JPH07310227A - ナイロン66マルチフィラメント糸 - Google Patents

ナイロン66マルチフィラメント糸

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JPH07310227A
JPH07310227A JP9964594A JP9964594A JPH07310227A JP H07310227 A JPH07310227 A JP H07310227A JP 9964594 A JP9964594 A JP 9964594A JP 9964594 A JP9964594 A JP 9964594A JP H07310227 A JPH07310227 A JP H07310227A
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JP
Japan
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nylon
yarn
max
temperature
fiber
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JP9964594A
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Kenji Kanekiyo
健治 兼清
Masanobu Kai
正信 甲斐
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Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 20℃、60%RHにおける初期モジュラス
が20〜45g/dであり、力学的損失正接(tan
δ)のピーク高さ(tanδ)max とピーク温度(T
max 〔℃〕)が 80≦Tmax ≦−320(tanδ)max +132 を満足するとともに、繊維1kg当たり55〜100ミ
リ当量のアミノ末端基を有することを特徴とする、ナイ
ロン66マルチフィラメント糸。 【効果】 高温の湿熱加工によっても脆化することの少
ない、柔軟で染色性に優れたナイロン66マルチフィラ
メント糸。ポリエステル繊維等との混繊、交編織物の染
色加工製品品質の向上に効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、黄変と脆化の少ない改
良されたナイロン66マルチフィラメント糸に関する。
【0002】
【従来の技術】ナイロン66繊維は、ナイロンの中でも
強度、耐久性、伸縮性に優れ、融点も高く、耐熱性が良
好であるため、各種衣料用途に使用されている。しか
し、ナイロン6に比らべ均染性が劣り、染斑が発生しや
すい。これを解決するために、特開昭57−14351
4号公報には、特殊な微細構造を有し、均染性に優れた
ナイロン66繊維が提案されている。さらに上記ナイロ
ン66繊維は、初期モジュラスが低いため、これを用い
ることによって、柔軟性が高く、風合いの良好な布帛を
得ることが可能となった。
【0003】また近年では、繊維業界においては、ファ
ッション化の傾向が進展し、布帛に高度な嵩高性や優雅
な風合いなどの機能が要求されている。他素材との混用
品を用いることや、染色加工段階で布帛にシワを付与す
るシワ加工なども、上記機能を付与する有効な手段とし
て利用されてきた。しかしながら、ポリエステル繊維と
の混用品やシワ加工品などの布帛の後加工工程において
は、通常ナイロン繊維には用いられない120〜130
℃の高温湿熱加工条件が必要である。ナイロン繊維に、
このような高温湿熱加工条件を採用すると強度保持率が
大幅に低下するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる欠点
