JPH07251202A - 純チタン熱間圧延板材の製造方法 - Google Patents

純チタン熱間圧延板材の製造方法

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JPH07251202A
JPH07251202A JP6800394A JP6800394A JPH07251202A JP H07251202 A JPH07251202 A JP H07251202A JP 6800394 A JP6800394 A JP 6800394A JP 6800394 A JP6800394 A JP 6800394A JP H07251202 A JPH07251202 A JP H07251202A
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Jun Shimotori
潤 霜鳥
Atsuhiko Kuroda
篤彦 黒田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インゴットの直接熱間圧延にて“表面疵”や
“シ−ム疵”の弊害を抑え、材料歩留り良く高品質チタ
ン板を低コストで製造できる手段を確立する。 【構成】 "幅/厚さ≧3.5 " の工業用純チタン矩形イ
ンゴットを900〜1000℃の温度に加熱し、鍛造あるい
は分塊圧延を施すことなく圧延開始時に表面温度880
℃以上で圧下率が10%以上40%未満の圧下を加えた
後、引き続いて表面温度880℃未満であって最終圧延
終了直後の表面温度が650℃を下回らない温度域にて
全圧下率が70%以上となる圧延を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鍛造及び分塊圧延を
施すことなく鋳塊をそのまま熱間圧延して品質の優れた
純チタン熱間圧延板材を高歩留りで製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来技術とその課題】現在、工業用純チタンの熱間圧
延板材(以降“熱延板”と呼ぶ)を製造する場合には、
消耗電極式真空ア−ク溶解によって製造した円柱状イン
ゴット(鋳塊)を鍛造,分塊圧延して矩形スラブとした
後、これを連続熱間圧延機によって圧延する方法が最も
一般的な手段として採用されている。そして、上記熱間
圧延においては、得られる熱延板の表面性状や機械的性
質等の健全性を確保する上で圧延前のスラブの加熱温度
を700〜950℃とし、仕上げ圧延終了時の熱延板の
温度(以降“仕上り温度”と呼ぶ)を650〜800℃
とするのが良いとされている。
【0003】これに対して、最近、チタンの矩形インゴ
ット(鋳塊)をそのまま直接的に熱間圧延することによ
って鍛造,分塊圧延工程を省略し、熱延板の製造工程を
簡略化して製造コストの低減を図る手法が検討されるよ
うになってきた(例えば特開昭61−143528号公
報や「鉄と鋼, vol.74 No.6」の第81〜87頁参照)。
【0004】しかし、鍛造,分塊工程を経る通常の熱間
圧延であれ、上記直接的熱間圧延であれ、チタンの熱間
圧延では得られる熱延板に疵が発生しやすいという問題
があり、製品品質の確保には圧延条件の厳しい管理が必
要であった。
【0005】もっとも、前記特開昭61−143528
号公報や「鉄と鋼, vol.74 No.6」に係る技術も矩形の
インゴットを用いることによって上記疵の発生を抑えよ
うとしたものであるが、これとは別に、前記直接的熱間
圧延でもってより安定に表面疵を防止しようとの観点か
ら、チタンインゴットを930〜1000℃に30分〜
2時間均熱した後、883℃以上の温度域で少なくとも
1パスの圧下率が10%以上の圧延を2パス以上施すと
共に全圧下率40%以上を確保し、更に883℃以下の
温度域にて圧下率20%以上で熱間圧延の仕上げをする
