JPH07169620A - 磁性薄膜及びそれを用いた磁気ヘッド - Google Patents

磁性薄膜及びそれを用いた磁気ヘッド

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JPH07169620A
JPH07169620A JP29834993A JP29834993A JPH07169620A JP H07169620 A JPH07169620 A JP H07169620A JP 29834993 A JP29834993 A JP 29834993A JP 29834993 A JP29834993 A JP 29834993A JP H07169620 A JPH07169620 A JP H07169620A
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magnetic
magnetic thin
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atom
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JP29834993A
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English (en)
Inventor
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Moichi Otomo
茂一 大友
Yoshitsugu Koiso
良嗣 小礒
Hidetoshi Moriwaki
英稔 森脇
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気特性を維持しながらFe−Ta−C系磁
性薄膜の耐食性を向上させる。 【構成】 Feを主成分とし、Ta(5〜20原子
%)、C(1〜20原子%)、第1添加元素としてC
r,Al,Nb,MoおよびRuの中の少なくとも1種
(0.5〜8原子%)、第2添加元素としてNを含む。
第1添加元素のみを添加した場合に生じる飽和磁束密度
および保磁力の変化と、第2添加元素のみを添加した場
合に生じる飽和磁束密度および保磁力の変化が、互いに
他を補償する関係にあるようにする。 【効果】 磁気特性を維持しながら耐食性が向上したF
e−Ta−C系磁性薄膜が得られる。磁気ヘッドの信頼
性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁性薄膜及びその磁
性薄膜を用いた磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にともな
い、小型で高密度な記憶装置へのニーズが高まってい
る。このような状況の下、磁気記録装置も高密度記録お
よびダウンサイジングへの研究が急速に進められてい
る。
【0003】磁気記録装置において高密度記録を実現す
るには、記録した微小磁区を安定に存在させるため、高
保磁力を有する磁気記録媒体とこの媒体に情報を記録で
きる高性能磁気ヘッドが必要となる。そして、高保磁力
の磁気記録媒体を十分に磁化して信号(情報)を記録す
るには、それに見合った強い磁界を発生できる磁気ヘッ
ド材料、すなわち高い飽和磁束密度を有する磁気ヘッド
材料が必要である。
【0004】このような高い飽和磁束密度を有する材料
として現在までに提案されているものには、Fe−C系
やFe−N系の材料がある。しかし、これらの材料は、
大気中の酸素や水と反応して水酸化物や酸化物を生成し
て磁気特性(特に保磁力や飽和磁束密度)の変動を生じ
やすいため、これらの材料で製作した磁気ヘッドでは使
用中に性能が低下する恐れがある。
【0005】そこで、これら磁気特性の変動を抑制する
ため、Fe−C系やFe−N系の材料に耐食性を向上さ
せるための元素を添加することが提案されているが、そ
の一例として、特開平3−20444号公報に開示され
ている軟磁性合金膜を挙げることができる。この軟磁性
合金膜は、組成式がFexzw(M=Ti,Zr,H
