JPH0726148B2 - 高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法 - Google Patents

高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法

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JPH0726148B2
JPH0726148B2 JP19316990A JP19316990A JPH0726148B2 JP H0726148 B2 JPH0726148 B2 JP H0726148B2 JP 19316990 A JP19316990 A JP 19316990A JP 19316990 A JP19316990 A JP 19316990A JP H0726148 B2 JPH0726148 B2 JP H0726148B2
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智也 小関
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川崎製鉄株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、溶接構造物の部材に用いて好適な溶接構造
用鋼に関し、特に振動や騒音を抑制し得る高い振動減衰
能を有する、引張強度が41kgf/mm2以上の溶接構造用鋼
を有利に製造する方法を提案しようとするものである。
近年、鉄道橋梁や自動車用道路橋などの大重量の通過車
両の移動に伴う激しい振動をはじめとして、特に居住地
域に近接して立地した工場や作業場などの施設ないしは
機械構造物に生じる振動ないしはそれらに伴われる騒音
が、社会問題とされる風潮が著しい。
このための対策としては、吸音材料や遮音材料あるいは
振動絶縁材料を使用したり、また構造物の剛性を増大さ
せて共鳴を回避したりする種々な手法が講ぜられている
けれども、実際にはその騒音源となる振動は複雑で、そ
の原因を排除することは一般には困難である。
そこで構造部材としての材料自体に振動減衰特性いわゆ
る制振性を付与して、それによる構造物の振動、騒音の
抜本的な改善を図ろうとする方法、いわゆるマテリアル
・ダンピング法が注目されている。
ここで合金の制振性能は、一般にその内部摩擦(Q-1
の大きさで表すことが多い。これは歪振幅1サイクル当
たりに失われるエネルギーの大きさの指標であり、Q-1
が大きい合金ほど、振動エネルギーを合金内部で熱エネ
ルギーに変換する割合が大きく、高い制振作用を有す
る。
(従来の技術) 上記の制振性を付与した鋼材について、既にいくつかの
提案が行われている。
例えば特公昭60−26813号公報には、低降伏点でかつ粗
大粒とする防振鋼材の製造方法が提案されている。
しかしこの鋼材は、低強度でありまたじん性が劣るため
に構造部材としては使用できない。
また特開昭52−144317号公報には、3〜40wt%(以下単
に%で示す)CrでさらにTi、Alを添加した防振鋼が、さ
らに特開昭57−181360号公報には、1.5〜9%Alを含有
する制振厚鋼板が、そして特公昭57−22981号公報に
は、4〜7%Cr、3〜5%Alを含有する制振性を有する
鋼材がそれぞれ開示されている。
しかしいずれの鋼材も溶接性に難点があったり、じん性
の改善を必要としたりまた制振性が十分でなかったり、
合金成分が多量に添加されて高価であるという問題を残
していた。
以上のべたほか特開昭53−1621号公報には、粒界酸化に
より振動減衰特性を付与した18−8ステンレス鋼が提案
されているが、溶接性に問題がありまた大量生産には適
さないという問題があった。
(発明が解決しようとする課題) 高い制振性を有し、溶接構造用鋼材として必要な溶接性
を具備してしかもじん性に優れる、比較的安価な、振動
減衰特性に優れた引張強度が41kgf/mm2以上の溶接構造
用鋼を工業的規模で安定して量産できる製造方法を提案
することがこの発明の目的である。
