JPH0729941B2 - 眼の組織中に目薬を保持するための薬剤 - Google Patents

眼の組織中に目薬を保持するための薬剤

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JPH0729941B2
JPH0729941B2 JP3040134A JP4013491A JPH0729941B2 JP H0729941 B2 JPH0729941 B2 JP H0729941B2 JP 3040134 A JP3040134 A JP 3040134A JP 4013491 A JP4013491 A JP 4013491A JP H0729941 B2 JPH0729941 B2 JP H0729941B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は目の組織中に目薬を保持
するための方法に関し、特にシクロデキストリンスルフ
ェートのような硫酸化グルカンと目の薬又は薬剤との複
合体を形成させ、そのようにして形成された複合体を目
の組織と接触させることからなる、目の組織中に目薬を
保持するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】目の治療において、最も多く議論されて
いる問題の1つは作用部位における目薬の最適濃度の搬
送である。この問題は、その薬が適用される部位とそれ
が作用する部位との間の距離を含む多くのファクターの
ために起こり、そして薬が適用部位から作用部位へ移動
するにつれて薬濃度を減少させる生理作用(過程)のた
めである。これらの過程は解剖学的考察に基づいて3つ
の範畴に分類することができる(三島等のサーベイ・オ
ブ・オフサルモロジー(Survey of Ophthalmology) 第2
9巻、第5号、335〜348頁(1985)を参照)。第1は涙
力学、結膜及び鞏膜吸収である。第2は角膜との相互作
用である。第3は眼房水転換を含む眼内での分布であ
る。そのような過程が目薬の生物学的有効性に関係する
程度は、目の薬又は試薬と組合わせて用いられる賦形剤
の物理的性質と同様、薬剤の物理的及び化学的性質によ
ってしばしば改変される。
【0003】角膜前部薬損失、例えば角膜前部の流体力
学は、角膜吸収のために有効な薬の量を調節するのに非
常に重要な役割を演ずる。それは主として適用される賦
形剤の性質に影響される。リポソームを含む液体賦形剤
は点滴注入に続いて直ちに鼻涙器官に排出され、その効
率は点滴注入される液体の容量、pH、緊張性及び粘度
への依存性が高い。更にその薬は涙液腺によって分泌さ
れる涙によってうすめられ、そして結合する結果、涙蛋
白質へと損失することとなり、このようにして涙の吸収
に利用され得る薬の量を更に減少させることとなる。
【0004】結膜中への薬の吸収は角膜前部の薬の損失
とは別のルートである。しかしながら、その結膜へと失
なわれるその薬の一部は結局眼の内部へ入ることになる
であろう。角膜前部の流体力学に対する薬の損失が、主
として薬の賦形剤の性質が作用することによるものであ
る一方、角膜の薬吸収は角膜の性質に関連して(relativ
e to)薬の物理的及び化学的性質により主として調節さ
れる。その薬の性質の内、脂質親和性及び分子の大きさ
が角膜の薬の移送(運搬)においてより重要な役割を演
ずる。
【0005】近年、薬移送に対する物理的障壁として角
膜を考える伝統的見解は、輸送における或る種の薬を代
謝させる能力を含むまでに拡大されている。この分野に
おける発展は、角膜における薬の代謝に関係するすべて
の酵素系を解明する研究努力を進めることにより強化さ
れる。確認された代謝性酵素にはエステラーゼ、カテコ
ール−O−メチルトランスフェラーゼ、モノアミンオキ
シダーゼ、芳香族炭化水素ハイドロキシラーゼ、UDP
−グルクロニルトランスフェラーゼ、酸ホスファター
ゼ、ベーター−グルクロニダーゼ及びアリールスルファ
ターゼがある。直接的及び間接的証拠のいずれもが、角
膜の上皮中にこれらの酵素が局在していることを示す。
膨大な数の薬とこれらの角膜の酵素との相互作用によっ
て、通常目の中の薬受容体と相互に作用し得る薬の量を