f,Nb,Ta,MoおよびWの1種または2種以上)
で示され、その金属組織が基本的に平均粒径0.008
μm以下の結晶粒からなり、その一部に元素Mの炭化物
の結晶相を含むものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平3−20
444号公報に開示されている軟磁性合金膜では、元素
の添加および組成調整により最適化した磁気特性と、耐
食性の向上に必要な添加元素濃度との間に両立が困難な
場合があるという問題がある。すなわち、耐食性を確保
すると磁気特性(特に飽和磁束密度および保磁力)が低
下し、逆に、磁気特性を確保すると耐食性が低下するの
である。磁気特性が低下すると、それを用いた磁気ヘッ
ドで情報の記録を行なった場合に、エラーやノイズが生
じる場合がある。
【0007】そこで、この発明の目的は、磁気特性を維
持しながら耐食性を向上させることができるFe−Ta
−C系の磁性薄膜を提供することにある。
【0008】この発明の他の目的は、従来より高い信頼
性を有する磁気ヘッドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) この発明の第1の磁性薄膜は、Feを主成分と
し、Taを5原子%から20原子%の範囲で、Cを1原
子%から20原子%の範囲でそれぞれ含む磁性薄膜にお
いて、第1および第2の添加元素を含んでいて、前記第
1の添加元素のみを前記磁性薄膜に添加した場合に生じ
る飽和磁束密度および保磁力の変化と、前記第2の添加
元素のみを前記磁性薄膜に添加した場合に生じる飽和磁
束密度および保磁力の変化とが、互いに他を補償する関
係にあることを特徴とする。
【0010】前記第1の添加元素は、Cr,Al,N
b,MoおよびRuからなる群の中から選ばれる少なく
とも1種であって、その添加量が0.5原子%から8原
子%の範囲にあり、前記第2の添加元素はNであるのが
好ましい。
【0011】これら添加元素の中で特に効果が大きいの
は、前記第1の添加元素としてCrおよびRuの2元素
を用い、前記第2添加元素としてNを用いた場合であ
る。
【0012】また、この発明の磁性薄膜では、飽和磁束
密度が前記第1および第2の添加元素を添加しない場合
の飽和磁束密度に等しくなっているのが好ましい。この
場合の前記飽和磁束密度は1.5テスラ以上であるのが
好ましい。この値は、前記第1および第2の添加元素を
含まない場合の飽和磁束密度と同じであるので、前記第
1および第2の添加元素を添加しない場合と同等の磁気
特性を維持しながら耐食性を向上できる利点がある。
【0013】(2) この発明の第1の磁性薄膜は、F
eを主成分とし、Taを5原子%から20原子%の範囲
で、Cを1原子%から20原子%の範囲でそれぞれ含む
磁性薄膜において、第1および第2の添加元素を含んで
いて、前記第1の添加元素のみを前記磁性薄膜に添加し
た場合に生じる飽和磁束密度および保磁力の変化と、前
記第2の添加元素のみを前記磁性薄膜に添加した場合に
生じる飽和磁束密度および保磁力の変化とが、互いに他
を補償する関係にあり、前記第1の添加元素がCr,A
l,Nb,MoおよびRuからなる群の中から選ばれる
少なくとも1種であって、その添加量が0.5原子%か
ら8原子%の範囲にあり、また、前記第2の添加元素が
Nであり、さらに、当該磁性薄膜の組織が平均粒径が1
0nm以下の結晶粒を含んでいることを特徴とする。
【0014】前記結晶粒は、主としてαFeの結晶であ
るが、TaCの結晶も含まれる。平均粒径を10nm以
下とするのは、この範囲で良好な磁気特性が得られるか
らである。
【0015】前記結晶粒は、例えば、成膜後に加熱処理
を行なうことにより容易に析出させることができるが、
同じ効果が得られれば他の方法でもよい。前記結晶粒を
析出させるのは、当該磁性薄膜を用いた磁気ヘッドの組
立ての際にガラスボンディングが行なわれることを考慮
したものである。
【0016】この第2の磁性薄膜では、前記第2の添加
元素としてのNは通常、侵入型の固溶体もしくは窒化物
として当該薄膜全体にほぼ均一に分布し、あるいは、前
