JPH07308195A - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の製造方法

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JPH07308195A JP6102789A JP10278994A JPH07308195A JP H07308195 A JPH07308195 A JP H07308195A JP 6102789 A JP6102789 A JP 6102789A JP 10278994 A JP10278994 A JP 10278994A JP H07308195 A JPH07308195 A JP H07308195A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フマル酸とアンモニアからL−アスパラギ
ン酸を生産する際、多量のアンモニウム塩を排出しない
L−アスパラギン酸の製造方法を提供する。 【構成】 フマル酸とアンモニアおよびアルカリ金属
イオンを含む基質媒体に、アスパルターゼ活性を有する
酵素含有物を作用せしめることによりL−アスパラギン
酸を生成せしめ、次にL−アスパラギン酸を含有する反
応済媒体に鉱酸を加え、析出したL−アスパラギン酸の
結晶を濾別・回収すると共に、鉱酸のアルカリ金属塩を
主成分とする廃液を排出するL−アスパラギン酸の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフマル酸とアンモニアか
らL−アスパラギン酸を生産する際、多量のアンモニウ
ムイオンを含んだ廃水を排出しないようにする方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アスパルターゼ活性を有する微生
物を用いてフマル酸アンモニウムからL−アスパラギン
酸を製造する方法としては、α−アミノ酪酸に耐性を有
する微生物を好気的に培養後反応に供する方法(特公昭
61ー29718号公報)、フマル酸添加培地で培養し
た微生物菌体を用いる方法(特開昭60ー120983
号公報)、天然物多糖由来のポリマー等に大腸菌(Esche
richia coli)を固定化した固定化微生物充填カラムを用
いる方法(特開昭53ー6483号公報)など種々の方
法が知られている。
【0003】通常、フマル酸とアンモニアの反応液から
L−アスパラギン酸を回収するためには、硫酸などの鉱
酸を用いて、反応液のpHをL−アスパラギン酸の等電
点であるpH2.7程度に調節後、冷却することによっ
てL−アスパラギン酸の結晶を析出させ、これを濾別す
る方法がとられている。
【0004】この方法は安価な鉱酸を用いること、生産
物であるL−アスパラギン酸の結晶としての回収率が高
いこと、得られるL−アスパラギン酸の純度が高いこと
から非常に経済的に有利な方法である。
【0005】しかしながら、産業廃棄物という観点から
は、高濃度の硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩を含
有した廃水が大量に排出されるという問題点を有してい
る。水溶液中のアンモニウムイオンの除去は廃水処理の
面でも非常に困難であり、湖沼や瀬戸内海などの内湾で
はアンモニウムイオンを含む窒素濃度が上昇することに
よる水質汚染などの問題が生じてきている。また最近、
工場廃水中の窒素濃度の規制についても各省庁で検討が
行われているようである。従って、L−アスパラギン酸
の製造においても硫安などの副生成物が多量に発生しな
い系の開発が望まれている。
【0006】米国特許4560653ではL−アスパラ
ギン酸の生産の際にアスパルターゼもしくはアスパルタ
ーゼ生産菌をフマル酸とアンモニアに作用させ、生成し
たアスパラギン酸アンモニウム水溶液にマレイン酸を添
加して酸性にすることによってL−アスパラギン酸を析
出させ、濾液を異性化することによって反応液のリサイ
クルを行う方法が提案されている。この方法は、硫安な
どの副生成物が発生しない方法である。しかしこの方法
ではL−アスパラギン酸の析出に用いたマレイン酸を、
臭素イオンを含んだ触媒を用いて、アスパルターゼが作
用できるフマル酸に異性化し、異性化後、触媒を除去す
る工程が含まれており、L−アスパラギン酸の製造工程
が煩雑になる欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はフマル
酸とアンモニアからL−アスパラギン酸を生産する際、
多量のアンモニウム塩を排出しない、L−アスパラギン
酸の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】本発明者らはこのような高濃度のアンモニ
ウムイオンを含有した廃水が大量に排出されない、簡易
なL−アスパラギン酸の製造方法について鋭意検討を行
った結果、この反応の基質であるフマル酸を中和するの
に従来用いられていたアンモニア単独の条件にかえてア
ルカリ金属イオンをあわせて用いると反応の転化率、選
択率共に通常工業的に行われている方法と遜色ない結果
が得られることを見いだし本発明を完成させるに至っ
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はフマル酸とアン
モニアおよびアルカリ金属イオンを含む基質媒体に、ア
スパルターゼ活性を有する酵素含有物を作用せしめるこ
とによりL−アスパラギン酸を生成せしめ、次にL−ア
スパラギン酸を含有する反応済媒体に鉱酸を加え、析出
したL−アスパラギン酸の結晶を濾別・回収すると共
に、鉱酸のアルカリ金属塩を主成分とする廃液を排出す
ることを特徴とするL−アスパラギン酸の製造方法に関
するものである。
【0010】本発明に用いるフマル酸はフマル酸あるい
はフマル酸塩から選ばれるものであって、これらの混合
物でもよい。反応の際のフマル酸濃度は通常5〜30重
量%が好ましいがフマル酸塩の溶解度と生産性の面から
特に10〜25重量%が好ましい。
【0011】本発明に用いられるアンモニアは液体アン
モニア、アンモニア水溶液等が使用可能であるが、取扱
上、アンモニア水溶液が有利である。
【0012】アンモニア水の濃度としては特に限定され
るものではないが、工業的には10〜35重量%が利用
するのに好ましい。
【0013】本発明に用いられるフマル酸を中和するに
あたって使用するアルカリ金属イオンの量はフマル酸に
対して0.5〜1.5倍モル、好ましくは0.9〜1.
