JPH07249366A - 含浸形カソードを備える電子銃 - Google Patents

含浸形カソードを備える電子銃

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JPH07249366A
JPH07249366A JP3724694A JP3724694A JPH07249366A JP H07249366 A JPH07249366 A JP H07249366A JP 3724694 A JP3724694 A JP 3724694A JP 3724694 A JP3724694 A JP 3724694A JP H07249366 A JPH07249366 A JP H07249366A
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JP
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electron
electron emission
impregnated cathode
grid
cathode
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JP3724694A
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Norihisa Miyama
憲久 深山
Tadanori Taguchi
貞憲 田口
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子レンズ系の電界を乱さず、電子放出面の
構造や状態を大きく変更せず、長期間にわたり安定な電
子放出状態が維持できる含浸形カソードを備える電子銃
を提供する。 【構成】 少なくとも含浸形カソードと複数のグリッド
17、18とを有する電子銃において、含浸形カソード
は、電子放出面の第1グリッド17の電子ビーム通過孔
21に対向した部分に凹部20を設け、この凹部20
は、電子放出面に垂直な軸に対して回転対称形になるよ
うに形成され、かつ、電子放出面の形状が第1グリッド
17の電子ビーム通過孔21の形状と相似形になるよう
に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含浸形カソードを備え
る電子銃に係わり、特に、電子放出面の耐イオン衝撃性
を向上させた含浸形カソードを備える電子銃に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高密度電流を放出させることが可
能なカソードにおいては、多くの場合、電子放出能力が
カソードの電子放出面の表面に形成される単原子層乃至
数原子層の状態に大きく依存している。例えば、カソー
ドの電子放出面にオスミウム(Os)を被覆させた既知
の含浸形カソード、または、カソードの電子放出面にオ
スミウム/ルテニウム(Os/Ru)、イリジウム(I
r)を被覆させた既知のカソードにおいては、カソード
の電子放出面の表面にそれぞれバリウム(Ba)−酸素
(O)−金属M、例えば、オスミウム(Os)の電気双
極子を形成させ、この電気双極子の作用によって、カソ
ードの電子放出面の電子放出能力を高めるようにしてい
るもので、この場合のバリウム(Ba)の被覆率は、
0.6乃至1.0が最適値である。また、半導体のpn
接合を用いて構成したカソードや、MIM(金属−絶縁
体−金属)構造を有する冷陰極においても、電子放出面
の電子放出能力を高めるために、バリウム(Ba)やセ
シウム(Cs)のような元素の層を0.6原子層乃至単
原子層程度被覆することが知られている。そして、当然
のことながら、前述のような構成のカソードにおいて、
電子放出面の表面に形成された原子層が失われた場合に
は、電子放出能力が著しく低下するようになる。
【0003】また、一般に、カソードは、真空エンベロ
ーブ内で使用されるものであるが、真空エンベローブと
いっても、真空エンベローブ内には多少の残留ガスが存
在している。そして、この残留ガス分子がカソードより
放出された電子流と衝突すると、残留ガスから正イオン
や負イオンが遊離される。前記遊離したイオンの中で、
負イオンは正の電圧が印加されている陽極方向に向かう
が、正イオンの一部は加速電界や集束電界の影響を受け
て加速され、カソード方向に向かうようになる。このと
き、高い加速電界や集束電界によって加速された正イオ
ンが高速状態でカソードの電子放出面の表面に衝突する
と、前記表面は正イオンによってスパッタリングされ、
電子放出面の表面に形成されている原子層、即ち、電子
