JPH07232913A - A型ゼオライトの製造方法 - Google Patents

A型ゼオライトの製造方法

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JPH07232913A
JPH07232913A JP19254294A JP19254294A JPH07232913A JP H07232913 A JPH07232913 A JP H07232913A JP 19254294 A JP19254294 A JP 19254294A JP 19254294 A JP19254294 A JP 19254294A JP H07232913 A JPH07232913 A JP H07232913A
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純二 隈元
Shunichi Toyama
俊一 遠山
Masaru Horii
勝 堀井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 産業廃棄物の焼却残渣等を主原料としてA型
ゼオライトを製造するに当たり、原料粉末中のカルシウ
ム化合物を除去してから、アルカリ水溶液中で加熱撹拌
し反応させてA型ゼオライトを製造する。 【効果】 ゼオライト合成の前に原料からのカルシウム
除去処理を行なうことによって、比表面積の大きなA型
ゼオライトを、副成物(特にヒドロキシソーダライト)
を生成することなく合成し得る製造方法を提供できた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来産業廃棄物とされ
ていた石炭灰、下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、
FRP焼却残渣および製鉄スラグ等を再資源化し、それ
を主原料として、気体分子や低分子有機化合物の吸着材
等として有用なA型ゼオライトを効率良く製造すること
のできる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】A型ゼオライトは、アルミノシリケート
ゲルを熱水結晶化することによって製造されている。ア
ルミノシリケートゲルは、例えば高塩基性アルミン酸ナ
トリウム水溶液にシリカゲル水溶液を加える方法、ある
いは高塩基性珪酸ナトリウム水溶液に水酸化アルミニウ
ム粉末を加えて混合する方法等により得ることができる
が、この生成したアルミノシリケートゲルを加熱する
と、ゲル中でA型ゼオライトの結晶核生成と結晶成長が
徐々に進行し、その全部もしくは大部分が結晶質のA型
ゼオライトに変化する。
【0003】このA型ゼオライトは、熱力学的には準安
定相結晶であって、例えば加熱温度が高すぎると安定相
結晶であるP型ゼオライトが生成し易い。またナトリウ
ムが過剰な場合には、やはり安定相結晶であるヒドロキ
シソーダライトが生成し易いという様に、熱水結晶化の
際の温度や、原料の組成等の条件が限定されなければA
型ゼオライトが生成しないことがわかっている。P型ゼ
オライトやヒドロキシソーダライトは、A型ゼオライト
に比べて比表面積が小さく、触媒能、吸着能、イオン交
換能が低い等その性能が大きく劣っており、土壌改良剤
等には使えるが高性能な吸着材としては不向きである。
このため、A型ゼオライトの製造にあたっては、いかに
して安定相結晶への変化を抑えて準安定相結晶状態で止
めるか、という点に主眼を置いた研究が行なわれている
(特開昭56−37166号公報等)。
【0004】しかし、原料としてアルミノシリケートゲ
ルを使用した方法でも、結晶化工程で過剰の熱エネルギ
ーが加わると(温度が高すぎたり、反応時間が長すぎる
と)、各イオンの動きが活発となって安定相への再配列
を起こし、ヒドロキシソーダライトが生成してしまい、
またゲルネットワーク構造が強固すぎてゲル内における
各イオンの移動が過度に制限されると、結晶化反応自体
が起こり難くなって準安定相結晶の生成率が上がらなく
なるという問題が残存していた。
【0005】一方、従来産業廃棄物とされていた石炭灰
