JPH0729144A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0729144A
JPH0729144A JP17426893A JP17426893A JPH0729144A JP H0729144 A JPH0729144 A JP H0729144A JP 17426893 A JP17426893 A JP 17426893A JP 17426893 A JP17426893 A JP 17426893A JP H0729144 A JPH0729144 A JP H0729144A
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atomic
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JP17426893A
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English (en)
Inventor
Jun Nozawa
順 野沢
Keiji Moroishi
圭二 諸石
Masato Kobayashi
正人 小林
Junichi Horikawa
順一 堀川
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Cr系合金下地層上に積層したCo系合金磁
性層の保磁力Hcと角形比の組合せを所望の最適値に制
御した比較的安価な磁気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性基板上に少なくとも(1)Crおよび
Crより原子半径の大きな非磁性元素Xを含む非磁性下
地層と、(2)CoおよびCoより原子半径の大きな非
磁性元素Yを含む磁性層と、をこの順で積層して成り、
前記磁性層を構成する磁性粒子のc軸配向分布が、前記
非磁性下地層に含まれる前記元素Xの配合濃度xの関数
であり、xが増大するにつれて前記磁性層膜面に垂直配
向型から当該膜面内配向型へと移行するc軸配向遷移領
域を有するように前記元素Yの配合濃度yおよび前記x
を選択することを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大容量・高速アクセス
可能な磁気記憶装置であるハードディスク装置用の磁気
記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報処理装置の高速・大容量化に
伴って主記憶装置の一部を成すハードディスク装置の高
速・大容量化が絶え間なく続けられている。大容量化に
は、高密度磁気記録が不可欠である。このために、薄膜
状の合金組織を用いる薄膜磁気記録技術が急速に進歩し
た。
【0003】特に、六方晶系の結晶構造を有し、c軸方
向に強い結晶磁気異方性を示すCo系金属が高密度磁性
材料として注目されている。Coそのものはc軸を磁化
容易軸とするが、磁化が大きすぎて最大減磁界が結晶磁
気異方性より少し大きい。したがって、適当な非磁化性
元素と混合して合金を作り、最大減磁界を結晶磁気異方
性より小さくするのである。
【0004】また、高密度水平記録を可能にするには、
膜平面内にc軸配向成分を有するように、かつ均一に粒
子状(膜面に対して柱状)に結晶成長させうること、お
よび基板との接着性が十分高い合金薄膜が得られること
が必要である。このために、従来の湿式塗布法に代っ
て、スパッタリングやイオンプレーティングという物理
蒸着法が開発された。これら物理蒸着法においては、蒸
着中または蒸着後に適当な温度で加熱処理することによ
って、結晶を再配列させて均質性を高め、保磁力Hcを
向上させることが出来る。保磁力は、磁気記録上、重要
な特性のひとつである。保磁力が小さいと外部の擾乱磁
界によって記録が乱されるが、あまり大きすぎるとヘッ
ドのコイルへの入力信号を大きくするか、あるいは飽和
磁束密度の大きな材料をヘッドコアに用いなければ記録
できなくなる。
【0005】もうひとつの磁気記録媒体の重要な特性
は、角形比である。角形比とは飽和磁化Bsに対する残
留磁化Brの比、Br/Bsを指し、これが大きい(1
に近い)程、再生時の信号出力を大きくすることができ
る。残留磁化が大きいのは、その方向の磁気異方性エネ
ルギーが他の方向のエネルギーに比べて充分大きいから
である。すなわち、c軸が磁化容易軸である前記Co系
磁性体の場合は、c軸配向性が膜面内で高くなる程、残
留磁化が大きくなる傾向を示す。
【0006】Co系合金薄膜媒体の中で、Co−Pt系
合金は高い飽和磁化Bsと高い保磁力、耐蝕性を示す磁
気材料として知られていたが、更に第3の元素Mとし
て、周期律表第IV族、第V族元素のいくつかから成る群
から選ばれた1種類を添加することにより、Hcおよび
Bsが広範囲に制御できることが報告された(山口他;
テレビジョン学会誌,第40巻,第6号,475−48
0頁,1986年刊)。また、Co−Ni−Cr合金磁
性層をガラス(又はNiP/Al)基板上に堆積したC
r系金属下地層上に物理蒸着すると、磁性層は下地層上
にエピタキシャル成長し、Hcが下地層の組成、すなわ
ちCrと合金を形成する元素の種類と混入濃度によって
影響を受けることが示された(N.Tani et a
l; J.Appl.Phys.67/(12)pp.
