JPH0721451B2 - 不透明試料の顕微吸収分布測定装置 - Google Patents

不透明試料の顕微吸収分布測定装置

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JPH0721451B2
JPH0721451B2 JP2133067A JP13306790A JPH0721451B2 JP H0721451 B2 JPH0721451 B2 JP H0721451B2 JP 2133067 A JP2133067 A JP 2133067A JP 13306790 A JP13306790 A JP 13306790A JP H0721451 B2 JPH0721451 B2 JP H0721451B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は生体試料等の不透明試料の顕微吸収分布測定方
法及びそのための装置に関し、特に、試料に微小領域の
吸収を正確に測定できるように、不要な散乱光を除去し
分解能を高めた顕微吸収分布測定装置に関する。
〔従来の技術〕
X線の発見以来、生体(人体)内部を外部より損傷を与
えずに観察する技術(悲観血的、あるいは無侵襲的計測
法)は、生物学、特に医学の分野で強く求められ発達し
てきた。この技術は電磁波として見ると最も波長の短い
ガンマ線やX線と、最も波長の長いラジオ波が使用され
ている。前者はX線CTとして、後者はNMR−CT(Magneti
c Resonance Imaging、MRI)として実用化されている。
一方、物理や化学の分野で広く用いられている紫外−可
視−近赤外−赤外の領域の分光学を“丸ごと”生体(in
vivo)へ応用する試みは比較的少ない。これは光を用
いた生体計測、特に吸収や発光の過程を利用するものに
おいて、もっとも基本的な“定量性”に関し多くの問題
が解決されずに残されているからである。現在、固体素
子を用いた反射スペクトルの測定装置や高感度TVカメラ
等による計測が試みられているが、再現性や得られた絶
対値に対し信頼性が少ないのはこの理由による。
生体組織のような散乱体に光を照射した際、180°向か
い合わせで受光すればある程度直進光を取り出すことが
できるが、今のところ、その空間分解能はあまり良いと
はいえない。
X線と光とでの空間分解能の差は今のところ埋めること
はできない。しかしながら光、特に近赤外光を用いる
と、血液中のヘモグロビンから組織酸素濃度のイメージ
ングができるはずである。これらは他のNMR−CTやX線C
Tと異なった情報を与えてくれるであろう。
3〜5cmの厚さの組織ならば、われわれは透過してきた
光を検出することができる。このことは“光−レントゲ
ン写真”を診断に使えることを意味する。女性の乳房は
組織が比較的均一であり光が透過しやすく、またその形
状から透過光の検出(厚さ:〜3cm程度)が容易であ
り、古くから乳ガンの診断に、Diaphanography(Lights
canning)という名で用いられてきた。
このような状況の下で、本発明者は、特願平1−62898
号、特願平1−250034号、特願平2−77690号等におい
て、散乱光に混入している平面波を分離して取り出し、
観察するには、平面波のフランフォーファ回折像(エア
リーディスク)の0次スペクトル(エアリーディスクの
第1暗輪内の部分が対応する。)のみを観察するように
すればよく、このようにすることによって散乱成分を殆
ど除くことができることを示した。そしてこのような観
察を実現する高指向性光学系の1つとして、第16図のよ
うに相互に離れた2つのピンホールP1,P2からなる光学
系を提案した。この光学系は、ピンホールP2を通して0
次光を検出器23で検出するものである。また、第17図に
示すように、直線状の細長い中空のガラス繊維35からな
っており、その内壁面には光吸収材、例えばカーボン等
の吸収材35が塗布されている高指向性光学系を提案し
た。さらに、第18図から第25図に示すような、対物レン
ズObとその焦点面に配置した対物レンズObによるフラン
フォーファ回折の0次の回折像のみを通過させるピンホ
ールPとからなる高指向性光学系(第18図)、屈折率分
布レンズGLとその一端の焦点面に配置した同様なピンホ
ールPとからなる高指向性光学系(第19図)、ピンホー
ルPの代わりにそれと同様な作用をする光ファイバーSM
を配置した高指向性光学系(第20図、第21図)、これら
の高指向性光学系のピンホールP又は光ファイバーSMの
出射側に、入射側の対物レンズOb1と同様の対物レンズO
b2を配置した高指向性光学系(第22図、第24図))、入