減少させる結果となる。それ故、この事は望ましいもの
ではない。
【0006】薬が収納される賦形剤は次のいくつかの方
法で局部的な眼の薬の吸収の速度及び程度に影響を及ぼ
すことができる:(1)その薬が涙房中に残留する期間
に作用することにより、(2)薬の放出速度に作用する
ことにより、及び(3)その賦形剤それ自身が角膜上皮
表面と相互作用する方法といったものがある。これらの
ファクターは、次々に、緩衝液、ポリマー及び与えられ
た賦形剤中の防腐剤のような添加剤によって、その賦形
剤中の薬の濃度によって、及びその賦形剤の適用の回数
及び順序によって影響される。現在、商業的に入手でき
る賦形剤は水性溶液、懸濁液、軟膏及びオキュサート
(Ocusert、登録商標)を含む。潜在的に有用であるも
のはゲル、浸食性及び非浸食性挿入物(inserts) 、エ
マルジョン、マイクロカプセル及びリポソームを含む。
このリストに生物接着性重合体系(bioadhesive polyme
ric system) を加えることができ、このものは経口用に
調節された薬搬送のために研究の途にあるものである
が、眼薬の搬送を調節するために適合させることができ
る。
【0007】極めて有用な賦形剤の範畴にあるものとし
ては、ゲルと挿入物(insert) がより広く研究されてい
る。グラス(Grass) 等は20%のポリビニルアルコー
ルから作られ、そしてピロカルピンを含有する浸食し得
るフィルムがそれぞれ2及び5つのファクターにより、
白色種うさぎにおいて縮瞳に対する最大変化及び縮瞳の
期間を増大させることを見出した。同様の重合体フィル
ムを用いてサエトン(Saettone) 等は白色種うさぎにお
いて、水溶液に対してピルカルピンの眼の生物有効度は
二倍の増加があることを証明した。さらに、これらの研
究は、ピロカルピンをポリ(アクリル酸)と複合させる
ことにより、2つの内のもう1つのファクターによりピ
ルカルピンの眼の生物有効度を更に強めることを見出し
た。薬搬送マトリックスとして、ポリアクリルアミド及
びアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びエチルア
クリレートの共重合体を用いることによって、ウルティ
(Urtti) 等は白色種及び着色種のうさぎの両者におい
て、ピロカルピンの眼の生物有効性において3倍の増加
を観察した。3つの例全てにおいて、この高められた薬
の効力は、賦形剤の角膜との改良された接触時間による
ものとすることができた。
【0008】軟膏及び挿入物(insert) と違って、懸濁
液、エマルジョン、マイクロカプセル及びリポソームは
液体状である。それらは排液路を経て結膜嚢から除去さ
れ、その結果涙の貯留室中の滞留時間は30分又はそれ
以下である。この排液速度はその賦形剤の物理的性質に
多少依存している。例えば、懸濁液は溶液よりも結膜嚢
中に長く滞留することが見出されている。リポソーム、
エマルジョン及びマイクロカプセルのような他の分散系
も同様の作用をすることが期待される。これらの賦形剤
はその結膜嚢中に水溶液よりも長時間滞留するけれど
も、それらは、もしもそれらが分解、拡散及び分配の工
程の組合わせを通して、一貫して最適の速度で薬を放出
する場合にのみ、治療的に有用であろう。これは溶液と
違って、これらの賦形剤中の薬が角膜の吸収に直接利用
されないという理由からである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】現在まで、液体賦形剤
が角膜の表面と相互作用する方法は角膜の薬吸収を調節
するために研究も又開発も充分にはなされていなかっ
た。明らかに、生物接着性重合体によって例証されたよ
うに、その角膜表面に対して親和性を有することのでき
る賦形剤は、その表面から別個の物質を取り除く角膜の
自然の傾向を克服しなければならない。乳化剤、ポリマ
ー及びリン脂質、エマルジョン、マイクロカプセル及び
リポソームのような分散系の慎重な選択はこの目的を達
成することができる。けれども、その薬又は薬剤が目中
にある時間を延長することによって眼科学的薬の作用を