7507−7509(1990))。
【0007】さらに、Co−Pt合金磁性層をCr系合
金(CrVやCrFe)下地層上に物理蒸着させ、合金
下地層の格子定数を変化させることにより膜面内におけ
る磁性層のc軸配向性を改善してHcおよび角形比を向
上させた例が報告されている(特公平4−16848号
公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来技術は、
Co系合金磁性層の磁気的性質がCr系合金下地層の組
成によって影響を受けHcおよび角形比(又は飽和磁
化)が改善されることを開示している。また、これら特
性の変化が堆積した磁性層合金粒子のc軸配向性に関連
することも示唆している。
【0009】しかし、磁性層合金粒子のc軸配向性を膜
面内においてのみ高めることが問題にされており、事実
上角形比の向上だけが目的視され充分高い保磁力Hcと
角形比Br/Bsの組合せが得られているとは云えな
い。たとえば、前記した特公平4−16848号公報に
よれば、膜面から垂直方向に向くc軸配向粒子の分布を
制御できる技術が開示されておらず、その結果Co−P
t系磁性層で所望のHcとBr/Bsの組合せを得るよ
う組成制御できない場合が生ずる。特に、経済的観点か
らPt含有量を減少させると、c軸配向性を制御しうる
組成範囲が一層減少する結果となり、Hcおよび角形比
の最適化が困難であるという問題点があった。
【0010】本発明の目的は、Cr系合金下地層上に積
層したCo系合金磁性層の保磁力Hcと角形比Br/B
sの組合せを所望の最適値に制御した比較的安価な磁気
記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記した従来技術の問題
点は、ひとつには磁性層合金粒子のc軸配向分布と保磁
力Hcおよび角形比との関係が大局的に把握されていな
かったことによって、また他のひとつには、c軸配向分
布の垂直方向の制御を有効に行なう方法が開発されてい
なかったことによって生じている。
【0012】本発明は、X線回折法を用いることによっ
て、磁性層膜面内から垂直方向へ向って分布するc軸配
向性と保磁力および角形比の関係を求め、下地層および
磁性層の組成を所定のc軸配向パターン内に調節するこ
とによって所望のHcと角形比の組合せを満足するPt
配合比の小さな磁気記録媒体を得たものである。
【0013】すなわち、本発明は、非磁性基板上に少な
くとも(1)CrおよびCrより原子半径の大きな非磁
性元素Xを含む非磁性下地層と、(2)CoおよびCo
より原子半径の大きな非磁性元素Yを含む磁性層と、を
この順で積層して成り、前記磁性層を構成する磁性粒子
のc軸配向分布が、前記非磁性下地層に含まれる前記元
素Xの配合濃度xの関数であり、xが増大するにつれて
前記磁性層膜面に垂直配向型から当該膜面内配向型へと
移行するc軸配向遷移領域を有するように前記元素Yの
配合濃度yおよび前記xを選択することを特徴とする磁
気記録媒体を要旨とする。
【0014】本発明の磁気記録媒体において、前記xと
yの関係は、yを所定値に選んだとき、前記c軸配向分
布が前記c軸配向遷移領域に入るようにxを選択するこ
とが好ましい。また、本発明の磁気記録媒体において、
前記磁性層は、さらにPtおよびCrを含む合金層であ
ることが好ましい。
【0015】本発明の磁気記録媒体において、前記元素
Xは、Mo,Al,Ti,Zr,Nb,Hf,Taおよ
びWから成る群より選ばれた少なくとも1種類であるの
が好ましい。また、本発明の磁気記録媒体において、前
記元素Yは、Mo,Al,V,Zr,Nb,Hf,Ta
およびWから成る群より選ばれた少なくとも1種類であ
るのが好ましい。
【0016】また、本発明の磁気記録媒体において、各
元素のより好ましい組成は、非磁性下地層中のCrが4
0原子%以上100原子%未満、磁性層中のCoが70
原子%以上90原子%以下であるのが好ましい。また磁
性層がPtおよびCrを含む場合、磁性層中のPtは4
原子%以上20原子%以下、Crは2原子%以上16原
子%以下であるのが好ましい。また前記元素Xは60原