を再資源化するため、その石炭灰を主原料としてゼオラ
イトを製造する試みがなされている(特開昭56−14
9313号、特開昭59−35019号、特開昭61−
178416号、特開昭64−24014号公報等)。
これらは、石炭灰に、シリカ源、アルミニウム源、ナト
リウム源を加え加熱撹拌してゼオライトを合成するもの
である。この他に原料として石炭灰以外の下水汚泥焼却
物、製紙スラッジ焼却物等を用いてゼオライト合成がな
されているが、A型ゼオライトの合成を阻害する成分の
除去について検討した研究は行なわれていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題を解決し、産業廃棄物とされていた石炭灰、下水
汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼却残渣およ
び製鉄スラグ等の原料から不要な成分を効果的に取り除
き、P型ゼオライトやヒドロキシソーダライトに比べて
吸着性能等に優れたA型ゼオライトを、効率よく製造す
る方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の製造方法は、ゼオライト製造用原料粉末からA型
ゼオライトを製造するに当たり、原料中のカルシウム化
合物を除去してから、アルカリ水溶液中で加熱撹拌し反
応させるところに要旨を有する。そして、カルシウム除
去方法として、原料を水洗する方法、原料を酸水溶液で
処理する方法、原料を含む水中に二酸化炭素を吹き込み
ながら撹拌する方法は、本発明の好ましい実施態様であ
る。また、酸水溶液でカルシウム除去を行った場合に排
出される排液中のカルシウムイオンを用いてイオン交換
し、カルシウムA型ゼオライトを製造する方法も本発明
に含まれる。なお、これらの方法で用いられる原料は石
炭灰、下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼
却残渣および製鉄スラグよりなる群から選択される1種
以上であることが再資源化の点から好ましい。
【0008】
【作用】本発明者らはA型ゼオライトの収率を挙げるた
めに、原料の石炭灰やFRP焼却残渣について種々の検
討を行なった。その結果、原料中のカルシウム成分がゼ
オライト合成反応過程で消失し、反応後の溶液中にも残
存していないことを明らかにした。すなわち、原料中の
酸化カルシウムや硫酸カルシウム等の不可避カルシウム
成分が、ゼオライト合成原料であるシリカやアルミナと
反応し、カルシウムシリケートやカルシウムアルミネー
トとして沈殿してしまって、実際のゼオライト合成反応
に寄与するシリカやアルミナの量が減少しているため、
結局ヒドロキシソーダライトの生成し易い条件となり、
A型ゼオライト合成率が低下していたのである。
【0009】石炭灰には、もともと上記カルシウム成分
が含まれているが、排煙脱硫のために燃焼時に吹き込ま
れるものもあって、不可避的にカルシウム成分が混入し
ている。またFRP焼却残渣には約20%のCaOがガ
ラス中に溶け込んだ状態で含まれるほか、FRP成型体
残渣には炭酸カルシウムが40%近くも含まれている。
本発明者等は上記知見を基に、ゼオライト合成反応の前
にこれらカルシウム成分を除去することによって、A型
ゼオライトの合成率向上に成功し、本発明に到達したも
のである。また、カルシウム除去処理によって原料の表
面積が増大することも判明した。表面積の増大はA型ゼ
オライトの合成率向上に寄与すると考えられる。以下、
本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明では、原料からカルシウム成分を除
去することが必須要件である。除去方法としてはどのよ
うな方法でも採用し得るが、容易で効率的な方法とし
て、原料粉末を、水洗する、酸水溶液で洗浄する、
水中に懸濁させ、二酸化炭素を吹き込みながら撹拌し
て炭酸カルシウムとして晶析させた後選択分離させる、
という3つの方法が好ましく採用できる。
【0011】の水洗する方法とは、水中に原料粉末を
入れて撹拌し、その後ろ過する方法である。この方法は
他の2法に比べて簡単かつ低コストであるが繰り返す必
