JP3666031B2 - A型ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、従来産業廃棄物とされていた石炭灰、下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼却残渣および製鉄スラグ等を再資源化し、それを主原料として、気体分子や低分子有機化合物の吸着材等として有用なA型ゼオライトを効率良く製造することのできる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
A型ゼオライトは、アルミノシリケートゲルを熱水結晶化することによって製造されている。アルミノシリケートゲルは、例えば高塩基性アルミン酸ナトリウム水溶液にシリカゲル水溶液を加える方法、あるいは高塩基性珪酸ナトリウム水溶液に水酸化アルミニウム粉末を加えて混合する方法等により得ることができるが、この生成したアルミノシリケートゲルを加熱すると、ゲル中でA型ゼオライトの結晶核生成と結晶成長が徐々に進行し、その全部もしくは大部分が結晶質のA型ゼオライトに変化する。
【0003】
このA型ゼオライトは、熱力学的には準安定相結晶であって、例えば加熱温度が高すぎると安定相結晶であるP型ゼオライトが生成し易い。またナトリウムが過剰な場合には、やはり安定相結晶であるヒドロキシソーダライトが生成し易いという様に、熱水結晶化の際の温度や、原料の組成等の条件が限定されなければA型ゼオライトが生成しないことがわかっている。P型ゼオライトやヒドロキシソーダライトは、A型ゼオライトに比べて比表面積が小さく、触媒能、吸着能、イオン交換能が低い等その性能が大きく劣っており、土壌改良剤等には使えるが高性能な吸着材としては不向きである。このため、A型ゼオライトの製造にあたっては、いかにして安定相結晶への変化を抑えて準安定相結晶状態で止めるか、という点に主眼を置いた研究が行なわれている(特開昭56−37166号公報等)。
【0004】
しかし、原料としてアルミノシリケートゲルを使用した方法でも、結晶化工程で過剰の熱エネルギーが加わると(温度が高すぎたり、反応時間が長すぎると)、各イオンの動きが活発となって安定相への再配列を起こし、ヒドロキシソーダライトが生成してしまい、またゲルネットワーク構造が強固すぎてゲル内における各イオンの移動が過度に制限されると、結晶化反応自体が起こり難くなって準安定相結晶の生成率が上がらなくなるという問題が残存していた。
【0005】
一方、従来産業廃棄物とされていた石炭灰を再資源化するため、その石炭灰を主原料としてゼオライトを製造する試みがなされている(特開昭56−149313号、特開昭59−35019号、特開昭61−178416号、特開昭64−24014号公報等)。これらは、石炭灰に、シリカ源、アルミニウム源、ナトリウム源を加え加熱撹拌してゼオライトを合成するものである。この他に原料として石炭灰以外の下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物等を用いてゼオライト合成がなされているが、A型ゼオライトの合成を阻害する成分の除去について検討した研究は行なわれていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の問題を解決し、産業廃棄物とされていた石炭灰、下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼却残渣および製鉄スラグ等の原料から不要な成分を効果的に取り除き、P型ゼオライトやヒドロキシソーダライトに比べて吸着性能等に優れたA型ゼオライトを、効率よく製造する方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明の製造方法は、ゼオライト製造用原料粉末からA型ゼオライトを製造するに当たり、原料中のカルシウム化合物を除去してから、アルカリ水溶液中で加熱撹拌し反応させるところに要旨を有する。そして、カルシウム除去方法として、原料を水洗する方法、原料を酸水溶液で処理する方法、原料を含む水中に二酸化炭素を吹き込みながら撹拌する方法は、本発明の好ましい実施態様である。また、酸水溶液でカルシウム除去を行った場合に排出される排液中のカルシウムイオンを用いてイオン交換し、カルシウムA型ゼオライトを製造する方法も本発明に含まれる。なお、これらの方法で用いられる原料は石炭灰、下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼却残渣および製鉄スラグよりなる群から選択される1種以上であることが再資源化の点から好ましい。