方法も提案されている(特開昭61−159562号公
報参照)。しかしながら、これらの方法は、熱延板に発
生する表面疵の抑制に効果が認められるものの、熱延板
のエッジ部に発生する“シ−ム疵”までも安定して防止
できるものではなく、やはり歩留り改善の観点からは十
分に満足できるものでなかった。
【0006】ここで、チタン熱延板に発生する疵につい
て説明する。チタン熱延板に発生する疵には、圧延板の
圧延面全域に発生する“表面疵”と圧延板のエッジ部に
発生する“シ−ム疵”がある。“表面疵”とは圧延面全
域に発生する疵のうちシ−ム疵を除く表面欠陥の総称で
あるが、“表面疵”の中でインゴット(鋳塊)の圧延の
場合に最も問題となるのは図1に示した“しわ疵”であ
る。
【0007】この“しわ疵”の発生メカニズムは次の通
りと考えられる。即ち、圧延素材がインゴット(鋳塊)
であるためその結晶粒は粗大となっているが、圧延前あ
るいは圧延中の温度が変態点以下のα相(六方晶)安定
温度域にあるとすると、α相はすべり系が少ないので圧
延中の変形は結晶粒単位でその方向が異なってしまい
(図2参照)、そのため圧延がなされると結晶粒が大き
いこともあってすべり方向の異なる結晶粒部が“しわ”
となって残ることになる(図3参照)。これが“しわ
疵”である。従って、“しわ疵”の対策としては、すべ
り系が多くて変形しやすいβ安定温度域で圧延すること
が有効である。
【0008】これに対して、“シ−ム疵”とは、図4で
示すようなエッジ部表面に発生する圧延方向に平行な連
続した疵のことを言い、その発生メカニズムは“しわ
疵”の場合と全く異なるものであると考えられ、未だ有
効な対策が見出されていなかった。
【0009】なお、熱延板に発生した“表面疵”は表面
を研削することによって除去され、また“シ−ム疵”は
シ−ム疵より外側のエッジ部を切断することにより除去
されて品質の保持が図られる。そのため、これらの疵の
発生が熱延板の材料歩留りに大きく影響することにな
る。特に、純チタンインゴット(鋳塊)を直接的に熱間
圧延すると“シ−ム疵”はエッジ部から内側へと大きく
入り込みやすく、熱延板の切断除去部が殊の外多くな
る。従って、このシ−ム疵部除去による歩留りの低下は
大きな問題であり、製造コストの上昇につながる“シ−
ム疵”の防止は極めて重要であると言わねばならなかっ
た。つまり、純チタンインゴットの直接的熱間圧延にお
いては、“表面疵”の発生を抑制できたとしてもエッジ
部から内側に入り込む“シ−ム疵”を防止する有効な手
立てはなく、“表面疵”のみを製品の品質評値として製
造条件を設定してきたこれまでのチタン熱延板の製造方
法では全体の材料歩留り、ひいては製造コストの面で十
分満足できない状況になりつつあった。
【0010】このようなことから、本発明が目的とした
のは、“表面疵”の抑制は勿論のこと、“シ−ム疵”が
殆ど見られないか、少なくともシ−ム疵発生部の切断代
が極めて少ない純チタン熱延板を安定して製造できる手
段を確立することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行った結果、「純チタンインゴ
ットを鍛造あるいは分塊圧延なしにそのまま直接熱間圧
延する場合、 矩形のインゴットを使用すると共に、 圧延
後の“幅拡がり”を抑制するためにその“幅/厚さ”の
比を 3.5以下に規制し、 圧延については特にβ安定温度
域での圧下量が少ないパススケジュ−ルを採用すると、
“表面疵”が少ない上に“シ−ム疵”の発生した部分の
切断代が非常に少ないチタン熱延板を製造できる」との
知見を得ることができた。
【0012】即ち、本発明者等はまずシ−ム疵発生のメ
カニズムについて詳細に検討したところ、チタンの矩形
インゴットに熱間圧延を施すと該圧延によってエッジ部
側面に“しわ”が発生し(図5参照)、続いてその“し
わ”が圧延の進行に従って表面に捲くれ込んで“シ−ム
疵”となる(図6参照)ことが確認された。この“し