を解決するものであり、高温の湿熱加工条件下において
も、強度脆化が少なく極めて柔軟で風合の良好なナイロ
ン66マルチフィラメント糸を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、20℃、60
%RHにおける初期モジュラスが15〜45g/dであ
り、力学的損失正接(tanδ)のピーク高さ(tan
δ)max とピーク温度(Tmax 〔℃〕)が Tmax ≦−320(tanδ)max +132 を満足し、かつ前記ピーク温度が95℃以下、微結晶の
大きさ(ACS)が40Å以上60Å以下(100)面
の結晶配向度(CO)が85%以上及び繊維の中心部に
おける複屈折(Δn)が37×10-3以上50×10-3
以下であって、かつ、糸1kg当たり、55〜100ミ
リ当量のアミノ末端基を有することを特徴とするナイロ
ン66マルチフィラメント糸である。
【0006】本発明のフィラメント糸において、実用上
ナイロン66として満足な特性を持つためには、20
℃、RH60%における初期モジュラスが15g/d以
上であることが必要である。そのためにフィラメント糸
の中心部における複屈折(Δn)は37×10-3以上で
あることが必要である。ここで、複屈折率とは、後述の
方法により、干渉顕微鏡によって測定される。
【0007】なお、本発明のフィラメント糸について、
その微細構造と力学的特性、熱的特性の間には、以下の
関係がある。繊維の結晶部の微細構造を表わす各種のパ
ラメーター(微結晶の大きさ(ACS)、(100)面
の結晶配向度(CO)は繊維の力学的特性(強伸度、初
期モジュラス)及び熱的特性(寸法安定性、熱に対する
微細構造の安定性)に関係する。本発明のフィラメント
糸において、衣料用として満足な強伸度、モジュラス、
および寸法安定性、さらに熱に対する微細構造の安定性
を与える点で、ACSおよびCOはそれぞれ40Å以上
及び85%以上であることが好ましい。より好ましいこ
れらのパラメーターの値は、それぞれ45Å以上および
87%以上である。ACSが40Åより小さい場合は、
温度上昇あるいは吸湿時に伴う微細構造の変化が大きく
なる傾向があり、熱を受けた際に強度が低下しやすくな
ったり、湿潤時、或いは加熱時の寸法安定性が低下しや
すい。一方、COが85%より小さいと加熱時の初期弾
性率低下が大きくなりやすい。
【0008】ここで、ACS、CO、CPI、IWR等
のパラメーターは後述するX線回析法を用いて測定され
る。一方、上記初期モジュラスが45g/dを越える
と、繊維が剛直になる傾向があり、本発明のナイロン6
6マルチフィラメント糸の特徴である柔軟性が損なわれ
る。
【0009】一般にナイロン繊維の染色性は、酸性染料
による染色の場合は、アミノ末端基および微細構造によ
ってまた、分散染料による染色の場合は、微細構造によ
って左右され、特に均染性については、微細構造および
そのばらつきの影響が大きく染斑を生じ易い。ナイロン
66の均染性を向上させ、製品に染斑を生じせしめない
ために、本発明においては、(tanδ)max とTmax
が 80≦Tmax ≦−320(tanδ)max +132 を満足することが必要である。
【0010】通常の紡糸−延伸法によって得られる従来
のナイロン66繊維の微細構造は、例えば、延伸倍率等
の違いによってかなり変化するが、その変化は(tan
δ) max とTmax の両特性値の関係で表わすと Tmax ≧−320(tanδ)max +140 の範囲に限られる。なお、従来の実用的な衣料用ナイロ
ン66繊維のTmax は110〜140℃の間にあり、
(tanδ)max は0.09〜0.15の間にある。こ
れに対して、 Tmax ≦−320(tanδ)max +132 を満足させると、微細構造の経時変化が少なく、かつ均
染性が著しく向上するほか、より低い温度でも十分な深
染色が得られる。
