JPH07276050A - Tig溶接装置 - Google Patents

Tig溶接装置

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JPH07276050A
JPH07276050A JP7216094A JP7216094A JPH07276050A JP H07276050 A JPH07276050 A JP H07276050A JP 7216094 A JP7216094 A JP 7216094A JP 7216094 A JP7216094 A JP 7216094A JP H07276050 A JPH07276050 A JP H07276050A
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JP
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welding
consumable electrode
tip
motor shaft
arc
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JP7216094A
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English (en)
Inventor
Katsuyoshi Hori
勝義 堀
Nobuo Nakazawa
信雄 中澤
Hiroshi Watanabe
浩 渡辺
Masahiro Tsunoda
雅弘 角田
Toshiji Nagashima
利治 永島
Kazuyoshi Kusano
和喜 草野
Mitsuo Matsumoto
光雄 松本
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Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非消耗電極を高速でかつ位置精度よく揺動す
ることにより、高溶着速度で安定した溶接ができるTI
G溶接装置を提供する。 【構成】 非消耗電極48の先端を揺動しながらTIG
溶接するTIG溶接装置において、前記非消耗電極48
を揺動するモータ軸23に締結部材を介して非消耗電極
48を直結したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばホットワイヤT
IGアーク溶接装置などのTIGアーク溶接装置に係
り、特に狭開先内で溶接ができるTIGアーク溶接装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】厚板の狭開先アーク溶接を行う際には、
開先側壁、殊に開先底の隅部をアークで十分に溶融する
必要がある。隅部の溶融が不十分だと、隅部に溶接線方
向に連続した融合不良を形成することになる。
【0003】TIGアーク溶接装置を用いた狭開先溶接
も行われるが、その場合、開先の中心にタングステン電
極を配置しアークを発生して狭開先溶接を行うと、通常
はアークや形成される溶融池の大きさに比べて開先幅が
大きいので、両開先側壁や両隅部を溶融することが難し
い。
【0004】狭開先TIG溶接に用いられるトーチ1の
一例を図12に、母材2の開先内に配置したトーチ1の
側面の状態を図13に示した。図中の3はタングステン
電極で、止めがね4により先端部材6に固定されてい
る。冷却水は流入管5から入り、先端部材6で折り返し
ながら先端部材6とタングステン電極3を冷却し、流出
管7から出てくる。8、9はシールドガスを案内する管
である。10はこれらの管を束ね、またアーク電流をタ
ングステン電極3に通電し、かつトーチ1を図示してい
ない溶接ヘッドに取り付ける部材である。
【0005】このように狭開先TIG溶接では、多くの
場合、タングステン電極3は偏平なトーチ1の先端に取
り付けられ、図13中の矢印で示すように、トーチ1全
体が開先幅方向に平行に往復動し、即ちウイビングし
て、開先隅部11a,11bの溶融を十分に行なうよう
に努めている。
【0006】しかし、タングステン電極3をトーチ1に
取り付けるために、開先幅方向のトーチ厚さはタングス
テン電極3より2〜4mm厚くなるので、トーチ1を平
