JPH0727404B2 - 火力発電プラント低損失定刻起動方法 - Google Patents

火力発電プラント低損失定刻起動方法

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JPH0727404B2
JPH0727404B2 JP61076099A JP7609986A JPH0727404B2 JP H0727404 B2 JPH0727404 B2 JP H0727404B2 JP 61076099 A JP61076099 A JP 61076099A JP 7609986 A JP7609986 A JP 7609986A JP H0727404 B2 JPH0727404 B2 JP H0727404B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、火力発電プラントの起動システムに係り、特
にプラント起動過程での運転制約条件を守り起動損失を
最小とし、かつ指定された起動完了時刻に対して正確な
起動を行うに好適な起動方法に関する。
〔従来の技術〕
火力発電プラントの起動に関する従来の方法は、起動前
の停止時間や機器の温度状態に応じて、ボイラへの初期
投入燃料量、主蒸気の昇温及び昇圧の時間関数、タービ
ンの昇速及び負荷上昇の時間関数が起動スケジュールと
して決定し、この起動スケジユールをプラントの各係統
に設けられた制御系で実行するという方法である。この
最も代表的な方法は、Electrical world Vol.165,No.6
の論文“Thermal Stress Influence Staring,Loading o
f Boilers,Turbines"で述べられている。
この方法は、プラントの限られた部分の初期状態によつ
て一義的に起動スケジユールを決定する方法である。即
ち、ボイラ蒸気圧力,ボイラ出口蒸気温度,蒸気タービ
ンケーシング温度の初期値に応じて、蒸気タービンの昇
速率,初負荷量,速度保持並びに負荷保持による蒸気タ
ービンの暖機時間及び負荷変化率を決定する方法であ
る。この方法は、ボイラ発生蒸気の昇温特性のばらつき
を起動スケジユールのマージンとして吸収しているた
め、作成される起動スケジユールは必要以上に長くなり
がちである。そのため、起動損失も大きくなりがちであ
る。また、別の従来方法としては、USP3,446,224及びUS
P4,228,359が知られている。これらは蒸気タービンに発
する熱応力をオンラインリアルタイムで監視しながら蒸
気タービンの急速起動を図るものであるが、必ずしも起
動損失を最小とせず、指定された起動時刻を守る具体的
方法およびボイラの起動方法に関しては何ら言及してい
ない。
ボイラの起動時間短縮を目的とした従来方法としては、
特開昭59−157402が知られている。この方法はボイラに
発生する熱応力をオンラインリアルタイムで監視しなが
らボイラ発生蒸気の急速昇温を図るものである。しか
し、この方式も必ずしも起動損失を最小とせず、指定さ
れた起動時刻を守る具体的な方法及びタービンの起動に
関しては何ら言及していない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、従来の方法はいずれもボイラもしくは蒸
気タービンの片方のみに着目した急速起動方法である。
このような個別の方法を組合せたとしても起動損失が最
小かつ、起動完了時刻が正確となる保証は何もない。そ
れは、ボイラと蒸気タービンは相互干渉が極めて強く、
個々の最適化が必ずしも全体の最適化とならないからで
ある。火力発電プラントの起動システムに与えられた基
本的な課題は 急速起動(短時間起動) 起動時間とは、一般にボイラ点火から目標負荷(中央給
電指令所から要求される)に到達するまでの所要時間で
定義される。
起動完了時刻定刻化(定刻起動) 起動完了とは、一般に目標負荷到達を意味するが、電力
系統への負荷併入をもつて定義する場合もある。
起動損失の低減(低損失起動) 起動時にプラントへ投入する全エネルギのうち、発生電
力分として寄与しない部分と定義する。
運転制限(制約)条件の高精度管理 を実現することである。
各課題の必要な理由は次の如きである。
