JPH07165405A - 窒化ケイ素の製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素の製造方法

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JPH07165405A
JPH07165405A JP5311672A JP31167293A JPH07165405A JP H07165405 A JPH07165405 A JP H07165405A JP 5311672 A JP5311672 A JP 5311672A JP 31167293 A JP31167293 A JP 31167293A JP H07165405 A JPH07165405 A JP H07165405A
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康人 伏井
Hiroshi Isozaki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的安価な金属シリコンを用い、特殊な粉
砕工程や湿式の精製処理のような手間のかかる後処理を
必要としないで、高比表面積の高α型窒化ケイ素粉末を
製造すること。 【構成】 金属シリコン粉末を含む厚みdの窒化原料を
窒素及び/又はアンモニアを含む雰囲気下、以下の
(1)〜(4)の条件で窒化させることを特徴とする窒
化ケイ素の製造方法。 (1)窒化率30%までは窒化原料の表面からd/10
の深さまでの酸素含有量を2重量%未満とする (2)反応速度を4%/hr以下とする (3)窒化率10〜90%における反応速度を0.5%
/hr以上とする (4)窒化率50%未満における反応速度の増加分を
0.6%/hr2 以下とする

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉砕の容易な高α型窒
化ケイ素の安価な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー、高エネルギー効率
の観点から、ターボロータ、バルブ、スワールチャンバ
ーなど自動車のエンジン部品や各種産業用機械部品とし
て窒化ケイ素焼結体が検討されているが、これらは過酷
な条件での使用となるので窒化ケイ素粉末に求められる
条件も以下のように厳しくなっている。 (1)α相が主体であること。(2)サブミクロンの微
粒子からなること。 (3)高純度であること。 (4)安価であること。
【0003】窒化ケイ素の製造方法としては、これまで
に種々の方法が提案されており、それを大別すると以下
の4法となる。 (a)金属シリコンを窒素やアンモニア等の反応ガスを
用いて窒化する直接窒化法。 (b)シリカを炭素等の還元剤と反応ガスを用いて窒化
する還元窒化法。 (c)四塩化ケイ素から生成するシリコンジイミドを熱
分解するイミド熱分解法。 (d)レーザーやプラズマ等の加熱によってモノシラン
や四塩化ケイ素等のガスとアンモニア等のガスとを反応
させる気相法。
【0004】これらのうち、現在、最も普及している方
法は直接窒化法である。直接窒化法においては、生成し
たインゴットを粉砕して窒化ケイ素粉末とするため、そ
の粉末特性はインゴットの影響を強く受ける。インゴッ
トとは、金属シリコン粉末から合成された窒化ケイ素粒
子の集合体である。主原料の金属シリコン粉末は、通
常、取扱い性向上のために成形体とするか又は粉末のま
ま窒化炉に充填されるが、金属シリコンの窒化反応は大
きな発熱反応であるので生成した窒化ケイ素粒子は、比
較的強固な集合体すなわちインゴットとなる。
【0005】インゴットの粉砕には、湿式法と乾式法が
あるが、それらには一長一短がある。湿式粉砕では、粉
砕物の精製・濾過・乾燥・解砕等の後工程が必要とな
り、しかも窒化ケイ素のような硬い被粉砕物を長時間粉
砕することになるので粉砕メディアの摩耗が激しくラン
