JPH0722202A - 厚膜抵抗体組成物 - Google Patents

厚膜抵抗体組成物

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JPH0722202A JP6125601A JP12560194A JPH0722202A JP H0722202 A JPH0722202 A JP H0722202A JP 6125601 A JP6125601 A JP 6125601A JP 12560194 A JP12560194 A JP 12560194A JP H0722202 A JPH0722202 A JP H0722202A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電放電(ESD)を典型とする電圧耐久特
性が高く、抵抗とTCRの値が調節可能である厚膜抵抗
体組成物を提供すること。 【構成】 厚膜抵抗体組成物は、導電性成分として酸化
ルテニウムの粉砕された固形物を5〜25重量%、無機
バインダとしてガラスを30〜70重量%包含してな
り、前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物は、(1)
平均比表面積が30m2 /g以上であり、かつ平均晶子
サイズが160オングストローム以上であるか、あるい
は(2)平均比表面積が18m2 /g以上30m2 /g
未満であり、かつ平均晶子サイズが220オングストロ
ーム以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は厚膜抵抗体を製造するの
に有用な組成物に関し、特に導電部品として酸化ルテニ
ウムを使用する組成物に関する。
【0002】なお、本明細書の記述は本件出願の優先権
の基礎たる米国特許出願第08/071,883号(1
993年6月7日出願)の明細書の記載に基づくもので
あって、当該米国特許出願の番号を参照することによっ
て当該米国特許出願の明細書の記載内容が本明細書の一
部分を構成するものとする。
【0003】
【従来の技術】厚膜抵抗体電気部品、厚膜ハイブリッド
回路等に広く使用される厚膜抵抗体組成物は、絶縁体基
板の表面に形成された導電体パターンまたは電極の上に
組成物をプリントし、次いでこのプリントを焼成するこ
とにより、抵抗体厚膜を調製するための組成物である。
【0004】厚膜抵抗体組成物は導電性成分と無機バイ
ンダとを有機媒体(ビヒクル)中に分散させることによ
り調製される。導電性成分は厚膜抵抗体の電気的性質を
決定するのが主な役割であり、酸化ルテニウム等はこの
成分として使用されている。無機バインダはガラスを含
み、主な役割は厚膜の一体性を保つとともに厚膜を基板
に結合することである。有機媒体は組成物の適用特性、
特にレオロジーに影響する。
【0005】酸化ルテニウムを導電性成分として使用す
る厚膜抵抗体組成物をハイブリッドマイクロ電子回路ま
たはチップ抵抗体用に使用するときは、抵抗体の電気的
安定性が高く、特にその静電放電(Electrost
atic Discharge:ESD)が小さいこと
が重要である。このことは上述の組成物がビヒクルとし
て、すなわち、自動車のイグニション装置として使用さ
れるときは特に重要である。
【0006】例えば、スパークのように10〜20kV
のようなかなり高い電圧が自動車のイグニション装置の
回路に適用されることがある。ESDはこの高電圧に対
する抵抗体の電圧耐性の指標として役立つ。このパラメ
ータはある電圧の静電気を適用する前と適用した後の抵
抗値の%変化として表される。これまで自動車用の厚膜
抵抗体のESDは5kVの適用の前後の値に基づいて評
価されている。しかしながら、最近は、25kVのよう
なより高い電圧負荷の下での電圧耐性が要求されるよう
になった。従って、5kVだけでなく25kVにおいて
も小さいESDに対する要求がある。
【0007】厚膜抵抗体の電圧耐性は抵抗体中の酸化ル
テニウムの割合を変えることによってある程度調節する
ことができる。しかしながら、所望の抵抗を得ることが
できないか、または焼成された生成物の表面状態が劣化
することがある。この欠点を埋め合わせるため、すなわ
ち厚膜抵抗体中の酸化ルテニウムの割合を変えることな
く電圧耐性を調節するために、抵抗体中の無機バインダ
としてのガラスの処方を変えることも可能である。しか
しながら、ガラスの処方を変えると抵抗の温度係数(T
CR)の長さ効果を悪化させることがあるか、あるいは
オーバーコートガラスとの焼成により抵抗とTCRの変
化が増加することがある。
【0008】酸化ルテニウムの種類を変えることにより
厚膜抵抗体の電圧耐性と表面状態を改善する試みがなさ
れている。酸化ルテニウムはそれらの平均比表面積の大
きさによって分級され、比表面積が大きいほどESDが
よい。従って、比表面積がより大きい酸化ルテニウムを
使用するとESDが改善される。
【0009】しかしながら、ESDが改善できたとして
も、所望の抵抗値が得られない、あるいはTCRが許容
範囲を超えるという問題が起きることがある。従って、
ESDが良好であり、抵抗とTCRが調節可能な値であ
る厚膜抵抗体組成物が望まれている。
【0010】さらに、自動車用の厚膜抵抗体において
は、焼成された表面(化粧面)が平滑であることが重要
である。招請された厚膜抵抗体の表面上体は単に外観に
影響するだけではなく、粗い表面は全体としての種々の
電気的特性を劣化させる傾向があり、ばらつきが大きく
なる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、ESDを典型とする高電圧耐性特性ならびに調節可
能な抵抗とTCRとをもつ厚膜抵抗体組成物を提供する
ことである。
【0012】本発明の第二の目的は、上述の性質に加え
て平滑な表面状態をもつ厚膜抵抗体を提供することがで
きる厚膜抵抗体組成物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の上述の目的は、
導電性成分として酸化ルテニウムの粉砕された(div
ided)固形物を5〜25重量%、無機バインダとし
てガラスを30〜70重量%包含してなり、前記酸化ル
テニウムの粉砕された固形物は、(1)平均比表面積が
