JPH0735479B2 - 水性分散体及びその製法 - Google Patents

水性分散体及びその製法

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JPH0735479B2
JPH0735479B2 JP61093373A JP9337386A JPH0735479B2 JP H0735479 B2 JPH0735479 B2 JP H0735479B2 JP 61093373 A JP61093373 A JP 61093373A JP 9337386 A JP9337386 A JP 9337386A JP H0735479 B2 JPH0735479 B2 JP H0735479B2
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睦浩 田中
史郎 本間
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三井石油化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、樹脂の水性分散体及びその製造法に関するも
ので、より詳細には見掛上固体でありながら、加水によ
り樹脂固形分が水中に微細に分散する特性を有する水性
分散体及びその製造法に関する。
(従来の技術) 従来より種々の重合体の水性分散物が知られている。た
たえば水分含有量が約30重量%以上のような流動性のあ
る水性分散物(以下本明細書においては水性分散液とい
う)は、紙や繊維あるいはプラスチック成型品、木材、
金属などの表面に塗布乾燥させて樹脂皮膜を形成させ、
基材に耐水性、耐油性、耐薬品性を付与したり、ヒート
シール剤として使用されたりする。かかる水性分散液
は、分散媒として水を使用しているので、引火性の問題
や作業環境上の問題、取扱い性などの面から溶剤型のも
のに比べて非常に有利であって巾広い分野で利用されて
いる。
疎水性熱可塑性樹脂を水性分散体とするには、一般に界
面活性剤の助けが必要であり、例えばノニオン系界面活
性剤を使用して、熱可塑性樹脂を水性分散体とする方法
も既に知られている(例えば特公昭57−23702号公
報)。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、ノニオン系界面活性剤を用いて熱可塑性
樹脂を水性分散体とする場合には、樹脂を微小粒子に転
化させることが困難であり、また微小粒子を得るために
は多量のノニオン系界面活性剤と多量の水とを必要とし
ていた。
水性分散体を見掛上固体のものとし、単に加水により水
中に微細化分散するようなものとすれば、凍結のおそれ
がなく、貯蔵場所や保管容器の節約及び運搬のし易さな
どの点で多くの利点が達成される。また、水性分散体中
の界面活性剤の量を可及的に少なくすることは、水性分
散体から形成される被覆の湿度敏感性等の改善の上でも
望ましいことである。
従って、本発明は、ノニオン系界面活性剤を用いて樹脂
の水性分散体を製造する従来法の上記欠点を解消し、見
掛上固体でありながら、樹脂固形分が水中油(O/W)型
分散体に転相されており、加水により容易に樹脂の微細
分散粒子を形成し得る水性分散体及びその製造を提供す
ることを課題とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、疎水性熱可塑性樹脂に対して、カルボン
酸又はその塩の基を含有する重合体と特定のノニオン系
界面活性剤とを併用することにより、転相法により少な
い水分量でしかも粒径が微小範囲に制御された水性分散
体が得られることを見出した。
本発明によれば、(i)疎水性の熱可塑性樹脂、 (ii)重合体鎖に結合したカルボン酸又はカルボン酸塩
の基を重合体1g当り−COO−基換算で0.1〜5ミリモリの
濃度で含むか、或いは塩基処理によって前記基を濃度が
上記範囲内となるように生じ得るカルボン酸誘導体基を
含む水不溶性の熱可塑性重合体、 (iii)HLBが10以上のノニオン界面活性剤、 (iv)水、及び (v)必要に応じ、塩基処理を必要とする熱可塑性重合
体が存在する場合には塩基性物質 を溶融混練し、樹脂固形分を水性分散体に転相させるこ
とを特徴とする水性分散体の製法が提供される。
本発明によればまた、 (i)疎水性の熱可塑性樹脂、 (ii)重合体鎖に結合したカルボン酸又はその塩の基を
重合体1g当り−COO−基換算で0.1〜5ミリモリの濃度で
含む水不溶性の熱可塑性重合体、 (iii)HLBが10以上のノニオン界面活性剤 及び (iv)水 を含有して成り且つ見掛上固体であって、加水により水
中に分散する特性を有する水性分散体が提供される。