行移動したのでは、タングステン電極3を開先隅部11
a,11bにそれほど近付けられず、開先隅部11a,
11bの溶融が相当に難しくなる。またトーチ1全体が
開先側壁12a,12bに等距離的に接近するので、し
ばしばアーク13が開先側壁12a,12bに沿ってト
ーチ1の上方に這い上がって、トーチ1を損傷する。
【0007】従来提案された図14の溶接装置(特公平
1-57996号公報)は、これらへの対策として先端部を曲
げたタングステン電極14を用い、トーチ軸芯を往復捻
転してタングステン電極14の先端を開先内で扇形状に
揺り動かし(以後、揺動と略記する)、開先隅部や側壁
の溶融を十分に行おうとするものである。
【0008】同図において、図中の15は駆動モータ
で、その動きは駆動歯車16、従動歯車17を介して、
タングステン電極14に間接的に伝えられる。従動歯車
17の動きは中間歯車18と複数個の磁石接点式センサ
19で検出され、タングステン電極14の揺動のための
モータ15の反転開始信号として利用している。
【0009】このようにすると、トーチ軸を開先中心に
置いたまま揺動するので、タングステン電極14先端の
振れ幅が開先内に入っているトーチ部分の厚さより大き
くとれ、開先側壁12に沿ってトーチ上方にまでアーク
が這い上がることが防止でき、またタングステン電極1
4の先端を開先隅部に向けることができるので、アーク
で隅部を十分に溶融することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】トーチを平行に動かす
にしても、また揺動するにしても、従来はモータの回転
動を歯車などの動力伝達機構を介して駆動していたの
で、1ないし2Hz程度の周波数でしかタングステン電
極を動かすことができなかった。
【0011】また、タングステン電極を揺動する場合、
開先側壁に最接近する電極先端位置は±0.15mmな
ど精度良くする必要がある。近付きすぎると開先と接触
して、タングステン電極が損傷し、また離れすぎると隅
部に融合不良を発生するため、タングステン電極先端部
の位置精度が高く要求されている。しかし、従来は前述
のようにタングステン電極の揺動を歯車などを介して間
接的に行なっていたため、歯車のバックラッシュなどに
より、精度良く電極先端の位置を保つことはできなかっ
た。
【0012】ところで、TIG溶接の添加ワイヤに通電
加熱するホットワイヤ溶接法を採用して、溶着速度を高
めようとすると、当然その溶着金属量に見合って母材表
面の溶融面積を増さなければ、オーバーラップなどの溶
接欠陥が発生する。そこでアーク電流を高くして母材溶
融能力を増そうとすると、大電流TIG溶接ではアーク
力によりアーク直下に激しい掘り込みを発生し、その上
に溶融金属が覆い被さって、トンネル状の空孔ができ
る。このため、従来はアーク電流を300A以上に高め
ることは難しいとされていた。また、溶接速度を速くす
ると、タングステン電極先端が両開先側壁間をゆっくり
(1〜2Hz程度)往復する間に溶接線方向に進み過ぎ
て、開先隅で溶融しないところが発生する。このよう従
来はアーク電流を高めることもできず、溶接速度を速く
することもできないために、結局、高能率と言われるホ
ットワイヤ溶接法を採用しても、実用的には溶着量を高
めることができなかった。
【0013】タングステン電極について言えば、先端を
曲げたタングステン電極は通常市販されておらず、特殊
な加工を加えて製作しなければならない。またタングス
テン電極の先端が消耗すると、長いタングステン電極全
体を取り替えなければならないので高価につく。
【0014】また、電極の冷却が長いタングステン電極
の付け根で行なわれるので冷却効果が少なく、したがっ
てアーク電流がタングステン電極中を流れることによる
抵抗発熱を少なくするために、太い電極を用いなければ
ならなかった。太い電極を用いるときには、電極先端を
尖らせて使うので、それだけ開先隅部にアークが届き難
くなる。
【0015】狭開先中のシールドについては、開先の上
方からシールドガスを流したり、またそれと同時に、ト
ーチ先端にシールドガスを流出するシールド管を配置し
てシールドガスを流出していた。しかし、高速のガスを
管から吹き出す時には、周囲の他のガスを巻き込んでシ
ールドガスの純度を下げるので、その巻き込みを防ぐた