(課題を解決するための手段) さて強磁性体の鋼では、磁気スピンが揃うのに対応して
結晶格子には歪(磁歪)が生じていて、主にこの影響を
受けて内部は磁区に分割されている。
かような鋼に外力(振動)が加わると、磁歪との相互作
用によって磁区壁が移動する。すると強磁性体内部に生
じるこの磁区壁の移動すなわち磁化の変化を打ち消すよ
うに渦電流が生じ、この渦電流は、逆に磁歪を通じて歪
を引き起こす。この歪は、外力に対して位相が遅れるの
で、いわゆる磁気−力学的ヒステリシス型の内部摩擦に
より振動減衰特性があらわれる。これについては、例え
ば純鉄が比較的制振性に優れることについて知られてい
るとおりである。
しかし純鉄は、強度が低く、構造用部材としての適用は
不可能であるばかりでなく、制振性能も十分とは言い難
い。
そこで発明者らは溶接構造用鋼材としての強度とじん性
とを有し、かつ純鉄よりも高い振動減衰能をも兼ね備え
る鋼材を、工業的に量産可能としてしかも安定して特性
を具備できる製造方法を種々検討した結果、熱間圧延を
適切な条件で行いかつ所定の中間熱処理を施すことが、
上記の目的を達成するために肝要であることの知見を得
た。
すなわちこの発明は、C:0.02%以下、Si:0.02%以下、M
n:0.08%以下、Cu:0.05〜1.50%、Al:1.0〜7.0%及びN:
0.0080%以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よ
りなる鋼素材を、1000〜1300℃に加熱後、圧延仕上げ温
度を650〜900℃とする熱間圧延を施し、引き続き冷却速
度0.1℃/s以上で室温まで冷却を行い、次いで800〜1300
℃に加熱保持後、冷却速度1.0℃/s以下で冷却する中間
熱処理を施した後、450〜700℃に保持する最終熱処理を
施すことを特徴とする高振動減衰能を有する溶接構造用
鋼の製造方法(第1発明)及び、 C:0.02%以下、Si:0.02%以下、Mn:0.08%以下、Ni:0.0
5〜1.50%、Cu:0.05〜1.50%、Al:1.0〜7.0%及びN:0.0
080%以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物より
なる鋼素材を、それぞれ1000〜1300℃に加熱後、圧延仕
上げ温度を650〜900℃とする熱間圧延を施し、引き続き
冷却速度0.1℃/s以上で室温まで冷却を行い、次いで800
〜1300℃に加熱保持後、冷却速度1.0℃/s以下で冷却す
る中間熱処理を施した後、450〜700℃に保持する最終熱
処理を施すことを特徴とする高振動減衰能を有する溶接
構造用鋼の製造方法(第2発明)である。
(作 用) この発明における成分組成範囲の限定理由についてまず
説明する。
Cは、通常の鋼では強化成分として含有させるが、この
発明の鋼では、Cuの析出による強化作用を利用するの
で、強化成分としての量は必要ない。むしろC含有量が
0.02%を超えると、制振性を劣化させるので、0.02%以
下に限定した。
Siは、0.02%を超えて含有させると、制振性を劣化させ
るので、0.02%を上限とした。
Mnは、Cu添加により強化する際に、じん性に悪い影響を
与えるので、その含有量は低いほど好ましく、その含有
量の上限は0.08%であるので0.08%以下に限定した。
Cuは、時効処理により微細なε−Cuとして析出させて、
鋼を強化させる成分であり、Mn含有量を低下させた鋼に
Cuを含有させることにより、制振性を損なうことなしに
強度とじん性とを両立させることができる。したがって
この発明では必須の成分であるが、Cu含有量が0.05%に
満たないとその効果に乏しく、一方1.50%を超えて含有
させると熱間割れを生じるおそれがあるので0.05〜1.50
%の範囲とした。
Alは、Mnを0.08%以下に低減し、ほぼ純鉄の組成になる
鋼に含有することで振動減衰特性を向上させるがその含
有量が1.0%に満たないとその効果がなく、一方7.0%を
超える含有では、溶接部のじん性が劣化するのでAl含有
量は1.0〜7.0%の範囲とした。
Nは、その含有量が低いほうが母材及び溶接部のじん性
の面から好ましく、許容できる上限は0.0080%である。