3倍モル、より好ましくは1.10〜1.25倍モル用
いるのがよい。
【0014】本発明に用いるアルカリ金属イオンとして
はナトリウムイオン、カリウムイオンのほか各種のアル
カリ金属イオンが使用できるが、経済的には水酸化ナト
リウムか水酸化カリウムをアルカリ金属イオンとして用
いるのが好ましい。またこれらのアルカリ金属水酸化物
は2種以上のものを混合して用いても差し支えない。さ
らにフマル酸をアルカリ金属イオンで中和するかわりに
フマル酸のアルカリ金属塩をそのまま用いても差し支え
ない。
【0015】反応液のpHは5から10の範囲、好まし
くは7.5から9.0の範囲、さらに好ましくはアスパ
ルターゼの至適pHである8.0〜8.5程度にアルカ
リ金属イオンおよびアンモニアを添加して調整すればよ
い。
【0016】本発明に用いるアスパルターゼ活性を有す
る酵素含有物は、アスパルターゼが高活性な微生物菌体
そのもの、あるいは超音波、摩砕、凍結融解、酵素処
理、界面活性剤処理などにより物理的または生化学的に
処理して破砕した菌体破砕物、さらに硫酸アンモニウム
塩析、アセトン沈殿等常法により得られる酵素のいずれ
でも使用できる。アスパルターゼ活性を有する微生物と
しては、例えばエッシェリシア(Escherichia )属に属
する微生物(エッシェリシア・コリ(Escherichia col
i)ATCC11303、ATCC9637、ATCC
27325)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)
属に属する微生物などフマル酸よりL−アスパラギン酸
を収率よく生成する特徴を有する微生物であれば特に限
定されない。これらのアスパルターゼ活性を有する酵素
含有物を担体に固定化して用いることもできる。固定化
の担体としては、セルロース、アルギン酸、カラギー
ナ、ナンマンゲルなどの適当な天然系高分子、あるいは
イオン交換樹脂やポリビニルアルコール、ポリアクリル
アミドなどの適当な合成高分子などを常法により用いる
ことができる。
【0017】また、反応に用いるアスパルターゼ活性を
有する酵素含有物中に含まれるフマラーゼ活性など該反
応の妨げになりうるアスパルターゼ活性以外の酵素を予
め失活させたものを反応に用いることも可能である。た
とえば酵素含有物を、予め、L−アスパラギン酸および
アンモニウムイオン存在下、アルカリ域で40〜60℃
に加熱処理を行い、フマラーゼ活性を予め失活させてお
くこともできる。
【0018】フマル酸とアンモニアとの反応はそれらを
溶解した水性媒体、たとえば水または緩衝液中で行う。
反応の際の原料のフマル酸の濃度は5〜30重量%好ま
しいが、フマル酸塩の溶解性と生体触媒の反応性を考え
ると特に10〜25重量%の範囲の水溶液で反応させる
のが効果的である。
【0019】また反応液にはさらに塩化マンガン、硫酸
マンガンなどのマンガン塩、または塩化マグネシウム、
硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩を0.1〜50
mM、特に1〜10mMの濃度で添加することがことが
好ましい。
【0020】本発明における反応槽の態様は特に限定さ
れないが、例えば、バッチ型反応装置、カラム型反応装
置など従来から知られている反応槽で反応を行うことが
できる。反応槽は1つであってもよいし、複数あっても
差し支えない。またカラム型の反応装置の場合には、通
液速度をカラムに充填されている酵素の量によって変え
て反応することも可能である。
【0021】反応の際の温度は低温では反応速度が低下
するため通常20℃程度を下限とし、高温下ではアスパ
ルターゼの失活を招くため50℃程度を上限とするのが
好ましく、より好ましくは25〜40℃の範囲で行うの
がよい。
【0022】反応後の液中のL−アスパラギン酸は常法
通り等電点沈殿法等により容易に回収できる。例えば反
応液に硫酸等の鉱酸を添加しpHをL−アスパラギン酸
の等電点である2.77程度に低下させ、冷却すること
によって結晶を析出させれば良い。
【0023】本発明に用いる鉱酸としては硫酸、塩酸、
リン酸などが使用できる。
【0024】析出したL−アスパラギン酸の結晶は通常
の方法、例えば濾過、遠心分離、デカンテーションなど
の方法で液から分離し、通常の方法にしたがって乾燥さ
れる。斯くして結晶を分離した液中のアンモニウムイオ
ンの濃度は通常の工業的に実施されている方法に比べて
数分の一から数十分の一となっており、主成分は鉱酸の
アルカリ金属塩である。
【0025】
【作用】本発明によれば、フマル酸とアンモニアからL
−アスパラギン酸の製造に際して、廃水の主成分を従来
の硫酸アンモニウムから硫酸のアルカリ金属塩にかえる
ことができ、近年の工業廃水に対する窒素規制に対応す
ることができる。
【0026】
【実施例】次に本発明の方法を実施例をあげて説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0027】実施例1 2Lジャーファーメンターにフマル酸20g、リン酸1