放出能力が高い表面部分の原子層が失われるようにな
る。このようなイオンの衝撃によって失われた原子層
は、熱電子放射形のカソードである場合、多少であるが
表面部分の原子層が回復するものであるが、冷陰極形の
カソードである場合、表面の原子層の回復は望むことが
できず、そのまま電子放出能力の低下をもたらすように
なる。このようなカソードの電子放出面における電子放
出能力の低下に対し、何等の対策も施さない場合は、最
終的に電子放出能力が喪失するようになり、カソードと
しての機能を失うことになる。また、電子放出能力が喪
失する以前の状態であっても、例えば、カラー受像管等
においてはフォーカス性能が低下するようになる。
【0004】ここで、図7は、既知の電子銃における含
浸形カソードと第1及び第2グリッドの部分の構成の概
要を示す断面構成図である。
【0005】図7において、31は陰極ペレット、32
はカップ、33はスリーブ、34はヒータ、35は第1
グリッド、36は第2グリッドである。
【0006】そして、陰極ペレット31は、高融点金
属、例えば、タングステン(W)からなる多孔質基体
と、その多孔質基体の細孔部に含浸させたバリウム(B
a)を含む電子放出物質とからなるもので、高融点金
属、例えば、モリブデン(Mo)製のカップ32内に挿
入保持される。同じく高融点金属からなるスリーブ33
は、上部にカップ32が溶接され、内部にヒータ34が
包含されている。第1グリッド35は、制限電極として
働くもので、陰極ペレット31の電子放出面に近接する
ように配置される。第2グリッド36は、引出し電極と
して働くもので、第1グリッド35に対し陰極ペレット
31と反対側に配置されている。
【0007】かかる構成を有する電子銃の動作は、既に
良く知られているところであるので、この電子銃につい
ての動作説明は、省略する。
【0008】次に、図8は、図7に図示の既知の電子銃
における含浸形カソードの電子放出面上の電界強度分
布、電子放出密度分布、正イオン入射密度分布を示す特
性図である。
【0009】図8において、縦軸は電界強度分布(曲線
)、電子放出密度分布(曲線)、正イオン入射密度
分布(曲線)の規格化強度、横軸は含浸形カソードに
おける電子放出面上の位置をそれぞれ示す。
【0010】図8に示されるように、既知の電子銃にお
いては、含浸形カソードの電子放出面に印加される電界
強度の分布は、曲線に示されるように、第1グリッド
35の電子ビーム通過孔の中心に対向する部分が最大に
なり、その中心に対向する部分から遠ざかるにしたがっ
て急激に小さくなる。また、電子放出密度の分布は、曲
線に示されるように、前記電界強度の分布に対応し
て、第1グリッド35の電子ビーム通過孔の中心に対向
する部分が最大になり、その中心に対向する部分から遠
ざかるにしたがってやや急激に小さくなる。さらに、正
イオン入射密度の分布は、曲線に示されるように、正
イオンのエネルギが相当に大きく、含浸形カソードの近
傍において殆んど発散されないので、前記電界強度の分
布や前記電子放出密度の分布と同様に第1グリッド35
の電子ビーム通過孔の中心に対向する部分が最大にな
り、その中心に対向する部分から遠ざかるにしたがって
かなり急激に小さくなる。
【0011】このように既知の電子銃においては、電子
放出密度の分布と正イオン入射密度の分布の各最大部分
が一致しており、それらの分布形状もほぼ同じになって
いるので、電子放出密度が大きい部分の電子放出面の表
面の原子層が正イオンの衝突によって失われる確率が高
くなり、正イオンの衝突による含浸形カソードの電子放
出量の減少が大きくなる。
【0012】かかる事態に対処するために、カソードの
電子放出面における電子放出能力の低下を防ぐための手
段も既に提案されており、その一例として、特開昭62
−172636号に開示の手段を挙げることができる。
この特開昭62−172636号に開示の手段は、カソ
ードの電子放出領域が環状になるように構成し、かつ、
3つのカソードからそれぞれ放出された3本の電子流が
クロスオーバーする部分に、プレートを配置し、このプ
レートによって正イオンがカソードの電子放出面に衝突
するのを防いでいるものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭62−17
2636号に開示の手段は、一応、正イオンがカソード
の電子放出面に衝突するのを防ぐことができるものであ
るが、3本の電子流がクロスオーバーする部分にプレー
トを配置するものであるため、特殊な構成のプレートを
用意する必要があるだけでなく、そのプレートの配置に
より電子レンズ系の電界が乱されるという問題を有して
いる。さらに、前記特開昭62−172636号に開示
