JPH0724249B2 - 磁性体薄膜及びその製造方法 - Google Patents

磁性体薄膜及びその製造方法

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JPH0724249B2
JPH0724249B2 JP10458390A JP10458390A JPH0724249B2 JP H0724249 B2 JPH0724249 B2 JP H0724249B2 JP 10458390 A JP10458390 A JP 10458390A JP 10458390 A JP10458390 A JP 10458390A JP H0724249 B2 JPH0724249 B2 JP H0724249B2
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忠夫 橋口
雅之 萩村
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帝国通信工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、薄膜インダクター,薄膜磁気ヘッド,磁気セ
ンサー,磁気シールド等に利用される磁性体薄膜及びそ
の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕 従来、磁性体薄膜には大別して金属系と酸化物系とがあ
る。
この内、低周波に於て高い透磁率を得る目的で利用する
場合や、磁気抵抗素子として導電性を利用する場合等は
金属系が用いられる。この金属系磁性体薄膜の製造は通
常、真空蒸着,スパッタリング,化学鍍金によって行な
われる。
一方、高周波(数十MHzから数GHz)を扱う分野や磁気記
録の分野等では、酸化物磁性体が用いられる。特に磁気
記録媒体や薄膜インダクター、薄膜磁気ヘッド等の薄膜
磁気デバイスには、酸化物磁性体の薄膜が用いられよう
としている。
次にこれら酸化物磁性体薄膜の各種製造方法を以下に示
す。但しここでは通常磁気テープや磁気ディスクに用い
られているような、結着剤たる樹脂に磁性体粉末を分散
させたものを塗布して製造した膜は含めていない。
ア、原料酸化物の粉末を適当な溶剤と粘結剤でペースト
にし、これを基材に塗布した後、高温で焼結させる方
法。ここで溶剤と粘結剤は焼結時に分解、飛散される。
イ、真空蒸着やスパッタリングによって金属原子と酸素
原子を同時に付着させ、酸化物を得る方法。
ウ、真空蒸着やスパッタリングによって金属の膜を形成
し、これを酸素を含む雰囲気で焼成、酸化させる方法。
エ、金属塩、有機金属、或いは有機金属を加水分解した
ゾル等の溶液を塗布した後に焼成、酸化させる方法。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら以上で述べた従来の各方法においては、そ
れぞれ以下のような問題点があった。
a、上記アに示す酸化物ペーストの塗布方法の場合は、
1μm以下の薄膜は得られ難く、しかも緻密で高性能な
膜も期待できない。
b、上記イに示す真空蒸着やスパッタリングの方法の場
合は、組成の均一化の条件の制御が難しく、また生成速
度が遅いので生産性も悪い。
c、上記ウに示す金属膜を酸化させる方法の場合は、膜
の厚さ方向に酸素原子を導入させるため、膜の上下で酸
化度合が不均一になりやすく、しかも酸化条件によって
は遷移元素である鉄等の価数が変化し、目的の酸化物が
得られないことがある。
これに対して上記エに示す金属化合物の溶液を用いる方
法の場合は、基本的には上記a〜cの欠点を改善し得る
方法である。即ち用いる溶液を充分に吟味することによ
り、緻密で均一な組成の膜が容易に得られる。しかしな
がらこの方法の場合も以下のd,eに挙げるような問題点
がある。即ち、 b、金属化合物の溶液は濃度に制限のあることが多く、
溶解度の低い金属化合物の溶液を用いると、充分な膜厚
が得られない。
e、溶解度の高い金属化合物を用いてある程度以上の厚
い膜を形成しようとすると膜に亀裂が生じる。このため
