JPH07122229A - 質量分析装置 - Google Patents
質量分析装置Info
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- JPH07122229A JPH07122229A JP5266483A JP26648393A JPH07122229A JP H07122229 A JPH07122229 A JP H07122229A JP 5266483 A JP5266483 A JP 5266483A JP 26648393 A JP26648393 A JP 26648393A JP H07122229 A JPH07122229 A JP H07122229A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】質量分析により検出されるイオンの生成源とし
て複数の成分が存在する場合でも、その中の特定成分を
正確に測定することができる質量分析装置を提供する。 【構成】2枚の電子ビーム遮蔽板34,36により熱電
子の一部が通過する隙間38を形成し、この隙間の間隔
を自在に制御する。また、可変電源45a,45bによ
ってフィラメント32と電子ビーム遮蔽板34,36と
の間の電位差を制御する。これにより、試料ガスをイオ
ン化する電子ビームのエネルギ及びエネルギー分布幅を
変更する。
て複数の成分が存在する場合でも、その中の特定成分を
正確に測定することができる質量分析装置を提供する。 【構成】2枚の電子ビーム遮蔽板34,36により熱電
子の一部が通過する隙間38を形成し、この隙間の間隔
を自在に制御する。また、可変電源45a,45bによ
ってフィラメント32と電子ビーム遮蔽板34,36と
の間の電位差を制御する。これにより、試料ガスをイオ
ン化する電子ビームのエネルギ及びエネルギー分布幅を
変更する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料ガスの原子や分子
の質量を分析して試料ガスの成分を検出する質量分析装
置に関する。
の質量を分析して試料ガスの成分を検出する質量分析装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】質量分析装置は、一般に、試料ガスの原
子や分子をイオン化して一定方向に加速するイオン源
部、生成したイオンを質量に応じて分離(質量分離)す
る分離部、及び質量分離されたイオンを検出する検出部
を備えて構成されている。この質量分析装置において、
原子や分子をイオン化するためのイオン源(イオン化手
段)としては、多種多様のものが開発されているが、通
常いわゆる電子衝撃型イオン源が最もよく用いられてい
る。電子衝撃型イオン源では、熱電子放出用のフィラメ
ントから放出された熱電子が加速され、イオン化室に導
入されてきた試料ガスにこの熱電子を衝突させることに
より試料ガスの原子や分子のイオン化が行なわれてい
る。
子や分子をイオン化して一定方向に加速するイオン源
部、生成したイオンを質量に応じて分離(質量分離)す
る分離部、及び質量分離されたイオンを検出する検出部
を備えて構成されている。この質量分析装置において、
原子や分子をイオン化するためのイオン源(イオン化手
段)としては、多種多様のものが開発されているが、通
常いわゆる電子衝撃型イオン源が最もよく用いられてい
る。電子衝撃型イオン源では、熱電子放出用のフィラメ
ントから放出された熱電子が加速され、イオン化室に導
入されてきた試料ガスにこの熱電子を衝突させることに
より試料ガスの原子や分子のイオン化が行なわれてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、フィラメント
から放出される熱電子により、例えばXで表される原子
ラジカルと、XYで表される分子または分子ラジカルと
をイオン化する場合を考えると、いづれもX+ というイ
オンが生成される。通常、XとXYのイオン化エネルギ
ーの間には数eVの差がある。ところが、フィラメント
から放出される電子ビームは、フィラメント自身の電圧
降下に起因するエネルギー分布を有しており、このエネ
ルギー分布の幅は、一般にイオン化エネルギーの差より
も大きい。
から放出される熱電子により、例えばXで表される原子
ラジカルと、XYで表される分子または分子ラジカルと
をイオン化する場合を考えると、いづれもX+ というイ
オンが生成される。通常、XとXYのイオン化エネルギ
ーの間には数eVの差がある。ところが、フィラメント
から放出される電子ビームは、フィラメント自身の電圧
降下に起因するエネルギー分布を有しており、このエネ
ルギー分布の幅は、一般にイオン化エネルギーの差より
も大きい。
【0004】従って、前述した電子衝撃型イオン源を有
する質量分析装置を用いて試料ガスを分析してX+ とい
うイオンを検出した場合、そのイオンがXで表される原
子ラジカルのイオン化に由来するものか、XYで表され
る分子または分子ラジカルの解離イオン化に起因するも
のかを区別することは困難である。このため、例えば原
子ラジカルX(特定成分)を正確に検出することができ
ないという問題がある。
する質量分析装置を用いて試料ガスを分析してX+ とい
うイオンを検出した場合、そのイオンがXで表される原
子ラジカルのイオン化に由来するものか、XYで表され
る分子または分子ラジカルの解離イオン化に起因するも
のかを区別することは困難である。このため、例えば原
子ラジカルX(特定成分)を正確に検出することができ
ないという問題がある。
【0005】また、電子衝撃型イオン源の電子ビーム源
として用いられている熱電子放出用フィラメントの近傍
は非常に高温になることが知られている。この高温のた
め、例えばCl2 ガスのような解離に要するエネルギー
が小さいガスは、フィラメント近傍で容易に熱解離して
Clラジカルを生成することになる。従って、フィラメ
ント近傍で熱解離により生成したラジカルと、放電等に
より解離して生成した試料ガス中に存在する検出対象の
ラジカルとを分離して検出することは困難であるという
問題がある。
として用いられている熱電子放出用フィラメントの近傍
は非常に高温になることが知られている。この高温のた
め、例えばCl2 ガスのような解離に要するエネルギー
が小さいガスは、フィラメント近傍で容易に熱解離して
Clラジカルを生成することになる。従って、フィラメ
ント近傍で熱解離により生成したラジカルと、放電等に
より解離して生成した試料ガス中に存在する検出対象の
ラジカルとを分離して検出することは困難であるという
問題がある。
【0006】なお、これらの問題を解決するために特公
昭62−57069号公報には、加速電子ではなく、一
定のエネルギー、即ち一定波長の光を利用してイオン化
する方法を採用した質量分析装置が開示されている。と
ころが、この装置では、光源として用いることのできる
波長が限られているため、イオン化できる分子あるいは
ラジカルが限定されるという問題がある。
昭62−57069号公報には、加速電子ではなく、一
定のエネルギー、即ち一定波長の光を利用してイオン化
する方法を採用した質量分析装置が開示されている。と
ころが、この装置では、光源として用いることのできる
波長が限られているため、イオン化できる分子あるいは
ラジカルが限定されるという問題がある。
【0007】本発明は、上記事情に鑑み、試料ガスの種
々の成分を従来よりも正確に検出できる質量分析装置を
提供することを目的とする。
々の成分を従来よりも正確に検出できる質量分析装置を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第1の質量分析装置は、熱電子を放出する電
子ビーム源と、該電子ビーム源から放出された熱電子が
導入されると共に分析対象となる試料ガスが導入される
イオン化室とを備えた質量分析装置において、 (1)前記電子ビーム源及び前記イオン化室の間に設け
られた、互いの間隔を自在に制御して熱電子が通過する
隙間を形成する2枚の電子ビーム遮蔽板 (2)前記電子ビーム源及び前記電子ビーム遮蔽板の間
の電位差を制御する電位差制御手段 を備えたことを特徴とするものである。
の本発明の第1の質量分析装置は、熱電子を放出する電
子ビーム源と、該電子ビーム源から放出された熱電子が
導入されると共に分析対象となる試料ガスが導入される
イオン化室とを備えた質量分析装置において、 (1)前記電子ビーム源及び前記イオン化室の間に設け
られた、互いの間隔を自在に制御して熱電子が通過する
隙間を形成する2枚の電子ビーム遮蔽板 (2)前記電子ビーム源及び前記電子ビーム遮蔽板の間
の電位差を制御する電位差制御手段 を備えたことを特徴とするものである。
【0009】ここで、電子ビーム遮蔽板の熱電子放出方
向前方に、隙間を通過した電子ビームのエネルギを計測
するエネルギ計測手段を備えることが好ましい。また、
上記目的を達成するための本発明の第2の質量分析装置
は、熱電子を放出する電子ビーム源と、該電子ビーム源
から放出された熱電子が導入されると共に分析対象とな
る試料ガスが導入されるイオン化室とを備えた質量分析