わ”の発生と捲くれ込みは、圧延加工であるが故の「エ
ッジ部側面の変形が解放状態であること」によるもので
あり、このため“シ−ム疵”の発生を完全に防止するこ
とは実際上困難である。なお、前記被圧延材のエッジ部
側面における“しわ”の発生は圧延初期から起き、圧下
による被圧延材の“幅拡がり(圧延中に生じる圧延方向
と垂直な方向への材料幅の拡がり)”によってエッジ部
から内側へ入り込んだ位置に移動するため、これが残存
してできる“シ−ム疵”は被圧延材の“幅拡がり”が大
きいほどエッジ部からより内側へ入った位置に発生しや
すくなる。従って、“シ−ム疵”の対策としては、被圧
延材の“幅拡がり”を抑制することが重要となることも
確認された。
【0013】そこで、今度は被圧延材の“幅拡がり”の
メカニズムについて基礎的な検討を行い、次のことを確
認した。圧延加工における材料の変形はその殆どが圧延
方向の変形であるが、幾らかは圧延方向と垂直な方向に
も変形し板幅が拡がる。この“幅拡がり”は、チタンイ
ンゴットの“幅/厚さ”の比が小さい場合に大きくなり
(形状因子)、また圧延中の材料がβ相であるとすべり
系が多くて変形しやすいので“幅拡がり”は大きくなる
(温度因子)。
【0014】そのため、圧延に供するインゴットの形状
を“幅/厚さ”の比が大きい矩形とすることが“幅拡が
り”を抑制し、“シ−ム疵”の発生部分ができるだけエ
ッジ部から内側に入り込まないようにするためのポイン
トであって、これにより“シ−ム疵”の発生した部分の
切断代を小さくすることができる。しかし、チタンイン
ゴットの直接的熱間圧延では“表面疵”の防止のため圧
延の初期に高温(β相安定温度域)で圧下する必要があ
ることから、前記温度因子のためにどうしても“幅拡が
り”が大きくなる傾向があり、インゴットの形状を“幅
/厚さ”の比が大きい矩形のものとするだけでは十分な
シ−ム疵対策とはならない。しかるに、インゴット形状
の工夫と共に圧延初期の高温(β相安定温度域)での圧
下量を特定値以下に抑えてやると、材料の“幅拡がり”
が目立って小さくなり、“シ−ム疵”の発生部分がエッ
ジ部から内側へ極力入り込まないようになって切断代は
極めて少なくなる。
【0015】本発明は、上記知見事項等に基づいてなさ
れたものであり、「 "幅/厚さ≧3.5 " の工業用純チタ
ン矩形インゴットを900〜1000℃の温度に加熱し、 鍛
造あるいは分塊圧延を施すことなく圧延開始時に表面温
度880℃以上で圧下率が10%以上40%未満の圧下
を加えた後、 引き続いて表面温度880℃未満であって
最終圧延終了直後の表面温度が650℃を下回らない温
度域にて全圧下率が70%以上となる圧延を行うことに
より、 “表面疵”や“シ−ム疵発生部の切断代”が極め
て少ない純チタン熱延板を安定して製造できるようにし
た点」に大きな特徴を有している。
【0016】このように、本発明は、熱間圧延に供する
チタンインゴットを“幅/厚さ”の比が大きい矩形イン
ゴットとすると共に、β相安定温度域における圧下量を
規制することによって“シ−ム疵”に起因した熱延板の
切断代をも小さくし、材料歩留りを高めてチタン熱延板
の製造コストを一段と有利化したものである。因に、前
述した特開昭61−159562号公報所載の技術で、
“表面疵”の抑制が叶ったにしても“シ−ム疵”が板の
内側に発生することによる切断代が大きくなって歩留り
が低下する理由は、熱間圧延の初期において高温で高圧
下率の圧延を要求しているので温度因子による“幅拡が
り”が大きくなるためであると考えられる。
【0017】続いて、本発明において純チタン熱延板の
製造条件を前記の如くに特定した理由を、その作用と共
により具体的に説明する。
【作用】
A) インゴットに関する条件 本発明では熱間圧延に供する素材として工業用純チタン
の矩形インゴットを用いるが、この矩形インゴットの製
造方法としては「矩形モ−ルドを用いた消耗電極式真空