急速起動 各プラントの起動時間を短縮できると次なるメリツトが
ある。
i)電力系統の電力供給安定度(負荷追従能力)が向上
する。
ii)火力発電プラントは大容量プラント(600MW以上)
を除いて、毎夜間停止される場合が多く、起動に約2時
間を要している。本発明によると約30分(約25%)の短
縮が期待できるため、運転員の負担が軽減される。
iii)起動時間と起動損失は強い相関があり、起動時間
の短縮は起動損失の低減()につながる。
起動完了時刻定刻化 各プラントが中央給電指令所から指定された時間通りに
起動を完了できると次なるメリツトがある。
i)電力系統の経済負荷配分運用が計画通り実行できる
ため、最高効率点での運用及び潮流損失の低減が可能と
なる。
ii)運転員による状態確認及び操作業務が定刻化し、運
転員の負担が軽減されると共に、安全性が向上する。
起動損失の低減 起動時にボイラに投入する燃料のうち、発生電力として
有効に働らくのは5〜10%であり、大部分は損失とな
る。ちなみに、500MWクラスのプラントでは起動時の燃
料投入量は約10kg/秒(約36トン/時)と厖大である。
従つて前記ii)iii)の理由で、本発明を適用すると
1回の起動につき16〜17トンの燃料費が節約できること
になる。
運転制限条件の高精度管理 前記を実現するためには、プラントのもつ潜在能
力を最大限に引出す必要がある。そのためには、起動過
程で、タービン熱応力,メタル温度,蒸気温度などのプ
ロセス変数が運転制限条件を侵すことのないように高精
度で管理する必要がある。本発明は、この点を十考慮し
た方式としている。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、ボイラと蒸気タービンの起動特性に関
する相互作用を考慮することにより起動損失の最小化と
全体としての起動完了時間を高精度化することのできる
火力発電プラント低損失定刻起動方法を提供することに
ある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、起動の全過程におけるプラント状態値が運転
制限条件を満足するか否かを事前確認するプラント動特
性モデルを設け、このモデルを用いた一種の山登り法に
より最適運転方策、すなわち最小損失起動スケージユー
ルを決定し実行しようというものである。
〔実施例〕
第1図には、火力発電プラント最小損失起動方法の基本
機能構成が示されている。この機能を大別すると、起動
スケジユール作成機能1000とスケジユール実行機能2000
から成る。前者ではプラント起動損失を最小ならしめる
最適起動スケジユール101を作成し、後者は実際のプラ
ント3000を最適起動スケジユール通りに起動するために
時々刻々プラントに対する操作量201を変更する。
起動スケジユール作成機能1000は更にスケジユール最適
化機能1100とプラント動特性予測機能1200から成る。前
者は更にオフライン最適化機能1110とオンライン最適化
機能1120から成り、後者は更にプラント動特性モデル12
10、ボイラ応力計算機能1220及びタービン応力計算機能
1230から成る。オフライン最適化機能1110は起動スケジ
ユール111を仮定し、これをプラント動特性モデル1210
に設定することにより起動特性(213,211,212)を模擬
すると共に、ボイラ応力計算機能1220及びタービン応力
計算機能1230にて、それぞれボイラ応力221及びタービ
ン応力231を算出する。一方、オンライン最適化機能112
0はプラント動特性モデル1210が動作するとき、タービ
ン応力231に応じてタービンの目標運転状態121を逐次最
適化する。オフライン最適化機能1110は、この結果算出
された運転制限条件に関係するプロセス変数の挙動及び
起動損失を評価し、新たに起動スケジユール111を仮定
し、これをプラント動特性モデル1210に設定する。ここ
で、起動損失は全起動過程で消費した燃料の発熱量から
電気出力を引いた値と定義する。この様な処理を繰返す
ことにより、プロセス状態が運転制限を侵すことなく最
小損失で起動を完了できる最適起動スケジユール101が
決定される。決定された最適起動スケジユール101はス
