JPH07238020A - 高脂血症及び動脈硬化症の予防・治療薬 - Google Patents

高脂血症及び動脈硬化症の予防・治療薬

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JPH07238020A JP6209830A JP20983094A JPH07238020A JP H07238020 A JPH07238020 A JP H07238020A JP 6209830 A JP6209830 A JP 6209830A JP 20983094 A JP20983094 A JP 20983094A JP H07238020 A JPH07238020 A JP H07238020A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 経口投与に適した高脂血症及び動脈硬化症の
予防・治療薬を提供する。 【構成】 本発明の予防・治療薬は、ピリドキサル及び
ピリドキサミンの少なくとも一方と生体外及び生体内の
少なくとも一方においてピリドキサル及びピリドキサミ
ンの少なくとも一方が放出されている限りそれ自体脂質
低下活性を示さない物質との化合物であって、ホスフェ
ート基とアミノ酸とを同時には含有していない化合物、
及びピリドキサルからなる群から選定した1種以上の化
合物、特にピリドキサル、ピリドキサル・リン酸及びピ
リドキサミン・リン酸からなる群から選定した1種以上
の化合物又はその塩を有効成分とする。 【効果】 本発明の予防治療薬の有効成分は、はっきり
した化学的組成を有し、長期間にわたる治療において充
分に安定かつ有効であり、かつ優れた耐性を有する物質
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はピリドキシン誘導体、特
にピリドキサル、ピリドキサル・リン酸及びピリドキサ
ミン・リン酸からなる群から選定した1種以上の化合物
又はその塩を有効成分とする高脂血症及び動脈硬化症の
予防・治療薬に関するものである。ただし、この有効成
分には西独国特許第2461742 号明細書に記載されている
ピリドキシン‐5′‐リン酸エステルのグルタミン酸塩
及びアスパラギン酸塩は含まれない。
【0002】
【従来の技術】動脈硬化症は工業化された国家において
最も多い疾病の一つであり、死亡原因の一つ(冠動脈の
動脈硬化)である。動脈硬化症は、ゆるやかな過程であ
って、血管の構造及び機能における複雑な変化を含み、
冠血管の狭窄及び閉塞による狭心症及び心筋梗塞、四肢
における潅流の減少、あるいは脳梗塞のようなはっきり
とわかる臨床的疾病で終わるのが普通である。疾病の劇
的な末期に先立って激しい不快感及び慢性病が長年にわ
たって生ずることが多い。病状の進んだ時期における治
療の可能性は著しく限定され、費用がかかりかつ健康な
組織を侵すものであって、例えば心臓を開く手術及び四
肢を切断する手術である。
【0003】重症の遺伝性代謝障害という比較的まれな
場合を別とすれば、動脈硬化症はほとんど文明病であ
る。動脈硬化症の危険は特に喫煙(ニコチン)により増
加する。別の危険因子としては、例えば、高血圧、不十
分な身体的活動、糖尿病及び腎不全がある。動脈硬化症
の予防において決定的に重要な段階は、高血中脂質濃度
と、心筋梗塞による死亡の危険の増大を含む動脈硬化症
の危険の増大との間の関連を認識することである。(エ
ス・デェイトン、ジェイ・チャップマン、エム・ピア
ス、ジィー・ポピアック:コレステロール、動脈硬化
症、虚血性心臓病及び発作「アメリカン・ジャーナル・
オブ・メディシン(Am. J. Med.)72. 97(1970)参照)
【0004】コレステロールの多い食物及び食物中の高
い動物性脂肪(飽和脂肪酸)含有量は、血液中のリポタ
ンパク質含有量の望ましくない増大を引き起こし、この
結果動脈硬化性病変の発生が加速される。コレステロー
ルはかゆ状斑中に見出される主な物質であるから、上昇
したコレステロール・レベルと動脈硬化症とが関連して
いるのは確かであると思われる。
【0005】水に不溶性の脂質はリポタンパク質により
血液中を運搬される。LDL (低比重リポタンパク質)と
HDL (高比重リポタンパク質)とは区別されている。LD
L-コレステロールは動脈硬化症において極めて重要であ
る。他方、HDL −コレステロールは過剰なコレステロー
ルを末梢から運搬して肝臓に戻す。どちらかと言えばそ
の作用は保護的なものである。
【0006】従って、動脈壁の中間細胞におけるコレス
テロールの蓄積は、血清中の総コレステロール濃度のほ
かLDL 対HDL の比によって左右される。血中脂質濃度、
特に血中LDL 濃度が上昇すると、動脈壁における脂質の
沈着が増大し、これにより他の動脈硬化性変化が始まる
か、あるいは少なくとも激しくなる。従って動脈硬化症
予防の目標は、一般的に血中脂質濃度、特にLDL コレス
テロール濃度を下げることに次第になってきている。
【0007】この目標は次のような種々の方法により達
成することができる:あるコレステロール及び(これと
同様に好ましくない)飽和脂肪酸は食物中から摂取され
る。従って、コレステロールまたは動物性脂肪をほとん
ど含んでいない治療食が動脈硬化症の治療あるいは予防
を成功させるための第1条件である。
【0008】然し、治療食を続けることが困難であり、
かつ不十分でもあることが多い。動脈硬化の原因となる
脂質が食物中から摂取されるほか体内で形成されるのは
この理由からである。血液中の内生的脂質濃度を下げる
ため、あるいは少なくともその動脈硬化作用を低下させ
るために、最近20年の間にこれを目的とした多数の薬が
開発又は推薦されてきた。
【0009】血中コレステロール濃度を下げる簡単で比
較的害のない方法は、まず第1に、コレステロール排泄
機構にある。コレステロールは肝臓で胆汁酸に転化さ
れ、その形で腸内に入る。胆汁酸は大部分再吸収され、
