JPH0429768B2 - - Google Patents

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JPH0429768B2
JPH0429768B2 JP58112613A JP11261383A JPH0429768B2 JP H0429768 B2 JPH0429768 B2 JP H0429768B2 JP 58112613 A JP58112613 A JP 58112613A JP 11261383 A JP11261383 A JP 11261383A JP H0429768 B2 JPH0429768 B2 JP H0429768B2
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fiber
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Description

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明は均染性の優れたナイロン66繊維に関す
る。さらに詳しくは、特殊な微細構造を有するこ
とにより、均染性に優れ、かつ高温下における構
造安定性の良好なナイロン66繊維に関する。 従来技術 ナイロン66繊維は、ポリアミド繊維の中にあつ
て、強度、耐久性、伸縮性に優れ、鮮明な色調に
染色することが容易であるため各種衣料用途に使
用されており、とくに酸性染料、含金属染料で染
色することによつて鮮明で堅牢性の優れた染色物
が得られる。しかし、これらの堅牢性の優れた染
料にて得られる染色物は、ナイロン6繊維に比べ
て染色が難しく染斑が発生し易いという欠点を有
している。そのため、紡糸、延撚、加工の工程に
おいて極めて厳しい条件管理を行なつたり、加工
前あるいは加工後の原糸を予め染色選別する等製
造上の管理を強化することが行なわれているが、
未だ充分ではなく、またかかる管理の強化は製造
コスト上からも非常に不利である。 こうしたナイロン66繊維の欠点を改善する方法
として、ナイロン6をナイロン66に混合し共重合
する方法が知られているが、かかる方法では得ら
れた繊維の均染性は向上するもののナイロン6の
共重合に伴なうナイロン66繊維の熱的特性の低
下、機械的特性の低下が生じるという欠点があ
る。一方、特開昭50−76324号公報などに示され
るようにナイロン66を3000m/分〜5000m/分程
度の速度で紡糸して得た中間配向糸を延伸仮撚加
工したものは、比較的染斑は減少することが知ら
れているが、かかる高速紡糸で得られた繊維は残
留伸度が高く、仮撚加工時に加工延伸比を高めざ
るを得ないため、加工錘間差の管理が厳しく、さ
らに加工糸染色堅牢性の低下等や加工糸風合の低
下などの問題が生じる。 一般にポリアミド繊維の染色性は、前述の如き
酸性染料、含金属染料による染色の場合はアミノ
末端基と微細構造によつて、また分散染料による
染色の場合は微細構造によつて決定される。特に
均染性については微細構造およびそのばらつきの
影響が大きい。さらにナイロン66繊維はナイロン
6繊維に比べ、水素結合能が大きいため、吸湿等
により微細構造変化をおこしやすいことにより、
そのばらつきが拡大されやすく、均染性も劣つて
いる。 発明の概要 そこで、本発明者らは、ナイロン66繊維の製造
直後に持つ微細構造が吸湿、熱履歴等により経時
変化ていく状態を解折することにより、その微細
構造の経時変化は、結晶部の経時変化が律速段階
であることを見出し、その検討を行つた。 その結果、製造直後の繊維の微細構造が極めて
成長した結晶部を持つことにより、製造後の吸
湿、熱履歴等による結晶部の経時的な変化は極め
て抑制されることを確め、このことにより均染性
が著しく向上する効果を示すことを見出し、本発
明に到達したものである。 すなわち、本発明は、X線回折強度測定におい