【0011】本発明のフィラメント糸の(tanδ)
max の値は、大きいほど染色性や柔軟性が向上するが、
寸法安定性や微細構造の熱安定性が低下する。従って、
(tanδ)max は0.15以下であることが好まし
い。またTmax については、染色温度を低下させるため
には、低いほど良く一般には、Tmax ≦95℃であるこ
とが好ましい。Tmax の下限は特に設ける必要はない
が、本発明においては80℃以上である。本発明におい
ては、繊維のアミノ末端基の含有量は、ポリマー(ある
いは糸)1kg当たり55〜100ミリ当量でなければ
ならない。アミノ末端基量が、55ミリ当量/ポリマー
1kg未満である繊維は、120〜130℃の高温の湿
熱処理によって強度の脆化をおこし、得られる布帛は常
用に不満足なものになる。
【0012】また、アミノ末端基量が100ミリ当量/
ポリマー1kgを越えるものは、ポリマー重合度が低い
ものであり、実用上力学的特性のレベルが劣る繊維とな
る。かくして、極めて柔軟な風合いを得ることのできる
特殊な繊維構造と、繊維中のアミノ末端基量とも組合せ
ることによって、高温の湿熱加工処理による強度の脆化
が抑制された柔軟な風合を有するナイロン66マルチフ
ィラメント糸を得ることができる。
【0013】本発明のナイロン66マルチフィラメント
糸の単糸デニールは、通常用いられる3デニール以下が
好ましいが、1.0ないし0.3デニールのものは、前
記の繊維構造由来の柔軟さに加えて、単糸デニールが極
めて細いという形態に由来する柔軟性が加わり、最も好
ましい。また、本発明のナイロン66マルチフィラメン
ト糸は、黄変が少ないという特徴を(併せ)有してい
る。
【0014】通常、合成繊維は編織物に編織された後、
精練、染色が施されるが、これらの処理後にプレセット
や仕上げセットが必要である。ナイロン66マルチフィ
ラメント糸の編織物の場合、上記プレセットあるいは仕
上げセットにおいて、180℃前後の温度が用いられ
る。従来のナイロン66マルチフィラメント糸は、この
セット工程において、黄変を生じ製品の見映えを損う
が、これに対して、本発明のナイロン66マルチフィラ
メント糸においては、上記セット工程における黄変が極
めて少なく、製品の見映えが著しく改善される。
【0015】本発明に用いるナイロン66は、ヘキサメ
チレンジアミンとアジピン酸とから、縮合重合されたも
のを主体とするものであるが、通常使用される少量の添
加剤、例えば、酸化チタンに代表される艶消剤、ポリエ
チレングリコールなどの制電剤、ヒンダードフェノール
などの熱安定性剤、アルキレンジアミン、アルキルアミ
ン等の重合度調節剤を含んでいても良い。
【0016】また、ナイロン66マルチフィラメント糸
の物性を低下させない範囲内での少量の共重合成分を含
んでいても差し支えない。本発明に用いるポリヘキサメ
チレンアジパミドは、通常の溶融重縮合によって製造さ
れるものであり、バッチ重合方式でも連続重合方式でも
良い。例えば、バッチ重合法としてはヘキサメチレンジ
アミンとアジピン酸の塩であるヘキサメチレンジアンモ
ニウムアジペート(AH塩)の50重量%水溶液に重合
度調整剤などの添加剤を混合して濃縮槽に仕込み、15
0℃前後に加熱して約80重量%の濃度にまで濃縮す
る。この濃縮液を重合槽へ供給し、さらに加熱を続け
る。この時、重合槽内の圧力を圧力調節弁で約18kg
/cm2 にコントロールしながら縮合水を除去し、内温
を250℃にまで昇温する。次に、加熱を続けながら重
合槽の圧力を徐々に放圧して常圧にまで戻し、内温を2
80℃に昇温してそのまま数十分間保ち、重縮合を完了
させる。生成したポリマー融解液を不活性ガスで加圧し
て吐出口金から押し出し、冷却してペレットチップとす
ることができる。
【0017】また、連続重合法としては、Brit.
P.674,954(1949)やAdv.Poly.