30m2 /g以上であり、かつ平均晶子サイズが160
オングストローム以上であるか、あるいは(2)平均比
表面積が18m2 /g以上30m2 /g未満であり、か
つ平均晶子サイズが220オングストローム以上である
厚膜抵抗体組成物;ならびに、前記酸化ルテニウムの粉
砕された固形物は、平均比表面積が30m2 /g以上で
あり、かつ平均晶子サイズが250オングストローム以
上である厚膜抵抗体組成物によって達成される。
【0014】ここで、前記導電性成分として、さらに、
ルテニウムパイロクロールを20重量%以下含有しても
よい。
【0015】前記粉砕された固形物は、平均比表面積が
30m2 /g以上であり、かつ平均晶子サイズが220
オングストローム以上であってもよい。
【0016】前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物
は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%
に対して、比表面積が30m2 /g以下であり、かつ晶
子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウ
ムの固形物を30〜70重量%と、比表面積が50m2
/g以上であり、かつ晶子サイズが250オングストロ
ーム以下の酸化ルテニウムの固形物を70〜30重量%
とを含有してもよい。
【0017】前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物
は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%
に対して、平均比表面積が30m2 /g以下であり、か
つ平均晶子サイズが350オングストローム以上の酸化
ルテニウムの第1の固形物を30〜70重量%と、平均
比表面積が50m2 /g以上であり、かつ平均晶子サイ
ズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの第
2の固形物を70〜30重量%とを含有してもよい。
【0018】酸化ルテニウムはルテニウムパイロクロー
ルであってもよい。
【0019】無機バインダは、第1のガラス30〜60
重量%と第2のガラスとの混合物を含有し、前記第1の
ガラスの組成が30〜60重量%のSiO2 ,5〜30
重量%のCaO,1〜40重量%のB23 ,0〜50
重量%のPbO,0〜20重量%のAl23 およびこ
れらの混合物であって、SiO2 ,CaO,B23
PbO,Al23 ,PbOの全量が前記第1のガラス
の95重量%以上からなり、かつ、前記第2のガラスの
組成がPbO−SiO2 およびそれらの混合物であっ
て、PbOが前記第2のガラスの50重量%以上からな
るものであってもよい。
【0020】第3のガラスとして0〜43重量%のPb
O−SiO2 からなり、軟化点が前記第1のガラスより
も低いが前記第2のガラスより高くなるように調製され
たガラスを含有してもよい。
【0021】リチウム、カリウムおよびナトリウムの酸
化物を含有してもよい。
【0022】0〜15重量%のNb25 を含有しても
よい。
【0023】エチルセルロースおよびβ−テルピノール
を含有してもよい。
【0024】
【作用】本発明者らは酸化ルテニウムを導電性成分とし
て含有する厚膜抵抗体組成物の電圧耐久特性のような電
気的特性や表面状態は酸化ルテニウムの比表面積のみに
よって影響を受けるのではなく、酸化ルテニウムの晶子
サイズもこれらの性質に影響を与えることを見出した。
これらの発見に基づいて本発明が達成された。
【0025】本発明の特長は、これまで平均比表面積だ
けで分級されていた酸化ルテニウムの平均晶子サイズに
注目し、特定の値の平均比表面積と平均晶子サイズとを
もつ酸化ルテニウムを使用したことにある。本発明者ら
は比表面積が一定のときは、厚膜抵抗体の抵抗とTCR
は晶子サイズの変化に対してほぼ線形関係にあること、
および晶子サイズが一定のときは、これらのパラメータ
は比表面積の変化に対してほぼ線形関係にあることを見
出した。これらの関係から、本発明者らは本発明の範囲
内の平均比表面積と平均晶子サイズの適当な値を選択
し、それにより満足なESDと所望の抵抗およびTCR
を持つ厚膜抵抗体組成物を得ることを可能にした。
【0026】本発明者らは、また、酸化ルテニウムの比
表面積が同じ場合でも、得られる厚膜抵抗体の表面状態
は晶子サイズによって変化し、それにより満足なESD
と平滑な表面状態を有する厚膜抵抗体を得ることができ
る。
【0027】従って、本発明に従って限定された特定の
範囲の平均比表面積と平均晶子サイズの2つのパラメー
タを有する酸化ルテニウムを使用すると厚膜抵抗体の性
質を調節することが可能である。
【0028】本発明で使用する酸化ルテニウムの粉砕さ
れた固形物の平均比表面積はQUANTA CHROM
Eの表面積測定装置を使用するB.E.T.モナディッ
ク(monadic)テストにより測定される酸化ルテ
ニウムの粉砕された固形物の平均比表面積をいう。
【0029】次に、酸化ルテニウムの粉砕された固形物
の平均晶子サイズについて説明する。酸化ルテニウムの
粉砕された固形物は多くの粒子を含み、それぞれの粒子
は一般に多結晶であり複数の結晶で構成されている。晶
子は個々の結晶をいい、晶子サイズはこれらの晶子の直
径を意味する。酸化ルテニウムの粉砕された固形物の平
均晶子サイズは酸化ルテニウムの4つの代表的な結晶
面、(110)、(101)、(211)および(22
0)、のピークの半値幅をX線回折計により測定し、そ
の結果から計算することにより決定される。計算はリガ
ク(Rigaku)の計算ソフトウェア「晶子のサイズ
と格子歪み」(Size and lattice d
istortion of crystallite
s)を使用して理論的に行われる。これらの測定および
計算はシェラー(Scherrer)の等式を使用する
が、それらの詳細はリガク(Rigaku)により出版
された「X線回折ハンドブック」(A Handboo
k of X−Ray Diffracion)に記載
されている。
【0030】本発明の厚膜抵抗体組成物の成分について
より詳細に説明する。