ケジユール実効機能2000に設定され、実際にプラントを
起動するための目標値となる。ここで、プラント動特性
モデル1210、ボイラ応力計算機能1220及びタービン応力
計算機能1230は、それぞれ初期値321,322及び323を必要
とし、これらは起動前に計測されたプロセス状態値とす
る。
次に、実施例における起動スケジユールを規定するパラ
メータを定義する。プラントの起動損失は基本的にプラ
ントの温度特性に依存するため、プラントの昇温特性と
因果関係の強いものをパラメータとして選定すべきであ
る。このような基本的考え方に基づいて、イグナイタ点
火間隔(TIG)、ミル起動間隔(TPLV)、主蒸気昇温
率(LTMS)及び再熱蒸気昇温率(TRNH)の4つのパラ
メータとして選定した。
イグナイタ点火間隔(TIG)とは、ボイラ点火指令が発
生されると、ボイラの各バーナ段に対応したイグナイタ
が時間間隔TIGで順次点火され軽油バーナが点火されて
ゆく間隔である。
ミル起動間隔(TPLV)とは、軽油バーナが全て点火さ
れた後、微粉炭ミルが順次起動されてゆくときの時間間
隔である。この場合、2台目までのミルは運用基準に従
つて定格流量の50%の微粉炭を供給する。3台目のミル
が起動されると、ボイラへ投入される微粉炭の全流量が
定格値の40%(各ミルの分担量は67%)となるように運
転する。その後、タービンが起動され発電機出力が40%
に達すると通常負荷運転モードに移行し、負荷要求に応
じてミルが起動され、最大5台のミルが運転される。各
ミルが起動されるにつれ、前記軽油バーナは消火されて
ゆく。
主蒸気昇温率(LTMS)は、通常負荷運転領域(40〜100
%負荷)での主蒸気温度の上昇速度を規定するパラメー
タであり、スケジユール実行機能2000で演算される主蒸
気温度目標値TMSSETに対して、次式に示す働きをも
つ。
ここで、TMS40:40%負荷に達したときの主気温度
(℃) TMSR:主蒸気温度定格値(℃) L:負荷(%) 即ち、負荷がLTMS(%)に達するとき主蒸気温度を定
格値に到達させることを意味する。
再熱蒸気昇温率(LTRH)とは、主蒸気温度と同様に通
常負荷運転領域での再熱蒸気温度の上昇速度を規定する
パラメータであり、スケジユール実行機能2000で演算さ
れる再熱蒸気温度目標値TRHSETに対して、次式に閉す
働きをもつ。
ここで、TRH40:40%負荷に達したときの再熱蒸気温度
(℃) TRHR:再熱蒸気温度定格値(℃) L:負荷(%) 即ち、負荷がLTRH(%)に達するとき再熱蒸気温度を
定格値に到達させることを意味する。
次に、オフライン最適化機能1110における最適化アルゴ
リズムについて詳細に述べる。
第2図は、本発明に非線形最適化手法の一つであるコン
プレツクス法を適用した起動スケジユール最適化アルゴ
リズムの基本処理手順を示す。ここで、スケジユールパ
ラメータは、 X=〔X(1),X(2),X(3),X(4)〕 =〔TIG,TPLV,LTMS,LTRH ……(3) と表記する。以下、各処理機能について説明する。
(1)イニシヤライズ100 最適化アルゴリズムで使用する定数及びイニシヤル値に
関して、その記号,値,単位及び意味を第3図に示す。
(2)初期シンプレツクス形成200 処理手順を第4図にす。初期試行点X1には設計値X
設定し、シミユレーシヨンを実行する。この場合のシミ
ユレーシヨンとはプラント動特性予測機能1200を動作さ
せ、起動スケジユールXに従つてプラントが起動され
る場合の起動特性を予測することである。このとき、X1
に対する運転制限要因Y(NMV)が陰的制約条件Y
(NMV)(第5図参照)を侵害していなければ、次式
に従つてX1の近傍で初期シンプレツクスを形成する。
ここで、Bは−1B1を満足する擬似乱数であ
り、第6図に示す手順で決定する。Xが陰的制約条件
を侵害する場合は第7図に示す手順で試行点を修正す
る。
(a)乱数発生220 第6図はMを変数とする擬似乱数の算出手順である。本
アルゴリズムは平方根の最上桁から5番目に現われる数
字を利用する方法である。
(b)初期シンプレツクス修正240 延長倍率修正係数D(I)に従つて、試行点X(I,J)
を次式のように修正する。