再使用される。このような腸肝循環は、胆汁酸が非吸収
性物質によって腸内に留められている場合には、中断さ
れることがある。
【0010】このような非吸収性物質の例は固体のイオ
ン交換体、グアー(guar)のようなある種の膨潤剤、及び
繊維質物質のような通常の食物成分である。これらの物
質によって肝臓は一層多量のコレステロールを胆汁酸に
転化するので、コレステロールは一層速やかに排出され
る。この治療法の欠点はこれらの製剤の投与量(8〜24
g/日)が極めて多いこと、及びこれらの製剤を摂取す
る不都合さである。
【0011】また、全身的に作用する多数の「脂質低下
剤」、例えば肝臓におけるコレステロールの合成を抑制
するクロフィブリン酸(clofibric acid)誘導体が治療に
導入されている。クロフィブラートは、副作用がひどく
かつ長い治療期間が必要であるので、脂質代謝に大きな
障害のある場合に限って使用される(ダブリュ・シェフ
ラー及びダブリュ・シュワルツコッフ:使用されること
の多い脂質低下剤は保証された効果を示さない(「アー
タリ(Artery)」,120 〜127(1980))。
【0012】然し、他の合成薬又は天然薬(ニコチン酸
誘導体)でも時には受け入れることができない副作用を
起こすことがあり、あるいは特に可成り年輩の患者を長
期にわたって治療する場合または肝臓病の気のある場合
には代謝に対して受け入れることができない負担を負わ
せる程投与量を大きくする必要がある。
【0013】西独国特許第2461742 号明細書にはいくつ
かのピリドキシン・リン酸誘導体が脂質低下及び抗動脈
硬化症に有効な成分として記載されている。これらの物
質はピリドキシン‐5′‐リン酸エステルのグルタミン
酸塩及びアスパラギン酸塩である。これらの物質の作用
はピリドキシン・リン酸とグルタミン酸又はアスパラギ
ン酸とが組み合わせられていることによる。これらの物
質の効果は確実であるが、これらの既知物質にはかなり
の欠点も認められる。これらの物質は厳密には天然の治
療薬ではなく、化学的に明確にされておらず、その安定
性は極めて少量の水分が加えられた場合でも疑わしく、
また生体内では、例えば吸収の際に、確実に安定性がな
く、投与量を比較的大きくする必要がある。これらの物
質は不安定なので、西独国特許第2461742 号明細書に記
載されている有効成分も注射薬又は飲用アンプル剤又は
他の種類の液剤の形態で投与することはできない。しか
し、液体の形態で投与するのが特に好都合であり、とり
わけ普通可成り年輩である患者にとってそうである。
【0014】好ましくない条件下では、西独国特許第24
61742 号明細書に記載されている物質の個々の成分は、
患者の治療に好ましくない作用を示すことさえある。
【0015】患者は普通可成り年輩であり、いくつかの
病気をわずらっており、生きている限り脂質低下剤を使
用しなければならないので、少量使用すればよい耐性の
優れた天然の薬があれば望ましいことである。この薬は
また、はっきりした化学的組成を有すること、外的影響
に対する抵抗性が大きいこと、及び経口投与後に実質的
に変化せずかつ完全に再吸収されることを必要とする。
この薬は、他の条件が同じであれば、動脈壁における脂
質の沈着を少なくして、動脈硬化への変化を遅延、阻止
あるいは逆戻りさせるように、代謝状態を変える必要が
ある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は上述の性質を有する高脂血症及び動脈硬化症の予防・
治療薬を提供することにある。この薬は治療食をとって
いる場合でも血中脂質濃度の高い人の治療にも使用でき
ることが必要である。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明においては、ピリ
ドキサル及びピリドキサミンの少なくとも一方と生体外
及び生体内の少なくとも一方においてピリドキサル及び
ピリドキサミンの少なくとも一方が放出されている限り
それ自体脂質低下活性を示さない物質との化合物であっ
て、ホスフェート基とアミノ酸とを同時には含有してい
ない化合物、及びピリドキサルからなる群から選定した
1種以上の化合物を有効成分とすることを特徴とする高
脂血症及び動脈硬化症の予防・治療薬によって、この目
的を達成する。本発明の好適例においては、有効成分は
ピリドキサル、ピリドキサル・リン酸及びピリドキサミ
ン・リン酸からなる群から選定した1種以上の化合物又
はその塩である。
【0018】本発明は、適当な有効成分の探求中に、あ
るピリドキシン誘導体、特にピリドキサル、ピリドキサ
ル・リン酸、ピリドキサミン、及びピリドキサミン・リ
ン酸並びにその前駆動物質及び代謝産物が意外にも上述
の脂質低下及び抗動脈硬化症作用を示すことを見出し
た。これに対し西独国特許第2461742 号明細書(第3欄
第35行以降) には明らかに疑問が表明されている。他方
ピリドキシンは、ビタミンB6とも呼ばれるが、この点に
関して強い作用を全く示さない。これとは別にピリドキ
シンは早期の動物実験において脂質代謝と関連して使用
されている(ジェイ・エー・フロロバ:ビタミンB6及び
脂質代謝「Vorpr. med. Khim. 」89, 18,339 〜346(197
2))。しかし、その作用は弱い。本発明者の実験では、
ピリドキシンはラットの場合に79mg/kg体重の用量で無
効であったが、同じ実験においてポジティブ・コントロ
ール(positive controll) は期待された効果を示した。
【0019】種々のピリドキシン誘導体が代謝の際に生
成し、ある程度まで互いに転化可能である。ピリドキシ
ン自身は別として、これらの誘導体には、例えば、ピリ
ドキサミン、ピリドキサル、ピリドキサル・リン酸及び
ピリドキシン酸がある。一般に、ピリドキサルとその誘
導体との合計量はピリドキシンの経口投与により対応し
て増加することが認められている。
【0020】本発明者は、驚くべきことには、あるピリ