延長するために継続的な努力が要求されるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、目薬とシクロ
デキストリンスルフェートのようなグルカンスルフェー
トとの複合体を形成させて、これを含有する、眼の組織
中に眼科学的薬剤を滞留させ、眼の組織を治療するため
の薬剤を提供する。例えばシクロデキストリンスルフェ
ートは角膜に浸透するばかりか、目に眼科的薬剤を搬送
するための賦形剤として用いることができる眼の組織中
のFGFに対しても親和性を有することが見出された。
又、新たに形成された血管を含む血管が、循環系を経て
眼科学的薬剤に複合化されたグルカンスルフェートを目
に導入させるFGFを多量に含有することが見出され
た。眼の組織へ眼科学的薬剤を搬送するためにグルカン
スルフェートを使用することは、作用部位における薬剤
の生物有用性を著しく増大させる。これは上で議論した
ように、目薬の損失を相殺するために必要な薬剤の量を
著しく減少させることになる。更に、いくつかの薬剤の
毒性についての懸念も、必要とされる薬剤の総量が減少
するために、減少させられるのである。
【0011】ここで用いられている“眼科的薬剤”なる
語は製薬学的薬、その塩、その単独使用、又は製薬学的
担体、希釈剤、又はその類似物と組合わせたものを意味
し、そして又、その試薬が組織上何らかの治療的影響を
有するかどうかに関係なく、眼の組織に排出させること
ができるいかなる診断薬試薬をも意味する。ここで用い
られている“複合体”なる語はイオン結合、共有結合、
水素結合、及び複合体を形成するもう一方が他のものと
結合するための他の外部又は内部分子力を含む最も広い
意味に用いられる。ここで用いられている“眼の組織”
なる語は角膜、その周囲の縁、その前部房の流体、紅
彩、レンズ、ガラス質、網膜及び脈絡膜及びこれらの組
織又はそれらの周囲に供給する血管を意味する。本発明
は、眼の組織において薬又は診断試薬のような眼科学的
薬剤を滞留させるための方法を提供する。特に、本発明
は投与の前又は生体内のどちらかにおいて、眼科学的薬
剤及びグルカンスルフェートの複合体を形成させ、そし
てその複合体を眼の組織と接触させることからなる。
【0012】デセメッツの(Descemet's)膜及びバウマ
ンの(Bowmant's)膜のような或る種の眼の組織は多量
の繊維芽細胞成長因子(FGF)及び特に塩基性繊維芽
細胞成長因子(bFGF)を含有することが知られてい
る。フォークマン(Folkman)等、アメリカン・ジャーナ
ル・オブ・パソロジー(Amer. J. Pathol.)130:394-4
00を参照。又、繊維芽細胞成長因子は、β−シクロデキ
ストリン テトラデカスルフェートのような硫酸化シク
ロデキストリンに対するFGFの高い親和性のために、
硫酸化シクロデキストリンカラム上で精製することがで
きることが以前から報告されている。シング(Shing)
等のアナリティカル・バイオケミストリー(Anal. Bioc
hem.) 184:1990を参照。
【0013】本発明の1つの具体例によれば、シクロデ
キストリンスルフェートのようなグルカンスルフェート
の角膜の浸透があるばかりか、そのようなグルカンスル
フェートが一時的に結合、FGFを含有する眼の組織に
保持されていることが見出された。何らかの理論に束縛
されることを望むものではないが、或る眼の組織中に存
在するFGFは、角膜を横切って拡散するグルカンスル
フェートを結合する“逆相”親和性カラムとして作用す
ることが信じられている。従って、シクロデキストリン
スルフェートのようなグルカンスルフェートは通常の眼
の治療技術において、より高濃度及びより長時間眼中に
おいて眼科学的薬剤を移送しそして保持するための賦形
剤として用いることができる。下記でさらに詳細に議論
された、他の具体例に従って、FGFは糖尿病の網膜症
中に見出されるもののような新しく成長する血管を含む
血管の基底膜中に見出されている(未発表の結果)。従
って、本発明に従って、グルカンスルフェートはその循
環系を経て眼の組織へ眼科学的薬剤を搬送するために用
いることができる。例えばフルオレセインは網膜へ搬送
され、そして通常のフルオレセイン血管造影図における
よりも長時間そこに滞留することができる。