X(I,J)=X(I,J)+(1−D(I) (XMAX(I)−XMIN(I))……(5) (c)延長倍率修正係数決定260 操作パラメータを変更した場合の運転制限要因に対する
感度は、第8図に示すよう、大,中,小及び零と種々異
なる。従つて、どの運転制限要因が陰的制約条件(第5
図参照)を侵害したかによつて、試行点の延長倍率を修
正した方が画一的に修正するよりも最適値の探索効率が
高くなると考えられる。第9図は、この考え方に従つて
陰的制約条件の監視アルゴリズム(第10図参照)を基に
延長倍率修正係数を決定するアルゴリズムを示す。
(3)特性評価順位付け300 本機能は第11図に示すように、K個(本例ではK=8)
からなるシンプレツクスの頂点の中から特徴的な次の3
点を決定するためのアルゴリズムである。
i)最良頂点(X,QX,Q) K個の頂点のうち最小損失となる頂点に対応した操作パ
ラメータ(X)と起動損失 (QX,Q) ii)最悪頂点(X,QX,S) K個の頂点のうち最大損失となる頂点に対応した操作パ
ラメータ(X)と起動損失 (QX,S) iii)2番目に悪い頂点(XS2,QX,S2) K個の頂点のうち起動損失のうち2番目に大きい頂点に
対応した操作パラメータ(XS2)と起動損失(QX,S2) (4)重心計算400 第12図に示すように、最悪頂点Xを除く(K−1)個
の頂点からなるシンプレツクスの幾何学的重心座標X
を求める。
(5)新試行点決定500 第13図に示すように、新試行点をXK+1として、次式
を満足する座標で定義する。この点は最悪頂点Xと重
心Xを結ぶ直線上にあり、重心から距離R(X−X
)にある。ここでRは(7)で述べる延長倍率であ
る。
K+1=X+R(X−X) ……(6) 但し、XMINK+1MAX (6)試行点後退不可判定600 延長倍率の修正が発生すると、次の試行点は重心方向に
後退するが、無制限に後退させるのではなく、第14図に
示すようにR−0.1R0となつたとき後退は中止し、シ
ンプレツクス全体を縮退させ、新たな探索方向を見出
す。この縮退方法に関しては(9)で説明する。
(7)延長倍率修正700 陰的制約条件が侵害された場合は、第15図に示す方法で
延長倍率Rを修正する。
(8)新試行点延長800 新試行点XK+1における起動損失QXX,K+1が、それ
までの最小損失QX,Qよりも小さい場合は、第16図に示
すように、更に同一方向に延長して最適点への接近を図
る。この再延長点をXとする。
(9)試行点後退900 新試行点XK+1における起動損失QX,K+1が、それ
までの2番目に大きい損失QX,S2よりも大きい場合はX
K+1が最適点を飛び越した可能性がある。そこで、第
17図に示すようにQX,K+1X,Sの場合は試行点を重
心方向へ中間まで後退(Rを0.5Rとする)させ、Q
X,K+1>QX,Sの場合は大きく後退(R=0.5とする)
させる。このときの試行点をXとする。
(10)シンプレツクスの縮退1300 最悪点Xと重心Xを結ぶ直線上で特性改善点が見つ
からない場合(QX,C<QX,SとなるXがない場合)
は、シンプレツクスの大きさを最良点Xの方向に縮小
させることにより、新たに最適点への接近の可能性を見
出す。この場合、第18図に示すように最初は縮退率を1/
2とするが、各頂点が制約条件を侵害する場合は縮退率
を3/4とする。それでも制約条件を侵害する頂点は元の
位置にもどす。ここで、陽的制約条件とは最適化パラメ
ータ自身の上下限値であり、それぞれXMAX,XMINであ
る。第19図に示すように全パラメータが陽的制約条件を
満足していることを確認した上でシミユレーシヨンを実
行する。
(11)最悪点除外1420,1440,1460 第20図に示すように、X,XK+1あるいはXがX
よりも改善された点であればXを除外し、X,X
K+1あるいはXを追加することにより新たなシンプ
レツクスを形成する。
(12)探索回数制限到達判定1500 探索回数とはシミユレーシヨンの回数であり、これを制
限することにより、本アルゴリズムが無限ループに陥ら
ないようにする。第21図はそのための処理手順であり、
記号の意味は次の通りである。
:全シミユレーシヨン回数 NAD:シミユレーシヨン結果がシンプレツクスの頂点と
して使用された回数 NNG:シミユレーシヨン結果がシンプレツクスの頂点と
