の製造方法は、表面処理物質として、球
形の二酸化ケイ素を使用している。 蛍光体に付着される二酸化ケイ素の粒子径の最適値は、
蛍光体の最小ストライプ幅と、ガラス面カブリと、相対
輝度とで決定される。 第2図abcは、二酸化ケイ素の平均粒子径に対する特性
を示している。第2図a、b、cにおいて、曲線Aは、
この発明の方法で製造された蛍光体の特性を示し、曲線
Bは、従来の方法で製造された蛍光体の特性を示す。 第2図aは、球形の二酸化ケイ素の平均粒径に対する最
小ストライプ幅を示すグラフである。 第2図bは、球形二酸化ケイ素の平均粒径に対するガラ
ス面カブリとを示すものである。この第2図bから明ら
かなように、本発明の蛍光体は、その表面処理物質粒径
の平均粒径が小さすぎても大きすぎてもガラス面カブリ
が多くなることが判明した。 さらに第2図cは表面処理物質粒径の平均粒径と輝度の
関係を示す。この図から明らかなように、表面処理物質
の平均粒径が一定の範囲で高い輝度が得られ、蛍光体の
発光が効率的にガラス面を通ることがわかる。 但し、第2図a〜cの測定において、この発明の方法
は、下記の二酸化ケイ素を含むコロイダルシリカを使用
して蛍光体を表面処理した。 コロイダルシリカに含まれる微小粒子の二酸化ケイ
素は、80重量%以上の粒子がDS/DL=0.9として、極め
て球形に近いものを使用した。 さらに、コロイダルシリカの二酸化ケイ素は、Dav
±0.4Davの粒径の粒子が全体の80重量%以上で、極めて
粒度分布がシャープなものを使用した。 従来の方法で製造した蛍光体は、下記のコロイダルシリ
カを使用して蛍光体を表面処理した。 コロイダルシリカに含まれる二酸化ケイ素は、80重
量%以上の粒子がDS/DL=0.6である。 さらに、コロイダルシリカの二酸化ケイ素は、Dav
±0.4Davの粒径の粒子が全体の50重量%のものを使用し
た。 さらに、二酸化ケイ素の付着量は、曲線A、Bとも、蛍
光体100に対して、0.29重量%としている。 第2図a〜cの測定結果から、この発明は、蛍光体に付
着する二酸化ケイ素の平均粒子径を10mμ以上で50mμ以
下の範囲に特定している。 また、この発明の蛍光体の製造方法は、表面に付着させ
る二酸化ケイ素の最小粒子径DSと最大粒子径DLとの比
率を特定している。すなわち、二酸化ケイ素は、全粒子
の80重量%以上の粒子の長径と短径との比率を、1≧D
S/DL≧0.7に特定している。DS/DLが0.7以下の二酸化ケ
イ素は、球形から楕円形ないしは細長い形状となる。 完全に球形の二酸化ケイ素は、蛍光体の表面に付着する
姿勢によって形態が変わることがない。しかしながら、
楕円形ないしは細長い二酸化ケイ素は、長径が蛍光体の
半径方向を向くか、接線方向を向くかで、蛍光体表面に
付着した姿勢が変化する。 さらにまた、この発明の蛍光体の製法は、蛍光体の表面
に付着する二酸化ケイ素の平均粒子径Davを特定してい
る。すなわち、Dav±0.4Dav、言い代えると、平均粒子
径のわずか±40%の範囲に、全体の60重量%以上の粒子
が含まれるように、粒度分布を著しくシャープに特定し
ている。 二酸化ケイ素のDS/DLと、Davとを特定するのは、蛍光
体の表面全体に、実質的に等しい厚さの二酸化ケイ素コ
ーテイング層を設け、しかも、より多くの二酸化ケイ素
がこの厚さのコーテイング層を作るために寄与するよう
にするためである。 本発明者等は、球形またはほぼ球形の二酸化ケイ素およ
びケイ酸塩化合物を表面処理物質として設けた蛍光体に
おいて、蛍光体重量部に対する表面処理物質の含有量を
変化させたときの最小ストライプ幅、ガラス面カブリお
よび輝度について検討を重ねた結果、ある特定の範囲に
おいて最適値があることを確認した。 二酸化ケイ素の付着量は、多すぎると輝度が低下し、反
対に、少なすぎると、表面処理効果が低下する。 最小ストライプ幅とガラス面カブリと輝度は、二酸化ケ
イ素の付着量が、蛍光体100重量部に対して0.2〜3重量