子%以下であり、また前記元素Yは20原子%以下であ
るのが好ましい。
【0017】本発明によれば、前記非磁性下地層に配合
する非磁性元素Xおよび前記磁性層に配合する非磁性元
素Yを、それぞれ各層の主成分であるCrおよびCoよ
り原子半径が大きくすることにより、これら元素の合金
化によって各層の格子定数を増大させる。格子定数の変
化量は元素X,Yの配合量であるx,yの値によって決
まるので、適当なX,Y,x,yを選択することによっ
て非磁性下地層と磁性層間の格子整合をはかることがで
きる。その結果、磁性層粒子のc軸配向分布を適切に制
御することができ、白金配合比の低い組成において従来
より高い保磁力と角形比をもつ磁気記録媒体を得ること
ができる。
【0018】次に本発明の磁気記録媒体における各元素
の好ましい配合量について説明する。磁性層の主成分で
あるCoが60原子%未満であると、磁化能力が低下す
るため所望の残留磁化Brが得られなくなる。逆に、9
0原子%を超えると他の成分であるPtやCrの含有量
が10原子%以下となり、保磁力Hcを充分高めること
ができなくなる。したがって、Coは60〜90原子%
が好ましく、HcとBrの両方を考慮すると特に70〜
86原子%が好ましい。
【0019】一方、磁性層中のPtは、Brを小さくす
ることなくHcを増大させるために配合されるが、4原
子%未満ではその効果が薄く、20原子%を超えるとB
rが減少する上に経済的観点からも好ましくない。した
がって、Ptの配合量は4〜20原子%が好ましく、B
rとHcの両方を考慮すると、特に好ましくは5〜16
原子%の範囲である。
【0020】さらに、磁性層中に配合されるCrは、磁
性層形成中または形成後に加熱することによってHcを
増加させる作用を有する。その配合量は、2原子%未満
では効果が小さく、16原子%を超えるとBrを低下さ
せるため、2〜16原子%が好ましく、BrとHcの両
方を考慮すると6〜14原子%が好ましい。
【0021】また、磁性層に添加される元素Y(Mo,
Al,Ti,V,Zr,Nb,Hf,Ta,W)は磁性
層の格子定数を変化させ、保磁力と角形比を制御する作
用を示すが、20原子%を超えると、Brが減少して好
ましくないので、20原子%以下が好ましく、Br、角
形比およびHc等を考慮すると、1〜14原子%が特に
好ましい。
【0022】次に下地層の主成分であるCrは、非磁性
原子であり、基板および磁性層との密着性にすぐれてい
るために含有させるが、その配合量が40原子%未満で
は密着性,格子整合性の観点から不適切となり、100
原子%では元素Xを含有させることができず、保磁力,
角形比を大きくできないので、40原子%以上100原
子%未満が好ましく、特に70〜90原子%が好まし
い。
【0023】また下地層に添加される元素X(Mo,A
l,Ti,V,Zr,Nb,Hf,Ta,W)は下地層
の格子定数を変化させ、保磁力と角形比を制御する作用
を有するが、60原子%以下の配合量が好ましい。60
原子%を超えると格子定数が過大となりすぎ、磁性層と
格子整合できないからである。Br,Hc,角形比など
を考慮するとXは1〜30原子%であるのが好ましい。
【0024】なお、物理蒸着による成膜は100℃〜4
00℃に加熱して行なわれるならば、再配列が容易にな
るため成膜条件(スパッタ,ガス圧,成膜速度,真空度
等)の影響をあまり受けずにc軸配向を制御することが
できる上に保磁力も大きくできるので好ましい。基板温
度が100℃未満の低温成膜は成膜条件によりc軸配向
が支配され、また400℃を超える加熱では保磁力が小
さくなる。これは、Crの結晶粒が大きくなるためと考
えられる。なお、成膜後は400℃を超えて加熱しても
よい。
【0025】
【実施例】図1は、本発明の実施例における磁気記録媒
体の層構成を示す図である。図において、非磁性基板1
は、直径65mmφ、厚さ0.9mmのガラスディスク
である。この基板1およびスパッタリングターゲットを
RFマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に
装填して、5×10-7Torr以下の真空度まで減圧す