ア−ク溶解法」や「電子ビ−ム,プラズマア−ク,プラ
ズマビ−ム等を熱源としたコ−ルドハ−ス溶解法」等の
何れを採用しても良い。但し、矩形インゴットを最も容
易に製造でき、インゴット内部の介在物を少なくするこ
とができるという意味において電子ビ−ム溶解法が推奨
される。
【0018】さて、使用する矩形インゴットに関し、特
に「幅/厚さ≧3.5 」なる制限を設けたのは、その寸法
が「幅/厚さ<3.5 」であると、“幅拡がり”が大きく
なって“シ−ム疵”の発生位置が熱延板のエッジ部から
内側へ大きく入り込むために材料歩留りの低下が著しく
なるからである。なお、鍛造,分塊圧延によって組織を
微細にした場合は最初からα相安定温度域で圧延でき、
“幅/厚さ”の比が小さくても温度因子によって“幅拡
がり”の抑制が可能であるので“幅拡がり”を抑制する
この条件は必要ない。つまり、上記「幅/厚さ≧3.5 」
なる規制は、“表面疵”の発生を抑制しなければならな
いためにβ相安定温度域で幾らかの圧下を加えなければ
ならないインゴットの直接的圧延であるという前提の下
で必要な条件である。ところで、本発明法では楕円柱イ
ンゴットの使用も可能であるが、その場合は「長軸/短
軸≧3.5 」の条件を満たすものとする。
【0019】上述のように、本発明では上記矩形インゴ
ットは鍛造及び分塊圧延なしに熱間圧延に供される。な
ぜなら、鍛造及び分塊圧延が熱間圧延機を通すための成
形という意味で実施されるのであるならば、矩形インゴ
ットは既に熱間圧延機を通すことができる形状を有して
おり、これらの工程は必ずしも必要ないからである。ま
た、鍛造,分塊圧延が鋳造組織の破壊という意味で実施
されるのであっても、本発明はこれらの工程を省略する
ことによってコスト低減を図った上で高品質の熱延板を
得ようとするものであるから、やはりこれらの工程を必
要としない。
【0020】B) 加熱条件 熱間圧延に際しての加熱温度であるが、“表面疵”を低
減するために圧延の初期においてインゴット表層部を再
結晶微細組織としたいのでなるべく高い温度に加熱する
のが良い。この場合、加熱温度が900℃未満であると
圧延時の再結晶微細化が不十分となって“表面疵”の数
や深さが極端に増加するため、これにより“シ−ム疵”
がエッジ部を離れた板の内部側で発生するのを抑制して
歩留りを向上させるという本発明の効果が相殺されてし
まう。一方、加熱温度が1000℃を超えた場合には酸
化が進行し、酸化スケ−ルの巻き込みによる“表面疵”
が発生する。このため、熱間圧延に際しての加熱温度は
900〜1000℃と限定した。なお、熱間圧延に際し
ての加熱は、ガス炉,重油炉,電気炉の何れを用いて行
っても良く、また加熱雰囲気は大気中,不活性ガス中の
何れであっても良い。但し、連続圧延機を用いた圧延に
適用できる技術ということで加熱回数は1回としたい。
【0021】C) 圧延条件 〔一次圧延(圧延開始時における圧下)の条件〕チタン
熱延板に“表面疵”が発生するのを抑制するためには高
温でかつ十分な圧下率の圧延をするのが良い。しかし、
被圧延材の“幅拡がり”を回避して“シ−ム疵”をエッ
ジ部を離れた板の内部側に発生させないようにしなけれ
ばならない。そして、これらの狙いを満たすためには、
圧延開始時に表面温度880℃以上で10%以上40%
未満の圧下を加える必要がある。即ち、この圧延開始時
の圧下(一次圧延)が表面温度880℃未満で実施され
たり、あるいは圧下率が10%未満であったりすると、
インゴット表層部の再結晶微細化が不十分となり“表面
疵”の数や深さが増加する。一方、この時に圧下率40
%以上の圧下を加えると、圧延T方向(圧延方向と直角
の方向)への“幅拡がり”が大きくなり、熱延板のエッ
ジ部から内部側へ入り込んだ位置に“シ−ム疵”が発生
して材料歩留りの著しい低下を招くようになる。
【0022】〔二次圧延の条件〕繰り返し述べたことで