ドキシン誘導体、特にピリドキサル・リン酸、ピリドキ
サル及びピリドキサミン・リン酸あるいはこれらの前駆
物質を経口投与すると、血清中の脂質、特に動脈硬化症
に悪影響を及ぼすLDL コレステロールが著しく減少する
ことを見出した。血清中の脂質の減少とは明らかに別の
他の効果は、動脈壁における脂質の沈着を減少させるこ
とである。これらの両作用により、効果がありかつ現在
知られているところでは原因に作用を及ぼす動脈硬化症
の予防及び治療が保証される。このような治療は認めら
れる程度の副作用によって相殺されない点でなお一層価
値がある。上述のビタミンB6誘導体の毒性は極めて低
く、従ってヒトの治療に用いられる用量では耐性が極め
て優れている。特に、大部分の他の脂質低下剤とは異な
り、肝臓に対して毒作用を全く示さず、短期間の治療後
でも実験動物の肝臓重量を顕著に増加させる。
【0021】本発明に係る化合物の有用な塩は製剤上受
け入れることのできる普通の塩、例えば酸付加塩であ
り、従来使用されている酸から従来方法によって製造さ
れる。このような酸としては例えば無機酸又は有機酸が
あり、無機酸の例としては塩化水素酸、硝酸、リン酸、
硫酸、臭化水素酸、沃化水素酸、亜硝酸又は亜リン酸が
あり、有機酸の例としては脂肪族モノ−又はジカルボン
酸、フエニル置換アルカンカルボン酸、ヒドロキシアル
カンカルボン酸、アルケンジカルボン酸、芳香族酸、脂
肪族スルホン酸又は芳香族スルホン酸がある。
【0022】従って、これらの酸の生理学的に許容でき
る塩の例としては硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜
硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン
酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、
塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩、フッ化水素酸
塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸
塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸
塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、マロン酸塩、コハ
ク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マ
レイン酸塩、ブチン−1,4−ジカルボン酸塩、ヘキシ
ン−1,6−ジカルボン酸塩、安息香酸塩、クロル安息
香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒド
ロキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、フタル酸塩、テ
レフタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホ
ン酸塩、クロルベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホ
ン酸塩、フエニル酢酸塩、フエニルプロピオン酸塩、フ
エニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪
酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタン
スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1
−スルホン酸塩及びナフタレン−2−スルホン酸塩があ
る。
【0023】上述のピリドキシン誘導体の効果は新たに
見出されてものであって、単純な構造を有するこれらの
化合物は活性が小さいと考えられていたこと、また例え
ば上述の西独国特許第2461742 号明細書に記載されてい
るピリドキサル・リン酸から誘導される極めて複雑な分
子によってのみ有効な薬が得られると予期されていたこ
とからいって、本発明において見出された効果はなお一
層驚くべきものである。
【0024】臨床に使用される本発明に係る主な有効化
合物は上述の3種のピリドキシン誘導体(ピリドキサ
ル、ピリドキサル・リン酸及びピリドキサミン・リン
酸)及びこれらの適当な混合物である。生体外あるいは
特に生体内において上述のピリドキシン誘導体を放出す
る全ての他の物質も適当であるのは勿論である。このよ
うなピリドキシン誘導体は脂質代謝を安定化する他の手
段(例えば治療食)又は治療手段(例えば胆汁酸吸収
剤)と併用することができる。好ましい組合せは、上述
のピリドキシン誘導体とは異なる点で代謝に作用を及ぼ
す脂質低下剤との組合せである。動脈硬化症に伴われる
ことの多い疾病(高血圧、糖尿病など)の治療薬との組
合せも有利である。上述のピリドキシン又はビタミンB6
誘導体は耐性が極めて優れているので、このような誘導
体は数多くの隠された疾病又は同伴されている疾病を有
する患者に特に適している。
【0025】他方、ピリドキシン自体はビタミンB6とい
う名称で使用されることが多いが、この化合物は適当で
ない。
【0026】実際に、治療は有効成分の長期間にわたる
経口投与によるのが好ましい。最大の効果は2ケ月前後
の治療では期待できない。治療をさらに続ける必要があ
り、その理由は薬を中断すると効果が急激に低下し、血
清中の脂質が増加し、動脈硬化症が悪化するからであ
る。
【0027】例外的な場合には、本発明に係る有効成分
を非経口投与することができ、例えば水溶液を静脈注射
又は筋肉注射することにより投与することもできる。
【0028】経口治療法では日用量を1回にあるいは2
回ないし3回に分けて投与する。日用量は20〜1000mg、
好ましくは50〜500 mgの上述のビタミンB6誘導体であ
る。