(作用) 本発明は、疎水性熱可塑性樹脂に対して、カルボン酸又
はその塩を含有する重合体及びノニオン系界面活性剤を
組合せ、少量の水の存在下に溶融混練を行うと、従来公
知の方法に比して、分散粒径の著しく微細化された水性
分散体が得られるという知見に基づくものである。
この事実は、後述する実施例と比較例とを対比参照する
ことにより明確となるが、本発明者はその理由を次の通
り推定している。即ち、本発明の組成物において、疎水
性の熱可塑性樹脂(i)を水中油(O/W)型の分散体に
転相させる主作用を有するのは、前記(ii)のカルボン
酸塩の基を含有する熱可塑性重合体であり、前記(ii
i)のノニオン界面活性剤はこの転相作用を助長し、水
性分散体を安定化する作用を行う。この組成物では、熱
可塑性重合体(ii)のカルボン酸塩の基が水(iv)に強
い親和性を示す一方で、この重合体(ii)の重合体鎖が
疎水性熱可塑性樹脂(i)に対して親和性を示す。ノニ
オン系界面活性剤(iii)は水の表面張力を低下させる
ように作用する。しかして、この組成物を溶融混練する
と、水分はノニオン界面活性剤により表面張力が低下し
た状態で、しかも熱可塑性重合体(ii)のカルボン酸塩
の基に引き込まれて樹脂中に分散し、溶融樹脂の表面張
力によって、カルボン酸塩の基が外表面に配向し且つそ
の上にノニオン系界面活性剤と水和層とが薄膜となって
付着した粒状形の形成が行われるものと信じられる。
本発明の水性分散体において、水分の量が3乃至25重量
%と少なく、見掛上固体でありながら、水中油型の分散
体として存在することは、その電気抵抗値が106Ωcm以
下、その多くは105Ωcm以下と低く、このような低い電
気抵抗は水相が連続相となっていて始めて達成されるも
のであることから、またこの水性分散体に加水すると固
形分が水相中に微粒子として均一に分散することから確
認される。
本発明において、上述した組成物に追加量の水を添加
し、水分含有量が25重量%よりも多い液体の分散物を形
成させることができるが、この場合にも、転相、即ち水
中油型分散体の形成そのものは上述した限定された水分
量の存在下に行われていることが着目されるべきであ
る。
重合体(ii)におけるカルボン酸塩の基の生成は各成分
の配合に先立って行うこともできるし、溶融混和中に行
うことができることも理解されるべきである。後者の場
合には、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物或いは
カルボン酸を有する重合体と塩基性物質とを配合し、水
の存在下に塩を形成させればよい。
(発明の好適態様の説明) 本発明を以下に詳細に説明する。
配合成分 本発明の水性分散体を構成する成分の一つである熱可塑
性樹脂(i)は、水不溶性、水非膨潤性であるのは勿論
のこと、それ自体水中への分散性にも欠ける樹脂であ
り、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1
−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志
のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレィ
ン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニル
アルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等
のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、ア
クリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチル
スチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビ
ニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタク
リル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイ
ロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12
等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリ
カーボネート、ポリフェニレンオキサイド等あるいはそ
れらの混合物のいずれの樹脂でもよい。
これらの熱可塑性樹脂の中ではとくにオレフィン系樹脂
が好ましく、すなわちポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポ
リ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−3−メチル−1
−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン
・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合
体で代表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3
−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3
−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセ
ン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィンの単
独または共重合体、またはエチレン・ブタジエン共重合
体、エチレン・エチリデンノルボルネン共重合体で代表
されるα−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン
との共重合体、あるいはエチレン・プロピレン・ブタジ
エン3元共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペ
ンタジエン3元共重合体、エチレン、プロピレン・エチ
リデンノルボルネン3元共重合体、エチレン・プロピレ
ン・1,5−ヘキサジエン3元共重合体等で代表されるα
−オレフィンの2種以上と共役ジエンまたは非共役ジエ
ンとの共重合体が挙げられる。中でも取り分けて好適な
ものは、α−オレフィンの単独または共重合体である。
熱可塑性樹脂(i)のメルトフローレート(ASTMD123
8、MFR)が1g/10min以上、好ましくは5g/10min以上のも
のが良い。MFRが1g/10min未満であるものは、溶融粘度
が大きくなりすぎて溶融混練しにくくなり、好適な水性
分散体が得られにくい。
本発明の水性分散体を構成する別成分である熱可塑性重
合体(ii)は、前述の熱可塑性樹脂、またはそれを構成
する単量体に中和されているか中和されていないカルボ
ン酸基を有する単量体あるいはケン化されているかケン
化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体
を、グラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合
等の手段で導入し、場合によっては塩基性物質により中
和反応またはケン化反応を行なって、該重合体中に生じ
たカルボン酸塩の合計が重合体1グラム中に 換算で0.1〜5mmol当量とくに0.2〜4mmol当量含有するよ
うに調整されたものである。この際重合体中には中和も
しくはケン化されていないカルボン酸基またはカルボン
酸エステル基が共存した部分中和物ないし部分ケン化物
であってもよい。また本熱可塑性重合体(ii)は水溶性
または水膨潤性であってはならない。中和されたカルボ
ン酸基および/またはケン化されたカルボン酸エステル
基の合計量が上記の範囲外のものは、熱可塑性樹脂
(i)の分散化を助ける働きを示さず、良好な分散体と
することができない。また水溶性あるいは水膨潤性であ
ると、塗膜物性が悪化する。
上記熱可塑性重合体(ii)を後中和または後ケン化によ
り得る場合の原料となる重合体は、たとえば前述の熱可
塑性樹脂(i)を構成する単量体と共通する単量体、特
にα−オレフィンとエチレン系不飽和カルボン酸または
そのエステルとを共重合したものであって、不飽和カル
ボン酸として(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマー
ル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸 (エン
ドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジ
カルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等、
不飽和カルボン酸エステルとして上記の不飽和カルボン
酸のメチル、エチル、プロピル等のモノエステル、ジエ
ステル等が例示できる。勿論、複数の単量体成分を共重
合する代りに、熱可塑性樹脂(i)、例えばオレフィン
系樹脂に、エチレン系不飽和カルボン酸、その無水物或
いはそのエステル等の単量体をグラフト重合することに
より、後中和または後ケン化用の熱可塑性重合体が得ら
れることは当業者には自明であろう。
これらのエチレン系不飽和カレボン酸、その無水物、或