記結晶の粒界に偏析する。このNにより、前記結晶粒の
成長が抑制される。
【0017】前記窒化物は、前記第1添加元素の窒化物
であり、例えば、AlN、Cr2N、TaN、Ta2N、
MoN2、NbN、Fe2N、Fe4N、Mo2N、Nb2
Nである。
【0018】また、膜厚方向にNの濃度勾配があるのが
好ましい。この場合、当該薄膜中を酸素が拡散するのを
いっそう抑制できる効果がある。
【0019】前記膜厚方向のNの濃度勾配は、当該薄膜
の内部から表面に向かって濃度が増加しているのが好ま
しい。腐食抑制効果が最も大きくなるからである。
【0020】当該薄膜の内部に複数種の窒化物が存在し
てもよい。これら窒化物は通常、前記結晶粒析出時の拡
散能が異なるので、濃度勾配を持っている。その濃度勾
配は膜中の酸素の拡散を抑制する作用を持つので、腐食
反応の進行がいっそう抑制される利点がある。この窒化
物としては、例えば、TaN、N−Ta−C、(TaN
b)N、NbNなどがある。
【0021】好ましくは、Fe、Taおよび前記第1の
添加元素の一部は、炭化物として前記結晶の粒界に偏析
している。換言すれば、すべてのCが炭化物を構成して
いてFeとは結合していない。これにより良好な磁気特
性が得られるからである。
【0022】前記炭化物は、例えばTaC、Fe3C、
Cr32、Mo2C、MoC、Cr73、Cr4C、Nb
C、Nb2C、AlCである。
【0023】Fe,Ta,Cr,Al,Nb,Moおよ
びRuなどの金属元素は、NやCとの間に化学的な結合
が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよ
い。
【0024】前記第2添加元素としてのNは、Nを含む
雰囲気中におけるスパッタリングにより成膜を行なえ
ば、容易に添加されることができる。また、成膜中にN
のガス濃度を変えれば、薄膜中にNの濃度勾配を容易に
形成することができる。
【0025】(3)この発明の磁気ヘッドは、上記
(1)または(2)に記載の磁性薄膜を備えたことを特
徴とする。この磁性薄膜は磁気ヘッドのコアの全体また
は一部に使用される。
【0026】
【作用】一般に、磁性薄膜に元素を添加すると、磁気特
性、特に磁気ヘッドの特性として重要な飽和磁束密度お
よび保磁力が劣化する。
【0027】この発明の磁性薄膜では、第1の添加元素
のみを前記磁性薄膜に添加した場合に生じる飽和磁束密
度および保磁力の変化と、第2の添加元素のみを前記磁
性薄膜に添加した場合に生じる飽和磁束密度および保磁
力の変化とが、互いに他を補償する関係にあるので、第
1および第2の添加元素の添加量を調整すると、所望の
磁気特性を確保したまま耐食性を向上させることができ
る。
【0028】この発明の磁気ヘッドでは、所望の磁気特
性を確保したまま耐食性を向上させた磁性薄膜を用いて
いるので、従来より高い信頼性が得られる。
【0029】
【実施例】以下、この発明を実施例を用いてさらに詳細
に説明する。
【0030】[実施例1]この実施例の磁性薄膜は、第
1添加元素としてCrとRuの2元素を用い、第2添加
元素としてNを用いたものであり、次のようにして製造
した。
【0031】まず、FeTaC合金ターゲット上にCr
とRuのターゲットを均一に配置した複合体ターゲット
を用い、N2ガスを0.5%含むArガスを放電ガスと
して、放電ガス圧力:6mTorr、投入RF電力:4
00Wにてスパッタリングを行ない、合金薄膜を得た。
【0032】次に、この合金薄膜を590゜Cで1時
間、加熱処理しアニールを行なった。これは、磁気ヘッ
ドを作製する工程にガラスボンディング工程が含まれて
いることを考慮したものである。
【0033】アニールによって得られた磁性薄膜の組成
は、Fe73Ta710Cr7Ru3xであった。Nの定量
は困難であったので、その含有量は不明であるが、定量
が不可能である点から考えると、x≦0.1原子%と推
定される。
【0034】この磁性薄膜の含有元素のESCAスペク
トルを測定したところ、そのスペクトルには3種類のピ
ークが存在した。これらのピークはそれぞれ、Nが原子