膜厚の限度はおおむね0.2μm以下である。亀裂が生じ
る理由は、金属化合物の分解や溶剤の飛散等により、膜
が収縮を起こすためである。
即ちこの方法は極薄い膜の形成には適しているが、薄膜
デバイスで必要とされるような数μmの膜は得られ難い
という欠点がある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、金属化
合物の溶液を用いて得られる緻密で均一な、しかも高周
波における性能の優れた磁性体薄膜であって、その膜厚
が数Åから数μmの広い範囲のものを高精度に得ること
ができる磁性体薄膜及びその製造方法を提供することを
目的とする。
〔課題を解決するための手段及びその作用〕
上記問題点を解決するため本発明は、鉄化合物を含む金
属化合物の溶液を基材に塗布して400℃以上800℃以下の
温度で仮焼成する工程を複数回繰り返した。そして次に
800℃以上1200℃以下の温度で本焼成を行なって磁性体
薄膜を製造した。
この方法の基本的な理念は、一回の金属化合物の溶液の
塗布量を亀裂の生じない範囲とし、これの繰り返しによ
って必要な膜厚を確保しようとすることにある。
ここで溶液の1回当りの塗布量を、膜厚にして0.2μm
以下とすれば特に良好である。
仮焼成を行なう理由は、これを行なわないと膜の収縮が
起きず、膜を重ね塗りした後にのみ焼成をした場合はそ
の収縮が大となり亀裂を生じるからである。また溶液の
種類によっては、仮焼成を行わない場合は、2回目以降
の膜の重ね塗りによって、前の膜が再溶解し、塗布作業
が無駄となるからである。
即ちこの仮焼成により薄い膜毎に膜の収縮が行なわれる
ため、厚い膜を直接焼成・収縮させた場合のような亀裂
は生じない。
次に仮焼成温度を400℃以上800℃以下とした理由は、こ
の温度範囲において金属酸化物の酸化はほとんど完結
し、膜の収縮も概ね完了するからである。
またこの温度範囲においては焼結は完了しておらず、膜
が柔らかいために該膜に傷をつけて膜厚を測定すること
が可能となるからである。この方法で膜厚を監視するこ
とによって精度良く膜厚を調整できる。
更にこの温度範囲であれば、室温から短時間でこの温度
範囲に昇温させても、膜に悪影響を残さないため、仮焼
成にかかる時間を節約することができるからである。即
ち仮焼成温度が400℃未満では膜の収縮が不十分であ
り、特に金属化合物が有機金属の場合は、有機物の除去
が不完全となり不純物を残すこととなるからである。ま
た仮焼成温度が800℃を越えると膜が硬くなり膜厚の確
認が困難となるからであり、またこの温度では熱衝撃を
緩和するための昇温時間を長く取らなければならず時間
的に不経済であるからである。
以上の方法によって膜厚が0.2μm以上、特に薄膜デバ
イスに必要な1μm以上の厚さの磁性体薄膜が製造可能
となった。
次に高周波領域で良好な特性を持つ磁性体薄膜を得るた
めに金属化合物の溶液は、必須元素である鉄の他に、ニ
ッケル及び亜鉛の内の少なくともいずれか一方を含むも
のとすることが好ましい。
一方、前記基材としてはシリコンウェハーを用いること
が可能である。このシリコンウェハーは耐熱性も良く、
酸化物磁性体の形成に悪影響を及ぼさないので磁気特性
の優れた磁性体薄膜が製造可能である。
しかしながら市販のシリコンウェハーは必ず何らかのド
ーピングが施されており、そのために生じる導電性によ
って絶縁性の低下、電磁的誘導電流(過電流)による交
流損失、浮遊容量等の弊害を引き起こす。また、一般的
な焼結膜の基材として使用されているアルミナは、絶縁
性、耐熱性の点では優れているが、これを使用して製造
した磁性体薄膜は磁気特性が発現しないことが明らかと
なった。
そこで絶縁性、低過電流損失、低浮遊容量、磁性体薄膜
結晶との相性、耐熱性のすべてを満足する基材として石
英(SiO2)より成るものが最適であることを見出した。
この基材を用いれば、半導体であるシリコンウェハーを
用いるときに必要な絶縁処理が不要となり、工程削減、
製造価格の低下に寄与する一方、電磁的誘導現象に起因
