JPH0548771B2 - - Google Patents
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- JPH0548771B2 JPH0548771B2 JP60148390A JP14839085A JPH0548771B2 JP H0548771 B2 JPH0548771 B2 JP H0548771B2 JP 60148390 A JP60148390 A JP 60148390A JP 14839085 A JP14839085 A JP 14839085A JP H0548771 B2 JPH0548771 B2 JP H0548771B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- weight
- aqueous dispersion
- resin
- dispersion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
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- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
発明の分野
本発明は耐水性、耐油性、耐薬品性および疎水
性材料との密着性に優れた皮膜を形成することの
できる水性分散物の製法に関する。 従来の技術及び発明の技術的課題 従来より種々の重合体の水性分散物が知られて
いる。たとえば水分含有量が約30重量%以上のよ
うな流動性のある水性分散物(以下本明細書にお
いては水性分散液という)は、紙や繊維あるいは
プラスチツク成型品、木材、金属などの表面に塗
布乾燥させて樹脂皮膜を形成させ、基材に耐水
性、耐油性、耐薬品性を付与したり、ヒートシー
ル剤として使用されたりする。かかる水性分散液
は、分散媒として水を使用しているので、引火性
の問題や作業環境上の問題、取扱い性などの面か
ら溶剤型のものに比べて非常に有利であつて巾広
い分野で利用されている。 また上記の水性分散液とは別に、流動性がなく
見掛け上固体のような水性分散物(以下本明細書
においては水性分散体という)も知られている。
すなわち粉末エマルジヨンとして知られる粉体状
のものであつて、水を加えることによつて再分散
化し水性分散液となるものであり、その組成中に
は水分を全く含有しないか含有したとしてもせい
ぜい2〜3重量%のものであり、そのため低温に
なつても凍結の必配がなく包装や輸送が簡単にす
みまた貯蔵場所も狭くてすむという利点がある。
さらに水性分散液では困難であつたセメント、モ
ルタル、石こうなど水との接触をきらう粉粒体と
の混合も直接行なうことができ、加工度の高い調
合品の製造が可能であるという特長を有してい
る。 ところで従来知られている水性分散物の製造方
法では、上述した水性分散液と水性分散体の製造
は同一の方法で行なうことはできなかつた。すな
わち水性分散体を製造するには、一度公知の種々
の方法によつて水分含有量の多い水性分散液を製
造し、その後この水性分散液を噴霧機によつて炉
内の熱風中に噴霧し、水分を蒸発させて粉末状と
している。しかしこの方法は、低軟化温度重合体
の水性分散液を原料とした場合には噴霧時に重合
体粒子の塊状化が起こつたり、生じた粉末エマル
ジヨンが熱や圧力の作用下に塊状に凝集するとい
う傾向がある。このような粉末エマルジヨンは、
加水して再分散化を行なつてもうまく分散しなか
つたり、あるいは分散化できても粘度が高くなつ
たり塗膜物性が悪くなつたりする。このため通常
は噴霧前の水性分散液や乾燥前の粉末物に各種の
添加剤たとえば抗粘結剤や保護コロイドを添加し
ているが、添加量を多くしないとききめがなく、
その結果塗膜物性が悪化するという問題があり、
さらに含有量の多い水を蒸発させるのでエネルギ
ーロスが大きく経済的でない。そこでできる限り
添加剤を加えないでかつエネルギーロスの少ない
方法で粉末エマルジヨンのような水性分散体を製
造する技術の開発が望まれている。 また水性分散液の製法においても改良が望まれ
ている。すなわち従来知られている製法は、大き
く分けて水性媒体中で乳化剤存在下乳化重合する
方法と溶融樹脂および水性媒体とを剪断力存在下
で撹拌混合して製造する方法とに分けられる。前
者の方法は重合可能な樹脂の種類が限られるし、
重合反応コントロールの繁雑さや装置上の複雑さ
などの問題がある。一方後者の方法はどの樹脂に
も応用がきき、また装置上、運転技術上比較的簡
単ですむという利点がある。 この後者の方法については数多くの提案がなさ
れており、たとえば特開昭51−12835号には熱可
塑性樹脂と水溶性高分子とからなる混練物を水中
に分散させる方法が開示されている。しかしこの
方法によつて製造された水性分散液を使用して得
られる皮膜は、水溶性高分子を含んでいるため機
械的強度が弱かつたり耐水性に劣るという問題が
ある。特公昭57−23703号にはポリプロピレンと
界面活性剤や水溶性ないし水膨潤性の重合体から
選ばれる分散剤とからなる混練物を水中に分散さ
せる方法が開示されている。しかしこの方法は分
散粒子の径が比較的大きく、粒径を小さくしよう
とするには石油樹脂を併用しなくてはいけないの
で、得られる皮膜が粘着性を示すという問題があ
る。また特開昭56−2149号には、オレフイン系樹
脂と部分ケン化ポリビニルアルコール水溶液とを
混練して水性分散液を得る方法が開示されている
が、この方法も水溶性樹脂を含むため皮膜物性が
悪くなる。しかもこの方法によつて得られる水性
分散物は水分含有量が30重量%以上の水性分散液
である。さらに別の方法として特公昭58−42207
号に開示されている技術、すなわちポリオレフイ
ンとカルボキシル基含有ポリオレフインとを溶融
混練後、塩基性物質含有熱水中に供給し、剪断力
を加えて分散液を得る方法は、水溶性あるいは水
膨潤性重合体を含んでいなし石油樹脂も使用しな
いので好適な方法ではあるものの、一方で分散粒
子径の小さいものを製造するには原料樹脂の種類
が限定されるという問題がある。また高温、高圧
力下で分散工程を行なうため、分散化の際に使用
する容器は耐圧性を有していなくてはいけないと
いう問題がある。そこでこのように種々の方法が
提案されている水性分散液の製法においても、水
溶性あるいは水膨潤性重合体、石油樹脂などを使
用せずにあらゆる樹脂に適用できる微粒子の水性
分散液を得る方法の開発が望まれている。 さらに特殊な工程を含むことなく水性分散体お
よび水性分散液を自在にかつ極めて容易に製造す
る方法の開発も望まれている。 本発明者等は先に、未公開の特許出願におい
て、(i)熱可塑性樹脂、及び(ii)中和及び/又はケン
化可能で、重合体鎖に結合したカルボン酸、その
無水物又はそのエステルの基を、重合体1グラム
当り
性材料との密着性に優れた皮膜を形成することの
できる水性分散物の製法に関する。 従来の技術及び発明の技術的課題 従来より種々の重合体の水性分散物が知られて
いる。たとえば水分含有量が約30重量%以上のよ
うな流動性のある水性分散物(以下本明細書にお
いては水性分散液という)は、紙や繊維あるいは
プラスチツク成型品、木材、金属などの表面に塗
布乾燥させて樹脂皮膜を形成させ、基材に耐水
性、耐油性、耐薬品性を付与したり、ヒートシー
ル剤として使用されたりする。かかる水性分散液
は、分散媒として水を使用しているので、引火性
の問題や作業環境上の問題、取扱い性などの面か
ら溶剤型のものに比べて非常に有利であつて巾広
い分野で利用されている。 また上記の水性分散液とは別に、流動性がなく
見掛け上固体のような水性分散物(以下本明細書
においては水性分散体という)も知られている。
すなわち粉末エマルジヨンとして知られる粉体状
のものであつて、水を加えることによつて再分散
化し水性分散液となるものであり、その組成中に
は水分を全く含有しないか含有したとしてもせい
ぜい2〜3重量%のものであり、そのため低温に
なつても凍結の必配がなく包装や輸送が簡単にす
みまた貯蔵場所も狭くてすむという利点がある。
さらに水性分散液では困難であつたセメント、モ
ルタル、石こうなど水との接触をきらう粉粒体と
の混合も直接行なうことができ、加工度の高い調
合品の製造が可能であるという特長を有してい
る。 ところで従来知られている水性分散物の製造方
法では、上述した水性分散液と水性分散体の製造
は同一の方法で行なうことはできなかつた。すな
わち水性分散体を製造するには、一度公知の種々
の方法によつて水分含有量の多い水性分散液を製
造し、その後この水性分散液を噴霧機によつて炉
内の熱風中に噴霧し、水分を蒸発させて粉末状と
している。しかしこの方法は、低軟化温度重合体
の水性分散液を原料とした場合には噴霧時に重合
体粒子の塊状化が起こつたり、生じた粉末エマル
ジヨンが熱や圧力の作用下に塊状に凝集するとい
う傾向がある。このような粉末エマルジヨンは、
加水して再分散化を行なつてもうまく分散しなか
つたり、あるいは分散化できても粘度が高くなつ
たり塗膜物性が悪くなつたりする。このため通常
は噴霧前の水性分散液や乾燥前の粉末物に各種の
添加剤たとえば抗粘結剤や保護コロイドを添加し
ているが、添加量を多くしないとききめがなく、
その結果塗膜物性が悪化するという問題があり、
さらに含有量の多い水を蒸発させるのでエネルギ