【0014】本発明において用いることができるグルカ
ンスルフェートはデキストランスルフェート、シクロデ
キストリンスルフェート及びβ−1,3−グルカンスル
フェートを包含する。目の投与に好ましいグルカンスル
フェートは、それが容易に角膜に浸透することが示され
るように、シクロデキストリンスルフェートである。そ
の循環系を経ての導入のために好ましいグルカンスルフ
ェートは又シクロデキストリンスルフェートであるけれ
ども、以下に議論される他のグルカンスルフェートも又
用いることができる。本発明のグルカンスルフェート
は、少なくとも3%(w/w)、好ましくは約12と2
4%(w/w)の間、最も好ましくは約15から20%
(w/w)の硫黄含有量を有するものである。シクロデ
キストリンはアルファー(1→4)結合により結合され
た6(アルファー)、7(ベーター)又は8(ガンマ
ー)D−グルコース単位からなる天然の環状化合物であ
る。それらは空洞を与えるドーナツ型分子構造を有し、
その際包接体が適当な大きさのゲスト分子と共に形成す
る。換言すれば、この内部ドーナツ型分子はその中央に
疎水性の空洞及び外部表面に親水性の空洞を与え、その
いずれかが眼の組織へ眼科学的薬剤を運ぶために用いら
れる。その空洞の直径はアルファー、ベーター、ガンマ
ーシクロデキストリンそれぞれの環(6、7又は8単
位)を作るグルコース単位の数によって測定される。シ
クロデキストリンスルフェートはこれらのシクロデキス
トリンの硫酸化から得られるエステルである。硫酸化は
既知の方法で達成される。硫酸化の1つの好ましい方法
は米国特許第2,923,704号明細書及び日本特許
公開番号36422/1975号中に記載されている。
シクロデキストリンスルフェートの硫黄含有量は通常約
3%(w/w)以上であり、そして好ましくは約12と
24%(w/w)の間である。そのような、シクロデキ
ストリンスルフェートは又水に非常に可溶性である。約
15から21%(w/w)の硫黄を含有するシクロデキ
ストリンスルフェートは特に有利である。そのアルファ
ー、ベーター、及びガンマシクロデキストリンスルフェ
ート塩は本発明に従って、眼の組織における眼科学的薬
剤の搬送及び滞留のため賦形剤としてすべて使用できる
ものである。ベータ−シクロデキストリンテトラデカス
ルフェートのようなβ−シクロデキストリン塩が好まし
い。本発明で使用されるβ−1,3−グルカンスルフェ
ートはβ−1,3−グルカンを硫酸化することによって
製造される。β−1,3−グルカンはアルカリゲネス
Alcaligenes)又はアグロバクテリウム(Agrobacteri
um)属に属する微生物によって製造され、直鎖を有し、
水不溶性であり、そして熱ゲル化性である。種々のグル
カンを精製するための方法はエビス(Ebisu)等、ジャー
ナル・オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriol
ogy)第1489−1501頁、1975年中に記載されている。
【0015】カードラン(和光純薬工業株式会社、日本
から市販されている熱ゲル化性ポリサッカライドPSと
しても知られている)は、水不溶性、熱ゲル化性及びβ
−(1→3)結合単独を有し、アルカリゲネス(Alcali
genes)又はアグロバクテリウム(Agrobacterium)属に
属する微生物株によって製造される非分枝の直鎖グルカ
ンであることが知られている(例えば、日本特許出願番
号7,000/1968、32,673/1973及び32,674/1973及び英国特
許第1,352,938号明細書参照)。カードラン生産体アル
カリゲネス フェカリス バリアント ミクソゲネス(Alc
aligenes faecalis var. myxogenes)NTK−U株、ア
グロバクテリウム ラジオバクテル(Agrobacterium rad
iobacter)U−19株はザ・アメリカン・タイプ・カル
チュア・コレクション・カタログ・オブ・ストレイン
(the American Type Culture Collection Catalogue o
f Strains)I、15版、1982年中にそれぞれATCC-21680、