【0029】本発明に係る有効物質は、動脈硬化症の予
防・治療に用いられる大部分の他の薬と比べて特徴のな
い中性的な味あるいは少なくとも受け入れることのでき
る味を有し、水に易溶性なのでコンシステンシーの問題
が全くないという重要な利点を有する。
【0030】さらに、本発明に係る化合物は味及び溶解
性が良好なので、頬面から吸収させる場合に優れた生物
学的利用性(bioavailability) を利用することができ
る。この場合に、生物学的利用性は腸及び肝臓における
代謝の低下と比べて著しく良好である。
【0031】他方、極めて広く用いられているクロフィ
ブラートは吐き気をもよおすような苦い味を有し、極め
て広く用いられている胆汁酸吸収物質は粗粒であるかあ
るいは嵩の大きいゲルを形成する。
【0032】本発明に係る物質は水溶性で化学的に安定
であるので、可成り年輩の患者にも粉末又は顆粒の形態
で、あるいは水に溶解して、あるいはドリンク剤の形態
で容易に投与することができる。また個々の用量は錠
剤、カプセル剤又は糖衣剤の形態で投与することができ
る。これらの形態のものの溶解及び有効成分の放出は既
知方法によって遅延させることができ、制御することが
できる。特に注目に値する一つの方法は胃液に対する抵
抗性の大きいコーティングであり、これは薬が腸に達す
るまで有効成分を放出せず、有効成分を胃酸から保護す
る。粉末、顆粒、液剤または口内錠として服用する場合
には香味剤を加えるのが有利であることがある。そうで
ない場合には有効成分を従来のように塩例えばピリドキ
サル塩酸塩として使用することができ、あるいは生理学
的に受け入れることができる酸又は塩基と組み合わせて
使用することができ、あるいは従来の製剤用の補助薬、
安定剤、緩衝剤などを加えて使用することができる。
【0033】次表はピリドキサミンを使用して10週間治
療した後に高脂血症のうさぎにおいて見出されたいくつ
かの化合物の濃度減少値を示す。この値は18匹のうさぎ
の平均値であり、治療を施していないうさぎを基準とし
て比較測定した値である。対照グループには2%のコレ
ステロールを含有する治療食を与えた。治療グループで
は、各うさぎにさらにピリドキサミン・2HCl を120 mg
/kg体重与えた。試験の終りに心臓から腎動脈の支脈ま
でのうさぎの大動脈を取り出し、検査した。
【0034】
【数1】乾燥重量 − 8 % 脂質(総量) − 18 % コレステロール − 27 % トリグリセリド − 17 % カルシウム − 31 %
【0035】上表に示すように僅か10週間の治療後に、
ピリドキサミン・2HCl は、動脈硬化症の特徴である壁
の厚さ(乾燥重量として測定)、脂質含有量及びカルシ
ウム含有量を著しく小さくすることが分かった。
【0036】
【実施例】次に本発明を実施例について説明する。実施例1:カプセル剤 (a) 500 mgのピリドキサル・HCl を1000gの乳糖と均一
に混合し、その150 mgをゼラチンカプセルに注入した。
カプセルの半部を互いに差し込むかあるいは溶着した。
1個のカプセル剤を1日に3回食事の時に服用する。 (b) 300 mgのピリドキサル・HCl をゼラチンカプセル内
に入れて溶着した。これを毎日夕方に1回服用する。
【0037】実施例2:バッカル錠剤 ピリドキサル・リン酸のマグネシウム塩1000gを3000g
の乳糖及び15gのステアリン酸マグネシウムと均一に混
合し、造粒し、それぞれ重量301.5 mgの錠剤に成形し
た。一錠を朝晩服用して口の中でゆっくり溶かす。
【0038】実施例3:胃酸抵抗性錠剤 1000gのピリドキサル・HCl を2000gのタブレットース
(特殊な乳糖)及び15gのステアリン酸マグネシウムと
均一に混合し、造粒し、重量150 mg及び75mgのほぼ丸い
錠剤に成形した。分散剤としてタルクを使用して酢酸コ
ハク酸セルロース(9)、フタル酸ジメチル(3,
4)、酢酸エステル(84,4)及びアセトン(84,4)
から成る20層のコーティングを施した。食前に1日3回
1ないし2錠服用する。
【0039】実施例4:発泡性錠剤 500 gのピリドキサル・リン酸、600 gのクエン酸及び
280 gの炭酸ナトリウムを2000gの乳糖と混合し、338
mgユニット(乾燥時)に成形した。食事の際に1ないし
2錠を少量の水に溶解して服用する。
【0040】実施例5:顆粒剤 1000gのピリドキサル・HCl を1000gのクエン酸及び80
00gの乳糖と一緒に造粒し、次いで生成した顆粒をふる
いにかけて約1mmの均一な粒度にした。この顆粒を完全
に乾燥し、アルミホイル内に入れて溶着した。個々の袋
あたりの顆粒量は50mg又は1gとした。袋の内容物は服
用時に果汁に溶解させる。効果を増大するために、従来
の市販のグアー調剤又は他の脂質低下薬、好ましくは有
効成分が吸収されないかあるいは作用機構を補充するも
のを加えることができ、あるいは溶液にして服用するこ
とができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高脂血症及び動脈硬化症の予防・治
療薬
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はピリドキシン誘導体、特
にピリドキサル、ピリドキサル・リン酸及びピリドキサ
ミン・リン酸からなる群から選定した1種以上の化合物
又はその塩を有効成分とする高脂血症及び動脈硬化症の
予防・治療薬に関するものである。ただし、この有効成
分には西独国特許第2461742 号明細書に記載されている
ピリドキシン‐5′‐リン酸エステルのグルタミン酸塩
及びアスパラギン酸塩は含まれない。
【0002】
【従来の技術】動脈硬化症は工業化された国家において
最も多い疾病の一つであり、死亡原因の一つ(冠動脈の
動脈硬化)である。動脈硬化症は、ゆるやかな過程であ
って、血管の構造及び機能における複雑な変化を含み、
冠血管の狭窄及び閉塞による狭心症及び心筋梗塞、四肢
における潅流の減少、あるいは脳梗塞のようなはっきり