装置において、前記電子ビーム源から放出された熱電子
が通過する開口を有する、前記電子ビーム源を密封して
収容した容器を備えたことを特徴とするものである。
向前方に、隙間を通過した電子ビームのエネルギを計測
するエネルギ計測手段を備えることが好ましい。また、
上記目的を達成するための本発明の第2の質量分析装置
は、熱電子を放出する電子ビーム源と、該電子ビーム源
から放出された熱電子が導入されると共に分析対象とな
る試料ガスが導入されるイオン化室とを備えた質量分析
装置において、前記電子ビーム源から放出された熱電子
が通過する開口を有する、前記電子ビーム源を密封して
収容した容器を備えたことを特徴とするものである。
【0010】ここで、上記容器にガスを供給するガス供
給手段、または上記容器内を排気する排気手段を備える
ことが好ましい。
給手段、または上記容器内を排気する排気手段を備える
ことが好ましい。
【0011】
【作用】図1を参照して本発明の質量分析装置を用いて
試料ガスを分析する原理を説明する。図1は、電子ビー
ムエネルギに対する電子ビームのフラックス及び電子衝
突電離断面積の関係を示すグラフであり、横軸は電子ビ
ームエネルギを表し、縦軸は電子衝突電離断面積及び電
子ビームのフラックスを表す。
試料ガスを分析する原理を説明する。図1は、電子ビー
ムエネルギに対する電子ビームのフラックス及び電子衝
突電離断面積の関係を示すグラフであり、横軸は電子ビ
ームエネルギを表し、縦軸は電子衝突電離断面積及び電
子ビームのフラックスを表す。
【0012】電子衝突によるイオン化を原子ラジカルX
と分子又は分子ラジカル(以下、分子等という)XYと
について検討する。反応式(1)に示した原子ラジカル
Xをイオン化してイオンX+ を生成するためのイオン化
反応のエネルギ閾値をElとし、反応式(2)に示した
分子等XYをイオン化してイオンX+ を生成させるため
のイオン化反応エネルギ閾値をE2とすると、通常、E
l<E2の関係にある。図1の曲線(I)と曲線(I
I)はこの関係を示したものである。
と分子又は分子ラジカル(以下、分子等という)XYと
について検討する。反応式(1)に示した原子ラジカル
Xをイオン化してイオンX+ を生成するためのイオン化
反応のエネルギ閾値をElとし、反応式(2)に示した
分子等XYをイオン化してイオンX+ を生成させるため
のイオン化反応エネルギ閾値をE2とすると、通常、E
l<E2の関係にある。図1の曲線(I)と曲線(I
I)はこの関係を示したものである。
【0013】 X+e- →X+ +2e- …(1) XY+e- →X+ +Y+2e- …(2) イオン化のために用いられる電子ビームのエネルギをE
eとし、この電子ビームのエネルギ分布を曲線(II
I)としてその分布状態を概念的に示す。図1に示され
るように、El<Ee<E2の関係を精密に設定できれ
ば、(1)式の反応のみを起こさせてイオンX+ を生成
でき、これにより、目的とする原子ラジカルXだけを選
択的に検出し測定できる。
eとし、この電子ビームのエネルギ分布を曲線(II
I)としてその分布状態を概念的に示す。図1に示され
るように、El<Ee<E2の関係を精密に設定できれ
ば、(1)式の反応のみを起こさせてイオンX+ を生成
でき、これにより、目的とする原子ラジカルXだけを選
択的に検出し測定できる。
【0014】上記原理を考慮して本発明はなされたもの
であり、本発明の第1の質量分析装置には、熱電子が通
過する隙間が2枚の電子ビーム遮蔽板により形成されて
おり、この隙間の間隔は自在に制御できる。このため、
生成する電子ビームのフラックスが制御され、これによ
り電子ビームのエネルギ分布幅を精密に制御できる。さ
らに、電位差制御手段により電子ビーム源と電子ビーム
遮蔽板との間の電位差を制御できるため、電子ビームの
エネルギ(図1の曲線(III)のピークに対応する
値)をこの電位差に基づいて制御し設定することができ
る。
であり、本発明の第1の質量分析装置には、熱電子が通
過する隙間が2枚の電子ビーム遮蔽板により形成されて
おり、この隙間の間隔は自在に制御できる。このため、
生成する電子ビームのフラックスが制御され、これによ
り電子ビームのエネルギ分布幅を精密に制御できる。さ
らに、電位差制御手段により電子ビーム源と電子ビーム
遮蔽板との間の電位差を制御できるため、電子ビームの
エネルギ(図1の曲線(III)のピークに対応する
値)をこの電位差に基づいて制御し設定することができ
る。
【0015】従って、試料ガスをイオン化する電子ビー
ムのエネルギ及びエネルギ分布幅を変更でき、例えば、
電子ビームエネルギを、図1の曲線(III)の分布と
なるように制御することにより、(1)式の反応だけで
イオン化を起こさせることができる。この結果、イオン
X+ の共通の生成源X及びXYが存在しても、いずれか
一方の生成源である原子ラジカルXだけを検出できる。
ムのエネルギ及びエネルギ分布幅を変更でき、例えば、
電子ビームエネルギを、図1の曲線(III)の分布と
なるように制御することにより、(1)式の反応だけで
イオン化を起こさせることができる。この結果、イオン
X+ の共通の生成源X及びXYが存在しても、いずれか
一方の生成源である原子ラジカルXだけを検出できる。
【0016】ここで、エネルギ計測手段を備えた場合
は、隙間を通過した電子ビームのエネルギを計測でき、
この計測結果に応じて隙間の間隔及び電子ビーム源と電
子ビーム遮蔽板との間の電位差を制御できる。このた
め、隙間の間隔及び電子ビーム源と電子ビーム遮蔽板と
の間の電位差を制御して所望のエネルギの電子ビームを
イオン化室に導入できる。
は、隙間を通過した電子ビームのエネルギを計測でき、
この計測結果に応じて隙間の間隔及び電子ビーム源と電
子ビーム遮蔽板との間の電位差を制御できる。このた
め、隙間の間隔及び電子ビーム源と電子ビーム遮蔽板と
の間の電位差を制御して所望のエネルギの電子ビームを
イオン化室に導入できる。
【0017】また、本発明の第2の質量分析装置の電子
ビーム源は容器に密封して収容されているため、電子ビ
ーム源の近傍への試料ガスの侵入をほぼ防止できる。こ
の結果、試料ガス中に熱解離を起こし易い成分が含まれ
ていても、この成分は電子ビーム源の近傍へほとんど侵
入できないこととなるため、この成分の熱解離は防止さ
れ、試料ガスの成分を従来よりも正確に検出できる。
ビーム源は容器に密封して収容されているため、電子ビ
ーム源の近傍への試料ガスの侵入をほぼ防止できる。こ
の結果、試料ガス中に熱解離を起こし易い成分が含まれ
ていても、この成分は電子ビーム源の近傍へほとんど侵
入できないこととなるため、この成分の熱解離は防止さ
れ、試料ガスの成分を従来よりも正確に検出できる。
【0018】ここで、容器にガス供給手段を接続した場
合は、ガス供給手段から容器にガスを供給してイオン化
室と電子ビーム源との間に圧力差をつけることができ
る。これにより、電子ビーム源の近傍への試料ガスの侵
入を一層確実に防止できる。この結果、試料ガス中に熱
解離を起こし易い成分が含まれていても、この成分は電
子ビーム源の近傍へ侵入できないこととなるため、この
成分の熱解離は防止され、試料ガスの成分を従来よりも
正確に検出できる。
合は、ガス供給手段から容器にガスを供給してイオン化
室と電子ビーム源との間に圧力差をつけることができ
る。これにより、電子ビーム源の近傍への試料ガスの侵
入を一層確実に防止できる。この結果、試料ガス中に熱
解離を起こし易い成分が含まれていても、この成分は電
子ビーム源の近傍へ侵入できないこととなるため、この
成分の熱解離は防止され、試料ガスの成分を従来よりも
正確に検出できる。
【0019】また、容器に排気手段を接続した場合は、
電子ビーム源の近傍に試料ガスが侵入しても、この試料
ガスは排気されて再度イオン化室に戻らないため、試料
ガスの成分を従来よりも正確に検出できる。
電子ビーム源の近傍に試料ガスが侵入しても、この試料
ガスは排気されて再度イオン化室に戻らないため、試料
ガスの成分を従来よりも正確に検出できる。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図2は質量分析装置とプラズマチャンバとを示す
概略構成図、図3はプラズマチャンバから試料ガスをサ
ンプリングする際の試料ガスの導入経路とその電位分布
を示す説明図、図4はイオン源部の要部を拡大して示す
概略構成図である。
する。図2は質量分析装置とプラズマチャンバとを示す
概略構成図、図3はプラズマチャンバから試料ガスをサ
ンプリングする際の試料ガスの導入経路とその電位分布
を示す説明図、図4はイオン源部の要部を拡大して示す
概略構成図である。
【0021】質量分析装置10は四重極質量分析装置で
あり、試料ガスをイオン化するためのイオン化室12
と、イオン化室12で生成されたイオンを質量に基づい
て分離するための四重極電極14と、円錐形のサンプリ
ング管16とを備えている。質量分析装置10はプラズ
マチャンバ18に接続されており、プラズマチャンバ1
8で発生したプラズマガスの一部をサンプリング管16
を介してイオン化室12へ取り込むように構成されてい
る。プラズマチャンバ18内には、平行平板電極20