射側の屈折率分布レンズGL1と同様の屈折率分布レンズG
L2を配置した高指向性光学系(第23図、第25図)等を提
案した。
ところで、従来、散乱を伴う試料の顕微吸収分布を測定
するには、例えば第26図に示したように、広範囲のスペ
クトル成分の光を発光する光源から光をフーリエ分光用
の干渉計を通して透過型と反射型の切替鏡により透過光
路又は落射光路に切り換える。透過型の場合、コンデン
サーレンズの作用をする下側のカセグレイン系により、
照明光を試料台上の試料の微小点に絞って当て、その点
を透過した光及びその点で前方散乱を受けた光を対物レ
ンズの作用をする上側のカセグレイン系によりアパーチ
ャー上に結像し、アパーチャーを通過した光を検出器に
入射させて、その点の吸収特性を測定する。そして、試
料台をX−Y方向に走査して同様な測定を繰り返すこと
により、試料の透過顕微吸収分布を測定することができ
る。切替鏡を落射光路に切り換え、上側のカセグレイン
系により照明光を絞って試料上の点へ当て、その点より
後側に反射散乱させた光を同じ上側のカセグレイン系に
よりアパーチャー上に結像し、同様にして、試料の反射
顕微吸収分布を測定することができる。
また、微小な部分の吸収スペクトルを調べる方法とし
て、光学顕微鏡と分光光度計とを組み合せた顕微分光法
の別の従来法として、第27図に示したものがある。光源
lからの光を分光器m0で単色光とし、絞り(ピンホー
ル)pを証明する。この絞りpを顕微鏡系の光源とし、
照明用顕微鏡m1に光を通すと、絞りpの縮小された像が
試料面sにできる。これをもう1個の顕微鏡m2によって
拡大し、検出器dに導く。このとき、絞りの縮小像の位
置sに試料を置けば、試料の中の局部的な部分だけの吸
光度を測定することができる。
ところで、従来、散乱を伴う試料の吸収スペクトルを散
乱のない試料と同じ測定法で求めると、散乱による影響
が大きくなり正確な吸収スペクトルは得られない。これ
ら散乱を伴う不透明試料の吸収測定法として、オパール
グラスや積分球等を用いて透過積分減光度を測定する測
定法は知られている(例えば、柴田和雄著「光生物シリ
ーズ分光測定入門」第62〜82頁、昭51、6、20、共立出
版(株))発行)参照)。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、前述したフリーエ分光器を用いた赤外領域の
顕微分光測定法も、回析折子分光器を用いた可視領域の
顕微分光測定法も、散乱を伴う不透明試料に対する対策
をしていないため、これらの試料の測定は誤差が大き
く、信頼できるデータは得られない。すなわち、測定点
の前後を含む周囲から不要な散乱光が混入するため、正
確な吸収特性を測定することができず、また、対物レン
ズに0次以外のフランフォーファ回折像成分が入ってく
るため、分解能に限界がある。不透明試料の吸収測定法
として開発されたオパールグラスや積分球を用いた測定
法と顕微分光測定法を単に結び付けた測定法は、検出信
号光が弱く測定が困難となるため、実用化されない。ま
た、検出感度が飛躍的に向上されても、オパールグラス
法や積分球を用いた方法はあくまで近似法であるため、
反射光束が大きくなったり、散乱透過光束の波長変化と
散乱反射光束の波長変化が同じであると近似できない試
料では、誤差が大きく使用できない。このように、散乱
を伴う不透明試料の微小な部分の吸収スペイトルは、現
在、適切な測定法がないのが現状である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、
その目的は、生体組織等の不透明試料の微小領域の吸収
を正確に測定できるように、不要な散乱光を除去し、分
解能を高めた顕微吸収分布測定装置を提供することであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成する本発明の不透明試料の顕微吸収分布
測定装置の第1のものは、波長変更可能な単色光源から
の光を2分して、一方の光路中に入射光の周波数をシフ
トさせる周波数シフト手段を設け、他方の光路中に2個
の収束光学系よりなる共焦点光学系を配置し、共焦点光
学系の集光位置に相対的に走査可能な試料を配置し、周
波数シフト手段から射出する指向性の高い光と試料の測
定点から発散され共焦点光学系によって平行光に変換さ
れた光とを合成して同方向に射出させるビーム合成手段
を設け、ビーム合成手段によって合成された光を電気信
号に変換してシフト周波数に等しい交流成分のみの強度
を検出する検出手段を設けたことを特徴とするものであ
る。
第2の不透明試料の顕微吸収分布測定装置は、波長変更