ニングコストの増加になると共に、混入したメディアや
増加した表面酸素を取り除く精製工程が不可欠となる。
ましてやこの精製工程は酸処理であるので高価である。
これに対して、乾式粉砕ではこのような問題はないが、
比表面積はあまり増加せず、メディアの摩耗粉の混入や
表面酸素の大幅な増大等の問題があり、収率を低下させ
る分級を行わなければ数十μm又はそれ以上の粗大粒子
が残留する。粗大粒子は、わずかに残留しても焼結体の
大きな欠陥となって強度や靱性を低下させる。
【0006】このような問題に対処するため、従来から
窒化反応を制御し、高α化率で高比表面積の窒化ケイ素
粉末を製造する多くの提案があった。例えば、反応ガス
分圧や反応温度の制御(例えば特開昭48-102100 号公
報、特開昭49-94600号公報、特開昭52-11798号公報
等)、昇温速度の制御(例えば特公平4-54607 号公報、
特開昭54-24300号公報、特開昭63-17203号公報等)、窒
化触媒の添加(例えば特開平2-248309号公報等)、原料
成形体の気孔率の制御(例えば特開昭58-88109号公報)
等であるが、充分であるとはいえなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来法
では、上記(1)〜(4)の条件を充分に満たし、しか
も工業的に利用できる比較的安価な窒化ケイ素を製造す
ることは困難であり、新しい技術の出現が待たれてい
た。本発明者らは、このような要望に応えるべく種々検
討した結果、本発明を完成させたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、金
属シリコン粉末を含む厚みdの窒化原料を窒素及び/又
はアンモニアを含む雰囲気下、以下の(1)〜(4)の
条件で窒化させることを特徴とする窒化ケイ素の製造方
法である。 (1)窒化率30%までは窒化原料の表面からd/10
の深さまでの酸素含有量を2重量%未満とする (2)反応速度を4%/hr以下とする (3)窒化率10〜90%における反応速度を0.5%
/hr以上とする (4)窒化率50%未満における反応速度の増加分を
0.6%/hr2 以下とする
【0009】以下、さらに詳しく本発明について説明す
ると、本発明の特徴は、均一なインゴットを製造するた
めに金属シリコンの酸化と窒化の両反応を厳密に制御す
ることである。金属シリコンの酸化反応は窒化反応より
も低温で起こり、熱力学的にも通常の窒化雰囲気中の酸
素及び水蒸気分圧下では窒化反応に優先して起こり、特
にインゴット表面付近で進行する。その結果、均一な窒
化反応は阻害され、低酸素含有量の窒化ケイ素を製造す
ることが困難となる。
【0010】従来、金属シリコンの酸素含有量を制限し
たり(例えば特開昭63-151603 号公報)、雰囲気の酸素
量(例えば特公平 2-18284号公報)や水分量(例えば特
開平5-221617 公報)を制限する等の提案があるが、こ
れらはいずれも低酸素含有の窒化ケイ素を製造すること
を目的としており、均一で粉砕の容易なインゴットを製
造するものではなく、また反応条件も厳格なものではな
かった。
【0011】一方、窒化反応速度を制御することも知ら
れているが(例えば特開昭56-50170号公報)、酸化反応
の制御は行われておらず、また金属シリコン粒度の制御
も充分でないので、反応はインゴット内で不均一に進行
し、単一又は複数のインゴット間の平均的な反応速度を
制御しても充分な結果は得られなかった。本発明は、酸
化反応と窒化反応を同時に制御することによって粉砕が
容易で高α型の窒化ケイ素を製造するものである。
【0012】まず、本発明で使用される窒化原料は、金
属シリコン粉末100重量部に対し骨材としての窒化ケ
イ素粉末0〜200重量部好ましくは40〜100重量
部を混合したものであり、粉末又は成形体として使用さ
れる。窒化原料の嵩密度は、小さいほど反応の制御は容