の手段は、環状の電子放出領域を形成させる場合に、非
電子放出領域の構造をカソードの構造と異ならせる、ま
たは非電子放出領域の表面状態を電子放出領域との表面
状態と異ならせるという構成を採用しているため、余分
に別個のマスクを使用する必要があり、製造コストが高
くなってしまうという問題を有するとともに、カソード
の動作温度が高い場合には、熱拡散によって電子放出領
域が広がってしまうという問題もある。
【0014】本発明は、前記各問題点を除去するもので
あって、その目的は、電子レンズ系の電界を乱さず、電
子放出面の構造や状態を大きく変更せず、長期間にわた
り安定な電子放出状態が維持できる含浸形カソードを備
える電子銃を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、少なくとも含浸形カソードと複数のグリ
ッドとを有する電子銃において、前記含浸形カソード
は、電子放出面の第1グリッドの電子ビーム通過孔に対
向した部分に凹部を設けた手段を備える。
【0016】
【作用】前記手段によれば、含浸形カソードは、電子放
出面の第1グリッドの電子ビーム通過孔に対向した部分
に凹部を設けているので、含浸形カソードの電子放出面
に印加される電界強度は、第1グリッドの電子ビーム通
過孔の中心に対向する部分に比べてその周囲の部分が大
きくなり、また、電子放出密度も、電界強度の分布に対
応して、第1グリッドの電子ビーム通過孔の中心に対向
する部分に比べてその周囲の部分が大きくなる。さら
に、正イオン入射密度は、既知の含浸形カソードの正イ
オン入射密度の分布と同じであって、第1グリッドの電
子ビーム通過孔の中心に対向する部分が最大になり、中
心に対向する部分から遠ざかるにしたがって急激に小さ
くなる。
【0017】このように、前記手段によれば、電子放出
面における正イオン入射密度の最大の部分、即ち、正イ
オンの衝突によって多く損傷される電子放出面の原子層
は、電子放出の寄与が比較的小さい部分になることか
ら、電子放出密度が大きい部分の電子放出面の原子層が
正イオンの衝突によって損傷される確率は、既知の含浸
形カソードに比べるとかなり小さくなり、全体的に耐イ
オン衝撃性を向上させた含浸形カソードを有する電子銃
を得ることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0019】図1は、本発明に係わる電子銃を装填させ
た電子管の一実施例の構成の概要を示す断面構成図であ
って、電子管としてカラー受像管である場合の例を示す
ものである。
【0020】図1において、1はパネル部、2はファン
ネル部、3はネック部、4は螢光面、5はシャドウマス
ク、6は磁気シールド、7は偏向ヨーク、8はピュリテ
イ調整マグネット、9はセンタービームスタティックコ
ンバーゼンス調整用マグネット、10はサイドビームス
タティックコンバーゼンス調整用マグネット、11は電
子銃、12は電子ビームである。
【0021】そして、カラー受像管を構成する管体は、
前側に配置されたパネル部1と、電子銃11を収納して
いるネック部3と、パネル部1及びネック部3の中間に
配置されたファンネル部2とからなっている。パネル部
1は、その内面に螢光面4が配置形成され、この螢光面
4に対向してシャドウマスク5が配置される。パネル部
1とファンネル部2の結合部分の内側に磁気シールド6
が配置され、ファンネル部2とネック部3の結合部分の
外側に偏向ヨーク7が設けられる。ネック部3の外側
に、ピュリテイ調整マグネット8、センタービームスタ
ティックコンバーゼンス調整用マグネット9、サイドビ
ームスタティックコンバーゼンス調整用マグネット10
が並設配置され、電子銃11から投射された3本の電子
ビーム12は、偏向ヨーク7で所定方向に偏向された
後、シャドウマスク5を通して螢光面4における対応す
る色の絵素に到達するように構成されている。
【0022】この場合、前記構成によるカラー受像管に
おける画像表示動作は、既知のカラー受像管における画
像表示動作と全く同じであるので、このカラー受像管に
おける画像表示動作についての説明は、省略する。
【0023】続いて、図2は、図1に図示のカラー受像
管の電子銃11における電子ビームを放出する含浸形カ
ソード及び電子ビームを制限する電極として働く第1グ
リッド、電子ビームを引出す電極として働く第2グリッ
ドの部分の構成を拡大して示した断面構成図である。
【0024】図2において、13は陰極ペレット、14
はカップ、15はスリーブ、16はヒータ、17は第1
グリッド、18は第2グリッド、19は低い仕事関数を
持った金属膜、20は凹部、21は第1グリッド17の