めに様々な工夫をトーチ先端部に加えられていた。この
ため、トーチ先端が複雑になり、またトーチ厚みを増
し、トーチ上方からのアーク監視が難しくなるなどの問
題点があった。
【0016】本発明の第1の目的は、非消耗電極を高速
でかつ位置精度よく揺動することにより、高品質で安定
した溶接ができるTIG溶接装置を提供することにあ
る。
【0017】本発明の第2の目的は、母材溶融能力の高
い大電流アークが可能なTIG溶接用トーチを提供する
にある。
【0018】本発明の第3の目的は、周囲の他のガスの
巻き込みがなく、純度の高いシールドガス状態が容易に
形成され、良好なガスシールドが簡単に行えるTIG溶
接装置を提供することにある。
【0019】本発明の第4の目的は、母材溶融能力の高
い大電流アークを用いても高溶着量の溶接が行えるTI
G溶接装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は前記第1
の目的を達成するため、例えばタングステン電極などの
非消耗電極の先端を揺動しながらTIG溶接するTIG
溶接装置において、前記非消耗電極を揺動する例えばス
テッピングモータなどのモータ軸に締結部材を介して非
消耗電極を直結したことを特徴とするものである。
【0021】第2の本発明は前記第2の目的を達成する
ため、例えばタングステン電極などの非消耗電極を支持
する先端部材と上部部材との間が二重管構造になってお
り、その二重管構造の内側流路と外側流路を通して冷却
水を流入・流出することにより前記非消耗電極を冷却す
るとともに、前記二重管構造を構成する少なくとも一方
の管と先端部材が導電性を有し、その導電性の管ならび
に前記先端部材を通して非消耗電極に通電できるように
構成されていることを特徴とするものである。
【0022】第3の本発明は前記第3の目的を達成する
ため、例えばアルゴンガスなどのシールドガスを供給す
るシールドガス管の先端部に円筒状の金網などからなる
多孔質体を装着し、その多孔質体を狭開先内に挿入し、
該多孔質体からシールドガスを浸出してシールドするこ
とを特徴とするものである。
【0023】第4の本発明は前記第 の目的を達成する
ため、例えばタングステン電極などの非消耗電極と母材
との間にアークを形成するためのアーク電源と、添加ワ
イヤを加熱する加熱電源と、添加ワイヤを前記アーク側
に供給するワイヤ送給手段と、前記母材の表面に対して
例えば45ないし80度の範囲に傾斜して取り付けた非
消耗電極を5Hz以上で高速揺動する溶接ヘッドと、母
材に対して非消耗電極を負極に接続し、非消耗電極が後
退角となる方向に溶接を進行させ、かつ前記添加ワイヤ
の先端を溶接進行方向後方から溶融池に挿入するように
配置されたワイヤトーチとを備えたことを特徴とするも
のである。
【0024】
【作用】前記第1の本発明では、前述のように非消耗電
極がモータ軸に直結されてモータ軸と一体に揺動するか
ら、従来のように歯車のバックラッシュの影響を受け
ず、そのために電極先端の位置を精度よく保つことがで
き、高品質で安定した溶接ができる。
【0025】前記第2の本発明では、前述のように二重
管構造の採用により通電用に使用される管は冷却される
ためアーク電流値を高くすることができ、母材溶融能力
の高い大電流アークが可能となる。
【0026】前記第3の本発明では、前述のようにシー
ルドガス管の先端部に多孔質体を装着して、その多孔質
体をを狭開先内に挿入し、該多孔質体からシールドガス
を浸出してシールドすることにより、シールドガス管か
らシールドガスが高速に吹き出す場合に見られる周囲の
他のガスの巻き込みがないので、純度の高いシールドガ
ス状態が容易に保たれ、狭開先内の溶接部を簡単にシー
ルドすることができる。
【0027】前記第4の本発明では、前述のように非消
耗電極を負極に接続し、母材表面に対し後退角に傾斜さ
せ、開先幅いっぱいに5Hz以上で高速揺動しているの
で、平坦な溶け込み状態となり、そのためビード底に空
孔(空洞)を生じることがなく、母材溶融能力の高い大
電流アークを用いても高溶着量の溶接が行える。
【0028】
【実施例】図1は、本発明の一実施例に係る揺動式TI
G溶接装置の溶接ヘッド部分を示している。図中の21
はタングステン電極48を揺動するためのステッピング
モータで、本実施例では1000パルスで1回転する5