ATCC-6466及びATCC-21679として記載されている。カー
ドランの低分子量誘導体である加水分解物も又用いるこ
とができる。その製造法は日本特許出願公開番号83798/
1980又は米国特許第4,454,315号明細書中に詳細に記載
されている。β−1,3−グルカンは1000以下の平
均重合度(DP)を有する。特に、6から約300の範
囲のDPを有するその部分加水分解物が推奨され、15
から約200のDPを有する部分加水分解物が好まし
い。本発明のための直鎖β−1,3−グルカンのスルフ
ェートはβ−1,3−グルカン又はその低分子量重合体
のヒドロキシ基の硫酸化から得られたエステルであり、
モノサッカライドユニット当り0.5から3の平均置換
度(DS)を有するエステルが通常用いられ、1から2
のDSのエステルが好ましく用いられる。直鎖β−1,
3−グルカン又はその低分子量重合体のスルホン化は、
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Jo
urnal of Biological Chemistry)239,2986(1964)中
に記載された方法で達成される。そのβ−1,3−グル
カンスルフェートの硫黄含有量は通常5%(w/w)以
上、好ましくは約10から21%(w/w)であり、そ
してそれは水に非常に可溶性である。本発明で使用し得
るデキストランスルフェートの例としてはデキストラン
の硫酸塩(スルフェート)を包含し、このデキストラン
はロイコノストック メゼンテロイデス(Leuconostoc m
esenteroides)のような微生物の作用によりシュークロ
ースから製造される。
【0016】デキストランスルフェートは、基本的構造
がグルコースのアルファー(1→6)結合であるデキス
トランの部分硫酸塩であり、その硫黄含量は通常12%
より少なくなく、好ましくは約16ないし20%であ
る。その平均分子量は約1,000から40,000,
000の範囲、好ましくは3,000から1,000,
000の範囲であって、このデキストランスルフェート
は水に非常に溶け易い。
【0017】本発明で使用し得るデキストランスルフェ
ートはまた塩の形態であることもできる。この塩として
は薬剤的に許容し得るどのようなカチオンも採用するこ
とができ、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウ
ム、トリメチルアンモニウム等のようなものが挙げられ
る。本発明で使用されるグルカンスルフェートの形態
は、複合体を形成する目薬の種類、複合化が水素結合に
よるか、共有結合によるか、シクロデキストリンの疎水
性の空洞との相互作用によるかといったことを含む多数
の要因に依って変るものである。
【0018】グルカンスルフェートは種々の目薬剤と複
合体を形成しあるいはさもなければ結合して、目の組織
中にこういった薬を搬送および保持させる新しい手段を
提供するものである。担体としてのグルカンスルフェー
トと組み合わせて使用され得る目薬は当業者によって多
数の技術によって決定されることができ、次のようなも
のを包含する:エピネフリンもしくはその塩、ジピベフ
リン(dipivefrine)塩酸塩、ビベアルピン(bibearpin
e)塩酸塩、ベフノロール(befunolol)塩酸塩、5−フル
オロウラシル(緑内障の予防のため、また緑内障の手術
後の傷跡を防ぐために用いられる)、ピロカルピンおよ
びマレイン酸チモロールのような緑内障(glucoma) 治
療剤;ピレノキシンのような白内障治療剤;ノモグリケ
ートナトリウム(sodium nomoglicate) 、クロモリン(c
romolyn) およびアムレキサノックス(amlexanox) のよ
うな抗アレルギー剤;キシロカイン、テトラカイン等の
麻酔剤;フルオロメトロン、インドメタシン、プラノプ
ロフェン、ハイドロコーチゾン、プレドニソロンのよう
な抗炎症剤およびインドメタシンのような非ステロイド
性抗炎症剤と同様の他の抗炎症剤;シクロスポリンのよ
うな角膜移植における拒絶反応を防ぐために用いられる
免疫抑制剤;フマギリンおよびO−クロルアセチルカル