A、20Bが設けられており、両電極間に高周波(R
F)電圧が印加されるように構成されている。
あり、試料ガスをイオン化するためのイオン化室12
と、イオン化室12で生成されたイオンを質量に基づい
て分離するための四重極電極14と、円錐形のサンプリ
ング管16とを備えている。質量分析装置10はプラズ
マチャンバ18に接続されており、プラズマチャンバ1
8で発生したプラズマガスの一部をサンプリング管16
を介してイオン化室12へ取り込むように構成されてい
る。プラズマチャンバ18内には、平行平板電極20
A、20Bが設けられており、両電極間に高周波(R
F)電圧が印加されるように構成されている。
【0022】プラズマチャンバ18内に挿入されたサン
プリング管16の先端には直径0.15mmの微細孔
(図示せず)が形成されており、この微細孔を通して、
差動排気による差圧でプラズマガスの一部を質量分析装
置10内にサンプリングできるように構成されている。
サンプリングする際、サンプリング管16からイオン化
室12までのガスの経路は、図3に示すような電位分布
となっている。このため、電子、負イオン、正イオン等
の荷電粒子はイオン化室12に導入されない。イオン化
室12に導入された中性粒子は、電子ビームを照射さ
れ、電子衝突によりイオン化される。このようにしてイ
オン化室12で生成されたイオンは、イオン化室12か
ら引き出され、四重極電極14で質量分離されると同時
に、検出対象のイオンだけが四重極電極14を通過し、
二次電子倍増管22に入射し、信号が増幅されて検出さ
れるようになっている。
プリング管16の先端には直径0.15mmの微細孔
(図示せず)が形成されており、この微細孔を通して、
差動排気による差圧でプラズマガスの一部を質量分析装
置10内にサンプリングできるように構成されている。
サンプリングする際、サンプリング管16からイオン化
室12までのガスの経路は、図3に示すような電位分布
となっている。このため、電子、負イオン、正イオン等
の荷電粒子はイオン化室12に導入されない。イオン化
室12に導入された中性粒子は、電子ビームを照射さ
れ、電子衝突によりイオン化される。このようにしてイ
オン化室12で生成されたイオンは、イオン化室12か
ら引き出され、四重極電極14で質量分離されると同時
に、検出対象のイオンだけが四重極電極14を通過し、
二次電子倍増管22に入射し、信号が増幅されて検出さ
れるようになっている。
【0023】質量分析装置10には、熱電子を放出し電
子ビーム32aを形成するフィラメント32と、フィラ
メント32から放出される熱電子の加速方向(電子放出
方向)に対して直交する一平面上に配置された2枚の電
子ビーム遮蔽板34,36が設けられている。電子ビー
ム遮蔽板34,36同士は互いに離れており隙間38が
形成されている。フィラメント32から放出された熱電
子はこの隙間38を通過することにより、エネルギが狭
い範囲に絞り込まれ、電子ビーム32bが形成される。
電子ビーム遮蔽板34,36は、厚さ0.5mmのタン
タル(Ta)からなる薄板で作成されている。材料とし
てタンタルを用いたのは、分析ガスとの反応性が低いた
めである。電子ビーム遮蔽板36はイオン化室12の壁
(図示せず)に固定されている。一方、電子ビーム遮蔽
板34は、ピエゾ素子を層状に連ねたピエゾスタック4
0に連接棒41を介して接続されている。連接棒41の
端部それぞれには、ピエゾスタック40に接続された棒
40a、及び電子ビーム遮蔽板34に接続された棒34
aが取り付けられている。また、この連接棒41は、軸
41aを中心にして回転するように構成されている。従
って、ピエゾスタック40に印加する電位を変えること
により連接棒41が回転し、隙間38の幅が精密に制御
される。隙間38の幅は狭いほど電子ビームエネルギの
分解能は向上するが、幅を狭くすると得られる電子ビー
ムのフラックスが低下するため検出感度は低下する。測
定対象になる試料ガスの種類に応じて、必要十分なエネ
ルギ分解が得られる最大幅に隙間38の幅を調整するこ
とにより、検出感度を最大にできる。
子ビーム32aを形成するフィラメント32と、フィラ
メント32から放出される熱電子の加速方向(電子放出
方向)に対して直交する一平面上に配置された2枚の電
子ビーム遮蔽板34,36が設けられている。電子ビー
ム遮蔽板34,36同士は互いに離れており隙間38が
形成されている。フィラメント32から放出された熱電
子はこの隙間38を通過することにより、エネルギが狭
い範囲に絞り込まれ、電子ビーム32bが形成される。
電子ビーム遮蔽板34,36は、厚さ0.5mmのタン
タル(Ta)からなる薄板で作成されている。材料とし
てタンタルを用いたのは、分析ガスとの反応性が低いた
めである。電子ビーム遮蔽板36はイオン化室12の壁
(図示せず)に固定されている。一方、電子ビーム遮蔽
板34は、ピエゾ素子を層状に連ねたピエゾスタック4
0に連接棒41を介して接続されている。連接棒41の
端部それぞれには、ピエゾスタック40に接続された棒
40a、及び電子ビーム遮蔽板34に接続された棒34
aが取り付けられている。また、この連接棒41は、軸
41aを中心にして回転するように構成されている。従
って、ピエゾスタック40に印加する電位を変えること
により連接棒41が回転し、隙間38の幅が精密に制御
される。隙間38の幅は狭いほど電子ビームエネルギの
分解能は向上するが、幅を狭くすると得られる電子ビー
ムのフラックスが低下するため検出感度は低下する。測
定対象になる試料ガスの種類に応じて、必要十分なエネ
ルギ分解が得られる最大幅に隙間38の幅を調整するこ
とにより、検出感度を最大にできる。
【0024】隙間38の幅の最適化は、電子ビームのエ
ネルギを計測するエネルギ計測装置42を用いて行う。
エネルギ計測装置42は、電子ビーム遮蔽板34,36
と同様に、厚さ0.5mmのタンタルからなる薄板で作
成されており、可変電源44によって電位を変化させる
ことができ、これにより、電子ビーム32bのエネルギ
分布を計測できる。従って、所望のエネルギ分布が得ら
れるように、この計測結果をフィードバックして隙間3
8の幅を設定できる。通常は、隙間38の幅とエネルギ
分布幅とを一対一に対応させることができるが、フィラ
メント32の形状や表面状態等の経時変化に起因して電
子ビームのエネルギ分布にずれが生じることがあるた
め、質量分析測定を行う前に電子ビームエネルギ分布を
実測しておくことが望ましい。また、電子ビームエネル
ギの分解能を向上させるために、フィラメント32の長
手方向に対して直交する方向に隙間38が形成されるよ
うに電子ビーム遮蔽板34,36を配置する方がよい。
ネルギを計測するエネルギ計測装置42を用いて行う。
エネルギ計測装置42は、電子ビーム遮蔽板34,36
と同様に、厚さ0.5mmのタンタルからなる薄板で作
成されており、可変電源44によって電位を変化させる
ことができ、これにより、電子ビーム32bのエネルギ
分布を計測できる。従って、所望のエネルギ分布が得ら
れるように、この計測結果をフィードバックして隙間3
8の幅を設定できる。通常は、隙間38の幅とエネルギ
分布幅とを一対一に対応させることができるが、フィラ
メント32の形状や表面状態等の経時変化に起因して電
子ビームのエネルギ分布にずれが生じることがあるた
め、質量分析測定を行う前に電子ビームエネルギ分布を
実測しておくことが望ましい。また、電子ビームエネル
ギの分解能を向上させるために、フィラメント32の長
手方向に対して直交する方向に隙間38が形成されるよ
うに電子ビーム遮蔽板34,36を配置する方がよい。
【0025】電子ビームのエネルギ(図1の曲線(II
I)のピークに対応する値)は、電子ビーム遮蔽板3
4,36とフィラメント32との間の電位差に応じて制
御される。従って、この電位差を可変電源45a,45
bによって変えることにより電子ビームのエネルギの設
定値を変えることができる。但し、この設定値と実効値
とは厳密には一致しないため、エネルギ計測装置42を
用いて、実効値を確認しておく必要がある。
I)のピークに対応する値)は、電子ビーム遮蔽板3
4,36とフィラメント32との間の電位差に応じて制
御される。従って、この電位差を可変電源45a,45
bによって変えることにより電子ビームのエネルギの設
定値を変えることができる。但し、この設定値と実効値
とは厳密には一致しないため、エネルギ計測装置42を
用いて、実効値を確認しておく必要がある。
【0026】以上のように、本実施例によれば、イオン
化室12に導入されたラジカルや分子のイオン化に用い
る電子ビームのエネルギを、測定対象に応じて必要十分
な分布幅に設定すると共に、そのエネルギ値を広い範囲
に亘って変化・調整することができる。従って、例え
ば、図1の曲線(III)のエネルギ分布の位置に電子
ビームエネルギを設定でき、この場合には原子ラジカル
Xを選択的に測定できる。また、電子ビームのエネルギ
分布幅が図1のE1とE2の間に入るという条件のもと
で、隙間38の幅を最大に設定することにより、検出感
度を最大にできる。
化室12に導入されたラジカルや分子のイオン化に用い