部の近傍で最も優れた特性を示す。二酸化ケイ素の付着
量は、最小ストライプ幅や輝度等の特性を考慮して、通
常0.01重量部〜5重量部の範囲に調整される。 本発明の蛍光体は、蛍光体そのものの輝度は同じであっ
ても、蛍光膜としたガラス面の発光が、従来の表面処理
物質を設けた蛍光体よりも5〜10%も明るくなることが
判明した。
【作用効果】
本発明の蛍光体の製造方法は、コロイダルシリカを使用
して、蛍光体の表面に微小粒子の二酸化ケイ素を付着す
るにもかかわらず、ガラス面カブリを著しく改善してい
る。この特性を実現するために、蛍光体の表面に付着す
る微小粒子の二酸化ケイ素を特定の形態のものに特定し
ている。 すなわち、この発明は、従来から、同時に改善すること
が極めて困難とされていた、最小ストライプ幅、ガラス
面カブリ、相対輝度の3特性を一緒に改善することに成
功している。 この発明の方法で製造された蛍光体が、いかに優れた特
性を示すかは、第2図a、b、cに示されている。 第2図aは、この発明の方法と、従来の方法とで製造さ
れた蛍光体の、平均粒子径に対する最小ストライプ幅を
示している。この図から明かなように、この発明の方法
で製造された蛍光体は、曲線Aで示されるように、従来
の製法で製造された蛍光体の特性を示す曲線Bに比較し
て、最小ストライプ幅が改善されている。 第2図bは、平均粒子径に対するガラス面カブリを示し
ている。本発明の方法で製造された蛍光体は、従来の方
法で得られたものに比較して、この特性が飛躍的に改善
される。微小粒子のコロイダルシリカを使用した蛍光体
の表面処理方法は、この特性が悪いことが最大の原因
で、最小ストライプ幅とガラス面カブリと相対輝度の3
特性を同時に満足出来なかった。ところが、この発明の
方法は、コロイダルシリカを使用するにもかかわらず、
この特性を著しく改善することに成功している。 例えば、従来の方法で製造された蛍光体の10mμにおけ
るガラス面カブリを1.0とすると、この発明の方法で得
られた蛍光体は、二酸化ケイ素の平均粒子径が10mμ以
上で、0.5〜0.2と飛躍的に優れた特性を実現している。 さらに、第2cは、平均粒子径に対する相対輝度を示して
いる。この図は、蛍光体の表面に、それ自体が発光しな
い二酸化ケイ素を付着するにもかかわらず、塗膜とした
蛍光体の相対輝度を、不思議なことに、100%以上に改
善することに成功している。発光しないコーテイング層
によって、蛍光体の相対輝度を改善できるのは、蛍光体
の発光が効率よく外部に照射され、また、蛍光体が効率
よく電子線で刺激されることが理由である。 この発明が、微小粒子のコロイダルシリカを使用するに
もかかわらず、蛍光体の最小ストライプ幅と、ガラス面
カブリと、そして、相対輝度との全ての特性を改善でき
るのは、コロイダルシリカに含まれる微小粒子の二酸化
ケイ素を独得の形態に特定したことが理由である。 このように、この発明の方法で製造された蛍光体が、優
れた特性を示すのは、蛍光体の表面に付着された全ての
二酸化ケイ素が、有効にコーテイング層として作用する
ことが理由である。 従来の方法で製造された蛍光体は、1次粒子が凝集した
100mμ以上の大粒子シリカの間に、微小粒子のシリカが
付着された状態となる。この状態で蛍光体の表面に付着
された二酸化ケイ素は、凝集した大粒の粒状シリカでコ
ーテイング膜の実質的な厚さが決定される。大粒の粒状
シリカの間に分布する微小粒子の二酸化ケイ素は、大粒
の二酸化ケイ素にマスキングされて粒状シリカの間に隠
れた状態となって、蛍光体表面に、一定の厚さのコロイ
ダルシリカ層を形成する作用がない。 このために、凝集粒子である粒状シリカとコーテイング
とを一緒に付着させた蛍光体は、多量の二酸化ケイ素を
付着しないと、ガラス面カブリと最小ストライプ幅とを
改善できない。 第3図a、b、cに、二酸化ケイ素の付着量に対する最
小ストライプ幅と、ガラス面カブリと相対輝度とを示し
ている。これ等の図から明白なように、この発明の方法
