JPH0725700A - 超伝導体および薄膜超伝導体の製造方法 - Google Patents
超伝導体および薄膜超伝導体の製造方法Info
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- JPH0725700A JPH0725700A JP5258163A JP25816393A JPH0725700A JP H0725700 A JPH0725700 A JP H0725700A JP 5258163 A JP5258163 A JP 5258163A JP 25816393 A JP25816393 A JP 25816393A JP H0725700 A JPH0725700 A JP H0725700A
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- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 臨界温度が100Kを越える新規の水銀系酸
化物超伝導体と薄膜作製方法の提供。 【構成】 基体上に水銀、アルカリ土類元素(Ba,Ca)、
銅を主成分とする被膜を設けた後、基体及び薄膜を熱処
理して、アルカリ土類元素のCa元素1原子層11を介して
向かい合った2つのCuO5ピラミッド12を含む酸素欠損ペ
ロブスカイト層14が、水銀を主成分とする1原子層15で
挟まれた結晶構造を持つ、化学式HgBa2CaCu2O6+x(-1<x<
1)の物質を得た。また、水銀系薄膜超伝導体は、基体上
に水銀、アルカリ土類元素、銅を主体成分とする被膜を
設け、基体および被膜を低温かつ低酸化雰囲気で熱処理
することによって、低蒸気圧を有するHg系でも製造で
きる。
化物超伝導体と薄膜作製方法の提供。 【構成】 基体上に水銀、アルカリ土類元素(Ba,Ca)、
銅を主成分とする被膜を設けた後、基体及び薄膜を熱処
理して、アルカリ土類元素のCa元素1原子層11を介して
向かい合った2つのCuO5ピラミッド12を含む酸素欠損ペ
ロブスカイト層14が、水銀を主成分とする1原子層15で
挟まれた結晶構造を持つ、化学式HgBa2CaCu2O6+x(-1<x<
1)の物質を得た。また、水銀系薄膜超伝導体は、基体上
に水銀、アルカリ土類元素、銅を主体成分とする被膜を
設け、基体および被膜を低温かつ低酸化雰囲気で熱処理
することによって、低蒸気圧を有するHg系でも製造で
きる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、100K以上の臨界温
度を持つ新規の銅酸化物超電導体、および薄膜製造方法
に関するものである。
度を持つ新規の銅酸化物超電導体、および薄膜製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高温超伝導体として、ミュラー等により
ペロブスカイト類型構造の酸化物超伝導体が発見された
後、種々の化学組成を持つペロブスカイト類型構造の酸
化物系で超伝導性の確認が為された。
ペロブスカイト類型構造の酸化物超伝導体が発見された
後、種々の化学組成を持つペロブスカイト類型構造の酸
化物系で超伝導性の確認が為された。
【0003】その後、主体成分に水銀を含むペロブスカ
イト類型構造のHgBa2CuO4+x化合物が、臨界温度
94Kの超伝導性を示すことが発見された(ネイチャー
第362巻第226頁(S. N. Putilin他, Nature, Vol.
362, p.226 (1993))。この物質は、CuO6八面体を含
むペロブスカイト層Ba2CuO4が、水銀元素を主成分
とする1原子層で挟まれた結晶構造を持つ考えられてい
る。
イト類型構造のHgBa2CuO4+x化合物が、臨界温度
94Kの超伝導性を示すことが発見された(ネイチャー
第362巻第226頁(S. N. Putilin他, Nature, Vol.