状で存在するもの、第1添加元素であるCrおよびRu
の窒化物として存在するもの、そして、NおよびCと金
属元素(Fe,Ta,CrまたはRu)とが結合したも
のに基づくものであると推定された。
【0035】また、この磁性薄膜の磁気特性を測定した
ところ、飽和磁束密度は1.71T、保磁力は0.30
Oe、比透磁率は4200(1MHz)、磁歪定数は5
×10-7であった。
【0036】この磁性薄膜の耐食性を次のようにして調
べた。当該磁性薄膜を60゜Cの空気で曝気した市水
(水道水)および0.1Nの食塩水中に浸漬させ、磁気
特性の経時変化を測定した。ここで、磁気特性は、ヘッ
ド材料として重要なパラメータである飽和磁束密度によ
り評価した。
【0037】併せて、磁性薄膜の表面の腐食面積(変色
領域)の経時変化を直接測定した。その結果を図1と図
2にそれぞれ示す。
【0038】図1および図2より、この実施例の磁性薄
膜は、いずれの水を用いた場合でも、磁気特性および腐
食面積のいずれについても変化が見られなかった。よっ
て、優れた耐食性を有していることがわかる。
【0039】次に、以上の構成の磁性薄膜をフェライト
基板上に形成し、図5に示すMIG(Metal In Gap)型
磁気ヘッドとして組み立てた。
【0040】図5において、前記のようにして得た磁性
薄膜1は、フェライト基板2の表面に形成されている。
同じ構成を持つフェライト基板2の2個が、鉛ガラス4
を介して接合・一体化されている。2個の磁性薄膜1は
互いに対向して配置されており、磁気ヘッドの摺動面に
おいてそれら磁性薄膜1の間にギャップ3が形成されて
いる。この磁気ヘッドには、中央部の透孔5を介してコ
イル(図示省略)が巻き付けられる。
【0041】図5の構成の磁気ヘッドを、80゜Cと−
30゜Cとの間を往復する環境中へ放置し、再生信号の
経時変化を調べた。この環境では、湿度の制御を行なっ
ていないので、磁気ヘッドには結露が見られた。その
際、ハイビジョンのディジタルVTRとしての記録/再
生を行ない、信号出力の変化を調べた。
【0042】その結果、このヒートサイクルの繰返しを
100回以上行なっても、再生信号出力は40dBで一
定であり、変化は見られなかった。よって、この磁気ヘ
ッドは、耐食性に優れており、上記のような環境下でも
良好な磁気特性が維持されることが判明した。
【0043】この磁気ヘッドは、高飽和磁束密度を有し
ているので、高密度磁気記録に適しており、特にハイビ
ジョンのディジタルVTR用の磁気ヘッドに好適であ
る。
【0044】[比較例1]Nを含まない純Ar雰囲気と
した以外は、上記実施例1と同じ条件で製造した場合、
その磁性薄膜の磁気特性は、飽和磁束密度が1.38
T、保磁力が0.78Oe、比透磁率が2900(1M
Hz)、磁歪定数が1×10−6であった。これは磁気
ヘッドとしては十分なものではない。そこで、この磁気
特性(特に飽和磁束密度)を向上して実施例1のそれと
同等にするには、CrとRuの濃度を低下させればよ
い。そこで、組成調整により、組成がFe75Ta811
Cr4Ru2の磁性薄膜を比較例1として製造した。この
薄膜の磁気特性を測定したところ、飽和磁束密度は1.
51T、保磁力は0.51Oe、比透磁率は3500
(1MHz)、磁歪定数は8×10-7であった。
【0045】この比較例1の磁性薄膜を用いて図5の構
成の磁気ヘッドを製造し、その磁気ヘッドを用いて磁性
薄膜の耐食性を、実施例1と同様にして調べた。その結
果を図1および図2にそれぞれ示す。
【0046】図1および図2より分かるように、この比
較例1の磁性薄膜では、時間の経過と共に飽和磁束密度
が減少し、保磁力が増大している。また、腐食面積が時
間の経過と共に増大し、腐食が進行していることが分か
る。よって、比較例1は、実施例1に比べて耐食性が劣
っていることが明らかである。
【0047】[実施例2]この実施例の磁性薄膜は、第
1添加元素としてCrとNbの2元素を用い、第2添加
元素としてNを用いたものであり、次のようにして製造
した。
【0048】まず、FeTaC合金上にCrとNbを均
一に配置した複合体ターゲットに用い、N2ガスを0.