いはそのエステル単量体の導入される量は、当然のこと
ながら、前に規定したカルボン酸塩の濃度を与えるに十
分なものでなければならず、 として最低限0.1ミリモル/1g重合体の濃度を有していな
ければならず、好適には0.1〜5ミリモル/1g重合体の範
囲である。
また中和およびケン化に用いる塩基性物質としは、アル
カリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアおよびアミン
等の水中で塩基として作用する物質、アルカリ金属の酸
化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物、アルカリ土類金属
の酸化物、水酸化物、弱酸塩、水素化物等の水中で塩基
として作用する物質、これら金属のアルコキシドなどを
挙げることができる。このような物質の例を以下に示
す。
(1) アルカリ金属としては、たとえばナトリウム、
カリウム、アルカリ土類金属としては、たとえば、カル
シウム、ストロンチウム、バリウム、 (2) アミンとしてはヒドロキシルアミン、ヒドラジ
ン等の無機アミン、メチルアミン、エチルアミン、エタ
ノールアミン、シクロヘキシルアミン、 (3) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化
物、水酸化物、水素化物としては、たとえば酸化ナトリ
ウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウ
ム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化
ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、 (4) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱酸塩
としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、 (5) アンモニアおよびアミンの化合物としては、た
とえば水酸化アンモニウム、四級アンモニウム化合物た
とえばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ヒドラ
ジン水和物等を挙げることができる。
塩基性物質により中和またはケン化されたカルボン酸基
あるいはカレボン酸エステル基としては、カルボン酸ナ
トリウム、カルボン酸カリウム等のカルボン酸アルカリ
金属塩、カルボン酸アンモニウムが好適であり、中でも
カルボン酸カリウムが好ましい。
熱可塑性重合体(ii)は対象となる熱過疎数可塑性樹脂
(i)に対して相溶性の良好なものを選ぶのがよい。す
なわちオレフィン系樹脂の水性分散体を目的とする場合
には、オレフィン系単量体を主鎖中に含む重合体を選ぶ
べきである。たとえばポリエチレンやポリオレフィン、
エチレン・酢酸ビニル共重合体などを使用するときに
は、これらのマレイン酸グラフト物あるいはエチレン・
(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アク
リル酸メチル共重合体などの中和物ないしケン化物を用
いるのが好ましい。適切な熱可塑性重合体を選ぶに際し
一つの目安となる指標な溶解度パラメーター(Sp値)で
ある。すなわち中和ないしケン化される前の原料重合体
と熱可塑性樹脂(i)との溶解度パラメーターの差が2
〔cal/cm3〕1/2以内、特に1〔cal/cm3〕1/2以内にある
のが好ましい。
本明細書において、溶解度パラメーター(Sp値)とは、
普通の意味、即ち凝集エネルギー密度の1/2乗値として
定義される値である。この溶解度パラメーターは、原子
団のモル容への寄与値Vi及び原子団の凝集エネルギーEn
を、D.W.Van Klevelen“Properties of Polymers"(Els
evier,1972)記載の値を用い、式 から計算した。
本発明で使用するノニオン界面活性剤としては、HLBが1
0以上、特に好適にはHLBが13以上のノニオン界面活性剤
が使用される。ノニオン界面活性剤は単独でも、2種以
上の組合せでも使用することができ、2種以上の組合せ
の場合は、混合物のHLBが上記範囲内となっていればよ
い。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂
肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールア
ミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー等の内