ーロスが大きく経済的でない。そこでできる限り
添加剤を加えないでかつエネルギーロスの少ない
方法で粉末エマルジヨンのような水性分散体を製
造する技術の開発が望まれている。 また水性分散液の製法においても改良が望まれ
ている。すなわち従来知られている製法は、大き
く分けて水性媒体中で乳化剤存在下乳化重合する
方法と溶融樹脂および水性媒体とを剪断力存在下
で撹拌混合して製造する方法とに分けられる。前
者の方法は重合可能な樹脂の種類が限られるし、
重合反応コントロールの繁雑さや装置上の複雑さ
などの問題がある。一方後者の方法はどの樹脂に
も応用がきき、また装置上、運転技術上比較的簡
単ですむという利点がある。 この後者の方法については数多くの提案がなさ
れており、たとえば特開昭51−12835号には熱可
塑性樹脂と水溶性高分子とからなる混練物を水中
に分散させる方法が開示されている。しかしこの
方法によつて製造された水性分散液を使用して得
られる皮膜は、水溶性高分子を含んでいるため機
械的強度が弱かつたり耐水性に劣るという問題が
ある。特公昭57−23703号にはポリプロピレンと
界面活性剤や水溶性ないし水膨潤性の重合体から
選ばれる分散剤とからなる混練物を水中に分散さ
せる方法が開示されている。しかしこの方法は分
散粒子の径が比較的大きく、粒径を小さくしよう
とするには石油樹脂を併用しなくてはいけないの
で、得られる皮膜が粘着性を示すという問題があ
る。また特開昭56−2149号には、オレフイン系樹
脂と部分ケン化ポリビニルアルコール水溶液とを
混練して水性分散液を得る方法が開示されている
が、この方法も水溶性樹脂を含むため皮膜物性が
悪くなる。しかもこの方法によつて得られる水性
分散物は水分含有量が30重量%以上の水性分散液
である。さらに別の方法として特公昭58−42207
号に開示されている技術、すなわちポリオレフイ
ンとカルボキシル基含有ポリオレフインとを溶融
混練後、塩基性物質含有熱水中に供給し、剪断力
を加えて分散液を得る方法は、水溶性あるいは水
膨潤性重合体を含んでいなし石油樹脂も使用しな
いので好適な方法ではあるものの、一方で分散粒
子径の小さいものを製造するには原料樹脂の種類
が限定されるという問題がある。また高温、高圧
力下で分散工程を行なうため、分散化の際に使用
する容器は耐圧性を有していなくてはいけないと
いう問題がある。そこでこのように種々の方法が
提案されている水性分散液の製法においても、水
溶性あるいは水膨潤性重合体、石油樹脂などを使
用せずにあらゆる樹脂に適用できる微粒子の水性
分散液を得る方法の開発が望まれている。 さらに特殊な工程を含むことなく水性分散体お
よび水性分散液を自在にかつ極めて容易に製造す
る方法の開発も望まれている。 本発明者等は先に、未公開の特許出願におい
て、(i)熱可塑性樹脂、及び(ii)中和及び/又はケン
化可能で、重合体鎖に結合したカルボン酸、その
無水物又はそのエステルの基を、重合体1グラム
当り
【式】基換算で0.1ミリモル当量以上
の濃度で含む熱可塑性重合体及び(iii)塩基性物質と
反応してアニオン界面活性剤となる有機化合物、
を溶融混練する工程と、この溶融混練物に塩基性
物質及び全体当り3乃至25重量%の水を添加して
溶融混練を行い、前記有機化合物(iii)をアニオン界
面活性剤に転化し、且つ前記熱可塑性重合体(i)中
に、重合体1グラム当り
反応してアニオン界面活性剤となる有機化合物、
を溶融混練する工程と、この溶融混練物に塩基性
物質及び全体当り3乃至25重量%の水を添加して
溶融混練を行い、前記有機化合物(iii)をアニオン界
面活性剤に転化し、且つ前記熱可塑性重合体(i)中
に、重合体1グラム当り
【式】基換算で
0.1乃至5ミリモル当量のカルボン酸塩の基を生
成させると共に、樹脂固形分を水性分散体に転相
させる工程とにより、優れた水性分散体が得られ
ることを提案した。 発明の骨子及び目的 本発明者等は今回、前記熱可塑性樹脂(i)及び官
能性熱可塑性樹脂(ii)と共にアニオン界面活性剤(iii)
を予じめ溶融混練すると、この混練組成物に更に
塩基性物質及び限定された量の水分を加えて溶融
混練するのみで、転相、即ち水が分散媒相及び固
形分が著しく微細な分散粒子相となる転化が生じ
て見掛上固体の水性分散体が得られること、及び
一旦このような転相を生じると、これに系中で或
いは系外で追加量の水分を補充することで広範囲
の水分含有量を有する粒径の微細な水性分散物が
得られることを見出した。 即ち、本発明の目的は、水分含有量が著しく少
ないのにもかかわらず、樹脂固形分が粒径が超微
細でしかも水中油形の分散体となつており、しか
も加水により固形分が水相中に超微粒子として均
一に分散する特性を有している水性分散体の製法
を提供するにある。 本発明の他の目的は、水溶性乃至水膨潤性の成
分を含有しないにもかかわらず、分散粒径が極め
て微細な範囲に制御されている水性分散体の製法
を提供するにある。 本発明の更に他の目的は、少ない水分量で転相
が生じる熱可塑性樹脂の水性分散体の製造方法を
提供するにある。 本発明の更に他の目的は、大がかりな装置を必
要とせず、また少ない熱エネルギーコストで熱可
塑性樹脂の水性分散体を製造し得る方法を提供す
るにある。 発明の構成 本発明によれば、 (i) 熱可塑性樹脂、 (ii) 中和及び/又はケン化可能で、重合体鎖に結
合したカルボン酸、その無水物又はそのエステ
ルの基を、重合体1グラム当り、−COO−基換
算で0.1ミリモル当量以上の濃度で含む熱可塑
性重合体、及び (iii) アニオン界面活性剤 を溶融混練する工程と、 前記溶融混練物に塩基性物質及び全体当り3乃
至25重量%の水を逐次添加して溶融混練を行うこ
とにより、前記熱可塑性樹脂(i)中に該樹脂1グラ
ム当り−COO−基換算で0.1乃至5ミリモル当量
のカルボン酸塩の基を生成し且つ分散媒相を樹脂
から水に転相させて水性分散体を得る工程とから
成り、 必要によりこの水性分散体に追加量の水を添加
することを特徴とする水性分散体の製法が提供さ
れる。 発明の好適態様 本発明を以下に詳細に説明する。 含有及び配合成分 本発明の水性分散体を構成する成分の一つであ
る熱可塑性樹脂(i)は、水不溶性、水非膨潤性であ
るのは勿論のこと、それ自体水中への分散性に欠
ける熱可塑性樹脂であり、例えば低密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあ
るいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−
メチル−1−ペンテン等のα−オレフイン同志の
ランダムあるいはブロツク共重合体等のポリオレ
フイン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化
ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重
合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレ
ン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチ
レン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニ
リデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメ
タクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロ
ン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロ
ン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合
物のいずれの樹脂でもよい。 これらの熱可塑性樹脂の中ではとくにオレフイ
ン系樹脂が好ましく、すなわちポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メ
チル−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペン
テン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、エチレ
ン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン
共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体で代
表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3
−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、
1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等のα
−オレフインの単独または共重合体、またはエチ
レン・ブタジエン共重合体、エチレン・エチリデ
ンノルボルネン共重合体で代表されるα−オレフ
インと共役ジエンまたは非共役ジエとの共重合
体、あるいはエチレン・プロピレン・ブタジエン
3元共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロ
ペンタジエン3元共重合体、エチレン・プロピレ