可能な単色光源からの光を2分して、一方の光路中に光
路長を所定速度で変更する光路長変更手段を設け、他方
の光路中に2個の収束光学系よりなる共焦点光学系を配
置し、共焦点光学系の集光位置に相対的に走査可能な試
料を配置し、光路長変更手段から射出する指向性の高い
光と試料の測定点から発散され共焦点光学系によって平
行光に変換された光とを合成して同方向に射出させるビ
ーム合成手段を設け、ビーム合成手段によって合成され
た光を電気信号に変換して光路長変更速度に応じた周波
数の交流成分のみの強度を検出する検出手段を設けたこ
とを特徴とするものである。
第1の装置の変形である第3の不透明試料の顕微吸収分
布測定装置は、波長変更可能な単色光源からの光を2分
して一方の光路中に入射光の周波数をシフトさせる周波
数シフト手段を設け、他方の光路中に指向性の高い光を
集光して試料の微小な測定点に照射する第1の収束光学
系を配置し、第1の収束光学系の集光位置に相対的に走
査可能な試料を配置し、周波数シフト手段から射出する
指向性の高い光を試料に照射する第1の収束光学系と同
じ収束球面波となる第2の収束光学系を配置し、両光束
を合成して同方向に射出するビーム合成手段を設け、ビ
ーム合成手段によって合成された光を電気信号に変換し
てシフト周波数に等しい交流成分のみの強度を検出する
検出手段を設けたことを特徴とするものである。
これらのいずれの装置も、散乱性試料からの光を遮断し
て、周波数シフト手段又は光路長変更手段から射出する
光束強度を検出して参照光強度とし、ビーム合成手段に
よって合成された光を電気信号に変換してシフト周波数
に等しい交流成分又は光路長変更速度に応じた周波数の
交流成分を試料からの信号強度とし、これらの参照強度
と信号光強度を用いて透過積分減光度を求める求めるよ
うにすることが望ましい。
〔作用〕
本発明の不透明試料の顕微吸収分布測定装置によれば、
試料の微小な測定点に指向性の高い光を集光して照射
し、測定点から発散する光を平行光に変換して、又は、
球面波のままその強度をヘテロダイン受光系、マイケル
ソン受光系を用いて検出するので、測定点周囲からの散
乱光、その他のノイズ光を拾うことなく高分解能で試料
の微小領域の吸収を正確に測定でき、生体組織等の不透
明試料の顕微吸収分布測定に適した装置である。
〔実施例〕
従来、高感度でコヒーレント光を検出する手段としてヘ
テロダイン受光系が知られている。この受光系3は、例
えば第1図に簡単に示したように、レーザ1から出た特
定の周波数ω1の光をビームスプリッターBSにより2分
し、一方の直進光中に試料Sを挿入し、他方の反射光は
ミラーM1、M2を経て上記直進光とハーフミラーHMにより
合成し、その合成光を検出器2により光電変換する。反
射光中に周波数をシフトさせてω1にする超音波光学変
調器等の周波数シフターAOを挿入すると、検出器2から
は周波数ω1とω2の差の観測可能な周波数のビート信号
が表れ、その交流成分の強さは試料Sの透過率に比例す
る。したがって、試料Sを透過した微弱な信号を検知す
ることができることになる。ところで、このようなヘテ
ロダイン受光系3は、上記のような微弱な信号を検知で
きるだけでなく、試料Sによって上記反射光(種は数ω
2の光。以下、参照光とも言う。)の方向と異なる方向
へ散乱された成分は、検出器2の検出面上で上記参照光
と重なり合わないので、ビート信号を発生させず、単に
直流成分として検出されるため、このような散乱成分を
容易に取り除き、参照光と同じ方向に進光成分のみを検
出することができる高指向性検出系としての性質を有す
る。
また、微小な屈折率変化等を検出できる手段としてマイ
ケルソン受光系が良く知られている。この受光系4は、
第2図に示すように、レーザ1から出た光をビームスプ
リッターBSにより2分し、一方のミラーM1、M2を経た反
射光中に試料Sを挿入し、その透過光を後記する直進光
とハーフミラーHMにより合成する。ビームスプリッター
BSを透過した直進光(以下、参照光とも言う。)は、ハ
ーフミラーHMを透過して図示両矢符で示したように移動
される移動鏡Mに当たり、逆方向に反射され、ハーフミ
ラーHMにより試料を透過した光と合成され、その合成光
は検出器2により光電変換される。検出器2からは移動
鏡Mの速度に応じた周波数の干渉信号が重畳した信号が
得られる。その交流成分の強さは試料Sの透過率に比例
し、位相は試料Sの厚さ又は屈折率に依存する。このマ
イケルソン受光系4も、上記したヘテロダイン受光系3
と同様、微小な屈折率変化等を検出できるだけでなく、
試料Sによって上記参照光と異なる方向へ散乱された成