して使用されなかつた回数 NKAD:XK+1がシンプレツクスの頂点として使用され
た回数 NEAD:Xがシンプレツクスの頂点として使用された回
数 NCAD:Xがシンプレツクスの頂点として使用された回
数 NSAD:シンプレツクス縮退のためのシミユレーシヨン
結果がシンプレツクスの頂点として使用された回数 NKAG:XK+1がシンプレツクスの頂点として使用され
なかつた回数 NENG:Xがシンプレツクスの頂点として使用されなか
つた回数 NCNG:Xがシンプレツクスの頂点として使用されなか
つた回数 NSNG:シンプレツクス縮退のためのシミユレーシヨン
結果がシンプレツクスの頂点として使用されなかつた回
数。
(13)シミユレーシヨン1600 シミユレーシヨンの基本的手順を第22図に示す。シミユ
レーシヨンでは、プラント起動過程をボイラ起動,昇
速,負荷上昇の3つのフエーズに分けた。ボイラ起動フ
エーズは、イグナイタ点火から昇圧制御(本機能はプラ
ント動特性モデルに内蔵されている)を実行し、起動時
設定圧力(主蒸気は94.9ata,再熱蒸気圧力は8.16ata)
に到達するまでの起動過程を示す。昇速フエーズは、昇
速制御機能を含むメタルマツチ制御機能により定格速度
まで昇速し、且つ高圧タービンのメタルマツチ条件が成
立するまでの起動過程を示す。負荷上昇フエーズは、併
入条件判定機能により負荷併入し、負荷上昇制御機能に
より定格負荷(実運用においては目標負荷)に達するま
での起動過程を示す。
(14)最適点収束判定1700 最適点、即ち最小損失となる起動スケジユールは次式を
満足するXとする。
このときのXをXOPTと表記する。
以上でオフライン最適化機能1110の詳細説明を完了し
た。次に、オンライン最適化機能1120について詳細を説
明する。
オンライン最適化により急速起動を実現するために、次
の点に着目した。
(1)ドラム蒸気温度変化率を考慮した急速昇圧主蒸気
圧力の上昇はドラム圧力の上昇を意味し、ドラム圧力の
上昇は圧力で定まる飽和温度の上昇となつて表われる。
更に、ドラム蒸気温度が変化するとドラムには熱応力が
発生する。このドラム熱応力を許容値以下にするために
は蒸気温度の変化率を許容値以下とする必要がある。本
発明では圧力と飽和温度の関係が非線形性をもつている
ことを考慮して、常に最大許容温度変化率となるように
目標圧力を決定する方式とする。これにより、昇圧に要
する時間を最小にする。
(2)最適メタルマツチ条件算出による昇期通気制御対
象であるプラントは、中圧起動(中圧タービンにより昇
速する方式)とした。メタルマツチ条件は高圧タービン
と中圧タービンの両者を考慮する必要がある。本発明で
は、中圧タービンのメタル温度から定まる通気可能温度
に再熱蒸気温度に達すると、直ちに中圧タービンに通気
し昇速する。昇速が完了すると、高圧タービンのメタル
温度から定まる通気可能温度に主蒸気温度が達すると、
直ちに負荷上昇フエーズの制御を進める。これにより、
タービンの通気待ち時間を必要最小限にとどめる。
(3)中圧タービンの応力を考慮した急速昇速中圧ター
ビンのロータ表面及びボアに発生する応力(熱応力+遠
心応力)を許容値以下に抑え、且つ最大昇速率を逐次決
定することにより、最短時間で昇速を完了させる。
(4)併入可能条件判定による早期併入 併入直後はボイラ発生蒸気温度が急上昇する。この現象
を考慮せず、高圧タービンのメタルマツチ条件確立のみ
で併入してしまうと、負荷保持にもかかわらず、ロータ
には過大な熱応力が発生する方式とする。これにより、
併入のための待ち時間を最小にし、起動時間の短縮を図
る。
(5)高圧及び中圧タービンの応力を考慮した急速負荷
上昇 高圧及び中圧タービンのロータ表面及びボアに発生する
応力(熱応力+遠心応力)を許容値以下に抑え、且つ最
大負荷上昇率を逐次決定することにより、最短時間で負
荷を完了させる。
以上に述べた基本的考え方に基づいて作成されたオンラ
イン最適化機能1120の処理方式について詳細を述べる。
(1)昇圧制御 プラント起動時のボイラのドラムには、内部流体の温度
変化に伴なつて熱応力が発生する。このとき過大熱応力
の発生を防ぐには、内部流体温度の変化率を許容値以下