相励磁型のステッピングモータが用いられ、ハーフピッ
チで制御することにより0.36度/パルスの精度で駆
動する。22はこのステッピングモータ21の動きを平
滑にするダンパーである。23は中空状のモータ軸、2
4は絶縁部材で前記モータ軸23と止めネジ25で機械
的に結合して一体に動く。
【0029】26は上部通電部材で、絶縁部材24にモ
ータ軸23とは絶縁を保ちながら一体に動くよう図示さ
れていないネジで結合されている。27は絶縁部材24
と上部通電部材26に挟まれて一体に動くセンサ板で、
ホトインタラプタ28と組み合わせてステッピングモー
タ21の回転制御を行う。29は冷却水入口ビニール
管、30は冷却水出口ビニール管で、それらの一端は可
撓性をもって上部通電部材26に接続されている。31
はアーク電流通電用の可撓性の通電ケーブルで、絶縁板
32に取り付けられたアーク電流接続端子33と上部通
電部材26とを接続している。34はステッピングモー
タ21を含め、上部の可動部を覆う外箱である。
【0030】図2は前記センサ板27の平面図で、同図
に示すように端部にエッジを有する扇形部27aが形成
されている。この実施例では扇形部27aが形成され、
そのエッジを光学的に検出することによりステッピング
モータ21の回転制御を行っているが(詳細は後述す
る)、半径方向に1つのスリットを設けた円板をセンサ
板として用いることもできる。
【0031】図3は、前記上部通電部材26の構造を説
明する断面図ある。上部通電部材26のモータ軸中心線
上の位置に孔80を開け、細く長い冷却水流入管35を
鑞付して一体化したユニオン36を捩じ込んで固定し、
ユニオン36の上側に冷却水入口ビニール管29を接続
する。上部通電部材26の下側で孔80に太くて短い銅
製の導電管37が鑞付されて一体化されている。そし
て、上部通電部材26の上側に孔34に繋がるもう一つ
の孔38を開けユニオン39を捩じ込んで固定し、冷却
水出口ビニール管30を接続する。このように冷却水流
入管35と導電管37とを二重管構造にし、この導電管
37の外側にさらに絶縁管40を被覆した状態で、前記
ステッピングモータ21のモータ軸23内に挿入し、ス
テッピングモータ21の下側にまで突き出している。
【0032】図1に示すように突き出した後で、導電管
37の先端に金属製の管継手41を取り付けている。そ
して導電管37は、絶縁性の補強管42によってモータ
軸23の下端部とも機械的に連結されている。トーチ管
43側にも金属製の管継手44を取り付け、導電管37
側の管継手41と水漏れなく、かつ導電性を保ちながら
強固に締結している。
【0033】このように導電管37とトーチ管43とを
管継手41、44で分離可能に接続すれば、アークなど
で損傷し易いトーチ部分が容易に取替えられ、そのため
取替えコストが安価になる。
【0034】図4は、トーチ管43の先端部の構造を説
明する断面図である。トーチ管43の先端に浅い穴45
つきの銅製の先端部材46を鑞付し、その穴45の底近
くまで冷却水流入管35の先端が延びている。また、先
端部材46にはモータ軸23の中心線に対して斜め(約
30度)に孔47が開けられ、その孔47にタングステ
ン電極48を差し込んで横から止めネジ49で固定して
いる。
【0035】本実施例では二重管構造の内側流路から冷
却水を流入し、先端部材46の穴45で折り返して、外
側流路から冷却水を流出しているが、反対に二重管構造
の外側流路から冷却水を流入し、先端部材46の穴45
で折り返して、内側流路から冷却水を流出してもよい。
【0036】再び図1に戻るが50はワイヤ電流通電ケ
ーブルで、通電治具51、コンタクトチューブ52、そ
の先端のコンタクトチップ53を介して添加ワイヤ54
に通電している。55は図示していないワイヤ送給手段
から添加ワイヤ54をガイドするライナである。通電治
具51は絶縁棒56やワイヤ位置を調整するスライドベ
ース57などを介して、外箱34に取り付けられてい
る。
【0037】60はステンレス鋼製の金網からなる底付
きの多孔質体で、シールドガスを流出するガス管61の
先端に取り付けられている。
【0038】次にこのTIG溶接装置の機能について説
明する。
【0039】図示していない制御装置からの出力パルス
ピッチを制御して、図示していないモータドライバーに