あるが、“シ−ム疵”の発生位置を熱延板のエッジ部外
側に抑えるためには“幅拡がり”を抑制する必要があ
る。そのためには、β相安定温度域での圧下を最小に止
め、所望特性確保のための必要圧下量はα相安定温度域
にて確保するように努めてできるだけ変形を抑えた圧延
を行わなければならない。従って、圧延開始時に表面温
度880℃以上で10%以上40%未満の圧下を加えた
後は、表面温度が880℃未満の温度域で全圧下率70
%以上を確保するための圧延(二次圧延)を施すことが
必要となる。即ち、この二次圧延の圧下が表面温度で8
80℃以上の温度域において行われると、該温度域では
材料がβ相となっているので変形しやすく、“幅広が
り”が大きくなって所期の目的を達成することができな
い。また、表面温度880℃未満の温度域で圧下した後
の全圧下率が70%を下回っていると、鋳造組織が残存
して製品の機械的性質,冷間圧延性が悪化する。
【0023】なお、上記二次圧延は、最終圧延を終了し
た直後の表面温度が650℃を下回らないような温度域
で実施しなければならない。なぜなら、最終圧延を終了
した直後の材料表面温度が650℃を下回るよな温度域
であると、熱間圧延の最終圧延において変形能の不足が
起こり“表面疵”が多発するためである。ここで、矩形
インゴットを直接的に圧延素材とする上記熱間圧延は、
“一方向圧延”であっても“双方向圧延”であっても差
支えないことは勿論である。
【0024】次いで、本発明の効果を実施例によって更
に具体的に説明する。
【実施例】スポンジチタンを主原料とし、電子ビ−ム溶
解によって120mm×1150mm×4250mmの純チタ
ン矩形インゴット(JIS2種相当材)を製造した。な
お、その主成分の分析結果は次の通りであった。 Fe:0.07wt%, O:0.13wt%, C:0.01wt%,
H:0.0009wt%,N:0.002 wt%, Ti及び不純物:残
部。
【0025】次に、上記インゴットから各種サイズの圧
延用試験片を切り出し、大気雰囲気の電気炉を用いて所
定の温度に加熱し2時間保持した後に熱間圧延(ロ−ル
径:480mmφ,ロ−ル速度:17.5rpm ,圧延方式:一
方向圧延,一部を除く1パス当りの圧下率:12.5〜17.5
%)を施して板材を得た。この時の圧延条件を表1に示
す。なお、ここでは「表面温度880℃以上での圧下に
相当する圧延」を「1次圧延」、それ以降に行う表面温
度880℃未満での圧下に相当する圧延」を「2次圧
延」と称する。また、測温及び温度管理は放射温度計で
行った。
【0026】
【表1】
【0027】そして、このようにして得られたチタン熱
延板につき板幅を測定すると共に、その“表面疵”及び
“シ−ム疵”の調査を行い、更に引張試験によって機械
的性質の測定も実施した。ここで、“表面疵”及び“シ
−ム疵”の深さは、目視により最も深いと思われる部分
を切り出し、断面を光学顕微鏡にて観察することによっ
て測定した。これらの調査結果を表2に示す。なお、表
2で言う「幅拡がり率」とは「“圧延前の試験片の幅”
に対する“圧延後の試験片の幅”の割合」のことであ
る。
【0028】
【表2】
【0029】前記表1及び表2において、試験番号1〜
4は本発明の実施例(本発明例)であり、本発明が規定
する範囲内で“幅/厚さ”の比を変えた例である。試験
番号5〜8は加熱温度を変えた例であり、1次圧延の開
始前温度もこれに伴って変化している。この中で、試験
番号6及び7は本発明例であり、試験番号5は加熱温度
が下方に外れている例、試験番号8は加熱温度が上方に
外れている例である。試験番号9〜12は1次圧延の圧下
率を変えた例であるが、この中で試験番号10及び11は本
発明例であって、試験番号9は1次圧延の圧下率が下方
に外れている例、試験番号12は1次圧延の圧下率が上方
に外れている例である。試験番号13は、2次圧延の前に
再加熱を行い、2次圧延の開始前温度が本発明で規定す