ン・エチリデンノルボルネン3元共重合体、エチ
レン・プロピレン・1,5−ヘキサジエン3元共
重合体等で代表されるα−オレフインの2種以上
と共役ジエンまたは非共役ジエンとの共重合体が
挙げられる。中でも取り分けて好適なものは、α
−オレフインの単独または共重合体である。 熱可塑性樹脂(i)のメルトフローレート
(ASTMD1238、MFR)が1g/10min以上、好
ましくは5g/10min以上のものがよい。MFR
が1g/10min未満であるものは、溶融粘度が大
きくなりすぎて溶融混練しにくくなり、好適な水
性分散体が得られにくい。 本発明の水性分散体を構成する別成分である官
能性熱可塑性重合体(ii)は、前述の熱可塑性樹脂、
またはそれを構成する単量体に中和されているか
または中和されていないカルボン酸基を有する単
量体あるいはケン化されているかケン化されてい
ないカルボン酸エステル基を有する単体をグラフ
ト共重合、ブロツク共重合、ランダム共重合等の
手段で導入し、場合によつては塩基性物質により
中和反応またはケン化反応を行なつて、該重合体
中に生じたカルボン酸の塩の合計が重合体1グラ
ム中に
成させると共に、樹脂固形分を水性分散体に転相
させる工程とにより、優れた水性分散体が得られ
ることを提案した。 発明の骨子及び目的 本発明者等は今回、前記熱可塑性樹脂(i)及び官
能性熱可塑性樹脂(ii)と共にアニオン界面活性剤(iii)
を予じめ溶融混練すると、この混練組成物に更に
塩基性物質及び限定された量の水分を加えて溶融
混練するのみで、転相、即ち水が分散媒相及び固
形分が著しく微細な分散粒子相となる転化が生じ
て見掛上固体の水性分散体が得られること、及び
一旦このような転相を生じると、これに系中で或
いは系外で追加量の水分を補充することで広範囲
の水分含有量を有する粒径の微細な水性分散物が
得られることを見出した。 即ち、本発明の目的は、水分含有量が著しく少
ないのにもかかわらず、樹脂固形分が粒径が超微
細でしかも水中油形の分散体となつており、しか
も加水により固形分が水相中に超微粒子として均
一に分散する特性を有している水性分散体の製法
を提供するにある。 本発明の他の目的は、水溶性乃至水膨潤性の成
分を含有しないにもかかわらず、分散粒径が極め
て微細な範囲に制御されている水性分散体の製法
を提供するにある。 本発明の更に他の目的は、少ない水分量で転相
が生じる熱可塑性樹脂の水性分散体の製造方法を
提供するにある。 本発明の更に他の目的は、大がかりな装置を必
要とせず、また少ない熱エネルギーコストで熱可
塑性樹脂の水性分散体を製造し得る方法を提供す
るにある。 発明の構成 本発明によれば、 (i) 熱可塑性樹脂、 (ii) 中和及び/又はケン化可能で、重合体鎖に結
合したカルボン酸、その無水物又はそのエステ
ルの基を、重合体1グラム当り、−COO−基換
算で0.1ミリモル当量以上の濃度で含む熱可塑
性重合体、及び (iii) アニオン界面活性剤 を溶融混練する工程と、 前記溶融混練物に塩基性物質及び全体当り3乃
至25重量%の水を逐次添加して溶融混練を行うこ
とにより、前記熱可塑性樹脂(i)中に該樹脂1グラ
ム当り−COO−基換算で0.1乃至5ミリモル当量
のカルボン酸塩の基を生成し且つ分散媒相を樹脂
から水に転相させて水性分散体を得る工程とから
成り、 必要によりこの水性分散体に追加量の水を添加
することを特徴とする水性分散体の製法が提供さ
れる。 発明の好適態様 本発明を以下に詳細に説明する。 含有及び配合成分 本発明の水性分散体を構成する成分の一つであ
る熱可塑性樹脂(i)は、水不溶性、水非膨潤性であ
るのは勿論のこと、それ自体水中への分散性に欠
ける熱可塑性樹脂であり、例えば低密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあ
るいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−
メチル−1−ペンテン等のα−オレフイン同志の
ランダムあるいはブロツク共重合体等のポリオレ
フイン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化
ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重
合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレ
ン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチ
レン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニ
リデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメ
タクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロ
ン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロ
ン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合
物のいずれの樹脂でもよい。 これらの熱可塑性樹脂の中ではとくにオレフイ
ン系樹脂が好ましく、すなわちポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メ
チル−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペン
テン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、エチレ
ン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン
共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体で代
表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3
−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、
1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等のα
−オレフインの単独または共重合体、またはエチ
レン・ブタジエン共重合体、エチレン・エチリデ
ンノルボルネン共重合体で代表されるα−オレフ
インと共役ジエンまたは非共役ジエとの共重合
体、あるいはエチレン・プロピレン・ブタジエン
3元共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロ
ペンタジエン3元共重合体、エチレン・プロピレ
ン・エチリデンノルボルネン3元共重合体、エチ
レン・プロピレン・1,5−ヘキサジエン3元共
重合体等で代表されるα−オレフインの2種以上
と共役ジエンまたは非共役ジエンとの共重合体が
挙げられる。中でも取り分けて好適なものは、α
−オレフインの単独または共重合体である。 熱可塑性樹脂(i)のメルトフローレート
(ASTMD1238、MFR)が1g/10min以上、好
ましくは5g/10min以上のものがよい。MFR
が1g/10min未満であるものは、溶融粘度が大
きくなりすぎて溶融混練しにくくなり、好適な水
性分散体が得られにくい。 本発明の水性分散体を構成する別成分である官
能性熱可塑性重合体(ii)は、前述の熱可塑性樹脂、
またはそれを構成する単量体に中和されているか
または中和されていないカルボン酸基を有する単
量体あるいはケン化されているかケン化されてい
ないカルボン酸エステル基を有する単体をグラフ
ト共重合、ブロツク共重合、ランダム共重合等の
手段で導入し、場合によつては塩基性物質により
中和反応またはケン化反応を行なつて、該重合体
中に生じたカルボン酸の塩の合計が重合体1グラ
ム中に
【式】基換算で0.1〜5ミリモル当
量、とくに0.2〜4ミリモル当量含有するように
調整されたものである。この際重合体中には中和
もしくはケン化されていないカルボン酸基または
カルボン酸エステル基が共存した部分中和物ない
し部分ケン化物であつてもよい。また本熱可塑性
重合体(ii)は水溶性または水膨潤性であつてはなら
ない。中されたカルボン酸基および/またはケン
化されたカルボン酸エステル基の合計量が上記の
範囲外のものは、熱可塑性樹脂(i)の分散化を助け
る働きを示さず、良好な分散体とすることができ
ない。また水溶性あるいは水膨潤性であると、塗
膜物性が悪化する。 上記カルボン酸塩の基を含有する熱可塑性重合
体(ii)を後中和または後ケン化により得る場合の原
料となる重合体は、たとえば前述の熱可塑性樹脂
(i)を構成する単量体と共通な単量体、特にα−オ
レフインとエチレン系不飽和カルボン酸またはそ
のエステルとを共重合したものであつて、不飽和
カルボン酸として(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、ナジツク酸 (エンドシス−ビシクロ〔2,
2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等、不
飽和カルボン酸エステルとして上記の不飽和カル
ボン酸のメチル、エチル、プロピル等のモノエス