易となるが窒化炉の操業効率が低下するので0.4〜
1.2g/cm3 特に0. 6〜1.0g/cm3 である
ことが好ましい。
【0013】本発明で使用される金属シリコン粉末は、
そこに存在する酸素量を少なくするために粗粉であるこ
とが望ましく、酸素含有量が0.5重量%以下でしかも
比表面積が1m2/g以下特に0.7m2/g以下であるも
のが好ましい。しかし、あまりにも粒径が大きくなると
未窒化のまま残留するので60μm以下特に45μm以
下が望ましい。そうかといって、比表面積の大きな金属
シリコン粉末は、初期に暴走反応を起こしやすいので1
μm以下の微粒子は少ないほうが望ましく、その含有量
は5重量%以下特に3〜45μmの粒径範囲にあるもの
が好ましい。
【0014】一方、骨材の窒化ケイ素粉末としては、窒
化後にそれを分離することは困難であるので、その酸素
含有量は多くても2重量%好ましくは1.5重量%以下
特に1.2重量%以下であり、比表面積が4m2/g以上
特に6m2/g以上であることが好ましい。また、インゴ
ットを粉砕する際に骨材から粗大粒子が発生しないよう
に、易粉砕性又は粗大粒子を含まない骨材を使用し、更
には低酸素含有量、高純度の窒化ケイ素粉末を製造する
場合は、低酸素含有量、高純度の骨材を使用する。
【0015】金属シリコンと窒化ケイ素の粉砕又混合
を、窒素、水素、アルゴン等の非酸化性雰囲気で行うこ
とによって比表面積1m2/g以上の窒化原料でも使用す
ることができる。この場合は、粉砕・混合時に不純物特
にメディアの摩耗による不純物の混入と金属シリコンの
酸化には充分な配慮を行うべきであり、特に高純度品を
製造する場合は、窒化ケイ素製のメディアを使用し、非
酸化性かつ低湿度雰囲気下で行うのが望ましい。
【0016】本発明の特徴は、上記窒化原料の厚みをd
とした場合、以下の(1)〜(4)の条件で窒化を行わ
せるものである。ここで、厚みdは、窒化原料の成形体
表面又は容器に充填された粉末層表面から遠い方向の長
さであり、例えば球状体であれば半径である。
【0017】まず、(1)の条件は、窒化率30%まで
は窒化原料の表面からd/10の深さまでの酸素含有量
を2重量%未満とすることである。酸化反応は、雰囲気
中の酸素や水分と金属シリコンとが反応するものである
から厚み方向に進行し、特にd/10の深さまでが酸化
されやすく、生成した酸化層は窒化反応を阻害させ窒化
を不均一なものとさせる。特に窒化率30%までの初期
の段階では反応が不安定で暴走反応を起こし易い。種々
検討の結果、均一窒化反応の阻害が顕著となるのは、酸
素含有量2重量%以上の窒化原料層であることをつきと
め、本発明においては、窒化率30%までは窒化原料の
d/10の深さまでの酸素含有量を2重量%未満特に
1.5重量%未満とするものである。
【0018】このような酸化反応の具体的な制御法は、
窒化原料、雰囲気及び炉材の条件を適切に選定すること
である。インゴット中の酸素含有量は、窒化原料から含
まれるものと雰囲気から取り込まれるものがあり、両者
を低減すればそれを低減することができる。従来技術
(例えば特公平2-18284 号公報、特公平5-221617号公報
等)においても窒化炉内の酸素濃度と水分濃度は制御さ
れていたが、本発明では金属シリコン量に対する酸素と
水分の割合が重要となる。
【0019】本発明における雰囲気中の酸素量と水分量
の測定は、酸素濃度と水分濃度を測定し窒化炉のガス容
積を掛け合わせることによって行うことができる。窒化
炉のガス容積は、通常用いられる有効容積とは異なり、
断熱材や発熱体等をも含めた容積であり、反応に影響を
及ぼす雰囲気即ち反応ガスの入口から出口までの容積で
ある。この容積は、出口を遮断し定量ガスを炉内に供給
した際の炉圧の上昇分から算出することができる。
【0020】本発明においては、窒化炉内の酸素量と水
分量の合計は、窒化原料中の金属シリコン分に対し0.