ボモイルフマギロールのようなその誘導体からなる血管
新生阻害剤;アンホテリシンBおよびナイスタチンのよ
うな抗かび剤;テトラヒドロコルチゾールのような血管
新生阻止剤およびβ−シクロデキストリンテトラデカス
ルフェートと複合体を形成もしくは結合することのでき
る他の血管新生阻止剤;オフロキサシン(ofloxacin)、
ノルフロキサシン(norfloxacin)、イドークスラジン(i
doxuradine)、エリスロマイシン、ネオマイシントリフ
ルオロウリジンおよびアシクロビル(acycovir)等の抗
菌剤などである。
【0019】上述したように、フルオレセインのような
診断試薬もまたグルカンスルフェートと組み合わせて、
以下により詳しく述べる血管造影に用いることができ
る。フルオレセインは最近またレーザー治療と結合させ
て角膜中の脈管形成の治療のために、即ち角膜移植およ
び植え付けにおける脈管形成を阻止するために用いられ
てきている。しかしながら、レーザー治療は、角膜壁
(vessel)がレーザー爆発毎の前にフルオレセインの静
脈内注射によって強められているときにのみ働くのであ
り、この爆発が血管壁内にレーザー光を拡大させ(ampl
ify)、それを閉じるのである。しかしながら問題は、フ
ルオレセインだけの場合(本発明のグルカンスルフェー
トを用いない場合)には1分もたたない内に血管壁から
排除されてしまい、そのため50〜100回のフルオレ
セインの注射が必要となって、肝臓に毒となるような大
量のフルオレセイン量となってしまうことである。本発
明によれば、フルオレセインをグルカンスルフェートと
複合体を形成することによって、目の組織中のフルオレ
セインの保持時間を増加させるものである。事実、以下
に詳述するように、β−シクロデキストリンテトラデカ
スルフェートと複合体を形成したフルオレセインを1回
投与すると壁内に少なくとも3時間は保持され、これに
よって外科的技術に必要とされる注射の回数を大巾に減
らすことができるのである。
【0020】グルカンスルフェートと目薬との複合体を
形成させる方法は、グルカンスルフェート、目薬、その
特定のグルカンスルフェートとの薬剤の親和性、シクロ
デキストリンスルフェートのようなグルカンスルフェー
トの疎水性の空洞(cavity)と共有結合、イオン結合もし
くは水素結合を形成する能力といったことを含む多くの
要因によって変ってくるであろう。例えば、シクロデキ
ストリンスルフェートの場合、シクロデキストリンスル
フェートに対する目薬の親和性および特にこの薬剤がこ
のシクロデキストリンスルフェートの空洞に結合するか
さもなければ保持されるかといったことが、このシクロ
デキストリンスルフェート、目薬、もしくはその両者に
放射活性的に標識を行い、例えばアルコールを用いてこ
の複合体を沈析させることによって、測定することがで
きる。シクロデキストリンスルフェートの表面への結合
が、種々の指示染料を用いた競合阻害のような多くの技
術によってつきとめられる。1つの例では、グルカンス
ルフェートと目薬とを常法で共有的に結合させるのが好
ましいかもしれない。
【0021】β−シクロデキストリン−コーチゾン複合
体の複合化については、例えばAnderson 等、アーキテ
クチュアル・ファーマシューティカル・ケミカル・サイ
エンス(Arch.Pharm.Chem.Sci.),第11版:61-66
(1983);Armstrong等、アナリティカル・ケミストリー
(Anal.Chem.),57:234-237(1985);およびFrank
等、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイ
エンス(J.Pharm.Sci.),第7巻、10号、1215(198
3)を参照されたい。これらの記載は参考までにここに入
れているものである。またFolkman等、サイエンス(Sci
ence)、243:1490(1989)も参照されたい。この記載も参
考までにここに入れているものである。5−フルオロウ
ラシルの複合化については、Kaji 等、インターナショ
ナル・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Int.J.
