JPH0737665B2 - 表面被覆超硬合金及びその製造方法 - Google Patents
表面被覆超硬合金及びその製造方法Info
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- JPH0737665B2 JPH0737665B2 JP33730889A JP33730889A JPH0737665B2 JP H0737665 B2 JPH0737665 B2 JP H0737665B2 JP 33730889 A JP33730889 A JP 33730889A JP 33730889 A JP33730889 A JP 33730889A JP H0737665 B2 JPH0737665 B2 JP H0737665B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、表面被覆超硬合金及びその製造方法に関し、
特に、耐摩耗性、耐酸化性、耐溶着性が要求される切削
用及び耐摩耗部品用に最適な表面被覆超硬合金及びその
製造方法に関する。
特に、耐摩耗性、耐酸化性、耐溶着性が要求される切削
用及び耐摩耗部品用に最適な表面被覆超硬合金及びその
製造方法に関する。
(従来の技術) Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの炭化物、窒化
物、酸化物の一種またはそれ以上の混合物もしくは固溶
体を主として鉄属金属で結合したいわゆる超硬合金を母
材として、表面に母材より耐摩耗性に富むTi、Zr、Hfの
炭化物、窒化物、炭窒化物を数μmの厚さに被覆したい
わゆるコーティングチップは、母材の靱性と、表面被覆
層の耐摩耗性を兼ね備えており、切削工具としては、従
来の超硬合金より優れた切削性能を有することは広く知
られた事実である。
物、酸化物の一種またはそれ以上の混合物もしくは固溶
体を主として鉄属金属で結合したいわゆる超硬合金を母
材として、表面に母材より耐摩耗性に富むTi、Zr、Hfの
炭化物、窒化物、炭窒化物を数μmの厚さに被覆したい
わゆるコーティングチップは、母材の靱性と、表面被覆
層の耐摩耗性を兼ね備えており、切削工具としては、従
来の超硬合金より優れた切削性能を有することは広く知
られた事実である。
しかし、切削材及び切削方法の進歩にともなって更に高
性能、長寿命化を目的に改良された切削工具が要望され
ている。
性能、長寿命化を目的に改良された切削工具が要望され
ている。
これらの要求に対して、最近、炭化物及び窒化物の単層
膜を用いるのではなく、材料の特徴を活かした使い方が
なされている。例えば、TiC被覆は、硬度が高いことか
ら耐フランク摩耗はあるが、耐クレータ摩耗に対して劣
る欠点がある。また、TiN被膜は、硬度が低いことから
耐フランク摩耗に対して劣るが、化学的安定性が大きい
ことから耐クレータ摩耗に優れている。おのおのの特徴
と活かすため、TiC+TiN+Ti(C,N)等の多層膜、複合
被膜のコーティング材料が開発され、市場に出回ってい
る。更に、コーティング材料としては高温において安定
なものが要求され、TiC被膜の上にAl2O3をコーティング
したチップもある。TiN被膜は物理蒸着、化学蒸着の両
方で行われているが、多層膜、Al2O3のコーティングは
化学蒸着で行われている。
膜を用いるのではなく、材料の特徴を活かした使い方が
なされている。例えば、TiC被覆は、硬度が高いことか
ら耐フランク摩耗はあるが、耐クレータ摩耗に対して劣
る欠点がある。また、TiN被膜は、硬度が低いことから
耐フランク摩耗に対して劣るが、化学的安定性が大きい
ことから耐クレータ摩耗に優れている。おのおのの特徴
と活かすため、TiC+TiN+Ti(C,N)等の多層膜、複合
被膜のコーティング材料が開発され、市場に出回ってい
る。更に、コーティング材料としては高温において安定
なものが要求され、TiC被膜の上にAl2O3をコーティング
したチップもある。TiN被膜は物理蒸着、化学蒸着の両
方で行われているが、多層膜、Al2O3のコーティングは
化学蒸着で行われている。
(発明が解決しようとする課題) 刃先の鋭い超硬合金は、化学蒸着で被覆すると、刃先に