に抑えなければならない。内部流体温度は、そのときの
圧力で一義的に定まる飽和温度と見做されるため、許容
温度変化率は許容圧力変化率で表わすことができる。第
23図に示すように、圧力Pと飽和温度TSATの関係1123
は非線形である。いま、圧力Pにおける飽和温度変化率
の集合α(P)を と表記し、飽和温度変化率許容値をαとすれば、圧力
Pにおける許容圧力変化率β(P)1124は で表わされ、第24図に示す特性曲線が得られる。この特
性は圧力レベルが高くなるほど許容圧力変化率は大きく
なることを示している。昇圧制御にこの特徴を生かした
のが第24図に示す制御系ブロツク線図1125である。
(2)メタルマツチ制御1610 メタルマツチ制御の基本処理手順を第26図に示す。本プ
ラントは中圧タービン起動方式を採用しているため、再
熱蒸気温度TRHがTRMCHN(中圧タービンのメタルマツ
チ条件下限温度を再熱蒸気温度に換算した値であり、以
下、中圧タービンに対するNegative Maxと呼ぶ)よりも
高い場合はメタルマツチ条件が確立したことになり、中
圧タービンによる昇速が可能となる。低い場合は、その
状態で温度上昇を待つ。しかし、メタルマツチ条件が確
立した時点での主蒸気温度TMSがTMMCHP(高圧タービ
ンのメタルマツチ条件上限温度を主蒸気温度に換算した
値であり、以下、高圧タービンに対するPositive Maxと
呼ぶ)よりも高い場合は、主蒸気の昇温が早過ぎたこと
になり、高圧タービン通気による負荷上昇が不可能なた
め、もはや中圧タービンによる昇速は無意味となる。即
ち、メタルマツチ失敗である。また、昇速中にTMS>T
MMCHPとなつた場合もメタルマツチ失敗である。昇速完
了後の主蒸気温度TMSがTMMCHN(高圧タービンのメタ
ルマツチ条件下限温度を主蒸気温度に換算した値であ
り、以下、高圧タービンに対するNegative Max値と呼
ぶ)よりも低い場合は、主蒸気昇温待ちとなる。その
後、TMS>TMMCHNとなりメタルマツチ条件が確立すれ
ば、負荷上昇フエーズの併入可能条件判定機能へ処理は
移行する。昇速完了後、いつまでもメタルマツチ条件確
立待ちとなる場合は、シミユレーシヨン時間を制限(T
LIMIT)し、起動失敗と見做す。これにより、シミユレ
ーシヨンの計算時間を節約する。
次に、上記メタルマツチ条件の算出手順を説明する。
i)中圧タービンに対するNegative Max値(TRMCHN)1
611 第27図は、中圧タービンに対する再熱蒸気温度のNegati
ve Max値(TRMCHN)の算出手順を示す。本例では、通
気時の中圧タービンボール内蒸気温度のメタルマツチ下
限温度 TRSMINを、ボール温度TIBOよりも50℃だけ低い値に設
定してある。同図に示す処理は、ボール内蒸気温度がT
RSMINとなるような再熱蒸気温度TRSMINを算出するため
のものである。本処理は、タービン応力計算機能1230に
含まれる計算ルーチン(再熱蒸気温度からボウル内蒸気
温度を計算する方法)を共用し、収束計算により逆にT
RSMINからTRMCHNを求める方法としている。
ii)高圧タービンに対するPositive Max値(TMMCHP)1
612 第28図は、高圧タービンに対する主蒸気温度のPositive
Max値(TMMCHP)の算出手順を示す。本例では、通気
時の高圧タービン第1段後蒸気温度のメタルマツチ上限
温度TMSMAXを、ロータ表面温度(ケーシング内壁温度
と等しいと見做す)よりも50℃だけ高い値に設定してあ
る。同図に示す処理は、第1段後蒸気温度がTMSMAX
なるような主蒸気温度TMMCHPを算出するためのもので
ある。本処理も、前項と同様、タービン応力計算機能12
30に含まれる計算ルーチン(主蒸気温度から第1段後蒸
気温度を算出する方法)を共用し、収束計算により逆に
MSMAXからTMMCHPを算出する方式とした。
iii)高圧タービンに対するNegative Max値(TMMCHN
1613 第29図は、高圧タービンに対する主蒸気温度のNegative
Max値(TMMCHN)の算出手順を示す。本処理手順は、
前項と全く同じであり、メタルマツチ下限温度TMSMIN
に対応する主蒸気温度TMMCHNを求めるものである。