電子ビーム通過孔である。
【0025】そして、陰極ペレット13は、高融点金
属、例えば、タングステン(W)からなる多孔質基体
と、その多孔質基体の細孔部に含浸させたバリウム(B
a)−カルシウム(Ca)アルミネートを主成分とする
電子放出物質とからなっており、高融点金属、例えば、
モリブデン(Mo)製のカップ14内に挿入保持され
る。前記多孔質基体は、露出部分に低い仕事関数を持っ
た金属膜19、例えば、オスミウム(Os)もしくはス
カンジウム(Sc)−タングステン(W)−酸素(O)
の複合膜が蒸着されて電子放出面が形成され、この電子
放出面の第1グリッド17の電子ビーム通過孔21に対
向した部分に凹部20が形成されている。スリーブ15
は、モリブデン(Mo)等の高融点金属からなり、上部
にカップ14が溶接され、内部にヒータ16が包含され
ている。制限電極として働く第1グリッド17は、陰極
ペレット13の前記電子放出面に近接するように配置さ
れ、引出し電極として働く第2グリッド18は、第1グ
リッド17に対し陰極ペレット13と反対側に配置され
ている。
【0026】ここで、凹部20を有する陰極ペレット1
3を構成する場合の一例について述べると、まず、タン
グステン(W)の粉末をプレス整形によって突き固め、
凹部20を持った固結体を構成する。その後、この固結
体を還元性雰囲気中もしくは真空中で焼結し、多孔質焼
結体(多孔質基体)を形成する。次いで、この多孔質焼
結体(多孔質基体)の細孔部にバリウム(Ba)−カル
シウム(Ca)アルミネートを主成分とする電子放出物
質を含浸させ、余剰な電子放出物質を除去して陰極ペレ
ット13を構成する。
【0027】この場合、陰極ペレット13の電子放出面
に設ける凹部20の第1グリッド17側から見た外縁形
状は、電子放出面に垂直な軸に対して回転対称形であ
り、その横断面についても、図2に示すようなV字形の
もの、もしくはU字形のものであってもよく、この他に
も、横断面が半円形のもの、半楕円形のものであっても
よい。さらに、凹部20の電子放出面における第1グリ
ッド17側から見た外縁形状は、円形のもの、楕円形の
もの、多角形のものであってもよく、第1グリッド17
の電子ビーム通過孔21の形状と相似形のものであって
もよい。なお、凹部20の電子放出面における外縁面積
の大きさは、電子ビーム通過孔21の開孔面積の大きさ
に相当するものかもしくはその開孔面積の大きさよりも
小さいものになるように選んでいる。
【0028】なお、前記構成を有する電子銃の通常の動
作は、既に良く知られているところであるので、本実施
例の電子銃についての通常の動作説明は、省略する。
【0029】続く、図3は、図2に図示の本実施例の電
子銃における含浸形カソードの電子放出面上の電界強度
分布、電子放出密度分布、正イオン入射密度分布を示す
特性図である。
【0030】図3において、縦軸は電界強度分布(曲線
)、電子放出密度分布(曲線)、正イオン入射密度
分布(曲線)の規格化強度、横軸は含浸形カソードに
おける電子放出面上の位置をそれぞれ示す。
【0031】図3に示されるように、本実施例の電子銃
によれば、含浸形カソードの電子放出面に印加される電
界強度の分布は、曲線に示されるように、第1グリッ
ド17の電子ビーム通過孔21の周辺に対向する部分で
最大になり、第1グリッド17の電子ビーム通過孔21
の中心に対向する部分に近づくにしたがって小さくな
り、第1グリッド17の電子ビーム通過孔21の中心に
対向する部分で極小値になる。また、電子放出密度の分
布は、曲線に示されるように、前記電界強度の分布に
対応して、第1グリッド17の電子ビーム通過孔21の
周辺に対向する部分で最大になり、第1グリッド17の
電子ビーム通過孔21の中心に対向する部分に近づくに
したがって小さくなり、第1グリッド17の電子ビーム
通過孔21の中心に対向する部分で極小値になる。一
方、正イオン入射密度の分布は、曲線に示されるよう
に、第1グリッド17の電子ビーム通過孔21の中心に
対向する部分で最大になり、その中心に対向する部分か
ら遠ざかるにしたがって急激に小さくなる。
【0032】このように、本実施例の電子銃は、含浸形
カソードの電子放出面における電子放出密度の分布(曲
線)と正イオン入射密度の分布(曲線)とが異なる
ように構成したものであって、具体的には、含浸形カソ
ードの電子放出面における正イオン入射密度の最大値を
示す部分を、電子放出密度の極小値を示す部分に略一致
させ、正イオンによる損傷の比較的大きな電子放出面の
部分における電子放出に対する寄与をかなり少なくさ
せ、実質的に含浸形カソードの耐イオン衝撃性の向上の
実現を計るようにしたものである。