る電子ビームのエネルギを、測定対象に応じて必要十分
な分布幅に設定すると共に、そのエネルギ値を広い範囲
に亘って変化・調整することができる。従って、例え
ば、図1の曲線(III)のエネルギ分布の位置に電子
ビームエネルギを設定でき、この場合には原子ラジカル
Xを選択的に測定できる。また、電子ビームのエネルギ
分布幅が図1のE1とE2の間に入るという条件のもと
で、隙間38の幅を最大に設定することにより、検出感
度を最大にできる。
【0027】次に、プラズマチャンバ18内で生成した
プラズマ中のラジカルの検出を質量分析装置10を用い
て行った例について説明する。プラズマチャンバ18内
にプラズマ原料ガスを所定圧力の下で導入し、平行平板
電極20A、20Bの間にRF放電を起こさせることに
よりプラズマを発生させた。
プラズマ中のラジカルの検出を質量分析装置10を用い
て行った例について説明する。プラズマチャンバ18内
にプラズマ原料ガスを所定圧力の下で導入し、平行平板
電極20A、20Bの間にRF放電を起こさせることに
よりプラズマを発生させた。
【0028】この例では、プラズマ原料ガスとしてテト
ラフルオロメタンCF4 を使用し、プラズマチャンバ1
8内にCF4 ガスを導入し、RF放電させる。このと
き、プラズマ中にはCF3 ラジカルが発生するが、この
CF3 ラジカルを検出するためには、CF3 ラジカルか
ら生じるCF3 + イオンと、親ガスCF4 から生じるC
F3 + イオンを区別する必要がある。
ラフルオロメタンCF4 を使用し、プラズマチャンバ1
8内にCF4 ガスを導入し、RF放電させる。このと
き、プラズマ中にはCF3 ラジカルが発生するが、この
CF3 ラジカルを検出するためには、CF3 ラジカルか
ら生じるCF3 + イオンと、親ガスCF4 から生じるC
F3 + イオンを区別する必要がある。
【0029】電子衝突によりCF3 ラジカルからの電離
及び親ガスCF4 からの電離によりそれぞれイオン(C
F3 + )が生成する場合の反応式と、反応エネルギの閾
値を次の(3)、(4)式に示す。 CF3 +e- →CF3 ++2e- (ラジカルからの電離):10.4eV …(3) CF4 +e- →CF3 ++F+2e- (親ガスからの電離):16.0eV …(4) (3)、(4)式から、CF4 プラズマ中のCF3 ラジ
カルのみを選択的に検出するためには、電子ビームのエ
ネルギEeを、10.4eV<Ee<16.0eV、と
なるように設定すればよいことがわかる。
及び親ガスCF4 からの電離によりそれぞれイオン(C
F3 + )が生成する場合の反応式と、反応エネルギの閾
値を次の(3)、(4)式に示す。 CF3 +e- →CF3 ++2e- (ラジカルからの電離):10.4eV …(3) CF4 +e- →CF3 ++F+2e- (親ガスからの電離):16.0eV …(4) (3)、(4)式から、CF4 プラズマ中のCF3 ラジ
カルのみを選択的に検出するためには、電子ビームのエ
ネルギEeを、10.4eV<Ee<16.0eV、と
なるように設定すればよいことがわかる。
【0030】そこで、CF4 に起因するイオン検出量に
対応する信号と、CF3 に起因するイオン検出量に対応
する信号とが分離される様子を示すために、電子ビーム
のエネルギEeを9.35〜20.35eVまで変化さ
せる測定を、以下のように行った。まず、プラズマチャ
ンバ18(図2参照)にCF4 ガスを導入し、圧力が4
mTorrとなるようにガス流量を調整すると共に、周
波数13.56MHz、電力50W(0.25W/cm
2 )でRF放電を起こしてCF4 プラズマを生成させ
た。
対応する信号と、CF3 に起因するイオン検出量に対応
する信号とが分離される様子を示すために、電子ビーム
のエネルギEeを9.35〜20.35eVまで変化さ
せる測定を、以下のように行った。まず、プラズマチャ
ンバ18(図2参照)にCF4 ガスを導入し、圧力が4
mTorrとなるようにガス流量を調整すると共に、周
波数13.56MHz、電力50W(0.25W/cm
2 )でRF放電を起こしてCF4 プラズマを生成させ
た。
【0031】生成したプラズマガスの一部を差動排気に
よって質量分析装置10に導入し、CF3 + (m/e=
69)の検出を行った。測定に際しては、プラズマガス
中のイオン及び電子を除去するために、図3に示すよう
にイオン化室12には正のバイアス(150V)を印加
し、サンプリング管16には負のバイアス(−30V)
を印加した。
よって質量分析装置10に導入し、CF3 + (m/e=
69)の検出を行った。測定に際しては、プラズマガス
中のイオン及び電子を除去するために、図3に示すよう
にイオン化室12には正のバイアス(150V)を印加
し、サンプリング管16には負のバイアス(−30V)
を印加した。
【0032】以上の条件の下でCF3 + を測定した結果
を、図5に〇印で示す。また、比較のために、放電させ
ない点以外は同一条件の下でCF3 + を検出した結果
を、同じく図5に△印で示す。図5のグラフの横軸は電
子ビームのエネルギを示し、縦軸は質量分析装置の出力
値を示す。この出力値は、具体的には一定時間内に一定
閾値(ここでは1V)以上のパルスがいくつ検出された
かを表している。
を、図5に〇印で示す。また、比較のために、放電させ
ない点以外は同一条件の下でCF3 + を検出した結果
を、同じく図5に△印で示す。図5のグラフの横軸は電
子ビームのエネルギを示し、縦軸は質量分析装置の出力
値を示す。この出力値は、具体的には一定時間内に一定
閾値(ここでは1V)以上のパルスがいくつ検出された
かを表している。
【0033】図5から、放電させない場合にはCF3 ラ
ジカルは存在しないため、親ガスであるCF4 からの電
離による信号だけが検出されることがわかる。一方、放
電させた場合には、CF3 ラジカルが存在するため、こ
のCF3 ラジカルからの電離による信号も同時に検出さ
れることがわかる。また、図5には、電子ビームのエネ
ルギEeが10.4eV<Ee<16.0eVの範囲の
とき、CF3 ラジカルからの電離に起因する信号が検出
されている様子が明確に示されている。
ジカルは存在しないため、親ガスであるCF4 からの電
離による信号だけが検出されることがわかる。一方、放
電させた場合には、CF3 ラジカルが存在するため、こ
のCF3 ラジカルからの電離による信号も同時に検出さ
れることがわかる。また、図5には、電子ビームのエネ
ルギEeが10.4eV<Ee<16.0eVの範囲の
とき、CF3 ラジカルからの電離に起因する信号が検出
されている様子が明確に示されている。
【0034】図6は図5に示したCF3 ラジカルのデー
タを整理したものである。 CF3 +e- →CF3 + +2e- (ラジカルからの電
離) のデータは、電子ビームのエネルギEeが、Ee<1
6.0eVにおける放電オン、放電オフの信号の差をと
ったものであり、 CF4 +e- →CF3 ++F+2e- (親ガスからの電
離) のデータは、放電オフの場合の信号のデータである。
タを整理したものである。 CF3 +e- →CF3 + +2e- (ラジカルからの電
離) のデータは、電子ビームのエネルギEeが、Ee<1
6.0eVにおける放電オン、放電オフの信号の差をと
ったものであり、 CF4 +e- →CF3 ++F+2e- (親ガスからの電
離) のデータは、放電オフの場合の信号のデータである。
【0035】図6から、ラジカルからの直接電離と親ガ
スからの電離それぞれの閾値エネルギの差を利用し、プ
ラズマ中のラジカルに起因する信号だけを選択的に検出
できることがわかる。ラジカルに起因する信号だけを選
択的に検出する場合の電子ビームエネルギの設定は以下
のように行う。プラズマチャンバ18内及び質量分析装
置10内を真空排気し、質量分析装置内の圧力を10-6
Torr以下にし、CF4 ガスを導入せずに、電子ビー
ムのエネルギを14eV、隙間38の幅を約0.5mm
に設定して電子ビームを発生させた。ここで可変電源4
4(図4参照)の電位Vを0Vから−20Vまで変化さ
せつつ、抵抗46に流れた電流Iを測定したところ、図
7(a)に示すような特性曲線が得られた。この特性曲
線を電位Vで微分することにより、図7(b)に示すよ
うな電子ビームのエネルギ分布曲線が得られた。このエ
ネルギ分布曲線より、電子ビームのエネルギ及びエネル
ギ分布幅を読み取ることができるため、この読み取り結
果から隙間38の幅を設定できる。このようにして電子
ビームのエネルギEeを10.4eV<Ee<16.0
eVの範囲になるように設定した。この設定のための操
作は手動で行ってもよいが、パソコンにプログラムして
自動化することも可能である。
スからの電離それぞれの閾値エネルギの差を利用し、プ
ラズマ中のラジカルに起因する信号だけを選択的に検出
できることがわかる。ラジカルに起因する信号だけを選
択的に検出する場合の電子ビームエネルギの設定は以下
のように行う。プラズマチャンバ18内及び質量分析装
置10内を真空排気し、質量分析装置内の圧力を10-6
Torr以下にし、CF4 ガスを導入せずに、電子ビー
ムのエネルギを14eV、隙間38の幅を約0.5mm