加え、ステッピングモータ21の速度を図4のように制
御しながら往復動させる。この実施例の場合タングステ
ン電極48は、モータ軸心に対して30度の勾配でモー
タ軸芯から約20mm突き出すようにトーチ先端部材4
6にネジ止めされている。
【0040】この様な状態で、センサ板27の前記エッ
ジがホトインタラプタ28を通過する瞬間をステッピン
グモータ21の基準位置として設定し、その基準位置か
ら±18度揺動すると、(18÷0.36=50 片側
振幅で50パルス)タングステン電極48の先端は±3
mm揺動することになる。揺動の両端で、t0 時間滞留
した後反転するが、この時間t0 の間、タングステン電
極48の先端は開先隅部に向いており、母材58との間
に発生しているアーク59によって直接的に開先隅部を
溶融する。ステッピングモータ21を用いているため、
基準位置通過後から反転するまでの間に出力する駆動パ
ルス数に対応して、タングステン電極48先端の振れ幅
が容易に精度良く制御できる。
【0041】冷却水流入管35、冷却水の戻り管を兼ね
たアーク電流を通電する導電管37、モータ軸23との
間の絶縁を保つ絶縁管40を同軸的に配置し、ステッピ
ングモータ21のモータ軸23中を貫通して、溶接部側
に取り出すようにしたので、それらがステッピングモー
タ21の外側を回って取り出す場合に比べて、モータ負
荷の慣性を非常に小さくすることができ、それによって
もタングステン電極48の先端部の位置精度が高く維持
できる。
【0042】図4に示したトーチ部分70は、金属製の
管継手41、44によって図3に示したトーチ上部部材
71に容易に着脱できる。管継手41、44で機械的に
強固に締結しているので、トーチ上部部材71が揺動す
ると、トーチ部分70も一体になって揺動する。このよ
うにタングステン電極48はモータ軸23と機械的に直
結されているので、歯車を用いた場合に生じるバックラ
ッシュもなく、高速に揺動できる。
【0043】また、金属製の管継手41、44を介して
アーク電流も流れる。アーク電流はトーチ管43を通っ
てタングステン電極48に至るが、トーチ管43自体が
水冷されているので、細い管に大電流を流しても過熱さ
れる問題はない。水冷された先端部材46からのタング
ステン電極48の突き出し長さは高々15mm程度なの
で、直径3.2mmのタングステン電極48で電流50
0Aのアークを発生しても、長時間使用できる。このた
め、タングステン電極48を保持する先端部材46の厚
さは5mm以下にすることができ、また2重管水冷構造
にしているので先端部材46の溶接線方向寸法も10m
m程度にできるので、幅10mmの開先内の中央にトー
チを置くとき、±18度程度揺動しても先端部材が開先
側壁に接触することはない。たまたま、トーチ部分70
が開先側壁との間にアークを発生して損傷する事態にな
っても、管継手44のところから先端側を交換するだけ
で良い。
【0044】底付きの円筒状多孔質体60から開先内に
静かに滲み出すように、シールドガスを流出する。深さ
50mm以上の深い狭開先の底で溶接する場合、開先側
壁によって溶接部近傍はおおよそ閉ざされた空間を構成
しているので、40リッター/分程度の比較的少ないガ
ス流量で効果的にシールドできる。なお、図6に示すよ
うに、開先の上部に近付くと、開先側壁の代りに耐熱性
のセラミックス板81a,82bを母材58上に置いて
開先側壁に準じた堰をつくって深い開先底に似た状態を
構成し、良好なシールドを保っている。
【0045】図示しないパルスアーク電源を用い、その
ベース電流期間にパルス電流でワイヤ通電するホットワ
イヤスイッチングTIG溶接法を用いた。図15はこの
実施例に係る溶接装置の溶接条件例をまとめて示す図で
ある。
【0046】大電流のパルスアークを用いると、タング
ステン電極を揺動していない場合には、図7に示すよう
にアークの掘り込み作用が激しいためにしばしばワイン
カップ状のビード形状になり、ビード82の底部に大き
なトンネル状の空孔83を形成する。タングステン電極
48を高速で揺動すると、図8のように平坦な溶け込み
底の形状となり、空孔が発生しなくなる。即ち、高速揺
動によって、母材溶融能力の高い大電流アークを用いる
ことができるようになり、高溶着量の溶接が可能となっ
た。通常の平坦な直流電流アークも使えるが、母材溶融