【0031】本発明の厚膜抵抗体組成物中に導電性成分
として含有されている酸化ルテニウムの粉砕された固形
物は、平均比表面積が30m2 /g以上であり、かつ平
均晶子サイズが160オングストローム以上であるか、
あるいは(2)平均比表面積が18m2 /g以上30m
2 /g未満であり、かつ平均晶子サイズが220オング
ストローム以上のものである。
【0032】本発明において使用される好適な酸化ルテ
ニウムの粉砕された固形物は、平均比表面積が30m2
/g以上であり、かつ平均晶子サイズが250オングス
トローム以上のものである。両パラメータがこの範囲内
の酸化ルテニウムを使用すると、ESDのような電気的
特性だけでなく表面状態も満足な厚膜抵抗体を得ること
ができる。そのような酸化ルテニウムの粉砕された固形
物の例としては、粉砕された酸化ルテニウム全体の10
0重量%に対して、比表面積が30m2 /g以下であ
り、かつ晶子サイズが350オングストローム以上の酸
化ルテニウムの固形物を30〜70重量%と、比表面積
が50m2 /g以上であり、かつ晶子サイズが250オ
ングストローム以下の酸化ルテニウムの固形物を70〜
30重量%とを含有するもの;あるいは、粉砕された酸
化ルテニウム全体の100重量%に対して、平均比表面
積が30m2 /g以下であり、かつ平均晶子サイズが3
50オングストローム以上の酸化ルテニウムの第1の固
形物を30〜70重量%と、平均比表面積が50m2
g以上であり、かつ平均晶子サイズが250オングスト
ローム以下の酸化ルテニウムの第2の固形物を70〜3
0重量%との混合物である。好適な酸化ルテニウムの第
1の固形物は比表面積が30m2 /g以下であり、かつ
晶子サイズが350オングストローム以上のものであ
る。好適な酸化ルテニウムの第2の固形物は比表面積が
50m2 /g以上であり、かつ晶子サイズが200オン
グストローム以下のものである。酸化ルテニウムの第1
の固形物と酸化ルテニウムの第2の固形物の好適な割合
は、厚膜抵抗体組成物中の酸化ルテニウムの粉砕された
固形物全体100重量%に対して、酸化ルテニウムの第
1の固形物が60〜70重量%、酸化ルテニウムの第2
の固形物が30〜40重量%の割合である。
【0033】本発明で使用される酸化ルテニウムの粉砕
された固形物は、別々に調製した酸化ルテニウムの第1
の固形物と酸化ルテニウムの第2の固形物とを混合する
ことにより得られるが、それらを得る方法は混合に限定
されない。平均比表面積が30m2 /g以上であり、か
つ平均晶子サイズが250オングストローム以上の酸化
ルテニウムは適当な酸化ルテニウム材料から直接製造
し、本発明において使用してもよい。あるいは、酸化ル
テニウムの第1の固形物と酸化ルテニウムの第2の固形
物とを含有する製品を適当な方法で酸化ルテニウム材料
から製造し、本発明に使用してもよい。
【0034】そのような種々の比表面積と晶子サイズを
有する種々の酸化ルテニウムの固形物は例えば酸化ルテ
ニウム材料を加熱し粉砕することによって製造すること
ができる。
【0035】酸化ルテニウム材料を加熱すると、酸化ル
テニウム材料の焼結が進行するにつれて晶子が徐々に成
長し、平均晶子サイズが増大し、平均比表面積が減少す
る。この場合、加熱温度と加熱時間を選ぶと、同じ酸化
ルテニウム材料から異なった平均晶子サイズと異なった
平均比表面積を有する種々の酸化ルテニウムの固形物を
製造することができる。例えば、平均比表面積が約50
2 /gであり、かつ平均晶子サイズが約133オング
ストロームの酸化ルテニウムを約2時間役600℃で加
熱すると、平均晶子サイズは徐々に増加し、平均比表面
積は徐々に減少して、最終製品として平均比表面積が約
5.5m2 /gであり、かつ平均晶子サイズが約440
オングストロームの酸化ルテニウムが得られる。加熱温
度を300〜600℃範囲内に、加熱時間を約1〜2時
間の範囲内に調整することにより、平均晶子サイズと平
均比表面積が出発材料と最終製品の間にある種々の酸化
ルテニウムの固形物を製造することができる。
【0036】このように加熱処理された酸化ルテニウム
を粉砕すると、平均比表面積が増加し平均晶子サイズが
減少する。粉砕前の固形物の比表面積と晶子サイズを選
択することにより、あるいは粉砕時間のような粉砕条件
を選択することにより、異なった平均晶子サイズと異な
った比表面積とを有する種々の酸化ルテニウムの固形物
を製造することができる。加熱処理と粉砕とをこのよう
に組み合わせると所望の平均晶子サイズと平均比表面積
を有する酸化ルテニウムの固形物を製造することが可能
である。
【0037】本発明において使用する酸化ルテニウムの
固形物としては、上述のような加熱・粉砕方法により得
られる製品を使用することが好ましいが、本発明に使用
できる方法はそれらに限定されない。
【0038】本発明の厚膜抵抗体組成物中の酸化ルテニ
ウムの粉砕された固形物は、有機媒体を含有する組成物
としての全重量に対して、5〜25重量%、好ましくは
10〜20重量%の割合で使用される。無機固形物の全
含有量に対しては、その割合は7〜35重量%、好まし
くは15〜30重量%である。無機固形物の全含有量は
導電性成分と無機バインダの総量をいう。本発明の組成
物が導電性成分と無機バインダに加えて無機添加剤を含
有する場合は、無機固形物の全含有量はこれらの無機添
加剤を含むものとする。
【0039】本発明の厚膜抵抗体組成物は導電性成分と
して、酸化ルテニウム以外にも酸化ルテニウムパイロク
ロール(ruthenium pyrochlore
oxides)を含有してもよい。酸化ルテニウムパイ
ロクロールはRu+4,Ir+4またはこれらの混合物
(M″)の多成分化合物であり次式(数1)で表される
酸化パイロクロール(pyrochlore oxid
es)の種類であ。
【0040】
【数1】(Mx Bi2-x )(M′y M″2-y )O7-z 上式中、Mはイットリウム、タリウム、インジウム、カ
ドミウム、鉛、銅および希土類金属よりなる群から選ば
れ;M′は白金、チタン、クロム、ロジウムおよびアン
チモンよりなる群から選ばれ;M″はルテニウム、イリ
ジウムまたはこれらの混合物であり、;xは0〜2を表
し(ただし、一価の銅についてはx≦1である);yは