この発明の鋼は、第2発明において、以上の成分に加え
てさらにNiを0.05〜1.50%含有させる。
Niは、Cuの添加に由来する熱間割れの傾向を制振性を損
なうことなしに抑えることができる。Ni量が0.05%に満
たないとその効果に乏しく、一方1.50%を超えると経済
的でないという不都合が生じるのでNi含有量は、0.05〜
1.50%の範囲とした。
上記の成分のほか、この発明では不純物成分としてP、
Sをそれぞれ0.01%、0.005%まで許容できる。
Pは、その含有量の増加とともに制振性を劣化させる
が、0.01%までは許容できるので上限を0.01%とする。
Sは、P同様、制振性に好ましくない成分であり、その
含有量が0.005%を超えると制振性が特に劣化する。し
たがってS含有量は0.005%を上限とする。
次に、圧延条件及び熱処理条件の限定理由について以下
説明する。
この発明の製造方法の要部は、 (1)熱間圧延終了時にCu析出が生じていないで、かつ
十分な圧延歪が鋼素材に蓄積される熱間圧延・冷却条件
を選定し、 (2)次に行う中間熱処理では、結晶粒の整粒化及び粗
大化または固溶成分の均質固溶化を図り、その後の冷却
歪は極力低減する条件を選定する。なお前述の熱間圧延
・冷却による圧延歪の蓄積は、この中間熱処理時におけ
る粒成長を助長する効果を持つ。またこの中間熱処理後
の冷却終了温度は、次に行う熱処理温度(450〜700℃)
から室温までの任意の温度で良い。
(3)最終熱処理は、Cu析出を増進させる処理で、強度
確保を目的として行う ことにある。
このことから、各処理条件を次のとおりに限定した。
熱間圧延に先立つ鋼素材の加熱温度は、熱間圧延が可能
な温度とし、かつ結晶粒の粗大化、固溶成分の均質固溶
化を図るために1000〜1300℃とした。加熱温度が1000℃
に満たないと結晶粒の混粒化が生じて最終製品の制振性
能がばらつく原因の一つとなり、また1300℃を超えると
鋼表面の酸化が著しく、また経済的にも不利である。
熱間圧延の圧延仕上げ温度は、Cuの析出を抑制しつつ、
圧延歪の蓄積を図るために650〜900℃の範囲とした。65
0℃に満たない低温仕上げとすると、Cuの析出が生じる
こと及び混粒組織となり易いため、制振性の不安定化の
要因となる。また低温仕上げでは、圧延に要する時間が
増大し、製造コストの増加をもたらすので好ましくな
い。一方圧延仕上げ温度が900℃を超えると、被圧延材
への圧延歪の蓄積が不十分であり、その後の中間熱処理
での粒成長、粗大化が効率良く達成しにくい。
熱間圧延に引き続く冷却は、Cu析出の抑制と圧延歪の凍
結を目的とし、0.1℃/s以上の冷却速度が必要である。
なお冷却速度の上限は、この発明では特に制限するもの
ではない。工業的に実施可能な範囲としては、60℃/s程
度以下である。
中間熱処理の温度は、結晶粒の整粒化及び粗大化または
圧延歪の完全な除去を目的に800〜1300℃とする。なおA
lを1〜2%未満含有する場合は、その上限はフェライ
ト単相となる900〜950℃が望ましい。1〜2%未満Al含
有鋼では950〜1000℃でフェライト→オーステナイト変
態が生じ、細粒組織となって制振性能が低下するうれい
がある。また2%以上のAlを含有する場合は、フェライ
ト単相となって処理温度が高温であるほど制振性向上に
好ましいが、処理後の表面性状や工業的な経済性からそ
の上限を1300℃とした。また中間熱処理温度が800℃に
満たないと圧延歪の完全除去が困難であり、結晶粒粗大
化も十分でないため制振性は劣化する。加熱保持時間
は、熱処理温度及び対象鋼の厚みによって異なるため特
に限定はしないが、1時間以上保持することが好まし
い。
中間熱処理後の冷却は、各位置の冷却むらに伴う歪導入
を防ぐため、1.0℃/s以下の冷却速度とする。冷却終了
温度については特に限定しないが、その後の最終熱処理
温度範囲(450〜700℃)から室温までの任意の温度が望
ましい。
最終熱処理は、ε−Cuの析出による強度上昇を目的に行
うが、450℃未満及び700℃を超えるといずれも析出効果
が十分でないため450〜700℃の範囲とした。なおこの保