からHLBが上記範囲内にあるものを使用する。例えば、
これらのノニオン界面活性剤では一般に、ポリオキシエ
チレン単位の含有量が増大するとHLBが増大するので、
エチレンオキサイドの付加モル数を調節することによ
り、所望のHLBのノニオン界面活性剤を入手することが
できる。
本発明では、所望により組成物中に有機溶剤や油剤を含
有させることができる。
任意成分としての有機溶剤は、熱可塑性樹脂(i)およ
び熱可塑性重合体(ii)を溶解(膨潤)できるものであ
ればよく、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、ス
チレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳
香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素が例示
できる。この有機溶剤は、最終水性分散体中に含有され
るものでよく、また最終水性分散体から蒸留、共沸蒸留
等の手段で除去されるものでもよい。たとえば蒸留によ
って除去する場合には、溶剤の沸点は100℃以下である
ことが望ましい。
この有機溶媒は、熱可塑性樹脂(a)を膨潤乃至部分的
に溶解させるものであり、従来の溶媒法と異なり著しく
少量でよい。
任意成分として用いられる天然油乃至合成油としては、
スピンドル油、マシン油等の鉱物系潤滑油、流動パラフ
ィン、電気絶縁油、プロセスオイル等の鉱物油;アルキ
ルベンゼン油、ジオレフィン油、ジエステル油、アルキ
ルナフテネート油等の合成油;ヒマシ油、アマニ油、ナ
タネ油、ヤシ油、トール油等の植物油等が使用される。
これらの油剤は、樹脂固形分中に安定保持される上で、
200以上の数平均分子量を有するべきである。
水性分散体の組成、構造及び特性 前述(i)の熱可塑性樹脂と(ii)の熱可塑性重合体と
の割合は、熱可塑性樹脂(i)100重量部に対して、熱
可塑性重合体(ii)が1〜60重量部、特に2〜50重量部
となる割合がよい。(ii)がこの割合を下廻る時は熱可
塑性樹脂(i)の分散が充分ではなく、又この割合を上
廻る時は目的とする熱可塑性樹脂(i)本来の性質とは
異なる分散体となる。
ノニオン界面活性剤は熱可塑性樹脂100重量部当り0.1乃
至40重量部、特に0.2乃至20重量部の量で使用するのが
よい。この量が上記範囲を下廻ると、分散助長及び分散
安定の効果が上記範囲内にある場合に比して劣るように
なり、一方上記範囲よりも多量に使用すると、形成され
る塗膜等が湿度敏感性となると共に、経済的にも不利で
ある。
本発明の水性分散体は以上の構成のものに更に水を含有
するものであるが、水分含有量(全体当りの水分含有
量)は水性分散体中3〜90重量%特に5乃至70重量%で
ある。
本発明の一つをタイプの水性分散体、即ち見掛上固体の
水性分散体は3〜25重量%の水分を含有する。水分含有
量が3重量%未満では水性分散体が得られないし、25wt
%を越えると流動性のある水性分散液となる。つまり3
〜25重量%の範囲にあることにより、見掛け上固体とな
り、また後述するような性質も示す。
本発明による固体状の水性分散体は、その電子顕微鏡写
真から、水性分散体の二次粒子は、やや変形した微細な
一次粒子がかなり密に凝集した構造となっていることが
理解される。しかしながら、この一次粒子がオイル・イ
ン・ウォーター型の分散形態をとっている事実は次に述
べる種々の事実から証明される。
水性分散体の別の性質は、その電気抵抗値が106Ωcm以
下その多くは105Ωcm以下を示すことである。このよう
な低い電気抵抗値を示すのは、分散体の連続相が水であ
り不連続相が樹脂になっているためだと推定される。す
なわち連続相が樹脂であるようなものや樹脂粉末が単に
25重量%以下の水分を含んだものでは、その電気抵抗値
は樹脂が本来有している値(一般に107〜1018Ωcm、多
くは1010Ωcm以上)を示す。
また別の性質として水性分散体に加水すると固型分が水
相中に均一に分散する。このことからも連続相が水であ
る分散体だと推定される。
尚ここで電気抵抗値の測定は、1cm立方の絶縁体容器中
の向い合う両内側に1cmの電極を貼り分散体を圧入した
後に電極間の抵抗値を交流式抵抗測定器の60Hzを用いて
測定する方法による。加水による分散状態の測定は、分
散体を冷水中に投じ、タービン翼を有する通常の撹拌機
で撹拌した後に、分散液を100mesh程度の金網でロ過す
ることと分散液中の粒子を顕微鏡等で観察することによ
って確認できる。
本発明の分散体の分散粒子は加水により水中に分散させ
た場合、実質的に球状粒子であり、その平均粒径は10μ
以下、多くは5μ以下の範囲にある。