て、((010)+(110))面の反射の回折強度に対す
る2θ=11゜の反射の回折強度の比(R)が0.8以上で、
かつ(100)面の反射よりもとめられる見掛けの
微結晶の大きさ(ACS)が30Å以上、(100)面
の結晶配向度(CO)が85%以上、結晶完全度
(CPI)が55%以上であり、更に動的粘弾性測定
において、力学的損失正接(tanδ)−温度(T)曲線
のαa吸収のtanδのピーク値(tanδmax)とその
温度位置(Tmax)が 0.08≦tanδmax≦0.12 110℃≦Tmax≦120℃ であることを特徴とする均染性の優れたナイロン
66繊維に関するものである。 発明の具体的説明 本発明において、ナイロン66とは、ヘキサメチ
レンジアミンとアジピン酸より重合されるポリヘ
キサメチレンアジパミドを云うが、通常使用され
る少量の添加剤、例えば艶消剤、制電剤、安定
剤、末端調節剤等およびナイロン66の物性を低下
させない範囲内での少量の共重合成分を含んでい
てもさしつかえない。 本発明の繊維の特に重要な特徴は、新規な結晶
構造を有することにある。この結晶構造について
以下に詳述する。 第1図はナイロン66繊維のX線回折強度測定に
よる赤道方向の回折強度分布曲線の図である。回
折角2θの低角度側から、2θ=11゜の反射の回折強
度ピーク、(100)面の反射の回折強度ピーク
((010)+(110))面の反射の回折強度ピークを示
す。第1図中の実線の曲線1は本発明の繊維の回
折強度分布曲線を例示し、破線の曲線2は従来の
ナイロン66繊維の回折強度分布曲線を例示する。
このX線回折強度測定の詳細は後述する。第1図
から明らかなように、従来のナイロン66繊維(曲
線2)では回折角2θ=11゜の付近に見られる反射
は小さく、((010)+(110))面の反射の回折強度
に対する2θ=11゜の反射の回折強度の比(R)が0.8以
上になることはない。これに対して、本発明の繊
維(曲線1)では2θ=11゜の付近に見られる反射
は極めて大きく、((010)+(110)面の反射の回折
強度に対する2θ=11゜の反射の回折強度の比(R)は
0.8以上となり従来の繊維より極めて大きい。 従来のナイロン66繊維がその微細構造中に安定
で大きな結晶を持つようにするためには、紡糸工
程で高粘度ポリマーを用いたり、延伸工程で延伸
比を高めたり、熱セツトをほどこしたりする必要
があるが、得られる繊維の伸度が低くなり、染色
製品が淡染化してしまうので染色品位が低下して
しまう。しかしながら、本願発明の繊維は、Rが
0.8以上であることにより、ACS、CPI、COの値
が従来の繊維より高く、極めて安定で大きな結晶
を持つにもかかわらず、伸度が低下することがな
いため、製編、製織、仮撚等の後加工工程で毛羽
の発生や糸切れ等のトラブルが生じないばかりで
なく、染色製品の淡染化による染色品位の低下等
のトラブルが生じず、均染性も優れたものとな
る。 したがつて、上述の如きトラブルを生じせしめ
ることなく、繊維の微細構造中に経時変化を生じ
難い、安定な結晶構造を発現させ得たことは極め
て驚くべきことであり、このような微細構造によ
りはじめて本願発明の繊維が極めて均染性の優れ
たものとなる。 繊維の結晶部の微細構造を表わす各種のパラメ
ーター((100)面の微結晶の大きさ(ACS)、
(100)面の結晶配向度(CO)、結晶完全度
(CPI)は繊維の力学的特性(強伸度、初期モジ
ユラス)および熱的特性(寸法安定性、熱に対す
る微細構造の安定性)に関する。本発明の繊維に
おいて、衣料用として、満足な強伸度、モジユラ
ス、および寸法安定性、さらに熱に対する微細構
造の安定性を与える点で、ACSおよびCOはそれ
ぞれ30Å以上及び85%以上であることが好まし
い。より好ましいこれらのパラメーターの値は、
それぞれ35Å以上および88%以上である。ACS
が30Åより小さい場合は、温度上昇あるいは吸湿
時に伴う微細構造の変化が大きくなる傾向があ