テル、ジエステル等が例示できる。勿論、複数の
単量体成分を共重合する代りに、熱可塑性樹脂
(i)、例えばオレフイン系樹脂に、エチレン系不飽
和カルボン酸、その無水物或いはそのエステル等
の単量体をグラフト重合することにより、後中和
または後ケン化用の熱可塑性重合体が得られるこ
とは当業者には自明であろう。 これらのエチレン系不飽和カルボン酸、その無
水物、或いはそのエステルの単量体の導入される
量は、当然のことながら、クレームで規定したカ
ルボン酸塩の濃度を与えるに十分なものでなけれ
ばならず、
調整されたものである。この際重合体中には中和
もしくはケン化されていないカルボン酸基または
カルボン酸エステル基が共存した部分中和物ない
し部分ケン化物であつてもよい。また本熱可塑性
重合体(ii)は水溶性または水膨潤性であつてはなら
ない。中されたカルボン酸基および/またはケン
化されたカルボン酸エステル基の合計量が上記の
範囲外のものは、熱可塑性樹脂(i)の分散化を助け
る働きを示さず、良好な分散体とすることができ
ない。また水溶性あるいは水膨潤性であると、塗
膜物性が悪化する。 上記カルボン酸塩の基を含有する熱可塑性重合
体(ii)を後中和または後ケン化により得る場合の原
料となる重合体は、たとえば前述の熱可塑性樹脂
(i)を構成する単量体と共通な単量体、特にα−オ
レフインとエチレン系不飽和カルボン酸またはそ
のエステルとを共重合したものであつて、不飽和
カルボン酸として(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、ナジツク酸 (エンドシス−ビシクロ〔2,
2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等、不
飽和カルボン酸エステルとして上記の不飽和カル
ボン酸のメチル、エチル、プロピル等のモノエス
テル、ジエステル等が例示できる。勿論、複数の
単量体成分を共重合する代りに、熱可塑性樹脂
(i)、例えばオレフイン系樹脂に、エチレン系不飽
和カルボン酸、その無水物或いはそのエステル等
の単量体をグラフト重合することにより、後中和
または後ケン化用の熱可塑性重合体が得られるこ
とは当業者には自明であろう。 これらのエチレン系不飽和カルボン酸、その無
水物、或いはそのエステルの単量体の導入される
量は、当然のことながら、クレームで規定したカ
ルボン酸塩の濃度を与えるに十分なものでなけれ
ばならず、
【式】基として最低限0.1ミリ
モル当量/1g重合体の濃度を有していなければ
ならず、好適には0.1〜5ミリモル当量/1g重
合体の範囲である。 また中和およびケン化に用いる塩基性物質とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属アンモニ
アおよびアミン等の水中で塩基として作用する物
質、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、
水素化物、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化
物、弱酸塩、水素化物等の水中で塩基として作用
する物質、これら金属のアルコキシドなどを挙げ
ることができる。このような物質の例を以下に示
す。 (1) アルカリ金属としては、たとえばナトリウ
ム、カリウム、アルカリ土類金属としては、た
とえば、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、 (2) アミンとしてはヒドロキシルアミン、ヒドラ
ジン等の無機アミン、メチルアミン、エチルア
ミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミ
ン、 (3) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化
物、水酸化物、水素化物としては、たとえば酸
化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウ
ム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ス
トロンチウム、酸化バリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸
化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナ
トリウム、水素化カリウム、水素化カルシウ
ム、 (4) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱酸
塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸
水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、酢酸カルシウム、 (5) アンモニアおよびアミンの化合物としては、
たとえば水酸化アンモニウム、四級アンモニウ
ム化合物たとえばテトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、ヒドラジン水和物等を挙げること
ができる。 塩基性物質により中和またはケン化されたカル
ボン酸基あるいはカルボン酸エステル基として
は、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム
等のカルボン酸アルカリ金属塩、カルボン酸アン
モニウムが好適であり、中でもカルボン酸カリウ
ムが好ましい。 官能性熱可塑性重合体(ii)は対象となる熱可塑性
樹脂(i)に対して相溶性の良好なものを選ぶのがよ
い。すなわちオレフイン系樹脂の水性分散体を目
的とする場合には、オレフイン系単量体を重合体
鎖中に含む重合体を選ぶべきである。たとえばポ
リエチレンやポリオレフイン、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体などを使用するときには、これらの
マレイン酸グラフト物あるいはエチレン・(メタ)
アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリ
ル酸メチル共重合体などの中和物ないしケン化物
を用いるのが好ましい。適切な熱可塑性重合体を
選ぶに際し一つの目安となる指標は溶解度パラメ
ーター(Sp値)である。すなわち中和ないしケ
ン化される前の原料重合体(ii)と熱可塑性樹脂(i)と
の溶解度パラメーターの差が2(cal/cm3)1/2以内、
とくに1(cal/cm3)1/2以内にあることが好ましい。 本明細書において、溶解度パラメーター(Sp
値)とは、普通の意味、即ち凝集エネルギー密度
の1/2乗値として定義される値である。この溶解
度パラメーターは、原子団のモル容への寄与値
Vi及び原子団の凝集エネルギーEnを、D.W.Van
Klevelen“Properties of Polymers”(Elsevier,
1972)記載の値を用い、式 Sp=(〓Eni/〓Vi)1/2(cal/cm3)1/2 から計算して求めることができる。 アニオン界面活性剤(iii)としてはたとえば第1級
高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級
アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコー
ル硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン
酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級ア
ルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸
塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エス
テルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫
酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホ
ン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸
エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ア
ルキルフエノールスルホン酸塩、アルキルナフタ
リンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾール
スルホン酸塩等アニオン界面活性剤であれば如何
なるものでもよい。これらの界面活性剤のより具
体的な化合物名は、たとえば、堀口博著「合成界
面活性剤」(昭41三共出版)に開示してある。 本発明による水性分散体において、上述した各
成分は一定の範囲の量比で存在する。即ち、熱可
塑性樹脂(i)100重量部当り熱可塑性重合体(ii)が1
乃至60重量部、特に2乃至50重量部、及びアニオ
ン界面活性剤(iii)は1乃至40重量部、特に2乃至30
重量部の量比で夫々存在するのがよい。 成分(ii)がこの割合を下廻る時は熱可塑性樹脂の
分散が充分ではなく、又、この割合を上廻る時は
目的とする熱可塑性樹脂本来の性質とは異なる分
