JPH07267643A - ビスマス化合物、その製造法と無機陰イオン交換体 - Google Patents

ビスマス化合物、その製造法と無機陰イオン交換体

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JPH07267643A JP4482495A JP4482495A JPH07267643A JP H07267643 A JPH07267643 A JP H07267643A JP 4482495 A JP4482495 A JP 4482495A JP 4482495 A JP4482495 A JP 4482495A JP H07267643 A JPH07267643 A JP H07267643A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Bi1013+X(NO3 4-2X(−0.18≦
X≦0.29)の式で表されるビスマス化合物と、(N
3 )のBiに対する割合が4:10より大きいビスマ
ス化合物を原料とし、これを加熱し、原料が完全に分解
してBi2 3 になるとき減量する最大値よりも9.1
8〜7.34%少ない値に到達するときに熱分解を終了
することからなるその製造法、並びにこれを有効成分と
する無機陰イオン交換体。 【効果】 イオン交換容量及びイオン交換速度が大き
く、かつ耐酸、耐アルカリ性に優れ、酸性、中性及びア
ルカリ性いずれの水溶液中でも有効な無機陰イオン交換
体となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ビスマス化合物とそ
の製造法、並びにこの化合物を利用した無機陰イオン交
換体に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、水溶液や有機溶剤からの塩化物イオンの除去、産業
廃液の処理、原子力発電廃液からの放射性塩化物イオン
の除去や固定化、気体中のイオン性成分の回収および除
去に有用なビスマス酸化物硝酸化物化合物に属する新規
な化合物とその製造法並びにこの化合物を有効成分とす
る無機陰イオン交換体に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、塩化物イオンの除
去に有効な無機陰イオン交換体として、各種の含水酸化
物や水酸化物、ハイドロタルサイト、ビスマス酸化物硝
酸化物系化合物などが知られている。このうちのビスマ
ス酸化物硝酸化合物系化合物、つまり、Bi−O−(N
3)系化合物としては、Bi5 7 (NO3 )やBi
6 6 (NO3 6 などが報告されている。
【0003】しかしながら、現在では、上記の通りのも
のに限られており、新しい化合物の展開や、従来の無機
陰イオン交換体よりもイオン交換容量及びイオン交換速
度の大きい化合物の実現が求められており、また、反応
させる溶液のpH値を調整することなく、イオン交換が
できる無機陰イオン交換体の実現が望まれていた。この
発明は、以上の通りの事情を鑑みてなされたものであ
り、イオン交換容量及びイオン交換速度が大きく、かつ
耐酸、耐アルカリ性に優れ、酸性、中性及びアルカリ性
いずれの水溶液中でも有効な無機陰イオン交換体等とし
て有用な、新しいビスマス化合物を提供することを目的
としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、ビスマス酸化物硝酸化物系化合
物に属し、Bi1013+X(NO3 4-2X(−0.18≦
X≦0.29)の式で表されるビスマス化合物を提供す
る。そしてまた、この発明は、このビスマス化合物の製
造法として、硝酸基(NO3 )を有するビスマス化合物
であって、(NO3 )のBiに対する割合が4:10よ
り大きいビスマス化合物を原料とし、これを加熱し、原
料が完全に分解してBi2 3 になるとき減量する最大
値よりも9.18〜7.34%少ない値に到達するとき
に熱分解を終了することを特徴とする方法と、上記のビ
スマス化合物を有効成分とする塩化物イオン除去用の無
機陰イオン交換体をも提供する。
【0005】
【作用】この発明は、Bi1013+X(NO3 4-2X(−
0.18≦X≦0.29)の式で表されるビスマス化合
物であって、これを有効成分とする無機陰イオン交換体
によって、塩化物イオンを効果的に除去可能とする。酸
性、中性及びアルカリ性のいずれの水溶液においてもイ
オン交換性は有効である。
【0006】なお、一般的に、ビスマス酸化物硝酸化物
系化合物はハロゲンイオンに対してイオン交換性を持つ
ことが知られているが、これは、その化合物の組成中に
含まれる硝酸基や水酸基がハロゲンイオンと交換するた
めと理解されている。この発明のビスマス化合物の場合
にも、その組成中に硝酸基を有しており、これが塩化物
イオンとイオン交換するものと考えられる。そして、こ
の発明の場合には、従来の知見からは予期できないイオ