で製造された蛍光体は、二酸化ケイ素の付着量が少ない
領域で、最小ストライプ幅とガラス面カブリと相対輝度
とを改善している。 これ等の図において、曲線Aは、この発明の方法で製造
された蛍光体の特性を示し、曲線Bは、従来の方法で製
造された蛍光体の特性を示している。 この測定において、この発明の方法は、下記の二酸化ケ
イ素を含むコロイダルシリカを使用して蛍光体を表面処
理した。 コロイダルシリカに含まれる二酸化ケイ素は、80重
量%以上の粒子がDS/DL=0.9で、極めて球形に近い。 コロイダルシリカに含まれる二酸化ケイ素の平均粒
子径を50mμとした。 さらに、コロイダルシリカの二酸化ケイ素は、Dav
±0.4Davの粒径の粒子が全体の80重量%以上のものを使
用した。 従来の方法で製造した蛍光体は、下記のコロイダルシリ
カを使用して蛍光体を表面処理した。 コロイダルシリカに含まれる二酸化ケイ素の80重量
%以上の粒子が、 DS/DL=0.5である。 シリカ含有量が0.3重量%のコロイダルシリカ(平
均粒子径50mμ)に、0.3重量%の粒状シリカ(平均粒子
径250mμ)を添加し、この液体で、蛍光体の表面に二酸
化ケイ素を付着した。 第3図aは、この発明の方法と、従来の方法とで製造さ
れた蛍光体の、付着量にに対する最小ストライプ幅を示
している。 第3図bは、付着量に対するガラス面カブリを示してい
る。 さらに、第3図cは、付着量に対する相対輝度を示して
いる。 第3図aとbの曲線Aが示すように、この発明の方法で
製造された蛍光体は、従来の方法で製造されたものに比
較して、少量の二酸化ケイ素を付着して、最小ストライ
プ幅とガラス面カブリとを著しく改善できる。 特に、ガラス面カブリを飛躍的に改善できる。従来のコ
ロイダルシリカを使用した蛍光体の表面処理方法は、こ
の特性が悪いことが最大の原因で、最小ストライプ幅と
ガラス面カブリと相対輝度の3特性を同時に満足出来な
かった。ところが、この発明の方法は、コロイダルシリ
カを使用するにもかかわらず、この特性を著しく改善す
ることに成功している。 第3図bにおいて、従来の方法で製造された蛍光体のガ
ラス面カブリを1.0とするとき、この発明の方法で得ら
れた蛍光体は、二酸化ケイ素の付着量を0.1以上とし
て、ガラス面カブリを0.5〜0.20と飛躍的に改善でき
る。 さらに、第3図cは、付着量に対する相対輝度を示して
いる。この図は、蛍光体の表面に、二酸化ケイ素を付着
することによって、相対輝度を約10%も向上させること
を明示している。すなわち、この発明は、それ自体が発
光しない二酸化ケイ素を付着するにもかかわらず、塗膜
とした蛍光体の相対輝度を、不思議なことに、100%以
上に改善することに成功している。 このように、本発明の蛍光体が、従来品に比較して、著
しい効果を発揮するのは、蛍光体が理想に近い状態で蛍
光膜を形成することが理由である。すなわち、この発明
の蛍光体は、特定の二酸化ケイ素を表面処理物質として
使用しているので、全ての表面処理物質が、蛍光体粒子
の表面処理に有効に作用するものである。 従来の方法で製造された蛍光体は、微小粒子が大粒のシ
リカにマスキングされることに加えて、表面には、微小
粒子のシリカと、1次粒子が凝集した250mμの大粒のシ
リカが付着されているので、蛍光体の表面が不均一な厚
さのコーテイング層で覆われた状態となり、蛍光体どう
しが凝集し易くなって分散性が低下することも、特性を
低下させる理由である。 これに対して、この発明の蛍光体は、微小粒子でもって
蛍光体の表面に均一に二酸化ケイ素を付着できるので、
蛍光体の分散性が良くなる。この蛍光体は、分散性が向
上することに加えて、これをガラス面に塗布して蛍光膜
とすると、二酸化ケイ素により蛍光体粒子間に均一な隙
間ができる。 蛍光体間にできる隙間は、蛍光体をガラス面に塗布し、
露光してPVAを硬化させる際に、蛍光体膜の内部への紫
外線の通りを良くする。紫外線が蛍光体膜の内部まで十