0〜0.5を表し(ただし、M′がロジウム、または白
金、チタン、クロム、ロジウムおよびアンチモンの2つ
以上であるときは、yは0〜1である);かつzは0〜
1を表す(ただし、Mが二価の鉛またはカドミウムであ
るときは、zは約x/2以上である)。
【0041】これらの酸化ルテニウムパイロクロールは
米国特許第3,583,931号公報明細書に詳細に記
載されている。好適な酸化ルテニウムパイロクロールは
ルテニウム酸ビスマス(Bi2 Ru27 )とルテニウ
ム酸鉛(Pb2 Ru26 )。これらの化合物は純粋な
形で容易に得られ、ガラスバインダにより悪影響を受け
ず、比較的小さいTCRを有し、空気中で約1,000
℃に加熱しても安定であり、還元性雰囲気中でも比較的
安定である。より好ましいのはルテニウム酸鉛(Pb2
Ru26 )である。他のパイロクロールPb1.5 Bi
0.5 Ru26.20およびCdBiRu26.5 も使用す
ることができる。これらのパイロクロール化合物すべて
についてy=0である。
【0042】本発明において、酸化ルテニウムパイロク
ロールは微細に粉砕されたものである。その比表面積と
晶子サイズについては限定されない。酸化ルテニウムパ
イロクロールは有機媒体を含有する組成物の全重量に対
して0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%の割合
で使用される。無機固形物の全含有量に対しては、この
割合は0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%とな
る。
【0043】本発明の厚膜抵抗体組成物中の無機バイン
ダの例は厚膜抵抗体組成物に一般に使用される種々のガ
ラスである。それらは約23〜34重量%のSiO2
含有する珪酸鉛ガラスと、約23〜34重量%のSiO
2 、約52〜73重量%のPbO、および約4〜14重
量%のB23 を含有する硼珪酸鉛ガラスとを含む。
【0044】本発明において無機バインダとして使用す
ることができるガラスの処方例を表1および表2に示
す。これらの表中にリストされているガラスの例は通常
の製造方法により製造することができる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】本発明の厚膜抵抗体組成物において、上掲
のガラスを無機バインダとして使用することができる。
【0048】30〜60重量%のSiO2 ,5〜30重
量%のCaO,1〜40重量%のB23 ,0〜50重
量%のPbO,0〜20重量%のAl23 を含有する
第1のガラスであって、SiO2 ,CaO,B23
PbO,Al23 ,PbOの全量が前記第1のガラス
の95重量%以上からなるものと、PbO−SiO2
含有する第2のガラスであって、PbOが前記第2のガ
ラスの50重量%以上からなるものとの混合物を使用す
ると、良好な効果が得られる。すなわち、厚膜抵抗体の
ESDと表面状態が改善され、TCRの長さ効果が最小
となり、オーバーコートガラスの焼成による抵抗とTC
R」の変化も小さい。抵抗とTCRの長さ効果が小さい
ことは抵抗のパッド(pad)長さ(幅)の変化、例え
ば、0.8mm×0.8mmから0.5mm×0.5m
mへの変化に応答する抵抗とTCRの変化が小さいこと
を意味する。
【0049】上述の第1のガラスは酸化鉛を50重量%
までしか含有していないので、一般に高軟化点を持つガ
ラスである。第2のガラスは酸化鉛を50重量%以上含
有するので、一般に低軟化点を持つガラスである。
【0050】第1のガラスと第2のガラスはそれぞれ単
独ではガラスバインダまたは厚膜抵抗体組成物として使
用することができない。というのは、前者は焼結せず、
後者はガラスとしてはやららか杉抵抗体の形状が悪くな
る。単独では使用できないそのようなガラス同士を混合
することにより、本発明はTCRの長さ効果が最小であ
り、オーバーコートガラスの焼成による抵抗とTCRの
変化が小さい厚膜抵抗体を達成した。このことはまった
く予想できなかった。
【0051】第1のガラスはSiO2 ,CaO,B2
3 ,PbO,Al23 の総量がガラスの95重量%以
上を占めるガラスである。SiO2 の量は30重量%以
上であることが必要である。これより少ないと十分に高
い軟化点が得られない。しかしながら、この量は60重
量%以下でなければならない。これより多いと結晶化し
たSiが生じることがある。CaOの量は5重量%以上
であることが必要であるが、30重量%以下でなければ
ならない。30重量%を超える量はCaを他の元素とと
もに結晶化させることがある。B23 の量は1重量%
以上であることが必要であるが、40重量%以下でなけ
ればならない。これより多いとガラスを形成しないこと
がある。PbOの量は50重量%以下でなければならな
い。50重量%を超える量は十分に高い軟化点が得られ
ない。好ましくは、0〜30重量%、さらに好ましくは
0〜20重量%である。Al23 の量は20重量%以
下でなければならない。20重量%を超える量はガラス
を形成しない。好ましい量は0〜5重量%である。
【0052】第1のガラスは有機媒体を含有する組成物
の全重量に対して5〜35重量%、好ましくは10〜2
5重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量に
たいしては、この割合は7〜50重量%、好ましくは1
4〜36重量%となる。
【0053】第2のガラスはPbO含有量50重量%以
上のPbO−SiO2 ガラスである。第1のガラスを第
2のガラスと組み合わせて使用したときにのみ抵抗体T
CRの長さ効果の減少とオーバーコートガラスの焼成に
よる抵抗とTCRの減少または変化が見られる。
【0054】第2のガラスは好ましくは50〜80重量
%のPbO、10〜35重量%のSiO2 、0〜10重
量%のAl23 、1〜10重量%のB23 、1〜1
0重量%のCuOおよび1〜10重量%のZnOを含有
し、PbO,SiO2 ,Al23 ,B23 ,Cu
O,ZnOの総量がガラスの95重量%以上からなるガ
ラスである。この処方の第2のガラスと上述の第1のガ
ラスを混合することにより、TCRの長さ効果とオーバ
ーコートガラスの焼成によるれこうとTCRの変化が最