とわかる臨床的疾病で終わるのが普通である。疾病の劇
的な末期に先立って激しい不快感及び慢性病が長年にわ
たって生ずることが多い。病状の進んだ時期における治
療の可能性は著しく限定され、費用がかかりかつ健康な
組織を侵すものであって、例えば心臓を開く手術及び四
肢を切断する手術である。
【0003】重症の遺伝性代謝障害という比較的まれな
場合を別とすれば、動脈硬化症はほとんど文明病であ
る。動脈硬化症の危険は特に喫煙(ニコチン)により増
加する。別の危険因子としては、例えば、高血圧、不十
分な身体的活動、糖尿病及び腎不全がある。動脈硬化症
の予防において決定的に重要な段階は、高血中脂質濃度
と、心筋梗塞による死亡の危険の増大を含む動脈硬化症
の危険の増大との間の関連を認識することである。(エ
ス・デェイトン、ジェイ・チャップマン、エム・ピア
ス、ジィー・ポピアック:コレステロール、動脈硬化
症、虚血性心臓病及び発作「アメリカン・ジャーナル・
オブ・メディシン(Am. J. Med.)72. 97(1970)参照)
【0004】コレステロールの多い食物及び食物中の高
い動物性脂肪(飽和脂肪酸)含有量は、血液中のリポタ
ンパク質含有量の望ましくない増大を引き起こし、この
結果動脈硬化性病変の発生が加速される。コレステロー
ルはかゆ状斑中に見出される主な物質であるから、上昇
したコレステロール・レベルと動脈硬化症とが関連して
いるのは確かであると思われる。
【0005】水に不溶性の脂質はリポタンパク質により
血液中を運搬される。LDL (低比重リポタンパク質)と
HDL (高比重リポタンパク質)とは区別されている。LD
L-コレステロールは動脈硬化症において極めて重要であ
る。他方、HDL −コレステロールは過剰なコレステロー
ルを末梢から運搬して肝臓に戻す。どちらかと言えばそ
の作用は保護的なものである。
【0006】従って、動脈壁の中間細胞におけるコレス
テロールの蓄積は、血清中の総コレステロール濃度のほ
かLDL 対HDL の比によって左右される。血中脂質濃度、
特に血中LDL 濃度が上昇すると、動脈壁における脂質の
沈着が増大し、これにより他の動脈硬化性変化が始まる
か、あるいは少なくとも激しくなる。従って動脈硬化症
予防の目標は、一般的に血中脂質濃度、特にLDL コレス
テロール濃度を下げることに次第になってきている。
【0007】この目標は次のような種々の方法により達
成することができる:あるコレステロール及び(これと
同様に好ましくない)飽和脂肪酸は食物中から摂取され
る。従って、コレステロールまたは動物性脂肪をほとん
ど含んでいない治療食が動脈硬化症の治療あるいは予防
を成功させるための第1条件である。
【0008】然し、治療食を続けることが困難であり、
かつ不十分でもあることが多い。動脈硬化の原因となる
脂質が食物中から摂取されるほか体内で形成されるのは
この理由からである。血液中の内生的脂質濃度を下げる
ため、あるいは少なくともその動脈硬化作用を低下させ
るために、最近20年の間にこれを目的とした多数の薬が
開発又は推薦されてきた。
【0009】血中コレステロール濃度を下げる簡単で比
較的害のない方法は、まず第1に、コレステロール排泄
機構にある。コレステロールは肝臓で胆汁酸に転化さ
れ、その形で腸内に入る。胆汁酸は大部分再吸収され、
再使用される。このような腸肝循環は、胆汁酸が非吸収
性物質によって腸内に留められている場合には、中断さ
れることがある。
【0010】このような非吸収性物質の例は固体のイオ
ン交換体、グアー(guar)のようなある種の膨潤剤、及び
繊維質物質のような通常の食物成分である。これらの物
質によって肝臓は一層多量のコレステロールを胆汁酸に
転化するので、コレステロールは一層速やかに排出され
る。この治療法の欠点はこれらの製剤の投与量(8〜24
g/日)が極めて多いこと、及びこれらの製剤を摂取す
る不都合さである。
【0011】また、全身的に作用する多数の「脂質低下
剤」、例えば肝臓におけるコレステロールの合成を抑制
するクロフィブリン酸(clofibric acid)誘導体が治療に
導入されている。クロフィブラートは、副作用がひどく
かつ長い治療期間が必要であるので、脂質代謝に大きな
障害のある場合に限って使用される(ダブリュ・シェフ
ラー及びダブリュ・シュワルツコッフ:使用されること
の多い脂質低下剤は保証された効果を示さない(「アー
タリ(Artery)」,120 〜127(1980))。
【0012】然し、他の合成薬又は天然薬(ニコチン酸
誘導体)でも時には受け入れることができない副作用を
起こすことがあり、あるいは特に可成り年輩の患者を長
期にわたって治療する場合または肝臓病の気のある場合
には代謝に対して受け入れることができない負担を負わ
せる程投与量を大きくする必要がある。
【0013】西独国特許第2461742 号明細書にはいくつ
かのピリドキシン・リン酸誘導体が脂質低下及び抗動脈
硬化症に有効な成分として記載されている。これらの物
質はピリドキシン‐5′‐リン酸エステルのグルタミン
酸塩及びアスパラギン酸塩である。これらの物質の作用
はピリドキシン・リン酸とグルタミン酸又はアスパラギ
ン酸とが組み合わせられていることによる。これらの物
質の効果は確実であるが、これらの既知物質にはかなり
の欠点も認められる。これらの物質は厳密には天然の治
療薬ではなく、化学的に明確にされておらず、その安定
性は極めて少量の水分が加えられた場合でも疑わしく、
また生体内では、例えば吸収の際に、確実に安定性がな
く、投与量を比較的大きくする必要がある。これらの物
質は不安定なので、西独国特許第2461742 号明細書に記
載されている有効成分も注射薬又は飲用アンプル剤又は
他の種類の液剤の形態で投与することはできない。しか
し、液体の形態で投与するのが特に好都合であり、とり
わけ普通可成り年輩である患者にとってそうである。
【0014】好ましくない条件下では、西独国特許第24