り、熱を受けた際に強度が低下しやすくなつた
り、湿潤時、或いは加熱時の寸法安定性が低下し
やすい。一方COが85%より小さいと加熱時の初
期弾性率低下が大きくなりやすい。 また、繊維の寸法安定性、および熱を受けた場
合の初期弾性率の低下を小さくすることから、
CPIが55%以上であることが好ましい。CPIが55
%以下である場合、温度上昇に伴なう不可逆的な
弾性率の低下量が大きくなる傾向がある。 ここで、ACS、CO、CPI等のパラメーターは
後述するX線回折法を用いて測定される。 本発明の繊維において、その微細構造が経時変
化を生じない安定な結晶構造を有するばかりでな
く、安定な力学的損失を有することにより、さら
に均染性が増加する。つまり、力学的損失正接
(tanδ)−温度(T)曲線のαa吸収のtanδのピーク値
(tanδmax)とその温度位置(Tmax)が 0.08≦tanδmax≦0.12 110℃≦Tmax≦120℃ であることが好ましい。 本発明の繊維は、極めて安定な結晶構造を有す
るため、微細構造の経時変化も少ないが、
tanδmaxとTmaxが上述の範囲を満足することに
より、さらに飛躍的に微細構造の経時変化が抑え
られ均染性が向上する。 ナイロン66繊維の染色性とtanδ−T曲線の相関
性は、主鎖のミクロブラウン運動に起因して現わ
れる吸収(αa吸収)の大小と染色性(平衡染着
量)とが、ほぼ正の相関関係を有することが知ら
れている。しかし、平衡染着量の大小と、均染性
の良否との間には必ずしも1対1の相関関係はな
い。均染性低下の一要因である微細構造の経時変
化の程度は一般にTmaxが高いほど少ないと考え
られていた。従つて微細構造変化を小さくし、均
染性を向上するためにはTmaxを高くすることが
必要とされていた。Tmaxを高くする方法として
は1般的に延伸倍率を大きくすることが採用され
る。高延伸倍率を採用すると確かにTmaxは高く
なり、その結果微細構造の経時変化は少なくなる
が、一方でtanδmaxが減少し、染色性(平衡染
着量)が低下するほか、延伸倍率をさらに大きく
し、Tmaxが120℃を越えると逆に均染性は低下
する。 したがつて、Tmaxは 110℃≦Tmax≦120℃ であることが好ましい。 さらに、tanδmaxが0.08より小さいと染色性
(平衡染着量)が低下し、淡染化し、染色品位が
低下する。一方、0.12より大きいと染色性(平衡
染着量)は高くなるが、寸法安定性、微細構造の
熱安定性が減少する。したがつて、tanδmaxは、 0.08≦tanδmax≦0.12 であることが好ましい。 以上の如き本発明の繊維は、ナイロン66ポリマ
ーを溶融紡糸し、未延伸糸として巻き取るに際
し、スチームコンデイシヨニングカラムの長さを
30cm以下、スチーム量を5g/分以下とし、巻き
取り直後の未延伸糸の伸長率(△l)が △l≧3×102△n−1 となるように、1200m/分以下の巻き取り速度で
巻き取り、これにより得られた未延伸糸を常法に
従い延伸することにより得られる。以下に本発明
製造方法を詳述する。 一般にナイロン66繊維の未延伸糸は巻き取り雰
囲気の湿度により膨潤するため、巻き取り直後の
未延伸糸の伸長率(△l)が高い。この△lが大
きいことにより、未延伸糸の巻き取り直後の微細
構造は膨潤とともに経時変化が生じ、そのばらつ
きも大きくなる。したがつて、ナイロン66繊維の
未延伸糸の△lが低いほど未延伸糸の経時変化が
少なく、そのばらつきが小さいため、かかる未延
伸糸を延伸して得た繊維の微細構造のばらつきも
少なくなり、均染性も優れると考えられていた。
そのためナイロン66繊維の未延伸糸の△lは2%
以下にするのが通常である。そして、従来より、
ナイロン66繊維の未延伸糸の巻き取り時には、△
lが2%以下になるようにスチーム量を50g/分
以上にし、過剰の水蒸気をスチームコンデイシヨ
ニングカラムにて付与したり、巻き取り速度を高
めることによつて未延伸糸の複屈折率△nを高め