分は、検出器2の検出面上で上記参照光と重なり合わな
いので、干渉信号を発生させず、単に直流成分として検
出されるため、このような散乱成分を容易に取り除きこ
とができ、参照光と同じ方向に進む光成分のみを検出す
ることができる高指向性検出系としての性質を有する。
ところで、上記ヘテロダイン受光系3もマイケルソン受
光系4も同じ原理に基づいて試料Sを透過した光ないし
試料Sによって散乱された光の強度を検出するものであ
ると言うことができる。この点を簡単に説明する。合成
される参照光をV2、試料Sを透過した光ないし試料Sに
よって散乱された光(以下、試料光とも言う。)をV1
し、それぞれ次のように表現する。
V1=A1exp[−i(ω1t+φ1)]、 V2=A2exp[−i(ω2t+φ2)] これらの2つの光波V1、V2を重ね合わせて観測(検出)
すると、その検出信号Sは次のようになる。
S=|V1+V2|2 =V1・V1 *+V2・V2 *+V1・V2 *+V1 *・V2 ところで、 V1・V1 *=A1 2、V2・V2 *=A2 2であり、 V1・V2 *=A1A2exp[−i(ω1−ω2)t−i(φ1
φ2)]、 V1 *・V2=A1A2exp[+i(ω1−ω2)t+i(φ1
φ2)] V1・V2 *+V1 *・V2=2A1A2cos[(ω1−ω2)t+(φ1
φ2)] であるので、 S=A1 2+A2 2+2A1A2cos[(ω1−ω2)t+(φ1
φ2)]となる。
ところで、ヘテロダイン受光系3においては、 ω2=ω1−Δω、φ1=φ2と書けるので、 S=A1 2+A2 2+2A1A2cosΔωt となり、検出された信号の交流成分の大きさから、試料
光V1の振幅A1を知ることができる。
同様に、マイケルソン受光系4によると、ω1=ω2、φ
2=φ1+ktと書けるので、検出信号Sは、 S=A1 2+A2 2+2A1A2cosktとなり、ヘテロダイン受光系3
の場合と同様の信号が得られる。すなわち、ヘテロダイ
ン受光系3もマイケルソン受光系4も同様に、検出信号
の交流成分の大きさから、試料光V1の振幅A1を知ること
ができるものである。
さらに、高指向性検出系として上記したヘテロダイン受
光系3及びマイケルソン受光系4以外に、第16図から第
25図に例示した高指向性光学系がある。これらの高指向
性光学系を代表するものとして、入射側の対物レンズOb
1と、その焦点面に配置され対物レンズOb1によるフラン
フォーファ回折の0次の回折像のみを通過させるピンホ
ールPと、ピンホールPに前側焦点が一致するように配
置された同様の対物レンズOb2からなる高指向性光学系
5を第3図に示す。(図の高指向性光学系5は第22図に
示した光学系と同様である。)。ただし、以下の説明に
おいて、高指向性光学系5は第3図のものに限定される
ものではない。
ところで、第1図から第3図に示したような高指向性検
出系3、4、5において、試料Sと平行光束の関係を、
第4図Aから第6図に示したような構成の高分解能検出
系30、40、50に変更することにより、レンズのフランフ
ォーファ回折像成分の0次成分に相当する試料Sの微小
な点領域に入射光を当て、その点のみからの散乱光を集
めて検出するようにすることができる。すなわち、試料
Sの入射方向に、試料Sの測定点に後側焦点が一致する
ように開口数(NA)の大きい集光レンズL1を介在させ、
また、集光レンズL1の後側焦点に前側焦点が一致するよ
うに同じように大きいNAを有する対物レンズL2を配置し
て、レーザ1からの光を集光レンズL1によって試料Sの
微小点に当て、その点から出てくる光を対物レンズL2に
よって集めて所定方向に向く平行光に変換し、上記の高
指向性検出系3、4、5の原理により、この方向に向く
光のみを検出器2により検出するようにすることで、試
料Sのレンズのフランフォーファ回折像成分の0次成分
に相当する微点領域のみからの散乱光を集めて検出する
ようにすることができる。そのため、上記のような高分
解能検出系30、40、50を用いると、測定点の前後を含む
周囲からの不要な散乱光の混入を避けることができ、ま
た、極めて高い分解能で試料の吸収特性を測定すること
ができる。
第4図Aの変形を第4図Bに示す。第4図Aにおいて
は、集光レンズL1によって試料Sの微小点に光を照射
し、その点から出てくる光を対物レンズL2によって所定
方向に向く平行光(略平面波)に変換してヘテロダイン
受光するが、第4図Bにおいては、対物レンズL2を周波
数シフターAOの光束側に配置し、集光レンズL1の焦点か
らの発散球面波と対物レンズL2の焦点からの発散球面波
が一致するように配置して、検出器2によりヘテロダイ