要性がある。図1には、石炭灰を水に入れて撹拌した
後、ろ過を行なうという水洗工程を繰り返した時の処理
水(排液)中のpH、カルシウム濃度、硫黄濃度の変化
を示した。pHは初期に急激に減少した後ほぼ一定とな
った。カルシウムは初期に急激に減少した後も徐々に減
少する傾向を、硫黄は徐々に減少する傾向を示してい
る。これは、石炭灰中のカルシウム成分の中で水に易溶
である酸化カルシウムが初期に溶出した後、比較的水に
溶けにくい硫酸カルシウムが徐々に溶出するためである
と考えられる。
【0012】図2には、水洗処理前のものと10回の水
洗処理を行なったものとの石炭灰のX線回折図を示し
た。水洗によって、酸化カルシウム、硫酸カルシウムの
ピークが消失していることがわかる。また、図3には、
異なるロットの石炭灰を用いて水洗処理を行なった時の
排液のpH変化を示した。pHの低下挙動は2種の灰で
同じ傾向を示したが、pHの始点・終点は異なってい
る。石炭灰の種類や操業条件が違うと、カルシウム量や
酸化カルシウムの割合等が異なるためであると考えられ
る。石炭灰や他の原料の前処理としては溶出するカルシ
ウム成分をすべて除去することが望ましいが、pHがほ
ぼ一定になる点を目安として、1回10分程度の撹拌を
行ない、3〜13回繰り返せば、可溶性カルシウム成分
の大部分が除去できる。原料粉末と水の比率は、原料粉
末30〜90gに水1リットルが好ましい。
【0013】の酸水溶液で洗浄する方法とは、酸水溶
液中に原料を入れて撹拌した後にろ過を行なって水洗す
る方法である。図4には、0.1Nの塩酸水溶液中で撹
拌処理した前後の石炭灰のX線回折図を示した。また図
5には、原料としてFRP焼却残渣粉末を用いて1Nの
塩酸水溶液で酸処理を行った前後のX線回折図を示し
た。処理後の酸化カルシウム、硫酸カルシウムや炭酸カ
ルシウムのピークが消失していることがわかる。用いら
れる酸としては、塩酸の他に、硫酸、硝酸、フッ酸、シ
ュウ酸、酢酸等が挙げられ、濃度は0.0005〜0.
1Nが好ましい。酸の濃度が高いほど、カルシウム成分
の溶出が速くなるが、ろ過物中に酸が残存し、後のゼオ
ライト合成反応におけるアルカリが消費されることがあ
るので、酸処理後の水洗は充分行なうことが好ましい。
酸処理自体は1〜5回程度繰り返せば充分である。原料
と酸水溶液の比率は、原料30〜90gに1リットルが
好ましい。
【0014】の二酸化炭素吹き込み法は、原料粉末を
含む水中に二酸化炭素ガスを吹き込みながら撹拌を行な
い、その後ろ過を行なう方法である。原料粉末を含む水
を常に弱酸性に保つことができるため、に比べ、カル
シウムの溶出が促進される。図6には、石炭灰を水中で
撹拌した時のpHの経時変化を示したが、二酸化炭素を
吹き込みながら撹拌したものは、撹拌直後に急激にpH
が低下している。図7には、二酸化炭素を吹き込みなが
ら30分撹拌処理した前後の石炭灰のX線回折図を示し
た。処理後の酸化カルシウム、硫酸カルシウムのピーク
が消失していることがわかる。この処理方法では、二酸
化炭素処理液のpHが5〜6程度になる様に吹込み、原
料粉末30〜90gに水1リットルが好ましい。また、
撹拌時間を5〜15分とし、1〜3回行なうことが好ま
しい。
【0015】本発明で原料として用いることができる産
業廃棄物としては、石炭灰以外の下水汚泥焼却物、製紙
スラッジ焼却物、FRP焼却残渣、製鉄スラグ等が挙げ
られる。粉末状でないものは、50μm以下に粉砕して
用いることがカルシウム除去効率とA型ゼオライト合成
効率が向上するため好ましい。
【0016】上記の様に、原料のカルシウム成分除去処
理を行なった後は、前記原料に、アルカリ源、ナトリウ
ム源および水を、また必要に応じてアルミニウム源とシ
リコン源を加え、60〜90℃で、10時間以内の合成
反応を行なう。より好ましい反応温度は70〜85℃、
より好ましい合成時間は1〜5時間である。反応温度が
高いほど短時間で反応が完結するが、P型ゼオライトや
ヒドロキシソーダライト等の副生成物が多くなる。また
長すぎる反応時間は、イオンの動きが活発となって安定
相への再配列を起こし、ヒドロキシソーダライトの生成