2重量%以下であることが望ましい。例えば、1m3
容積をもつ窒化炉で100ppmの酸素と1000pp
mの水分が測定されれば、酸素0.14g、水分0.8
0gで合計0.94g存在することになるので、窒化原
料中の金属シリコン分が1kgであれば0.094重量
%となる。この割合は小さい程好都合であるが、0.2
重量%以下において上記窒化原料のd/10までの深さ
の酸素含有量を2重量%未満に制御するこができる。
【0021】このような雰囲気においては、窒化反応が
安定する窒化率30%以上ではインゴットの酸化は殆ど
起こらず、また窒化原料の見掛け体積も窒化によっては
殆ど変化しないので、最終的に製造されたインゴットの
d/10までの深さの酸素含有量を窒化率30%におけ
るそれに置き換えることができる。即ち、窒化原料が金
属シリコン100重量部と窒化ケイ素粉末50重量部か
らなる場合、窒化率30%における重量増加は窒化原料
に対して13%であり完全窒化では44%であるので、
窒化の終了したインゴットの酸素含有量X重量%を測定
することによって窒化率30重量%の酸素含有量Y重量
%を、Y=1.44X/1.13に従って算出すること
ができる。
【0022】本発明における雰囲気中の酸素量と水分量
の制御は、低酸素・低水分のガスを流通させて炉内を置
換することによっても行うことができる。しかし、窒化
炉に用いられている通常の炉材等は、多量の酸素、酸化
物、水分等を含んでおり加熱されるとそれらが放出され
やすくなるので、その影響を少なくするために昇温をし
ながら多量のガスを長時間にわたって流通させ炉内を置
換する必要があり、コスト高となる。これに対して、ポ
ンプ、ブロア、コンプレッサー等で炉内ガスを取り出し
脱酸器や除湿器を通過させた後に炉内に戻す方法によれ
ば、コスト的に有利となる。この場合は、昇温中、特に
300℃以上では一時的であっても雰囲気の酸素量と水
分量が高くなると窒化原料の表面付近で酸化反応が進行
するので、脱酸器や除湿器の能力、及び雰囲気の酸素量
と水分量に応じて昇温速度を制御することが重要なこと
となる。
【0023】雰囲気中の酸素量と水分量を低減するに
は、窒化炉の構造にも配慮する必要があり、特に炉内面
の内張りにはアルミナ、マグネシア等のレンガ又はキャ
スタブル、あるいはカーボン、窒化ケイ素成形物等の非
酸化物系材料を用い、炉材から発生する酸素量と水分量
を最大でも1500ppm特に1000ppm以下にす
ることが望ましい。アルミナファイバー、酸化物系セラ
ミックファイバー、ロックウール等では多くの空気・水
分が吸着しているのでそれの多量の使用は推奨できな
い。また、発熱体については、純度99重量%以上のモ
リブデン、タングステン等が望ましい。
【0024】本発明においては、雰囲気中に水素ガスを
含ませることによって、金属シリコン粒子の表面酸化層
を還元除去し均一な窒化反応を行わせることができる。
水素ガス濃度は5容量%以上が好ましいがあまり多すぎ
ると窒素濃度が不足し窒化反応が阻害されるので60容
量%以下が望ましい。窒化が殆ど終了した後の仕上げ窒
化においては水素ガスの効果はあまりなく、窒化率95
%以上では5容量%未満の水素ガス濃度であってもよ
い。水素ガスの一部又は全部をアンモニアで置き換える
こともできる。
【0025】窒化原料中から取り込まれる酸素を低減す
るための好適な窒化原料については上記した。
【0026】次に、(2)の反応速度4%/hr以下の
条件について説明すると、本発明における反応速度と
は、窒化炉に充填された窒化原料中の金属シリコン分が
窒化反応によって単位時間当たりに消費される割合であ
る。例えば、1kgの金属シリコンを含む窒化原料を窒
化反応させる場合、反応速度が1%/hrであるという
ことは、1時間当たりに10gの金属シリコンが窒化す
ることである。厳密には、反応速度は、単位微小時間に
反応する金属シリコン量に基づいて決定されるべきであ
るが、その測定は技術的に困難であるので、本発明にお
いては反応速度及びその増加分を測定するための時間
は、可及的に短時間であることが望ましく、その時間と
しては30分以下好ましくは10分以下特に5分以下で
ある。
【0027】反応速度を求めるには、ある時間内に消費
される反応ガス量を測定し、それが1.5モル倍の金属
シリコンを消費したとして重量に換算する方法が簡便で
正確である。この場合において、消費される反応ガス量
は、窒化炉に供給される反応ガス量と系外に排出される
反応ガス量の差を求めることによって測定することがで
き、系外に排出される反応ガスがないときは、一定時間
内における炉内のガス組成の変化、炉圧の変化等を測定
することによって行うことができる。例えば、標準状態
に換算して22.4リットル(1モル)の消費ガス量が
5分間に測定されたとすると、その間に反応した金属シ
リコンは、1.5モル(42g)であるから1時間当た
りでは504gとなる。このときの窒化原料中の金属シ
リコン分の充填量が20kgであれば、反応速度は2.