る。次に基板温度を300℃に保持し、Arガスを20
mTorrの分圧でチャンバー内に導入して、投入電力
密度2.5W/cm2 でまず非磁性下地層2をスパッタ
リングにより形成した。非磁性下地層2のスパッタリン
グには、Cr90原子%、Mo10原子%のスパッタリ
ングターゲットを用い厚さ100nmのCrMo合金層
を成膜した。
【0026】同様に、アルゴンをスパッタリングガスと
して、組成Co77原子%、Pt9原子%、Cr10原
子%、Mo4原子%のターゲットを用い、前記非磁性下
地層2上に厚さ40nmのCoPtCrMo合金層を成
膜した。次に、同様にアルゴンをスパッタリングガスと
して、カーボンプレートをターゲットに用い、膜厚40
nmの保護層4を成膜した。
【0027】保護層4を成膜後試料をスパッタリング装
置外へ取出し、保護層4上に厚さ2nmのパーフロロポ
リエーテルから成る潤滑層5を塗布して磁気記録媒体6
を得た。この磁気記録媒体の磁気特性を測定すると、保
磁力は1750(Oe)、角形比は0.78であった。
【0028】実施例1に対する比較例として、非磁性下
地層合金および磁性層合金にMoを添加しない磁気記録
媒体(比較例1)、磁性層合金にMoを添加しない磁気
記録媒体(比較例2)、非磁性下地層合金にMoを添加
しない磁気記録媒体(比較例3)を作製し、保磁力およ
び角形比を測定した結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかな如く、非磁性下地層のみ
にMoを配合した比較例2では、全くMoを配合しない
場合に比べて角形比は向上するが、保磁力は低下する。
また、磁性層のみにMoを配合した比較例3では角形
比,保磁力共に低下する。これに対して、両層にMoを
配合した本実施例の場合、保磁力,角形比共に向上する
ことがわかる。
【0031】表1に示した二つの磁性層組成、すなわち
非磁性元素Y(=Mo)を配合しないCo81Pt9 Cr
10および非磁性元素Y(=Mo)をCoおよびCrの一
部と置換して配合した組成Co78Pt9 Cr9 Mo4
各場合について、非磁性下地層組成の変化(非磁性元素
X(=Mo)の配合割合)が磁性層の磁気特性に与える
影響を測定した。得られた結果を、それぞれ図2および
図3に示す。
【0032】いずれの場合も非磁性下地層は配合する非
磁性元素X(=Mo)の量xが増大するにつれて角形比
Br/Bsは増加する傾向を示すが、保磁力Hcは異な
る挙動を示す。すなわち、Hcは磁性層にY(=Mo)
を配合した場合、xの増加につれてピーク値を示すが、
Yを配合しない場合は、xは増加と共に単純に減少す
る。
【0033】この理由を調べるために、X線回折による
極点解析法を利用して各場合について磁性層粒子のc軸
配向分布を測定した。加速電圧50kVのCuKα線
(λ=1.5405A)を15mmφに加工した試料に
照射してSchulzの反射法によるX線回折を行な
い、極点解析のデータとした。スリットは、D.S.=
1.0度,S.S.=6.0mm,R.S.=6.0m
mとした。測定角度範囲は、20〜90度である。X線
回折は反射法を用いて行なったので、20度以下は測定
してない。測定角度間隔は、膜面から垂直方向への角度
αが5.0度、膜面内の角度βが5.0度とした。ま
た、測定時間は1測定点につき5.00秒である。
【0034】X線回折は、六方晶構造を有するCoの
(002),(100)および(101)について行な
った。α=20〜90度におけるc軸配向分布は(00
2)から求め、α<20度におけるc軸配向分布はCo
(100)およびCo(101)から求めた。これらの
データを基にして膜面から垂直方向への角度θにおける
c軸配向分布を決定した。
【0035】図2および図3に対応した磁性層粒子のc
軸配向分布の角度θ依存性を、それぞれ図4および図5
に示す。図4は、Moを含まない磁性層Co81Pt9
10の非磁性下地組成が異なる二つの場合について調べ
たc軸配向分布である。図4(a)はx=0、すなわち
Cr下地層の場合であり、図4(b)はx=20原子%
すなわちCr80Mo20下地層の場合である。この2つの