散体となる。成分(iii)がこの割合を下廻ると、本発
明で意図する分散粒子の超微細が困難となり、ま
たこの割合いを越えると、塗膜物性等が低下する
傾向がある。 本発明による水性分散物は以上の構成のものに
更に水を含有するものであるが、固体としての取
扱いが可能な分散体では水分含有量は水性物散体
中3〜25重量%である。水分含有量が3重量%未
満では水性分散体が得られないし、25重量%を越
えると流動性のある水性分散液となる。つまり3
〜25重量%の範囲にあることにより、多掛け上固
体となり、また後述するような性質も示す。 勿論、本発明によれば、流動性のある水性分散
液の形態の分散物も調製することができ、この場
合には水分含有量を35重量%以上とすればよい。 水性分散物の製法 本発明の製法の第1工程は、熱可塑性樹脂(i)と
熱可塑性重合体(ii)およびアニオン界面活性剤(iii)を
溶融混練することからなる。この際、注意すべき
ことは、上記(i),(ii)及び(iii)の3成分を同時に溶融
混練することが転相を行う上で重要であり、(i)及
び(ii)の溶融混練樹脂にアニオン界面活性剤の水溶
液を逐次添加する方法では転相が生ぜず、水性分
散体が得られないことである。 熱可塑性樹脂(i)、熱可塑性重合体(ii)およびアニ
オン界面活性剤(iii)の配合割合は、前述したとおり
である。 溶融混練するための温度は、少なくとも熱可塑
性樹脂または熱可塑性重合体のどちらか高い融点
以上で行なう。また融点が明解でない場合には溶
融粘度が少なくとも105poise以下になるような温
度を基準とする。 本発明の製法の第2工程は、塩基性物質及び水
分を添加して熱可塑性重合体(ii)を所定量中和また
はケン化すると共に樹脂固形分を水性分散体に転
相させる工程である。塩基性物質としては前述し
たものが利用されるが、これらは2種以上用いて
もよい。塩基性物質の添加は通常水溶液の形で行
なわれる。 この工程では、第1工程で均一に混ざりあつた
熱可塑性重合体に塩基性物質が反応し中和または
ケン化反応が生じることによつて、同時に添加さ
れる少量の水の存在下でも転相を起こし超微粒径
の分散物が得られる。 この工程において添加される塩基性物質の量
は、熱可塑性重合体(ii)中において中和および/ま
たはケン化されて生じたカルボン酸の塩が重合体
1グラム中に
ならず、好適には0.1〜5ミリモル当量/1g重
合体の範囲である。 また中和およびケン化に用いる塩基性物質とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属アンモニ
アおよびアミン等の水中で塩基として作用する物
質、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱酸塩、
水素化物、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化
物、弱酸塩、水素化物等の水中で塩基として作用
する物質、これら金属のアルコキシドなどを挙げ
ることができる。このような物質の例を以下に示
す。 (1) アルカリ金属としては、たとえばナトリウ
ム、カリウム、アルカリ土類金属としては、た
とえば、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、 (2) アミンとしてはヒドロキシルアミン、ヒドラ
ジン等の無機アミン、メチルアミン、エチルア
ミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミ
ン、 (3) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化
物、水酸化物、水素化物としては、たとえば酸
化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウ
ム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ス
トロンチウム、酸化バリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸
化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナ
トリウム、水素化カリウム、水素化カルシウ
ム、 (4) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱酸
塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸
水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、酢酸カルシウム、 (5) アンモニアおよびアミンの化合物としては、
たとえば水酸化アンモニウム、四級アンモニウ
ム化合物たとえばテトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、ヒドラジン水和物等を挙げること
ができる。 塩基性物質により中和またはケン化されたカル
ボン酸基あるいはカルボン酸エステル基として
は、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム
等のカルボン酸アルカリ金属塩、カルボン酸アン
モニウムが好適であり、中でもカルボン酸カリウ
ムが好ましい。 官能性熱可塑性重合体(ii)は対象となる熱可塑性
樹脂(i)に対して相溶性の良好なものを選ぶのがよ
い。すなわちオレフイン系樹脂の水性分散体を目
的とする場合には、オレフイン系単量体を重合体
鎖中に含む重合体を選ぶべきである。たとえばポ
リエチレンやポリオレフイン、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体などを使用するときには、これらの
マレイン酸グラフト物あるいはエチレン・(メタ)
アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリ
ル酸メチル共重合体などの中和物ないしケン化物
を用いるのが好ましい。適切な熱可塑性重合体を
選ぶに際し一つの目安となる指標は溶解度パラメ
ーター(Sp値)である。すなわち中和ないしケ
ン化される前の原料重合体(ii)と熱可塑性樹脂(i)と
の溶解度パラメーターの差が2(cal/cm3)1/2以内、
とくに1(cal/cm3)1/2以内にあることが好ましい。 本明細書において、溶解度パラメーター(Sp
値)とは、普通の意味、即ち凝集エネルギー密度
の1/2乗値として定義される値である。この溶解
度パラメーターは、原子団のモル容への寄与値
Vi及び原子団の凝集エネルギーEnを、D.W.Van
Klevelen“Properties of Polymers”(Elsevier,
1972)記載の値を用い、式 Sp=(〓Eni/〓Vi)1/2(cal/cm3)1/2 から計算して求めることができる。 アニオン界面活性剤(iii)としてはたとえば第1級
高級脂肪酸塩、第2級高級脂肪酸塩、第1級高級
アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコー
ル硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン
酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級ア
ルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸
塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エス
テルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫
酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホ
ン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸
エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ア
ルキルフエノールスルホン酸塩、アルキルナフタ
リンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾール
スルホン酸塩等アニオン界面活性剤であれば如何
なるものでもよい。これらの界面活性剤のより具
体的な化合物名は、たとえば、堀口博著「合成界
面活性剤」(昭41三共出版)に開示してある。 本発明による水性分散体において、上述した各
成分は一定の範囲の量比で存在する。即ち、熱可
塑性樹脂(i)100重量部当り熱可塑性重合体(ii)が1
乃至60重量部、特に2乃至50重量部、及びアニオ
ン界面活性剤(iii)は1乃至40重量部、特に2乃至30
重量部の量比で夫々存在するのがよい。 成分(ii)がこの割合を下廻る時は熱可塑性樹脂の
分散が充分ではなく、又、この割合を上廻る時は
目的とする熱可塑性樹脂本来の性質とは異なる分
散体となる。成分(iii)がこの割合を下廻ると、本発
明で意図する分散粒子の超微細が困難となり、ま
たこの割合いを越えると、塗膜物性等が低下する
傾向がある。 本発明による水性分散物は以上の構成のものに
更に水を含有するものであるが、固体としての取