5%/hrとなる。
【0028】金属シリコンの窒化は、大きな発熱反応で
あるので、反応速度が大きくなると発熱量も多くなり、
蓄熱し易い部分と放熱し易い部分とでは反応のばらつき
が生じる。多量の発熱は、生成した窒化ケイ素一次粒子
の焼結が進み粉砕が困難となる。本発明においては、上
記窒化原料の充填量において、反応速度は4%/hr以
下好ましくは3%/hr以下に制御される。
【0029】一方、反応速度を小さくすると反応時間が
必然的に長くなり、炉効率が低下する。例えば、1%/
hrの平均速度で窒化すれば反応時間は100時間かか
り、0.1%/hrでは1000時間となる。本発明に
おいては、実用的な炉効率を達成するために、窒化率1
0〜90%における反応速度を0.5%/hr以上にす
ることが(3)の条件である。窒化率10〜90%以外
における反応領域すなわち反応の初期と終了期において
は、反応速度は0.5%/hr未満となることがある
が、それは構わない。なお、本発明における窒化率は反
応速度の積分値であるので、それは消費された金属シリ
コンの積算量から求めることができる。
【0030】最後の(4)の条件は反応速度の増加分の
制御である。本発明における反応速度の増加分とは、上
記反応速度の1時間当たりの増加分をいう。例えば、あ
る10分間の反応速度が1.5%/hrであり次の10
分間の反応速度が1.6%/hrである場合、反応速度
は10分間に0.1%/hr増加しているので1時間当
たりの増加は0.6%/hr2 となる。反応速度の増加
分が大きいということは、窒化が加速度的に進行してい
ることを示し、反応速度が4%/hr以下であっても反
応が充分に制御されておらず、所期の目的を達成するこ
とができない。このような現象は、窒化の後半よりも前
半において顕著となるので、本発明においては、窒化率
50%未満における反応速度の増加分を厳格に0.6%
/hr2以下好ましくは0.5%/hr2 以下に制御す
ることが重要である。
【0031】本発明においては、上記窒化原料条件と反
応条件とが組み合わさって両者が共働し、窒化反応と酸
化反応うが制御されて易粉砕性で高α型の窒化ケイ素イ
ンゴットを製造することができる。なお、本発明で使用
される反応ガスは窒素及び/又はアンモニアであるが、
これらは、通常、反応制御のためにアルゴン等の不活性
ガスや水素ガス等が混合される。
【0032】本発明によって製造された窒化ケイ素イン
ゴットから窒化ケイ素粉末を製造するには粉砕を行う。
粉砕は、湿式法又は乾式法のいずれをも採用することが
できるが、乾式法が本発明の目的達成によく適合する。
この場合、低酸素化・高比表面積化の点から、窒素、ア
ンモニア、アルゴン等の非酸化性雰囲気下、窒化ケイ素
粉末の凝集を防ぐことができる粉砕助剤、例えばトリエ
チルアミン、n−ブチルアミン、メチルエチルケトン、
アセトニトリル等を添加して粉砕することが好ましく、
その使用量は0. 2〜3重量%程度である。粉砕媒体と
しては窒化ケイ素を主成分としたものが望ましい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例を挙げて具体
的に示す。 実施例1〜4 比較例1〜8 市販の高純度金属シリコンを粉砕して表1に示す最大粒
子径としたもの100重量部に窒化ケイ素粉末(電気化
学工業社製商品名「SN−9FW」)20重量部を配合
し、窒化ケイ素製ボールを用いたボールミルで混合し、