ン交換性能を実現している。
【0007】この化合物を製造するためには、出発原料
として、硝酸基(NO3 )を有するビスマス化合物であ
って、(NO3 )のBiに対する割合が4:10より大
きいビスマス化合物を使用し、これを熱分解する。この
ような出発原料としては、たとえば、塩基性硝酸ビスマ
ス、4Bi(NO3 )(OH)2 ・BiO(OH)や、
硝酸ビスマス五水和物、Bi(NO3 5・5H2
や、酸化物硝酸ビスマス、BiO(NO3 )や、その他
のビスマス化合物、たとえば、
【0008】
【化1】 (但し、0≦x≦5.5、nは0又は正の数)などの硝
酸基を含むビスマス化合物を使用する。出発原料を加熱
することによって、原料中のすべてのOH或いはH2
を放出すると同時に一部の(NO3 )は残存させて、分
解生成物の組成がこの発明の目的とするビスマス化合物
の組成になるように、分解をコントロールする。分解の
コントロールは加熱温度と加熱時間の調整によって行
い、原料が完全に分解してBi2 3 になるとき減量す
る最大値よりも9.18〜7.34%少ない値に到達す
るときに熱分解を終了すればよい。製造試験 以下、この発明の発明者が、目的のビスマス化合物を合
成するための方法と条件を明らかにした実験結果に沿っ
てさらに詳しく説明する。
【0009】塩基性硝酸ビスマスの熱分解の様子を熱重
量分析と示差熱分析の同時測定を行うことによって調べ
た結果を示したものが図1である。この図1から明らか
なように、この化合物を毎分10℃の割合で室温から加
熱して行くと、60℃付近から分解が始まり、630℃
付近で分解が終了する。分解終了後の化合物を粉末X線
回折法で同定したところ、結晶化したBi2 3 であっ
た。
【0010】また、上記の測定と並行して、質量分析装
置を用いて、熱分解によって雰囲気中に放出される物質
の同定を行うと、その結果は図2の通りとなる。これに
よると、分解して最初に出てくる物質は結晶水として含
まれていた水(A)であることが分かる。水の放出は3
25℃迄に終わり、これより高い温度で熱した試料には
2 Oは含まれていない。NO3 の放出は250℃付近
から始まり630℃付近までゆっくりと連続的に行われ
る。NO3 は放出される際、分解してNO(B)、O2
(C)などの混合ガスとして出てきている。このこと
は、原料がたとえ還元性雰囲気中に置かれても、分解中
は酸化雰囲気中に置かれているのに等しく、酸素の供給
を必要としないことを示している。
【0011】以上の実験結果から、塩基性硝酸ビスマス
を熱分解することにより、H2 Oは含まないが一部のN
3 を含む化合物を合成するのに適した加熱温度は、3
25〜630℃の範囲にあることが好ましいことがわか
る。具体的には、塩基性硝酸ビスマスを熱分解して、こ
の発明のビスマス化合物で、たとえば、x=0のときの
化合物、Bi1013(NO3 4 を合成するときの化学
反応式を表わすと次のようになる。
【0012】
【化2】 この式で(s)は固体、(g)は気体を表わす。この発
明の化合物、Bi1013(NO3 4 を合成するには、
上記反応(1)が終わった段階で化合物を取り出せばよ
い。しかし、この化合物を更に熱分解すると、化合物B
5 7 NO3 が生成する。そして分解を更に進める
と、残りの(NO3 )がすべて放出され、酸化ビスマス
が生成する。その反応は、たとえば、次式で表わされ
る。
【0013】
【化3】 この式でも(s)は固体成分、(g)は気体成分を表
す。上記(2)、(3)式より、化合物Bi1013(N
3 4 を完全に熱分解してBi2 3 にしたときの重
量減少の計算値は約8.5%である。したがって、目的
の化合物を合成するには、塩基性硝酸ビスマスの熱分解
を完全に行って酸化ビスマスにするときの理論重量減少
値20.3%より8.5%少ない値、すなわち11.8
%の重量減少を示す組成で分解をやめて試料を取り出す
とよい。
【0014】図1で原料が最大減量より約8.5%少な
い減量を示す組成の温度は約436℃である。この温度
の近傍で分解生成物の平均組成がBi1013(NO3
4 になっている。以上の結果から、この発明のビスマス
化合物を合成するのに適した温度は436℃付近か、又
はこれより低い温度が好ましいことが分かる。
【0015】そこで、この温度範囲と、先に得られた温
度範囲325〜630℃(H2 Oを含まずNO3 を含む
範囲)との両方を満足する温度範囲325〜436℃
で、温度と時間を変えて等温加熱による合成条件を探索
した。熱分解生成物の組成がこの発明の目的化合物に相
当するものであることの確認を熱重量分析法と質量分析
法との併用によって、そして、構造の確認を粉末X線回
折法によって行った。合成した化合物のX線回折のパタ
ーンを図3に示す。このデータを用いて構造解析を行
い、該化合物が正方晶系に属し、その格子定数はa=
7.965Å、c=20.417Åであることを明らか