図は代表例として示したものであるが、非磁性下地層の
Mo含有量xが増加するにつれて磁性層粒子のc軸配向
分布が磁性層膜面内に集中することがわかる。この傾向
はxの増加につれて保磁力Hcが単調に減少することに
対応している。
【0036】一方、図5はMoを4原子%含む磁性層C
78Pt9 Cr9 Mo4 のc軸配向分布に与える非磁性
下地層組成の影響を示したものである。この図は、3つ
の代表的な下地層組成、すなわち、図3において、x=
0のCr下地層(図5(a))、図3でHcがピークを
示すx=10原子%のCr90Mo10下地層(図5
(b))、および図3でHcの減少領域に当るx=20
原子%のCr80Mo20下地層(図5(c))についての
c軸配向分布を示す。図5(a),(b),(c)は、
xの増加につれて、最初膜面から垂直方向(θ=90
度)に分布していたc軸配向粒子が磁性層膜面内(θ=
0度)に次第に分布をかえていくことを示している。そ
して、途中の遷移領域(図5(b))でHcがピークを
示すことがわかる。遷移領域では40度≦θ≦70度の
中間角度をとるc軸配向粒子の割合が高くなる。
【0037】図2〜図5のデータを比較すると、次のよ
うに考えられる。磁性層および非磁性下地層が共にMo
を含まない場合(x=y=0の場合、比較例1)には、
下地層Crの格子定数が磁性層よりやや大きく、磁性層
には圧縮性歪がかかっている。下地層の合金化(元素X
の配合)によって格子定数がさらに大きくなれば、磁性
層の圧縮歪はますます大きくなる。このような場合、磁
性層粒子のc軸は膜面内に分布し、圧縮歪の大きさに応
じてHcは低下する。次に、磁性層に元素Yを加えて格
子定数を下地層より大きくすると、磁性層には引張り歪
が印加される。この時、磁性層粒子は膜面と垂直方向に
c軸配向する傾向を示す。この状態で下地層に元素Xを
配合して元素Xの配合量xを増加させると、引張り歪は
次第に緩和されてやがて歪の小さい(又は、無歪)状態
になる。歪が小さくなるにつれて、Hcは増加し、それ
と共にc軸配向性が乱れて上記した「遷移領域」に入
る。歪がもっとも小さな状態でHcはピークを示す。さ
らにxを増加させると、下地層の格子定数が磁性層より
大きくなり圧縮歪に転ずる。この領域では磁性層粒子の
c軸は膜面内配向性が強まり、歪の増大と共にHcは低
下する。ただしc軸の膜面内配向性が高まると角形比B
r/Bsは増加する。
【0038】前記した実施例1の非磁性下地層の組成お
よび厚み、磁性層の組成および厚みを変えることなく、
成膜時の基板温度のみを変化させて得られた図1に示す
構造の磁気記録媒体の保磁力Hcを測定したデータを図
6に示す。基板温度100〜400℃の範囲において高
い保磁力が得られることがわかる。基板温度が400℃
を超えると下地層と磁性層の界面状態が合金化によって
劣化するので、実験を行なわなかった。また、図示して
ないが、磁性層の成膜後にたとえば300℃以上で加熱
処理してHc等の調節を行なってもよい。
【0039】(実施例2)実施例1と同一のRFマグネ
トロンスパッタリング装置を用いて直径65mmφ、厚
さ0.9mmのガラスディスク基板上に、まず厚さ10
0nmのCr70Mo30非磁性下地層2を、次いでその上
に厚さ40nmのCo75Pt9 Cr6 Mo10磁性層3
を、さらにその上に厚さ40nmのカーボン保護層4を
連続的にスパッタリングした。基板温度を200℃とす
る以外、成膜条件は実施例1と同じにした。スパッタリ
ング装置から取出してカーボン保護層4上に潤滑層5を
塗布して磁気記録媒体6を得た。
【0040】この磁気記録媒体の磁気特性を測定する
と、保磁力Hcが1600(Oe)、角形比Br/Bs
が0.85であった。実施例1の値と比較すると、Hc
が低下しているが、角形比は向上している。これは、磁
性層3に配合されたMo(元素Y)の量が実施例1の場
合より多いため、磁性層3の結晶磁気異方性が低下して
最大保磁力の得られるc軸配向性の分布が膜面内方向に
シフトしたためと考えられる。
【0041】次に、磁性層3の組成をCo75Pt9 Cr
6 Mo10に固定して、非磁性下地層2の組成を変化させ