【0033】なお、本実施例において、含浸形カソード
の電子放出面に設ける凹部20は、電子放出面の第1グ
リッド17の電子ビーム通過孔21に対向した部分、即
ち、電子放出面の略中央部に設けているものとして説明
したが、凹部20を設ける電子放出面上の箇所は、含浸
形カソードの配置状態に応じて適宜選択されるものであ
る。
【0034】即ち、1本の含浸形カソードが配置されて
いる単一形の電子銃の場合や、3本の含浸形カソードが
デルタ形に配置されているデルタ形の電子銃の場合に
は、本実施例と同様に、各含浸形カソードの凹部20は
それぞれの含浸形カソードの電子放出面の略中央部に設
けるようにしてよいが、3本の含浸形カソードがインラ
イン形に配置されているインライン形の電子銃の場合
は、各含浸形カソードの電子放出面に設ける凹部20の
中で、中央に配置の含浸形カソードの凹部20は、電子
放出面の略中央部に設けるようにしているが、両側に配
置の含浸形カソードの凹部20は、電子放出面の略中央
部から若干中央に配置の含浸形カソード側に偏った部分
に設けるようにすることもある。
【0035】続く、図4は、インライン形の電子銃、即
ち、インライン形に配置の3本の含浸形カソードに設け
る凹部20の配置箇所を示す上面図であって、インライ
ン形に配置の3本の含浸形カソードの電子放出面を第1
グリッド17側から見たものであり、図5は、インライ
ン形の電子銃における中央部に配置の電子銃(センター
ガン)及び1つの端部に配置の電子銃(サイドガン)、
例えば、青色(B)用サイドガンの主要部の構成を示す
断面構成図であって、(a)は緑色(G)用センターガ
ン、(b)は青色(B)用サイドガンを示すものであ
る。
【0036】図4及び図5(a)、(b)において、1
3Gは緑色(G)用陰極ペレット、13Bは青色(B)
用陰極ペレット、14Gは緑色(G)用カップ、14B
は青色(B)用カップ、15Gは緑色(G)用スリー
ブ、15Bは青色(B)用スリーブ、16Gは緑色
(G)用ヒータ、16Bは青色(B)用ヒータ、17G
は緑色(G)用第1グリッド、17Bは青色(B)用第
1グリッド、18Gは緑色(G)用第2グリッド、18
Bは青色(B)用第2グリッド、19Bは緑色(G)用
金属膜、19Bは青色(B)用金属膜、20Rは赤色
(R)用凹部、20Gは緑色(G)用凹部、20Bは青
色(B)用凹部、21Gは緑色(G)用第1グリッド1
7Gの電子ビーム通過孔、21Bは青色(B)用第1グ
リッド17Bの電子ビーム通過孔、22Rは赤色(R)
用含浸形カソード、22Gは緑色(G)用含浸形カソー
ド、22Bは青色(B)用含浸形カソードである。
【0037】そして、図4に示されるように、赤、緑、
青の各色の含浸形カソード22R、22G、22Bの中
で、センターガンを構成する緑色(G)用含浸形カソー
ド22Gが中心に配置され、一方のサイドガンを構成す
る赤色(R)用の含浸形カソード22Rが左側に、他方
のサイドガンを構成する青色(B)の含浸形カソード2
2Bが右側にそれぞれ配置される。緑色(G)用含浸形
カソード22Gは、電子放出面の略中央部分に凹部20
Gが設けられ、赤色(R)用含浸形カソード22Rは、
電子放出面の略中央部分から若干緑色(G)用含浸形カ
ソード22G側に偏った部分に凹部20Rが設けられ、
青色(B)用含浸形カソード22Bも、電子放出面の略
中央部分から若干緑色の含浸形カソード22G側に偏っ
た部分に凹部20Bが設けられる。
【0038】また、図5(a)、(b)に示されるよう
に、センターガン及び2つのサイドガンの構成は、前述
したように、各凹部20R、20G、20Bの配置箇所
を除けば、図2に示された電子銃(ガン)の構成と同じ
であるので、これらセンターガン及び2つのサイドガン
についての構成の説明は、省略する。
【0039】ここで、3本の含浸形カソード22R、2
2G、22Bの電子放出面に設けられる各凹部20R、
20G、20Bの形状及び寸法の一例について述べる
と、いま、前記センターガン及び2つのサイドガンのそ
れぞれについて、第1グリッド17の電子ビーム通過孔
21の径が0.45mm、第1グリッド17と含浸形カ
ソード22との間隔が0.1mm、第1グリッド17の
厚さが0.1mm、第1グリッド17と第2グリッド1
8との間隔が0.2mmの寸法を有するものの場合、各
凹部20R、20G、20Bの形状として、電子放出面
に垂直方向の断面がU字形(深さd)で、電子放出面上
の第1グリッド17側から見た外縁形状が円形(直径
a)のものを構成する際には、前記直径aとして0.1
5mm程度を選び、かつ、d/a≧1の関係を満たすよ
うにその深さdを選ぶ。また、前記各寸法を有するもの
