JPH07196382A - 多孔質焼結体及び固体電解質型燃料電池 - Google Patents

多孔質焼結体及び固体電解質型燃料電池

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JPH07196382A
JPH07196382A JP5350275A JP35027593A JPH07196382A JP H07196382 A JPH07196382 A JP H07196382A JP 5350275 A JP5350275 A JP 5350275A JP 35027593 A JP35027593 A JP 35027593A JP H07196382 A JPH07196382 A JP H07196382A
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真司 川崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】多孔質焼結体を固体電解質燃料電池の空気極材
料としたとき、900〜1000℃の温度と、室温〜6
00℃の温度との間で加熱─冷却サイクルをかけたと
き、他の構成材との間でクラックが発生した。このクラ
ックを防止するため、多孔質焼結体に安定性を与えるこ
とである。 【構成】ペロブスカイト構造のランタンマンガナイトか
らなる多孔質焼結体。ランタンマンガナイトのAサイト
の22%以上、35%以下がカルシウムで置換され、ア
ルミニウム、コバルト、銅、マグネシウム、ニッケル、
鉄、チタン及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上の
金属原子によって、Bサイトのマンガン原子の一部が置
換されており、室温と1000℃との間の熱サイクルに
よって生ずる寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.01
%以下である。又は、Aサイトの20%以上、40%以
下がストロンチウムによって置換されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質焼結体及びこれ
を空気極材料として用いた固体電解質型燃料電池に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池(SOFC)は、
1000℃の高温で作動するため電極反応が極めて活発
で、高価な白金などの貴金属触媒を全く必要とせず、分
極が小さく、出力電圧も比較的高いため、エネルギー変
換効率が他の燃料電池に比べて著しく高い。更に、構造
材は全て固体から構成されるため、安定かつ長寿命であ
る。
【0003】SOFCの開発事業においては、高温で安
定な材料の探索が重要である。SOFCの空気極材料と
しては、現在、ランタンマンガナイト焼結体が有望と見
られている(エネルギー総合工学、13、2、52〜6
8頁、1990年)。こうしたランタンマンガナイト焼
結体においては、ほぼ化学量論的組成のものやAサイト
(ランタン部位)が一部欠損した組成のもの(マンガン
リッチな組成)も知られている。また、Aサイトが一部
欠損した組成のランタンマンガナイト焼結体は、室温か
ら1000℃へと温度が上昇すると、重量が減少するこ
とが報告されている(J.Electrochem.S
oc.138,5,1519〜1523頁,1991
年)。この場合には、800℃近辺から焼結体の重量が
減少し始めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特に、AサイトにC
a、Srをドープしたランタンマンガナイトからなる多
孔質焼結体が、自己支持型の空気極管を含む空気極の材
料として有望視されている。ところが、こうした多孔質
焼結体について、次の問題があることを、本発明者が初
めて発見した。
【0005】即ち、SOFCの発電温度である900〜
1100℃の温度と、室温〜600℃の温度との間で加
熱−冷却サイクルをかけると、上記の多孔質焼結体から
なる空気極管と、単電池の他の構成材料との間でクラッ
クが発生し、単電池の破壊が生ずることが判明した。し
かも、この単電池を1000℃で長時間動作させても、
このようなクラックは全く発生しなかった。従って、こ
の現象は、上記の多孔質焼結体の焼成収縮によるもので
はなく、上記の熱サイクルによる寸法変化に起因するも
のと考えられた。
【0006】本発明の課題は、上記の熱サイクルに対す
る安定性をランタンマンガナイト多孔質焼結体に付与す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る多孔質焼結
体は、ペロブスカイト構造のランタンマンガナイトから
なり、ランタンマンガナイトのAサイトの22%以上、
35%以下がカルシウムによって置換されており、アル
ミニウム、コバルト、銅、マグネシウム、ニッケル、
鉄、チタン及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上の