【0008】
【作用】
本発明者らはA型ゼオライトの収率を挙げるために、原料の石炭灰やFRP焼却残渣について種々の検討を行なった。その結果、原料中のカルシウム成分がゼオライト合成反応過程で消失し、反応後の溶液中にも残存していないことを明らかにした。すなわち、原料中の酸化カルシウムや硫酸カルシウム等の不可避カルシウム成分が、ゼオライト合成原料であるシリカやアルミナと反応し、カルシウムシリケートやカルシウムアルミネートとして沈殿してしまって、実際のゼオライト合成反応に寄与するシリカやアルミナの量が減少しているため、結局ヒドロキシソーダライトの生成し易い条件となり、A型ゼオライト合成率が低下していたのである。
【0009】
石炭灰には、もともと上記カルシウム成分が含まれているが、排煙脱硫のために燃焼時に吹き込まれるものもあって、不可避的にカルシウム成分が混入している。またFRP焼却残渣には約20%のCaOがガラス中に溶け込んだ状態で含まれるほか、FRP成型体残渣には炭酸カルシウムが40%近くも含まれている。本発明者等は上記知見を基に、ゼオライト合成反応の前にこれらカルシウム成分を除去することによって、A型ゼオライトの合成率向上に成功し、本発明に到達したものである。また、カルシウム除去処理によって原料の表面積が増大することも判明した。表面積の増大はA型ゼオライトの合成率向上に寄与すると考えられる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明では、原料からカルシウム成分を除去することが必須要件である。除去方法としてはどのような方法でも採用し得るが、容易で効率的な方法として、原料粉末を、▲1▼水洗する、▲2▼酸水溶液で洗浄する、▲3▼水中に懸濁させ、二酸化炭素を吹き込みながら撹拌して炭酸カルシウムとして晶析させた後選択分離させる、という3つの方法が好ましく採用できる。
【0011】
▲1▼の水洗する方法とは、水中に原料粉末を入れて撹拌し、その後ろ過する方法である。この方法は他の2法に比べて簡単かつ低コストであるが繰り返す必要性がある。図1には、石炭灰を水に入れて撹拌した後、ろ過を行なうという水洗工程を繰り返した時の処理水(排液)中のpH、カルシウム濃度、硫黄濃度の変化を示した。pHは初期に急激に減少した後ほぼ一定となった。カルシウムは初期に急激に減少した後も徐々に減少する傾向を、硫黄は徐々に減少する傾向を示している。これは、石炭灰中のカルシウム成分の中で水に易溶である酸化カルシウムが初期に溶出した後、比較的水に溶けにくい硫酸カルシウムが徐々に溶出するためであると考えられる。
【0012】
図2には、水洗処理前のものと10回の水洗処理を行なったものとの石炭灰のX線回折図を示した。水洗によって、酸化カルシウム、硫酸カルシウムのピークが消失していることがわかる。また、図3には、異なるロットの石炭灰を用いて水洗処理を行なった時の排液のpH変化を示した。pHの低下挙動は2種の灰で同じ傾向を示したが、pHの始点・終点は異なっている。石炭灰の種類や操業条件が違うと、カルシウム量や酸化カルシウムの割合等が異なるためであると考えられる。石炭灰や他の原料の前処理としては溶出するカルシウム成分をすべて除去することが望ましいが、pHがほぼ一定になる点を目安として、1回10分程度の撹拌を行ない、3〜13回繰り返せば、可溶性カルシウム成分の大部分が除去できる。原料粉末と水の比率は、原料粉末30〜90gに水1リットルが好ましい。
【0013】
2の酸水溶液で洗浄する方法とは、酸水溶液中に原料を入れて撹拌した後にろ過を行なって水洗する方法である。図4には、0.1Nの塩酸水溶液中で撹拌処理した前後の石炭灰のX線回折図を示した。また図5には、原料としてFRP焼却残渣粉末を用いて1Nの塩酸水溶液で酸処理を行った前後のX線回折図を示した。処理後の酸化カルシウム、硫酸カルシウムや炭酸カルシウムのピークが消失していることがわかる。用いられる酸としては、塩酸の他に、硫酸、硝酸、フッ酸、シュウ酸、酢酸等が挙げられ、濃度は0.0005〜1Nが好ましい。酸の濃度が高いほど、カルシウム成分の溶出が速くなるが、ろ過物中に酸が残存し、後のゼオライト合成反応におけるアルカリが消費されることがあるので、酸処理後の水洗は充分行なうことが好ましい。酸処理自体は1〜5回程度繰り返せば充分である。原料と酸水溶液の比率は、原料30〜90gに1リットルが好ましい。
【0014】