の場合に、2つのサイドガンにおける含浸形カソード2
2R、22Bの電子放出面に設けられる各凹部20R、
20Bの配置箇所は、それら電子放出面の中央部分から
センターガンにおける含浸形カソード22G方向への偏
りΔxが0.12mm程度になるように選ぶ。
【0040】この場合、前述の各凹部20R、20G、
20Bの形状及び寸法は、好ましい一例を示すものであ
るけれども、本発明の電子銃に設けられる凹部20R、
20G、20Bの構成は、前述の形状や寸法のものに限
定されるものではなく、例えば、電子放出面に垂直方向
の断面形状がV字形のもの、半円形のもの、半楕円形の
ものであってもよく、電子放出面上の第1グリッド17
側から見た外縁形状がインライン方向の軸に対し線対称
の楕円形のもの、多角形のもの等、非円形のものであっ
てもよく、その寸法も適宜変更するようにしてもよい。
なお、この凹部の外縁形状が非円形の場合、図5におけ
る径aの寸法としていは最も短い部分とすればよい。勿
論、センターガン及び2つのサイドガンの各種寸法が前
述の場合と異なる電子銃であれば、センターガン及び2
つのサイドガンの各種寸法に応じて、各凹部20R、2
0G、20Bの各部の寸法及び配置箇所の偏りΔxの寸
法も変更されるのは当然である。なお、前記配置箇所の
偏りΔxは、以下述べるように、主として、主電子レン
ズの構成及び機能に依存するので、主電子レンズの構成
及び機能が異なる場合には、その偏りΔxの大きさを変
更する必要があるが、第1グリッド17の電子ビーム通
過孔21の径や第2グリッド18の印加電圧が異なって
いる場合には、特に、その偏りΔxの大きさを変更する
必要がないこともあり得る。
【0041】次いで、図6は、インライン形の電子銃の
サイドガン、例えば、赤色(R)用含浸形カソード22
Rを有するサイドガンにおける電子と正イオンの軌道を
示す動作説明図であって、サイドガンを構成する赤色
(R)用含浸形カソード22R及び青色(B)用含浸形
カソード22Bの電子放出面の凹部20の配置箇所を、
電子放出面の中央部分でなく、センターガン方向にΔx
だけ偏った部分に選ぶ必要性を説明するためのものであ
る。
【0042】図6において、23は第3グリッド、24
は第4グリッド、25は第5グリッド、26は電子の軌
道、27は正イオンの軌道であり、その他、図2、図4
に示された構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け
ている。
【0043】そして、第1グリッド17と第2グリッド
18によりプリ電子レンズが構成され、第3グリッド2
3、第4グリッド24、第5グリッド25により主電子
レンズが構成される。
【0044】図6に示されるように、赤色(R)用サイ
ドガンにおいては、赤色(R)用含浸形カソード22R
から放出された電子は、プリ電子レンズによってインラ
インの外側方向(図6の上側方向)に第1の偏向を受
け、次いで、主電子レンズによってインラインの内側方
向(図6の下側方向)に第2の偏向を受け、シャドウマ
スク(図示なし)の部分で他の2つの色、緑色(G)及
び青色(B)の電子と収斂されるような軌道26に沿っ
て進行する。この場合、プリ電子レンズの配置部分では
電子の速度が未だ小さいので、第1の偏向は比較的大き
な偏向になり、主電子レンズの配置部分では電子の速度
が大きくなっているので、第2の偏向は比較的小さい偏
向になる。一方、例えば、第5グリッド25の近傍で発
生した正イオンは、主電子レンズによってインラインの
内側方向(図6の下側方向)に第1の偏向を受け、次い
で、プリ電子レンズによってインラインの外側方向(図
6の上側方向)に第2の偏向を受け、赤色(R)用含浸
形カソード22Rの電子放出面に衝突するような軌道2
7に沿って進行する。この場合、主電子レンズの配置部
分では、正イオンの速度が未だ小さいので、第1の偏向
は比較的大きな偏向になり、プリ電子レンズの配置部分
では、正イオンの速度が大きくなっているので、第2の
偏向はかなり小さい偏向、もしくは無偏向になる。
【0045】この場合、正イオンについて着目すれば、
主電子レンズの配置部分においては、速度が遅いために
大きな偏向を受けるのに対して、プリ電子レンズの配置
部分においては、速度が速くて殆んど偏向を受けないた
め、この正イオンがプリ電子レンズの配置部分を通って
赤色(R)用含浸形カソード22Rの電子放出面に衝突
する際は、その電子放出面の中央部分ではなく、センタ
ーガン方向にΔxだけ偏った部分に主として衝突するよ
うになる。
【0046】このため、赤色(R)用サイドガンにおい
て、赤色(R)用含浸形カソード22Rの電子放出面に
おける凹部20Rの配置箇所を、その電子放出面の中央