カリウム1g、硫酸マグネシウム7水塩0.5g、酵母
エキス20g、コーンスティープリカー20gを水に溶
解し、pHをアンモニアで6.8に調節した培地1Lを
仕込み滅菌した後、別に500ml振盪フラスコに同上
の培地50mlをいれて培養しておいたエッシェリヒア
コリ(Escherichia coli ATCC 11303 )を接種し、37
℃で通気撹拌培養した。培地中のフマル酸が消失した時
点で、菌体培養液に酢酸を加え、pHを約5に調整し、
45℃で1時間放置した後、培養液を遠心分離にかけ、
菌体を分離した。この菌体を3等分し、−80℃で凍結
して冷蔵した。
【0028】フマル酸200gおよび硫酸マグネシウム
7水塩0.25gを水600mlにいれ、水酸化ナトリ
ウムを82.8g(対フマル酸1.2倍モル)添加後、
25%アンモニア水を用いてpHを8.3に調節し、水
を追加して1Lとし、これを反応基質溶液とした。
【0029】この基質液に先に3等分した凍結菌体の一
つを入れ、37℃で緩やかに振盪しながら5時間反応さ
せた。この反応液中のL−アスパラギン酸は221.
3.gであった。この反応液を遠心分離して菌体を除い
た後、硫酸を添加し、pHを2.77に調節した。これ
を60℃に加熱、その後冷却した。冷却後、吸引濾過器
で吸引濾過し、濾過器内の結晶を約150mlの水で吸
引しながら洗浄し、この結晶を乾燥し重量、純度を調べ
たところ、重量216.4g、純度99.6%のL−ア
スパラギン酸を得た。濾液1L中のアンモニア濃度を測
定したところ、NH3 として約1.0g/Lであった。
【0030】実施例2 実施例1において、反応基質に加える水酸化ナトリウム
の量を100g(対フマル酸1.45倍モル)とした以
外は実施例1と同様な操作を行った。反応後の反応液中
のL−アスパラギン酸は178.1gであった。実施例
1と同様な方法でL−アスパラギン酸の晶析を行い、重
量219g、純度80%のL−アスパラギン酸を得た。
濾液中のアンモニア濃度を測定したところ、NH3 とし
て約0.85g/Lであった。
【0031】実施例3 実施例1において、反応基質に水酸化ナトリウムを水酸
化カリウムにし、これを96.7g(対フマル酸1.0
倍モル)添加する以外は実施例1と同様な反応を行っ
た。反応後の反応液中のL−アスパラギン酸は225.
9gであった。実施例1と同様な方法でL−アスパラギ
ン酸の晶析を行い、重量222.0g、純度99.4%
のL−アスパラギン酸を得た。濾液中のアンモニア濃度
を測定したところ、NH3 として約5.7g/Lであっ
た。
【0032】比較例1 実施例1において、反応基質に水酸化ナトリウムを添加
せずに25%アンモニア水を加え、pHを8.3に調節
した以外は実施例1と同様の操作を行なった。反応後の
反応液中のL−アスパラギン酸は227.3gであっ
た。この反応液を実施例1と同様な方法で処理し結晶と
炉液を得た。結晶を乾燥し重量、純度を調べたところ、
重量223.3g、純度99.6%のL−アスパラギン
酸を得た。濾液中のアンモニア濃度を測定したところ、
NH3 として約35.2g/Lであった。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高濃度の硫酸アンモニ
ウム水溶液などの環境上好ましくない副生成物を伴わず
にL−アスパラギン酸を効率よくフマル酸を原料に製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:13)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フマル酸とアンモニアおよびアルカリ
    金属イオンを含む基質媒体に、アスパルターゼ活性を有
    する酵素含有物を作用せしめることによりL−アスパラ
    ギン酸を生成せしめ、次にL−アスパラギン酸を含有す
    る反応済媒体に鉱酸を加え、L−アスパラギン酸の結晶
    を濾別・回収すると共に、鉱酸のアルカリ金属塩を主成
    分とする廃液を排出することを特徴とするL−アスパラ
    ギン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 アスパルターゼ活性を有する酵素含有
    物が、酵素活性を有する微生物菌体、菌体破砕物、部分
    精製酵素もしくは精製酵素、またはこれらを含んでなる
    固定化物である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 フマル酸に対して0.5〜1.5倍モ
    ルのアルカリ金属イオンを含む請求項1〜2のいずれか
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルカリ金属イオンがナトリウムイオ
    ンおよび/またはカリウムイオンである請求項1〜3の
    いずれかに記載の方法。
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