分透過して照射されれば、蛍光体のガラス面への接着は
良好になり、その結果、最小ストライプ幅が小さくな
る。 また、二酸化ケイ素による光の散乱が少なくなること
も、蛍光体粒子を強く接着できる理由のひとつである。
球形の二酸化ケイ素は、極微小および偏平粒子の二酸化
ケイ素に比較して、紫外線の散乱が少ない。光の散乱が
少ない二酸化ケイ素は、効率良く紫外線を蛍光体膜の内
部に侵入させる。この状態において、蛍光体粒子は、充
分に硬化した光硬化樹脂で強固に接着される。 ガラス面に電子線を照射する際には、上記2つの理由、
つまり、 蛍光体間に均一な隙間ができること、 散乱が少ないこと、 が相乗して、電子線が蛍光体膜に効率良く侵入する。こ
のことは、電子線が、蛍光膜の照射側の面だけでなく、
照射側の蛍光体の内部に位置するガラス面近くの蛍光体
まで効率よく励起し、発光が効率よく行われる。さらに
このことに加えて、励起された蛍光体からの発光は、蛍
光体層を効率よく透過する。従って、発光する蛍光体が
ガラス面から遠い位置にあっても、効率よくガラス面方
向へ透過する。その結果、輝度が従来より高くなる。 さらにまた、蛍光体層の表面に施されるメタルバックを
均一にできることも、輝度向上に効果がある。それは、
この発明の蛍光体は、均一に分散して分布する塗布膜に
できるので、蛍光膜のうしろ側の面(電子銃側の面)を
より滑らかにできることが、メタルバックを均一にでき
る理由である。 また、ガラス面カブリにも、本発明の二酸化ケイ素の形
状が関与していると考えられる。ブラウン管の製造工程
において、未露光部分の蛍光体を洗い流すときに、一定
の粒子径で球形の二酸化ケイ素が付着した蛍光体は、先
に形成されたストライプやドットやガラス面に付着し難
く、充分に洗い流され易い。これは、二酸化ケイ素があ
たかも、コロのような役目となって働くと考えると、洗
われやすくカブリも少なくなる理由がより理解され易い
であろう。
【好ましい実施例】
以下、この発明の実施例を説明する。 (実施例1) 下記の工程で二酸化ケイ素を表面処理材料として付着し
た蛍光体を製造する。 緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al)1kgに、純水3を加
え、よく撹拌する。 蛍光体懸濁液をよく撹拌しながら、コロイダルシリ
カと10%硫酸亜鉛水溶液とを加える。 コロイダルシリカの添加量を15mlとし、シリカ含有量
を、蛍光体100重量部に対して0.3重量部とする。 このコロイダルシリカには、平均粒子径が50mμの二酸
化ケイ素を含有しているものを使用する。また、コロイ
ダルシリカに含有される二酸化ケイ素の粒度分布を第4
図に示す。このコロイダルシリカは、Dav±0.4Dav、す
なわち、50±20mμとなる30〜70mμの範囲に、87重量%
の粒径が含まれている。 硫酸亜鉛水溶液の添加量を3mlとし、蛍光体100重量部に
対する亜鉛含有量を0.03重量部とする。 コロイダルシリカと硫酸亜鉛水溶液とが添加された
液体をさらに撹拌しながら、アルカリ水溶液を添加し
て、pHを7.8に調整する。アルカリ水溶液には、アンモ
ニア水が使用できる。 一定時間静置した後、上澄み液をデカンテーション
により除去し、沈澱物を脱水して、110℃〜120℃で、8
〜15時間乾燥し、フルイ分けをする。 このようにして得られた蛍光体は、表面に球形の二酸化
ケイ素が付着されていた。この工程で得られた蛍光体の
表面状態を第1図aに示す。 得られた蛍光体は、蛍光体重量部100に対し、0.29重量
部の二酸化ケイ素が付着されていた。また、この蛍光体
を電子顕微鏡で観察したところ、表面に付着されている
二酸化ケイ素は、80重量%以上の粒子のDS/DLが0.9以
上と、極めて球形に近い形状をしていた。 この蛍光体について最小ストライプ幅、ガラス面カブ
リ、輝度を測定したところ、 最小ストライプ幅が140μm、 ガラス面カブリが0.2、 相対輝度が110%となり、 従来品に比べて最小ストライプ幅が40μm細く、ガラス