にした。表1に各ピークの指数と面間隔の実測値
(do )と計算値(dc )及び相対反射強度の実測値
(l)を示す。面間隔の実測値と計算値とは良い一致を
示している。
【0016】
【表1】 この回折パターンは、−0.18≦x≦0.29の範囲
内で同一であり、この化合物が不定比性を持っているこ
とを示している。分解が進み過ぎると化合物Bi5 7
(NO3 )のパターンが混入する。また、分解が足りな
いと、未同定の不純物ピークが混入する。
【0017】かくして、硝酸基を含むビスマス化合物の
熱分解反応について鋭意検討を行った結果、新規な化合
物として、この発明の上記した通りのビスマス化合物の
合成に成功した。そこで、この発明における製造条件に
ついて以下の通り要約することができる。すなわち、ま
ず、出発原料としては、前述の塩基性硝酸ビスマスなど
のビスマス化合物を使用し、これを熱分解する。目的の
化合物を合成するには、出発原料を熱分解する際、それ
が完全に分解してBi2 3 になるとき減量する最大値
よりも約9.18〜7.34%少ない値に到達したと
き、分解を終了するとよい。熱分解を終了するには試料
を急冷するのが好ましい。
【0018】前述のように、適正な分解温度には、かな
りの幅があるので、375℃と365℃及び350℃の
三点を代表温度として選び、加熱時間を変えて熱分解を
行った。その具体例は、後述の実施例1と2及び3に示
してある。適正な加熱時間は、出発原料の量や容器の形
状、容器の周りの通気性などによっても変化する。実施
例以外の温度で分解しても合成は可能であるが、375
℃より高温になるにつれて均一な組成のコントロールが
困難になる。必要以上の高温で分解すると、急激な分解
が起こり、急激な分解は純粋な化合物の生成を妨げる。
また、350℃より低い温度になると、反応終結に更に
長い時間を必要とするようになる。したがって、これら
の点に留意して、加熱温度及び時間を選定する。
【0019】
【実施例】以下、実施例を示してさらに詳しくこの発明
のビスマス化合物とその製造法、並びにこれを利用した
無機陰イオン交換体について説明する。実施例1 塩基性硝酸ビスマス約2.0gを白金るつぼに入れて、
これを予め375℃に設定した電気炉中にて加熱した。
一定時間後、試料を取出して室温まで急冷した。取り出
した試料はふわふわした固体で、これをそのままX線構
造解析及び熱重量分析の試料に供した。その結果を示し
たものが表2である。
【0020】この表2から明らかなように、生成物のX
線回折のパターンが図3のパターンになるのは、上記式
でxが(−0.18≦x≦0.29)の値を満足すると
きである(加熱時間2〜10時間)。x=0.29のと
き、化合物はBi1013.29 (NO3 3.42となり、こ
れを完全に熱分解したときの重量減少は7.34%であ
る。x=−0.18のとき、化合物はBi10
12.82 (NO3 4.36となり、これを完全に熱分解した
ときの重量減少は9.18%である。
【0021】
【表2】 実施例2 塩基性硝酸ビスマスの約2.0グラムを白金るつぼに入
れて、これを予め365℃に設定した電気炉中にて加熱
した。一定時間加熱後、試料を取り出して室温まで急冷
した。これをそのままX線構造解析及び熱重量分析の試
料に供した。その結果を示したものが表3である。
【0022】この表3から明らかなように、生成物のX
線回折のパターンが図3のパターンになるのは、xが
(−0.18≦x≦0.23)の値を満足するときであ
る(加熱時間5.5〜40時間)。
【0023】
【表3】 実施例3 塩基性硝酸ビスマスの約2.0グラムを白金るつぼに入
れて、これを予め350℃に設定した電気炉中にて加熱
した。一定時間加熱後、試料を取り出して室温まで急冷
した。これをそのままX線構造解析及び熱重量分析の試
料に供した。その結果を示したものが表4である。
【0024】この表4から明らかなように、生成物のX
線回折のパターンが図3のパターンになるのは、xが
(−0.18≦x)の値を満足するときである(加熱時
間16〜70時間)。
【0025】
【表4】 実施例4 Bi1013(NO3 4 、0.25g(約0.1×10
−3グラム分子)と0.1mol dm-3のNaCl溶
液(pH=5〜6)1ml(0.1×10−3グラムイ
オン)を蓋付き容器に入れて密閉し、恒温槽中にて25
℃、50℃、および75℃の各々の温度で反応させた。
反応中に容器を震盪することによって溶液を攪拌した。
一定時間経過後、容器を取り出し、液体と固体を分離
し、溶液中に残存する塩化物イオン濃度をイオンクロマ
トグラフによって測定した。
【0026】添付した図面の図4は、反応時間と残留塩
化物イオン(%)の関係を示したものである。反応は2
5℃ではゆっくり進み、残存塩化物イオンの量は48時
間後で約1.8%、72時間後で約0.2%であった。
また、50℃では反応はかなり早く進み、残存塩化物イ
オンの量は48時間後で約0.5%、72時間後で0.