金属原子によってBサイトのマンガン原子の一部が置換
され、室温と1000℃との間の熱サイクルによって生
ずる寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.01%以下で
あることを特徴とする。
【0008】また、本発明に係る多孔質焼結体は、ペロ
ブスカイト構造のランタンマンガナイトからなり、ラン
タンマンガナイトのAサイトの20%以上、40%以下
がストロンチウムによって置換されており、アルミニウ
ム、コバルト、銅、マグネシウム、ニッケル、鉄、チタ
ン及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上の金属原子
によってBサイトのマンガン原子の一部が置換され、室
温と1000℃との間の熱サイクルによって生ずる寸法
収縮が熱サイクル1回当たり0.01%以下であること
を特徴とする。
【0009】
【作用】最初に、熱サイクルによる多孔質焼結体の寸法
収縮現象について、説明する。本発明者は、従来のラン
タンマンガナイト多孔質焼結体について、900〜11
00°Cの温度と、室温〜600°Cの温度との間で、
加熱−冷却サイクルをかけ、その安定性を試験してみ
た。このランタンマンガナイトは、Bサイトは特に置換
されておらず、Aサイトの10mol%〜20mol%
がカルシウムによって置換されているものであり、又
は、Aサイトの10mol%〜15mol%がストロン
チウムによって置換されているものである。
【0010】この結果、上記の多孔質焼結体の寸法が熱
サイクル1回当り0.01〜0.04%程度収縮するこ
とが判明した。しかも、この熱サイクルによる収縮は、
100回の熱サイクルをかけても収束せず、100回の
熱サイクルで数%にも及ぶことが判明した。このように
空気極が収縮すると、単電池の他の構成材料との間でク
ラックが発生し、単電池の破壊の原因となる。
【0011】本出願人は、この問題を解決するために研
究を進めた。この結果、上記した組成の複合酸化物から
なる多孔質焼結体によれば、室温と1000°Cとの間
の熱サイクルによって生ずる寸法収縮を、上記の熱サイ
クル1回当たり0.01%以下に抑えることができるこ
とを発見した。しかも、これにより、900〜1100
°Cの温度と、室温〜600°Cの温度との間で加熱−
冷却サイクルをかけても、多孔質焼結体と他の構成材料
との間でクラックが発生しないことを確認した。
【0012】「寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.0
1%以下である」とは、多孔質焼結体を焼結させた後、
最初の熱サイクルから10回目又は100回目の熱サイ
クルまでの各寸法収縮の平均値を指すものとする。
【0013】本発明の多孔質焼結体においては、アルミ
ニウム、コバルト、銅、マグネシウム、ニッケル、鉄、
チタン及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上の金属
原子によって、ランタンマンガナイトのBサイトのマン
ガン原子の一部を置換する。
【0014】Bサイトにおけるマンガン原子以外の金属
原子の置換割合は、0.02%以上、20%以下とする
ことが好ましく、5%以上、20%以下とすることが更
に好ましい。この置換割合が0.02%未満であると収
縮抑制効果が顕著ではなく、20%を超えると、電気伝
導度が低下する。この置換割合を5%以上とすると、熱
サイクルによる収縮の抑制効果が一層顕著になるし、2
0%以下にすると、多孔質焼結体の電気伝導度の低下が
小さい。
【0015】多孔質焼結体のBサイトには、上記の金属
原子を二種類以上置換することができる。この場合に
は、二種類以上の置換原子の置換量の合計を、上記の割
合とすることが好ましい。
【0016】本発明の多孔質焼結体においては、Aサイ
トの22%以上、35%以下をカルシウムによって置換
する。カルシウムの置換量が15%以上、22%未満で
あると、上記の熱サイクルに対する寸法収縮の低減の効
果が顕著ではない。なお、置換量が15%未満である
と、熱サイクルによる寸法収縮量が低下する傾向がある
が、900°Cと1000°Cとの間における昇温時と
降温時との熱膨張係数の変化が、2%以上となる。カル
シウムの置換量が35%を越えると、多孔質焼結体の熱
膨張係数が急激に増大する。
【0017】又は、Aサイトの20%以上、40%以下
をストロンチウムによって置換する。ストロンチウムの
置換量が20%未満であると、上記の熱サイクルに対す
る寸法収縮の低減の効果が顕著ではない。ストロンチウ
ムの置換量が40%を越えると、多孔質焼結体の熱膨張
係数が増大する。
【0018】また、ランタンマンガナイトは非化学量論
的組成をとりうるので、多孔質焼結体の製造工程におい
て不可避的に混入する若干の不純物に由来するランタン
マンガナイトの組成変動は、許容される。
【0019】更に、本発明者は、上記の熱サイクルに伴