小化され、焼結特性も改善される。
【0055】第2のガラスは、有機媒体を含有する組成
物の全重量に対して5〜40重量%、好ましくは10〜
35重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量
に対しては、この割合は7〜57重量%、好ましくは1
4〜50重量%となる。
【0056】本発明の厚膜抵抗体組成物は第3のガラス
をガラスバインダとして含有してもよい。この第3のガ
ラスは軟化点が第1のガラスの軟化点よりも低いが第2
のガラスの軟化点よりも高くなるように調製されたPb
O−SiO2 ガラスである。例えば、その処方は65重
量%のPbO、34重量%のSiO2 および1.0重量
%のAl23 である。
【0057】第3のガラスは有機媒体を含有する組成物
の全重量に対して0〜30重量%、好ましくは5〜25
重量%の割合で使用される。無機固形物の全含有量に対
しては、この割合は0〜43重量%、好ましくは7〜3
6重量%となる。
【0058】本発明において無機バインダとして使用さ
れるガラスは、第1、第2および第3のガラスを含む
が、さらに5重量%未満の、厚膜抵抗体の熱膨張係数と
ガラスバインダの熟成温度を調製する成分を含有しても
よい。通常の基体である96%アルミナセラミックは熱
膨張係数が75×10-7/℃であり、そのため厚膜抵抗
体の熱膨張係数はそれより小さいのが好ましい。熱膨張
係数は珪素、酸化鉛および酸化硼素の含有量を調整する
ことにより調節することができる。リチウム、カリウム
またはナトリウムの酸化物を少量導入すると熱膨張係数
を調節することができる。酸化リチウムはガラスバイン
ダ成分中に約3重量%導入するのが有利である。バイン
ダ中に少量のZrO2 および/またはTiO2 とともに
LiO2 を導入すると熱膨張係数に対する効果以外にも
良い効果が得られる。約4%以下の量のZrO2 を添加
するとガラスのアルカリ溶液への溶解に対する耐性を増
すのに対して、TiO2 はガラスの酸による腐蝕に対す
る耐性を増す。ガラスがPbO無添加アルミノ硼珪酸亜
鉛である場合は、Na2 Oを導入すると良好な熱膨張係
数範囲を得ることができる。
【0059】ガラスバインダとしての第1,第2および
第3のガラスは通常のガラス製造技術により製造するこ
とができる。すなわち、それらのガラスは所望の成分ま
たはそれらの前駆体、例えばB23 に対するH3 BO
3 、を所望の割合で混合し、混合物を加熱してメルトを
形成することにより製造することができる。当業者には
周知のように、加熱はメルトが完全に液状となりガスが
発生しなくなるまでピーク温度に加熱して行う。本発明
では、ピーク温度は1,100〜1,500℃、通常は
1,200〜1,400℃の範囲である。ついで、メル
トは典型的には冷ベルト上に、または冷流水中に注がれ
冷却される。ついで、製品は所望により粉砕して粒径を
減少させる。
【0060】さらに詳しくは、これらのガラスは電気的
に加熱されたシリコンカーバイド炉内の白金坩堝中に配
置して約20分間〜1時間約1,200〜1,400℃
で溶融することにより製造することができる。回転また
は振動ミルを用いて処理することにより、最終粒径を1
〜4m2 /gに調整することができる。振動ミル処理は
無機粉末とアルミナシリンダを水性媒体とともに容器中
に置き、次いで容器を特定の時間振動させることにより
行われる。
【0061】本発明の厚膜抵抗体組成物はさらにNb2
5 のような無機添加物を含有してもよい。Nb25
は厚膜抵抗体の導電性に寄与する。無機添加物は、有機
媒体を含有する組成物の全重量に対して0〜10重量
%、または無機固形物の全含有量に対して0〜15重量
%、の割合で使用される。
【0062】これらの無機固形物は有機媒体(ビヒク
ル)中に分散されて印刷可能な組成物のペーストとな
る。有機媒体は組成物の全重量に対して20〜40重量
%、好ましくは25〜35重量%の割合で使用される。
【0063】任意の不活性液体をビヒクルとして使用す
ることができる。ビヒクルとして水および種々の液体で
あってそれぞれ増粘剤および/または安定化剤および/
または他の通常の添加剤を含有しあるいは含有しないも
のの1つを使用してもよい。使用できる有機液体の例と
しては脂肪族アルコール類、そのようなアルコール類の
エステル類(例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エス
テル)、松根油またはテルピノールのようなテルペン
類、および樹脂類(例えば、低級アルコールのポリメタ
クリル酸エステルまたはエチルセルロース)の溶液があ
る。溶剤(例えば、松根油およびエチレングリコールモ
ノアセテートのモノブチルエーテル)中に、すなわちビ
ヒクル中に、基体に適用後の急速な固化を促進するため
の揮発性液体を含有させてもよい。あるいは、ビヒクル
はそのような揮発性液体からなるものであってもよい。
好適なビヒクルはエチルセルロースとβ−テルピネオー
ルをベースとしている。
【0064】本発明の厚膜抵抗体組成物はロールミルに
より調製することができる。
【0065】本発明の抵抗体組成物はフィルムとしてセ
ラミック、アルミナその他の誘電性基体上に通常の方法
によってプリントすることができる。アルミナ基体を使
用し、予備焼成されたパラジウム−銀端子上にプリント
するのが有利である。
【0066】一般に、スクリーン型(screen s
tencil)技術を好適に使用することができる。得
られたプリントパタンは一般にレベリングのために放置
され、約10分間高温、例えば150℃、で乾燥され
る。次いで、空気中でベルト炉(belt furna
ce)内で約150℃のピーク温度で焼成される。
【0067】下記は厚膜抵抗体組成物の種々の特性の試
験方法の説明である。
【0068】(1)厚膜抵抗体組成物ペーストの調製方
法 ビヒクルを所定量の無機固形物に添加し、混合物をロー
ルミルで混練してペーストとする。
【0069】(2)プリントおよび焼成 Pd/Ag厚膜導体を、1インチ×1インチ(25mm
×25mm)の96%アルミナ基体上に乾燥膜厚18±
2μmになるようにプリントし、次いで150℃で10
分間乾燥する。
【0070】次いで、厚膜抵抗体組成物ペーストを0.