持時間については、中間熱処理と同様に熱処理温度及び
対象鋼の厚みによって異なるため特に限定はしないが、
1時間程度保持することが好ましい。
この発明の材料は、通常の溶製、鋳造及び圧延により厚
鋼板とすることができる。また厚鋼板に限らず薄鋼板、
形鋼、棒鋼、線材などにも用いることができる。
(実施例) 表1に示す種々の成分組成になる鋼を常法に従って溶
製、鋳造した。
これらの各鋼について、種々の条件で熱間圧延、中間熱
処理及び最終熱処理を施した。なお鋼板板厚は25mmであ
り、冷却速度は冷媒の濃度調整及び保温材の使用等によ
って種々変化させた。
得られた各鋼板について機械的特性及び減衰特性
(Q-1)を調べた。機械的特性は板厚中央部から試験片
を採取し、また減衰特性は板厚中央部から1.5mm厚の短
冊状試片を採取し、それぞれ測定した。
各鋼の圧延条件、熱処理条件及び得られた機械的特性、
減衰特性について、表2にまとめて示す。
表1において、鋼A〜Cはこの発明の成分組成になる鋼
であり、鋼D〜Fはこの発明の成分組成範囲を外れた成
分の比較鋼である。表2中の区分は、この発明の適合例
を○印で、比較例を×印で示したものである。
表2から明らかなように、適合例はいずれも溶接構造用
鋼板として要求される機械的特性を満足し、また内部摩
擦Q-1は比較例に比べて著しく向上している。
鋼の成分組成がこの発明の範囲内で、しかも製造条件が
この発明に適合することによりはじめて著しくQ-1が向
上する。
次に溶接部のじん性を測定し、得られた結果を表3に示
す。溶接は、入熱量10kJ/mmのサブマージアーク溶接を
行い、試験は、継手ボンド部にノッチを入れて調べたも
のである。
表3から、適合例は溶接構造用として使用可能な溶接部
吸収エネルギーを有していることがわかる。
(発明の効果) この発明の製造方法による鋼材は、従来の構造用材料と
遜色のない十分な強度、じん性及び溶接性を有し、高い
振動減衰能をも兼ねそなえ、しかも工業的に容易に製造
が可能である。本鋼材は、機械構造物のあらゆる箇所
で、従来鋼材の代替が可能となり、構造物の振動、騒音
を確実に低減することができ、工業上極めて有用であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.02wt%以下、 Si:0.02wt%以下、 Mn:0.08wt%以下、 Cu:0.05〜1.50wt%、 Al:1.0〜7.0wt%及び N:0.0080wt%以下 を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼素材
    を、 1000〜1300℃に加熱後、圧延仕上げ温度を650〜900℃と
    する熱間圧延を施し、引き続き冷却速度0.1℃/s以上で
    室温まで冷却を行い、 次いで800〜1300℃に加熱保持後、冷却速度1.0℃/s以下
    で冷却する中間熱処理を施した後、 450〜700℃に保持する最終熱処理を施すことを特徴とす
    る高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】C:0.02wt%以下、 Si:0.02wt%以下、 Mn:0.08wt%以下、 Ni:0.05〜1.50wt%、 Cu:0.05〜1.50wt%、 Al:1.0〜7.0wt%及び N:0.0080wt%以下 を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼素材
    を、 1000〜1300℃に加熱後、圧延仕上げ温度を650〜900℃と
    する熱間圧延を施し、引き続き冷却速度0.1℃/s以上で
    室温まで冷却を行い、 次いで800〜1300℃に加熱保持後、冷却速度1.0℃/s以下
    で冷却する中間熱処理を施した後、 450〜700℃に保持する最終熱処理を施すことを特徴とす
    る高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法。
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