ン検出する。これは、レンズにより平面波に変換してヘ
テロダイン検出するのと、球面波でヘテロダイン検出す
るのが等しいビート成分が得られ、波面整合に要求され
る条件が等しいことによる。
さて、本発明における分光吸収測定の対象となる不透明
試料は、まず第1に、完全には入射光を阻止して前方へ
透過させないような試料ではなく、例えば生体試料のよ
うに、試料によって何ら散乱を受けずに直接透過する光
は殆ど存在しないが、試料中の散乱微粒子によって多重
散乱を受け、前方へ散乱された光が試料より出てくるよ
うな試料である。もちろん、直接透過する光が存在する
ような試料についても測定対象にできる。また、本発明
の第2の測定対象は、例えば粉体のように、入射光を略
完全に遮断した後方へのみ反射及び散乱する試料であ
る。前者の試料を透過試料、後者の試料を反射試料と呼
ぶことにする。
第7図に示した本発明による不透明試料顕微吸収分布測
定装置は、第4図Aに示したヘテロダイン受光系による
高分解能検出系30を用いて、透過試料20の顕微吸収分布
測定を行うものである。このような測定のために、単色
光源として、広いスペクトル範囲の単色光を連続的に掃
引して出すことができる可変波長レーザ10を用いる。レ
ーザ10から発した光束は、ビームスプリッターBSにより
2分され、直進光は集光レンズL1により透過試料20の測
定点に集光され、透過散乱光は対物レンズL2により平行
光に変換されてハーフミラーHMにより参照光と合成され
る。ビームスプリッターBSにより反射された参照光は、
上記の合成前に超音波光学変調器等の周波数シフターAO
により周波数が僅かに変えられており、試料光と合成し
て光電変換すると、参照光と試料光の周波数差に相当す
る周波数の交流信号を含む信号が検出器2より出力され
る。検出器2より得られる信号の交流成分の大きさは、
試料光の振幅に比例するので、検出器2の出力の交流成
分を分離し、その大きさから、測定点の吸収特性が得ら
れる。試料光の強度は試料20の測定点の吸収特性に応じ
て変化するので、試料20をX−Y走査装置XYによって走
査するようにすることにより、試料20の走査面上での吸
収分布を測定することができる。なお、レーザ10の波長
を掃引しながら各測定点の吸収を測定することにより、
試料20の分光吸収分布を測定することもできる。ところ
で、測定の分解能をレンズL1、L2のフランフォーファ回
折像成分の0次像の大きさより小さくするために、測定
点(レンズL1の焦点)に極近接してその像の大きさより
小さいピンホール板PHを配置して照明領域を制限するこ
ともできる。この場合、分解能は向上するが、透過光量
が少なくなる欠点を有する。なお、以下の実施例におい
ても同様にピンホール板PHを配置することができる。
さて、第8図は第7図の高分解能検出系30を用いるもの
を変形して、散乱を伴う反射試料21を測定するようにし
たものである。この場合、このレーザ10から出た光束を
適当な径の平行光束に変換するために、ビーム変換器11
をレーザ10の前に配置してあるが、このビーム変換器11
は必ずしも必要なものではない。この配置においては、
第7図のハーフミラーHMの向きを変え、レーザ10からの
光がビームスプリッターBSを透過し、ハーフミラーHMを
透過した位置に集光レンズ及び対物レンズの作用をする
レンズLを配置し、その後側焦点面に反射試料21を配置
し、その反射散乱光をハーフミラーHMで参照光と合成さ
せるようにしたものである。例えば、散乱体NZを図のよ
うに試料21の前に存在していているように模式的に書い
た場合、散乱体NZによる散乱光は検出器2の直流成分と
なり、高分解能検出系30を用いると、検出器2によって
交流成分として検出されない。
次に、第9図に示した装置は、第5図に示したマイケル
ソン受光系による高分解能検出系40を適用して透過試料
20の顕微吸収分布測定を行うものであり、可変波長レー
ザ10から出た光をビーム変換器11により適当な径の平行
光束に変換して、ビームスプリッターBSにより2分し、
一方のミラーM1、M2を経た反射光中に集光レンズL1と対
物レンズL2を共焦点で配置しその共通の焦点の位置に透
過試料20を挿入し、その散乱透過光を参照光とハーフミ
ラーHMにより合成する。ビームスプリッターBSを透過し
た参照光は、ハーフミラーHMを透過して図示両矢符で示
したように移動される移動鏡Mに当たり、逆方向に反射
され、ハーフミラーHMにより試料光と合成され、その合
成光は検出器2により光電変換される。検出器2からは
移動鏡Mの速度に応じた周波数の干渉信号が重畳した信
号が得られる。その交流成分の強さは透過試料20の散乱