なう多孔質焼結体の寸法収縮が生ずる機構などについ
て、研究を進めた。この結果、1000°Cにおける重
量を室温における重量で除した値を0.9988以上と
すると、上記の寸法収縮が顕著に抑制されることを見出
した。即ち、室温から1000°C程度の高温に多孔質
焼結体を昇温すると、多孔質焼結体に重量減少が見ら
れ、この重量減少が、上記の熱サイクルによる寸法収縮
と明確な相関を有していた。
【0020】上記の現象の機構は、現時点では明らかで
はない。しかし、室温から1000°C程度まで温度上
昇させると多孔質焼結体の重量が僅かに減少し、再び室
温に温度降下させると、この重量が元に戻る。
【0021】また、本発明者は、更に研究を進めた結
果、多孔質焼結体の電気伝導度の活性化エネルギー(活
性化エネルギーと記す。)が、上記の熱サイクルによる
寸法収縮と明確な相関を有していることを見出した。即
ち、200°C〜1000°Cの広範囲に亘ってアレニ
ウスプロットを作成してみると、200°C〜600°
Cの範囲における活性化エネルギーと900〜1000
°Cの範囲における活性化エネルギーとの差が明確に現
われた多孔質焼結体においては、熱サイクル寸法収縮が
進行することが判明した。
【0022】具体的には、200°C〜600°Cの範
囲における活性化エネルギーと900〜1000°Cの
範囲における活性化エネルギーとの差を0.01eV以下にす
ると、室温と1000°Cとの間の熱サイクルによって
生ずる寸法収縮を熱サイクル1回当り0.01%以下に
抑制できることが明らかになった。
【0023】また、900°Cと1000°Cとの間に
おける、昇温時と降温時との熱膨張係数の変化が2%以
下となる場合には、上記した熱サイクルによる寸法収縮
が、1回当たり0.01%以下となり、顕著に減少する
ことも確認した。
【0024】これらの現象が生ずる機構は、現在のとこ
ろ不明である。しかし、熱サイクルに伴って、大気中の
800℃以上の温度域で酸素が結晶中に出入りし、この
出入りに伴って結晶格子が歪み、金属原子の物質移動が
促進されているものと推測される。また、多孔質焼結体
の熱サイクルに伴う寸法収縮量は、焼結体を構成する結
晶粒径、熱サイクル時の昇降温速度、雰囲気中の酸素分
圧によって、若干異なってくる。即ち、結晶粒径が小さ
いほど、昇降温速度が小さいほど、雰囲気中の酸素分圧
が高いほど、多孔質焼結体の寸法収縮が大きいことが判
った。
【0025】本発明の多孔質焼結体は、特に、熱サイク
ルに対して安定な高温電極材料として好ましく使用でき
る。こうした高温電極材料としては、核融合炉、MHD
発電等における電極材料がある。
【0026】また、本発明の多孔質焼結体は、SOFC
用の空気極材料として、特に好適に使用できる。更に、
自己支持型の空気極基体の材料として用いることが好ま
しい。こうした空気極基体は、単電池の母材として用い
られるものであり、空気極基体上に、固体電解質膜、燃
料電極膜、インターコネクター、セパレータなどの各構
成部分が積層される。この際、空気極基体の形状は、両
端が開口した円筒形状、一端が開口し、他端が閉塞され
た有底円筒形状、平板形状などであってよい。このう
ち、上記したいずれかの円筒形状のものが、熱応力がか
かりにくく、ガスシールが容易なので、特に好ましい。
【0027】多孔質焼結体の気孔率は、5〜40%とす
ることが好ましい。また、これをSOFC用の空気極材
料として用いる場合には、更に気孔率を15〜40%と
することが好ましく、25〜35%とすると一層好まし
い。この場合は、空気極の気孔率を15%以上とするこ
とで、ガス拡散抵抗を小さくし、気孔率を40%以下と
することで、ある程度の強度も確保することができる。
【0028】本発明の多孔質焼結体をSOFC用の空気
極材料として使用する場合には、多孔質焼結体の熱膨張
率を、固体電解質膜や燃料電極膜などの熱膨張率に近く
しなければならない。そして、この固体電解質膜がイッ
トリア安定化ジルコニアである場合には、25°C〜1
000°Cの間の平均熱膨張率は10.5×10-6-1
であることが知られている。
【0029】特開平1─200560号公報において
は、ランタンマンガナイト系のペロブスカイト型複合酸
化物において、La1-X X Mn1-y y 3 の組成を
有する電極材料が開示されている。ここで、Aは、C
a、Srであり、Bは、ニッケル、クロムである。0≦
X≦0.4であり、0<y≦0.25である。こうした
組成の電極材料を採用することにより、バルクの導電率
(σ)及び界面導電率(σE )を向上させ、電極抵抗と
分極電位とを低下させている。
【0030】しかし、本発明における、熱サイクルに伴
う多孔質焼結体の収縮という課題は全く認識されておら
ず、本発明に至るような動機付けが全く存在しない。ま
た、特開平1─200560号公報の実施例を見ると明
らかなように、Aサイトにおけるカルシウムの置換量が
40%であり、熱膨張係数の点でSOFC用の空気極と
しては不適当である(本公報の第3頁第1表)。