率を高めて、A型ゼオライトの収率を低くするため好ま
しくない。
【0017】アルカリ水溶液濃度としては、2〜4Nが
好ましい。アルカリ濃度が低過ぎると原料からの反応性
成分の溶出が遅くなってA型ゼオライトが生成しにく
く、濃度が高すぎるとヒドロキシソーダライトの生成率
が増大してしまう。アルカリ源としては、水酸化ナトリ
ウムを使用すれば、ナトリウム源を兼ねることができる
が、他に水酸化カリウムや炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム等を用いることもできる。
【0018】シリカやアルミナは原料中に含まれている
が、原料の種類によってこれらの量が少ない場合には、
シリコン源やアルミニウム源を添加することが好まし
い。アルミニウムが少なすぎるとP型ゼオライトが生じ
易い。アルミニウム源としてはアルミン酸ナトリウムを
用いるのが一般的であるが、水酸化アルミニウムや塩化
アルミニウム等を用いてもよい。シリコン源としては、
ケイ酸ナトリウムやケイ砂、ケイ酸塩ガラス等が用いら
れる。以上説明した本発明法では主にナトリウムA型ゼ
オライトが合成される。カルシウムA型ゼオライトを公
知のイオン交換法で得るときに、前述の酸水溶液でカル
シウム除去を行った場合に排出される酸性排液を用いれ
ば、排液中のカルシウムイオンを有効利用することがで
きる。
【0019】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。 〈評価方法〉下記実施例および比較例で得られた試料に
対し、粉末X線回折(以下XRDという)法による結晶
の同定、比表面積測定、昇温脱離(以下TPDという)
法によるアンモニア吸着量の測定、走査型電子顕微鏡
(以下SEMという)による結晶観察を行なった。原料
が石炭灰であり、酸処理によるカルシウム除去を行なっ
た後にゼオライト合成を行なう本発明法で得られた合成
ゼオライトと薬品原料のA型ゼオライトのXRD測定結
果を図8に、それぞれの結晶構造を示す図面代用SEM
写真を図9〜11に示す。XRDにおいてA型ゼオライ
トのピーク強度が高く、SEMでA型ゼオライトの結晶
が多く観察されるものほど比表面積が高いことが確認さ
れた。また、比表面積とTPDの脱離ピーク面積(アン
モニア吸着量)は図12に示すように正の比例関係が得
られ、A型ゼオライトの生成量が多いものほど、比表面
積が大きく、吸着能に優れていることが確認された。
【0020】実施例1(水洗によるカルシウム除去) 炭種・操業条件の異なる石炭灰A〜Dに固液比60g/
リットルの水を加え、10分間撹拌した後、ろ過を行な
って排水を除去した。この操作を、pHがほぼ一定にな
るまで繰り返した。この時の繰り返し回数は、A(図3
の灰1に相当)が5回、B〜Dは10回であった。得ら
れた石炭灰に3Nの水酸化ナトリウム水溶液を固液比6
0g/リットルとなる様に加え、85℃で3時間撹拌し
た。得られたスラリーをろ過し、得られたゼオライトの
XRDと比表面積測定を行なった。結果を表1に示し
た。 比較例1 実施例で用いたものと同じ石炭灰A〜Dにおいて、水洗
処理を行なわない以外は実施例1と同様にしてゼオライ
ト合成を行なった。評価結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】表1から明らかな様に、水洗処理を行なわ
ない比較例に比べ、実施例では比表面積の大きなA型ゼ
オライトが得られており、ヒドロキシソーダライトのピ
ークは認められなかった。 実施例2(水洗によるカルシウム除去) 実施例1の石炭灰Aを用いて、水洗回数が3回、5回、
9回の時の比較を行なった。結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
【0024】水洗回数の増加に伴ってA型ゼオライトの
比表面積が少し増大することがわかる。 実施例3(ゼオライト合成温度と時間の検討) 石炭灰E(図3の灰2に相当)に固液比60g/リット
ルの水を加え、10分間撹拌した後、ろ過を行なって排
水を除去した。この操作を5回繰り返した後、得られた
石炭灰に3Nの水酸化ナトリウム水溶液を固液比60g