Pharm.),24:79(1985)を参照されたい。この記載も
参考までにここに入れているものである。インドメタシ
ンのシクロデキストリンとの複合については、Szejtli
等のファーマズ(Pharmazu),36:694(1981)を参照され
たい。この記載も参考までにここに入れているものであ
る。いずれかの特定の目薬と組み合わせて用いられるグ
ルカンスルフェートの量については、1日に必要とされ
る投与回数と共に、該複合体の投与経路、複合化の度合
および形成される複合体の強度を含んだ多数の要因によ
って決められる。一般的には、この量は客体分子、即ち
グルカンスルフェートと共に目薬を100%複合化でき
るに足るものとなるであろう。本発明の眼科学的薬剤と
グルカンスルフェートの複合体が局部に投与され得る。
また眼科学的薬剤が局部的に投与され、グルカンスルフ
ェートが局部的に投与され、そして複合体が生体内で形
成されるようにすることもできる。又本発明の眼科学的
薬剤とグルカンスルフェートの複合体は非経口的に投与
され得る。一方、眼科学的薬剤が非経口的に投与され、
グルカンスルフェートが非経口的に投与され、そして複
合体が生体内で形成されるようにすることもできる。
【0022】
【実施例】実施例1 β−シクロデキストリンテトラデカスルフェートの角膜
浸透 ポリエチレンのリングを麻酔したうさぎの角膜にぴった
り付けた。1mg/mlの〔S35〕−β−シクロデキス
トリンテトラデカスルフェートを含有する生理食塩水を
各ウエルに120分となるまで添加し、その後このウエ
ルを取り除いて角膜を生理食塩水で激しく洗浄した。続
いてこの前眼房液(ACF)を吸引した。次いでこの角
膜を取り出し(exised)てコラゲナーゼ中で消化
し、角膜の上清を測定した。図1から判るように、角膜
およびACFの両者における〔S35〕−β−シクロデキ
ストリンテトラデカスルフェートは時間と共にわずかに
増加し、2時間で角膜中では0.34±0.107μg
に、ACF中では0.18±0.014μgに到達し
た。この実験はまた〔S35〕−β−シクロデキストリン
テトラデカスルフェートを含有するウエルが除去されて
から3時間の間に、標識がACFおよび角膜中に検出さ
れたことを示しており、これはβ−シクロデキストリン
テトラデカスルフェートの角膜での保持および前眼房中
への遅い放出を示唆している。このことは、目薬が前眼
房中に水溶液と交換して目の組織から除去されるという
ことが約30分毎に生ずる通常の目の治療と、非常に対
照的なことである。
【0023】実施例2 同様の実験において、放射能活性のβ−シクロデキスト
リンテトラデカスルフェートの単独投与後、標識化され
たβ−シクロデキストリンテトラデカスルフェートが角
膜中に急速に増加し、続いて徐々に少なくなっていくこ
とが示された。しかしながら、24時間の時点(mar
k)ではこの角膜はまだ、未処理の角膜の濃度の3倍を
保持していた。図2から判るように、水性体液中のβ−
シクロデキストリンテトラデカスルフェートの濃度は角
膜中の濃度と対応しているが、より低い濃度の所では、
角膜の貯蔵所(depot)から水性体液へと生ずるゆ
っくりとした拡散と一致している。
【0024】実施例3 β−シクロデキストリン/フルオレセイン 複合体 β−シクロデキストリンテトラデカスルフェートとモル
過剰のフルオレセインとの両者を水中に溶解させること
によって複合体が形成された。具体的には、6mlの生
理食塩水に3gのフルオレセインと30mgのβ−シク
ロデキストリンテトラデカスルフェート(2:1:10
のml生理食塩水:gフルオレセイン:シクロデキスト
リンスルフェート)を加えた。約600:1のフルオレ
セイン:シクロデキストリンスルフェートのモル比が得
られる。これによって明るい緑色の溶液が得られ、この
ものを37℃で4日間撹拌機で撹拌した。次いでエタノ
ールを1:5(v/v)で添加し(100%)、続いて
約2000gで20分間、遠心分離した。緑色の沈殿が
形成された。この沈殿物を上清が無色となるまで(エタ
ノール溶液が透明となってUV蛍光によって蛍光をもた
なくなるまで)エタノール(100%)でくり返し洗
い、続いて真空乾燥した。
【0025】実施例4 実施例3に記載された水溶性複合体を、1週間前に植え
付けたエンドトキシンペレットによって引き起こされた