た時の磁気記録媒体の磁気特性を調べ、非磁性下地層C
rX(X=Mo)の元素Xの配合濃度xの関数として図
示したのが、図7である。
【0042】図7を図3と対比すると、磁性層3に配合
された元素Y(Y=Mo)の濃度yが高い分だけ磁性層
3の格子定数が大きくなり、したがってHcのピークを
与える非磁性下地層2の元素Xの配合濃度xが、より高
濃度にシフトしていることがわかる。換言すれば、下地
層より磁性層の格子定数が大きく引張り歪を磁性層に与
える領域が広がったとも云える。x=30原子%付近で
格子歪がもっとも小さい状態となってHcがピーク値を
示す。この前後のxに関する組成領域が、実施例1で述
べたc軸配向分布の遷移領域に該当する。しかし前記し
たようにxが最適値付近に選択されても、磁性層3中に
配合された非磁性元素Yの濃度yが高いために保磁力H
cのピーク値そのものは実施例1の場合よりも相対的に
小さな値を示す。
【0043】(実施例3)磁性層の組成をCo72Pt16
Cr8 Mo4 、非磁性下地層の組成をCr80Mo20とし
た以外は実施例1〜2と同様にして磁気記録媒体を得
た。得られた磁気記録媒体の保持力および角形比は表2
に示すように、それぞれ2050(Oe)、0.71で
あり、優れた値を示した。
【0044】(実施例4〜10)実施例1,2と同様に
して100〜400℃の範囲で基板加熱を行ないながら
連続スパッタリングと潤滑層塗布によって異なる組成を
有する非磁性下地層2と磁性層3を組合せた磁気記録媒
体を形成し、その磁気特性と共に表示したのが、表2で
ある。表2に記載した実施例4では元素XおよびYとし
てNbを配合し、実施例5ではXおよびYがAl、実施
例6ではXおよびYがTa、実施例7ではXがMoTa
合金、YがTa、実施例8ではXおよびYがZr、実施
例9ではXがMoZr合金、YがZr、実施例10では
XおよびYがMoZr合金となっている。また、本発明
の各実施例と磁気特性を比較するために、比較例4〜7
の磁気記録媒体も作成し、表2中に併せて示した。
【0045】表2から明らかなように、非磁性下地層の
主成分のCrより原子半径の大きな非磁性元素Xおよび
磁性層の主成分であるCoより原子半径の大きな非磁性
元素Yの適量配合によって非磁性下地層と磁性層の格子
定数を調整することが可能となる。その結果、磁性層粒
子のc軸配向分布を適切に制御することができ、従来よ
り低い白金配合比で高い保持力と角形比をもつ磁気記録
媒体の製造が可能であることが示された。
【0046】
【表2】
【0047】なお、表2に記載した元素以外にもXおよ
び/又はYとしてTi,V,HfおよびWのうち少なく
とも1種類を用いることが適当であることも明らかとな
っている。
【0048】以上実施例により本発明を説明したが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、以下
のような応用例や変形例を含むものである。前記実施例
では非磁性基板としてガラスディスク(非晶質)を用い
たが、この他にも結晶化ガラス、アルミニウム合金、セ
ラミックス、プラスチック、カーボンや適当な無機素材
を用いることがでる。
【0049】また上記材料から成る非磁性基板と非磁性
下地層との間に、Cr,Mo,W,Ti,Zr,V,N
b,Ta,Mg,Bi等の金属やこれらの合金、或いは
SiO2 やAl2 3 などの酸化物からなる非磁性バッ
ファ層を更に設けることが可能である。このバッファ層
は非磁性下地層の粒子成長や配向性を助長するなどの役
割をもつ。
【0050】さらに前記実施例では、カーボンを保護層
に用いたが、これ以外にもたとえばSiO2 、Zr
2 ,Si3 4 ,BN,Cr,CrMo合金等を用い
ることができる。さらに前記実施例では、パフロロポリ
エーテルを潤滑層に用いたが、これ以外にも、たとえば
脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、フロロカーボ
ン等を単独で或いは混合して用いることができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Cr系合金下地上に積層したCo系合金磁性層の保磁力