光の強さに比例するので、試料20をXY走査装置XYにより
走査しながら各測定点の交流成分の大きさを求めること
により、試料20の吸収分布を測定することができる。な
お、可変波長レーザ10の波長を掃引しながら吸収分布を
求めることにより、分光吸収分布も測定することができ
る。
第10図は、マイケルソン受光系を利用した高分解能検出
系40を反射試料21の吸収分布を求めるように変形したも
のである。この場合、ビームスプリッターBSを反射した
位置に集光レンズ及び対物レンズの作用をするレンズL
を配置し、その後焦点面に反射試料21を配置し、その反
射散乱光をビームスプリッターBSで移動鏡Mから反射し
てきた参照光と合成させるようにしたものである。
さて、第11図と第12図は、透過試料20又は反射試料21の
吸収分布を測定するのに、第6図の高指向性光学系5を
用いた高分解能検出系50を適用したものである。第11図
のものは、試料20の測定点から生じる蛍光光のみを通過
させる励起光カットフィルター12を対物レンズL2の後側
に挿入し、試料20の顕微蛍光分布測定を行う場合の配置
を示しているが、吸収分布測定の場合は、この励起光カ
ットフィルター12は取り外す。第11図の顕微吸収分布測
定においては、ビーム変換器11から適当は径の平行光束
に変換されて出てくるレーザ10からの光は、集光レンズ
L1により透過試料20の測定点に集光され、その点を透過
しまたその点から前方へ散乱された光は、測定点に前側
焦点一致するように配置された対物レンズL2により平行
光に変換され、高指向性光学系5により他の方向へ向か
う光から分離されて検出器2によりその強さが検出され
る。したがって、試料20をXY走査装置XYにより走査しな
がら各測定点からの光の強さを求めることにより、試料
20の吸収分布を測定することができる。なお、この場合
も、可変波長レーザ10の波長を掃引しながら吸収分布を
求めることにより、分光吸収分布も測定することができ
る。ただし、励起光カットフィルター12を挿入して蛍光
分布を測定する場合は、レーザ10の波長掃引は行わない
か、又は、レーザ10として可変波長のものでなく、固定
波長のものを用いる。第12図の反射試料21の吸収分布を
測定する装置の場合は、ハーフミラーHMを透過した位置
に集光レンズ及び対物レンズの作用をするレンズLを配
置し、その後側焦点面に反射試料21を配置し、反射試料
21からの反射散乱光をレンズLによって平行光に変換
し、ハーフミラーHMにより入射光の方向とは異なる方向
に反射させ、反射試料21の測定点からの光のみを高指向
性光学系5により抽出するようにしたものである。その
他は、第11図と同様である。
ところで、レーザ10の波長を掃引した場合、光強度が一
般に変化する。そこで、高指向性検出系を用いる場合、
照射光束の一部を取り出して、例えば第3図では、レー
ザ10と試料Sの中間にハーフミラーを挿入して、出力レ
ーザ光強度を検出する。ヘテロダイン検出系を用いる場
合、第4図Aで、試料Sの後方に光遮断素子を挿入し
て、検出器2でレーザの出力強度をモニターする。ある
いは、第4図AのハーフミラーHMの後方に光強度モニタ
ー用検出器を設置して検出してもよい(図示していな
い。)。これらの光強度を参照光強度とし、試料Sを透
過した光強度または特定方向に反射される光強度を高指
向性検出系またはヘテロダイン検出系で検出して信号光
強度として、これらの値を用いて透過積分減光度を求め
て試料の吸収スペクトルを算出する。これは、すでに従
来の不透明試料の吸収スペクトルを求める方法において
も、あるいは、散乱のない試料の吸収度を求める方法に
おいても、用いられている方法である。
次に、具体的に試料のミクロサイズ領域の顕微吸収分布
特性を測定する装置のいくつかの例について簡単に説明
する。第13図は、X−Y走査可能な試料台13上に配置し
た試料20の透過吸収分布特性及び反射吸収分布特性を測
定できる装置の概略の構成を示すもので、可変波長レー
ザ10からの単色光は切り換え鏡MSにより実線の透過光路
と点線の反射光路に切り換えられる。実線光路を選択す
ると、ミラーM3、M4を経た光は、集光レンズL1の作用を
するカセグレイン反射光学系K1により試料20の測定点に
集光され、試料20を透過した光は対物レンズL2の作用を
するカセグレイン反射光学系K2により平行光に変換さ
れ、ミラーM6を経て、例えば第18図に示した対物レンズ
Obとその焦点に配置したピンホールPとからなる高指向
性光学系5に入射する。高指向性光学系5により測定点
以外から出た光が取り除かれ、試料20の吸収特性を示す