に設定して電子ビームを発生させた。ここで可変電源4
4(図4参照)の電位Vを0Vから−20Vまで変化さ
せつつ、抵抗46に流れた電流Iを測定したところ、図
7(a)に示すような特性曲線が得られた。この特性曲
線を電位Vで微分することにより、図7(b)に示すよ
うな電子ビームのエネルギ分布曲線が得られた。このエ
ネルギ分布曲線より、電子ビームのエネルギ及びエネル
ギ分布幅を読み取ることができるため、この読み取り結
果から隙間38の幅を設定できる。このようにして電子
ビームのエネルギEeを10.4eV<Ee<16.0
eVの範囲になるように設定した。この設定のための操
作は手動で行ってもよいが、パソコンにプログラムして
自動化することも可能である。
【0036】上記のようにして、電子ビームエネルギ値
を、ラジカルだけが検出される条件下で一定にしておけ
ば、ラジカル密度の位置変化、経時変化、放電条件によ
る変化を質量分析装置の出力値によって相対値で比較で
きる。また、本実施例の質量分析装置を用いることによ
り、ラジカルの絶対密度をも、電子衝突電離断面積のデ
ータが揃っている場合には算出することができる。
を、ラジカルだけが検出される条件下で一定にしておけ
ば、ラジカル密度の位置変化、経時変化、放電条件によ
る変化を質量分析装置の出力値によって相対値で比較で
きる。また、本実施例の質量分析装置を用いることによ
り、ラジカルの絶対密度をも、電子衝突電離断面積のデ
ータが揃っている場合には算出することができる。
【0037】以上説明したように、フィラメント32か
ら放出される電子ビームを、隙間38を形成した電子ビ
ーム遮蔽板34,36で遮蔽する構成としたことによ
り、放出された電子ビームのエネルギ及びエネルギ分布
幅を精密に制御できるので、ラジカルとラジカルの発生
源である安定分子等を判別して測定できる。さらに、本
実施例によれば、放出電子ビームのエネルギ及びエネル
ギ分布幅を精密に制御できるので、同一ラジカルの電子
励起状態の異なるもの(基底状態と準安定状態)を判別
して測定できる。
ら放出される電子ビームを、隙間38を形成した電子ビ
ーム遮蔽板34,36で遮蔽する構成としたことによ
り、放出された電子ビームのエネルギ及びエネルギ分布
幅を精密に制御できるので、ラジカルとラジカルの発生
源である安定分子等を判別して測定できる。さらに、本
実施例によれば、放出電子ビームのエネルギ及びエネル
ギ分布幅を精密に制御できるので、同一ラジカルの電子
励起状態の異なるもの(基底状態と準安定状態)を判別
して測定できる。
【0038】次に、図8を参照して電子ビーム源とイオ
ン化室の他の構造を説明する。図8は、電子ビーム源と
イオン化室の他の構造を示す概略構成図であり、図4と
同じ要素は同じ符号で示す。電子ビーム源とイオン化室
から構成されるイオン源部は、熱電子発生手段としての
フィラメント32、このフィラメント32を収納してい
る差圧チャンバ50、及びイオン化室12を備えて構成
されている。差圧チャンバ50を構成する壁のうち、フ
ィラメント32から放出される熱電子の加速方向(電子
放出方向)に配置された側壁は金属製の遮蔽板50aか
らなり、他の側壁50bは、耐熱性を有する石英ガラス
製の絶縁体から構成されている。遮蔽板50aには開口
部50cが形成されており、この開口部50cは,フィ
ラメント32から放出された熱電子を通過させる機能
と、差圧チャンバ50内外に圧力差をつける機能を有す
る。遮蔽板50aは、厚さ0.5mmのタンタル(T
a)からなる薄板で作成されている。材料としてタンタ
ルを用いたのは、分析ガスとの反応性が低いからであ
る。また、側壁50bにはガス導入口50dが形成され
ており、このガス導入口50dからは質量分析測定に影
響を与えないようなガスが極微小流量だけ導入されるよ
うに構成されている。
ン化室の他の構造を説明する。図8は、電子ビーム源と
イオン化室の他の構造を示す概略構成図であり、図4と
同じ要素は同じ符号で示す。電子ビーム源とイオン化室
から構成されるイオン源部は、熱電子発生手段としての
フィラメント32、このフィラメント32を収納してい
る差圧チャンバ50、及びイオン化室12を備えて構成
されている。差圧チャンバ50を構成する壁のうち、フ
ィラメント32から放出される熱電子の加速方向(電子
放出方向)に配置された側壁は金属製の遮蔽板50aか
らなり、他の側壁50bは、耐熱性を有する石英ガラス
製の絶縁体から構成されている。遮蔽板50aには開口
部50cが形成されており、この開口部50cは,フィ
ラメント32から放出された熱電子を通過させる機能
と、差圧チャンバ50内外に圧力差をつける機能を有す
る。遮蔽板50aは、厚さ0.5mmのタンタル(T
a)からなる薄板で作成されている。材料としてタンタ
ルを用いたのは、分析ガスとの反応性が低いからであ
る。また、側壁50bにはガス導入口50dが形成され
ており、このガス導入口50dからは質量分析測定に影
響を与えないようなガスが極微小流量だけ導入されるよ
うに構成されている。
【0039】電子ビーム32aのエネルギは、遮蔽板5
0aとフィラメント32との電位差により制御され、設
定される。但し、この設定値と実効値とは厳密には一致
しないため通常は較正が必要であり、この較正は電子衝
突電離の閾値エネルギが既知のガス、例えば電子衝突電
離断面積が電子ビームエネルギの低エネルギ側で直線性
の良いArガス(閾値:15.75eV)を用いて行う
ことができる。
0aとフィラメント32との電位差により制御され、設
定される。但し、この設定値と実効値とは厳密には一致
しないため通常は較正が必要であり、この較正は電子衝
突電離の閾値エネルギが既知のガス、例えば電子衝突電
離断面積が電子ビームエネルギの低エネルギ側で直線性
の良いArガス(閾値:15.75eV)を用いて行う
ことができる。
【0040】以上のように本実施例によれば、イオン化
室12と、電子ビーム源である熱電子放出用のフィラメ
ント32を収納している差圧チャンバ50との間に圧力
差をつけることにより、イオン化室12内の試料ガス
が、フィラメント32近傍に侵入できないこととなる。
このため、試料ガス中に熱解離を起こし易い成分が含ま
れている場合でも、熱解離を起こさせることなく、試料
ガスを測定できる。
室12と、電子ビーム源である熱電子放出用のフィラメ
ント32を収納している差圧チャンバ50との間に圧力
差をつけることにより、イオン化室12内の試料ガス
が、フィラメント32近傍に侵入できないこととなる。
このため、試料ガス中に熱解離を起こし易い成分が含ま
れている場合でも、熱解離を起こさせることなく、試料
ガスを測定できる。
【0041】次に、差圧チャンバ50を備えた質量分析
装置を用いて、プラズマチャンバ18(図2参照)内で
生成したプラズマ中のラジカルの検出を行った例につい
て説明する。プラズマチャンバ18内にプラズマ原料ガ
スを所定圧力の下で導入し、平行平板電極20A、20
Bの間にRF放電を起こさせることによりプラズマを発
生させた。ここでは、プラズマ原料ガスとしてCl2 を
使用し、プラズマチャンバ18内にCl2 ガスを導入
し、RF放電させた。このとき、プラズマ中にはClラ
ジカルが発生するが、このClラジカルを検出するため
には、Clラジカルから生じるCl+ イオンと、Cl2
から生じる同イオンとを区別する必要がある。
装置を用いて、プラズマチャンバ18(図2参照)内で
生成したプラズマ中のラジカルの検出を行った例につい
て説明する。プラズマチャンバ18内にプラズマ原料ガ
スを所定圧力の下で導入し、平行平板電極20A、20
Bの間にRF放電を起こさせることによりプラズマを発
生させた。ここでは、プラズマ原料ガスとしてCl2 を
使用し、プラズマチャンバ18内にCl2 ガスを導入
し、RF放電させた。このとき、プラズマ中にはClラ
ジカルが発生するが、このClラジカルを検出するため
には、Clラジカルから生じるCl+ イオンと、Cl2
から生じる同イオンとを区別する必要がある。
【0042】電子衝突によりClラジカルからの電離及
び親ガスCl2 からの電離によりそれぞれイオン(Cl
+ )が生成する場合の反応式と、反応エネルギの閾値を
次の(5)、(6)に示す。 Cl+e- →Cl+ +2e- (ラジカルからの電離):12.97ev …(5) Cl2 +e- →Cl+ +2e- (親ガスからの電離):16.67ev …(6) (5)、(6)式から、Cl2 プラズマ中のClラジカ
ルだけを選択的に検出するためには、電子ビームのエネ
ルギEeを、12.97eV<Ee<16.67eVと
なるように設定すればよいことがわかる。
び親ガスCl2 からの電離によりそれぞれイオン(Cl
+ )が生成する場合の反応式と、反応エネルギの閾値を
次の(5)、(6)に示す。 Cl+e- →Cl+ +2e- (ラジカルからの電離):12.97ev …(5) Cl2 +e- →Cl+ +2e- (親ガスからの電離):16.67ev …(6) (5)、(6)式から、Cl2 プラズマ中のClラジカ
ルだけを選択的に検出するためには、電子ビームのエネ
ルギEeを、12.97eV<Ee<16.67eVと