362, p.226 (1993))。この物質は、CuO6八面体を含
むペロブスカイト層Ba2CuO4が、水銀元素を主成分
とする1原子層で挟まれた結晶構造を持つ考えられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この水銀を含む超伝導
体を、液体窒素温度(77K)で使おうとした場合、温
度マージンを見込むと、ちょうど限界の臨界温度であ
り、液体窒素温度で安定に使用するにはさらに臨界温度
の向上が必要とされる。
体を、液体窒素温度(77K)で使おうとした場合、温
度マージンを見込むと、ちょうど限界の臨界温度であ
り、液体窒素温度で安定に使用するにはさらに臨界温度
の向上が必要とされる。
【0005】また、従来この系の物質は、セラミックス
の形態でしか得られておらず、電子デバイス等に工業的
応用を行なうには、薄膜の形態に加工することが必須で
あるが、この水銀系超伝導体は、水銀元素の蒸気圧が高
いこともあって未だ薄膜が得られていない。
の形態でしか得られておらず、電子デバイス等に工業的
応用を行なうには、薄膜の形態に加工することが必須で
あるが、この水銀系超伝導体は、水銀元素の蒸気圧が高
いこともあって未だ薄膜が得られていない。
【0006】本発明は、臨界温度が液体窒素を充分に越
える超伝導体の提供と、薄膜化が可能な製造方法とを提
供することを目的とする。
える超伝導体の提供と、薄膜化が可能な製造方法とを提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題点を克服する本
発明の超伝導体は、水銀、アルカリ土類元素、銅の酸素
物からなり、アルカリ土類元素の1原子層を介して向か
い合った2つのCuO 5ピラミッドを含む酸素欠損ペロ
ブスカイト層が、水銀を主成分とする1原子層で挟まれ
た結晶構造の、化学式HgA3Cu2O6+x(-1<x<1)で表
される物質で構成するというものである。
発明の超伝導体は、水銀、アルカリ土類元素、銅の酸素
物からなり、アルカリ土類元素の1原子層を介して向か
い合った2つのCuO 5ピラミッドを含む酸素欠損ペロ
ブスカイト層が、水銀を主成分とする1原子層で挟まれ
た結晶構造の、化学式HgA3Cu2O6+x(-1<x<1)で表
される物質で構成するというものである。
【0008】また、本発明の他の超伝導体は、水銀、ア
ルカリ土類元素、銅の酸素物からなり、1枚のCuO2
面および両側の1原子層のアルカリ土類元素を介して向
かい合った2つのCuO5ピラミッドを含む酸素欠損ペ
ロブスカイトト層が、水銀を主成分とする1原子層で挟
まれた結晶構造の、化学式HgA4Cu3O8+x(-1<x<1)
で表される物質で構成するというものである。
ルカリ土類元素、銅の酸素物からなり、1枚のCuO2
面および両側の1原子層のアルカリ土類元素を介して向
かい合った2つのCuO5ピラミッドを含む酸素欠損ペ
ロブスカイトト層が、水銀を主成分とする1原子層で挟
まれた結晶構造の、化学式HgA4Cu3O8+x(-1<x<1)
で表される物質で構成するというものである。
【0009】また、本発明における超伝導体の薄膜製造
方法としては、基体上に水銀、アルカリ土類元素、銅を
主体成分とする被膜を設け、前記基体および被膜を熱処
理をして作製するというものである。特に従来の酸化物
超伝導体に比べて比較的低温かつ低酸化雰囲気で熱処理
を行うものである。
方法としては、基体上に水銀、アルカリ土類元素、銅を
主体成分とする被膜を設け、前記基体および被膜を熱処
理をして作製するというものである。特に従来の酸化物
超伝導体に比べて比較的低温かつ低酸化雰囲気で熱処理
を行うものである。
【0010】
【作用】本発明の超伝導体の臨界温度が高くなった理由
は、超伝導理論が未だ確立していないため定かではない
が、従来の水銀を含む超伝導体が、単位格子当り1枚の
CuO2面を有するのに対し、本発明の超伝導体は、2
枚あるいは3枚を持つことが関係していると推定され
る。
は、超伝導理論が未だ確立していないため定かではない
が、従来の水銀を含む超伝導体が、単位格子当り1枚の
CuO2面を有するのに対し、本発明の超伝導体は、2
枚あるいは3枚を持つことが関係していると推定され
る。
【0011】この場合、一般にCuO2面数が増えれば
臨界温度が必ず増すというものではなく、実際に物質の
合成を行うことにより初めて判断されるものである。
臨界温度が必ず増すというものではなく、実際に物質の
合成を行うことにより初めて判断されるものである。
【0012】しかし、これまで水銀、アルカリ土類元
素、銅からなる酸化物において、CuO2面が2枚以上
持つ物質は合成されていなかった。そこで本発明者ら
は、この合成方法を発見することにより、本発明の超伝
導体を見い出すことが出来た。
素、銅からなる酸化物において、CuO2面が2枚以上
持つ物質は合成されていなかった。そこで本発明者ら
は、この合成方法を発見することにより、本発明の超伝
導体を見い出すことが出来た。
【0013】また、本発明の製造方法によりCuO2面
を2枚以上有する物質が合成できたのは、薄膜製造プロ
セスを応用したことにより、従来得られなかった非熱平
衡相の出現が可能になったためと考えられる。
を2枚以上有する物質が合成できたのは、薄膜製造プロ
セスを応用したことにより、従来得られなかった非熱平
衡相の出現が可能になったためと考えられる。
【0014】同時に本製造方法は、蒸気圧の高い水銀元
素を含むため、従来得られていなかったこの系の薄膜
を、実現可能なものにした。
素を含むため、従来得られていなかったこの系の薄膜
を、実現可能なものにした。
【0015】薄膜製造プロセスは数多くあり、通常は成
膜時に基体を加熱して、結晶化した薄膜を形成するが、
水銀を含む系の物質では、基体に被膜を堆積した後、熱
処理時に結晶化させる方法をとることで、安定に薄膜合
成が出来ることを本発明者らは見い出した。
膜時に基体を加熱して、結晶化した薄膜を形成するが、
水銀を含む系の物質では、基体に被膜を堆積した後、熱
処理時に結晶化させる方法をとることで、安定に薄膜合
成が出来ることを本発明者らは見い出した。
【0016】従来の酸化物超伝導薄膜を熱処理して得る
方法から類推すると、水銀系超伝導薄膜の場合にも、被
膜をセラミックスの焼成温度と同じ800℃程度で熱処
理すれば得られると考えられるが、本薄膜の場合には意
外にも従来では考えられない低い温度の650以上70
0℃以下の熱処理が適していることを見いだした。
方法から類推すると、水銀系超伝導薄膜の場合にも、被
膜をセラミックスの焼成温度と同じ800℃程度で熱処
理すれば得られると考えられるが、本薄膜の場合には意
外にも従来では考えられない低い温度の650以上70
0℃以下の熱処理が適していることを見いだした。
【0017】また、水銀系セラミックスの焼成時の様
に、例えばカプセルに封入して水銀蒸気を供給する必要
もなく、酸素を1/500から1/10気圧含む雰囲気
中で熱処理するだけで簡単に超伝導薄膜が得られること
も併せて確認した。
に、例えばカプセルに封入して水銀蒸気を供給する必要
もなく、酸素を1/500から1/10気圧含む雰囲気
中で熱処理するだけで簡単に超伝導薄膜が得られること
も併せて確認した。
【0018】さらに、従来の酸化物超伝導薄膜を熱処理
で作製する場合、酸化を促進させるのがよいとされてき
たが、本発明の水銀系超伝導薄膜では酸素分圧の低いと
きのみ作製が可能であることも見いだした。
で作製する場合、酸化を促進させるのがよいとされてき
たが、本発明の水銀系超伝導薄膜では酸素分圧の低いと
きのみ作製が可能であることも見いだした。
【0019】
【実施例】以下具体的実施例を挙げ、本発明をより詳細
に説明する。
に説明する。
【0020】(実施例1)酸化マグネシウムMgO単結
晶(100)面基体上に、スパッタリング法を用いてH
g-Ba-Ca-Cu-O薄膜を1μm形成した。スパッタ
ターゲットは、Ba2CuO3、Ca2CuO3、CuOお
よびHgOの各粉末を、金属組成Hg:Ba:Ca:Cu
=2:2:1:2となるように混合し、円盤状に成形した
ものを用い、アルゴン雰囲気3Paのガス圧で50Wの
スパッタリングを行い成膜した。
晶(100)面基体上に、スパッタリング法を用いてH
g-Ba-Ca-Cu-O薄膜を1μm形成した。スパッタ
ターゲットは、Ba2CuO3、Ca2CuO3、CuOお
よびHgOの各粉末を、金属組成Hg:Ba:Ca:Cu
=2:2:1:2となるように混合し、円盤状に成形した
ものを用い、アルゴン雰囲気3Paのガス圧で50Wの
スパッタリングを行い成膜した。
【0021】形成温度を室温とした場合、薄膜は非晶質
状態であり、膜組成はHg:Ba:Ca:Cu=2.5:2:
0.7:1.7であった。
状態であり、膜組成はHg:Ba:Ca:Cu=2.5:2:
0.7:1.7であった。
【0022】このようにして形成した被膜の熱処理を行
い、薄膜の特性を評価した。但し、熱処理は、ガラス製
のカプセルに被膜の付いた基体を入れ蓋をして、10%
酸素を含む窒素流中で赤外線ランプにより加熱して行っ
た。
い、薄膜の特性を評価した。但し、熱処理は、ガラス製
のカプセルに被膜の付いた基体を入れ蓋をして、10%
酸素を含む窒素流中で赤外線ランプにより加熱して行っ
た。
【0023】650℃で20分間熱処理を行った場合、
膜組成はHg:Ba:Ca:Cu=0.8:2:0.4:1.5
となり、軸長9.5Åの配向した薄膜が得られた。
膜組成はHg:Ba:Ca:Cu=0.8:2:0.4:1.5
となり、軸長9.5Åの配向した薄膜が得られた。
【0024】詳細な分析の結果、この薄膜は、これまで
知られている水銀を含む超伝導体、すなわち、CuO6
八面体を含むペロブスカイト層が、水銀元素を主成分と
する1原子層で挟まれた結晶構造を持つHgBa2Cu
O4+x(但し、-1<x<1)化合物のc軸配向膜であった。こ
の種の水銀を含む化合物の薄膜が、この方法で作製可能
であることが判った。
知られている水銀を含む超伝導体、すなわち、CuO6
八面体を含むペロブスカイト層が、水銀元素を主成分と
する1原子層で挟まれた結晶構造を持つHgBa2Cu
O4+x(但し、-1<x<1)化合物のc軸配向膜であった。こ
の種の水銀を含む化合物の薄膜が、この方法で作製可能
であることが判った。
【0025】この薄膜の電気抵抗率は、室温で1mΩcm
と低く、低温の90Kで超伝導転移による抵抗ドロップ
をみせた。
と低く、低温の90Kで超伝導転移による抵抗ドロップ
をみせた。
【0026】熱処理をやや低い温度、すなわち620℃
で20分間行った際には、膜組成Hg:Ba:Ca:Cu
=1:2:0.8:1.7で、軸長12.7Åの配向した薄膜
が得られた。
で20分間行った際には、膜組成Hg:Ba:Ca:Cu
=1:2:0.8:1.7で、軸長12.7Åの配向した薄膜
が得られた。
【0027】得られた物質は、分析の結果図1に示す結
晶構造すなわち、Ca元素の1原子層11を介して向か
い合った2つのCuO5ピラミッド12、およびBa元
素13からなる酸素欠損ペロブスカイト層14が、水銀
を主成分とする1原子層15で挟まれた構造を持つ、H
gBa2CaCu2O6+x(但し、-1<x<1)化合物のc軸配
向膜であった。
晶構造すなわち、Ca元素の1原子層11を介して向か
い合った2つのCuO5ピラミッド12、およびBa元
素13からなる酸素欠損ペロブスカイト層14が、水銀
を主成分とする1原子層15で挟まれた構造を持つ、H
gBa2CaCu2O6+x(但し、-1<x<1)化合物のc軸配
向膜であった。
【0028】この薄膜は、従来の水銀を含む超伝導体の
臨界温度よりも高い102Kで、超伝導転移による抵抗
ドロップをみせた。すなわち、HgBa2CaCu2O
6+xは新しい超伝導体であることが確認された。
臨界温度よりも高い102Kで、超伝導転移による抵抗
ドロップをみせた。すなわち、HgBa2CaCu2O
6+xは新しい超伝導体であることが確認された。
【0029】なお、本実施例ではアルカリ土類元素の組
合せとしてBaとCaを用いたが、これ以外のアルカリ
土類元素の組合せでも、超伝導体が作製できること勿論
である。
合せとしてBaとCaを用いたが、これ以外のアルカリ
土類元素の組合せでも、超伝導体が作製できること勿論
である。
【0030】また、熱処理時に、被膜の付いた基体と一
緒に、水銀を含む化合物の粉体あるいはセラミックペレ
ットを入れておくと、被膜からの水銀元素の蒸発が抑え
られて超伝導体作製の再現性向上に有効であることも確
認した。
緒に、水銀を含む化合物の粉体あるいはセラミックペレ
ットを入れておくと、被膜からの水銀元素の蒸発が抑え
られて超伝導体作製の再現性向上に有効であることも確
認した。
【0031】さらに、熱処理後の冷却は、毎時500℃
以上の急冷にした方が超伝導特性がよいことも併せて確
認した。
以上の急冷にした方が超伝導特性がよいことも併せて確
認した。
【0032】(実施例2)酸化マグネシウムMgO単結
晶(100)面基体上に、金属組成Hg:Ba:Ca:C
u=2:2:2.2:3.2のターゲットを用いて、スパッ
タリング成膜を行った。膜組成は、Hg:Ba:Ca:C
u=2.5:2:1.8:3.2であった。
晶(100)面基体上に、金属組成Hg:Ba:Ca:C
u=2:2:2.2:3.2のターゲットを用いて、スパッ
タリング成膜を行った。膜組成は、Hg:Ba:Ca:C
u=2.5:2:1.8:3.2であった。
【0033】この被膜をガラス製のカプセルに入れ蓋を
して、620℃で20分間熱処理を行った。その結果、
膜組成Hg:Ba:Ca:Cu=1:2:2:3で、軸長1
5.9Åの配向した薄膜が得られた。
して、620℃で20分間熱処理を行った。その結果、
膜組成Hg:Ba:Ca:Cu=1:2:2:3で、軸長1
5.9Åの配向した薄膜が得られた。
【0034】得られた物質は、分析の結果図2に示す結
晶構造すなわち、1枚のCuO2面21および両側の1
原子層のCa元素22を介して向かい合った2つのCu
O5ピラミッド23、およびBa元素24からなる酸素
欠損ペロブスカイトト層25が、水銀を主成分とする1
原子層26で挟まれた構造を持つ、HgBa2Ca2Cu
3O8+x(但し、-1<x<1)化合物のc軸配向膜であった。
晶構造すなわち、1枚のCuO2面21および両側の1
原子層のCa元素22を介して向かい合った2つのCu
O5ピラミッド23、およびBa元素24からなる酸素
欠損ペロブスカイトト層25が、水銀を主成分とする1
原子層26で挟まれた構造を持つ、HgBa2Ca2Cu
3O8+x(但し、-1<x<1)化合物のc軸配向膜であった。
【0035】この薄膜は、従来の水銀を含む超伝導体の
臨界温度よりも高い105Kで、超伝導転移による抵抗
ドロップをみせた。すなわち、HgBa2Ca2Cu3O
8+xは新しい超伝導体であることが確認された。
臨界温度よりも高い105Kで、超伝導転移による抵抗
ドロップをみせた。すなわち、HgBa2Ca2Cu3O
8+xは新しい超伝導体であることが確認された。
【0036】なお、薄膜の組成として、主体成分の水
銀、アルカリ土類元素、銅以外に微量成分として、例え
ば鉛などの他の成分が入った場合にも、本発明の薄膜製
造方法により超伝導薄膜が作製できること勿論である。
銀、アルカリ土類元素、銅以外に微量成分として、例え
ば鉛などの他の成分が入った場合にも、本発明の薄膜製
造方法により超伝導薄膜が作製できること勿論である。
【0037】(実施例3)チタン酸ストロンチウムSr
TiO3単結晶(100)面基体上に、スパッタリング
法を用いてHg-Ba-Cu-O薄膜を5000Å形成し
た。スパッタターゲットの金属組成はHg:Ba:Cu=
2.5:2:1とし、アルゴン雰囲気0.5Paのガス圧で
スパッタリングを行った。基板加熱を行わずに室温で形
成した被膜の組成は条件により多少変動したが、およそ
Hg:Ba:Cu=(1−y):2:(1+y)(但し、
0≦y≦0.7)程度の非晶質膜であった。
TiO3単結晶(100)面基体上に、スパッタリング
法を用いてHg-Ba-Cu-O薄膜を5000Å形成し
た。スパッタターゲットの金属組成はHg:Ba:Cu=
2.5:2:1とし、アルゴン雰囲気0.5Paのガス圧で
スパッタリングを行った。基板加熱を行わずに室温で形
成した被膜の組成は条件により多少変動したが、およそ
Hg:Ba:Cu=(1−y):2:(1+y)(但し、
0≦y≦0.7)程度の非晶質膜であった。
【0038】被膜の熱処理条件を変えた場合の薄膜超伝
導体の特性について検討した。まず、1%酸素を含む窒
素雰囲気中で加熱した。加熱温度が600℃以上の際に
水銀系超伝導体HgBa2CuO4+xの構造が結晶化する
ことを確認した。しかし750℃以上では水銀元素が膜
中から離脱して、もはや構造を作ることが出来なかっ
た。この結果、薄膜において良質のHgBa2CuO4+x
構造を作るには、従来の酸化物超伝導体の熱処理法に比
べて低温の650℃から700℃の間が適していること
を見いだした。
導体の特性について検討した。まず、1%酸素を含む窒
素雰囲気中で加熱した。加熱温度が600℃以上の際に
水銀系超伝導体HgBa2CuO4+xの構造が結晶化する
ことを確認した。しかし750℃以上では水銀元素が膜
中から離脱して、もはや構造を作ることが出来なかっ
た。この結果、薄膜において良質のHgBa2CuO4+x
構造を作るには、従来の酸化物超伝導体の熱処理法に比
べて低温の650℃から700℃の間が適していること
を見いだした。
【0039】次に、熱処理の昇温速度について検討し
た。従来の酸化物超伝導薄膜の熱処理では毎時100℃
以下の遅い昇降速度がよいとされていたが、水銀系超伝
導薄膜の場合、毎時500℃以上の急速な昇降が結晶構
造形成に良いことも併せて見いだした。図3は、熱処理
温度670℃で45分間加熱して作製した膜のX線回折
パターンを示す。軸長9.5Åのc軸配向した良質な薄
膜が得られていることが判る。
た。従来の酸化物超伝導薄膜の熱処理では毎時100℃
以下の遅い昇降速度がよいとされていたが、水銀系超伝
導薄膜の場合、毎時500℃以上の急速な昇降が結晶構
造形成に良いことも併せて見いだした。図3は、熱処理
温度670℃で45分間加熱して作製した膜のX線回折
パターンを示す。軸長9.5Åのc軸配向した良質な薄
膜が得られていることが判る。
【0040】次に熱処理雰囲気中の酸素の含有量を変え
てその影響を調べた。熱処理条件を670℃45分と
し、窒素中の酸素量を0%〜50%まで変化させてX線
回折パターンの004回折ピーク強度を測定した。
てその影響を調べた。熱処理条件を670℃45分と
し、窒素中の酸素量を0%〜50%まで変化させてX線
回折パターンの004回折ピーク強度を測定した。
【0041】図4は、その相対強度と酸素分圧の関係の
結果である。従来の酸化物超伝導薄膜を熱処理して作製
する場合、酸化を促進させるために酸素量が多い方がよ
いとされていたが、水銀系超伝導薄膜の場合逆に酸素量
が多いと結晶性が悪くなるという意外な結果であった。
結果である。従来の酸化物超伝導薄膜を熱処理して作製
する場合、酸化を促進させるために酸素量が多い方がよ
いとされていたが、水銀系超伝導薄膜の場合逆に酸素量
が多いと結晶性が悪くなるという意外な結果であった。
【0042】また、図4より、酸素分圧が1/500〜
1/10気圧の範囲において良好な結晶性の薄膜が得ら
れることが判明した。この酸素量で熱処理して作られた
膜において、超伝導転移温度90K以上の特性が得られ
た。
1/10気圧の範囲において良好な結晶性の薄膜が得ら
れることが判明した。この酸素量で熱処理して作られた
膜において、超伝導転移温度90K以上の特性が得られ
た。
【0043】この薄膜をさらに酸素中で300〜500
℃程度の低温熱処理を施すと、超伝導特性の再現性の向
上がみられることも併せて確認した。
℃程度の低温熱処理を施すと、超伝導特性の再現性の向
上がみられることも併せて確認した。
【0044】なお、本実施例ではアルカリ土類元素とし
てBaを用いたが、水銀系超伝導薄膜はこれ以外のアル
カリ土類元素の組合せでも構成できること勿論である。
てBaを用いたが、水銀系超伝導薄膜はこれ以外のアル
カリ土類元素の組合せでも構成できること勿論である。
【0045】また、本実施例では熱処理時に酸素と窒素
の混合ガスを用いたが、酸素さえ所定の量含まれていれ
ば、例えばアルゴンなどの不活性ガスと酸素の混合ガス
でも同様である。
の混合ガスを用いたが、酸素さえ所定の量含まれていれ
ば、例えばアルゴンなどの不活性ガスと酸素の混合ガス
でも同様である。
【0046】
【発明の効果】以上のように本発明の超伝導体は、水銀
(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅(Cu)からな
る酸素物で、前記アルカリ土類元素の1原子層を介して
向かい合った2つのCuO5ピラミッドを含む酸素欠損
ペロブスカイト層A3Cu2O6が、水銀を主成分とする
1原子層で挟まれた結晶構造を持ち、化学式HgA3C
u2O6+x(但し、-1<x<1)の物質、または、水銀(H
g)、アルカリ土類元素(A)、銅(Cu)からなる酸
素物で、1枚のCuO2面および両側の1原子層の前記
アルカリ土類元素を介して向かい合った2つのCuO5
ピラミッドを含む酸素欠損ペロブスカイトト層A4Cu3
O8が、水銀を主成分とする1原子層で挟まれた結晶構
造を持ち、化学式HgA4Cu3O8+x(但し、-1<x<1)の
物質であるため、100Kを越える臨界温度を持つ新規
の水銀を含む酸化物超伝導体である。
(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅(Cu)からな
る酸素物で、前記アルカリ土類元素の1原子層を介して
向かい合った2つのCuO5ピラミッドを含む酸素欠損
ペロブスカイト層A3Cu2O6が、水銀を主成分とする
1原子層で挟まれた結晶構造を持ち、化学式HgA3C
u2O6+x(但し、-1<x<1)の物質、または、水銀(H
g)、アルカリ土類元素(A)、銅(Cu)からなる酸
素物で、1枚のCuO2面および両側の1原子層の前記
アルカリ土類元素を介して向かい合った2つのCuO5
ピラミッドを含む酸素欠損ペロブスカイトト層A4Cu3
O8が、水銀を主成分とする1原子層で挟まれた結晶構
造を持ち、化学式HgA4Cu3O8+x(但し、-1<x<1)の
物質であるため、100Kを越える臨界温度を持つ新規
の水銀を含む酸化物超伝導体である。
【0047】本発明の超伝導体は、100Kを越えるた
め、安価で大量供給の可能な液体窒素を冷媒とした77
Kでの安定な使用が可能となり、この結果水銀を含む酸
化物超伝導体の実用化も期待できるようになった。
め、安価で大量供給の可能な液体窒素を冷媒とした77
Kでの安定な使用が可能となり、この結果水銀を含む酸
化物超伝導体の実用化も期待できるようになった。
【0048】また、本発明は基体上に水銀、アルカリ土
類元素、銅を主体成分とする被膜を設け、前記基体およ
び被膜を熱処理する製造方法であり、薄膜化によるこの
系の電子デバイス応用を可能ならしめるものであり、本
発明の工業的価値は大きい。
類元素、銅を主体成分とする被膜を設け、前記基体およ
び被膜を熱処理する製造方法であり、薄膜化によるこの
系の電子デバイス応用を可能ならしめるものであり、本
発明の工業的価値は大きい。
【図1】本発明の一実施例で作製されたHgBa2Ca
Cu2O6+x薄膜の結晶構造図
Cu2O6+x薄膜の結晶構造図
【図2】本発明の一実施例で作製されたHgBa2Ca2
Cu3O8+x薄膜の結晶構造図
Cu3O8+x薄膜の結晶構造図
【図3】本発明の一実施例で作製されたHgBa2Cu
O4+x薄膜のX線回折パターン
O4+x薄膜のX線回折パターン
【図4】本発明の一実施例で作製されたHg−Ba−C
u−O薄膜の結晶性と熱処理中の酸素量の間系図
u−O薄膜の結晶性と熱処理中の酸素量の間系図
【符号の説明】 11 Ca元素1原子層 12 CuO5ピラミッド 13 Ba元素 14 酸素欠損ペロブスカイト層 15 水銀元素1原子層 21 CuO2面 22 Ca元素1原子層 23 CuO5ピラミッド 24 Ba元素 25 酸素欠損ペロブスカイト層 26 水銀元素1原子層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 12/00 ZAA 7244−5G H01L 39/24 ZAA B 9276−4M
Claims (11)
- 【請求項1】水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、
銅(Cu)からなる酸素物で、前記アルカリ土類元素の
1原子層を介して向かい合った2つのCuO5ピラミッ
ドを含む酸素欠損ペロブスカイト層A3Cu2O6が、水
銀を主成分とする1原子層で挟まれた結晶構造を持ち、
化学式HgA3Cu2O6+xの物質であることを特徴とす
る超伝導体。ここでxは、−1<x<1の範囲の数値で
ある。 - 【請求項2】アルカリ土類元素Aが、バリウム(Ba)
とカルシウム(Ca)の組合せで構成され、HgBa2
CaCu2O6+xなる化学式の物質であることを特徴とす
る、請求項1記載の超伝導体。 - 【請求項3】水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、
銅(Cu)からなる酸素物で、1枚のCuO2面および
両側の1原子層の前記アルカリ土類元素を介して向かい
合った2つのCuO5ピラミッドを含む酸素欠損ペロブ
スカイト層A4Cu3O8が、水銀を主成分とする1原子
層で挟まれた結晶構造を持ち、化学式HgA4Cu3O
8+xの物質であることを特徴とする超伝導体。ここでx
は、−1<x<1の範囲の数値である。 - 【請求項4】アルカリ土類元素Aが、バリウム(Ba)
とカルシウム(Ca)の組合せで構成され、HgBa2
Ca2Cu3O8+xなる化学式の物質であることを特徴と
する、請求項3記載の超伝導体。 - 【請求項5】基体上に水銀、アルカリ土類元素、銅を主
体成分とする被膜を設け、前記基体および被膜を熱処理
することを特徴とする薄膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項6】熱処理の温度が650以上700℃以下の
範囲であることを特徴とする、請求項5記載の薄膜超伝
導体の製造方法。 - 【請求項7】熱処理の昇降速度が、毎時500℃以上で
あることを特徴とする、請求項5または6何れかに記載
の薄膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項8】熱処理を1/500気圧以上1/10気圧
以下の範囲の酸素含有雰囲気で行うことを特徴とする、
請求項5〜7何れかに記載の薄膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項9】熱処理の後、さらに酸素中で300以上5
00℃以下の低温熱処理を加えることを特徴とする、請
求項5〜8何れかに記載の薄膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項10】薄膜超伝導体の組成比が、水銀(H
g)、アルカリ土類元素(A)、銅(Cu)とし、Hg
(1-y)A2Cu(1+y)で表わすと、yが0≦y≦0.7の
値を主成分とすることを特徴とする、請求項5記載の薄
膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項11】アルカリ土類元素(A)が、バリウム元
素であることを特徴とする、請求項5または10何れか
に記載の薄膜超伝導体の製造方法。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5258163A JPH0725700A (ja) | 1993-05-14 | 1993-10-15 | 超伝導体および薄膜超伝導体の製造方法 |
| US08/239,963 US5462921A (en) | 1993-05-14 | 1994-05-09 | Method of forming Hg-containing oxide superconducting films |
| EP94303459A EP0624910B1 (en) | 1993-05-14 | 1994-05-13 | Method of fabricating a Hg-based superconducting thin film |
| DE69404214T DE69404214T2 (de) | 1993-05-14 | 1994-05-13 | Verfahren zur Herstellung einer supraleitenden dünnen Schicht vom Hg-Typ |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11284893 | 1993-05-14 | ||
| JP5-112848 | 1993-05-14 | ||
| JP5258163A JPH0725700A (ja) | 1993-05-14 | 1993-10-15 | 超伝導体および薄膜超伝導体の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0725700A true JPH0725700A (ja) | 1995-01-27 |
Family
ID=26451919
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5258163A Pending JPH0725700A (ja) | 1993-05-14 | 1993-10-15 | 超伝導体および薄膜超伝導体の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0725700A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0753212A (ja) * | 1993-08-13 | 1995-02-28 | Agency Of Ind Science & Technol | 高温超伝導体およびその作製法 |
| CN110670045A (zh) * | 2019-11-12 | 2020-01-10 | 复旦大学 | 一种原子层沉积制备有机无机杂化卤素钙钛矿材料的方法 |
-
1993
- 1993-10-15 JP JP5258163A patent/JPH0725700A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0753212A (ja) * | 1993-08-13 | 1995-02-28 | Agency Of Ind Science & Technol | 高温超伝導体およびその作製法 |
| CN110670045A (zh) * | 2019-11-12 | 2020-01-10 | 复旦大学 | 一种原子层沉积制备有机无机杂化卤素钙钛矿材料的方法 |
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