/リットルとなる様に加え、表3に示した条件でゼオラ
イト合成を行なった。得られたゼオライトのXRDと比
表面積測定結果を表3に示した。 比較例2 実施例3と同様にして水洗処理を行ない、表3に示した
温度・時間条件でゼオライト合成を行なった。得られた
ゼオライトのXRDと比表面積測定結果を表3に示し
た。
【0025】
【表3】
【0026】表3から、同じ温度でも合成時間の短い比
較例ではA型ゼオライトの生成が認められないことが分
かる。また、合成温度の高い実施例では合成時間の増大
に伴いヒドロキシソーダライトの生成が認められた。 実施例4(酸処理によるカルシウム除去) 実施例1で用いた石炭灰A〜Dに固液比60g/リット
ルとなる様に0.1Nの塩酸を加えて10分間撹拌した
後、ろ過を行なって排水を除去した。この操作を、廃水
のpHが処理前の塩酸とほぼ同じになるまで行なった。
この時の繰り返し回数は、Aが2回、B〜Dは3回であ
った。酸処理の後、スラリーのpHが5〜7になるまで
水洗した。得られた石炭灰に3Nの水酸化ナトリウム水
溶液を固液比60g/リットルとなる様に加え、85℃
で3時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、得られ
たゼオライトのXRDと比表面積測定を行なった。評価
結果を比較例1の結果と共に表4に示した。
【0027】
【表4】
【0028】実施例5(酸処理によるカルシウム除去) 石炭灰Aに表5に示した濃度の塩酸を固液比60g/リ
ットルになる様に加えて10分間撹拌した後、ろ過を行
なって排水を除去した。この操作を2回行ない、後は実
施例4と同様にゼオライト合成を行なった。評価結果を
表5に示した。 実施例6(酸処理によるカルシウム除去) 石炭灰Aに0.2Nの硫酸を固液比60g/リットルに
なる様に加えて10分間撹拌した後、ろ過を行なって排
水を除去した。この操作を2回行ない、後は実施例4と
同様にゼオライト合成を行なった。評価結果を表5に示
した。
【0029】
【表5】
【0030】実施例7(酸処理によるカルシウム除去) FRP成型体の焼却残渣を40μm以下に粉砕し、この
原料粉末50gを1Nの塩酸水溶液で酸処理した。図5
(a)には酸処理前の、同じく(b)には酸処理後のX
線回折図を示した。炭酸カルシウムが除去されているこ
とが明らかである。処理前後の原料を用いて実施例4と
同様にゼオライト合成を行った。評価結果を表6に示し
た。なお比較例3は酸処理前の原料を用いた結果であ
る。
【0031】
【表6】
【0032】実施例8(二酸化炭素吹き込みによるカル
シウム除去) 石炭灰Aに固液比60g/リットルの水を加え、二酸化
炭素ガスを1.5リットル/分で吹き込みながら10分
間撹拌した後、ろ過を行なって排水を除去した。この操
作を1回行なったものと、3回行なったものについて実
施例1と同様にゼオライト合成を行ない、評価した。評
価結果を比較例1の結果と共に表7に示した。
【0033】
【表7】
【0034】実施例9(Caイオン置換ゼオライト製
造) 実施例5にて得られたNaゼオライト粉末(サンプル1
と2)を実施例5で排出された酸性排液(Ca濃度1モ
ル/リットル)中にゼオライトのNa交換量以上のCa
濃度が存在するようにゼオライト粉末重量と排液量を調
整して懸濁させ、30℃で30分保持した。これを3回
繰り返してから水洗乾燥後、比表面積を測定した。その
結果、サンプル1の比表面積はCa置換前356m2
gからCa置換後402m2/gへ、サンプル2ではC
a置換前376m2/gからCa置換後418m2/gへ
といずれも10%程度増大していた。また、サンプル1
のX線回折チャート(図13)から、置換前後でA型ゼ
オライトのパターンに変化はなく、カルシウムA型ゼオ
ライトが得られたことがわかった。
【0035】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、ゼ
オライト合成の前に原料粉末からのカルシウム除去処理
を行なうことによって、比表面積の大きなA型ゼオライ
トを、副成物(特にヒドロキシソーダライト)を生成す
ることなく合成し得る製造方法を提供できた。本発明に