Tech.,6,(3),267(1986)等に示さ
れた方法によって重合を行うことができる。さらに、上
記の重合方法で得られたポリマーチップを、融点よりも
20〜80℃低い温度において、減圧真空中もしくは不
活性ガス中で加熱して固相重合を行い、重合度をさらに
高めても良い。
【0018】これらの一般の重合方法において、アミノ
末端基濃度を所定量に規制するためには、例えば原料の
仕込み時に、原料の一成分であるヘキサメチレンジアミ
ンを過剰に添加して行うことが最も簡便でかつ有効であ
る。また、ヘキサメチレンジアミンを重合の途中で添加
することによっても達成出来る。さらには、他のジアミ
ン化合物を用いることもでき、原料仕込み時、または重
合の途中で添加して、アミノ末端基濃度を高くすること
も可能である。
【0019】本発明のVR(蟻酸相対粘度)は、用途に
応じて適宜設定すれば良いが、通常衣料に用いる場合、
30〜60である。本発明のナイロン66マルチフィラ
メント糸は、例えば実施例に示すように、上記ナイロン
66重合体を、引取速度4000m/分以上の高速で紡
糸することによって得ることができる。紡糸に際して
は、ポリマー粘度、紡糸温度、紡糸口金下の雰囲気状
態、紡糸速度を適宜コントロールし、紡糸口金より溶融
紡出されたポリマー流の冷却固化、および細化変形を制
御して、紡糸性よく、かつ、所望の特性を有するナイロ
ン66マルチフィラメント糸を得ることができる。
【0020】なお、ここで紡糸速度とは、冷却固化され
た糸条を必要な場合は、さらに集束、仕上剤処理された
後に、所定の速度で引取る第1駆動ロールの速度を言
う。図1に、本発明で用いた装置の一例を示す。溶融さ
れたナイロン66は、所定の温度に加熱された紡糸ヘッ
ド2の中に取付けた紡糸口金(図示せず)より紡出さ
れ、大気中で冷却されて糸条1となる。本装置において
は、紡糸口金直下に紡出糸条1を取り囲む管状加熱域3
が設けられており、さらに該加熱域の下方に糸条を吸
引、冷却するための流体吸引装置4が設置されている。
管状加熱域3、及び流体吸引装置4を通過した糸条1
は、仕上剤付与装置5、集束装置6を経て引取ロール7
によって引取られる。
【0021】本発明のナイロン66マルチフィラメント
糸は、極めて均染性の要求水準の高い分野へ用いること
ができ、かつ、柔軟性が高く、風合の良好な布帛を得る
ことができる。加えて、ポリエステルなどとの混用品
や、シワ加工に必要な高温の湿熱処理による強度の脆化
がなく、このことによって、衣料系の各種用途分野に用
いることができる。
【0022】本発明のナイロン66マルチフィラメント
糸は、加工糸として、或いはそのまま編織物その他の衣
料用途に用いることができる。以下に、本発明に用いら
れたフィラメント糸の構造特性およびその他特性の測定
方法を述べる。 (1)力学的損失正接(tanδ) 力学的損失正接(tanδ)の測定には、オリエンテッ
ク社製 VIBRON型を用いる。測定周波数110H
z、昇温速度10℃/分、乾燥空気中で、tanδ−温
度(T)特性を測定する。tanδ−温度曲線からta
nδピーク高さ(tanδ)max と、tanδピーク温
度Tmax (℃)が得られる。
【0023】図2に、本発明のフィラメント糸のtan
δ−T曲線を模式的に示す。 (2)複屈折率(Δn) 複屈折の測定には、旧東独カールツアイスイエナ社製の
透過型干渉顕微鏡を用いる。波量549mμ、温度25
℃において、フィラメント軸に対して平行に振動してい
る光に対する屈折率n11と、フィラメント軸に対し垂直
に振動している光に対する屈折率n⊥の値から、
【0024】
【数1】
【0025】で表わされる。なお、フィラメントの中心
部とは、円型断面および異型断面フィラメントとも、フ
ィラメント断面を一平面と考えた際の重心部分と定義す
る。 (3)見掛けの微結晶の大きさ(ACS) 赤道方向のX線回折強度を対称反射法によって測定する
ことにより、ACSを求めることができる。
【0026】X線回折強度は、理学電機社製(RU−2
00PL)とゴニオメーター(SG−9R)、計数管に
はシンチレーション・カウンター、計数部には波高分析