8mm×0.8mmまたは0.5mm×0.5mmのサ
イズにプリントする。コーティングの厚さは得られる乾
燥膜圧が18±2μmとなるようにする。このプリント
を150℃で10分間乾燥し、次いでベルト炉中で加熱
して焼成する。ベルト炉の温度プロファイルはピーク温
度の約850℃を10分間維持し、次いで冷却するよう
にする。焼成時間は加熱中の温度が100℃を超えたと
きから冷却中の温度が100℃よりも低くなったときま
での期間が30分間であるようにする。
【0071】(3)抵抗の測定 抵抗の測定は端子パタンプローブ(terminal−
patternedprobe)を用い、精度0.01
%のオートレンジ・オートバランス・デジタル・オーム
メータ(autorange autobalance
digital ohmmeter)を使用して行
う。詳しくは、サンプルをチャンバ内の端子ポストに置
き、デジタルオームメータと電気的に接続する。チャン
バ内の温度は25℃に調整され、平衡化される。次い
で、各サンプルの抵抗を測定し、読み取り値を記録す
る。。
【0072】次いで、チャンバ内の温度を125℃に上
げて平衡化する。次いで、各サンプルの抵抗を再び測定
し、読み取り値を記録する。
【0073】TRCは以下の等式から計算する。
【0074】
【数2】TCR =((R125C −R25C)/R25C) ×10,000ppm/℃ (4)ESDの測定 5kVにおけるESD(ESD5kV )は5kVの静電気
を1パルスで0.8mm×0.8mmの厚膜抵抗体に印
加し、適用後の抵抗(R5kV )を測定し、適用前の抵抗
(R25C )と比較した%変化を下記の等式から計算する
ことにより決定される。
【0075】
【数3】ESD5kV=((R5kV−R25C)/R25C) ×100 % 25kVにおけるESD(ESD25kV)は25kVの静
電気を1パルスで0.5mm×0.5mmの厚膜抵抗体
に印加し、適用後の抵抗(R25kV)を測定し、適用前の
抵抗(R25C )と比較した%変化を下記の等式から計算
することにより決定される。
【0076】
【数4】ESD25kV =((R25kV −R25C)/R25C) ×100 % (5)ノイズおよびデルタノイズの測定 ノイズはレジスタ・ノイズ・テスタ(QUANTECH
Inc.製)を用いて測定する。
【0077】デルタノイズは市場で現在要求されている
1kΩおよび10kΩの絶対値同士を結ぶ直線からの測
定されたサンプルのノイズの偏差として表される。ノイ
ズの絶対値は抵抗と強く相関しているので、デルタノイ
ズの標準化された評価が有用である。
【0078】
【実施例】実施例1〜11の厚膜抵抗体組成物は下記の
ようにして製造した。実施例6〜11は本発明の組成物
である。実施例1〜11の組成物はそれぞれ15.00
重量%の酸化ルテニウムを導電性成分として、16.8
9重量%のガラスAと36.31重量%のガラスBを無
機バインダとして、1.80重量%の酸化ニオブを無機
添加剤として、および30重量%の有機媒体を含有して
いる。
【0079】抵抗体組成物の製造方法は下記の通りであ
る。表3に示す11種類の粉砕された酸化ルテニウム固
形物(RuO2 −1〜RuO2 −11)を、出発材料と
して平均比表面積が50m2 /gであり、平均晶子サイ
ズが133オングストロームである粉砕された酸化ルテ
ニウム固形物(以下、RuO2 −A)を使用して製造し
た。
【0080】RuO2 −1はRuO2 −Aを400℃で
2時間加熱することにより製造した。
【0081】RuO2 −2はRuO2 −Aを350℃で
2時間加熱することにより製造した。
【0082】RuO2 −3はRuO2 −Aを300℃で
1時間加熱することにより製造した。
【0083】RuO2 −4はRuO2 −Aそのものであ
る。
【0084】RuO2 −5はRuO2 −Aを400℃で
1時間加熱し、次いで乾燥生成物を200メッシュのス
クリーンで裁断(shredded)することにより製
造した。約100重量%のRuO2 −5は晶子サイズが
250オングストローム以下の酸化ルテニウム固形物で
あった。
【0085】RuO2 −6はRuO2 −Aを500℃で
2時間加熱し、次いでこれをRuO2 −5と同じ条件下
で粉砕することにより製造した。約80重量%のRuO
2 −6は晶子サイズが250オングストローム以下の酸
化ルテニウム固形物であった。
【0086】RuO2 −7はRuO2 −Aを500℃で
2時間加熱し、次いで湿ボールミリング時間が70時間
であった以外はRuO2 −5と同じ条件下で粉砕処理を
することにより製造した。
【0087】RuO2 −8はRuO2 −Aを500℃で
2時間加熱し、次いでRuO2 −5と同じ条件下で粉砕
処理をするすることにより製造した。
【0088】RuO2 −9はRuO2 −2の粉砕処理を
RuO2 −5と同じ条件下で行うことにより製造した。
【0089】RuO2 −10はRuO2 −6とRuO2
−5を重量比2:1で含有し、RuO2 −6とRuO2
−5を重量比2:1で混合することにより製造した。
【0090】RuO2 −11はRuO2 −6とRuO2
−5を重量比1:2で含有し、RuO2 −6とRuO2
−5を重量比1:2で混合することにより製造した。
【0091】これらの酸化ルテニウムの平均比表面積と
平均晶子サイズを上述の方法により測定した。RuO2
−10とRuO2 −11の平均比表面積と平均晶子サイ
ズはRuO2 −5とRuO2 −6を所定の割合で混合し
た混合物の測定値である。測定の結果を表3に示す。
【0092】無機バインダとして使用したガラスAとガ