61742 号明細書に記載されている物質の個々の成分は、
患者の治療に好ましくない作用を示すことさえある。
【0015】患者は普通可成り年輩であり、いくつかの
病気をわずらっており、生きている限り脂質低下剤を使
用しなければならないので、少量使用すればよい耐性の
優れた天然の薬があれば望ましいことである。この薬は
また、はっきりした化学的組成を有すること、外的影響
に対する抵抗性が大きいこと、及び経口投与後に実質的
に変化せずかつ完全に再吸収されることを必要とする。
この薬は、他の条件が同じであれば、動脈壁における脂
質の沈着を少なくして、動脈硬化への変化を遅延、阻止
あるいは逆戻りさせるように、代謝状態を変える必要が
ある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は上述の性質を有する高脂血症及び動脈硬化症の予防・
治療薬を提供することにある。この薬は治療食をとって
いる場合でも血中脂質濃度の高い人の治療にも使用でき
ることが必要である。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明においては、ピリ
ドキサル及びピリドキサミンの少なくとも一方と生体外
及び生体内の少なくとも一方においてピリドキサル及び
ピリドキサミンの少なくとも一方が放出されている限り
それ自体脂質低下活性を示さない物質との化合物であっ
て、ホスフェート基とアミノ酸とを同時には含有してい
ない化合物、及びピリドキサルからなる群から選定した
1種以上の化合物を有効成分とすることを特徴とする高
脂血症及び動脈硬化症の予防・治療薬によって、この目
的を達成する。本発明の好適例においては、有効成分は
ピリドキサル、ピリドキサル・リン酸及びピリドキサミ
ン・リン酸からなる群から選定した1種以上の化合物又
はその塩である。
【0018】本発明は、適当な有効成分の探求中に、あ
るピリドキシン誘導体、特にピリドキサル、ピリドキサ
ル・リン酸、ピリドキサミン、及びピリドキサミン・リ
ン酸並びにその前駆動物質及び代謝産物が意外にも上述
の脂質低下及び抗動脈硬化症作用を示すことを見出し
た。これに対し西独国特許第2461742 号明細書(第3欄
第35行以降) には明らかに疑問が表明されている。他方
ピリドキシンは、ビタミンB6とも呼ばれるが、この点に
関して強い作用を全く示さない。これとは別にピリドキ
シンは早期の動物実験において脂質代謝と関連して使用
されている(ジェイ・エー・フロロバ:ビタミンB6及び
脂質代謝「Vorpr. med. Khim. 」89, 18,339 〜346(197
2))。しかし、その作用は弱い。本発明者の実験では、
ピリドキシンはラットの場合に79mg/kg体重の用量で無
効であったが、同じ実験においてポジティブ・コントロ
ール(positive controll) は期待された効果を示した。
【0019】種々のピリドキシン誘導体が代謝の際に生
成し、ある程度まで互いに転化可能である。ピリドキシ
ン自身は別として、これらの誘導体には、例えば、ピリ
ドキサミン、ピリドキサル、ピリドキサル・リン酸及び
ピリドキシン酸がある。一般に、ピリドキサルとその誘
導体との合計量はピリドキシンの経口投与により対応し
て増加することが認められている。
【0020】本発明者は、驚くべきことには、あるピリ
ドキシン誘導体、特にピリドキサル・リン酸、ピリドキ
サル及びピリドキサミン・リン酸あるいはこれらの前駆
物質を経口投与すると、血清中の脂質、特に動脈硬化症
に悪影響を及ぼすLDL コレステロールが著しく減少する
ことを見出した。血清中の脂質の減少とは明らかに別の
他の効果は、動脈壁における脂質の沈着を減少させるこ
とである。これらの両作用により、効果がありかつ現在
知られているところでは原因に作用を及ぼす動脈硬化症
の予防及び治療が保証される。このような治療は認めら
れる程度の副作用によって相殺されない点でなお一層価
値がある。上述のビタミンB6誘導体の毒性は極めて低
く、従ってヒトの治療に用いられる用量では耐性が極め
て優れている。特に、大部分の他の脂質低下剤とは異な
り、肝臓に対して毒作用を全く示さず、短期間の治療後
でも実験動物の肝臓重量を顕著に増加させる。
【0021】本発明に係る化合物の有用な塩は製剤上受
け入れることのできる普通の塩、例えば酸付加塩であ
り、従来使用されている酸から従来方法によって製造さ
れる。このような酸としては例えば無機酸又は有機酸が
あり、無機酸の例としては塩化水素酸、硝酸、リン酸、
硫酸、臭化水素酸、沃化水素酸、亜硝酸又は亜リン酸が
あり、有機酸の例としては脂肪族モノ−又はジカルボン
酸、フエニル置換アルカンカルボン酸、ヒドロキシアル
カンカルボン酸、アルケンジカルボン酸、芳香族酸、脂
肪族スルホン酸又は芳香族スルホン酸がある。
【0022】従って、これらの酸の生理学的に許容でき
る塩の例としては硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜
硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン
酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、
塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩、フッ化水素酸
塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸
塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸
塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、マロン酸塩、コハ
ク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マ
レイン酸塩、ブチン−1,4−ジカルボン酸塩、ヘキシ