部分からセンターガン方向にΔxだけ偏った部分に選べ
ば、前述のように、正イオンの衝突による電子放出面の
原子層の損傷の比較的大きな部分の電子放出に対する寄
与をかなり少なくさせることができ、実質的に赤色
(R)用含浸形カソード22Rの耐イオン衝撃性の向上
の実現を計ることができる。
【0047】また、インライン形の電子銃の他方のサイ
ドガン、例えば、青色(B)用含浸形カソード22Bを
有する青色(B)用サイドガンについても、前述の赤色
(R)用サイドガンの場合と全く同様であって、やはり
青色(B)用含浸形カソード22Bの電子放出面におけ
る凹部20Bの配置箇所を、その電子放出面の中央部分
からセンターガン方向にΔxだけ偏った部分に選べば、
同様に、正イオンの衝突による電子放出面の原子層の損
傷の比較的大きな部分の電子放出に対する寄与をかなり
少なくさせることができ、実質的に青色(B)用含浸形
カソード22Bの耐イオン衝撃性の向上の実現を計るこ
とができる。
【0048】なお、前述のサイドガンを構成する含浸形
カソードの電子放出面の凹部については、その配置箇所
をセンターガン方向に偏った部分に選んだ例を示したも
のであるが、この凹部の電子放出面上の第グリッド側か
ら見た外縁形状がインライン方向に長い非円形、例え
ば、横長のスリット状とした場合には、その凹部をセン
ターガン方向に偏らせる必要がないことがあり得る。
【0049】また、凹部の電子放出面に垂直方向の断面
の深さもしくは凹部の電子放出面上の第1グリッド側か
ら見た外縁の径を、インラインの外側方向よりセンター
ガン方向で大きくした場合にも、その凹部をセンターガ
ン方向に偏らせる必要がないことがあり得る。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
含浸形カソードは、電子放出面の第1グリッドの電子ビ
ーム通過孔に対向した部分に凹部を設けているので、含
浸形カソードの電子放出面に印加される電界強度は、第
1グリッドの電子ビーム通過孔の中心に対向する部分に
比べてその周囲の部分が大きくなり、また、電子放出密
度も、電界強度の分布に対応して、第1グリッドの電子
ビーム通過孔の中心に対向する部分に比べてその周囲の
部分が大きくなるのに対し、正イオン入射密度は、既知
の含浸形カソードの正イオン入射密度の分布と同様に、
第1グリッドの電子ビーム通過孔の中心に対向する部分
が最大になり、中心に対向する部分から遠ざかるにした
がって急激に小さくなる。
【0051】このため、電子放出面における正イオン入
射密度の最大の部分、即ち、正イオンの衝突によって多
く損傷される電子放出面の原子層は、電子放出の寄与が
比較的小さい部分に相当するので、電子放出密度が大き
い部分の電子放出面の原子層が正イオンの衝突によって
損傷される確率は既知の含浸形カソードに比べるとかな
り小さくなり、全体的に耐イオン衝撃性を向上させた電
子銃が得られるという効果がある。
【0052】また、本発明によれば、プリ電子レンズや
主電子レンズの内部構造を変更するものではないので、
電子レンズ系の電界が乱されることがなく、しかも、電
子放出面の構造や状態を部分的に大きく変更するもので
ないので、電子放出面の製造を安価かつ簡単に行うこと
ができ、長期間にわたって安定な電子放出状態を維持で
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電子銃を装填させた電子管の一
実施例の構成の概要を示す断面構成図である。
【図2】図1に図示の電子管における電子銃の含浸形カ
ソード及び第1、第2グリッドの部分の構成を拡大して
示した断面構成図である。
【図3】本実施例の電子銃における含浸形カソードの電
子放出面上の電界強度分布、電子放出密度分布、正イオ
ン入射密度分布を示す特性図である。
【図4】インライン形に配置の3本の含浸形カソードに
設ける凹部の配置箇所を示す上面図である。
【図5】インライン形の電子銃におけるセンターガン及
び一端部に配置のサイドガンの主要部の構成を示す断面
構成図である。
【図6】インライン形の電子銃のサイドガンにおける電
子と正イオンの軌道を示す動作説明図である。
【図7】既知の電子銃の含浸形カソードと第1及び第2
グリッドの部分の構成の概要を示す断面構成図である。
【図8】既知の電子銃における含浸形カソードの電子放
出面上の電界強度分布、電子放出密度分布、正イオン入
射密度分布を示す特性図である。
【符号の説明】
1 パネル部 2 ファンネル部 3 ネック部 4 螢光面 5 シャドウマスク 6 磁気シールド 7 偏向ヨーク 8 ピュリテイ調整マグネット 9 センタービームスタティックコンバーゼンス調整用