ラスBを表4に示す。これらのガラスは所定の材料をガ
ラスの処方によって1,000〜1,700℃で約30
分間〜5時間ガスの発生が止むまで加熱溶融し、次いで
水中で冷却し、冷却生成物をミリングして比表面積約2
〜5m2 /gとすることにより製造した。
【0093】有機媒体はエチルセルロース10〜30部
とβ−テルピネオール90〜70部の混合物である。
【0094】これらの成分をそれぞれの組成物にし、プ
リントし、焼成し、前述のテスト方法に従って特性をテ
ストした。焼成された表面については、焼成後の抵抗体
の外観を視覚により観察した。次いで、抵抗体表面の平
滑性と導電体および基体上の抵抗体の溶融〜焼結の状態
に基づいて表面状態を全体評価し、A、B、C(A:良
い、B:中間、C:悪い)とした。結果を表3に示す。
この種の厚膜抵抗体における抵抗の好ましい値は、抵抗
については1kΩ±30%、さらに好ましくは1kΩ±
20%;HTCRについては0±100ppm/℃、さ
らに好ましくは0±50ppm/℃;デルタノイズにつ
いては−2dB以下、さらに好ましくは−5dB以下;
ESD5kV については0±1%、さらに好ましくは0±
0.5%;およびESD25kVについては0±10%、さ
らに好ましくは0±5%である。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】本発明の厚膜抵抗体組成物は改善されたE
SDを示すことが見出された。これは、ほとんど同じ平
均晶子サイズを持つが平均比表面積が異なる酸化ルテニ
ウムを使用した実施例1(比較例)と実施例8および実
施例2(比較例)と実施例9との比較;ほとんど同じ平
均比表面積を持つが平均晶子サイズが異なる酸化ルテニ
ウムを使用した実施例1(比較例)と実施例6、実施例
2(比較例)と実施例7および実施例(比較例)4と実
施例9との比較;並びにほとんど同じ抵抗値を持つ実施
例1(比較例)と実施例7との比較から明らかである。
実施例1(比較例)および実施例7に示すように、本発
明の範囲の酸化ルテニウムを使用すると、抵抗を実際上
一定値に保ったままESDを改善し、TCRを所望の値
に近づけることが可能となる。
【0098】次に、実施例5(比較例)、実施例6、実
施例10および実施例11の結果の示すように、比表面
積が大きく晶子サイズが小さいRuO2 −5を使用した
実施例5(比較例)は満足なESDを与えるが、表面状
態は不満足である。一方、比表面積が小さく晶子サイズ
が大きいRuO2 −6を使用した実施例6は表面状態は
改善されるが、ESDは悪い。すなわち、ESDの絶対
値が大きく、特に25kVにおけるESDは−24.0
である。これに対して、30m2 /g超の大きい平均比
表面積を持ちかつ250超の大きい平均晶子サイズを持
つRuO2 −10とRuO2 −11をそれぞれ使用した
実施例10と実施例11はESDと表面状態の双方にお
いて優れている。実施例6と実施例10を比較するとわ
かるように、表面状態は匹敵しているが、ESDは、特
に25kVにおいては、実施例10において−9.5で
あり、実施例10がずっと良いことを実証している。実
施例5(比較例)、実施例6、実施例10および実施例
11において、抵抗とTCRはいずれも酸化ルテニウム
の平均比表面積および平均晶子サイズとほぼ線形関係に
ある。同じことがノイズとデルタノイズについてもいえ
る。
【0099】平均比表面積がほぼ同じであるが平均晶子
サイズが異なる実施例3(比較例)、実施例8および実
施例10を比較するとわかるように、250オングスト
ローム超の平均晶子サイズを持つ実施例10はESDと
表面状態の双方を満足しているが、250オングストロ
ーム未満の平均晶子サイズを持つ実施例3(比較例)お
よび実施例8はESDと表面状態の双方を満足している
訳ではない。これらの結果は、250オングストローム
以上の平均晶子サイズを持つ酸化ルテニウムを使用する
とESDはもちろん表面状態においても満足な厚膜抵抗
体が得られることを示している。
【0100】実施例3(比較例)、実施例8および実施
例10においては、酸化ルテニウムの平均比表面積はほ
とんど同じであるが平均晶子サイズは異なるので、抵抗
とTCRが異なる。すなわち、平均晶子サイズが増加す
ると抵抗が増加し、TCRは負の傾向を強める。抵抗の
目標値が1kΩ/□であるならば、実施例8は抵抗とT
CRとのバランスという意味で有利である。しかし、実
施例8は表面状態が粗い。実施例10は抵抗が少し高い
が、TCRと表面状態は満足である。これらの発見から
示されるように、実施例6と実施例10の間のどこかに
ある酸化ルテニウムを選択すると抵抗、TCRおよび表
面状態がよくバランスされた所望の厚膜抵抗体が得られ
る。
【0101】図1は実施例1〜11の酸化ルテニウムの
平均比表面積と平均晶子サイズの間の関係を示す。図
中、丸印は加熱により得られた酸化ルテニウムを示し、
三角印は加熱と粉砕により得られた酸化ルテニウムを示
す。菱形印は混合後の酸化ルテニウムを示す。図中の数
字は実施例の番号の対応する。実施例1〜11に加え
て、加熱と粉砕を実施例1〜11と同じ方法で行って1
1種類の酸化ルテニウムを製造したので、それらについ
てのデータも図中に示した。実施例1〜11以外のこれ
らの酸化ルテニウムを用いて、製造した厚膜抵抗体組成
物の種々の特性は実施例1〜11と同じ傾向を示した。
【0102】
【発明の効果】上述したように、本発明に従う酸化ルテ
ニウムの固形物を含有する厚膜抵抗体組成物は満足な電
圧耐久特性を持ち、抵抗とTCRが調節可能であるとと