器を用い、ニッケルフィルターで単色化したCuKα線
(λ=1.5418Å)で測定する。フィラメント糸試
料のフィラメント軸がX線回折面に対して垂直となるよ
うにAI製試料ホルダーにセットする。このとき試料の
厚みは0.5mm位になるようにする。30KV、80
mAでX線発生装置を運転し、スキヤニング速度2θ、
1°/min、チャート速度10mm/min、タイム
コンスタント1秒、ダイバージエンススリット1/2
°、レシービングスリット0.3mm、スキヤッタリン
グスリット1/2°において、回折角2θが7°〜35
°までの回折強度を記録する。記録計のフルスケールは
得られる回折強度曲線がスケール内に入るように設定
し、少なくとも最高強度値がフルスケールの50%を越
えないように設定する。
【0027】本発明のフィラメント糸は、一般に赤道線
の回折2θ=20.0°〜24.5°の範囲内に2つの
主要な反射を有することが特徴である(低角度側は(1
00)面、高角度側は(010)+(110)面であ
る)。ACSを求めるために用いる方法は、例えばLE
アレキサンダー著「高分子のX線回折」化学同人出版、
第7章Scherrerの式を用いる。
【0028】2θ=7°と35°の間にある回折強度曲
線間を有線で結び基線とする。回折ピークの頂点から基
線に垂直を下し、ピークと基線間の中点を記入する。中
点を通る水平線を回折強度曲線の間に引く。この線は、
2つの主要な反射がよく分離している場合には、曲線の
ピークの2つの肩と交差するが、分離が悪い場合には1
つの肩のみと交差するだけである。このピークの幅を測
定する。一方の肩のみと交差する場合は交差点から中点
までの距離を測定して2倍する。2つの肩と交差する場
合は両肩間の距離を測定する。これらの値をラジアン表
示に換算してライン幅とする。さらにこのライン幅を次
の方法で補正する。
【0029】
【数2】
【0030】Bは測定したライン幅、bはブロードニン
グ定数でSi単結晶の(lll)面反射のピークのラジ
アン表示したライン幅(半値幅)である。見掛けの微結
晶の大きさは次式によって与えられる。 ACS(Å)=K.λ/B.cosθ ここではKは1、λはX線の波長(1.5418Å)、
βは補正されたライン幅、θはブラッグ角で2θの1/
2である。
【0031】(4)結晶配向度(CO) フィラメント糸の結晶配向度の測定は、理学電機社製X
線発生装置(RU−200PL)、繊維試料測定装置
(FS−3)ゴニオメータ(SG−9)、計数管にはシ
ンチレーションカウンター、計数部には波高分析器を用
い、ニッケルフィルターで単色化したCuKα(λ=
1.5418Å)で測定する。
【0032】本発明のフィラメント糸は、一般に赤道線
上に2つの主要な反射を有することが特徴である。CO
測定には低角度の2θを有する反射を使用する。使用さ
れる反射の2θは赤道線方向の回折強度曲線から決定さ
れる。X線発生装置は30KV、80mAで運転する。
フィラメント糸試料測定装置に試料を単糸どうしが互い
に平行となるようにそろえて取り付ける。試料の厚さが
0.5mm位になるようにするのが適当である。赤道方
向の回折強度曲線から決定される2θ値にゴニオメータ
ーをセットする。対称透過法を用いて、方位角方向を−
30°〜+30°走査し、方位角方向の回折強度を記録
する。更に−180°と+−180°の方位角方向の回
折強度を記録する。この時、スキヤニング速度4°/m
m、チヤート速度10mm/min、タイムコンスタン
ト1秒、コリメーター2mmφ、レシービングスリット
縦幅1.9mm、横幅3.5mmである。
【0033】得られた方位角方向の回折強度曲線からC
Oを求めるには、±180℃で得られる回折強度の平均
値を取り、水平線を引き基線とする。ピークの頂点から
基線に垂線を下し、その高さの中点を求める。中点を通
る水平線を引き、この水平線と回折強度曲線の交点間の
距離を測定し、この値を角度(°)に換算した値を配向
角Hとする。結晶配向度は次式によって与えられる。 CO(%)=(180−H)/180×100