未延伸糸の微細構造を完成させることによつて△
lを抑えてきた。しかしながら、本発明製造方法
は、上記従来技術とは全く異なる製造方法であ
り、未延伸糸の△lは2%以下である必要はな
い。尚、ここでスチームとは、常圧高温の飽和水
蒸気をいう。 本発明の製造方法の特徴は、ナイロン66ポリマ
ーを溶融紡糸し、未延伸糸として巻き取るに際
し、付与される水分量を従来より極めて少なくす
ることにあり、そのためにスチームコンデイシヨ
ニングカラムの長さを30cm以下、スチーム量を5
g/分以下とし、巻き取り直後の未延伸糸の伸長
率(△l)が △l≦3×102△n−1 となるように、1200m/分以下の巻き取り速度で
巻き取ることにある。かかる未延伸糸を常法に従
い延伸することにより、本発明の均染性に優れた
ナイロン66繊維が得られる。 本発明製造方法により得られる未延伸糸の△l
は従来の繊維の未延伸糸に比較して大きく、極め
て膨潤し易く、経時変化が大きいにもかかわら
ず、かかる未延伸糸を延伸して得た繊維の微細構
造中に経時変化の生じ難い安定な結晶構造が発現
し、極めて均染性に優れたナイロン66繊維が得ら
れることは、従来技術からは推測し得なかつた極
めて驚くべき効果である。 未延伸糸の△lを従来の繊維の未延伸糸の△l
より大きくするに際し、その△lが未延伸糸の巻
き取り直後の△nとの関係において、 △l≧3×102△n−1 の条件を満足することが好ましい。第2図に上式
の範囲を斜線で示した。図において、縦軸は巻取
直後の未延伸糸の伸張率であり、横軸は巻取直後
の未延伸糸の複屈折率である。 スチームコンデイシヨニングカラムのフイラメ
ント導入部にはスリツトを設け、その導入部から
上方にもれる水蒸気を少なくすることが好まし
い。また、未延伸糸の巻き取りパツケージの形態
不良を起こさない範囲で、スチームコンデイシヨ
ニングカラムを取り除くことも可能である。 第3図に、本発明繊維を得るための、未延伸糸
の巻き取り紡糸設備の一例を示した。第3図の4
がスチームコンデイシヨニングカラムである。 スチームコンデイシヨニングカラムには、複数
本のマルチフイラメントを同時に導糸しても良
い。 本発明の繊維は、加工糸として、或いはそのま
まフイラメントとして、編織物その他の衣料用途
に用いることができ、繊維自体の均染性に加え、
加工工程での条件変動を受けにくいこともあり、
極めて均染性にすぐれた、染斑の少ない製品を得
ることができる。 以下に本発明において用いられた、繊維の構造
特性およびその他特性の測定方法を述べる。 〔見掛けの微結晶の大きさ(ACS)〕 赤道方向のX線回折強度を対称反射法によつて
測定することにより、ACSを求めることができ
る。 X線回折強度は、理学電機社製(RU−200PL)
とゴニオメーター(SG−9R)、計数管にはシン
チレーシヨン・カウンター、計数部には波高分折
器を用い、ニツケルフイルターで単色化した
Cukα線(λ=1.5418Å)で測定する。繊維試料
の繊維軸がX線回折面に対して垂直となるように
Al製試料ホルダーにセツトする。このとき試料
の厚みは0.5mm位になるようにする。30KV、
80mAでX線発生装置を運転し、スキヤニング速
度2θ、1゜/mm、チヤート速度10mm/mm、タイムコ
ンスタント1秒、ダイバージエンススリツト1/
2゜、レシービングスリツト0.3mm、スキヤツタリ
ングスリツト1/2゜において回折角2θが7゜〜35゜ま
での回折強度を記録する。記録計のフルスケール
は得られる回折強度曲線がスケール内に入るよう
に設定し、少なくとも最高強度値がフルスケール
の50%を越えないように設定する。 本発明の繊維は、2θ=11゜付近の反射とともに
一般に赤道線の回折角2θ=20.0゜〜24.5゜の範囲内
に2つの主要な反射を有することが特徴である
(低角度側は(100)面、高角度側は(010)+
(110)面である)。ACSを求めるために用いる方
法は、例えばL.E.アレキサンダー著「高分子のX