なるように設定すればよいことがわかる。
【0043】そこで、Cl2 に起因するイオン検出量に
対応する信号と、Clに起因するイオン検出量に対応す
る信号とが分離される様子を示すために、電子ビームの
エネルギEeを12.25〜22.25eVまで変化さ
せる測定を、以下のように行った。まず、プラズマチャ
ンバ18(図2参照)にCl2 ガスを導入し、圧力が4
mTorrとなるようにガス流量を調整すると共に、周
波数13.56MHz、電力50W(0.25W/cm
2 )でRF放電を起こしてCl2 プラズマを生成させ
た。
対応する信号と、Clに起因するイオン検出量に対応す
る信号とが分離される様子を示すために、電子ビームの
エネルギEeを12.25〜22.25eVまで変化さ
せる測定を、以下のように行った。まず、プラズマチャ
ンバ18(図2参照)にCl2 ガスを導入し、圧力が4
mTorrとなるようにガス流量を調整すると共に、周
波数13.56MHz、電力50W(0.25W/cm
2 )でRF放電を起こしてCl2 プラズマを生成させ
た。
【0044】生成したプラズマガスの一部を差動排気に
よって質量分析装置10内に導入し、Cl+ (m/e=
35)を検出した。このとき、質量分析装置10内のイ
オン化室の圧力は5×10-7Torrであった。差圧チ
ャンバ50内部の圧力が、イオン化室の圧力より3桁程
度真空度が悪くなるように、ガス導入口50dからAr
ガスを0.1sccm流した。ここでArガスを用いた
のは、Cl2 との反応性が低く、また、その一部がイオ
ン化されたとしても、Ar+ とCl+ とでは質量が異な
るために、Cl+ の検出には影響を与えないからであ
る。
よって質量分析装置10内に導入し、Cl+ (m/e=
35)を検出した。このとき、質量分析装置10内のイ
オン化室の圧力は5×10-7Torrであった。差圧チ
ャンバ50内部の圧力が、イオン化室の圧力より3桁程
度真空度が悪くなるように、ガス導入口50dからAr
ガスを0.1sccm流した。ここでArガスを用いた
のは、Cl2 との反応性が低く、また、その一部がイオ
ン化されたとしても、Ar+ とCl+ とでは質量が異な
るために、Cl+ の検出には影響を与えないからであ
る。
【0045】測定に際しては、プラズマ中のイオン及び
電子を除去するために、図3に示すように、イオン化室
には正のバイアス(150V)を印加し、サンプリング
管には負のバイアス(−30V)を印加した。以上の条
件の下でCl+ を測定した結果を、図9に〇印で示し
た。また、比較のために放電させない以外は同一条件の
下でCl+ を検出した結果を同じく図9に△印で示し
た。図9のグラフの横軸は電子ビームのエネルギを示
し、縦軸は質量分析装置の出力値を示す。この出力値
は、具体的には一定時間内に一定閾値(ここでは1V)
以上のパルスがいくつ検出されたかを表している。
電子を除去するために、図3に示すように、イオン化室
には正のバイアス(150V)を印加し、サンプリング
管には負のバイアス(−30V)を印加した。以上の条
件の下でCl+ を測定した結果を、図9に〇印で示し
た。また、比較のために放電させない以外は同一条件の
下でCl+ を検出した結果を同じく図9に△印で示し
た。図9のグラフの横軸は電子ビームのエネルギを示
し、縦軸は質量分析装置の出力値を示す。この出力値
は、具体的には一定時間内に一定閾値(ここでは1V)
以上のパルスがいくつ検出されたかを表している。
【0046】図9から、放電させない場合にはClラジ
カルは存在しないため、親ガスであるCl2 からの電離
による信号だけが検出されることがわかる。一方、放電
させた場合には、Clラジカルが存在するため、このラ
ジカルからの電離による信号も同時に検出されることが
わかる。なお、放電させない場合(△印)の16.67
eV以下における質量分析装置の出力値は、装置に起因
するバックグラウンドの値である。比較のために、前述
と同様のClラジカルの分析を、差圧チャンバ50を持
たない従来の装置構成で行ったところ、放電の有無に関
わらず熱分解によって生成したと考えられるClラジカ
ルが検出され、図9にみられるような放電の有無による
差異は認められなかった。
カルは存在しないため、親ガスであるCl2 からの電離
による信号だけが検出されることがわかる。一方、放電
させた場合には、Clラジカルが存在するため、このラ
ジカルからの電離による信号も同時に検出されることが
わかる。なお、放電させない場合(△印)の16.67
eV以下における質量分析装置の出力値は、装置に起因
するバックグラウンドの値である。比較のために、前述
と同様のClラジカルの分析を、差圧チャンバ50を持
たない従来の装置構成で行ったところ、放電の有無に関
わらず熱分解によって生成したと考えられるClラジカ
ルが検出され、図9にみられるような放電の有無による
差異は認められなかった。
【0047】以上詳述した本実施例によれば、イオン化
室12と差圧チャンバ50との間に圧力差をつけること
により、試料ガスがフィラメント32近傍に侵入しない
ようにできるため、試料ガス中に熱解離を起こし易い成
分が含まれている場合でも、熱解離を起こさせることな
く、試料ガスを測定できる。次に、差圧チャンバ50を
真空室として利用する例を説明する。上記の例では、ガ
ス導入口50dから差圧チャンバ50にガスを導入した
が、ここではガス導入口50dに真空ポンプ(図示せ
ず)を接続し、差圧チャンバ50内を真空にする。これ
により、開口部50cは、フィラメント32から放出さ
れた熱電子を通過させる機能と、イオン化室12内の試
料ガスがフィラメント32の近傍に侵入する割合を制限
する機能を有することとなる。
室12と差圧チャンバ50との間に圧力差をつけること
により、試料ガスがフィラメント32近傍に侵入しない
ようにできるため、試料ガス中に熱解離を起こし易い成
分が含まれている場合でも、熱解離を起こさせることな
く、試料ガスを測定できる。次に、差圧チャンバ50を
真空室として利用する例を説明する。上記の例では、ガ
ス導入口50dから差圧チャンバ50にガスを導入した
が、ここではガス導入口50dに真空ポンプ(図示せ
ず)を接続し、差圧チャンバ50内を真空にする。これ
により、開口部50cは、フィラメント32から放出さ
れた熱電子を通過させる機能と、イオン化室12内の試
料ガスがフィラメント32の近傍に侵入する割合を制限
する機能を有することとなる。
【0048】差圧チャンバ50を真空室として利用する
場合は、差圧チャンバ50内にフィラメント32が配置
されているので、試料ガスがフィラメント32近傍に侵
入する割合が制限される。また、差圧チャンバ50を差
動排気したことにより、差圧チャンバ50内に侵入した
試料ガスがイオン化室12に再度戻らないようにした。
このため、試料ガス中に熱解離を起こし易い成分が含ま
れている場合でも、熱解離の影響なく、試料ガスを測定
できる。
場合は、差圧チャンバ50内にフィラメント32が配置
されているので、試料ガスがフィラメント32近傍に侵
入する割合が制限される。また、差圧チャンバ50を差
動排気したことにより、差圧チャンバ50内に侵入した
試料ガスがイオン化室12に再度戻らないようにした。
このため、試料ガス中に熱解離を起こし易い成分が含ま
れている場合でも、熱解離の影響なく、試料ガスを測定
できる。
【0049】差圧チャンバ50を真空室として利用し
て、図9のデータを得た実験と同じ条件で実験を行っ
た。但し、イオン化室圧力は5×10-6Torrであ
り、差圧チャンバ50内の圧力が、イオン化室の圧力と
同一あるいは1桁程度低くなるように、ガス導入口50
dから差動排気を行った。実験結果は、上記と同様にな
った。
て、図9のデータを得た実験と同じ条件で実験を行っ
た。但し、イオン化室圧力は5×10-6Torrであ
り、差圧チャンバ50内の圧力が、イオン化室の圧力と
同一あるいは1桁程度低くなるように、ガス導入口50
dから差動排気を行った。実験結果は、上記と同様にな
った。
【0050】次に、本発明の質量分析装置を、中性ビー
ムのビーム構成種を検出する中性ビーム検出装置として
適用した実施例を説明する。図10は、中性ビーム検出
装置を示す概略構成図である。本実施例の中性ビーム検
出装置60に適用した質量分析装置は、磁場型質量分析
装置であり、図10に示すように、試料ガスをイオン化
するためのイオン化室62と、このイオン化室62で生
成したイオンを質量分離するための質量分析部64と、
検出信号を増幅するための2次電子増倍管66とを備え
て構成されている。また中性ビーム検出装置60は、ポ
ンプ67による差動排気により独立に圧力調整できるよ
うに構成されている。
ムのビーム構成種を検出する中性ビーム検出装置として
適用した実施例を説明する。図10は、中性ビーム検出
装置を示す概略構成図である。本実施例の中性ビーム検
出装置60に適用した質量分析装置は、磁場型質量分析
装置であり、図10に示すように、試料ガスをイオン化
するためのイオン化室62と、このイオン化室62で生
成したイオンを質量分離するための質量分析部64と、
検出信号を増幅するための2次電子増倍管66とを備え