【0034】(5)結晶完全度(CPI) 結晶完全度(CPI)の測定には、ACSの測定法から
得られるX線回折強度曲線を用いる。結晶完全度(CP
I)を求めるには、DismoreとStattonの
方法を用いCPIは次式によって与えられる。 ここでAは0.189であり、CPIの値が100に近
いほど、結晶の完全度は高い。 〔結晶成長度(IWR)〕結晶成長度の測定には、AC
Sの測定法から得られるX線回折強度曲線を用いる。結
晶成長度(IWR)は、 で表わされる。
【0035】ここでH1 とは(100)面反射と{(0
10)+(110)}面反射の間の強度の最小値であ
り、H2 とは(100)面反射の最大強度、H3 とは
{(010)+(110)}面反射の最大強度である。
IWRの値が1に近いほど結晶成長が高い。 (6)強伸度、初期モジュラス オリエンテック社製 TENSIRON UTM−II
−20型引張試験機を用い、常法により測定した。な
お、測定雰囲気は20℃、RH60%である。
【0036】(7)沸水収縮率 0.1g/dの荷重下での試料長をLoとし、無荷重で
沸水中で30分間処理した後、再度0.1g/dの荷重
下で長さLを測定する。沸水収縮率 BWS(%)は BWS(%)=(Lo−L)/Lo×100 で表わされる。
【0037】(8)VR(蟻酸相対粘度) 90%蟻酸溶液に8.4重量%のナイロン66を溶解
し、25℃において常法により測定する。 (9)染斑発生率 試料を仮撚して、得られた加工糸を筒編地にし、Dia
cid Alizarin Liqht Blue 4
GL 0.5%owf、酢酸と酢酸アンモニウムとを加
え、pH5.0に調整し、常温から60分間で98℃に
昇温し、さらに10分間98℃に保った後、降温し、染
色編地を得て、染斑の有無を肉眼で判定する。
【0038】染斑発生率は で表わす。 (10)アミノ末端基濃度 糸を、重量で100倍量の濃度2g/リットルのノニオ
ン系界面活性剤水溶液で、60℃にて30分間洗浄し
て、仕上剤を除去する精練処理の後に、「ポリマー分析
ハンドブック」日本分析化学会編(朝倉書店出版)32
3ページの方法で分析した。 (11)高温湿熱処理による強度保持率 糸を筒編地とし、精練後、ハイダイ染色機を用い、浴比
1:50で130℃の下で30分の高温湿熱処理を行
う。処理後に編地をほどき強度を測定して、強度保持率
を次式によって求めた。
【0039】 (12)加熱黄変性 一口編地を作成し、精錬後、放置乾燥する。
【0040】次いで、熱風オーブンの中に入れて、空気
雰囲気で190℃×5分間の加熱処理を行った。この処
理を施した編地を日本電色工業株式会社製の分光測色機
SZ−Z90を用いて測色することによって黄色度Y
Iを求めた。
【0041】
【実施例1】容量400リットルのオートクレーブに次
の割合で原料を仕込み、バッチ重合を行った。 AH塩の50重量%水溶液270リットル、 ヘキサメチレンジアミンの14重量%水溶液4.2リッ
トル、 酸化チタンの8重量%水溶液を0.4リットル 仕込み原料水溶液をまず濃縮槽において、150℃の温
度で80重量%にまで濃縮を行った。次に重合槽に送
り、加熱を続けて、内圧を17.5kg/cm2 にコン
トロールしながら縮合水を取り除いて250℃まで昇温
し、1.5時間重合を進めた。次に内温を280℃に昇
温し、1時間をかけて徐々に常圧にまで戻して、さらに
30分間保持して重合を完了した。
【0042】得られたポリマーのVRは45、アミノ末
端基濃度は80ミリ当量/kgポリマーであった。この
ポリマーを紡糸温度305℃で直径0.25φ、孔数3
4の紡糸口金より溶融紡出し、紡糸口金下10cmの位
置より糸の片側より供給される20℃の冷却風によっ
て、冷却固化し、仕上剤を付与した後、種々の引取速度
で引取り70d/34fのナイロン66マルチフィラメ
ント糸を得た。
【0043】得られたナイロン66マルチフィラメント
糸の構造特性、常用特性などを表1に示す。なお染斑発
生率は、該フィラメント糸を加工温度220℃、撚数3
200回/mで仮撚加工した糸を用いて測定した。表1
において、No.2〜No.4が本発明の繊維の例であ