線回折」化学同人出版、第7章Scherrerの式を用
いる。 2θ=7゜と35゜の間にある回折強度曲線間を直線
で結び基線とする。回折ピークの頂点から基線に
垂線を下し、ピークと基線間の中点を記入する。
中点を通る水平線を回折強度曲線の間に引く。こ
の線は、2つの主要な反射がよく分離している場
合には、曲線のピークの2つの肩と交差するが、
分離が悪い場合には1つの肩のみと交差するだけ
である。このピークの幅を測定する。一方の肩の
みと交差する場合は交差点から中点までの距離を
測定して2倍する。2つの肩と交差する場合は両
肩間の距離を測定する。これらの値をラジアン表
示に換算してライン幅とする。さらにこのライン
幅を次の方法で補正する。 β=√22 Bは測定したライン幅、bはブロードニング定
数でSi単結晶の(111)面反射のピークのラジア
ン表示したライン幅(半値幅)である。見掛けの
微結晶の大きさは次式 ACS(Å)=K・λ/β・cosθ によつて与えられる。ここでKは1、λはX線の
波長(1.5418Å)、βは補正されたライン幅、θ
はブラツグ角で2θの1/2である。 〔結晶配向度(CO)〕 繊維の結晶配向度の測定は、理学電機社製X線
発生装置(RU−200PL)、繊維試料測定装置
(FS−3)ゴニオメータ(SG−9)、計数管には
シンチレーシヨンカウンター、計数部には波高分
折器を用い、ニツケルフイルターで単色化した
Cukα線(λ=1.5418Å)で測定する。 本発明の繊維は、一般に赤道線上に2つの主要
な反射を有することが特徴である。CO測定には
低角度の2θを有する反射を使用する。使用される
反射の2θは赤道線方向の回折強度曲線から決定さ
れる。 X線発生装置は30KV、80mAで運転する。繊
維試料測定装置を試料を単糸どうしが互いに平行
となるようにそろえて取り付ける。試料の厚さが
0.5mm位になるようにするのが適当である。赤道
方向の回折強度曲線から決定される2θ値にゴニオ
メーターをセツトする。対称透過法を用いて、方
位角方向を−30゜〜+30゜走査し、方位角方向の回
折強度を記録する。更に−180゜と+180゜の方位角
方向の回折強度を記録する。この時、スキヤニン
グ速度4゜/mm、チヤート速度10mm/mm、タイムコ
ンスタント/秒、コリメーター2mmφ、レシービ
ングスリツト縦幅1.9mm、横幅3.5mmである。 得られた方位角方向の回折強度曲線からCOを
求めるには、±180℃で得られる回折強度の平均値
を取り、水平線を引き基線とする。ピークの頂点
から基線に垂線を下し、その高さの中点を求め
る。中点を通る水平線を引き、この水平線と回折
強度曲線の交点間の距離を測定し、この値を角度
(゜)に換算した値を配向角Hとする。結晶配向
度は次式 CO(%)=(180−H)/180×100 によつて与えられる。 〔結晶完全度(CPI)〕 結晶完全度(CPI)の測定には、ACSの測定法
から得られるX線回折強度曲線を用いる。 結晶完全度(CPI)を求めるには、Dismoreと
Stattonの方法を用いる。 CPIは次式によつて与えられる。 CPI(%)=〔(100)面反射の面間隔/{
010)+(110)}面反射の面間隔−1〕×(100/A) ここでAは0.189であり、CPIの値が100に近い
ほど、結晶の完全度は高い。 〔((010)+(110))面の反射の回折強度に対する
2θ=11゜の反射の回折強度の比(R)〕 前述のACSを求める際に測定されたX線回折
強度測定曲線において、回折角2θ=7゜と35゜の回
折強度曲線間を直で結び基線とする。 ((010)+(110))面の反射および2θ=11゜の反射
の回折強度は、その回折ピークの頂点から基線に
垂線を下し、ピークと基線間の回折強度を得る。
そして、Rは次式 R=2θ=11゜の反射の回折強度/((010)+(110)
)面の反射の回折強度 によつて与えられる。 〔力学的損失正接(tanδ)〕 力学的損失正接(tanδ)の測定には、東洋ボー