する過電流損失、浮遊容量がなく、特に本発明を用いて
インダクタンス素子を製造した場合の特性向上に寄与す
る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を比較例と対比しつつ詳細に説明
する。
〈実施例1〉 まずこの実施例において、基材に塗布する金属化合物の
溶液は、以下のようにして製造したものを用いた。
即ちこの溶液を製造するには、まず鉄n・ブトキシド
と、ニッケルエトキシエトキシドと、亜鉛エトキシエト
キシドの各トルエン溶液を混合したものを用意する。
次にこの溶液に2−エトキシエタノールを加えて窒素雰
囲気中で還流したものに、2−エトキシエタノールと水
と酢酸の混合物を加えることによって加水分解する。こ
れによってゾル溶液が得られるが、これが本実施例に用
いる金属化合物の溶液である。
以上のようにこの溶液の場合は、金属化合物として、鉄
化合物とニッケル化合物と亜鉛化合物を混合したものを
用いた。またこの実施例で使用した溶液中の金属原子の
モル比率は、鉄、ニッケル、亜鉛の順に10:1:4であり、
溶液全体に対する金属化合物の濃度は0.6モル/リット
ルであった。
次にこの溶液をシリコンウェハー上にスピンコーターで
塗布する。
そしてこれを500℃にて10分間仮焼成する。
そしてこの溶液の塗布と仮焼成の工程を10回繰り返す。
次にこれを1200℃にて1.5時間(室温よりこの温度に至
るまでの昇温速度は毎時200℃、即ち約6時間)大気中
にて焼成する。
これによってフェライトの磁性体薄膜が得られる。
このようにして製造した磁性体薄膜の膜厚は、第1回目
塗布時950Å(0.095μm)、10回塗布後においては0.77
μmであった。
この実施例においては、1回の塗布作業による着膜量を
0.2μm以下とし、仮焼成を含む塗布工程を繰り返した
ことにより、0.2μmを大幅に上回る膜厚の磁性体薄膜
が製造できた。
なおこの実施例においては、溶液の第1回目の塗布,仮
焼成の工程から第10回目の塗布,仮焼成の工程及び本焼
成の工程のいずれの段階においても薄膜に亀裂は生じな
かった。
〈比較例1〉 この比較例1においては、上記実施例1に用いた溶液と
同一の溶液を用い、スピンコートの条件のみを変えて同
一の方法で磁性体薄膜を製造した。
即ちこの比較例1においては、第1回目塗布時の磁性体
薄膜の膜厚は、2030Å(0.203μm)とし、10回塗布後
においては2.07μmとした。
この比較例1では、1回の塗布量が0.2μmを越えた結
果、第1回目の塗布によって形成された膜に多数の亀裂
が生じ、これに重ねて溶液を塗布しても亀裂は補修され
ることなく、かえって亀裂の程度が拡大していくことが
わかった。
〈実施例2〉 この実施例に用いる金属化合物の溶液としては、鉄n・
ブトキシドと亜鉛エトキシエトキシドの各トルエン溶液
と、ニッケルアセチルアセトネートを2−エトキシエタ
ノールに溶解させたものとを混合して窒素雰囲気中で還
流した後、2−エトキシエタノールと水と酢酸の混合物
を加えることによって加水分解することによって得られ
たゾル溶液を用いた。
この実施例の場合も、金属化合物として、鉄化合物とニ
ッケル化合物と亜鉛化合物を混合したものを用いた。ま
たこの実施例で使用した溶液中の金属原子のモル比率
は、鉄、ニッケル、亜鉛の順に100:17.5:32.5であり、
溶液全体に対する金属化合物の濃度は0.3モル/リット
ルであった。
次にこの溶液をシリコンウェハー上にスピンコーターで
塗布する。
そしてこれを500℃にて10分間仮焼成する。
そしてこの溶液の塗布と仮焼成の工程を10回繰り返した
ものと40回繰り返したものの2種類の試料を作成し、こ
れらを1200℃にて1.5時間(室温よりこの温度に至るま
での昇温速度は毎時200℃)大気中にて焼成してフェラ
イトの磁性体薄膜を製造した。
このようにして製造した磁性体薄膜の膜厚は、第1回目
塗布時は0.02μm、10回塗布後においては0.21μm、40
回塗布後においては1.33μmであった。
この実施例においても、1回の塗布における着膜量を0.