面カブリは80%減少し、輝度は10%も明るくなった。 (実施例2) 下記の工程で二酸化ケイ素を表面処理材料として付着し
た蛍光体を製造する。 緑色発光蛍光体(ZnS:Au,Cu,Al)1kgに、純水3
を加え、よく撹拌する。 蛍光体懸濁液をよく撹拌しながら、コロイダルシリ
カと、10%硫酸亜鉛水溶液と、2%硝酸アルミニウム水
溶液とを加える。 このコロイダルシリカには、平均粒子径が30mμの二酸
化ケイ素を含有しているものを使用する。また、コロイ
ダルシリカに含有される二酸化ケイ素の粒度分布を第5
図に示す。このコロイダルシリカは、Dav±0.4Dav、す
なわち、30±12mμとなる18〜42mμの範囲に、78重量%
以上の粒径が含まれている。 コロイダルシリカの添加量は40mlとし、シリカの含有量
を、蛍光体100重量部に対して0.8重量部とする。 硫酸亜鉛水溶液の添加量を2mlとし、蛍光体100重量部に
対する亜鉛含有量を0.02重量部とする。 硝酸アルミニウム水溶液の添加量を5mlとし、蛍光体100
重量部に対するアルミニウム含有量を0.01重量%とす
る。 コロイダルシリカと硫酸亜鉛水溶液とが添加された
液体をさらに撹拌しながら、アルカリ水溶液を添加し
て、pHを7.5に調整する。アルカリ水溶液には、アンモ
ニア水が使用できる。 一定時間静置したのち、上澄み液をデカンテーショ
ンにより除去し、沈澱物を脱水して、110℃〜120℃で、
8〜15時間乾燥し、フルイ分けをする。 このようにして得られた蛍光体は、表面に二酸化ケイ素
が付着されていた。この工程で得られた蛍光体の表面状
態を第1図bに示す。 得られた蛍光体は、蛍光体重量部100に対し、0.78重量
部の球形二酸化ケイ素が付着されていた。また、この蛍
光体を電子顕微鏡で観察したところ、表面に付着されて
いる二酸化ケイ素は、80重量%以上の粒子のDS/DLが0.
9以上と、極めて球形に近い形状をしていた。 この蛍光体について最小ストライプ幅、ガラス面カブ
リ、輝度を測定したところ、 最小ストライプ幅が160μm、 ガラス面カブリが0.4、 相対輝度が107%となり、 従来品に比べて最小ストライプ幅が15μm細く、ガラス
面カブリは60%減少し、輝度は7%明るくなった。 (実施例3) 下記の工程で二酸化ケイ素を表面処理材料として付着し
た蛍光体を製造する。 緑色発光蛍光体(ZnS:Ag,Cl)1kgに、純水3を加
え、よく撹拌する。 蛍光体懸濁液をよく撹拌しながら、コロイダルシリ
カと、10%硫酸亜鉛水溶液とを加える。 コロイダルシリカの添加量は15mlとし、シリカの含有量
を、蛍光体100重量部に対して0.3重量部とする。 硫酸亜鉛水溶液の添加量は、3mlとし、蛍光体100重量部
に対する亜鉛含有量を0.03重量部とする。 このコロイダルシリカには、平均粒子径が40mμの二酸
化ケイ素を含有しているものを使用する。また、コロイ
ダルシリカに含有される二酸化ケイ素の粒度分布を第6
図に示す。このコロイダルシリカは、Dav±0.4Dav、す
なわち、40±16mμとなる24〜56mμの範囲に、約75.7重
量%以上の粒径が含まれている。 コロイダルシリカと硫酸亜鉛水溶液とが添加された
液体をさらに撹拌しながら、アルカリ水溶液を添加し
て、pHを7.8に調整する。アルカリ水溶液には、アンモ
ニア水が使用できる。 静置したのち、上澄み液をデカンテーションにより
除去し、沈澱物を脱水して、110℃〜120℃で、8〜15時
間乾燥して、フルイ分けをする。 このようにして得られた蛍光体は、表面に二酸化ケイ素
が付着されていた。 得られた蛍光体は、蛍光体重量部100に対し、0.30重量
部の球形二酸化ケイ素が付着されていた。表面に付着さ
れている二酸化ケイ素は、80重量%以上の粒子のDS/DL
が0.9以上と、極めて球形に近い形状をしていた。 この蛍光体について最小ストライプ幅、ガラス面カブ