ルドウイン社製VIBRON DDV−c型を用い
る。測定周波数110Hz、昇温速度10℃/mm、乾燥
空気中でtanδ−温度(T)特性を測定する。tanδ−温
度曲線からtanδピーク高さtanδmaxとtanδピー
ク温度Tmax(℃)が得られる。 〔複屈折率(△n)〕 複屈折率の測定には、東独カールツアイスイエ
ナ社製透過型干渉顕微鏡を用いる。波長549μ、
温度25℃において、繊維軸に対して平行に振動し
ている光に対する屈折率nと繊維軸に対し垂直
に振動している光に対する屈折率n⊥の値から、
複屈折率△nは △n=n−n⊥ で表わされる。 なお、繊維の中心部とは円形断面および異形断
面繊維とも、繊維断面を一平面と考えた際の重心
部分と定義する。 〔伸長率(△l)〕 試料長l1の繊維の一端を試料把持用爪に把持
し、他端に0.15g/デニールの荷重を結び、試料
把持用爪より鉛直に垂らす。その30分後の試料長
l2を測定し、以下の式に従い△lを算出する。 △l=l2−l1/l1×100(%) なお測定雰囲気は20℃、RH70%である。ま
た、l1=1mとする。 〔相対粘度(VR)〕 90%ギ酸溶液に8.4重量%のナイロン66を溶解
し、25℃において常法により測定する。 〔染斑発生率〕 試料を仮撚して得られた加工糸を筒編地にし、
Diacid Alizrin Light Blue4GL0.5%owf、酢酸
と酢酸アンモニウムとを加えてPH5.0に調整し、
常温から60分間で98℃に昇温し、さらに10分間98
℃に保つた後、降温し、染色編地を得、染斑の有
無を肉眼で判定する。染斑発生率は 染斑発生率=染斑発生編地数/編地総数×100(%) で表わす。 〔均染性〕 得られた試料から32GGでハーフトリコートを
編成し、精練、160℃×30mmのプレセツト後、ウ
インス染色機を用い、 Suminol Mill.Brill.Blue G(住友化学社商品)
0.5%owf.酢酸アンモニウム3%owf.浴比1:50、
ボイル60分、昇温速度30℃〜ボイル2℃/mmで染
色した。 染色布を下記の基準により視覚判定し、均染性
(染斑)レベルを評価した。判定は5段階評価と
し、全く染斑が観察されないものを5級、やや染
斑が観察されるものを3級、著しく染斑が観察さ
れるものを1級とした。また、各々の中間段階の
ものを4級および2級とした。 〔強伸度〕 東洋ボールドウイン社製、TENSLLON
UTM−−20型引張試験機により、常法により
測定した。 なお測定雰囲気は20℃、RH60%である。 実施例 以下、実施例を用いて、本発明を更に説明す
る。 実施例 1 第3図に示した紡糸設備を用いて、相対粘度
(VR)40のナイロン66を紡糸温度290℃で、孔径
0.20mm、孔数24の紡糸口金1より溶融紡出し、保
温筒2からスチームコンデイシヨニングカラム4
の入口までの間で20℃の冷却風にて冷却し、内径
180mm、長さ10cm〜200cmのスチームコンデイシヨ
ニングカラム4にてスチームを付与し、15%濃度
の仕上剤を5rpmで回転している粗度3S、外径130
mmのロール8にて付与し、800m/分の巻き取り
速度で未延伸糸を巻き取つた。その後、常法に従
い延伸比3.5で延伸し、70デニール/24フイラメ
ントの延伸糸を得た。なお、スチームコンデイシ
ヨニングカラム4はスチーム導入管5よりスチー
ム(約102℃の飽和水蒸気)が導入され、余分の
水分はドレンパイプ6にて連続的に抜き取られ
る。本実施例ではスチーム量を5g/分となるよ
うにスチーム導入管5にて調整した。得られた未
延伸糸の△n、△lおよび得られた延伸糸の微細
構造特性、染色特性を第1表に示す。 第1表において、No.1〜No.3が本発明の繊維、
特にNo.1およびNo.2が本発明の好ましい範囲の繊
維の例であり、優れた染色性、均染性を示してい
る。これに対し、No.4〜No.6は、不安定な結晶構
造を有し、本発明の範囲外の繊維の例であり、No.