5%含むArガスを放電ガスとして、放電ガス圧力:6
mTorr、投入RF電力:400Wにてスパッタリン
グを行なっい、合金薄膜を得た。次に、この合金薄膜を
590゜Cで1時間、加熱処理しアニールを行なった。
得られた磁性薄膜の組成は、Fe73Ta710Cr7
4xであった。この場合もNの定量は困難であったの
で、その含有量は不明であるが、定量が不可能である点
から考えると、x≦0.1原子%と推定される。
【0049】この磁性薄膜の含有元素のESCAスペク
トルを測定したところ、そのスペクトルには3種類のピ
ークが存在した。これらのピークはそれぞれ、Nが原子
状で存在するもの、添加元素すなわちCrおよびNbの
窒化物として存在するもの、そして、NおよびCと金属
元素(Fe,Ta,CrまたはNb)とが結合したもの
に基づくものであると推定された。
【0050】また、この磁性薄膜の磁気特性を測定した
ところ、飽和磁束密度は1.65T、保磁力は0.40
Oe、比透磁率は3900(1MHz)、磁歪定数は6
×10-7であった。
【0051】この磁性薄膜の耐食性を実施例1と同様に
して調べた。飽和磁束密度に関する結果を図3に、膜表
面の腐食面積(変色領域)の経時変化に関する結果を図
4に示す。
【0052】図3および図4より、この実施例2の磁性
薄膜は、いずれの水を用いた場合でも、磁気特性および
腐食面積のいずれについても変化が見られなかった。よ
って、優れた耐食性を有していることがわかる。
【0053】次に、この磁性薄膜を用いて図5に示すM
IG型磁気ヘッドを組み立て、実施例1と同様の条件で
信号出力の経時変化を求めた。その結果、このヒートサ
イクルの繰返しを100回以上行なっても、再生信号出
力は39dBで一定であり、変化は見られなかった。よ
って、この磁気ヘッドも、耐食性に優れており、上記の
ような環境下でも良好な磁気特性が維持されることが判
明した。
【0054】[比較例2]Nを含まない純Ar雰囲気と
した以外は、上記実施例2と同じ条件で製造した場合、
得られた磁性薄膜の磁気特性は、飽和磁束密度が1.2
9T、保磁力が0.68Oe、比透磁率が2500(1
MHz)、磁歪定数が1.5×10-6であった。これは
磁気ヘッドとしては十分なものではない。そこで、この
磁気特性(特に飽和磁束密度)を向上して実施例1のそ
れと同等にするには、CrとNbの濃度を低下させれば
よい。そこで、組成調整により、組成がFe75Ta8
11Cr4Nb2の磁性薄膜を比較例2として製造した。こ
の薄膜の磁気特性を測定したところ、飽和磁束密度は
1.51T、保磁力は0.51Oe、比透磁率は350
0(1MHz)、磁歪定数は8×10-7であった。
【0055】この比較例2の磁性薄膜を用いて図5の構
成の磁気ヘッドを製造し、その磁気ヘッドを用いて磁性
薄膜の耐食性を、実施例2と同様にして調べた。その結
果を図3および図4にそれぞれ示す。
【0056】図3および図4より分かるように、この比
較例2の磁性薄膜では、時間の経過と共に飽和磁束密度
が減少している。(図示していないが、比較例1と同様
に保磁力は増大した。)また、腐食面積が時間の経過と
共に増大し、腐食が進行していることが分かる。よっ
て、比較例2は、実施例2に比べて耐食性が劣っている
ことが明らかである。
【0057】
【発明の効果】この発明によれば、磁気特性を維持しな
がら耐食性を向上させたFe−Ta−C系の磁性薄膜が
得られる。◆また、従来より高い信頼性を有する磁気ヘ
ッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1および比較例1の磁性薄膜
を水中に浸漬した時の磁気特性の経時変化を示すグラフ
である。
【図2】この発明の実施例1および比較例1の磁性薄膜
を水中に浸漬した時の腐食面積の経時変化を示すグラフ
である。
【図3】この発明の実施例2および比較例2の磁性薄膜
を水中に浸漬した時の磁気特性の経時変化を示すグラフ
である。
【図4】この発明の実施例2および比較例2の磁性薄膜
を水中に浸漬した時の腐食面積の経時変化を示すグラフ
である。
【図5】この発明の実施例1の磁性薄膜を用いた磁気ヘ
ッドを示す図である。
【符号の説明】
1 磁性薄膜 2 フェライト基板 3 ギャップ 4 鉛ガラス 5 透孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森脇 英稔 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主成分とし、Taを5原子%から