扱いが可能な分散体では水分含有量は水性物散体
中3〜25重量%である。水分含有量が3重量%未
満では水性分散体が得られないし、25重量%を越
えると流動性のある水性分散液となる。つまり3
〜25重量%の範囲にあることにより、多掛け上固
体となり、また後述するような性質も示す。 勿論、本発明によれば、流動性のある水性分散
液の形態の分散物も調製することができ、この場
合には水分含有量を35重量%以上とすればよい。 水性分散物の製法 本発明の製法の第1工程は、熱可塑性樹脂(i)と
熱可塑性重合体(ii)およびアニオン界面活性剤(iii)を
溶融混練することからなる。この際、注意すべき
ことは、上記(i),(ii)及び(iii)の3成分を同時に溶融
混練することが転相を行う上で重要であり、(i)及
び(ii)の溶融混練樹脂にアニオン界面活性剤の水溶
液を逐次添加する方法では転相が生ぜず、水性分
散体が得られないことである。 熱可塑性樹脂(i)、熱可塑性重合体(ii)およびアニ
オン界面活性剤(iii)の配合割合は、前述したとおり
である。 溶融混練するための温度は、少なくとも熱可塑
性樹脂または熱可塑性重合体のどちらか高い融点
以上で行なう。また融点が明解でない場合には溶
融粘度が少なくとも105poise以下になるような温
度を基準とする。 本発明の製法の第2工程は、塩基性物質及び水
分を添加して熱可塑性重合体(ii)を所定量中和また
はケン化すると共に樹脂固形分を水性分散体に転
相させる工程である。塩基性物質としては前述し
たものが利用されるが、これらは2種以上用いて
もよい。塩基性物質の添加は通常水溶液の形で行
なわれる。 この工程では、第1工程で均一に混ざりあつた
熱可塑性重合体に塩基性物質が反応し中和または
ケン化反応が生じることによつて、同時に添加さ
れる少量の水の存在下でも転相を起こし超微粒径
の分散物が得られる。 この工程において添加される塩基性物質の量
は、熱可塑性重合体(ii)中において中和および/ま
たはケン化されて生じたカルボン酸の塩が重合体
1グラム中に
【式】基換算で0.1〜5ミリ
モル当量になるよう中和あるいはケン化するのに
必要な量を添加する。添加する水の量は、得られ
る水性分散物全量中少なくとも3重量%以上にす
べきである。3重量%未満であると転相は起こら
ず、したがつて水性分散物は得られない。添加水
量の上限は特に制限はされないが、水性分散液の
用途上せいぜい90重量%までが好ましい。 本発明のこの溶融混練工程において、3乃至25
重量%の限られた水分の存在下に、熱可塑性樹脂
(i)と熱可塑性重合体(ii)との溶融混練が行われて、
樹脂固形分のO/W型分散体への転相が行われる
ことが特徴である。溶融混練系への水の添加は、
25重量%を越えて90重量%迄の量で行われる場合
があり得るが、この場合でも、転相そのものは水
の添加が3乃至25重量%の段階で行われる。勿
論、水の最終的添加量が3乃至25重量%の範囲で
は、固形状の水性分散体が得られ、25重量%を越
える場合、特に35%以上の場合には流動性のある
液状の水性分散体が得られる。 また本発明においては、前述した全体当り3乃
至25重量%の水を、逐次添加することも極めて重
要である。即ち、上記の少量の水を逐次添加しな
がら溶融混練を行うことによつて樹脂に十分な剪
断力が作用してW/OからO/Wへの相転化が生
じて分散粒子の超微細化が行われるのである。例
えば、最初から上記の少量の水が存在している状
態で溶融混練を行なつた場合には、十分な剪断力
が樹脂に作用せず、相転化による分散粒子の超微
細化は行われない。 尚、かかる水の逐次添加の速度は、例えば5ミ
クロン以下の超微細の分散粒子が得られる様に実
験的に適宜定めればよい。 得られた水性分散物は、その後室温下まで自然
冷却または人工冷却され、分散粒子は固化、安定
な分散物が得られる。 本発明の製法に利用できる溶融混練手段は公知
の如何なる方法でもよいが、好適にはニーダー、
バンバリーミキサー、多軸スクリユー押出機を例
示することができる。 このように本発明の製法は、単に水分添加量を
変化させるだけで、極めて簡単に液体状、固体状
の水性分散物が得られるし、また得られる分散物
の平均分散粒子径も5μ以下、多くは2μ以下の範
囲にあり、固体状の水性分散体の場合には加水す
ることによつて極めて容易に固型分が水相中に分
散した分散液になるという特徴を有している。 また本発明の水性分散体および水性分散物の製
法にあたつては、通常水性分散物に使用すること
のできる各種副資材たとえば分散剤、乳化剤、安
定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固
剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充
填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤など
を併用してよいことは勿論のことである。 水性分散物の構造及び特性 本発明の重要な特徴は、前述した熱可塑性樹脂
(i)とカルボン酸塩型の熱可塑性重合体(ii)と(iii)アニ
オン界面活性剤との溶融混合物が、3乃至25重量
%という極めて少量の水分の存在下に転相現象を
生じ、水が分散媒相、樹脂固形分が微細な分散粒
子相となつたO/W型の分散形態が安定に固定さ
れるという発見に基づくものである。勿論、本発
明の水性分散体に対して、製造工程で直接追加量
の水を加え、或いは製造工程とは場の場所で追加
量の水を加えて、液状の分散物を得ることができ
るが、これらの場合にも、転相現象そのものは、
3乃至25%の少量の水の存在下で行われている事
実に注意する必要があろう。 電子顕微鏡による粒子構造の観察結果から、本
発明の固体水性分散体の二次粒子は、やや変形し
た微細な一次粒子がかなり密に凝集した構造とな
つていることが判明した。しかしながら、この一
次粒子がオイル・イン・ウオーター(O/W)型
の分散形態をとつている事実は次に述べる種々の
事実から証明される。 水性分散体の別の性質は、その電気抵抗値が
106Ω・cm以下その多くは105Ω・cm以下を示すこ
とである。このような低い電気抵抗値を示すの
は、分散体の連続相が水であり不連続相が樹脂に
なつているためだと推定される。すなわち連続相
が樹脂であるようなものや樹脂粉末が単に25重量
%以下の水分を含んだものでは、その電気抵抗値
は樹脂が本来有している値(一般に107〜1018
Ω・cm、多くは1010Ω・cm以上)を示す。 また別の性質として水性分散体に加水すると固
型分が水相中に均一に分散する。このことからも
連続相が水である分散体だと推定される。 尚ここで電気抵抗値の測定は、1cm立方の絶縁
体容器中の向い合う両内側に1cm2の電極を貼り、
分散体を圧入した後に電極間の抵抗値を交流式抵
抗測定器の60Hzを用いて測定する方法による。 加水による分散状態の測定は、分散体を冷水中
に投じタービン翼を有する通常の撹拌機で撹拌し
た後に分散液を100mesh程度の金網でロ過するこ
とと、分散液中の粒子を顕微鏡等で観察すること
によつて確認できる。 本発明の分散体の分散粒子は実質的に球状粒子
であり、その平均粒径は5μ以下、多くは2μ以下
の範囲にある。この粒径はコールターカウンター
を用いて測定できる。 固形水性分散体を水に再分散させ、その後水分
を乾燥させて固形分のみとしたものの電子顕微鏡
写真を観察すると、固形分粒子が実質上球状の微
細粒子であることがわかつた。 本発明による水性分散体は水分含有量が低く見
掛け上固体であり、また加水によつて容易に水性
分散液となるので、凍結の虞がなく、貯蔵場所の
スペース節約、運搬のし易さ、包装のし易さなど
の特徴がある。さらにセメントやモルタル、石こ
うなどの水との抵触をきらう粉粒体に直径混入す
ることもでき、再水散液で各種材料に耐水性、耐
油性、耐薬品性の皮膜を形成させたり、ヒートシ
ール材として用いたりすることもできる。また本
発明の水性分散体の別の利用態様として、極めて
小さい剪断力を加えたり、極めて緩和な温度条件
で乾燥したりして微粉化や水分含有量を低減した
りすることもできる。ほかにもニユーセラミツク
ス用バインダーやポリマー改質剤などの用途にも
使用できる。 発明の作用効果 本発明によれば、以上詳述した通り、熱可塑性
樹脂(i)、中和及び/又はケン化可能な熱可塑性重
合体(ii)及びアニオン界面活性剤を溶融混練し、次
いで塩基性物質及び少量の水を添加して溶融混練
を続行するという簡単な操作で、樹脂固形分が微
細な分散粒子相となるという転相が容易に行わ
れ、しかも形成される水性分散体は、低含水量の
固体としての取扱いも可能で、水中への分散も容
易であり、耐水性、耐油性、耐薬品性および疎水
性材料との密着性に優れた被膜を形成し得るとい
う利点がある。 実施例 以下に本発明の好適な実施例を示すが、本発明
は特段の断わりのない限り、これらの例に限定さ
れるものではない。 実施例 1 熱可塑性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重
合樹脂(酢酸ビニル含量=19wt%、MFR=150
g/10分、密度=0.97g/cm3、Sp値=8.06(cal/
cm3)1/2100重量部と、熱可塑性重合体として無水マ
レイン酸グラフトポリエチレン(無水マレイン酸
含量=3.3wt%、