て構成されている。また中性ビーム検出装置60は、ポ
ンプ67による差動排気により独立に圧力調整できるよ
うに構成されている。
【0051】中性ビーム検出装置60は、中性ビーム生
成装置(図示せず)に接続されており、中性ビーム生成
装置で生成した中性ビーム68の一部をアパーチャー7
0を通してイオン化室62へ取り込むように構成されて
いる。イオン化室62に取り込まれた中性ビームには、
電子ビーム源72から電子ビーム74が照射され、電子
衝突によりその一部がイオン化される。電子ビーム源7
2は、イオン化室62に多段に設けられており、中性ビ
ームのイオン化率を大きくすることにより、検出感度を
向上させることができる。ここでは、3段のものを用い
た。
成装置(図示せず)に接続されており、中性ビーム生成
装置で生成した中性ビーム68の一部をアパーチャー7
0を通してイオン化室62へ取り込むように構成されて
いる。イオン化室62に取り込まれた中性ビームには、
電子ビーム源72から電子ビーム74が照射され、電子
衝突によりその一部がイオン化される。電子ビーム源7
2は、イオン化室62に多段に設けられており、中性ビ
ームのイオン化率を大きくすることにより、検出感度を
向上させることができる。ここでは、3段のものを用い
た。
【0052】上記のようにしてイオン化室62で生成さ
れたイオンは、イオン化室62から引き出され、質量分
析部64で質量分離されると同時に、検出対象のイオン
のみが質量分析部64を通過し、二次電子倍増管66に
入射する。これにより、検出対象のイオンを表す信号が
増幅されて検出される。次に、本実施例の中性ビーム検
出装置60を用いて、中性ビーム中の構成種の検出を実
際に行った例について説明する。
れたイオンは、イオン化室62から引き出され、質量分
析部64で質量分離されると同時に、検出対象のイオン
のみが質量分析部64を通過し、二次電子倍増管66に
入射する。これにより、検出対象のイオンを表す信号が
増幅されて検出される。次に、本実施例の中性ビーム検
出装置60を用いて、中性ビーム中の構成種の検出を実
際に行った例について説明する。
【0053】ここでは、N2 中性ビームを用い、N2 中
性ビーム中のNラジカルを分別検出した。Nラジカルを
検出するためには、Nラジカルから生じるN+ イオン
と、N 2 から生じる同イオンとを区別する必要がある。
電子衝突によるNラジカルからの電離及び親ガスN2 か
らの電離によりそれぞれイオン(N+ )が生成する場合
の反応式と、反応エネルギ閾値を次の(7)、(8)式
に示す。
性ビーム中のNラジカルを分別検出した。Nラジカルを
検出するためには、Nラジカルから生じるN+ イオン
と、N 2 から生じる同イオンとを区別する必要がある。
電子衝突によるNラジカルからの電離及び親ガスN2 か
らの電離によりそれぞれイオン(N+ )が生成する場合
の反応式と、反応エネルギ閾値を次の(7)、(8)式
に示す。
【0054】 N+e- →N+ +2e- (ラジカルからの電離) :14.5eV …(7) N2 +e- →N+ +N+2e- (親ガスからの電離):24.3eV …(8) (7)、(8)式から、N2 中子ビーム中のNラジカル
のみを選択的に検出するためには、電子ビームのエネル
ギEeを、14.5eV<Ee<24.3eVとなるよ
うに設定すればよいことがわかる。
のみを選択的に検出するためには、電子ビームのエネル
ギEeを、14.5eV<Ee<24.3eVとなるよ
うに設定すればよいことがわかる。
【0055】そこで、N2 に起因するイオン検出量に対
応する信号と、Nに起因するイオン検出量に対応する信
号とが分離される様子を示すために、電子ビームのエネ
ルギEeを10.0〜30.0eVまで変化させる測定
を、以下のように行った。中性ビーム生成装置(図示せ
ず)の圧力が4mTorrとなるように中性ビーム生成
装置のガス流量を調整し、ビームエネルギ300eVの
中性ビームを生成させた。ビームの一部をアパーチャー
70を通して中性ビーム検出装置60に導入し、N+
(m/e=14)の検出を行った。このとき、中性ビー
ム検出装置60内の圧力は、差動排気により5×10-6
Torrに設定した。
応する信号と、Nに起因するイオン検出量に対応する信
号とが分離される様子を示すために、電子ビームのエネ
ルギEeを10.0〜30.0eVまで変化させる測定
を、以下のように行った。中性ビーム生成装置(図示せ
ず)の圧力が4mTorrとなるように中性ビーム生成
装置のガス流量を調整し、ビームエネルギ300eVの
中性ビームを生成させた。ビームの一部をアパーチャー
70を通して中性ビーム検出装置60に導入し、N+
(m/e=14)の検出を行った。このとき、中性ビー
ム検出装置60内の圧力は、差動排気により5×10-6
Torrに設定した。
【0056】以上の条件の下でN+ を測定した結果を、
図11に〇印で示した。また、比較のために、N2 ガス
を流すだけで中性ビームを生成させない以外は同一の条
件の下でN+ を検出した結果を、同じく図11に△印で
示した。図11のグラフの横軸は電子ビームのエネルギ
を示し、縦軸は磁場型質量分析装置の出力値を示す。こ
の出力値は、N2 からの解離イオン化が生じている3
0.0eVの値で規格化した相対値である。
図11に〇印で示した。また、比較のために、N2 ガス
を流すだけで中性ビームを生成させない以外は同一の条
件の下でN+ を検出した結果を、同じく図11に△印で
示した。図11のグラフの横軸は電子ビームのエネルギ
を示し、縦軸は磁場型質量分析装置の出力値を示す。こ
の出力値は、N2 からの解離イオン化が生じている3
0.0eVの値で規格化した相対値である。
【0057】図11から、中性ビームを生成させない場
合にはNラジカルは存在しないため、親ガスであるN2
からの電離による信号のみが検出されていることがわか
る。一方、中性ビームを生成させた場合にはNラジカル
が存在するため、このNラジカルからの電離による信号
も同時に検出されることがわかる。なお、中性ビームを
生成させない場合(△印)の24.3eV以下における
質量分析装置の出力値は、装置に起因するバックグラウ
ンドの値である。
合にはNラジカルは存在しないため、親ガスであるN2
からの電離による信号のみが検出されていることがわか
る。一方、中性ビームを生成させた場合にはNラジカル
が存在するため、このNラジカルからの電離による信号
も同時に検出されることがわかる。なお、中性ビームを
生成させない場合(△印)の24.3eV以下における
質量分析装置の出力値は、装置に起因するバックグラウ
ンドの値である。
【0058】以上詳述した本実施例によれば、中性ビー
ム検出装置として質量分析装置を用い、質量分析装置の
イオン源として、ビームエネルギが制御可能な電子ビー
ム源を多段に設置したことにより、特定の種(ここでは
Nラジカル)を選択的に高イオン化率でイオン化するこ
とができるため、特定の種を高感度で検出することがで
きる。
ム検出装置として質量分析装置を用い、質量分析装置の
イオン源として、ビームエネルギが制御可能な電子ビー
ム源を多段に設置したことにより、特定の種(ここでは
Nラジカル)を選択的に高イオン化率でイオン化するこ
とができるため、特定の種を高感度で検出することがで
きる。
【0059】ここで、中性ビーム検出装置の具体的装置
構成は、上記実施例に示したものに限られるものでな
く、質量分析装置も磁場型質量分析装置に限定されな
い。また、本発明が適用可能な中性ビームは、前記実施
例に示したN2 中性ビームに限定されるものではなく任
意に変更可能である。例えばAr中性ビームのような単
原子分子中性ビームを用いた場合には、準安定状態Ar
を分別検出することも可能である。
構成は、上記実施例に示したものに限られるものでな
く、質量分析装置も磁場型質量分析装置に限定されな
い。また、本発明が適用可能な中性ビームは、前記実施
例に示したN2 中性ビームに限定されるものではなく任
意に変更可能である。例えばAr中性ビームのような単
原子分子中性ビームを用いた場合には、準安定状態Ar
を分別検出することも可能である。
【0060】以上、本発明について具体的に説明した
が、本発明は、前記実施例に示したものに限られるもの
でなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
る。例えば、本発明の質量分析装置の具体的装置構成
は、前記実施例に示したものに限られるものでなく、ま
た、四重極質量分析装置に限定されない。熱電子発生手
段もフィラメントに限定されない。また、本発明が適用
可能な試料ガスは、前記実施例に示したCF4 、Cl2
に限定されるものでなく任意に変更可能であり、例え
ば、CH4 、F2 等に適用できる。
が、本発明は、前記実施例に示したものに限られるもの
でなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
る。例えば、本発明の質量分析装置の具体的装置構成
は、前記実施例に示したものに限られるものでなく、ま
た、四重極質量分析装置に限定されない。熱電子発生手
段もフィラメントに限定されない。また、本発明が適用