リ、輝度を測定したところ、 最小ストライプ幅が145μm、 ガラス面カブリが0.25、 相対輝度が109%となり、 従来品に比べて最小ストライプ幅が35μm細く、ガラス
面カブリは75%減少し、輝度は9%明るくなった。 (実施例4) 下記の工程で二酸化ケイ素を表面処理材料として付着し
た蛍光体を製造する。 赤色発光蛍光体(Y2O2S:Eu)1kgに、純水3を加
え、よく撹拌しする。 蛍光体懸濁液をよく撹拌しながら、コロイダルシリ
カと、10%硫酸亜鉛水溶液と、2%硝酸アルミニウム水
溶液とを加える。 コロイダルシリカの添加量は10mlとし、シリカの含有量
を、蛍光体100重量部に対して0.2重量部とする。 このコロイダルシリカには、平均粒子径が50mμの二酸
化ケイ素を含有しているものを使用する。また、コロイ
ダルシリカに含有される二酸化ケイ素の粒度分布を第7
図に示す。このコロイダルシリカは、Dav±0.4Dav、す
なわち、50±20mμとなる30〜70mμの範囲に、80.2重量
%の粒径が含まれている。 硫酸亜鉛水溶液の添加量を2mlとし、蛍光体100重量部に
対する亜鉛含有量を0.02重量部とする。 硝酸アルニミニウム水溶液の添加量を5mlとし、蛍光体1
00重量部に対するアルミニウム含有量を0.01重量%とす
る。 コロイダルシリカと硫酸亜鉛水溶液とが添加された
液体をさらに撹拌しながら、アルカリ水溶液を添加し
て、pHを7.8に調整する。アルカリ水溶液には、アンモ
ニア水が使用できる。 静置したのち、上澄み液をデカンテーションにより
除去し、沈澱物を脱水して、110℃〜120℃で、8〜15時
間乾燥し、フルイ分けをする。 このようにして得られた蛍光体は、表面に二酸化ケイ素
が付着されていた。表面に付着されている二酸化ケイ素
は、80重量%以上の粒子のDS/DLが0.9以上と、極めて
球形に近い形状をしていた。 得られた蛍光体は、蛍光体重量部100に対し、0.19重量
部の球形二酸化ケイ素が付着されていた。 この蛍光体について最小ストライプ幅、ガラス面カブ
リ、輝度を測定したところ、 最小ストライプ幅が150μm、 ガラス面カブリが0.3、 相対輝度が108%となり、 従来品に比べて最小ストライプ幅が30μm細く、ガラス
面カブリは70%減少し、輝度は8%明るくなった。
【図面の簡単な説明】
第1図aおよび第1図bは実施例1および実施例2で得
られた蛍光体の粒子構造を示す5000倍電子顕微鏡写真、 第2図a〜cは、二酸化ケイ素の粒子径に対する蛍光体
の最小ストライプ幅、ガラス面カブリ、相対輝度を示す
グラフ、 第3図a〜cは二酸化ケイ素の付着量に対する蛍光体の
最小ストライプ幅、ガラス面カブリ、相対輝度を示すグ
ラフ、 第4図ないし第7図はコロイダルシリカの粒度分布を示
すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コロイダルシリカを使用して、これを接着
    剤で蛍光体の表面に付着させ表面に二酸化ケイ素が付着
    された蛍光体の製造方法において、蛍光体の表面に付着
    する二酸化ケイ素に、下記の条件を満足するものを使用
    することを特徴とする蛍光体の製造方法。 (a) 微小粒子のコロイダルシリカを使用して蛍光体
    の表面に付着される二酸化ケイ素は球形で、球形の二酸
    化ケイ素は、最大粒子径をDL、最小粒子径をDSとする
    とき、全体粒子の70重量%以上が、 1≧DS/DL≧0.7を満足している。 (b) コロイダルシリカに含まれる微小粒子の二酸化
    ケイ素に、平均粒子径が10mμ以上で50mμ以下のものを
    使用する。 (c) コロイダルシリカに含まれる微小粒子の二酸化
    ケイ素に、平均粒子径をDavとするとき、Dav±0.4Davの
    粒径の粒子が全体の60重量%以上であるものを使用す
    る。
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