よれば、石炭灰はもとより、FRP焼却残渣あるいは下
水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、製鉄スラグ等の産
業廃棄物からA型ゼオライトを合成することができ、リ
サイクルの点からも有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水洗処理回数による排液中のpH、カルシウム
濃度および硫黄濃度の変化を示す図である。
【図2】水洗処理前および後の石炭灰のX線回折結果を
示す図である。
【図3】異なるロットの灰を用いて水洗処理を行なった
時の排液のpH変化を示す図である。
【図4】酸処理前および後の石炭灰のX線回折結果を示
す図である。
【図5】酸処理前および後のFRP焼却残渣のX線回折
結果を示す図である。
【図6】二酸化炭素吹き込みによる石炭灰含有水のpH
の経時変化を示す図である。
【図7】二酸化炭素吹き込み処理前および後の石炭灰の
X線回折結果を示す図である。
【図8】酸洗処理によってカルシウムを除去してから合
成して得られたA型ゼオライトおよび試薬原料のA型ゼ
オライトのX線回折結果を示す図である。
【図9】石炭灰の結晶構造を示す図面代用走査型電子顕
微鏡写真である。
【図10】酸洗処理によってカルシウムを除去してから
合成して得られたA型ゼオライトの結晶構造を示す図面
代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】薬品原料のA型ゼオライトの結晶構造を示す
図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明法で得られたA型ゼオライトの比表面
積と昇温脱離法によるアンモニア吸着量測定結果との関
係を示す図である。
【図13】実施例8におけるイオン交換前後のX線回折
結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠山 俊一 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式会社神戸製鋼所神戸本社内 (72)発明者 堀井 勝 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式会社神戸製鋼所神戸本社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼオライト製造用原料粉末からA型ゼオ
    ライトを製造するに当たり、該原料粉末中のカルシウム
    化合物を除去してから、アルカリ水溶液中で加熱撹拌し
    反応させることを特徴とするA型ゼオライトの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 原料粉末を水洗することによって原料中
    のカルシウム化合物を除去する請求項1に記載のA型ゼ
    オライトの製造方法。
  3. 【請求項3】 原料粉末を酸水溶液で処理することによ
    って原料中のカルシウム化合物を除去する請求項1に記
    載のA型ゼオライトの製造方法。
  4. 【請求項4】 原料粉末を含む水中に二酸化炭素を吹き
    込みながら撹拌することによって原料中のカルシウム化
    合物を除去する請求項1に記載のA型ゼオライトの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載の原料粉末が石炭
    灰、下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼却
    残渣および製鉄スラグよりなる群から選択される1種以
    上の原料粉末であるA型ゼオライトの製造方法。
  6. 【請求項6】 カルシウム化合物除去により排出される
    酸性排液中のカルシウムイオンを利用してイオン交換に
    よってカルシウムA型ゼオライトを製造する請求項3に
    記載のA型ゼオライトの製造方法。
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