4%であった。これに対して、75℃では反応は非常に
早く進み、残存塩化物イオンの量は2時間後で約2.2
%、3時間後で約0.3%であった。実施例5 Bi1013(NO3 4 、2.00gと0.05mol
dm-3、0.005mol dm-3および0.000
5mol dm-3のNaCl溶液(pH=5〜6)10
mlを蓋付き容器に入れて密閉し、恒温槽中にて50℃
で72時間、容器を震盪しながら反応させた。
【0027】表5は、反応後の溶液中に残存した塩化物
イオンの濃度を分析した結果である。どの濃度でも塩化
物イオンが良く除去されていることがこの結果からわか
る。
【0028】
【表5】 実施例6 Bi1013(NO3 4 、0.1gと0.2mol d
-3のNaCl溶液1ml(溶液のpHが2〜13のと
き)または0.3mol dm-3のNaCl溶液1ml
(溶液のpHが1のとき)とを蓋付き容器に入れて密閉
し、恒温槽中にて50℃で48時間反応させた。反応中
に容器を震盪することによって溶液を攪拌した。反応後
に溶液中に残存する塩化物イオンの量を分析することに
より、見かけのイオン交換量を測定した。なお、イオン
交換容量はイオン交換体1gあたりの吸着したイオンの
当量数(単位はeqe g-1またはmeqe g-1)で
表す。
【0029】イオン交換容量の温度依存性を調べるため
に、25℃と75℃でも反応を行った。ただし、測定は
pHの値が1、7および13の3種類の溶液についての
み行った。反応時間は温度により異なり、25℃で72
時間、75℃で24時間反応させた。なお、Bi1013
(NO3 4 の(NO3 )がすべてCl- と置換すると
仮定して計算したときのイオン交換容量の理論値は1.
57meqe(ミリグラム当量)g-1である。
【0030】添付した図面の図5は、水溶液のpHと塩
化物の吸着量との関係を示したものである。この発明の
イオン交換体は酸性、中性、アルカリ性、いずれの溶液
中でも良く反応し、大きな交換容量を示すことが結果か
らわかる。pH=1の溶液中では理論値を越える値を示
している。これは反応生成物の一部がBiOClになる
からである。
【0031】
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明したと
おり、イオン交換容量及びイオン交換速度が大きく、か
つ耐酸、耐アルカリ性に優れ、酸性、中性及びアルカリ
性いずれの水溶液中でも有効な、新規なビスマス酸化物
硝酸化物化合物と、これを有効成分とする無機陰イオン
交換体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩基性硝酸ビスマスの熱重量分析曲線を示した
図である。Aが重量変化曲線を、Bが微分重量変化曲線
を示している。
【図2】質量分析曲線を示した図である。AがH2 Oの
分圧を、BがNOの分圧を、CがO2 の分圧を示す曲線
である。
【図3】この発明のビスマス化合物の粉末X線回折パタ
ーンを示した図である。
【図4】反応時間と残留塩化物イオン(%)の関係を示
した図である。
【図5】水溶液のpHと塩化物の吸着量との関係を示し
た図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi1013+X(NO3 4-2X(−0.1
    8≦X≦0.29)の式で表されるビスマス化合物。
  2. 【請求項2】 (NO3 )のBiに対する割合が4:1
    0より大きいビスマス化合物を原料とし、これを加熱
    し、原料が完全に分解してBi2 3 になるとき減量す
    る最大値よりも9.18〜7.34%少ない値に到達す
    るときに熱分解を終了することを特徴とする請求項1に
    記載のビスマス化合物の製造法。
  3. 【請求項3】 加熱温度が325〜630℃である請求
    項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 加熱温度が325〜436℃である請求
    項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1のビスマス化合物を有効成分と
    する塩化物イオン除去用の無機陰イオン交換体。
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