▲3▼の二酸化炭素吹き込み法は、原料粉末を含む水中に二酸化炭素ガスを吹き込みながら撹拌を行ない、その後ろ過を行なう方法である。原料粉末を含む水を常に弱酸性に保つことができるため、▲1▼に比べ、カルシウムの溶出が促進される。図6には、石炭灰を水中で撹拌した時のpHの経時変化を示したが、二酸化炭素を吹き込みながら撹拌したものは、撹拌直後に急激にpHが低下している。図7には、二酸化炭素を吹き込みながら30分撹拌処理した前後の石炭灰のX線回折図を示した。処理後の酸化カルシウム、硫酸カルシウムのピークが消失していることがわかる。この処理方法では、二酸化炭素処理液のpHが5〜6程度になる様に吹込み、原料粉末30〜90gに水1リットルが好ましい。また、撹拌時間を5〜15分とし、1〜3回行なうことが好ましい。
【0015】
本発明で原料として用いることができる産業廃棄物としては、石炭灰以外の下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼却残渣、製鉄スラグ等が挙げられる。粉末状でないものは、50μm以下に粉砕して用いることがカルシウム除去効率とA型ゼオライト合成効率が向上するため好ましい。
【0016】
上記の様に、原料のカルシウム成分除去処理を行なった後は、前記原料に、アルカリ源、ナトリウム源および水を、また必要に応じてアルミニウム源とシリコン源を加え、60〜90℃で、10時間以内の合成反応を行なう。より好ましい反応温度は70〜85℃、より好ましい合成時間は1〜5時間である。反応温度が高いほど短時間で反応が完結するが、P型ゼオライトやヒドロキシソーダライト等の副生成物が多くなる。また長すぎる反応時間は、イオンの動きが活発となって安定相への再配列を起こし、ヒドロキシソーダライトの生成率を高めて、A型ゼオライトの収率を低くするため好ましくない。
【0017】
アルカリ水溶液濃度としては、2〜4Nが好ましい。アルカリ濃度が低過ぎると原料からの反応性成分の溶出が遅くなってA型ゼオライトが生成しにくく、濃度が高すぎるとヒドロキシソーダライトの生成率が増大してしまう。アルカリ源としては、水酸化ナトリウムを使用すれば、ナトリウム源を兼ねることができるが、他に水酸化カリウムや炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を用いることもできる。
【0018】
シリカやアルミナは原料中に含まれているが、原料の種類によってこれらの量が少ない場合には、シリコン源やアルミニウム源を添加することが好ましい。アルミニウムが少なすぎるとP型ゼオライトが生じ易い。アルミニウム源としてはアルミン酸ナトリウムを用いるのが一般的であるが、水酸化アルミニウムや塩化アルミニウム等を用いてもよい。シリコン源としては、ケイ酸ナトリウムやケイ砂、ケイ酸塩ガラス等が用いられる。
以上説明した本発明法では主にナトリウムA型ゼオライトが合成される。カルシウムA型ゼオライトを公知のイオン交換法で得るときに、前述の酸水溶液でカルシウム除去を行った場合に排出される酸性排液を用いれば、排液中のカルシウムイオンを有効利用することができる。
【0019】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
〈評価方法〉
下記実施例および比較例で得られた試料に対し、粉末X線回折(以下XRDという)法による結晶の同定、比表面積測定、昇温脱離(以下TPDという)法によるアンモニア吸着量の測定、走査型電子顕微鏡(以下SEMという)による結晶観察を行なった。原料が石炭灰であり、酸処理によるカルシウム除去を行なった後にゼオライト合成を行なう本発明法で得られた合成ゼオライトと薬品原料のA型ゼオライトのXRD測定結果を図8に、それぞれの結晶構造を示す図面代用SEM写真を図9〜11に示す。XRDにおいてA型ゼオライトのピーク強度が高く、SEMでA型ゼオライトの結晶が多く観察されるものほど比表面積が高いことが確認された。また、比表面積とTPDの脱離ピーク面積(アンモニア吸着量)は図12に示すように正の比例関係が得られ、A型ゼオライトの生成量が多いものほど、比表面積が大きく、吸着能に優れていることが確認された。
【0020】
実施例1(水洗によるカルシウム除去)
炭種・操業条件の異なる石炭灰A〜Dに固液比60g/リットルの水を加え、10分間撹拌した後、ろ過を行なって排水を除去した。この操作を、pHがほぼ一定になるまで繰り返した。この時の繰り返し回数は、A(図3の灰1に相当)が5回、B〜Dは10回であった。得られた石炭灰に3Nの水酸化ナトリウム水溶液を固液比60g/リットルとなる様に加え、85℃で3時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、得られたゼオライトのXRDと比表面積測定を行なった。結果を表1に示した。