2μm以下とし、仮焼成を含む塗布工程を繰り返して、
0.2μmを上回る膜厚の磁性体薄膜を得た。
なおこの塗布回数10回と40回のいずれの磁性体薄膜の場
合も亀裂は生じなかった。
第1図のNo.1,2は本実施例における塗布回数10回と40回
の場合の磁性体薄膜の全体の膜厚と透磁率と抗磁力を示
す図である。
同図に示すように、両者いずれも良好な磁性特性を示
し、特に塗布を40回行なった磁性体薄膜は、1μmを上
回る膜厚を有しているにもかかわらず、磁性特性の劣化
は認められず、かえって膜厚の増加に伴い透磁率が増大
し、抗磁力が減少する傾向が確認された。これは軟磁性
体としての性能が向上したことを意味し、特に高周波に
おける磁気損失が低減される。これは塗布を40回行なっ
ても磁性体薄膜に亀裂が生じていないためと思われる。
以上のように本発明によれば、所望の膜厚が塗布回数に
よって容易に任意に選択できる。しかも薄膜デバイスに
必要な1μmを越える厚さの高性能な酸化物磁性体薄膜
を得られることが確認された。
〈実施例3〉 この実施例においては、上記実施例2における磁性体薄
膜におけると同一の金属化合物の溶液を用いて、同一の
塗布方法(但し塗布回数は10回のみ)で、基材と本焼成
温度を異ならせて磁性体薄膜を製造した。
即ちこの実施例においては、基材として1200℃の耐熱性
を有する石英(SiO2)ガラスを用い、本焼成温度は800
℃、1000℃、1200℃にてそれぞれ1.5時間保持(大気
中)した。なお室温よりそれぞれの温度に至るまでの昇
温速度は今までの実施例と同様の毎時200℃とした。
第1図のNo.3,4,5はこの実施例の実験結果を示す図であ
る。
同時に示すように、本焼成温度の増加に伴い磁気特性が
改善され、1200℃の焼成によるものは第1図のNo.1のシ
リコンウェハーと同等の磁気特性を示した。このことに
より800℃以上の耐熱性を有する石英基材を用いること
により、焼成温度を800℃以上に上げることができ、磁
気特性を飛躍的に向上させることができるという事実を
確認した。
〈比較例2〉 この比較例においては、上記実施例2と同一の金属化合
物の溶液を用いて、同一の塗布方法(但し塗布回数は10
回のみ)で、塗布する基材のみを異ならせて磁性体薄膜
を製造した。
即ちこの比較例においては、基材としてアルミナ焼結板
を用いた。
その結果、該基材上には均一な磁性体薄膜が形成された
にもかかわらず、第1図のNo.6に示すように、良好な磁
気特性は得られなかった。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明に係る磁性体薄膜に
よれば、以下のような優れた効果が生じる。
(1)数Åの薄い膜厚から数μmの厚い膜厚まで、広い
範囲の膜厚の中から所望の膜厚の磁性体薄膜が高精度に
得られる。
(2)亀裂が生じず、緻密で均一な組成の磁性体薄膜が
構成できる。
(3)高周波における磁気特性の優れた磁性体薄膜が構
成できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2,実施例3,比較例2の実験結果を示す図
である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄化合物を含む金属化合物の溶液を基材に
    塗布して400℃以上800℃以下の温度で仮焼成する工程を
    複数回繰り返した後、800℃以上1200℃以下の温度で本
    焼成を行なったことを特徴とする磁性体薄膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記仮焼成における溶液の基材への1回の
    塗布厚さが0.2μm以下であることを特徴とする請求項
    (1)記載の磁性体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】前記金属化合物の溶液は、有機金属化合物
    の溶液、若しくは有機金属化合物を加水分解して得られ
    たゾル溶液であることを特徴とする請求項(1)又は
    (2)記載の磁性体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】前記金属化合物は、鉄化合物の他に、ニッ
    ケル化合物と亜鉛化合物の内の少なくともいずれか一方
    を含有していることを特徴とする請求項(1)、(2)
    又は(3)記載の磁性体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】前記溶液を塗布する基材は、800℃以上の
    耐熱性を有する石英(SiO2)で構成されていることを特
    徴とする請求項(1)、(2)、(3)又は(4)記載
    の磁性体薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】前記請求項(1)乃至(5)の内のいずれ
    か1つの方法で製造されたことを特徴とする磁性体薄
    膜。
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