この粒径はコールターカウンターを用いて測定できる。
水性分散体の製造 本発明の水性分散体は、上記(i),(ii),(iii)
及び(iv)の成分を溶融混練することにより製造でき
る。
成分(ii)としては、カルボン酸塩の基を有するものを
使用し得ることは当然であるが、一般には未中和のカル
ボン酸、その無水物又はそのエステル基を有するものを
中和し、溶融混練工程で、樹脂の中和と転相とを行わせ
ることが、工程数の点でも経済性の点でも有利である。
本製法においては複数種の樹脂を溶融混練するのである
が、溶融混練時の温度は使用する樹脂のうち高いものの
方の融点以上好ましくは溶融粘度が106ポイズ以下、特
に105poise以下になる温度以上である。また成分(d)
や(e)を併用する場合には樹脂の融点以上の温度であ
る必要はなく、組成物の粘度が上記範囲となる条件下で
あればよい。
本発明の製法に利用できる溶融混練手段は公知の如何な
る方法でもよいが、好適にはニーダー、バンバリーミキ
サー、多軸スクリュー押出機を例示することができる。
これらの方法においては何れも、溶融混練工程におい
て、3乃至25重量%の限られた水分の存在下に、熱可塑
性樹脂(i)と熱可塑性重合体(ii)との溶融混練が行
われて、樹脂固形分のO/W型分散体への転相が行われる
ことが特徴である。溶融混練系への水の添加は、25重量
%を越えて90重量%迄の量で行われる場合があり得る
が、この場合でも、転相そのものは水の添加が3乃至25
重量%の段階で行われる。勿論水の最終的添加量が3乃
至25重量%の範囲では、固形状の水性分散体が得られ、
25重量%を越える場合、特に35%以上の場合には流動性
のある液状の水性分散体が得られる。添加水量の上限は
特に制限はされないが、水性分散液の用途上せいぜい90
wt%までが好ましい。
また塩基性物質を後添加する場合、前述した塩基性物質
を直接添加してもよいが、好ましくは水溶液の形で添加
するのがよい。添加される塩基性物質の量は、熱可塑性
重合体(b)中において中和および/またはケン化され
て生じるカルボン酸塩が重合体1グラム中に 換算で0.1〜5mmol当量になるよう中和あるいはケン化す
るのに必要な量である。
水を逐次添加して溶融混練し製造された水性分散物は、
その後室温下まで自然にまたは人工的に冷却される。こ
の時に分散粒子は固化し、安定な分散物となる。溶剤を
用いた場合には、必要により蒸発等の手段でこれを除去
す。
この分散物の製造にあたっては、通常水性分散物に使用
することのできる各種副資材たとえばアニオン界面活性
剤、ノニオン界面活性剤などの分散剤、乳化剤、安定化
剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化
剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付
香剤、粘着防止剤、離型剤などを併用してよいことは勿
論のことである。
(発明の作用効果) 本発明の固体型の水性分散体は水分含有量が低く見掛け
上固体であり、また加水によって容易に水性分散液とな
るので、凍結の虞がなく、貯蔵場所のスペース節約、運
搬のし易さ、包装のし易さなどの特徴がある。さらにセ
メントやモルタル、石こうなどの水との抵触をきらう粉
粒体に直径混入することもでき、再水分散液で各種材料
に耐水性、耐油性、耐薬品性の皮膜を形成させたり、ヒ
ートシール材として用いたりすることもできる。また本
発明の水性分散体の別の利用態様として、極めて小さい
剪断力を加えたり、極めて緩和な温度条件で乾燥したり
して微粉化や水分含有量を低減したりすることもでき
る。ほかにもニューセラミックス用バインダーやポリマ
ー改質剤などの用途にも使用できる。
ノニオン系界面活性剤含有微粉体実施例 実施例1 熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン(密度=0.915g
/cm3、MFR=70g/10分、Sp値=7.80(cal/cm3))100部
と、熱可塑性重合体として、無水マレイン酸グラフトポ
リエチレン(無水マレイン酸含量=3.3wt%、−COO−基
=0.67mmol当量/g、密度=0.94g/cm3Sp値=8.06(cal/c
m3))10部、ノニオン系界面活性剤としてエマルゲン43
0(花王(株)製HLB=16.2)5部を加圧型ニーダー中に
投入し、140℃で30分間溶融混練する。
次に4部を水を、ニーダー接続したポンプを用い、5分
間で圧入する。ニーダー内の圧力は3kg/cm2Gとなった。
その後30分間混練を続けた後ニーダーを60℃迄冷却し内
容物を取りだした。内容物は白色の固体であった。この