【0031】本発明の多孔質焼結体を製造するには、好
ましくは、上記の組成となるように原料を混合し、この
混合物を焼成してランタンマンガナイトを合成し、この
合成物を粉砕してランタンマンガナイト粉末を製造す
る。この粉末に、有機バインダーと造孔剤とを混合して
成形し、この成形体を焼成して多孔質焼結体を得る。
【0032】
【実施例】(実験1) (実験用試料の製造) 出発原料として、La2 3
CaCO3 、Mn3 4、NiO、CuO、MgO、A
2 3 、SrCO3 の各粉末を使用した。表1、表2
に示す組成比率となるように、各例について、所定量の
出発原料を秤量し、混合した。この混合粉末を、コール
ドアイソスタティックプレス法により、1tf/cm2
の圧力で成形し、成形体を作製した。この成形体を、大
気中、1100℃で40時間熱処理し、表1、表2に示
す組成のランタンマンガナイトを合成した。
【0033】この合成体をボールミルにて粉砕し、平均
粒径が約3〜6μm のランタンマンガナイト粉末を作製
した。次に、このランタンマンガナイト粉末に有機バイ
ンダーとしてポリビニルアルコールを分散させ、一軸プ
レス法にて角板を成形した。この成形体を大気中125
0℃で5時間焼成して焼結体を得、この焼結体から、縦
3mm、横4mm、長さ40mmの角棒を切り出し、実験用試
料とした。
【0034】(測定)まず、表1に示す実施例の試料1
〜10及び比較例の試料25を乳鉢にて粉砕し、粉末法
にてX線回折測定を行った。この結果、本発明の実施例
に係る試料1〜10の各回折パターンは、比較例に係る
試料25の回折パターンとほぼ同じであり、かつ単一相
を示している。
【0035】これらのX線回折パターンからみて、試料
1〜10において、カルシウム、ニッケル、銅、マグネ
シウム、アルミニウム、ストロンチウムは、それぞれ確
かにランタンマンガナイト結晶中に固溶していた。
【0036】次いで、各試料の気孔率を水置換法にて測
定した。この結果を表1、表2に示す。
【0037】次に、各試料を大気中にて200℃/時間
で600℃まで昇温し、その後600℃と1000℃と
の間で、200℃/時間の昇降温速度にて10回熱サイ
クルをかけ、室温まで降温した。この際、各熱サイクル
において、600℃と1000℃では各々30分間一定
温度を保持した。その後、マイクロメータを用いて各試
料の寸法を測定し、熱サイクル前後の寸法収縮率を計算
した。これらの測定結果を表1,表2に示す。
【0038】また、各試料の1000℃での電気伝導度
について評価した。これは、SOFCの空気極等として
要求される特性である。この測定は、大気中、1000
℃にて、直流四端子法にて行った。この結果も表1、表
2に示す。ただし、表1、表2においては、気孔率の相
違による電気伝導度への影響を消去するため、測定デー
タは、気孔率30%での値になるよう、計算によって補
正した。
【0039】また、一部の試料については、25°C〜
1000°Cの平均熱膨張係数を測定した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】上記の表2から判るように、試料番号25
と、試料番号21〜24とを比較すると、カルシウムの
置換量を20%とし、あるいはストロンチウムの置換量
を10%とした場合において、Bサイトの一部をニッケ
ル、アルミニウム等によって置換すると、多孔質焼結体
の寸法収縮率が減少している。しかし、試料番号25に
比べて、多孔質焼結体の電気伝導度が減少しており、か
つ、Bサイトにおける置換量が多くなるほど、電気伝導
度が一層減少する傾向があることが判明した。この点
は、電極材料としては不利である。
【0043】一方、試料番号1と試料番号25とを比較
すると、電気伝導度にはあまり差がなく、この一方で寸
法収縮が小さくなっていることが判る。試料番号1と2
1とを比較すると、本発明の実施例に係る試料番号1に
おいては、多孔質焼結体の電気伝導度が向上している。
【0044】更に、試料番号2、3、4を見ると、カル
シウムの置換量が増大するのにつれて、寸法収縮が小さ
くなり、かつ電気伝導度も向上している。試料番号5と
22とを比較すると、やはり試料番号5におけるように
カルシウムの置換量を35%に上昇させることにより、
電気伝導度が、試料番号25と遜色ないまでに向上して
いることが判る。
【0045】試料番号7と23とを比較しても、試料番
号7では、寸法収縮の減少に加えて、電気伝導度の向上
の作用も発揮されている。試料番号10と24とを比較
すると、試料番号10では、寸法収縮の減少に加えて、
電気伝導度の向上の作用も発揮されている。
【0046】また、本発明者は、表1の試料25につい
て、室温から1000℃まで温度を上昇及び下降させ、
熱膨張計によって多孔質焼結体の寸法変化を測定した。
この結果、寸法の収縮現象は、温度下降時の900℃〜
800℃の温度範囲で起こっていることを突き止めた。
従って、この温度範囲で、酸素原子の吸収や金属原子の
移動が生じているものと推定される。また、本実験の条