被膜が厚く付き切削特性を劣化させる原因となる。ま
た、化学蒸着によるコーティングでは超硬合金チップと
被覆界面に密着力を低下させるη相を作り易いため、η
相の析出を抑える組成のチップを用いる必要がある。さ
らには、化学蒸着で多層膜、Al2O3をコーティングする
には多数の種類のガスを用いるため、ガス管理、ガス制
御が複雑なものとなる。
被膜が厚く付き切削特性を劣化させる原因となる。ま
た、化学蒸着によるコーティングでは超硬合金チップと
被覆界面に密着力を低下させるη相を作り易いため、η
相の析出を抑える組成のチップを用いる必要がある。さ
らには、化学蒸着で多層膜、Al2O3をコーティングする
には多数の種類のガスを用いるため、ガス管理、ガス制
御が複雑なものとなる。
そこで、プロセスが簡単で低温製膜可能なイオンプレー
ティング法を用いて、化学蒸着で製膜される多層膜やAl
2O3と同等な性能を持つ被膜を作ることができれば、刃
先の丸みやη相の析出の問題等を解決することができ
る。
ティング法を用いて、化学蒸着で製膜される多層膜やAl
2O3と同等な性能を持つ被膜を作ることができれば、刃
先の丸みやη相の析出の問題等を解決することができ
る。
したがって、本発明の目的は、物理蒸着法によりTiN被
膜よりも耐摩耗性、耐酸化性に優れた表面被覆超硬合金
及びその製造方法を提供することにある。
膜よりも耐摩耗性、耐酸化性に優れた表面被覆超硬合金
及びその製造方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 前述の目的を達成するために、本発明は、金属クロムを
蒸発源とし、窒素ガス、アンモニアガス、またはこれら
の混合ガスを反応ガスとしてイオンプレーティング法に
より、超硬合金上に窒化物被膜を製造する方法におい
て、超硬合金に−50V〜−800Vのバイアス電圧を印加
し、反応ガスの圧力を10×10-3Torr以上にして製膜を行
うことを特徴とする表面被覆超硬合金の製造方法を採用
するものである。
蒸発源とし、窒素ガス、アンモニアガス、またはこれら
の混合ガスを反応ガスとしてイオンプレーティング法に
より、超硬合金上に窒化物被膜を製造する方法におい
て、超硬合金に−50V〜−800Vのバイアス電圧を印加
し、反応ガスの圧力を10×10-3Torr以上にして製膜を行
うことを特徴とする表面被覆超硬合金の製造方法を採用
するものである。
イオンプレーティング法を前述の製膜条件下で行うと、
CrN単層の析出層から成り、(220)面にX線回折測定の
最大強度を有する結晶構造をした窒化物被膜により被覆
された表面被膜超硬合金が得られる。
CrN単層の析出層から成り、(220)面にX線回折測定の
最大強度を有する結晶構造をした窒化物被膜により被覆
された表面被膜超硬合金が得られる。
また、前記窒化クロムの製膜を行う前に、超硬合金上に
IVa族、Va族、またはVIa族の元素の窒化物、炭化物から
成る被膜を形成し、または、前記窒化クロムの製膜を行
った後に、窒化クロム被膜上にIVa族、Va族、またはVIa
族の元素の窒化物、炭化物から成る被膜を形成すること
もできる。
IVa族、Va族、またはVIa族の元素の窒化物、炭化物から
成る被膜を形成し、または、前記窒化クロムの製膜を行
った後に、窒化クロム被膜上にIVa族、Va族、またはVIa
族の元素の窒化物、炭化物から成る被膜を形成すること
もできる。
このことにより、超硬合金及び前記CrN単相被膜の間、
または前記被膜上に、IVa族、Va族、またはVIa族の元素
の窒化物、炭化物から成る被膜を得ることができる。
または前記被膜上に、IVa族、Va族、またはVIa族の元素
の窒化物、炭化物から成る被膜を得ることができる。
(作用) 本発明は、金属クロムを蒸発源とし、窒素ガス、アンモ
ニアガス、またはこれらの混合ガスを反応ガスとしてイ
オンプレーテング法により、超硬合金上に窒化物被膜を
製造する方法において、特定のパラメータ(バイアス電
圧、反応ガス圧力)を或る特定の製膜条件の範囲に設定
して、CrN被膜中でのCr2N及びCrの析出を抑制すると共
にこのCrNの方位配列を(220)面とすることにより、Cr
N被膜自体が持つ耐酸化性に加えて、耐摩耗性を向上さ
せるものである。