る範囲の上方に外れている例であり、また試験番号14は
2次圧延の終了直後温度が本発明で規定する範囲の下方
に外れている例である。試験番号15〜17は全圧下率を変
えた例であるが、この中で試験番号16及び17は本発明例
であり、試験番号15は全圧下率が下方に外れている例で
ある。そして、試験番号18〜21は従来の鍛造及び分塊圧
延後のスラブに対して採用されている条件範囲内で圧延
した例(従来例)であり、試験番号22〜25は前記特開昭
61−159562号公報所載の発明における条件範囲
内で圧延した例(従来例)である。
【0030】さて、前記表2に示される結果からも明ら
かなように、試験番号1〜4,6,7,10〜11及び16〜
17に係る本発明例では、その全てにおいて幅拡がり率が
1.19以下となっていて“幅拡がり”が小さい。このため
“シ−ム疵”もエッジ部に限られており、切断代が少な
くて済むので歩留りが向上する。また、“表面疵”も浅
くなっており、好ましい熱延板を得られることが分か
る。
【0031】これに対して、試験番号5,8〜9,14及
び18〜21に係る比較例では、得られた熱延板の全てにお
いて“表面疵”が多発しており、鋳造組織を有するイン
ゴットの直接的圧延にとって不利な条件であることが分
かる。また、試験番号12〜13及び22〜25の比較例ではそ
の全てにおいて“幅拡がり”が大きく(幅拡がり率:1.
38〜1.59)、“シ−ム疵”の発生が板の内部側によって
いるため、これらを除去するためには多くの切断代を必
要とした。
【0032】更に、熱延板の一部から圧延直角方向に沿
って幅6mm,厚さ2mm,標点間距離25mmの平行部を有
する板状引張試験片を切出し、725℃,1時間の真空
焼鈍の後に実施した常温引張試験では、試験番号15の比
較例に係るものは本発明例のものに比べて伸びの低下が
大きいことを確認した。従って、試験番号15で得られた
熱延板は熱延板としての性能に劣っていると共に、冷間
圧延が困難であることも分かった。
【0033】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、純チタンインゴットを素材とし鍛造や分塊圧延を行
うことなく直接的に熱間圧延する場合に問題となる“表
面疵”や“シ−ム疵”を抑制し、設備コストや作業工程
数の大幅な削減に加えて表面研削量やエッジ部の切断代
の低減をも可能として材料歩留り良く高品質の純チタン
熱延板を安定製造できるようになるなど、産業上有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】純チタン熱延板に発生する“しわ疵(表面
疵)”の説明図である。
【図2】“しわ疵”の発生メカニズムについての説明図
である。
【図3】“しわ疵”の発生メカニズムについての説明図
である。
【図4】純チタン熱延板に発生する“シ−ム疵”の説明
図である。
【図5】“シ−ム疵”の発生メカニズムについての説明
図である。
【図6】“シ−ム疵”の発生メカニズムについての説明
図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 "幅/厚さ≧3.5 " の工業用純チタン矩形
    インゴットを900〜1000℃の温度に加熱し、鍛造
    あるいは分塊圧延を施すことなく圧延開始時に表面温度
    880℃以上で圧下率が10%以上40%未満の圧下を
    加えた後、引き続いて表面温度880℃未満であって最
    終圧延終了直後の表面温度が650℃を下回らない温度
    域にて全圧下率が70%以上となる圧延を行うことを特
    徴とする、純チタン熱間圧延板材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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