それの1kgを16×16cmの窒化ケイ素製容器に厚
み6cmに充填して窒化原料とした。
【0034】この窒化原料を予めガス容積の測定された
窒化炉に入れ、真空排気後窒素ガスで置換して酸素濃度
200ppm未満、水分濃度1000ppm未満になっ
ていることを確認してから、アルゴンガスと水素ガスを
供給して窒素20容量%、水素30容量%、アルゴン5
0容量%の雰囲気に調整し昇温した。窒化炉は、モリブ
デン発熱体でアルミナ発砲レンガの内張が施されたもの
を使用し、雰囲気ガスを200Nリットル/分の割合で
取り出し、熱交換・脱酸素・脱水した後炉内に還流させ
る機構をもったものである。酸素濃度と水分濃度の和及
び酸素量と水分量の和の調節は昇温速度を変化させるこ
とによって行った。その結果を表1に示す。
【0035】反応速度は、窒化炉の入口と出口において
ガス量を積算流量計で5分毎に測定しその差を消費ガス
量として反応にあずかった金属シリコン量を求めた。反
応速度の調節は、雰囲気の窒素濃度と温度を調節するこ
とによって行い、反応速度を大きくしたい場合は昇温し
ながら窒素濃度をあげ、逆に小さくしたい場合は昇温を
停止し窒素濃度をさげた。水素濃度は、出口ガスを10
分毎にガスクロマトグラフィで測定した。これらの条件
を表2に示す。
【0036】窒化率が100%に到達後、窒素ガスを流
しながら室温まで放令しインゴットを取り出した。それ
をd/10までの深さの部分(即ち表面から6mmまで
の部分)とそれ以外の部分とに選別し、d/10までの
深さの部分についての酸素含有量と両者を混合したイン
ゴット全体の平均酸素含有量を測定した。インゴット
は、窒化ケイ素製乳鉢で0.2mm以下に粗・中砕した
後、窒化ケイ素製ボールを用いたボールミルで、粉砕助
剤として1.5重量%のトリエチルアミンを添加し、窒
素雰囲気下、10時間粉砕して窒化ケイ素粉末を製造し
た。得られたインゴットと窒化ケイ素粉末の諸物性を以
下に従って測定した。それらの結果を表3に示す。
【0037】(1)最大粒子径:水中に20分間超音波
分散させた希薄スラリーを用いシーラスグラヌロメータ
で測定した。 (2)酸素含有量:LECO社製酸素/窒素同時分析計
でスズカプセルを用いて測定した。 (3)比表面積:湯浅アイオニクス社製のカンタソーブ
で、ヘリウム−窒素の混合ガスを標準ガスとして流通式
の1点法で測定した。 (4)粗大粒子の残留分:水500ミリリットルに試料
200gを加えて30分間超音波分散させ、目開き25
μmの篩いで水篩いする操作を3回繰り返し、篩上残分
の乾燥重量を試料重量に対する割合を測定した。 (5)残留金属シリコン量:粉末X線回折により、シリ
コン(111)面の回折線強度Ia111と窒化ケイ素のα
相のIa102及びIa210、β相のIb101及びIb210の比を
次式により算出した。 残留金属シリコン=Ia111/(Ia102+Ia210+Ib101
+Ib210) (6)α化率:粉末X線回折により、α相(102)面
及び(210)面の回折線強度Ia102及びIa210とβ相
のIb101及びIb210から次式により算出した。 α化率=[(Ia102+Ia210) / (Ia102+Ia210+I
b101+Ib210)]×100%
【0038】更に、窒化ケイ素粉末の焼結性を以下のよ
うにして評価した。窒化ケイ素粉末100重量部にY2
3 粉末5重量部とAl23 粉末3重量部を混合し、
有機バインダーを用いて混合粉末の50重量%のスラリ