(3)昇速制御1640 第30図は、昇速制御の処理手順を示す。この処理の特徴
は、次の点である。
i)中圧タービンに発生する応力を予測し、この予測値
が許容値以下となる最大昇速率を逐次求めることによ
り、昇速時間が最短となる昇速パターンでタービンを起
動できること。
ii)応力予測の精度を高めるために、プラントモデルを
そのまま予測に用いること。
本方式では、基準時刻TIMEOからTNVARYの間を最大昇
速率DN(1)で昇速し、その後は速度保持したと仮定
し、時刻TIMEO+TNUPまでタービンに発生する応力を
予測する。その結果、応力の予測値がどの時点において
も許容値以下であれば、昇速率DN(1)で時刻TIMEO
NVARYまで実際(起動のシミユレーシヨンとして)に
昇速する。逆に、予測値が許容値以上となつた場合は、
1クランク下の昇速率DN(2)をモデルに設定し、発生
応力を予測する。DN(3)の場合でも、なお応力予測値
が許容値以下にならない場合はDN(4)を設定して速度
保持状態とする。この様にして、時刻TIMEO+TNVARY
に達すること、この時刻を再び基準時刻TIMEOと置き、
同様の処理を行なう。以上の処理を繰返すことにより定
格速度に達すると昇速制御が完了し、次の併入可能条件
判定の処理に移行する。
(4)併入可能条件判定1620 第31図は、併入可能条件判定のための処理手順を示す。
本処理内容は同図の破線で示すように、大きく分けて次
の2つから成る。
i)併入後の状態予測 初負荷(L=3%)を投入した後の発生応力をプラント
モデルを用いて予測し、これが全予測区間TILにおい
て、許容値以下となるか否かを判定する部分。許容値以
下であれば、負荷併入が実施される。
ii)併入条件待ち 前項での予測結果が否の場合、予測応力が許容値以上と
なる場合)、負荷併入を実施せず無負荷運転のまま制御
周TCS(次の状態予測を実施すまでの時間)だけ待つ。
この間に、主蒸気温度TMSが高圧タービンのメタルマツ
チ条件の上限温度TMMCHPを越す場合はメタルマツチ失
敗であり、起動失敗となる。メタルマツチ失敗とならな
ければ、次の制御同期に再びi)の処理にもどつて併入
後の状態を予測する。併入可能条件が成立すれば次の負
荷上昇制御に移行する。
(5)負荷上昇制御1630 第32図は、負荷上昇制御の処理手順を示す。本制御方式
は基本的には昇速制御方式と同じである。本式方では、
基準時刻TIMEOから TLVARYの間を最大負荷変化率DL(1)で負荷上昇し、
その後は負荷保持したと仮定し、時刻TIMEO+TLUP
でタービンに発生する応力を予測する。その結果、応力
の予測値がどの時点においても許容値以下であれば、負
荷変化率DL(1)で時刻TIMEO+TLVARYまで実際(起
動シミユレーシヨンとして)に負荷上昇する。逆に、予
測値が許容値以上となつた場合は、1ランク下の負荷変
化率DN(2)をモデルに設定し、発生応力を予測する。
DN(3)の場合でも、なお応力予測値が許容値以下にな
らない場合はDL(4)を設定して負荷保持状態とする。
この様にして、時刻が次の制御周期である。
IMEO+TNVARYに達すると、この時刻を再び基準時刻
IMEOと置き、同様の処理を行なう。以上の処理を繰返
すことにより目標負荷に到達すると起動完了となる。
以上の様にして、ボイラ点火から目標負荷到達に要した
起動時間をTとする。
以上に説明した方法により、最小損失起動スケジユール
と起動時間TX,Qが求まつたことになるが、定刻起
動を実現するために次の処理を行なう。第2図に示すよ
うに、現在時刻T0においてボイラを点火し、最小損失起
動スケジユールXに従つて起動したときの起動完了予
想時刻TPDは TPD=T0+TX,Q ……(10) となる。従つて、起動完了指定時刻TSETと上記TPD
誤差が許容値ε以下となるまでプラントはΔT1の時間刻
みで待機することになる。誤差が許容値ε以下となつた
とき、最小損失起動スケジユールXは最適起動スケジ
ユールXOPTとしてスケジユール実行機能2000に設定さ
れる。しかし、指定時刻TSETと予想時刻TPDの誤差が
所定値T以上の場合は、このまま待機すると起動スケ
ジユールの最適性が保証できなくなるため、時間刻みΔ