白色固体を1cm立方の容器に充填し、その電気抵抗を測
定したところ、6×104Ωcmであった。又、白色の固体1
0重量部を10重量部の水中に投じ、タービン翼撹拌機で
撹拌した後分散液を100meshの金網で過したが残存物
は認められなかった。
該分散液は固形分濃度48wt%、粘度230cps、pH7.7であ
り、分散粒子の大きさをコールターカウンターで測定し
たところ、平均粒径1.3μであった。
実施例2 実施例1で用いたと同じ低密度ポリエチレン100部と、
無水マレイン酸グラフトポリエチレン10部、を加圧型ニ
ーダーに投入し、140℃で30分間溶融混練する。
次にニーダーに接続したポンプを用い、実施例1で用い
たと同じノニオン系界面活性剤5部を溶解した20重量部
の界面活性剤水溶液を5分間で圧入する。ニーダー内の
圧力は3kg/cm2Gとなった。
その後30分間混練を続けた後ニーダーを60℃迄冷却し内
容物を取りだした。内容物は白色の固体であった。この
白色固体の電気抵抗、平均粒径を実施例1と同じ方法で
測定したところ、電気抵抗は7×103Ωcm、平均粒径2.3
μであった。
実施例3 実施例1で用いたと同じ低密度ポリエチレン100部と、
無水マレイン酸グラフトポリエチレン10部、ノニオン系
界面活性剤5部を加圧型ニーダーに投入し、140℃で30
分間溶融混練する。
次に熱可塑性重合体の全カルボン酸を中和するのに必要
な水酸化カリウム0.38部(1.0化学当量)を溶解した20
部のアルカリ水をニーダー接続したポンプを用い、5分
間で圧入する。ニーダー内の圧力は3kg/cm2Gとなった。
その後30分間混練を続けた後ニーダーを60℃迄冷却し内
容物を取りだした。内容物は白色の固体であった。この
白色固体の電気抵抗、平均粒径を実施例1と同じ方法で
測定したところ、電気抵抗は5×104Ωcm、平均粒子径
1.0μであった。
参考例1 実施例1で用いたと同じ無水マレイン酸グラフトポリエ
チレン100重量部を常圧型ニーダー中に投入し、140℃で
溶融混練する。次に水酸化カリウム3.76重量部(−COO
−基に対し1.0化学当量)を溶解したアルカリ水40重量
部を徐々に滴下し、水が蒸発した後更に30分間混練を行
い冷却する。
実施例4 実施例1で用いたと同じ低密度ポリエチレン100部と、
参考例1にて得た熱可塑性重合体のアルカリ塩10部、を
加圧型ニーダーに投入し、140℃で30分間溶融混練す
る。
次にニーダー接続したポンプを用い、実施例1で用いた
と同じノニオン系界面活性剤5部を溶解した20重量部の
界面活性剤水溶性を5分間で圧入する。ニーダー内の圧
力は3kg/cm2Gとなった。
その後30分間混練を続けた後ニーダーを60℃冷却し内容
物を取りだした。内容物は白色の固体であった。この固
体を水中に分散し形状を顕微鏡で観察した所真球状の微
粒子であった。又、分散粒子の大きさをコールターカウ
ンターで測定したところ、平均粒径3.7μであった。
この白色固体の電気抵抗、平均粒径を実施例1と同じ方
法で測定したところ、電気抵抗は2×103Ωcm、平均粒
径2.3μであった。
実施例5 熱可塑性樹脂としてエチレン−エチルアクリレート共重
合体(密度=0.93g/cm3、MFR=200g/10分、Sp値=8.22
(cal/cm3))100部と、熱可塑性重合体として、エチレ
ン−アクリル酸共重合樹脂(アライドケミカル(株)製
A−Cポリエチレン5120、アクリル酸含量15wt%、−CO
O−基=2.14mmol当量/g、粘度(140℃)=650cps)10
部、ノニオン系界面活性剤としてエマノーン3299(花王
(株)製HLB=18.3)0.3部を加圧型ニーダー中に投入
し、140℃で30分間溶融混練する。
次に熱可塑性重合体の全カルボン酸を中和するのに必要
な水酸化カリウム1.20部(1.0化学当量)を溶解した20
部のアルカリ水をニーダー接続したポンプを用い、5分
間で圧入する。ニーダー内の圧力は3kg/cm2Gとなった。
その後30分間混練を続けた後ニーダーを60℃迄冷却し内
容物を取りだした。内容物は白色の固体であった。この
白色固体の電気抵抗、平均粒径を実施例1と同じ方法で
測定したところ、電気抵抗は4×103Ωcm、平均粒径0.9
μであった。
実施例6 熱可塑性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂
(酢酸ビニル含量19wt%密度=0.97g/cm3、MFR=150g/1
0分、Sp値=8.06(cal/cm3))100部と、熱可塑性重合
体として、実施例1で用いたと同じ無水マレイン酸グラ
フトポリエチレン10部、ノニオン界面活性剤として、エ
マルゲン985(HLB=18.9)とエマルゲン904(HLB=8.