能力の強さからはパルスアークの方が、効果的であっ
た。
【0047】なお、溶接はタングステン電極48が後退
角になるような方向に溶接を進行し、添加ワイヤ54は
正極に接続して、溶接後方側の溶融池の開先中央部に挿
入した。このようにすると、平坦ないしは凹状のビード
表面形状になり、次の層を溶接するときにも、開先隅部
の溶融が容易に行える。添加ワイヤ54を負極に接続す
ると、ボットワイヤスイッチングTIGでは溶接速度を
少し低くすると良好なビート形状が得られるが、平坦な
直流アーク電流との組合せでは蒲鉾型のビード表面形状
になり易く、次の層を溶接するときに、隅部で未溶融部
が発生するので採用しなかった。
【0048】ワイヤ電流にはアーク電流のベース期間の
み通電するパルス電流を用いた。このようにすると、特
公平5−75511号公報に記載された技術、即ち、ワ
イヤ通電休止期間のワイヤ電圧から、添加ワイヤが母材
と接触しているかどうかを検知でき、添加ワイヤが母材
から離れているときには次のパルス電流を通電しないよ
うに制御することによって、タングステン電極とワイヤ
間にアークが発生して溶接困難になる事態が発生しない
ようにできる。
【0049】500Aなどの大電流アークにして母材溶
融能力を増し、そして溶接速度を速くして能率向上を図
ろうとするのであるが、この時、揺動速度が5Hz未満
の遅い時にはアーク下の溶け込みが大きくなり過ぎ、ま
たアークが開先側壁に近付くと、側壁を溶かして深い抉
りを作る傾向がある。溶接速度を速くすると、ジグザグ
形の溶け込み状態になり、開先隅に未溶融部を形成す
る。従って溶接速度を速くしても開先隅に未溶融部を残
さないようにするために、5Hz以上にする必要があ
る。
【0050】本発明の他の実施例を図9に示し、この図
は溶接ヘッドの揺動モータ回り近傍だけを示している。
本実施例では中実状のモータ軸を有するモータ85を用
い、そのモータ85の外側に沿ってアーク電流ケーブル
86や冷却水の入出管87、88が固定台89から取り
出され、絶縁部材90を介してモータ軸と一体になった
上部通電部材91に取り付けられている。慣性をできる
だけ小さくするために、モータ85はできるだけ細長
で、慣性が小さいことが望ましく、その点からコアレス
モータを用いた。
【0051】トーチ部分70は、図1の実施例と同様に
金属製管継手41、44によって交換容易なように構成
されている。図示していない制御装置から交流電流を直
流モータ85に流し往復動させるが、モータ軸に取り付
けられた図示していないエンコーダからの回転位置信号
を参照して、揺動の基準位置および揺動振幅を制御して
いる。
【0052】本実施例によると、ステッピングモータを
用いた場合より揺動振幅制御の精度は劣るが、溶接ヘッ
ドを軽く構成でき、多関節溶接ロボットに搭載するのに
適している。
【0053】前記実施例ではタングステン電極をモータ
軸芯に対して30度(母材表面に対して60度)傾けて
固定し、モータ軸を±18度回転させる例を示したが、
開先の幅などの諸条件により、タングステン電極はモー
タ軸芯に対して例えば10ないし45度(母材表面に対
して45ないし80度)の範囲で傾けることができ、さ
らにモータ軸の回転角ならびに先端部材からのタングス
テン電極の突出寸法を調整することもできる。
【0054】なお、前述のモータ軸芯に対するタングス
テン電極の傾斜角の変更は、例えばタングステン電極を
先端部材に対して回動可能に取り付けたり、あるいは先
端部材におけるタングステン電極取付孔(あるいは取付
溝)の傾斜角の違うものを多数準備しておき、その中か
ら適当な先端部材を選択してもよい。
【0055】またモータ軸の回転角の変更は、例えばス
テッピングパルスモータの場合にはそのモータに供給す
るパルス数を変更することによってなされる。
【0056】平板上で肉盛溶接する場合など、また浅い
V開先の突き合わせ溶接の場合などでは、図10に示す
の実施例のように、先端部材47にタングステン電極4
8をモータ軸42に対して平行に取り付けて揺動するこ
ともできる。この方がアークが母材表面に垂直に吹き付
けられるので母材溶融能力が増し、溶接速度を増すこと
ができる。
【0057】シールドガスを流出する多孔質体60とし
ては、例えば金網状、焼結状金属、多孔質セラミック