ン−1,6−ジカルボン酸塩、安息香酸塩、クロル安息
香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒド
ロキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、フタル酸塩、テ
レフタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホ
ン酸塩、クロルベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホ
ン酸塩、フエニル酢酸塩、フエニルプロピオン酸塩、フ
エニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪
酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタン
スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1
−スルホン酸塩及びナフタレン−2−スルホン酸塩があ
る。
【0023】上述のピリドキシン誘導体の効果は新たに
見出されてものであって、単純な構造を有するこれらの
化合物は活性が小さいと考えられていたこと、また例え
ば上述の西独国特許第2461742 号明細書に記載されてい
るピリドキサル・リン酸から誘導される極めて複雑な分
子によってのみ有効な薬が得られると予期されていたこ
とからいって、本発明において見出された効果はなお一
層驚くべきものである。
【0024】臨床に使用される本発明に係る主な有効化
合物は上述の3種のピリドキシン誘導体(ピリドキサ
ル、ピリドキサル・リン酸及びピリドキサミン・リン
酸)及びこれらの適当な混合物である。生体外あるいは
特に生体内において上述のピリドキシン誘導体を放出す
る全ての他の物質も適当であるのは勿論である。このよ
うなピリドキシン誘導体は脂質代謝を安定化する他の手
段(例えば治療食)又は治療手段(例えば胆汁酸吸収
剤)と併用することができる。好ましい組合せは、上述
のピリドキシン誘導体とは異なる点で代謝に作用を及ぼ
す脂質低下剤との組合せである。動脈硬化症に伴われる
ことの多い疾病(高血圧、糖尿病など)の治療薬との組
合せも有利である。上述のピリドキシン又はビタミンB6
誘導体は耐性が極めて優れているので、このような誘導
体は数多くの隠された疾病又は同伴されている疾病を有
する患者に特に適している。
【0025】他方、ピリドキシン自体はビタミンB6とい
う名称で使用されることが多いが、この化合物は適当で
ない。
【0026】実際に、治療は有効成分の長期間にわたる
経口投与によるのが好ましい。最大の効果は2ケ月前後
の治療では期待できない。治療をさらに続ける必要があ
り、その理由は薬を中断すると効果が急激に低下し、血
清中の脂質が増加し、動脈硬化症が悪化するからであ
る。
【0027】例外的な場合には、本発明に係る有効成分
を非経口投与することができ、例えば水溶液を静脈注射
又は筋肉注射することにより投与することもできる。
【0028】経口治療法では日用量を1回にあるいは2
回ないし3回に分けて投与する。日用量は20〜1000mg、
好ましくは50〜500 mgの上述のビタミンB6誘導体であ
る。
【0029】本発明に係る有効物質は、動脈硬化症の予
防・治療に用いられる大部分の他の薬と比べて特徴のな
い中性的な味あるいは少なくとも受け入れることのでき
る味を有し、水に易溶性なのでコンシステンシーの問題
が全くないという重要な利点を有する。
【0030】さらに、本発明に係る化合物は味及び溶解
性が良好なので、頬面から吸収させる場合に優れた生物
学的利用性(bioavailability) を利用することができ
る。この場合に、生物学的利用性は腸及び肝臓における
代謝の低下と比べて著しく良好である。
【0031】他方、極めて広く用いられているクロフィ
ブラートは吐き気をもよおすような苦い味を有し、極め
て広く用いられている胆汁酸吸収物質は粗粒であるかあ
るいは嵩の大きいゲルを形成する。
【0032】本発明に係る物質は水溶性で化学的に安定
であるので、可成り年輩の患者にも粉末又は顆粒の形態
で、あるいは水に溶解して、あるいはドリンク剤の形態
で容易に投与することができる。また個々の用量は錠
剤、カプセル剤又は糖衣剤の形態で投与することができ
る。これらの形態のものの溶解及び有効成分の放出は既
知方法によって遅延させることができ、制御することが
できる。特に注目に値する一つの方法は胃液に対する抵
抗性の大きいコーティングであり、これは薬が腸に達す
るまで有効成分を放出せず、有効成分を胃酸から保護す
る。粉末、顆粒、液剤または口内錠として服用する場合
には香味剤を加えるのが有利であることがある。そうで
ない場合には有効成分を従来のように塩例えばピリドキ
サル塩酸塩として使用することができ、あるいは生理学
的に受け入れることができる酸又は塩基と組み合わせて
使用することができ、あるいは従来の製剤用の補助薬、
安定剤、緩衝剤などを加えて使用することができる。
【0033】次の表1及び表2は、それぞれ、種々のピ
リドキシン誘導体を投与して4週間治療した後における
高脂血症ハムスター(表1)及び高コレステロール血症
ウサギ(表2)の結果を示す。治療を施していない対照
グループ(グループ1)には、2%のコレステロールを
含有する特別の食餌を与えた。治療グループ(グループ
2〜7)には、この餌食のほかにさらに表1及び表2に
記載の等モル量のピリドキシン誘導体を毎日与えた。な
お、治療グループ2〜7において、グループ2,3及び
5は比較例であり、グループ4,6及び7は本発明の例
である。表1及び表2には、20匹の試験動物の測定値
の平均値±標準偏差(SD)のほかに、対照グループに
対する増減のパーセントを括弧内に示した。なお、対照
グループと比較して有意(P≦0.05)である場合を*で