光の強度が検出器2により検出される。したがって、試
料20をXY走査しながら各測定点からの光の強さを求める
ことにより、試料20の透過吸収分布を測定することがで
きる。切り換え鏡MSを点線の反射光路に切り換えると、
可変波長レーザ10からの単色光はミラーM5を経てハーフ
ミラーHMにより下方に反射され、集光レンズ及び対物レ
ンズの作用をするカセグレイン反射光学系K2により試料
20の測定点に集光される。測定点から後方に散乱された
光はカセグレイン反射光学系K2により平行光に変換さ
れ、ミラーM6を経て高指向性光学系5に入射し、測定点
以外から出た光が取り除かれ、試料20の反射吸収特性を
示す光の強度が検出器2により検出される。同様に試料
20をXY走査しながら各測定点からの光の強さを求めるこ
とにより、試料20の反射吸収分布を測定することができ
る。カセグレイン反射光学系K2の後に励起光カットフィ
ルター12を挿入して顕微蛍光分布測定を行うことができ
る。なお、図中、符号15はチョッパーを示しており、試
料に入射させるレーザ光を所定周波数で変調し、同期検
波してノイズを取り除くためのものである。また、符号
14はアパーチャー、16は接眼レンズを示している。
第14図、第15図の装置は、それぞれ第4図Aのヘテロダ
イン受光系による高分解能検出系30を用いた装置、第5
図のマイケルソン受光系による高分解能検出系40を用い
た装置を縦型に変形しただけのものであり、格別の説明
は必要なかろう。なお、第15図のものにおいて、駆動系
17は移動鏡Mを光軸方向に移動させるためのものであ
る。
なお、以上の説明においては、可変波長レーザ10は連続
的に発振するものを前提にしていたが、パルス動作をす
る可変波長レーザを用いてもよい。特に、レーザ光を連
続的に照射すると、その特性が急激に変化する試料の場
合、パルス動作をする可変波長レーザを用いることが好
ましい。また、検出器2については、格別説明しなかっ
たが、公知の何れの手段でも用いることができる。ま
た、検出信号の処理方式としても、例えば入射光をチョ
ッパ等によって強度変調し、検出信号を位相同期検出す
ることが考えられる。この場合、赤外光検出の時定数が
長いため、同期変調周波数を小さくする必要がある。ま
た、光子計数方式(可視光)、電荷蓄積方式(赤外光)
等の同期信号積分検出方式、ヘテロダインピート信号検
出方式等を用いてもよい。さらに、周波数シフラーとし
ては、超音波変調器等の超音波光回折を用いたものばか
りでなく、波長板の組み合わせ及び回折格子のほか、結
晶の電気光学効果を利用することもできる。また、反射
鏡を一定速度で移動させるマイケルソン干渉計ばかりで
なく鋸歯状波で反射鏡を振動させてもよい。また、ヘテ
ロダイン受信をするのに、単色光源のレーザーを2光束
に分割して局発光を作るだけでなく、2個のレーザーを
用いてもよいことはもちろんである。
〔発明の効果〕
本発明の不透明試料の顕微吸収分布測定装置において
は、試料の微小な測定点に指向性の高い光を集光して照
射し、測定点から発散する光を平行光に変換して、又
は、球面波のままその強度をヘテロダイン受光系、マイ
ケルソン受光系を用いて検出するので、測定点周囲から
の散乱光、その他のノイズ光を拾うことなく高分解能で
試料の微小領域の吸収を正確に測定でき、生体組織等の
不透明試料の顕微吸収分布測定に適した装置である。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の前提になるヘテロダイン受光系の構成
と作用を説明するための図、第2図は同様なマイケルソ
ン受光系の構成と作用を説明するための図、第3図は同
様な高指向性光学系の代表的なものの構成を示すための
図、第4図Aは本発明の不透明試料の顕微吸収分布測定
装置に用いられるヘテロダイン受光系を用いた高分解能
検出系の構成と作用を説明するための図、第4図Bは第
4図Aの測定装置の変形を示すための図、第5図はマイ
ケルソン受光系を用いた高分解能検出系の構成と作用を
説明するための図、第6図は高指向性光学系を用いた高
分解能検出系の構成と作用を説明するための図、第7図
は透過試料に適用する本発明のヘテロダイン受光系を用
いた顕微吸収分布測定の実施例の構成を示す図、第8図
は第7図の装置を反射試料用に変形した顕微吸収分布測
定の実施例の構成を示す図、第9図は透過試料に適用す
る本発明のマイケルソン受光系を用いた顕微吸収分布測
定の実施例の構成を示す図、第10図は第9図の装置を反
射試料用に変形した顕微吸収分布測定の実施例の構成を
示す図、第11図と第12図は本発明の高指向性光学系を用
いた顕微吸収分布測定の実施例の構成を示す図、第13図