マグネット 10 サイドビームスタティックコンバーゼンス調整用
マグネット 11 電子銃 12 電子ビーム 13 陰極ペレット 13G 緑色(G)用陰極ペレット 13B 青色(B)用陰極ペレット 14 カップ 14G 緑色(G)用カップ 14B 青色(B)用カップ 15 スリーブ 15G 緑色(G)用スリーブ 15B 青色(B)用スリーブ 16 ヒータ 16G 緑色(G)用ヒータ 16B 青色(B)用ヒータ 17 第1グリッド 17G 緑色(G)用第1グリッド 17B 青色(B)用第1グリッド 18 第2グリッド 18G 緑色(G)用第2グリッド 18B 青色(B)用第2グリッド 19 低い仕事関数を持った金属膜 19G 緑色(G)用金属膜 19B 青色(B)用金属膜 20 凹部 20R 赤色(R)用凹部 20G 緑色(G)用凹部 20B 青色(B)用凹部 21 第1グリッド17の電子ビーム通過孔 21G 緑色(G)用第1グリッド17Gの電子ビーム
通過孔 21B 青色(B)用第1グリッド17Bの電子ビーム
通過孔 22R 赤色(R)用含浸形カソード 22G 緑色(G)用含浸形カソード 22B 青色(B)用含浸形カソード 23 第3グリッド 24 第4グリッド 25 第5グリッド 26 電子の軌道 27 正イオンの軌道
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 29/48 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも含浸形カソードと複数のグリ
    ッドとを有する電子銃において、前記含浸形カソード
    は、電子放出面の第1グリッドの電子ビーム通過孔に対
    向した部分に凹部を設けたことを特徴とする含浸形カソ
    ードを備える電子銃。
  2. 【請求項2】 前記凹部は、前記電子放出面に垂直な軸
    に対して回転対称形になるように形成されていることを
    特徴とする請求項1に記載の含浸形カソードを備える電
    子銃。
  3. 【請求項3】 前記凹部は、前記電子放出面の形状が前
    記第1グリッドの電子ビーム通過孔の形状と相似形にな
    るように形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の含浸形カソードを有する電子銃。
  4. 【請求項4】 前記凹部は、その電子放出面上の前記第
    1グリッド側から見た外縁形状が非円形になるように形
    成されていることを特徴とする請求項1に記載の含浸形
    カソードを有する電子銃。
  5. 【請求項5】 前記含浸形カソードがインライン形に配
    置されている場合、中央に配置の含浸形カソードの凹部
    は電子放出面の略中央部分に設けられ、左右に配置の含
    浸形カソードの凹部はそれぞれ電子放出面の中央に配置
    の含浸形カソード側に偏った部分に設けられていること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸形
    カソードを有する電子銃。
  6. 【請求項6】 前記含浸形カソードは、前記電子放出面
    を含んだ多孔質基体部分が前記凹部とともに高融点金属
    からなる多孔質焼結体のプレスによって構成されること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の含浸形
    カソードを有する電子銃。
JP3724694A 1994-03-08 1994-03-08 含浸形カソードを備える電子銃 Pending JPH07249366A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000026878A (ko) * 1998-10-23 2000-05-15 김영남 칼라브라운관의 인라인형 전자총 캐소드 전극구조
US6917148B2 (en) * 2002-04-25 2005-07-12 Thomson Licensing S. A. Oxide cathode for an electron gun, having a denser and thinner emissive zone

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000026878A (ko) * 1998-10-23 2000-05-15 김영남 칼라브라운관의 인라인형 전자총 캐소드 전극구조
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