1〜No.3に比し、染色性、均染性が劣つている。
【表】 実施例 2 実施例1で得たNo.1〜No.6の繊維を20℃、RH
=60%の温湿度に調整した雰囲気(屋内)に60日
間放置した後、結晶構造特性、染斑発生率、均染
性を測定した。その結果を第2表に示す。 第2表において、本発明例の繊維No.1〜No.3は
依然として優れた染色性、均染性を示す。しか
し、比較例No.4〜No.6の繊維はCPIが増加し、そ
の微細構造中の結晶は徐々に成長しており、経時
変化が顕著であることは明確であり、染斑発生
率、均染性も、60日前の実施例1の値よりはるか
に劣つている。
【表】 実施例 3 実施例1のNo.2と同様の紡糸条件で、スチーム
量のみ0〜50g/分で条件を変更し未延伸糸を得
て、これを常法に従い延伸し、70デニール/24フ
イラメントの延伸糸を得た。得られた未延伸糸の
△n、△l、および得られた延伸糸の微細構造特
性、染色特性を第3表に示す。 第3表において、No.7〜No.9が本発明の繊維の
例であり、極めて染色性、均染性に優れている。
これに対し、No.10〜No.11はスチーム量が増加する
とともに、本発明の繊維の微細構造範囲から外
れ、本発明の繊維が得られず、No.7〜No.9および
実施例1のNo.2に比し、染色性、均染性が劣つて
いる。
【表】 実施例 4 実施例1のNo.2と同様の紡糸条件で、未延伸糸
の巻き取り速度のみ600m/分〜4000m/分で条
件を変更し未延伸糸を得て、この各未延伸糸を延
伸するに際し、延伸糸の伸度が実用特性に耐えう
る30〜35%になるように延伸比を調整し、常法に
従い延伸し、70デニール/24フイラメントの延伸
糸を得た。得られた未延伸糸の△n、△l延伸条
件および得られた延伸糸の微細構造特性、染色特
性を第4表に示す。 第4表において、No.12〜No.13が本発明の繊維で
あり、極めて染色性、均染性に優れている。これ
に対し、No.14〜No.15は、未延伸糸の巻き取り速度
が高まるとともに、本発明の繊維の微細構造範囲
から外れ、本発明の繊維が得られず、No.12〜No.13
および実施例1のNo.2に比し、染色性、均染性が
劣つている。
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の繊維と従来の繊維のX線回折
強度測定による赤道方向の回折強度分布曲線であ
る。第2図は本発明の繊維を得るための未延伸糸
の△nと△lの範囲(斜線部)を示したものであ
る。第3図は本発明の紡糸工程の一実施態様を示
す紡糸設備図である。各図面中の記号の説明を以
下に記す。 第1図 1……本発明の繊維のX線回折強度分布
曲線、2……従来の繊維のX線回折強度分布曲
線、第2図 斜線部……本発明の繊維を得るため
の未延伸糸の△nと△lの範囲、第3図 1……
紡糸口金、2……保温筒、3……紡出糸条、4…
…スチームコンデイシヨニングカラム、5……ス
チーム導入管、6……ドレンパイプ、7……糸走
ガイド、8……仕上剤ロール、9……巻き取り
機。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 X線回折強度測定において、((010)+(110))
    面の反射の回折強度に対する2θ=11゜の反射の回
    折強度の比(R)が0.8以上で、かつ(100)面の反射
    よりもとめられる見掛けの微結晶の大きさ
    (ACS)が30Å以上、(100)面の結晶配向度
    (CO)が85%以上、結晶完全度(CPI)が55%以
    上であり、更に動的粘弾性測定において、力学的
    損失正接(tanδ)−温度(T)曲線のαa吸収のtanδの
    ピーク値(tanδmax)とその温度位置(Tmax)
    が 0.08≦tanδmax≦0.12 110℃≦Tmax≦120℃ であることを特徴とする均染性の優れたナイロン
    66繊維。 2 ナイロン66ポリマーを溶融紡糸し、未延伸糸
    として巻き取るに際し、スチームコンデイシヨニ
    ングカラムの長さを30cm以下、スチーム量を5
    g/分以下とし、巻き取り直後の未延伸糸の伸長
    率(Δl)が Δl≧3×102Δn−1 となるように、1200m/分以下の巻き取り速度で
    巻き取り、これにより得られた未延伸糸を常法に
    従い延伸することからなる、均染性の優れたナイ
    ロン66繊維の製造方法。
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