必要な量を添加する。添加する水の量は、得られ
る水性分散物全量中少なくとも3重量%以上にす
べきである。3重量%未満であると転相は起こら
ず、したがつて水性分散物は得られない。添加水
量の上限は特に制限はされないが、水性分散液の
用途上せいぜい90重量%までが好ましい。 本発明のこの溶融混練工程において、3乃至25
重量%の限られた水分の存在下に、熱可塑性樹脂
(i)と熱可塑性重合体(ii)との溶融混練が行われて、
樹脂固形分のO/W型分散体への転相が行われる
ことが特徴である。溶融混練系への水の添加は、
25重量%を越えて90重量%迄の量で行われる場合
があり得るが、この場合でも、転相そのものは水
の添加が3乃至25重量%の段階で行われる。勿
論、水の最終的添加量が3乃至25重量%の範囲で
は、固形状の水性分散体が得られ、25重量%を越
える場合、特に35%以上の場合には流動性のある
液状の水性分散体が得られる。 また本発明においては、前述した全体当り3乃
至25重量%の水を、逐次添加することも極めて重
要である。即ち、上記の少量の水を逐次添加しな
がら溶融混練を行うことによつて樹脂に十分な剪
断力が作用してW/OからO/Wへの相転化が生
じて分散粒子の超微細化が行われるのである。例
えば、最初から上記の少量の水が存在している状
態で溶融混練を行なつた場合には、十分な剪断力
が樹脂に作用せず、相転化による分散粒子の超微
細化は行われない。 尚、かかる水の逐次添加の速度は、例えば5ミ
クロン以下の超微細の分散粒子が得られる様に実
験的に適宜定めればよい。 得られた水性分散物は、その後室温下まで自然
冷却または人工冷却され、分散粒子は固化、安定
な分散物が得られる。 本発明の製法に利用できる溶融混練手段は公知
の如何なる方法でもよいが、好適にはニーダー、
バンバリーミキサー、多軸スクリユー押出機を例
示することができる。 このように本発明の製法は、単に水分添加量を
変化させるだけで、極めて簡単に液体状、固体状
の水性分散物が得られるし、また得られる分散物
の平均分散粒子径も5μ以下、多くは2μ以下の範
囲にあり、固体状の水性分散体の場合には加水す
ることによつて極めて容易に固型分が水相中に分
散した分散液になるという特徴を有している。 また本発明の水性分散体および水性分散物の製
法にあたつては、通常水性分散物に使用すること
のできる各種副資材たとえば分散剤、乳化剤、安
定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固
剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充
填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤など
を併用してよいことは勿論のことである。 水性分散物の構造及び特性 本発明の重要な特徴は、前述した熱可塑性樹脂
(i)とカルボン酸塩型の熱可塑性重合体(ii)と(iii)アニ
オン界面活性剤との溶融混合物が、3乃至25重量
%という極めて少量の水分の存在下に転相現象を
生じ、水が分散媒相、樹脂固形分が微細な分散粒
子相となつたO/W型の分散形態が安定に固定さ
れるという発見に基づくものである。勿論、本発
明の水性分散体に対して、製造工程で直接追加量
の水を加え、或いは製造工程とは場の場所で追加
量の水を加えて、液状の分散物を得ることができ
るが、これらの場合にも、転相現象そのものは、
3乃至25%の少量の水の存在下で行われている事
実に注意する必要があろう。 電子顕微鏡による粒子構造の観察結果から、本
発明の固体水性分散体の二次粒子は、やや変形し
た微細な一次粒子がかなり密に凝集した構造とな
つていることが判明した。しかしながら、この一
次粒子がオイル・イン・ウオーター(O/W)型
の分散形態をとつている事実は次に述べる種々の
事実から証明される。 水性分散体の別の性質は、その電気抵抗値が
106Ω・cm以下その多くは105Ω・cm以下を示すこ
とである。このような低い電気抵抗値を示すの
は、分散体の連続相が水であり不連続相が樹脂に
なつているためだと推定される。すなわち連続相
が樹脂であるようなものや樹脂粉末が単に25重量
%以下の水分を含んだものでは、その電気抵抗値
は樹脂が本来有している値(一般に107〜1018
Ω・cm、多くは1010Ω・cm以上)を示す。 また別の性質として水性分散体に加水すると固
型分が水相中に均一に分散する。このことからも
連続相が水である分散体だと推定される。 尚ここで電気抵抗値の測定は、1cm立方の絶縁
体容器中の向い合う両内側に1cm2の電極を貼り、
分散体を圧入した後に電極間の抵抗値を交流式抵
抗測定器の60Hzを用いて測定する方法による。 加水による分散状態の測定は、分散体を冷水中
に投じタービン翼を有する通常の撹拌機で撹拌し
た後に分散液を100mesh程度の金網でロ過するこ
とと、分散液中の粒子を顕微鏡等で観察すること
によつて確認できる。 本発明の分散体の分散粒子は実質的に球状粒子
であり、その平均粒径は5μ以下、多くは2μ以下
の範囲にある。この粒径はコールターカウンター
を用いて測定できる。 固形水性分散体を水に再分散させ、その後水分
を乾燥させて固形分のみとしたものの電子顕微鏡
写真を観察すると、固形分粒子が実質上球状の微
細粒子であることがわかつた。 本発明による水性分散体は水分含有量が低く見
掛け上固体であり、また加水によつて容易に水性
分散液となるので、凍結の虞がなく、貯蔵場所の
スペース節約、運搬のし易さ、包装のし易さなど
の特徴がある。さらにセメントやモルタル、石こ
うなどの水との抵触をきらう粉粒体に直径混入す
ることもでき、再水散液で各種材料に耐水性、耐
油性、耐薬品性の皮膜を形成させたり、ヒートシ
ール材として用いたりすることもできる。また本
発明の水性分散体の別の利用態様として、極めて
小さい剪断力を加えたり、極めて緩和な温度条件
で乾燥したりして微粉化や水分含有量を低減した
りすることもできる。ほかにもニユーセラミツク
ス用バインダーやポリマー改質剤などの用途にも
使用できる。 発明の作用効果 本発明によれば、以上詳述した通り、熱可塑性
樹脂(i)、中和及び/又はケン化可能な熱可塑性重
合体(ii)及びアニオン界面活性剤を溶融混練し、次
いで塩基性物質及び少量の水を添加して溶融混練
を続行するという簡単な操作で、樹脂固形分が微
細な分散粒子相となるという転相が容易に行わ
れ、しかも形成される水性分散体は、低含水量の
固体としての取扱いも可能で、水中への分散も容
易であり、耐水性、耐油性、耐薬品性および疎水
性材料との密着性に優れた被膜を形成し得るとい
う利点がある。 実施例 以下に本発明の好適な実施例を示すが、本発明
は特段の断わりのない限り、これらの例に限定さ
れるものではない。 実施例 1 熱可塑性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重
合樹脂(酢酸ビニル含量=19wt%、MFR=150
g/10分、密度=0.97g/cm3、Sp値=8.06(cal/
cm3)1/2100重量部と、熱可塑性重合体として無水マ
レイン酸グラフトポリエチレン(無水マレイン酸
含量=3.3wt%、
【式】基=0.67mmol当
量/g、Mw=2700、密度=0.94g/cm3、Sp値=
8.06(cal/cm3)1/2)10重量部とアニオン系界面活
性剤として、オレイン酸カリウム5重量部とを加
圧型ニーダー中に投入し、140℃で30分間溶融混
練する。 次に熱可塑性重合体の全カルボン酸を中和する
のに必要な水酸化カリウム0.38重量部(1.0化学
当量)を溶解した20重量部のアルカリ水を、ニー
ダーに接続したポンプを用い5分間で圧入する。
ニーダー内の圧力は3Kg/cm2Gとなつた。その後
30分間混練を続けた後ニーダーを60℃迄冷却し内
容物を取出した。内容物は白色の固体であつた。 この白色固体を1cm立方の容器に充填し、その
電気抵抗値を測定したところ2×103Ω・cmであ
つた。又、白色固体8重量部を10重量部の水中に
投じ、タービン翼撹拌機で撹拌した後、分散液を
100meshの金網で過したが残存物は認められな
かつた。 該分散液は固型分濃度36wt%、粘度110cpsPH
9.9であり、分散粒子の大きさをコールターカウ
ンターで測定したところ平均粒径0.6μであつた。
又、熱可塑性重合体中の生成したカルボン酸塩を
赤外分光光度計を用いて定量したところ
8.06(cal/cm3)1/2)10重量部とアニオン系界面活
性剤として、オレイン酸カリウム5重量部とを加
圧型ニーダー中に投入し、140℃で30分間溶融混
練する。 次に熱可塑性重合体の全カルボン酸を中和する
のに必要な水酸化カリウム0.38重量部(1.0化学
当量)を溶解した20重量部のアルカリ水を、ニー
ダーに接続したポンプを用い5分間で圧入する。
ニーダー内の圧力は3Kg/cm2Gとなつた。その後
30分間混練を続けた後ニーダーを60℃迄冷却し内
容物を取出した。内容物は白色の固体であつた。 この白色固体を1cm立方の容器に充填し、その
電気抵抗値を測定したところ2×103Ω・cmであ
つた。又、白色固体8重量部を10重量部の水中に
投じ、タービン翼撹拌機で撹拌した後、分散液を
100meshの金網で過したが残存物は認められな
かつた。 該分散液は固型分濃度36wt%、粘度110cpsPH
9.9であり、分散粒子の大きさをコールターカウ