T2だけ待機し、再度最適起動スケジユールを求める。但
し、ΔT2<TSET−TPDとする。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、プラントの起動
損失最小化と定刻起動を同時に実現できるため、プラン
トの実効熱効率が向上し、電力系統における負荷調整積
度が向上するという効果がある。また、定刻起動は更に
運転員の負担を軽減するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は火力発電プラント最小損失起動方法の基本機能
構成図、第2図は起動スケジユール最適化アルゴリズム
フローチヤート、第3図は最適化アルゴリズムで使用す
る記号・値・単位および意味を示す図、第4図は第2図
図示初期シンプレツクス形成のフローチヤート、第5図
は運転制限要因と陰的制約条件の関係を示す図、第6図
はMを変数とする擬似乱数の算出手順を示す図、第7図
は陰的制約条件を侵害する場合の処理手順を示す図、第
8図は運転制限要因に対する感度を示す図、第9図は延
長倍率修正係数を決定するアルゴリズム、第10図は陰的
制約条件の監視アルゴリズム、第11図は最良最悪2番目
に悪い頂点を決定するアルゴリズム、第12図は幾何学的
重心座標を求めるフローチヤート、第13図は第2図図示
新試行点決定のフローチヤート、第14図は第2図図示試
行点後退不可判定のフローチヤート、第15図は第2図図
示延長倍率修正のフローチヤート、第16図は第2図図示
新試行点延長のフローチヤート、第17図は第2図図示試
行点後退のフローチヤート、第18図は第2図図示シンプ
レツクス縮退のフローチヤート、第19図は第18図図示陽
的制約条件侵害のフローチヤート、第20図は第2図図示
最悪点除外のフローチヤート、第21図は第2図図示探索
回数制限到達判定のフローチヤート、第22図は第2図図
示シミユレーシヨンのフローチヤート、第23図は圧力−
飽和温度特性図、第24図は圧力−許容圧力変化率特性
図、第25図は制御系ブロツク線図、第26図は第22図図示
メタルマツチ制御のフローチヤート、第27図は第26図図
示IPTメタルマツチ条件のフローチヤート、第28図は第2
6図図示HPTメタルマツチ条件のフローチヤート、第29図
は第26図図示HPTメタルマツチ条件のフローチヤート、
第30図は第26図図示昇速制御のフローチヤート、第31図
は第22図図示併入可能条件判定のフローチヤート、第32
図は第22図図示負荷上昇制御フローチヤートである。 1100……オフライン最適化機能、1120……オンライン最
適化機能、1210……プラント動特性モデル。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】火力発電プラントの起動に必要な操作およ
    び制御目標設定に関する時間的な起動スケジュールを該
    プラントの起動前に作成するための起動スケジュール作
    成機能と、該作成された起動スケジュールに従って実際
    にプラントを起動するスケジュール実行機能とを有する
    火力発電プラントの起動システムにおいて、 任意の起動スケジュールに対応した起動特性の模擬を可
    能とする動特性モデルと、 実際に上記プラントを起動する前に前記動特性モデルを
    用いて任意の起動スケジュールに対応して変動するプロ
    セス状態から起動過程で発生するエネルギ損失を計算す
    る起動損失計算機能と、 ボイラと蒸気タービンの運転制約条件に関係するプロセ
    ス状態の挙動を予測する動特性予測機能と、 該動特性予測機能で予測したプロセス状態が運転制約条
    件を侵害しているか否かを判定するための制約条件侵害
    判定機能と、 前記動特性予測機能により予測されたプロセス状態が全
    起動過程を通して制約条件を侵害することなく起動損失
    が最小となる最適スケジュール探索機能とを設け、 該最適スケジュール探索機能が出力する最適起動スケジ
    ュールを前記スケジュール実行機能に設定することを特
    徴とする火力発電プラント低損失定刻起動方法。
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