り、実用上充分な力学的特性が良好で、かつ優れた均染
性を有するとともに、高温湿熱処理による強度保持率も
高く保たれている。No.1は(tanδ)max が大き
く、Tmaxが小さい本発明の範囲外の繊維の例である
が、力学的特性が劣り、染斑の発生率も高い。
【0044】
【表1】
【0045】
【実施例2】ポリマー重合に際し、原料として仕込むヘ
キサメチレンジアミンを加える量を変えること、およ
び、ヘキサメチレンジアミンのかわりにアジピン酸を添
加すること以外は実施例1と同様の方法で、アミノ末端
基濃度の異なるナイロン66ポリマーを得た。得られた
ポリマーのVRおよびアミノ末端基濃度を表2に示す。
これらのポリマーを図1に示した装置を用いて、孔径
0.25φの孔を34孔有する紡糸口金より295℃で
溶融紡糸し、直径100mm、長さ20cm、雰囲気温
度200℃の加熱筒を通した後、紡糸口金下80cmに
設置した流体吸引装置(流体圧0.5kg/cm2 G)
によって、糸条を吸引、冷却し、さらに仕上剤処理した
後、引取速度5000m/分で引取り、70d/34f
のナイロン66マルチフィラメント糸を得た。
【0046】それらの構造特性、実用特性を表2に示
す。No.5〜6は本発明の繊維の例であり、力学的特
性および均染性が良好であるとともに、高温湿熱処理に
よる強度脆化が小さい。No.7、8は力学的特性およ
び均染性は良好であるものの、高温湿熱処理による強度
の脆化が著しく、また黄変度(YI値)も大きい。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明のナイロン66マルチフィラメン
ト糸は、極めて柔軟で風合が良好であるとともに、か
つ、染色等における高温の湿熱加工によっても強度の脆
化の少ない布帛を得ることを可能とする。本発明のナイ
ロン66マルチフィラメント糸はポリエステルマルチフ
ィラメント糸等との、混繊、交織織布帛の染色加工布帛
の品位を高めることができる。更に本発明のナイロン6
6マルチフィラメント糸は精練、染色等の湿潤処理後に
おいて施されるセット工程での黄変が極めて少なく、見
映えのよい布帛製品の提供を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた紡糸装置の概略図であ
る。
【図2】力学的損失正接(tanδ)−温度(T)曲線
を模式化して表わしたグラフである。
【符号の説明】
1 糸条 2 紡糸ヘッド 3 筒状加熱域 4 流体吸引装置 5 仕上剤付与装置 6 集束装置 7 引取ロール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20℃、60%RHにおける初期モジュ
    ラスが15〜45g/dであり、力学的損失正接(ta
    nδ)のピーク高さ(tanδ)max とピーク温度(T
    max 〔℃〕)が Tmax ≦−320(tanδ)max +132 を満足し、かつ前記ピーク温度が95℃以下、微結晶の
    大きさ(ACS)が40Å以上60Å以下(100)面
    の結晶面の結晶配向度(CO)が85%以上及び繊維の
    中心部における複屈折(Δn)が37×10-3以上50
    ×10-3以下であって、かつ繊維1kg当たり55〜1
    00ミリ当量のアミノ末端基を有することを特徴とする
    ナイロン66マルチフィラメント糸。
  2. 【請求項2】 構成するフィラメントの単糸デニールが
    0.3ないし1.0である請求項1のナイロン66マル
    チフィラメント糸。
JP9964594A 1994-05-13 1994-05-13 ナイロン66マルチフィラメント糸 Withdrawn JPH07310227A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023243719A1 (ja) * 2022-06-16 2023-12-21 東レ株式会社 ナイロン66繊維および織編物

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