ンターで測定したところ平均粒径0.6μであつた。
又、熱可塑性重合体中の生成したカルボン酸塩を
赤外分光光度計を用いて定量したところ
【式】基換算0.50mmol当量/gであつた。
実施例 2〜12
表1に示す組成割合で実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。 実施例 13 同方向回転噛合型二軸スクリユー押出機(池貝
鉄工製、PCM−30 L/D=20)のホツパーより
実施例1に用いたエチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂と無水マレイン酸グラフトポリエチレンとオレ
イン酸カリウムの100/10/5の割合の混合物を
115重量部/時間の速度で供給し、同押出機のベ
ント部に設けた供給口より水酸化カリウムの6.3
%水溶液を6重量部/時間の割合で連続的に供給
し、加熱温度90℃で連続的に押出した。 生成物は白色の固体であり、その性状を表1に
示す。 実施例 14 実施例1で、0.38重量部の水酸化カリウムを溶
解したアルカリ水20重量部をポンプで圧入した
後、更に90重量部の水を続けて圧入し溶融混練を
行つた。その後ニーダーを冷却して内容物を取出
した。内容物は樹脂が均一に分散された白色の液
状で、固型分濃度49wt%、粘度1250cps、PH10.0、
分散粒子の大きさは平均0.6μであつた。 又熱可塑性重合体中の生成したカルボン酸塩を
定量したところ
結果を表1に示す。 実施例 13 同方向回転噛合型二軸スクリユー押出機(池貝
鉄工製、PCM−30 L/D=20)のホツパーより
実施例1に用いたエチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂と無水マレイン酸グラフトポリエチレンとオレ
イン酸カリウムの100/10/5の割合の混合物を
115重量部/時間の速度で供給し、同押出機のベ
ント部に設けた供給口より水酸化カリウムの6.3
%水溶液を6重量部/時間の割合で連続的に供給
し、加熱温度90℃で連続的に押出した。 生成物は白色の固体であり、その性状を表1に
示す。 実施例 14 実施例1で、0.38重量部の水酸化カリウムを溶
解したアルカリ水20重量部をポンプで圧入した
後、更に90重量部の水を続けて圧入し溶融混練を
行つた。その後ニーダーを冷却して内容物を取出
した。内容物は樹脂が均一に分散された白色の液
状で、固型分濃度49wt%、粘度1250cps、PH10.0、
分散粒子の大きさは平均0.6μであつた。 又熱可塑性重合体中の生成したカルボン酸塩を
定量したところ
【式】基換算0.51mmol当
量/gであつた。
実施例 15
実施例1で用いた無水マレイン酸グラフトポリ
エチレンを下記参考例に示す方法で中和物とし
た。該中和物10重量部と実施例1に示すエチレン
−酢酸ビニル共重合樹脂100重量部とオレイン酸
カリウム5重量部とを加圧ニーダー中に投入し、
140℃で30分間溶融混練する。次にニーダーに接
続したポンプを用い、20重量部の水を5分間で圧
入する。ニーダー内の圧力は3Kg/cm2Gとなつ
た。その後30分間混練を続けた後ニーダーを冷却
し内容物を取出した。内容物は白色の固体であつ
た。この白色固体を実施例1と同様に評価したと
ころ、含水率14%、電気抵抗6×103Ω・cm、分
散性良好、平均粒径0.8μであつた。 参考例 無水マレイン酸グラフトポリエチレン100重量
部を常圧型ニーダー中に投入し、140℃で溶融混
練する。次に、水酸化カリウム3.8重量部
エチレンを下記参考例に示す方法で中和物とし
た。該中和物10重量部と実施例1に示すエチレン
−酢酸ビニル共重合樹脂100重量部とオレイン酸
カリウム5重量部とを加圧ニーダー中に投入し、
140℃で30分間溶融混練する。次にニーダーに接
続したポンプを用い、20重量部の水を5分間で圧
入する。ニーダー内の圧力は3Kg/cm2Gとなつ
た。その後30分間混練を続けた後ニーダーを冷却
し内容物を取出した。内容物は白色の固体であつ
た。この白色固体を実施例1と同様に評価したと
ころ、含水率14%、電気抵抗6×103Ω・cm、分
散性良好、平均粒径0.8μであつた。 参考例 無水マレイン酸グラフトポリエチレン100重量
部を常圧型ニーダー中に投入し、140℃で溶融混
練する。次に、水酸化カリウム3.8重量部
【式】基に対し1.0化学当量)を溶解した
アルカリ水19重量部を徐々に滴下し、水が蒸発し
た後更に30分間混練を行ない冷却する。生成した
カルボン酸塩を定量したところ
た後更に30分間混練を行ない冷却する。生成した
カルボン酸塩を定量したところ
【式】基換
算0.66mmol当量/gであつた。
【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 (i) 熱可塑性樹脂、 (ii) 中和及び/又はケン化可能で、重合体鎖に結
合したカルボン酸、その無水物又はそのエステ
ルの基を、重合体1グラム当り、−COO−基換
算で0.1ミリモル当量以上の濃度で含む熱可塑
性重合体、及び (iii) アニオン界面活性剤 を溶融混練する工程と、 前記溶融混練物に塩基性物質及び全体当り3乃
至25重量%の水を逐次添加して溶融混練を行うこ
とにより、前記熱可塑性樹脂(i)中に該樹脂1グラ
ム当り−COO−基換算で0.1乃至5ミリモル当量
のカルボン酸塩の基を生成し且つ分散媒相を樹脂
から水に転相させて水性分散体を得る工程とから
成り、 必要によりこの水性分散体に追加量の水を添加
することを特徴とする水性分散物の製法。 2 前記熱可塑性樹脂(i)100重量部当り、前記熱
可塑性重合体(ii)は1乃至60重量部、前記アニオン
界面活性剤(iii)は1乃至40重量部の量で使用される
特許請求の範囲第1項に記載の製法。 3 前記熱可塑性樹脂(i)と前記熱可塑性重合体(ii)
とは、溶解度パラメーター(Sp値)の差が2
(cal/cm3)1/2以内にあるものが使用される特許請
求の範囲第1項に記載の製法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14839085A JPS6210164A (ja) | 1985-07-08 | 1985-07-08 | 水性分散物の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14839085A JPS6210164A (ja) | 1985-07-08 | 1985-07-08 | 水性分散物の製法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6210164A JPS6210164A (ja) | 1987-01-19 |
| JPH0548771B2 true JPH0548771B2 (ja) | 1993-07-22 |
Family
ID=15451701
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14839085A Granted JPS6210164A (ja) | 1985-07-08 | 1985-07-08 | 水性分散物の製法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6210164A (ja) |
Families Citing this family (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0726041B2 (ja) * | 1987-01-27 | 1995-03-22 | 東洋製罐株式会社 | 乳化型水性塗料の製法 |
| JPH0645769B2 (ja) * | 1987-01-27 | 1994-06-15 | 東洋製罐株式会社 | 乳化型水性塗料の製造方法 |
| JP2006307075A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Toho Chem Ind Co Ltd | エチレン−ビニルアルコール共重合体水系分散液の製造方法 |
| JP5180464B2 (ja) * | 2006-12-14 | 2013-04-10 | 電気化学工業株式会社 | 乳化前駆体および乳化物 |
| CN105026502B (zh) * | 2012-12-28 | 2020-12-04 | 陶氏环球技术有限责任公司 | 涂料组合物和由其制成的物品 |
| EP2922925B1 (en) * | 2012-12-28 | 2019-12-04 | Dow Global Technologies LLC | Coating compositions |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS539265B2 (ja) * | 1973-08-03 | 1978-04-04 |
-
1985
- 1985-07-08 JP JP14839085A patent/JPS6210164A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6210164A (ja) | 1987-01-19 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |