JPH07260663A - 熱重量測定における発生ガス分析方法 - Google Patents
熱重量測定における発生ガス分析方法Info
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- JPH07260663A JPH07260663A JP7633194A JP7633194A JPH07260663A JP H07260663 A JPH07260663 A JP H07260663A JP 7633194 A JP7633194 A JP 7633194A JP 7633194 A JP7633194 A JP 7633194A JP H07260663 A JPH07260663 A JP H07260663A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 試料の温度制御を工夫することによって、熱
天秤と質量分析計とを直結した場合でも、発生ガスの分
析能力を向上させる。 【構成】 熱天秤は、保護管10の内部に測定試料容器
12と標準試料容器14とがあり、保護管10の周囲に
は赤外線ランプ20がある。プログラム自動温度制御装
置42には、昇温速度が減量速度の単調減少関数となる
ような所定の数式が記憶されている。熱天秤で発生した
ガスは、保護管10の上部から取り出されて、質量分析
計50に導入される。近接した温度で異なる反応が試料
に生じる場合でも、試料の温度制御が工夫されているの
で、それぞれの反応段階における発生ガスを分離して取
り出すことが可能になる。したがって、質量分析計にお
いてパターンマッチングによる発生ガスの特定が可能に
なる。
天秤と質量分析計とを直結した場合でも、発生ガスの分
析能力を向上させる。 【構成】 熱天秤は、保護管10の内部に測定試料容器
12と標準試料容器14とがあり、保護管10の周囲に
は赤外線ランプ20がある。プログラム自動温度制御装
置42には、昇温速度が減量速度の単調減少関数となる
ような所定の数式が記憶されている。熱天秤で発生した
ガスは、保護管10の上部から取り出されて、質量分析
計50に導入される。近接した温度で異なる反応が試料
に生じる場合でも、試料の温度制御が工夫されているの
で、それぞれの反応段階における発生ガスを分離して取
り出すことが可能になる。したがって、質量分析計にお
いてパターンマッチングによる発生ガスの特定が可能に
なる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱重量測定において
発生したガスを分析する発生ガス分析方法に関する。
発生したガスを分析する発生ガス分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱重量測定における発生ガス分析方法に
はいくつかの方法が知られている。例えば、熱天秤とガ
スクロマトグラフと質量分析計とを組み合わせた発生ガ
ス分析方法が知られている。この方法では、熱天秤で発
生したガスをガスクロマトグラフに導入して、発生ガス
を各成分に分離し、その後、分離した各成分を質量分析
計に導入して、パターンマッチングにより各成分を特定
する。
はいくつかの方法が知られている。例えば、熱天秤とガ
スクロマトグラフと質量分析計とを組み合わせた発生ガ
ス分析方法が知られている。この方法では、熱天秤で発
生したガスをガスクロマトグラフに導入して、発生ガス
を各成分に分離し、その後、分離した各成分を質量分析
計に導入して、パターンマッチングにより各成分を特定
する。
【0003】ところで、ガスクロマトグラフが使用可能
な上限温度は300℃程度であり、これ以上の温度にな
ると、ガスクロマトグラフを用いることができない。例
えば、パラフィン炭化水素において、分子量が500を
越えると沸点が300℃を越えるので、このような物質
に対してガスクロマトグラフを用いることができなくな
る。
な上限温度は300℃程度であり、これ以上の温度にな
ると、ガスクロマトグラフを用いることができない。例
えば、パラフィン炭化水素において、分子量が500を
越えると沸点が300℃を越えるので、このような物質
に対してガスクロマトグラフを用いることができなくな
る。
【0004】また、熱天秤と質量分析計とを直結した発
生ガス分析方法も知られている。この方法は、試料での
ガス発生反応が1種類しか存在しない場合や、複数のガ
ス発生反応の反応温度が互いにかなり離れている場合に
は有効である。これに対して、複数のガス発生反応があ
って、その反応温度が互いに近接している場合には、発
生ガスが混在してしまい、これを直接、質量分析計に導
入すると、発生ガス成分を特定できなくなる。質量分析
計でガス分析を行う場合には、被分析ガスの質量分析パ
ターンを測定し、これを、各種のガスの標準パターンと
比較して、ガスの種類の特定をするわけであるが、複数
の発生ガスが混在していると、このようなパターンマッ
チングによる特定が不可能になる。
生ガス分析方法も知られている。この方法は、試料での
ガス発生反応が1種類しか存在しない場合や、複数のガ
ス発生反応の反応温度が互いにかなり離れている場合に
は有効である。これに対して、複数のガス発生反応があ
って、その反応温度が互いに近接している場合には、発
生ガスが混在してしまい、これを直接、質量分析計に導
入すると、発生ガス成分を特定できなくなる。質量分析
計でガス分析を行う場合には、被分析ガスの質量分析パ
ターンを測定し、これを、各種のガスの標準パターンと
比較して、ガスの種類の特定をするわけであるが、複数
の発生ガスが混在していると、このようなパターンマッ
チングによる特定が不可能になる。
【0005】熱天秤と質量分析計とを直結した従来の発
生ガス分析方法では、熱天秤における試料温度制御は次
のように行われている。試料温度の変化方法として最も
簡単な方法は、一定の昇温速度(または降温速度)で試
料を加熱(または冷却)する方法である。この方法は、
重量測定の分解能が劣るという欠点がある。重量測定の
分解能が劣るという意味は、重量変化の開始温度や終了
温度、また、その間の重量変化量などについて、その測
定精度が劣るということである。等速昇温(または降
温)を用いると分解能が劣る理由は次の通りである。試
料に大きな重量変化が生じる場合にも試料温度が一定速
度で上昇または下降するので、試料の状態変化が十分に
完了しないうちに、別の試料温度に移行してしまうこと
になる。このような温度制御方法においては、試料の重
量変化を生じるような異なる反応が近接した温度で生じ
る場合には、これらの別個の反応を分離して測定するこ
とが不可能になる。したがって、質量分析計によるパタ
ーマッチングも不可能になる。このような欠点を回避す
るために、昇温速度(または降温速度)を非常に小さく
して、温度の近接した別個の反応をできる限り分離する
ことが考えられる。しかし、このようにすると、測定時
間が非常に長くなって現実的でない。
生ガス分析方法では、熱天秤における試料温度制御は次
のように行われている。試料温度の変化方法として最も
簡単な方法は、一定の昇温速度(または降温速度)で試
料を加熱(または冷却)する方法である。この方法は、
重量測定の分解能が劣るという欠点がある。重量測定の
分解能が劣るという意味は、重量変化の開始温度や終了
温度、また、その間の重量変化量などについて、その測
定精度が劣るということである。等速昇温(または降
温)を用いると分解能が劣る理由は次の通りである。試
料に大きな重量変化が生じる場合にも試料温度が一定速
度で上昇または下降するので、試料の状態変化が十分に
完了しないうちに、別の試料温度に移行してしまうこと
になる。このような温度制御方法においては、試料の重
量変化を生じるような異なる反応が近接した温度で生じ
る場合には、これらの別個の反応を分離して測定するこ
とが不可能になる。したがって、質量分析計によるパタ
ーマッチングも不可能になる。このような欠点を回避す
るために、昇温速度(または降温速度)を非常に小さく
して、温度の近接した別個の反応をできる限り分離する
ことが考えられる。しかし、このようにすると、測定時
間が非常に長くなって現実的でない。
【0006】ところで、熱天秤における試料温度制御方
法としては、温度の近接した別個の反応を精度良く分離
できるようにした方法が知られている。例えば、試料の
重量減少が開始したら昇温を停止する方法が知られてい
る。すなわち、試料の重量減少速度の絶対値が所定の設
定値以上になったら昇温を停止して試料を等温で保持
し、成分の分解による重量減少が完了して重量減少速度
の絶対値が別の所定の設定値以下になったら、再び昇温
を開始する。このような温度制御方法は、SIA(Step
wise Isothermal Analysis:ステップ式等温分析)と呼
ばれ、文献「Thermochimica Acta. 138(1989), p.107-1
14」に記載されている。この方法によれば、分解温度が
近接している複数の分解現象を互いに精度良く分離する
ことが可能になり、従来の一定昇温方式よりも分解能が
向上する。
法としては、温度の近接した別個の反応を精度良く分離
できるようにした方法が知られている。例えば、試料の
重量減少が開始したら昇温を停止する方法が知られてい
る。すなわち、試料の重量減少速度の絶対値が所定の設
定値以上になったら昇温を停止して試料を等温で保持
し、成分の分解による重量減少が完了して重量減少速度
の絶対値が別の所定の設定値以下になったら、再び昇温
を開始する。このような温度制御方法は、SIA(Step
wise Isothermal Analysis:ステップ式等温分析)と呼
ばれ、文献「Thermochimica Acta. 138(1989), p.107-1
14」に記載されている。この方法によれば、分解温度が
近接している複数の分解現象を互いに精度良く分離する
ことが可能になり、従来の一定昇温方式よりも分解能が
向上する。
【0007】さらに、上述のSIA方法よりも優れた方
法として、試料の重量変化速度に応じて試料の温度変化
速度が連続的に変化するように試料温度を制御する方法
も知られている(第29回熱測定討論会講演要旨集、日
本熱測定学会発行、1993, p.330-331 )。
法として、試料の重量変化速度に応じて試料の温度変化
速度が連続的に変化するように試料温度を制御する方法
も知られている(第29回熱測定討論会講演要旨集、日
本熱測定学会発行、1993, p.330-331 )。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】熱天秤と質量分析計と
を直結した発生ガス分析方法においては、一般的な定速
昇温による試料温度制御方法では、発生ガスが混在する
可能性があって、その場合は質量分析計によるパターン
マッチングによる発生ガスの特定が不可能になる。ま
た、試料の重量変化速度に応じて試料温度を制御するよ
うな、より優れた温度制御方法が知られているが、この
ような制御方法を、質量分析計による発生ガス分析に応
用することは知られていない。
を直結した発生ガス分析方法においては、一般的な定速
昇温による試料温度制御方法では、発生ガスが混在する
可能性があって、その場合は質量分析計によるパターン
マッチングによる発生ガスの特定が不可能になる。ま
た、試料の重量変化速度に応じて試料温度を制御するよ
うな、より優れた温度制御方法が知られているが、この
ような制御方法を、質量分析計による発生ガス分析に応
用することは知られていない。
【0009】この発明の目的は、試料の温度制御を工夫
することによって、熱天秤と質量分析計とを直結した場
合でも、分析能力の優れた発生ガス分析方法を提供する
ことにある。
することによって、熱天秤と質量分析計とを直結した場
合でも、分析能力の優れた発生ガス分析方法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の発生ガス分析
方法は、試料の重量変化速度に応じて試料温度を制御し
て試料の重量変化を測定するとともに、試料から発生し
たガスを質量分析計に導入して、試料のそれぞれの反応
段階における発生ガスの種類を特定することを特徴とす
るものである。質量分析計を用いた従来の発生ガス分析
においては、試料の重量変化速度に応じて試料温度を制
御するようにはなっていなかったが、この発明では、試
料の重量変化速度に応じて試料温度を制御している。例
えば、試料の減量速度が所定値以上になったら、昇温速
度を非常に小さくしたり昇温を停止したりする。
方法は、試料の重量変化速度に応じて試料温度を制御し
て試料の重量変化を測定するとともに、試料から発生し
たガスを質量分析計に導入して、試料のそれぞれの反応
段階における発生ガスの種類を特定することを特徴とす
るものである。質量分析計を用いた従来の発生ガス分析
においては、試料の重量変化速度に応じて試料温度を制
御するようにはなっていなかったが、この発明では、試
料の重量変化速度に応じて試料温度を制御している。例
えば、試料の減量速度が所定値以上になったら、昇温速
度を非常に小さくしたり昇温を停止したりする。
【0011】別の発明においては、試料の重量変化速度
に応じて試料温度を制御する方法として、試料の重量変
化速度に応じて試料の温度変化速度が連続的に変化する
ように試料温度を制御している。すなわち、試料の重量
が時々刻々変化する場合に、その重量変化速度を算出し
て、その重量変化速度に適した温度変化速度を設定し、
そのような温度変化速度になるように試料の温度を制御
する。温度変化速度は、重量変化速度に対して連続的に
変化するようにする。換言すれば、温度変化速度は重量
変化速度の連続関数として表すことができる。
に応じて試料温度を制御する方法として、試料の重量変
化速度に応じて試料の温度変化速度が連続的に変化する
ように試料温度を制御している。すなわち、試料の重量
が時々刻々変化する場合に、その重量変化速度を算出し
て、その重量変化速度に適した温度変化速度を設定し、
そのような温度変化速度になるように試料の温度を制御
する。温度変化速度は、重量変化速度に対して連続的に
変化するようにする。換言すれば、温度変化速度は重量
変化速度の連続関数として表すことができる。
【0012】試料の温度変化速度は、試料の重量変化速
度の連続関数となる。このことは、重量変化速度が変化
していった場合に、それに連れて温度変化速度が連続的
に変化することを意味する。使用可能な連続関数の例と
しては、有理整関数、無理関数、指数関数、対数関数を
挙げることができる。
度の連続関数となる。このことは、重量変化速度が変化
していった場合に、それに連れて温度変化速度が連続的
に変化することを意味する。使用可能な連続関数の例と
しては、有理整関数、無理関数、指数関数、対数関数を
挙げることができる。
【0013】また、試料の温度変化速度の絶対値が、試
料の重量変化速度の絶対値の単調減少関数となるように
するのが好ましい。このことは、試料の重量変化速度の
絶対値が大きれば大きいほど(重量減少や重量増加が急
激であればあるほど)、試料の温度変化速度の絶対値が
小さくなる(昇温や降温がゆっくりになる)ことを意味
する。使用可能な単調減少関数の例としては、上述の連
続関数の例のうちで、単調減少となっている領域を使う
ことができる。
料の重量変化速度の絶対値の単調減少関数となるように
するのが好ましい。このことは、試料の重量変化速度の
絶対値が大きれば大きいほど(重量減少や重量増加が急
激であればあるほど)、試料の温度変化速度の絶対値が
小さくなる(昇温や降温がゆっくりになる)ことを意味
する。使用可能な単調減少関数の例としては、上述の連
続関数の例のうちで、単調減少となっている領域を使う
ことができる。
【0014】この発明のように試料の重量変化速度に応
じて試料温度を制御するには、試料の加熱炉として、制
御応答性が良好なものを使うことが望ましい。そのため
には、赤外線加熱炉が最適である。
じて試料温度を制御するには、試料の加熱炉として、制
御応答性が良好なものを使うことが望ましい。そのため
には、赤外線加熱炉が最適である。
【0015】
【作用】この発明を実施するには、熱天秤において試料
の重量変化速度を測定し、その測定結果に応じて試料の
温度を制御する。そして、熱天秤における発生ガスを質
量分析計に導入して、発生ガスの種類を特定する。試料
の重量変化速度に応じて試料温度を制御しているので、
試料の重量変化速度が大きいときは温度変化を小さくす
るなどして、近接した温度で異なる反応が試料に生じる
場合でも、それぞれの反応段階における発生ガスを分離
して取り出すことが可能になる。したがって、異なる発
生ガスが混在した状態で質量分析計に導入されることが
なくなり、質量分析計においてパターンマッチングによ
る発生ガスの特定が可能になる。
の重量変化速度を測定し、その測定結果に応じて試料の
温度を制御する。そして、熱天秤における発生ガスを質
量分析計に導入して、発生ガスの種類を特定する。試料
の重量変化速度に応じて試料温度を制御しているので、
試料の重量変化速度が大きいときは温度変化を小さくす
るなどして、近接した温度で異なる反応が試料に生じる
場合でも、それぞれの反応段階における発生ガスを分離
して取り出すことが可能になる。したがって、異なる発
生ガスが混在した状態で質量分析計に導入されることが
なくなり、質量分析計においてパターンマッチングによ
る発生ガスの特定が可能になる。
【0016】試料の温度変化速度が重量変化速度の連続
関数となるように温度制御する場合には、次のように温
度制御を実施する。熱天秤において試料の重量変化速度
を測定し、その測定結果に応じて試料の温度変化速度を
変化させる。試料の温度変化速度は重量変化速度の連続
関数として表すことができ、これを目標値として、試料
の温度を例えばPID制御方式で制御する。試料の温度
変化速度は、試料の重量変化速度に応じて最適に変化さ
せることができる。最も好ましい制御方法は、試料の重
量変化速度の絶対値が小さいときは試料の温度変化速度
の絶対値を相対的に大きくし、試料の重量変化速度の絶
対値が大きくなったら試料の温度変化速度を相対的に小
さくすることである。これにより、試料の重量減少や重
量増加がゆるやかなときには、昇温速度や降温速度を速
くすることができ、測定時間を短縮することができる。
また、試料の重量減少や重量増加が急激なときには、昇
温速度や降温速度をゆるやかにすることができ、熱重量
測定の分解能を向上させることができる。そして、温度
変化速度は重量変化速度に応じて連続的に変化するの
で、測定時間の短縮化と分解能の向上とを兼ね備えた最
適な温度制御が可能となる。
関数となるように温度制御する場合には、次のように温
度制御を実施する。熱天秤において試料の重量変化速度
を測定し、その測定結果に応じて試料の温度変化速度を
変化させる。試料の温度変化速度は重量変化速度の連続
関数として表すことができ、これを目標値として、試料
の温度を例えばPID制御方式で制御する。試料の温度
変化速度は、試料の重量変化速度に応じて最適に変化さ
せることができる。最も好ましい制御方法は、試料の重
量変化速度の絶対値が小さいときは試料の温度変化速度
の絶対値を相対的に大きくし、試料の重量変化速度の絶
対値が大きくなったら試料の温度変化速度を相対的に小
さくすることである。これにより、試料の重量減少や重
量増加がゆるやかなときには、昇温速度や降温速度を速
くすることができ、測定時間を短縮することができる。
また、試料の重量減少や重量増加が急激なときには、昇
温速度や降温速度をゆるやかにすることができ、熱重量
測定の分解能を向上させることができる。そして、温度
変化速度は重量変化速度に応じて連続的に変化するの
で、測定時間の短縮化と分解能の向上とを兼ね備えた最
適な温度制御が可能となる。
【0017】
【実施例】図1は、この発明を実施するための発生ガス
分析装置の概略構成を示す正面断面図である。熱天秤に
おいては、石英製の保護管10の内部に測定試料容器1
2と標準試料容器14とがあり、これらの容器は試料ホ
ルダ16で支持されている。二つの容器12、14の周
囲にはPt製またはNi製の均熱筒(図示せず)が配置
されている。保護管10の周囲には、合計4本の赤外線
ランプ20があり、この赤外線ランプ20は楕円集光鏡
22の焦点の位置に配置されている。試料の温度は、容
器12、14を支持する感熱板に接着された示差熱電対
18で測定できる。
分析装置の概略構成を示す正面断面図である。熱天秤に
おいては、石英製の保護管10の内部に測定試料容器1
2と標準試料容器14とがあり、これらの容器は試料ホ
ルダ16で支持されている。二つの容器12、14の周
囲にはPt製またはNi製の均熱筒(図示せず)が配置
されている。保護管10の周囲には、合計4本の赤外線
ランプ20があり、この赤外線ランプ20は楕円集光鏡
22の焦点の位置に配置されている。試料の温度は、容
器12、14を支持する感熱板に接着された示差熱電対
18で測定できる。
【0018】試料ホルダ16の下端は天秤ビーム24の
先端に支持されている。天秤ビーム24の他端には平衡
用分銅28があり、その先にスクリーン30が固定され
ている。光源ランプ32からの光は、スクリーン30を
通過して光電素子34に入射する。試料ホルダ16の重
量変化は光電素子34の出力変化として現れる。一方、
試料ホルダ16の下端には磁石26と分銅36が固定さ
れている。光電素子34の出力は天秤制御回路38に入
力され、この天秤制御回路38は、試料ホルダ16の重
量に応じて制御コイル40に電流を流す。すなわち、試
料ホルダ16の重量が制御コイル40にフィードバック
される。そして、制御コイル40の電流に応じて磁石2
6に力が加わる。これにより、試料ホルダ16の位置が
保たれる。
先端に支持されている。天秤ビーム24の他端には平衡
用分銅28があり、その先にスクリーン30が固定され
ている。光源ランプ32からの光は、スクリーン30を
通過して光電素子34に入射する。試料ホルダ16の重
量変化は光電素子34の出力変化として現れる。一方、
試料ホルダ16の下端には磁石26と分銅36が固定さ
れている。光電素子34の出力は天秤制御回路38に入
力され、この天秤制御回路38は、試料ホルダ16の重
量に応じて制御コイル40に電流を流す。すなわち、試
料ホルダ16の重量が制御コイル40にフィードバック
される。そして、制御コイル40の電流に応じて磁石2
6に力が加わる。これにより、試料ホルダ16の位置が
保たれる。
【0019】示差熱電対18で測定された試料温度はプ
ログラム自動温度制御装置42に入力される。また、示
差熱電対18で測定された示差熱温度は直流増幅器44
で増幅されて、記録計46で記録される。また、天秤制
御回路38の出力すなわち試料ホルダ16の重量も、記
録計46で記録される。
ログラム自動温度制御装置42に入力される。また、示
差熱電対18で測定された示差熱温度は直流増幅器44
で増幅されて、記録計46で記録される。また、天秤制
御回路38の出力すなわち試料ホルダ16の重量も、記
録計46で記録される。
【0020】プログラム自動温度制御装置42には、示
差熱電対18からの試料温度データと、天秤制御回路3
8からの重量データとが入力される。そして、このプロ
グラム自動温度制御装置42は、試料の重量変化速度に
応じた温度変化速度になるように、赤外線ランプ20に
電流を流す。また、プログラム自動温度制御装置42に
は、制御係数設定装置48からの信号が入力されて、制
御係数が指定される。
差熱電対18からの試料温度データと、天秤制御回路3
8からの重量データとが入力される。そして、このプロ
グラム自動温度制御装置42は、試料の重量変化速度に
応じた温度変化速度になるように、赤外線ランプ20に
電流を流す。また、プログラム自動温度制御装置42に
は、制御係数設定装置48からの信号が入力されて、制
御係数が指定される。
【0021】図1に示す赤外線加熱炉は、抵抗加熱炉と
比較して熱慣性が小さく、温度制御の応答性に優れてい
る。
比較して熱慣性が小さく、温度制御の応答性に優れてい
る。
【0022】熱天秤で発生したガスは、保護管10の上
部から取り出されて、質量分析計50に導入され、発生
ガスの種類が特定される。熱天秤では、試料の重量変化
が顕著になったときの温度を知ることができ、一方、質
量分析計50では、そのときの発生ガスの種類を特定で
きる。
部から取り出されて、質量分析計50に導入され、発生
ガスの種類が特定される。熱天秤では、試料の重量変化
が顕著になったときの温度を知ることができ、一方、質
量分析計50では、そのときの発生ガスの種類を特定で
きる。
【0023】次に、試料の温度制御方法について説明す
る。一例として、試料を昇温しながら試料の減量を測定
する実施例について説明する。この場合、試料の昇温速
度は試料の減量速度に応じて次の式(1)で表される。
る。一例として、試料を昇温しながら試料の減量を測定
する実施例について説明する。この場合、試料の昇温速
度は試料の減量速度に応じて次の式(1)で表される。
【0024】
【数1】 ここで、V:昇温速度(℃/秒) Vm:最大昇温速度(℃/秒) U:減量速度(%/秒) Um:限界減量速度(%/秒) n:べき指数
【0025】試料の重量は、初期重量に対する百分率
(パーセント)で求めており、試料の減量速度の単位
は、毎秒当たりのパーセントである。試料が減量してい
く場合には、重量変化速度は負の値となるが、その絶対
値をとって減量速度Uとしている。式(1)の物理的意
味は次の通りである。試料の減量速度Uがゼロになると
(すなわち、試料の重量が変化しないときは)、昇温速
度Vは最大昇温速度Vmに等しくなる。このVmの値
は、試料の性質に応じてあらかじめ決定しておく。試料
の減量速度Uが大きくなるにつれて昇温速度Vは小さく
なっていき、減量速度Uが限界減量速度Umに等しくな
ると、昇温速度Vはゼロになる。すなわち、昇温が停止
する。この限界減量速度Umも試料の性質に応じてあら
かじめ決定しておく。一般的には、予定した測定温度範
囲内において減量速度Uが限界減量速度Umを越えない
ように、Umを設定しておく。式(1)において、もし
減量速度Uが限界減量速度Umを越えると、形式的には
Vの値が負となるが、実際の温度制御では昇温を停止す
るだけであって降温に転ずることはない。すなわち、式
(1)はU≦Umの条件でのみ有効である。式(1)は
図1のプログラム自動温度制御装置に記憶されている。
また、式(1)のVm,Um,nの数値は、図1の制御
係数設定装置48で設定できる。
(パーセント)で求めており、試料の減量速度の単位
は、毎秒当たりのパーセントである。試料が減量してい
く場合には、重量変化速度は負の値となるが、その絶対
値をとって減量速度Uとしている。式(1)の物理的意
味は次の通りである。試料の減量速度Uがゼロになると
(すなわち、試料の重量が変化しないときは)、昇温速
度Vは最大昇温速度Vmに等しくなる。このVmの値
は、試料の性質に応じてあらかじめ決定しておく。試料
の減量速度Uが大きくなるにつれて昇温速度Vは小さく
なっていき、減量速度Uが限界減量速度Umに等しくな
ると、昇温速度Vはゼロになる。すなわち、昇温が停止
する。この限界減量速度Umも試料の性質に応じてあら
かじめ決定しておく。一般的には、予定した測定温度範
囲内において減量速度Uが限界減量速度Umを越えない
ように、Umを設定しておく。式(1)において、もし
減量速度Uが限界減量速度Umを越えると、形式的には
Vの値が負となるが、実際の温度制御では昇温を停止す
るだけであって降温に転ずることはない。すなわち、式
(1)はU≦Umの条件でのみ有効である。式(1)は
図1のプログラム自動温度制御装置に記憶されている。
また、式(1)のVm,Um,nの数値は、図1の制御
係数設定装置48で設定できる。
【0026】減量速度UがゼロからUmの範囲内では、
昇温速度Vは減量速度Uの単調減少関数となる。単調減
少関数の意味は次の通りである。すなわち、任意の二つ
の減量速度U1、U2に対して昇温速度がそれぞれV
1、V2と定まる場合に、U2>U1ならば、常にV2
≦V1となる。なお、この実施例の式(1)の場合に
は、U2>U1ならば常にV2<V1となる。
昇温速度Vは減量速度Uの単調減少関数となる。単調減
少関数の意味は次の通りである。すなわち、任意の二つ
の減量速度U1、U2に対して昇温速度がそれぞれV
1、V2と定まる場合に、U2>U1ならば、常にV2
≦V1となる。なお、この実施例の式(1)の場合に
は、U2>U1ならば常にV2<V1となる。
【0027】式(1)における減量速度Uを実際に求め
るには、次のような手順を用いている。まず、試料の重
量をサンプリング間隔Δtで測定する。i番目のサンプ
リング時(以下、時刻iと呼ぶ。)の重量がWi 、ひと
つ手前の時刻(i−1)の重量がWi-1 とすると、時刻
iの時点での減量速度Ui は(Wi-1 −Wi )/Δtと
なる。次に、この減量速度Ui の4点移動平均UAi を
求める。すなわち、UAi =(Ui +Ui-1 +Ui-2 +
Ui-3 )/4である。この4点移動平均の減量速度UA
i を時刻iの減量速度とすることができる。この減量速
度を式(1)における減量速度Uに代入すればよい。
るには、次のような手順を用いている。まず、試料の重
量をサンプリング間隔Δtで測定する。i番目のサンプ
リング時(以下、時刻iと呼ぶ。)の重量がWi 、ひと
つ手前の時刻(i−1)の重量がWi-1 とすると、時刻
iの時点での減量速度Ui は(Wi-1 −Wi )/Δtと
なる。次に、この減量速度Ui の4点移動平均UAi を
求める。すなわち、UAi =(Ui +Ui-1 +Ui-2 +
Ui-3 )/4である。この4点移動平均の減量速度UA
i を時刻iの減量速度とすることができる。この減量速
度を式(1)における減量速度Uに代入すればよい。
【0028】ところで、上述の4点移動平均の減量速度
は、重量測定のバラツキをならして平均的な減量速度を
算出している点で好ましいものであるが、過去の減量速
度を利用しているので、現在の減量速度さらには今後の
減量速度から見ると若干遅れたデータとなっている。そ
こで、今後の減量速度を予測して、その予測した減量速
度を式(1)の減量速度Uに代入すれば、温度制御の目
標追従性がより向上する。そこで、例えば、現在から数
個前のサンプリングまで遡った複数個の4点移動平均減
量速度UAを基にして、将来の時刻(i+1)の減量速
度UAi+1 を予測することができ、この予測減量速度を
式(1)に代入することができる。予測値を算出する方
法としては公知の予測演算手法を利用できる。
は、重量測定のバラツキをならして平均的な減量速度を
算出している点で好ましいものであるが、過去の減量速
度を利用しているので、現在の減量速度さらには今後の
減量速度から見ると若干遅れたデータとなっている。そ
こで、今後の減量速度を予測して、その予測した減量速
度を式(1)の減量速度Uに代入すれば、温度制御の目
標追従性がより向上する。そこで、例えば、現在から数
個前のサンプリングまで遡った複数個の4点移動平均減
量速度UAを基にして、将来の時刻(i+1)の減量速
度UAi+1 を予測することができ、この予測減量速度を
式(1)に代入することができる。予測値を算出する方
法としては公知の予測演算手法を利用できる。
【0029】図2は式(1)をグラフ表示した例であ
る。図2の(A)は、べき指数n=1の条件で、限界減
量速度Umを変更したときに昇温速度曲線がどのように
変化するかを示したグラフである。最大昇温速度Vmが
同じ条件であっても、限界減量速度Umが小さく設定さ
れていればいるほど、減量速度Uの増加に対して昇温速
度Vが急激に小さくなる。すなわち、限界減量速度Um
は、昇温速度Vの減量速度Uに対する感度係数として作
用する。実用的なUmの数値は、0.0001〜0.2
%/秒である。
る。図2の(A)は、べき指数n=1の条件で、限界減
量速度Umを変更したときに昇温速度曲線がどのように
変化するかを示したグラフである。最大昇温速度Vmが
同じ条件であっても、限界減量速度Umが小さく設定さ
れていればいるほど、減量速度Uの増加に対して昇温速
度Vが急激に小さくなる。すなわち、限界減量速度Um
は、昇温速度Vの減量速度Uに対する感度係数として作
用する。実用的なUmの数値は、0.0001〜0.2
%/秒である。
【0030】また、図2の(B)は、最大昇温速度Vm
と限界減量速度Umとを同じにした条件において、べき
指数nの影響を示したグラフである。縦軸は昇温速度V
を最大昇温速度Vmで規格化したものであり、横軸は減
量速度Uを限界減量速度Umで規格化したものである。
n=1では昇温速度Vは減量速度Uの1次曲線(すなわ
ち直線)となる。n=2では昇温速度Vは減量速度Uの
2次曲線となる。U/Umは1より小さいので、この2
次曲線は下に凸となる。n=0.5では逆に上に凸の曲
線となる。nの値は、減量速度の変化割合に対する昇温
速度の変化割合(すなわち曲線の傾き)が、減量速度の
値に応じて、どのように変化するかを決定するものであ
る。すなわち、nが1より大きいときは、減量速度の値
が小さい領域において曲線の傾きが大きくなり、逆に、
nが1より小さいときは、減量速度の値が大きい領域に
おいて曲線の傾きが大きくなる。結局、べき指数nは、
昇温速度Vの減量速度Uに対する局所的な感度係数とし
て作用する。このnの値も、試料の性質に応じて決定す
る。実用的なnの数値は0.1〜3の範囲である。
と限界減量速度Umとを同じにした条件において、べき
指数nの影響を示したグラフである。縦軸は昇温速度V
を最大昇温速度Vmで規格化したものであり、横軸は減
量速度Uを限界減量速度Umで規格化したものである。
n=1では昇温速度Vは減量速度Uの1次曲線(すなわ
ち直線)となる。n=2では昇温速度Vは減量速度Uの
2次曲線となる。U/Umは1より小さいので、この2
次曲線は下に凸となる。n=0.5では逆に上に凸の曲
線となる。nの値は、減量速度の変化割合に対する昇温
速度の変化割合(すなわち曲線の傾き)が、減量速度の
値に応じて、どのように変化するかを決定するものであ
る。すなわち、nが1より大きいときは、減量速度の値
が小さい領域において曲線の傾きが大きくなり、逆に、
nが1より小さいときは、減量速度の値が大きい領域に
おいて曲線の傾きが大きくなる。結局、べき指数nは、
昇温速度Vの減量速度Uに対する局所的な感度係数とし
て作用する。このnの値も、試料の性質に応じて決定す
る。実用的なnの数値は0.1〜3の範囲である。
【0031】図3は、同一の試料に対して3種類の温度
制御方法で試料の減量率(初期重量に対する百分率)を
測定したグラフである。横軸は試料の温度、縦軸は試料
の減量率である。ただし、これらのグラフは模式的に示
してある。(A)は従来法すなわち等速昇温法により抵
抗加熱炉を用いて試料の温度制御を実施したもの、
(B)は式(1)に基づいて抵抗加熱炉を用いて試料の
温度制御を実施したもの、(C)は式(1)に基づいて
赤外線加熱炉を用いて試料の温度制御を実施したもので
ある。(A)の等速昇温法では、2か所の温度領域で目
立った減量が観測されている。それぞれの減量分はいず
れも約20%である。ただし、そのときの減量率の変化
曲線はなだらかである。これに対して、本発明に係る
(B)の例では、4か所の温度領域で目立った減量が観
測されており、それぞれの減量分は、10%、10%、
15%、5%である。すなわち、(A)の等速昇温法で
はひとつの減量現象として観測されていたものが、実際
は、分解温度の近接した二つの減量現象であったことが
明らかとなった。さらに、赤外線加熱炉を用いた(C)
の例では、(B)と同様の現象を示しているが、減量率
の変化曲線がよりシャープとなり、熱重量測定の分解能
がさらに向上していることが分かる。
制御方法で試料の減量率(初期重量に対する百分率)を
測定したグラフである。横軸は試料の温度、縦軸は試料
の減量率である。ただし、これらのグラフは模式的に示
してある。(A)は従来法すなわち等速昇温法により抵
抗加熱炉を用いて試料の温度制御を実施したもの、
(B)は式(1)に基づいて抵抗加熱炉を用いて試料の
温度制御を実施したもの、(C)は式(1)に基づいて
赤外線加熱炉を用いて試料の温度制御を実施したもので
ある。(A)の等速昇温法では、2か所の温度領域で目
立った減量が観測されている。それぞれの減量分はいず
れも約20%である。ただし、そのときの減量率の変化
曲線はなだらかである。これに対して、本発明に係る
(B)の例では、4か所の温度領域で目立った減量が観
測されており、それぞれの減量分は、10%、10%、
15%、5%である。すなわち、(A)の等速昇温法で
はひとつの減量現象として観測されていたものが、実際
は、分解温度の近接した二つの減量現象であったことが
明らかとなった。さらに、赤外線加熱炉を用いた(C)
の例では、(B)と同様の現象を示しているが、減量率
の変化曲線がよりシャープとなり、熱重量測定の分解能
がさらに向上していることが分かる。
【0032】図4は縦軸に試料の減量率と温度を、横軸
に時間をとってグラフにしたものである。図4の(A)
(B)(C)は図3の(A)(B)(C)に対応してい
る。図4の(A)では等速昇温の様子がよく分かる。ま
た、試料の減量率があまり変化しないで時間だけが経過
するような無駄な領域が存在しているのが分かる。一
方、図4の(B)と(C)では、無駄な時間領域がほと
んど存在していないことが分かる。また、試料の減量が
生じているときには温度上昇の速度が非常に小さくなっ
ており、これに対して、減量現象と減量現象の間では温
度上昇の速度が非常に大きくなっていることが分かる。
に時間をとってグラフにしたものである。図4の(A)
(B)(C)は図3の(A)(B)(C)に対応してい
る。図4の(A)では等速昇温の様子がよく分かる。ま
た、試料の減量率があまり変化しないで時間だけが経過
するような無駄な領域が存在しているのが分かる。一
方、図4の(B)と(C)では、無駄な時間領域がほと
んど存在していないことが分かる。また、試料の減量が
生じているときには温度上昇の速度が非常に小さくなっ
ており、これに対して、減量現象と減量現象の間では温
度上昇の速度が非常に大きくなっていることが分かる。
【0033】図5は、実際の実験データを示したグラフ
である。(A)は横軸に温度、縦軸に減量率を示したも
のであり、(B)は横軸に時間、縦軸に減量率と温度を
示したものである。試料は硫酸銅五水塩であり、標準試
料はアルミナ粉末、試料の初期重量は53mgである。
また、上述の式(1)において、最大昇温速度Vm=5
℃/分、限界減量速度Um=0.002%/秒、べき指
数n=2とした。サンプリング間隔Δtは0.9秒であ
る。(A)のグラフでは、脱水反応が5段階にわたって
生じていることが良く分かる。特に、第3段階(80.
7℃)と第4段階(86.1℃)の脱水反応が明瞭に区
別できている。
である。(A)は横軸に温度、縦軸に減量率を示したも
のであり、(B)は横軸に時間、縦軸に減量率と温度を
示したものである。試料は硫酸銅五水塩であり、標準試
料はアルミナ粉末、試料の初期重量は53mgである。
また、上述の式(1)において、最大昇温速度Vm=5
℃/分、限界減量速度Um=0.002%/秒、べき指
数n=2とした。サンプリング間隔Δtは0.9秒であ
る。(A)のグラフでは、脱水反応が5段階にわたって
生じていることが良く分かる。特に、第3段階(80.
7℃)と第4段階(86.1℃)の脱水反応が明瞭に区
別できている。
【0034】図6は、試料の減量率のグラフと質量分析
計での全積分強度のグラフとを対応させて模式的に示し
たものである。(A)は定速昇温の従来例であり、
(B)は本実施例のグラフである。これらは同じ試料に
ついて測定したものである。上段のグラフは横軸に温
度、縦軸に試料の減量率を示したものであり、熱天秤に
よって測定されるものである。下段のグラフは横軸に温
度、縦軸に質量分析計でのすべての質量における積分強
度を示したものである。グラフに示した温度範囲では、
反応温度が異なる二つの減量反応が存在しているのであ
るが、従来例の(A)の減量率のグラフは二つの減量反
応が区別されておらず、質量分析計においても、ひとつ
のピークが観測されているだけである。すなわち、2種
類の発生ガスが混在して質量分析計に導入されていて、
この状態では、パターンマッチングによる発生ガスの特
定は不可能である。本実施例による(B)では、減量率
のグラフにおいて、二つの減量反応が明確に区別されて
いる。この場合、質量分析計で全積分強度を測定する
と、二つのピークが観測され、2種類の発生ガスが明確
に区別されて導入されていることが分かる。全積分強度
における二つのピークのそれぞれについて、質量分析パ
ターンを測定して、これを標準パターンと比較すれば、
それぞれの発生ガスの種類を特定できる。
計での全積分強度のグラフとを対応させて模式的に示し
たものである。(A)は定速昇温の従来例であり、
(B)は本実施例のグラフである。これらは同じ試料に
ついて測定したものである。上段のグラフは横軸に温
度、縦軸に試料の減量率を示したものであり、熱天秤に
よって測定されるものである。下段のグラフは横軸に温
度、縦軸に質量分析計でのすべての質量における積分強
度を示したものである。グラフに示した温度範囲では、
反応温度が異なる二つの減量反応が存在しているのであ
るが、従来例の(A)の減量率のグラフは二つの減量反
応が区別されておらず、質量分析計においても、ひとつ
のピークが観測されているだけである。すなわち、2種
類の発生ガスが混在して質量分析計に導入されていて、
この状態では、パターンマッチングによる発生ガスの特
定は不可能である。本実施例による(B)では、減量率
のグラフにおいて、二つの減量反応が明確に区別されて
いる。この場合、質量分析計で全積分強度を測定する
と、二つのピークが観測され、2種類の発生ガスが明確
に区別されて導入されていることが分かる。全積分強度
における二つのピークのそれぞれについて、質量分析パ
ターンを測定して、これを標準パターンと比較すれば、
それぞれの発生ガスの種類を特定できる。
【0035】上述の実施例では、試料の温度変化速度が
重量変化速度の連続関数となるように温度制御する例を
述べたが、試料の減量速度が所定値を越えたら昇温を停
止するような温度制御を用いても、従来の定速昇温に比
べて発生ガスの分離能力が向上し、図6の(B)と同様
の結果が得られる。
重量変化速度の連続関数となるように温度制御する例を
述べたが、試料の減量速度が所定値を越えたら昇温を停
止するような温度制御を用いても、従来の定速昇温に比
べて発生ガスの分離能力が向上し、図6の(B)と同様
の結果が得られる。
【0036】上述の式(1)は、昇温時の重量減少を測
定する例であるが、その他の現象に対しても同様の式を
用いることができる。すなわち、減量速度Uと限界減量
速度Umの代わりに、一般的に試料の重量変化速度の絶
対値で表現すれば、試料の重量増加にも重量減少にも適
用でき、また、昇温速度Vと最大昇温速度Vmの代わり
に、一般的に試料の温度変化速度の絶対値で表現すれ
ば、試料の昇温と降温のいずれにも適用できる。
定する例であるが、その他の現象に対しても同様の式を
用いることができる。すなわち、減量速度Uと限界減量
速度Umの代わりに、一般的に試料の重量変化速度の絶
対値で表現すれば、試料の重量増加にも重量減少にも適
用でき、また、昇温速度Vと最大昇温速度Vmの代わり
に、一般的に試料の温度変化速度の絶対値で表現すれ
ば、試料の昇温と降温のいずれにも適用できる。
【0037】本発明の発生ガス分析方法を実施するため
の熱天秤としては、図1に示すような示差熱天秤だけで
なく、示差走査熱量天秤なども利用でき、任意の形式の
熱天秤に有効である。また、試料ホルダについても、図
1に示すような共通の試料ホルダだけでなく、測定試料
容器と標準試料容器のそれぞれに対して別個に試料ホル
ダを設けた、いわゆる差動形の試料ホルダを用いてもよ
い。
の熱天秤としては、図1に示すような示差熱天秤だけで
なく、示差走査熱量天秤なども利用でき、任意の形式の
熱天秤に有効である。また、試料ホルダについても、図
1に示すような共通の試料ホルダだけでなく、測定試料
容器と標準試料容器のそれぞれに対して別個に試料ホル
ダを設けた、いわゆる差動形の試料ホルダを用いてもよ
い。
【0038】
【発明の効果】この発明の発生ガス分析方法では、試料
の重量変化速度に応じて試料温度を制御して試料の重量
変化を測定するとともに、試料から発生したガスを質量
分析計に導入しているので、近接した温度で異なる反応
が試料に生じる場合でも、それぞれの反応段階における
発生ガスを分離して取り出すことが可能になり、質量分
析計においてパターンマッチングによる発生ガスの特定
が可能になる。
の重量変化速度に応じて試料温度を制御して試料の重量
変化を測定するとともに、試料から発生したガスを質量
分析計に導入しているので、近接した温度で異なる反応
が試料に生じる場合でも、それぞれの反応段階における
発生ガスを分離して取り出すことが可能になり、質量分
析計においてパターンマッチングによる発生ガスの特定
が可能になる。
【図1】この発明を実施するための発生ガス分析装置の
概略構成図である。
概略構成図である。
【図2】条件を変更したときの昇温速度曲線の変化を示
すグラフである。
すグラフである。
【図3】試料の減量率を温度の関数として示したグラフ
である。
である。
【図4】試料の減量率と温度を時間の関数として示した
グラフである。
グラフである。
【図5】実際の実験データのグラフである。
【図6】試料の減量率のグラフと質量分析計での全積分
強度のグラフとを対応させて模式的に示したグラフであ
る。
強度のグラフとを対応させて模式的に示したグラフであ
る。
10 保護管 12 測定試料容器 14 標準試料容器 16 試料ホルダ 18 示差熱電対 20 赤外線ランプ 22 楕円集光鏡 24 天秤ビーム 42 プログラム自動温度制御装置 48 制御係数設定装置 50 質量分析計
Claims (4)
- 【請求項1】 試料の重量変化速度に応じて試料温度を
制御して試料の重量変化を測定するとともに、試料から
発生したガスを質量分析計に導入して、試料のそれぞれ
の反応段階における発生ガスの種類を特定することを特
徴とする熱重量測定における発生ガス分析方法。 - 【請求項2】 試料の重量変化速度に応じて試料の温度
変化速度が連続的に変化するように試料温度を制御して
試料の重量変化を測定するとともに、試料から発生した
ガスを質量分析計に導入して、試料のそれぞれの反応段
階における発生ガスの種類を特定することを特徴とする
熱重量測定における発生ガス分析方法。 - 【請求項3】 試料の温度変化速度の絶対値が試料の重
量変化速度の絶対値の単調減少関数となるように試料温
度を制御することを特徴とする請求項2記載の発生ガス
分析方法。 - 【請求項4】 試料を加熱するのに赤外線加熱炉を用い
ることを特徴とする請求項1または2に記載の発生ガス
分析方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7633194A JPH07260663A (ja) | 1994-03-24 | 1994-03-24 | 熱重量測定における発生ガス分析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7633194A JPH07260663A (ja) | 1994-03-24 | 1994-03-24 | 熱重量測定における発生ガス分析方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07260663A true JPH07260663A (ja) | 1995-10-13 |
Family
ID=13602378
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7633194A Pending JPH07260663A (ja) | 1994-03-24 | 1994-03-24 | 熱重量測定における発生ガス分析方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07260663A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006250770A (ja) * | 2005-03-11 | 2006-09-21 | Sumika Chemical Analysis Service Ltd | クリソタイルの分析方法 |
| JP2014507652A (ja) * | 2011-01-18 | 2014-03-27 | ネッチュ ゲレーテバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | ガス分析による熱分析装置及び熱分析方法 |
| CN104237058A (zh) * | 2014-09-23 | 2014-12-24 | 中国科学技术大学 | 一种热重分子束质谱联用装置 |
| KR20180121098A (ko) * | 2017-04-28 | 2018-11-07 | 연세대학교 원주산학협력단 | 분사층 열중량 분석 장치 |
| KR20190010428A (ko) | 2017-07-21 | 2019-01-30 | 가부시키가이샤 히다치 하이테크 사이언스 | 질량 분석 장치 및 질량 분석 방법 |
| CN112432876A (zh) * | 2020-11-17 | 2021-03-02 | 中广核工程有限公司 | 放射性废物的热降解实验系统和热降解测试方法 |
| CN114112782A (zh) * | 2021-11-12 | 2022-03-01 | 武汉理工大学 | 不同阻燃剂对沥青阻燃抑烟效果影响程度的评价方法 |
-
1994
- 1994-03-24 JP JP7633194A patent/JPH07260663A/ja active Pending
Cited By (9)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006250770A (ja) * | 2005-03-11 | 2006-09-21 | Sumika Chemical Analysis Service Ltd | クリソタイルの分析方法 |
| JP2014507652A (ja) * | 2011-01-18 | 2014-03-27 | ネッチュ ゲレーテバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | ガス分析による熱分析装置及び熱分析方法 |
| CN104237058A (zh) * | 2014-09-23 | 2014-12-24 | 中国科学技术大学 | 一种热重分子束质谱联用装置 |
| KR20180121098A (ko) * | 2017-04-28 | 2018-11-07 | 연세대학교 원주산학협력단 | 분사층 열중량 분석 장치 |
| KR20190010428A (ko) | 2017-07-21 | 2019-01-30 | 가부시키가이샤 히다치 하이테크 사이언스 | 질량 분석 장치 및 질량 분석 방법 |
| JP2019023572A (ja) * | 2017-07-21 | 2019-02-14 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 質量分析装置及び質量分析方法 |
| US10969319B2 (en) | 2017-07-21 | 2021-04-06 | Hitachi High-Tech Science Corporation | Apparatus for and method of mass analysis |
| CN112432876A (zh) * | 2020-11-17 | 2021-03-02 | 中广核工程有限公司 | 放射性废物的热降解实验系统和热降解测试方法 |
| CN114112782A (zh) * | 2021-11-12 | 2022-03-01 | 武汉理工大学 | 不同阻燃剂对沥青阻燃抑烟效果影响程度的评价方法 |
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