角膜の血管新生を有するうさぎの頚動脈に注入した。1
回の投与後、この角膜中の新しい血管は3時間後にもま
だ緑色の蛍光を発していた。同様に、このシクロデキス
トリン−フルオレセイン複合体をメチルセルロースの水
溶液に溶解し(0.45%)してうさぎの角膜に適用し
たとき、角膜中のDescemet膜は、該角膜の組織
化学的切片を試験したとき3時間以上経っても緑色の光
を放っていた(glow)。フルオレセイン単独の場合
は頚動脈に注入後数分の間に角膜の血管から消えてお
り、Descemet膜中にも見出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射活性的に標識化されたβ−シクロデキスト
リンテトラデカスルフェートの、2時間にわたっての、
うさぎの角膜を通しての浸透を表わす。
【図2】うさぎの角膜中の、放射活性的に標識化された
β−シクロデキストリンテトラデカスルフェートの24
時間にわたっての滞留を表わす。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】眼科学的薬剤とグルカンスルフェートの複
    合体を含有する、該眼科学的薬剤を眼の組織に滞留させ
    眼の組織を治療するための薬剤。
  2. 【請求項2】グルカンスルフェートがデキストランスル
    フェート,シクロデキストリンスルフェート又はβ−
    1,3−グルカンスルフェートからなる群から選択され
    るものである請求項1記載の薬剤。
  3. 【請求項3】シクロデキストリンスルフェートが約3%
    (w/w)以上の硫黄含有量を有するものである請求項
    2記載の薬剤。
  4. 【請求項4】シクロデキストリンスルフェートがアルフ
    ァー、ベーター又はガンマーシクロデキストリンスルフ
    ェートからなる群から選択されるものである請求項2記
    載の薬剤。
  5. 【請求項5】シクロデキストリンスルフェートがβ−シ
    クロデキストリンスルフェートテトラデカスルフェート
    である請求項2記載の薬剤。
  6. 【請求項6】グルカンスルフェートがβ−1,3−グル
    カンスルフェートである請求項2記載の薬剤。
  7. 【請求項7】β−1,3−グルカンスルフェートが約5
    %(w/w)以上の硫黄含有量を有するものである請求
    項6記載の薬剤。
  8. 【請求項8】β−1,3−グルカンスルフェートが約1
    000以下の平均重合度を有する部分加水分解物である
    請求項6記載の薬剤。
  9. 【請求項9】グルカンスルフェートがデキストランスル
    フェートである請求項2記載の薬剤。
  10. 【請求項10】デキストランスルフエートが約12%
    (w/w)以上の硫黄含有量を有するものである請求項
    9記載の薬剤。
  11. 【請求項11】デキストランスルフエートの平均分子量
    が約1,000と40,000,000の間である請求
    項9記載の薬剤。
  12. 【請求項12】眼科学的薬剤とグルカンスルフェートの
    複合体がフマギリンもしくはコルテクソロンとβ−シク
    ロデキストリンテトラデカスルフェートとの複合体でな
    い請求項1記載の薬剤。
  13. 【請求項13】眼科学的薬剤とグルカンスルフェートの
    複合体が、フマギリンとβ−シクロデキストリンテトラ
    デカスルフェートを含有しないグルカンスルフェートと
    の複合体である請求項12記載の薬剤。
  14. 【請求項14】眼科学的薬剤とグルカンスルフェートの
    複合体が、コルテクソロンとβ−シクロデキストリンテ
    トラデカスルフェートを含有しないグルカンスルフェー
    トとの複合体である請求項12記載の薬剤。
  15. 【請求項15】眼科学的薬剤とグルカンスルフェートの
    複合体を含有する製薬学的組成物。
  16. 【請求項16】眼科学的薬剤をグルカンスルフェートと
    接触させることからなる眼の組織に眼科学的薬剤を滞留
    させるようにした眼の組織を治療するための眼科学的薬
    剤およびグルカンスルフェートの複合体の製造法。
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