件である600℃と1000℃の間での熱サイクルによ
る結果は、室温と1000℃との間の熱サイクルによる
結果と同じになる。
【0047】また、試料25を、大気中1000℃で1
0時間保持し、室温へと降温した後、加熱前と加熱後と
の寸法変化率を測定したところ、0.03%の収縮を示
した。一方、表2を見ると、焼成後の10回の熱サイク
ルについて、熱サイクル1回当たりの寸法収縮率は0.
029%であった。
【0048】従って、0.03%の収縮は、熱サイクル
1回分の寸法収縮量にほぼ相当する。この結果から、上
記した0.03%の寸法収縮は、1000℃で10時間
保持している間に生じたのではなく、1000℃から室
温へと下降した降温過程の間に生じたものである。言い
換えると、多孔質焼結体の上記熱サイクルによる収縮現
象は、高温で多孔質焼結体を保持したことによる焼結の
進行とは、全く別の機構によって生じている。
【0049】(実験2)実験1と同様にして、表3、表
4に示す各組成及び気孔率となるように、各例の多孔質
焼結体を製造した。そして、各例の多孔質焼結体につい
て、気孔率、寸法収縮率を測定した。この結果を、表
3、表4に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】表3、表4から判るように、試料番号41
と42、43とを比較すると、カルシウムの置換量を増
大させると、寸法収縮率が顕著に減少していることが判
る。しかし、本発明に従う試料番号31、32と、上記
の試料番号41とを比較すると、カルシウムの置換量が
同じであるのにも係わらず、やはり寸法収縮率が一層顕
著に減少している。また、試料番号33と42とを比較
すると、やはりカルシウムの置換量が同じであったとし
ても、Bサイトの一部(5%)をコバルトで置換するこ
とによって、寸法収縮率が顕著に減少していることが判
る。
【0053】試料番号36、37からも、寸法収縮率の
減少に対して、本発明が特に有効であることが判る。ま
た、試料番号44と45とを比較すると、ストロンチウ
ムの置換量を増大させると、寸法収縮率が顕著に減少し
ていることが判る。しかし、本発明に従う試料番号3
4、35と、上記の試料番号44とを比較すると、スト
ロンチウムの置換量が同じであるのにも係わらず、やは
り寸法収縮率が一層顕著に減少している。
【0054】(実験3)次に、前記したようにして、表
5に示す各組成を有する多孔質焼結体を製造し、前記し
たようにして、気孔率、寸法収縮率、電気伝導度、平均
熱膨張係数を測定した。この結果を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】(実験4)次に、前記したようにして、表
6に示す各組成を有する多孔質焼結体を製造し、各温度
において、熱膨張係数を測定した。この結果を表6に示
す。
【0057】
【表6】
【0058】上記から判るように、カルシウムの置換量
が15%以下であると、900°Cと1000°Cとに
おける熱膨張係数の比率が、2%以上と大きくなる。カ
ルシウムの置換量を20%以上で増加させると、多孔質
焼結体の熱膨張係数が増加する傾向がある。現在のとこ
ろ、SOFCの固体電解質材料としてはジルコニアが有
望視されており、この熱膨張係数が10.5×10-6
K程度である。従って、SOFCの固体電解質と空気極
との熱膨張を整合させるという観点からは、カルシウム
の置換量を小さくする方が好ましく、特に25〜35%
とすることが好ましい。
【0059】また、La−Ca−Mn−Ni系の多孔質
焼結体において、ニッケルの置換量を変化させ、多孔質
焼結体の電気伝導度と寸法収縮率とを測定した。この結
果を図1に示す。この結果、Bサイトの置換量は0.0
2%以上とすることが、特に寸法収縮率の観点から好ま
しく、20%以下とすることが、電気伝導度の観点から
好ましい。
【0060】また、La−Ca−Mn−Co系の多孔質
焼結体において、カルシウムの置換量を変化させ、多孔
質焼結体の平均熱膨張係数と寸法収縮率とを測定した。
この結果を図2に示す。この結果、寸法収縮率を低減す
るためには、カルシウムの置換量を22%以上とする
が、平均熱膨張係数を低く抑えるためには、35%以下
とすることが好ましい。
【0061】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、室
温と1000°Cとの間の熱サイクルによって生ずる寸
法収縮を、非常に小さく抑えることができ、これによ
り、上記の加熱−冷却サイクルをかけても、多孔質焼結
体と他の構成材料との間でクラックが発生するのを、防
止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】La−Ca−Mn−Ni系の多孔質焼結体にお
いて、ニッケルの置換量を変化させ、多孔質焼結体の電
気伝導度と寸法収縮率とを測定した結果を示すグラフで
ある。
【図2】La−Ca−Mn−Co系の多孔質焼結体にお
いて、カルシウムの置換量を変化させ、多孔質焼結体の