から第15図は本発明による試料の顕微吸収分布特性を測
定する装置のいくつかの具体例を示すための図、第16図
から第25図は先に提案した高指向性光学系の構成を示す
図、第26図は従来のフーリエ分光器を用いた顕微吸収分
布を測定するための装置の構成を示す図、第27図は従来
の回折格子分光器を用いた微小試料の顕微吸収分光分布
を測定するための装置の構成を示す図である。 1……レーザ、2……検出器、3……ヘテロダイン受光
系、4……マイケルソン受光系、5……高指向性光学
系、10……可変波長レーザ、11……ビーム変換器、12…
…励起光カットフィルター、13……試料台、14……アパ
ーチャー、15……チョッパー、16……接眼レンズ、17…
…駆動系、20……透過試料、21……反射試料、30、40、
50……高分解能検出系、S……試料、BS……ビームスプ
リッター、HM……ハーフミラー、M1〜M7……ミラー、AO
……周波数シフター、M……移動鏡、Ob、Ob1、Ob2……
対物レンズ、P……ピンホール、L1……集光レンズ、L2
……対物レンズ、XY…X−Y走査装置、PH……ピンホー
ル板、NZ……散乱体、L……レンズ、MS……切り換え
鏡、K1、K2……カセグレイン反射光学系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−274848(JP,A) 特開 昭63−243839(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】波長変更可能な単色光源からの光を2分し
    て、一方の光路中に入射光の周波数をシフトさせる周波
    数シフト手段を設け、他方の光路中に2個の収束光学系
    よりなる共焦点光学系を配置し、共焦点光学系の集光位
    置に相対的に走査可能な試料を配置し、周波数シフト手
    段から射出する指向性の高い光と試料の測定点から発散
    され共焦点光学系によって平行光に変換された光とを合
    成して同方向に射出させるビーム合成手段を設け、ビー
    ム合成手段によって合成された光を電気信号に変換して
    シフト周波数に等しい交流成分のみの強度を検出する検
    出手段を設けたことを特徴とする不透明試料の顕微吸収
    分布測定装置。
  2. 【請求項2】波長変更可能な単色光源からの光を2分し
    て、一方の光路中に光路長を所定速度で変更する光路長
    変更手段を設け、他方の光路中に2個の収束光学系より
    なる共焦点光学系を配置し、共焦点光学系の集光位置に
    相対的に走査可能な試料を配置し、光路長変更手段から
    射出する指向性の高い光と試料の測定点から発散され共
    焦点光学系によって平行光に変換された光とを合成して
    同方向に射出させるビーム合成手段を設け、ビーム合成
    手段によって合成された光を電気信号に変換して光路長
    変更速度に応じた周波数の交流成分のみの強度を検出す
    る検出手段を設けたことを特徴とする不透明試料の顕微
    吸収分布測定装置。
  3. 【請求項3】波長変更可能な単色光源からの光を2分し
    て一方の光路中に入射光の周波数をシフトさせる周波数
    シフト手段を設け、他方の光路中に指向性の高い光を集
    光して試料の微小な測定点に照射する第1の収束光学系
    を配置し、第1の収束光学系の集光位置に相対的に走査
    可能な試料を配置し、周波数シフト手段から射出する指
    向性の高い光を試料に照射する第1の収束光学系と同じ
    収束球面波となる第2の収束光学系を配置し、両光束を
    合成して同方向に射出するビーム合成手段を設け、ビー
    ム合成手段によって合成された光を電気信号に変換して
    シフト周波数に等しい交流成分のみの強度を検出する検
    出手段を設けたことを特徴とする不透明試料の顕微吸収
    分布測定装置。
  4. 【請求項4】散乱性試料からの光を遮断して、周波数シ
    フト手段又は光路長変更手段から射出する光束強度を検
    出して参照光強度とし、ビーム合成手段によって合成さ
    れた光を電気信号に変換してシフト周波数に等しい交流
    成分又は光路長変更速度に応じた周波数の交流成分を試
    料からの信号強度とし、これらの参照強度と信号光強度
    を用いて透過積分減光度を求めることを特徴とする請求
    項1、2又は3の何れか1項記載の不透明試料の顕微吸
    収分布測定装置。
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