ス、ハニカム構造体などが用いられる。図1の実施例で
は、トーチ部70とワイヤコンタクトチューブ52との
間に1本だけ配置したが、図11は複数本(2本)の多
孔質体60a,60bをトーチ部70とワイヤコンタク
トチューブ52の外側に配置した実施例を示している。
【0058】各多孔質体60a,60bからは、30リ
ッター/分ずつアルゴンガスを流した。比較的直径が小
さい厚肉管の周継手を下向きで狭開先溶接する場合に
は、管の下側から大気が這い上がってくることがあり、
その様な場合には、本実施例のように複数本用いた方が
良好なシールド状態を保ち易い。このように多孔質体を
シールドに用いると、多孔質体を単に開先内に挿入する
だけで、周囲からのガス巻き込みなしにシールドガスを
好みの場所で流出でき、複雑なシールド装置構造を取る
ことなく、トーチ回りを単純化できる。
【0059】
【発明の効果】前記第1の本発明では、前述のように非
消耗電極がモータ軸に直結されてモータ軸と一体に揺動
するから、従来のように歯車のバックラッシュの影響を
受けず、そのために電極先端の位置を精度よく保つこと
ができ、高品質で安定した溶接ができる。
【0060】前記第2の本発明では、前述のように二重
管構造の採用により通電用に使用される管は冷却される
ためアーク電流値を高くすることができ、母材溶融能力
の高い大電流アークが可能となる。
【0061】前記第3の本発明では、前述のようにシー
ルドガス管の先端部に多孔質体を装着して、その多孔質
体をを狭開先内に挿入し、該多孔質体からシールドガス
を浸出してシールドすることにより、シールドガス管か
らシールドガスが高速に吹き出す場合に見られる周囲の
他のガスの巻き込みがないので、純度の高いシールドガ
ス状態が容易に保たれ、狭開先内の溶接部を簡単にシー
ルドすることができる。
【0062】前記第4の本発明では、前述のように非消
耗電極を負極に接続し、母材表面に対し後退角に傾斜さ
せ、開先幅いっぱいに5Hz以上で高速揺動しているの
で、平坦な溶け込み状態となり、そのためビード底に空
孔(空洞)を生じることがなく、母材溶融能力の高い大
電流アークを用いても高溶着量の溶接が行えるなどの特
長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る揺動式TIG溶接装置の
溶接ヘッドを示す図である。
【図2】その揺動式TIG溶接装置に使用されるセンサ
板の平面図である。
【図3】その揺動式TIG溶接装置のトーチ上部部材回
りを示す断面図である。
【図4】その揺動式TIG溶接装置のトーチ部分を示す
断面図である。
【図5】その揺動式TIG溶接装置におけるステッビン
グモータの回転制御を説明するための図である。
【図6】溶接の実施態様を示す説明図である。
【図7】タングステン電極が揺動しない場合のビード断
面形状を示す図である。
【図8】本発明の実施例によるビード断面形状を示す図
である。
【図9】本発明の他の実施例での溶接ヘッドの側面図で
ある。
【図10】本発明のさらに他の実施例でのトーチ部分の
側面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施例でのシールドガス
多孔質体の配置例を示す説明図である。
【図12】従来の狭開先溶接用TIGトーチの側面図で
ある。
【図13】その従来の狭開先溶接用TIGトーチを用い
て狭開先内で溶接している状態を示す図である。
【図14】従来提案された揺動式TIG溶接ヘッドの断
面図である。
【図15】本発明の実施例に係るTIG溶接装置の溶接
条件例を示す図である。
【符号の説明】
21 ステッピングモータ 23 モータ軸 26 上部通電部材 27 センサ板 28 ホトインタラプタ 29 冷却水入口ビニール管 30 冷却水出口ビニール管 31 通電ケーブル 35 冷却水流入管 37 導電管 41、44 管継手 43 トーチ管 45 穴 46 先端部材 48 タングステン電極 53 コンタクトチップ 54 添加ワイヤ 58 母材 59 アーク 60 多孔質体 61 ガス管 70 トーチ部分 71 トーチ上部部材 85 モータ 86 電流ケーブル 87、88 冷却水管 91 上部通電部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角田 雅弘 