と角形比を高価なPt成分を増すことなく高めることが
可能である。この結果、使用目的にあわせて磁気特性を
制御した磁気記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における磁気記録媒体の積層構造を示す
図である。
【図2】比較例における磁気特性の元素X(=Mo)の
配合濃度x依存性を示す図である。
【図3】比較例における磁気特性の元素X(=Mo)の
配合濃度x依存性を示す図である。
【図4】図2に示した比較例における磁性層粒子のc軸
配向分布を示す図である。
【図5】図3に示した実施例における磁性層粒子のc軸
配向分布を示す図である。
【図6】図5の中央の図における組成を有する実施例
(実施例1)の成膜時基板温度と保磁力の関係を示す図
である。
【図7】別の実施例における元素X(=Mo)濃度xと
磁性特性との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 非磁性下地層(CrX) 3 磁性層(CoPtCrY) 4 保護層 5 潤滑層 6 磁気記録媒体
フロントページの続き (72)発明者 堀川 順一 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に少なくとも(1)Crお
    よびCrより原子半径の大きな非磁性元素Xを含む非磁
    性下地層と、(2)CoおよびCoより原子半径の大き
    な非磁性元素Yを含む磁性層と、をこの順で積層して成
    り、 前記磁性層を構成する磁性粒子のc軸配向分布が、前記
    非磁性下地層に含まれる前記元素Xの配合濃度xの関数
    であり、xが増大するにつれて前記磁性層膜面に垂直配
    向型から当該膜面内配向型へと移行するc軸配向遷移領
    域を有するように前記元素Yの配合濃度yおよび前記x
    を選択することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記yを所定値に選んだとき、前記c軸
    配向分布が前記c軸配向遷移領域に入るように前記xを
    選択することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層がさらにPtおよびCrを含
    む請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記元素Xが、Mo,Al,Ti,Z
    r,Nb,Hf,TaおよびWから成る群より選ばれた
    少なくとも1種類である請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記元素Yが、Mo,Al,V,Zr,
    Nb,Hf,TaおよびWから成る群より選ばれた少な
    くとも1種類である請求項1記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記非磁性下地層中のCrの含有量が4
    0原子%以上100原子%未満であり、前記磁性層中の
    Coの含有量が60原子%以上90原子%以下である請
    求項1記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記磁性層中のPtの含有量が4原子%
    以上20原子%以下であり、Crの含有量が2原子%以
    上16原子%以下である請求項3記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記元素Xの含有量が60原子%以下で
    あり、また前記元素Yの含有量が20原子%以下である
    請求項1記載の磁気記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100703169B1 (ko) * 2004-08-26 2007-04-05 여환동 건축물의 단열, 방수구조 및 공법

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