比較例1
実施例で用いたものと同じ石炭灰A〜Dにおいて、水洗処理を行なわない以外は実施例1と同様にしてゼオライト合成を行なった。評価結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
Figure 0003666031
【0022】
表1から明らかな様に、水洗処理を行なわない比較例に比べ、実施例では比表面積の大きなA型ゼオライトが得られており、ヒドロキシソーダライトのピークは認められなかった。
実施例2(水洗によるカルシウム除去)
実施例1の石炭灰Aを用いて、水洗回数が3回、5回、9回の時の比較を行なった。結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
Figure 0003666031
【0024】
水洗回数の増加に伴ってA型ゼオライトの比表面積が少し増大することがわかる。
実施例3(ゼオライト合成温度と時間の検討)
石炭灰E(図3の灰2に相当)に固液比60g/リットルの水を加え、10分間撹拌した後、ろ過を行なって排水を除去した。この操作を5回繰り返した後、得られた石炭灰に3Nの水酸化ナトリウム水溶液を固液比60g/リットルとなる様に加え、表3に示した条件でゼオライト合成を行なった。得られたゼオライトのXRDと比表面積測定結果を表3に示した。
比較例2
実施例3と同様にして水洗処理を行ない、表3に示した温度・時間条件でゼオライト合成を行なった。得られたゼオライトのXRDと比表面積測定結果を表3に示した。
【0025】
【表3】
Figure 0003666031
【0026】
表3から、同じ温度でも合成時間の短い比較例ではA型ゼオライトの生成が認められないことが分かる。また、合成温度の高い実施例では合成時間の増大に伴いヒドロキシソーダライトの生成が認められた。
実施例4(酸処理によるカルシウム除去)
実施例1で用いた石炭灰A〜Dに固液比60g/リットルとなる様に0.1Nの塩酸を加えて10分間撹拌した後、ろ過を行なって排水を除去した。この操作を、廃水のpHが処理前の塩酸とほぼ同じになるまで行なった。この時の繰り返し回数は、Aが2回、B〜Dは3回であった。酸処理の後、スラリーのpHが5〜7になるまで水洗した。得られた石炭灰に3Nの水酸化ナトリウム水溶液を固液比60g/リットルとなる様に加え、85℃で3時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、得られたゼオライトのXRDと比表面積測定を行なった。評価結果を比較例1の結果と共に表4に示した。
【0027】
【表4】
Figure 0003666031
【0028】
実施例5(酸処理によるカルシウム除去)
石炭灰Aに表5に示した濃度の塩酸を固液比60g/リットルになる様に加えて10分間撹拌した後、ろ過を行なって排水を除去した。この操作を2回行ない、後は実施例4と同様にゼオライト合成を行なった。評価結果を表5に示した。
実施例6(酸処理によるカルシウム除去)
石炭灰Aに0.2Nの硫酸を固液比60g/リットルになる様に加えて10分間撹拌した後、ろ過を行なって排水を除去した。この操作を2回行ない、後は実施例4と同様にゼオライト合成を行なった。評価結果を表5に示した。
【0029】
【表5】
Figure 0003666031
【0030】
実施例7(酸処理によるカルシウム除去)
FRP成型体の焼却残渣を40μm以下に粉砕し、この原料粉末50gを1Nの塩酸水溶液で酸処理した。図5(a)には酸処理前の、同じく(b)には酸処理後のX線回折図を示した。炭酸カルシウムが除去されていることが明らかである。処理前後の原料を用いて実施例4と同様にゼオライト合成を行った。評価結果を表6に示した。なお比較例3は酸処理前の原料を用いた結果である。
【0031】
【表6】
Figure 0003666031
【0032】
実施例8(二酸化炭素吹き込みによるカルシウム除去)
石炭灰Aに固液比60g/リットルの水を加え、二酸化炭素ガスを1.5リットル/分で吹き込みながら10分間撹拌した後、ろ過を行なって排水を除去した。この操作を1回行なったものと、3回行なったものについて実施例1と同様にゼオライト合成を行ない、評価した。評価結果を比較例1の結果と共に表7に示した。
【0033】
【表7】
Figure 0003666031
【0034】
実施例9(Caイオン置換ゼオライト製造)