ニアガス、またはこれらの混合ガスを反応ガスとしてイ
オンプレーテング法により、超硬合金上に窒化物被膜を
製造する方法において、特定のパラメータ(バイアス電
圧、反応ガス圧力)を或る特定の製膜条件の範囲に設定
して、CrN被膜中でのCr2N及びCrの析出を抑制すると共
にこのCrNの方位配列を(220)面とすることにより、Cr
N被膜自体が持つ耐酸化性に加えて、耐摩耗性を向上さ
せるものである。
さらに、CrN被膜の上、またはこの被膜と超硬合金との
間に、IVa族、Va族、またはVIa族(Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Mo、W)の元素の窒化物、炭化物から成る第2
の被膜を形成することにより、これらの2つの被膜の重
畳効果により耐酸化性及び耐摩耗性をさらに向上させる
ことができる。
間に、IVa族、Va族、またはVIa族(Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Mo、W)の元素の窒化物、炭化物から成る第2
の被膜を形成することにより、これらの2つの被膜の重
畳効果により耐酸化性及び耐摩耗性をさらに向上させる
ことができる。
(実施例) 次に、図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明す
る。
る。
第1図は、本発明に用いたイオンプレーテング装置の概
略図であり、第2図は超硬合金チップを用いた切削性能
試験の結果を示すグラフである。
略図であり、第2図は超硬合金チップを用いた切削性能
試験の結果を示すグラフである。
最初に、本発明の原理を説明する。
本発明は、要約すると、金属クロムを蒸発源とし、窒素
ガス、アンモニアガス、またはこれらの混合ガスを反応
ガスとしてイオンプレーテング法により、超硬合金上に
窒化物被膜を製造する方法において、特定のパラメータ
(バイアス電圧、反応ガス圧力)を或る特定の製膜条件
の範囲に設定して、CrN被膜中でのCr2N及びCrの析出を
抑制することができると共にこのCrNの方位配列を(22
0)面とすることにより、CrN被膜自体が持つ耐酸化性に
加えて、耐摩耗性を向上させることができる事実を見い
出したことに基づくものである。以下に、CrNの特性と
合わせて、製膜条件の範囲を説明する。
ガス、アンモニアガス、またはこれらの混合ガスを反応
ガスとしてイオンプレーテング法により、超硬合金上に
窒化物被膜を製造する方法において、特定のパラメータ
(バイアス電圧、反応ガス圧力)を或る特定の製膜条件
の範囲に設定して、CrN被膜中でのCr2N及びCrの析出を
抑制することができると共にこのCrNの方位配列を(22
0)面とすることにより、CrN被膜自体が持つ耐酸化性に
加えて、耐摩耗性を向上させることができる事実を見い
出したことに基づくものである。以下に、CrNの特性と
合わせて、製膜条件の範囲を説明する。
CrNは耐酸化性が大きい物質であり、したがって、これ
により形成された被膜は高温状態での酸化による脆性化
及び摩耗を防止するために優れた効果を発揮するが、酸
化以外の原因による耐摩耗の点では十分であるとは言え
ない。これは、CrN被膜中におけるCr2NまたはCrの析出
が強度を低下せしめることによるものであり、特に本発
明において、X線回折測定によるCr2NまたはCrに帰属す
る最大の回折強度がCrNに帰属する最大の回折強度の5
%以上になると、被膜強度が著しく低下することが判明
した。かかるCr2NまたはCrの析出と製膜条件との関係に
ついては以下に通りである。
により形成された被膜は高温状態での酸化による脆性化
及び摩耗を防止するために優れた効果を発揮するが、酸
化以外の原因による耐摩耗の点では十分であるとは言え
ない。これは、CrN被膜中におけるCr2NまたはCrの析出
が強度を低下せしめることによるものであり、特に本発
明において、X線回折測定によるCr2NまたはCrに帰属す
る最大の回折強度がCrNに帰属する最大の回折強度の5
%以上になると、被膜強度が著しく低下することが判明
した。かかるCr2NまたはCrの析出と製膜条件との関係に
ついては以下に通りである。
例えば、反応ガスの圧力を10×10-3Torr未満及びバイア