9)の4:1の混合物(混合後のHLB=16.9)5部を加圧型
ニーダー中に投入し、140℃で30分間溶融混練する。
次に20部の水を、ニーダー接続したポンプを用い、5分
間で圧入する。ニーダー内の圧力は3kg/cm2Gとなった。
その後30分間混練を続けた後ニーダーを60℃迄冷却し内
容物を取りだした。内容物は白色の固体であった。この
白色固体の電気抵抗、平均粒径を実施例1と同じ方法で
測定したところ、電気抵抗は7×103Ωcm、平均粒径1.8
μであった。
実施例7 同方向回転噛合型2軸スクリュー押出機(池貝鉄工製PC
M−30 L/D=20)のホッパーより、実施例1で用いた低
密度ポリエチレンと無水マレイン酸グラフトポリエチレ
ン、ノニオン界面活性剤としてエマルゲン430(HLB=1
6.2)を100/10/5の割合の混合物を115重合部/時間の速
度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より水
を6重量部/時間の割合で連続的に供給し、加熱温度14
0℃で連続的に押し出した。押し出された樹脂等混合物
は同押出機出口に設置した、ジャケット付きスタティッ
クミキサーで90℃まで冷却し取り出した。取りだした物
は白色の固体であった。この白色固体の電気抵抗、平均
粒径を実施例1と同じ方法で測定したところ、電気抵抗
は1×104Ωcm、平均粒径2.1μであった。
実施例8 実施例7と同じ2軸スクリュー押出機のホッパーより、
実施例1で用いた低密度ポリエチレンと無水マレイン酸
グラフトポリエチレンの100/10の割合の混合物を110重
量部/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設け
た供給口よりノニオン界面活性剤エマルゲン430(HLB=
16.2)の25wt%水溶液を20重量部/時間の割合で連続的
に供給し、加熱温度140℃で連続的に押し出した。押し
出された樹脂等混合物は同押出機出口に設置した、ジャ
ケット付きスタティックミキサーで90℃まで冷却し取り
出した。取りだした物は白色の固体であった。この白色
固体の電気抵抗、平均粒径を実施例1と同じ方法で測定
したところ、電気抵抗は7×103Ωcm、平均粒径2.8μで
あった。
比較例1 実施例1において無水マレイン酸グラフトポリエチレン
を用いず、又水の量を20部とした以外は実施例1と同じ
操作を行なった。ニーダー内容物は白色の固体であった
が、この白色固体の電気抵抗、平均粒径を実施例1と同
じ方法で測定したところ、電気抵抗は8×103Ωcm、平
均粒径11.8μであった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i) 疎水性の熱可塑性樹脂、 (ii) 重合体鎖に結合したカルボン酸又はその塩の基
    を重合体1g当り−COO−基換算で0.1〜5ミリモリの濃度
    で含む水不溶性の熱可塑性重合体、 (iii) HLBが10以上のノニオン界面活性剤 及び (iv) 水 を含有して成り且つ見掛上固体であって、加水により水
    中に分散する特性を有する水性分散体。
  2. 【請求項2】(i) 疎水性の熱可塑性樹脂、 (ii) 重合体鎖に結合したカルボン酸又はカルボン酸
    塩の基を重合体1g当り−COO−基換算で0.1〜5ミリモル
    の濃度で含むか、或いは塩基処理によって前記基を濃度
    が上記範囲内となるように生じ得るカルボン酸誘導体基
    を含む水不溶性の熱可塑性重合体、 (iii) HLBが10以上のノニオン界面活性剤、 (iv) 水、 及び (v) 必要に応じ、塩基処理を必要とする熱可塑性重
    合体が存在する場合には塩基性物質 を溶融混練し、樹脂固形分を水性分散体に転相させるこ
    とを特徴とする水性分散体の製法。
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