ー水溶液を調製し、それをスプレードライヤーで造粒・
乾燥し、金型プレス成形後、2トン/cm2 のCIP成
形をした。それを1800℃で4時間焼結し、JIS
R1601に準拠して室温における4点曲げ強度を測定
した。それらの結果を表3に示す。
【0039】
【表1】 (注)窒化率30%における窒化原料d/10までの深
さの酸素含有量は、窒化率100%のインゴットの酸素
含有量から算出した。
【0040】
【表2】 (注)反応速度の最大値は、窒化率0〜100%におけ
る値である。反応速度の最小値は、窒化率10〜90%
における値である。反応速度の増加率は、窒化率0〜5
0%における最大値である。反応時間は、窒化率0〜1
00%の間に要した時間である。雰囲気の水素濃度の最
大値及び最小値は、窒化率0〜95%における値であ
る。
【0041】
【表3】
【0042】表1〜表3から、本発明によって製造され
た実施例1〜4の窒化ケイ素は、通常の乾式粉砕によっ
て比表面積10m2/g以上で粗大粒子の残留も認められ
ない高α化率の窒化ケイ素粉末を製造することができ、
それを焼結して得られた焼結体強度は充分に高いもので
あった。
【0043】これに対し、金属シリコン(比較例2〜
3)、雰囲気中の酸素濃度と水分濃度(比較例4)、雰
囲気中の水素濃度(比較例8)の調整が適切でなかった
ために、窒化率30%における窒化原料d/10までの
深さの酸素含有量が2重量%以上となって本発明の範囲
を逸脱した場合には、製造された窒化ケイ素粉末には残
留金属シリコンや粗大粒子が多くなり、それを用いて製
造された焼結体強度は小さいものとなる。また、反応速
度の最大値が適切でない比較例5と、初期の反応速度の
増加率が適切でない比較例6では、低α化率で残留金属
シリコンが認められる低比表面積のインゴットしか製造
することができなかったので窒化ケイ素粉末の特性もよ
くなく、焼結体強度は実施例に比べて小さいものであっ
た。
【0044】更に、金属シリコンの最大粒子径が大きく
(比較例1)、また雰囲気中の水素濃度が高い(比較例
7)ために窒化率10〜90%における反応速度の最小
値が本発明の範囲を逸脱した場合には、反応時間が非常
に長くなり、ガス置換、昇温、炉冷の時間も含めると1
バッチの窒化処理に約2週間必要となり、生産性の悪い
ものであった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、比較的安価な金属シリ
コンを用い、特殊な粉砕工程や湿式の精製処理のような
手間のかかる後処理を必要としないで、高比表面積の高
α型窒化ケイ素粉末を製造することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属シリコン粉末を含む厚みdの窒化原
    料を窒素及び/又はアンモニアを含む雰囲気下、以下の
    (1)〜(4)の条件で窒化させることを特徴とする窒
    化ケイ素の製造方法。 (1)窒化率30%までは窒化原料の表面からd/10
    の深さまでの酸素含有量を2重量%未満とする (2)反応速度を4%/hr以下とする (3)窒化率10〜90%における反応速度を0.5%
    /hr以上とする (4)窒化率50%未満における反応速度の増加分を
    0.6%/hr2 以下とする
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