もに良好な表面状態を持つ厚膜抵抗体を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜11において製造された酸化ルテニ
ウムの平均比表面積と平均晶子サイズとの関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1〜11 実施例1〜11に対応
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバート ジョセフ ボーチャード アメリカ合衆国 19810 デラウェア州 ウィルミントン クレストフィールド ロ ード 20 (72)発明者 ケイイチロウ ハヤカワ 神奈川県横須賀市武3−17−12 (72)発明者 ヒサシ マツノ 東京都町田市小川4−16−13 (72)発明者 トーマス ファイファー ドイツ 63303 ドライアイヒ エルレン ベーク 14 (72)発明者 タケシ サトウ 東京都世田谷区桜新町1−36−18 (72)発明者 ジェローム デイヴィッド スミス 神奈川県横浜市中区本牧三之谷72 (72)発明者 アルフレッド トーマス ウォーカー,ザ サード アメリカ合衆国 19363 ペンシルベニア 州 オックスフォード ストリート ロー ド 10901

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性成分として酸化ルテニウムの粉砕
    された固形物を5〜25重量%、無機バインダとしてガ
    ラスを30〜70重量%包含してなり、前記酸化ルテニ
    ウムの粉砕された固形物は、(1)平均比表面積が30
    2 /g以上であり、かつ平均晶子サイズが160オン
    グストローム以上であるか、あるいは(2)平均比表面
    積が18m2 /g以上30m2 /g未満であり、かつ平
    均晶子サイズが220オングストローム以上であること
    を特徴とする厚膜抵抗体組成物。
  2. 【請求項2】 前記導電性成分として、さらに、ルテニ
    ウムパイロクロールを20重量%以下含有することを特
    徴とする請求項1に記載の厚膜抵抗体組成物。
  3. 【請求項3】 前記粉砕された固形物は、平均比表面積
    が30m2 /g以上であり、かつ平均晶子サイズが22
    0オングストローム以上であることを特徴とする請求項
    1または2に記載の厚膜抵抗体組成物。
  4. 【請求項4】 前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物
    は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%
    に対して、比表面積が30m2 /g以下であり、かつ晶
    子サイズが350オングストローム以上の酸化ルテニウ
    ムの固形物を30〜70重量%と、比表面積が50m2
    /g以上であり、かつ晶子サイズが250オングストロ
    ーム以下の酸化ルテニウムの固形物を70〜30重量%
    とを含有することを特徴とする請求項3に記載の厚膜抵
    抗体組成物。
  5. 【請求項5】 前記酸化ルテニウムの粉砕された固形物
    は、前記粉砕された酸化ルテニウム全体の100重量%
    に対して、平均比表面積が30m2 /g以下であり、か
    つ平均晶子サイズが350オングストローム以上の酸化
    ルテニウムの第1の固形物を30〜70重量%と、平均
    比表面積が50m2 /g以上であり、かつ平均晶子サイ
    ズが250オングストローム以下の酸化ルテニウムの第
    2の固形物を70〜30重量%とを含有することを特徴
    とする請求項3または4に記載の厚膜抵抗体組成物。
  6. 【請求項6】 酸化ルテニウムはルテニウムパイロクロ
    ールであることを特徴とする請求項1に記載の厚膜抵抗
    体組成物。
  7. 【請求項7】 無機バインダは、第1のガラス30〜6
    0重量%と第2のガラスとの混合物を含有し、前記第1
    のガラスの組成が30〜60重量%のSiO2 ,5〜3
    0重量%のCaO,1〜40重量%のB23 ,0〜5
    0重量%のPbO,0〜20重量%のAl23 および
    これらの混合物であって、SiO2 ,CaO,B2
    3 ,PbO,Al23 ,PbOの全量が前記第1のガ
    ラスの95重量%以上からなり、かつ、前記第2のガラ
    スの組成がPbO−SiO2 およびそれらの混合物であ
    って、PbOが前記第2のガラスの50重量%以上から
    なることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 第3のガラスとして0〜43重量%のP
    bO−SiO2 からなり、軟化点が前記第1のガラスよ
    りも低いが前記第2のガラスより高くなるように調製さ
    れたガラスを含有することを特徴とする請求項7に記載
    の組成物。
  9. 【請求項9】 リチウム、カリウムおよびナトリウムの
    酸化物を含有することを特徴とする請求項7に記載の組
    成物。
  10. 【請求項10】 0〜15重量%のNb25 を含有す
    ることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 エチルセルロースおよびβ−テルピノ
    ールを含有することを特徴とする請求項7に記載の組成
    物。
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