    20原子%の範囲で、Cを1原子%から20原子%の範
    囲でそれぞれ含む磁性薄膜において、 第1および第2の添加元素を含んでいて、前記第1の添
    加元素のみを前記磁性薄膜に添加した場合に生じる飽和
    磁束密度および保磁力の変化と、前記第2の添加元素の
    みを前記磁性薄膜に添加した場合に生じる飽和磁束密度
    および保磁力の変化とが、互いに他を補償する関係にあ
    ることを特徴とする磁性薄膜。
  2. 【請求項2】 前記第1の添加元素がCr,Al,N
    b,MoおよびRuからなる群の中から選ばれる少なく
    とも1種であって、その添加量が0.5原子%から8原
    子%の範囲にあり、前記第2の添加元素がNである請求
    項1に記載の磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 前記第1の添加元素がCrおよびRuの
    2元素である請求項2に記載の磁性薄膜。
  4. 【請求項4】 飽和磁束密度が、前記第1および第2の
    添加元素をいずれも添加しない場合の飽和磁束密度に等
    しい請求項1〜3のいずれかに記載の磁性薄膜。
  5. 【請求項5】 前記飽和磁束密度が1.5テスラ以上で
    ある請求項4に記載の磁性薄膜。
  6. 【請求項6】 Feを主成分とし、Taを5原子%から
    20原子%の範囲で、Cを1原子%から20原子%の範
    囲でそれぞれ含む磁性薄膜において、 第1および第2の添加元素を含んでいて、前記第1の添
    加元素のみを前記磁性薄膜に添加した場合に生じる飽和
    磁束密度および保磁力の変化と、前記第2の添加元素の
    みを前記磁性薄膜に添加した場合に生じる飽和磁束密度
    および保磁力の変化とが、互いに他を補償する関係にあ
    り、 前記第1の添加元素がCr,Al,Nb,MoおよびR
    uからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であっ
    て、その添加量が0.5原子%から8原子%の範囲にあ
    り、また、前記第2の添加元素がNであり、 さらに、当該磁性薄膜の組織が平均粒径が10nm以下
    の結晶粒を含んでいることを特徴とする磁性薄膜。
  7. 【請求項7】 前記第2の添加元素としてのNが、侵入
    型の固溶体および窒化物のいずれかとして当該磁性薄膜
    の全体にわたってほぼ均一に存在している請求項6に記
    載の磁性薄膜。
  8. 【請求項8】 前記第2の添加元素としてのNが、侵入
    型の固溶体および窒化物のいずれかとして前記結晶の粒
    界に偏析している請求項6に記載の磁性薄膜。
  9. 【請求項9】 Fe、Taおよび前記第1の添加元素の
    一部が炭化物として、前記結晶の粒界に偏析している請
    求項6〜8のいずれかに記載の磁性薄膜。
  10. 【請求項10】 膜厚方向に前記第2の添加元素として
    のNの濃度勾配がある請求項6〜9のいずれかに記載の
    磁性薄膜。
  11. 【請求項11】 前記第2の添加元素としてのNの膜厚
    方向の濃度が、当該磁性薄膜の内部から表面に向かって
    増加している請求項10に記載の磁性薄膜。
  12. 【請求項12】 前記第1の添加元素がCrおよびRu
    の2元素である請求項6に記載の磁性薄膜。
  13. 【請求項13】 飽和磁束密度が、前記第1および第2
    の添加元素をいずれも添加しない場合の飽和磁束密度に
    等しい請求項6〜12のいずれかに記載の磁性薄膜。
  14. 【請求項14】 前記飽和磁束密度が1.5テスラ以上
    である請求項13に記載の磁性薄膜。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載の磁
    性薄膜を備えたことを特徴とする磁気ヘッド。
JP29834993A 1993-11-29 1993-11-29 磁性薄膜及びそれを用いた磁気ヘッド Pending JPH07169620A (ja)

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