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 永島 利治 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 草野 和喜 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内 (72)発明者 松本 光雄 広島県呉市宝町6番9号 バブコツク日立 株式会社呉工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非消耗電極の先端を揺動しながらTIG
    溶接するTIG溶接装置において、前記非消耗電極を揺
    動するモータ軸に締結部材を介して非消耗電極を直結し
    たことを特徴とするTIG溶接装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、前記モータ軸
    が中空状で、そのモータ軸の中空内にアーク電流と冷却
    水が通過する経路を設けたことを特徴とするTIG溶接
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載において、前記モータ軸上
    に、非消耗電極を支持する先端部材と、その先端部材か
    ら所定の間隔離れた位置に上部部材とが設けられ、前記
    先端部材と上部部材との間が二重管構造になっており、
    その二重管構造を通して冷却水を流入・流出することに
    より前記非消耗電極を冷却するとともに、 前記二重管構造を構成する少なくとも一方の管と先端部
    材が導電性を有し、その導電性の管ならびに前記先端部
    材を通して非消耗電極に通電できるように構成されてい
    ることを特徴とするTIG溶接装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載において、前記モータ軸の
    駆動源がステッピングモータであることを特徴とするT
    IG溶接装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載において、前記モータ軸に
    対する前記非消耗電極の取り付け傾斜角度が様々な角度
    をとれるようにしたことを特徴とするTIG溶接装置。
  6. 【請求項6】 非消耗電極を支持する先端部材と上部部
    材との間が二重管構造になっており、その二重管構造の
    内側流路と外側流路を通して冷却水を流入・流出するこ
    とにより前記先端部材を冷却するとともに、 前記二重管構造を構成する少なくとも一方の管と先端部
    材が導電性を有し、その導電性の管ならびに前記先端部
    材を通して非消耗電極に通電できるように構成されてい
    ることを特徴とするTIG溶接用トーチ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載において、前記二重管構造
    を構成する内側の管が冷却水流入管で、該二重管構造を
    構成する外側の管が導電性の管からなり、その外側の管
    が途中で導電性の管継手を介して分離可能に接続されて
    いることを特徴とするTIG溶接用トーチ。
  8. 【請求項8】 シールドガスを供給するシールドガス管
    の先端部に多孔質体を装着し、その多孔質体を狭開先内
    に挿入し、該多孔質体からシールドガスを浸出してシー
    ルドすることを特徴とするTIG溶接装置。
  9. 【請求項9】 非消耗電極と母材との間にアークを形成
    するためのアーク電源と、添加ワイヤを加熱する加熱電
    源と、添加ワイヤを前記アーク側に供給するワイヤ送給
    手段と、前記母材の表面に対して傾斜して取り付けた非
    消耗電極を5Hz以上で高速揺動する溶接ヘッドと、母
    材に対して非消耗電極を負極に接続し、非消耗電極が後
    退角となる方向に溶接を進行させ、かつ前記添加ワイヤ
    の先端を溶接進行方向後方から溶融池に挿入するように
    配置されたワイヤトーチとを備えたことを特徴とするT
    IG溶接装置。
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