可能な試料ガスは、前記実施例に示したCF4 、Cl2
に限定されるものでなく任意に変更可能であり、例え
ば、CH4 、F2 等に適用できる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明の第1の質量
分析装置によれば、2枚の電子ビーム遮蔽板により熱電
子の一部が通過する隙間が形成されこの隙間の間隔は自
在に制御でき、また、電位差制御手段により電子ビーム
源と電子ビーム遮蔽板との間の電位差を制御できる。こ
のため、試料ガスをイオン化する電子ビームのエネルギ
及びエネルギー分布幅を変更できるので、質量分析によ
り検出されるイオンの生成源として複数の成分が存在す
る場合でも、その中の特定成分を正確に検出できる。
分析装置によれば、2枚の電子ビーム遮蔽板により熱電
子の一部が通過する隙間が形成されこの隙間の間隔は自
在に制御でき、また、電位差制御手段により電子ビーム
源と電子ビーム遮蔽板との間の電位差を制御できる。こ
のため、試料ガスをイオン化する電子ビームのエネルギ
及びエネルギー分布幅を変更できるので、質量分析によ
り検出されるイオンの生成源として複数の成分が存在す
る場合でも、その中の特定成分を正確に検出できる。
【0062】また、本発明の第2の質量分析装置によれ
ば、電子ビーム源が容器に密封して収容されており、こ
の容器には熱電子が通過する開口が形成されている。こ
のため、電子ビーム源の近傍への試料ガスの侵入をほぼ
防止できる。この結果、試料ガス中に熱解離を起こし易
い成分が含まれていても、この成分は電子ビーム源の近
傍へ侵入できないこととなるため、この成分の熱解離を
起こさせることなく、試料ガス中の特定成分を正確に検
出できる。
ば、電子ビーム源が容器に密封して収容されており、こ
の容器には熱電子が通過する開口が形成されている。こ
のため、電子ビーム源の近傍への試料ガスの侵入をほぼ
防止できる。この結果、試料ガス中に熱解離を起こし易
い成分が含まれていても、この成分は電子ビーム源の近
傍へ侵入できないこととなるため、この成分の熱解離を
起こさせることなく、試料ガス中の特定成分を正確に検
出できる。
【図1】電子ビームエネルギに対する電子ビームのフラ
ックス及び電子衝突電離断面積の関係を示すグラフであ
る。
ックス及び電子衝突電離断面積の関係を示すグラフであ
る。
【図2】本発明の一実施例の質量分析装置を示す概略構
成図である。
成図である。
【図3】プラズマチャンバから試料ガスをサンプリング
する際の試料ガスの導入経路とその電位分布を示す説明
図である。
する際の試料ガスの導入経路とその電位分布を示す説明
図である。
【図4】イオン源部の要部を拡大して示す概略構成図で
ある。
ある。
【図5】図1に示す質量分析装置を用いてCF3 + を測
定した結果を示すグラフである。
定した結果を示すグラフである。
【図6】図5に示したCF3 ラジカルのデータを整理し
たグラフである。
たグラフである。
【図7】(a)は図4に示す可変電源の電位Vと抵抗に
流れる電流Iとの関係を示すグラフ、(b)は可変電源
の電位Vと電子ビームフラックスとの関係を示すグラフ
である。
流れる電流Iとの関係を示すグラフ、(b)は可変電源
の電位Vと電子ビームフラックスとの関係を示すグラフ
である。
【図8】電子ビーム源とイオン化室の他の構造を示す概
略構成図である。
略構成図である。
【図9】図8に示す電子ビーム源とイオン化室を備えた
質量分析装置を用いてCl+ を測定した結果を示すグラ
フである。
質量分析装置を用いてCl+ を測定した結果を示すグラ
フである。
【図10】本発明の質量分析装置を適用した中性ビーム
検出装置を示す概略構成図である。
検出装置を示す概略構成図である。
【図11】図10に示す中性ビーム検出装置を用いてN
+ を測定した結果を示すグラフである。
+ を測定した結果を示すグラフである。
10 質量分析装置 12 イオン化室 14 四重極電極 18 プラズマチャンバ 20A、20B 平行平板電極 22 二次電子増倍管 32 フィラメント 34,36 電子ビーム遮蔽板 38 隙間 40 ピエゾスタック 42 エネルギ計測装置 45a,45b 可変電源 50 差圧チャンバ 50d ガス導入口
Claims (5)
- 【請求項1】 熱電子を放出する電子ビーム源と、該電
子ビーム源から放出された熱電子が導入されると共に分
析対象となる試料ガスが導入されるイオン化室とを備え
た質量分析装置において、 前記電子ビーム源及び前記イオン化室の間に設けられ
た、互いの間隔を自在に制御して熱電子が通過する隙間
を形成する2枚の電子ビーム遮蔽板と、 前記電子ビーム源及び前記電子ビーム遮蔽板の間の電位
差を制御する電位差制御手段とを備えたことを特徴とす
る質量分析装置。 - 【請求項2】 前記電子ビーム遮蔽板の前記熱電子放出
方向前方に設けられ、前記隙間を通過した電子ビームの
エネルギを計測するエネルギ計測手段を備えたことを特
徴とする請求項1記載の質量分析装置。 - 【請求項3】 熱電子を放出する電子ビーム源と、該電
子ビーム源から放出された熱電子が導入されると共に分
析対象となる試料ガスが導入されるイオン化室とを備え
た質量分析装置において、 前記電子ビーム源から放出された熱電子が通過する開口
を有する、前記電子ビーム源を密封して収容した容器を
備えたことを特徴とする質量分析装置。 - 【請求項4】 前記容器にガスを供給するガス供給手段
を備えたことを特徴とする請求項3記載の質量分析装
置。 - 【請求項5】 前記容器内を排気する排気手段を備えた
ことを特徴とする請求項3記載の質量分析装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5266483A JPH07122229A (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | 質量分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5266483A JPH07122229A (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | 質量分析装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07122229A true JPH07122229A (ja) | 1995-05-12 |
Family
ID=17431565
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5266483A Withdrawn JPH07122229A (ja) | 1993-10-25 | 1993-10-25 | 質量分析装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07122229A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019061829A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 株式会社東芝 | 質量分析装置及び質量分析方法 |
| JP2021522650A (ja) * | 2018-04-20 | 2021-08-30 | パーキンエルマー・ヘルス・サイエンシーズ・カナダ・インコーポレイテッドPerkinelmer Health Sciences Canada, Inc. | イオン供給源と反応セルを含む質量分析器ならびにそれらを使用するシステム及び方法 |
| JP2024501279A (ja) * | 2020-12-23 | 2024-01-11 | エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド | 質量分析法を使用したラジカル粒子濃度のモニタリング |
-
1993
- 1993-10-25 JP JP5266483A patent/JPH07122229A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019061829A (ja) * | 2017-09-26 | 2019-04-18 | 株式会社東芝 | 質量分析装置及び質量分析方法 |
| JP2021522650A (ja) * | 2018-04-20 | 2021-08-30 | パーキンエルマー・ヘルス・サイエンシーズ・カナダ・インコーポレイテッドPerkinelmer Health Sciences Canada, Inc. | イオン供給源と反応セルを含む質量分析器ならびにそれらを使用するシステム及び方法 |
| JP2024501279A (ja) * | 2020-12-23 | 2024-01-11 | エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド | 質量分析法を使用したラジカル粒子濃度のモニタリング |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20001226 |