示し、有意(P≦0.005 )である場合を**で示した。
表1は、試験の終りに試験動物から採取した血清につい
ての測定値を示し、表2は、試験の終りに取り出した心
臓から腎動脈の支脈までのウサギの大動脈についての測
定値を示す。
【0034】
【表1】 グループ1:対称 グループ2:ピリドキサル−5′−リン酸グルタミン酸マグネシウム(MPPG) (400.0 mg/kg体重) グループ3:ピリドキシン(PN) (156.6 mg/kg体重) グループ4:ピリドキサル(PA) (154.8 mg/kg体重) グループ5:ピリドキサミン(PM) (155.7 mg/kg体重) グループ6:ピリドキサル−5′−リン酸(PAP) (228.8 mg/kg体重) グループ7:ピリドキサミン−5′−リン酸(PMP) (229.7 mg/kg体重)
【0035】
【表2】 グループ1:対称 グループ2:ピリドキサル−5′−リン酸グルタミン酸マグネシウム(MPPG) (200.0 mg/kg体重) グループ3:ピリドキシン(PN) ( 78.3 mg/kg体重) グループ4:ピリドキサル(PA) ( 77.4 mg/kg体重) グループ5:ピリドキサミン(PM) ( 77.9 mg/kg体重) グループ6:ピリドキサル−5′−リン酸(PAP) (114.4 mg/kg体重) グループ7:ピリドキサミン−5′−リン酸(PMP) (114.9 mg/kg体重)
【0036】表1及び表2から、僅か4週間の治療後
に、ピリドキサル(PA)、ピリドキサルリン酸(PA
P)及びピリドキサミンリン酸(PMP)は、動脈硬化
症の特徴である壁の厚さ(乾燥重量として測定)を減少
し、コレステロール含有量、トリグリセリド及び脂質含
有量を著しく減少することが分かる。
【0037】次表はピリドキサミンを使用して10週間治
療した後に高脂血症のうさぎにおいて見出されたいくつ
かの化合物の濃度減少値を示す。この値は18匹のうさぎ
の平均値であり、治療を施していないうさぎを基準とし
て比較測定した値である。対照グループには2%のコレ
ステロールを含有する治療食を与えた。治療グループで
は、各うさぎにさらにピリドキサミン・2HCl を120 mg
/kg体重与えた。試験の終りに心臓から腎動脈の支脈ま
でのうさぎの大動脈を取り出し、検査した。
【0038】
【実施例】次に本発明を実施例について説明する。実施例1:カプセル剤 (a) 500 mgのピリドキサル・HCl を1000gの乳糖と均一
に混合し、その150 mgをゼラチンカプセルに注入した。
カプセルの半部を互いに差し込むかあるいは溶着した。
1個のカプセル剤を1日に3回食事の時に服用する。 (b) 300 mgのピリドキサル・HCl をゼラチンカプセル内
に入れて溶着した。これを毎日夕方に1回服用する。
【0039】実施例2:バッカル錠剤 ピリドキサル・リン酸のマグネシウム塩1000gを3000g
の乳糖及び15gのステアリン酸マグネシウムと均一に混
合し、造粒し、それぞれ重量301.5 mgの錠剤に成形し
た。一錠を朝晩服用して口の中でゆっくり溶かす。
【0040】実施例3:胃酸抵抗性錠剤 1000gのピリドキサル・HCl を2000gのタブレットース
(特殊な乳糖)及び15gのステアリン酸マグネシウムと
均一に混合し、造粒し、重量150 mg及び75mgのほぼ丸い
錠剤に成形した。分散剤としてタルクを使用して酢酸コ
ハク酸セルロース(9)、フタル酸ジメチル(3,
4)、酢酸エステル(84,4)及びアセトン(84,4)
から成る20層のコーティングを施した。食前に1日3回
1ないし2錠服用する。
【0041】実施例4:発泡性錠剤 500 gのピリドキサル・リン酸、600 gのクエン酸及び
280 gの炭酸ナトリウムを2000gの乳糖と混合し、338
mgユニット(乾燥時)に成形した。食事の際に1ないし
2錠を少量の水に溶解して服用する。
【0042】実施例5:顆粒剤 1000gのピリドキサル・HCl を1000gのクエン酸及び80
00gの乳糖と一緒に造粒し、次いで生成した顆粒をふる
いにかけて約1mmの均一な粒度にした。この顆粒を完全
に乾燥し、アルミホイル内に入れて溶着した。個々の袋
あたりの顆粒量は50mg又は1gとした。袋の内容物は服
用時に果汁に溶解させる。効果を増大するために、従来
の市販のグアー調剤又は他の脂質低下薬、好ましくは有
効成分が吸収されないかあるいは作用機構を補充するも
のを加えることができ、あるいは溶液にして服用するこ
とができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピリドキサル及びピリドキサミンの少な
    くとも一方と生体外及び生体内の少なくとも一方におい
    てピリドキサル及びピリドキサミンの少なくとも一方が
    放出されている限りそれ自体脂質低下活性を示さない物
    質との化合物であって、ホスフェート基とアミノ酸とを
    同時には含有していない化合物、及びピリドキサルから
    なる群から選定した1種以上の化合物を有効成分とする
    ことを特徴とする高脂血症及び動脈硬化症の予防・治療
    薬。
  2. 【請求項2】 前記有効成分がピリドキサル、ピリドキ
    サル・リン酸及びピリドキサミン・リン酸からなる群か
    ら選定した1種以上の化合物又はその塩である請求項1
    記載の高脂血症及び動脈硬化症の予防・治療薬。
  3. 【請求項3】 バッカル剤として使用するための生理学
    的に不都合のない製剤用担体及び補助薬を含有する請求
    項1又は2に記載の高脂血症及び動脈硬化症の予防・治
    療薬。
  4. 【請求項4】 胃液に対する抵抗性の大きい形態の生理
    学的に不都合のない製薬用担体及び補助薬を含有する請
    求項1又は2に記載の高脂血症及び動脈硬化症の予防・
    治療薬。
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