平均熱膨張係数と寸法収縮率とを測定した結果を示すグ
ラフである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペロブスカイト構造のランタンマンガナ
    イトからなる多孔質焼結体であって、前記ランタンマン
    ガナイトのAサイトの22%以上、35%以下がカルシ
    ウムによって置換されており、アルミニウム、コバル
    ト、銅、マグネシウム、ニッケル、鉄、チタン及び亜鉛
    からなる群より選ばれた一種以上の金属原子によって前
    記ランタンマンガナイトのBサイトのマンガン原子の一
    部が置換され、室温と1000℃との間の熱サイクルに
    よって生ずる寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.01
    %以下であることを特徴とする多孔質焼結体。
  2. 【請求項2】 前記Bサイトにおけるマンガン原子以外
    の金属原子の置換割合が、0.02%以上、20%以下
    である、請求項1記載の多孔質焼結体。
  3. 【請求項3】 900°Cと1000°Cとの間におけ
    る、昇温時と降温時との熱膨張係数の変化が2%以下で
    あることを特徴とする、請求項1記載の多孔質焼結体。
  4. 【請求項4】 気孔率が5%以上、40%以下である、
    請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の、多孔質焼結
    体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の多孔質焼結体によって空
    気極が形成されていることを特徴とする、固体電解質型
    燃料電池。
  6. 【請求項6】 ペロブスカイト構造のランタンマンガナ
    イトからなる多孔質焼結体であって、前記ランタンマン
    ガナイトのAサイトの20%以上、40%以下がストロ
    ンチウムによって置換されており、アルミニウム、コバ
    ルト、銅、マグネシウム、ニッケル、鉄、チタン及び亜
    鉛からなる群より選ばれた一種以上の金属原子によって
    前記ランタンマンガナイトのBサイトのマンガン原子の
    一部が置換され、室温と1000℃との間の熱サイクル
    によって生ずる寸法収縮が熱サイクル1回当たり0.0
    1%以下であることを特徴とする多孔質焼結体。
  7. 【請求項7】 前記Bサイトにおけるマンガン原子以外
    の金属原子の置換割合が、0.02%以上、20%以下
    である、請求項6記載の多孔質焼結体。
  8. 【請求項8】 900°Cと1000°Cとの間におけ
    る、昇温時と降温時との熱膨張係数の変化が2%以下で
    あることを特徴とする、請求項6記載の多孔質焼結体。
  9. 【請求項9】 気孔率が5%以上、40%以下である、
    請求項6〜8のいずれか一つの項に記載の、多孔質焼結
    体。
  10. 【請求項10】 請求項6記載の多孔質焼結体によって
    空気極が形成されていることを特徴とする、固体電解質
    型燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6129862A (en) * 1994-10-04 2000-10-10 Nissan Motor Co., Ltd. Composite oxides of A-site defect type perovskite structure
RU2570509C1 (ru) * 2014-11-27 2015-12-10 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт высокотемпературной электрохимии Уральского отделения Российской Академии наук Способ получения тонкоплёночного твердого электролита для электрохимических устройств

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RU2570509C1 (ru) * 2014-11-27 2015-12-10 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт высокотемпературной электрохимии Уральского отделения Российской Академии наук Способ получения тонкоплёночного твердого электролита для электрохимических устройств

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