実施例5にて得られたNaゼオライト粉末(サンプル1と2)を実施例5で排出された酸性排液(Ca濃度1モル/リットル)中にゼオライトのNa交換量以上のCa濃度が存在するようにゼオライト粉末重量と排液量を調整して懸濁させ、30℃で30分保持した。これを3回繰り返してから水洗乾燥後、比表面積を測定した。その結果、サンプル1の比表面積はCa置換前356m2/gからCa置換後402m2/gへ、サンプル2ではCa置換前376m2/gからCa置換後418m2/gへといずれも10%程度増大していた。また、サンプル1のX線回折チャート(図13)から、置換前後でA型ゼオライトのパターンに変化はなく、カルシウムA型ゼオライトが得られたことがわかった。
【0035】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、ゼオライト合成の前に原料粉末からのカルシウム除去処理を行なうことによって、比表面積の大きなA型ゼオライトを、副成物(特にヒドロキシソーダライト)を生成することなく合成し得る製造方法を提供できた。本発明によれば、石炭灰はもとより、FRP焼却残渣あるいは下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、製鉄スラグ等の産業廃棄物からA型ゼオライトを合成することができ、リサイクルの点からも有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水洗処理回数による排液中のpH、カルシウム濃度および硫黄濃度の変化を示す図である。
【図2】水洗処理前および後の石炭灰のX線回折結果を示す図である。
【図3】異なるロットの灰を用いて水洗処理を行なった時の排液のpH変化を示す図である。
【図4】酸処理前および後の石炭灰のX線回折結果を示す図である。
【図5】酸処理前および後のFRP焼却残渣のX線回折結果を示す図である。
【図6】二酸化炭素吹き込みによる石炭灰含有水のpHの経時変化を示す図である。
【図7】二酸化炭素吹き込み処理前および後の石炭灰のX線回折結果を示す図である。
【図8】酸洗処理によってカルシウムを除去してから合成して得られたA型ゼオライトおよび試薬原料のA型ゼオライトのX線回折結果を示す図である。
【図9】石炭灰の結晶構造を示す図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】酸洗処理によってカルシウムを除去してから合成して得られたA型ゼオライトの結晶構造を示す図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】薬品原料のA型ゼオライトの結晶構造を示す図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】本発明法で得られたA型ゼオライトの比表面積と昇温脱離法によるアンモニア吸着量測定結果との関係を示す図である。
【図13】実施例8におけるイオン交換前後のX線回折結果を示す図である。

Claims (6)

  1. ゼオライト製造用原料粉末からA型ゼオライトを製造するに当たり、該原料粉末を水または酸性水溶液中に入れ、粉末状態を維持しながら原料粉末中のカルシウム化合物を水または酸性水溶液中へと溶出させることにより、カルシウム化合物が除去された原料粉末を得て、この原料粉末をアルカリ水溶液中で加熱撹拌し反応させることを特徴とするA型ゼオライトの製造方法。
  2. 原料粉末を水洗することによって原料中のカルシウム化合物を除去する請求項1に記載のA型ゼオライトの製造方法。
  3. 原料粉末を酸水溶液で処理することによって原料中のカルシウム化合物を除去する請求項1に記載のA型ゼオライトの製造方法。
  4. 原料粉末を含む水中に二酸化炭素を吹き込みながら撹拌することによって原料中のカルシウム化合物を除去する請求項1に記載のA型ゼオライトの製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載の原料粉末が石炭灰、下水汚泥焼却物、製紙スラッジ焼却物、FRP焼却残渣および製鉄スラグよりなる群から選択される1種以上の原料粉末であるA型ゼオライトの製造方法。
  6. カルシウム化合物除去により排出される酸性排液中のカルシウムイオンを利用してイオン交換によってカルシウムA型ゼオライトを製造する請求項3に記載のA型ゼオライトの製造方法。
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