ス電圧を−100〜−800Vとした場合には、CrN被膜中にCr
2Nの析出が認められるようになり、この場合、CrN及びC
r2Nの混相状態になる。また、反応ガスを10×10-3Torr
未満及びバイアス電圧を−100V未満とした場合には、Cr
が析出してCrN及びCrの混相状態になる。さらに、反応
ガスを10×10-3Torr以上にした場合であってもバイアス
電圧を−50V未満にすると、CrN被膜は(220)面以外の
方位配列を有する柱状結晶組織になる結果、被膜の耐摩
耗性は劣化してしまう。一方、バイアス電圧を−800V以
上にすると、入射エネルギーは大き過ぎて、逆に膜質を
劣化させてしまう。
ス電圧を−100〜−800Vとした場合には、CrN被膜中にCr
2Nの析出が認められるようになり、この場合、CrN及びC
r2Nの混相状態になる。また、反応ガスを10×10-3Torr
未満及びバイアス電圧を−100V未満とした場合には、Cr
が析出してCrN及びCrの混相状態になる。さらに、反応
ガスを10×10-3Torr以上にした場合であってもバイアス
電圧を−50V未満にすると、CrN被膜は(220)面以外の
方位配列を有する柱状結晶組織になる結果、被膜の耐摩
耗性は劣化してしまう。一方、バイアス電圧を−800V以
上にすると、入射エネルギーは大き過ぎて、逆に膜質を
劣化させてしまう。
以上の結果から、製膜条件としては、バイアス電圧−50
〜−800Vの範囲及び反応ガスの圧力を10×10-3Torr以上
ということになる。
〜−800Vの範囲及び反応ガスの圧力を10×10-3Torr以上
ということになる。
膜厚は、好ましくは、0.2から20μmの範囲であればよ
い。即ち、0.2未満の膜厚では薄すぎるため十分な耐摩
耗性が確保されず、また20μm以上の膜厚になると、Cr
N被膜内の残留圧縮応力のために割れが発生し易くなっ
て、やはり耐摩耗性が劣化してしまう。
い。即ち、0.2未満の膜厚では薄すぎるため十分な耐摩
耗性が確保されず、また20μm以上の膜厚になると、Cr
N被膜内の残留圧縮応力のために割れが発生し易くなっ
て、やはり耐摩耗性が劣化してしまう。
本発明では、かかる製膜条件を設定することにより、Cr
N被膜中におけるCr2NまたはCrの析出相を制御すること
ができると共に、CrN析出相を(220)面配向にすること
ができる。したがって、本発明の製造方法によって得ら
れた被覆超硬合金は、超硬合金自体の特性を維持したま
ま耐酸化性の大きいCrN被膜の耐摩耗性を著しく改善さ
れている。
N被膜中におけるCr2NまたはCrの析出相を制御すること
ができると共に、CrN析出相を(220)面配向にすること
ができる。したがって、本発明の製造方法によって得ら
れた被覆超硬合金は、超硬合金自体の特性を維持したま
ま耐酸化性の大きいCrN被膜の耐摩耗性を著しく改善さ
れている。
なお、蒸発源としての金属クロムを蒸発させる方法とし
ては、抵抗加熱、電子銃等があり、蒸発した金属クロム
をイオン化する方法としては、アーク放電、グロー放
電、高周波放電等のいずれでもよく、反応ガスとして
は、窒素のほかにアンモニアガス、またはこれらの混合
ガスを選択しうる。
ては、抵抗加熱、電子銃等があり、蒸発した金属クロム
をイオン化する方法としては、アーク放電、グロー放
電、高周波放電等のいずれでもよく、反応ガスとして
は、窒素のほかにアンモニアガス、またはこれらの混合
ガスを選択しうる。
次に、真空アーク放電型のイオンプレーテング装置を用
いて、本発明の製造方法による製造、及び製造された表
面被覆超硬合金の例について説明する。
いて、本発明の製造方法による製造、及び製造された表
面被覆超硬合金の例について説明する。
例1 第1図は、本発明の製造方法を実施するのに用いた真空
アーク放電型のイオンプレーテング装置を示す。このイ
オンプレーテング装置は、反応容器10に基板(超硬合
金、または鋼材)14を取付ける回転可能なターンテーブ
ル12と、反応容器の周囲側壁に設けた蒸発源16と、反応
ガスの供給口18と、真空ポンプへのポート20と、から成
るものである。
アーク放電型のイオンプレーテング装置を示す。このイ
オンプレーテング装置は、反応容器10に基板(超硬合
金、または鋼材)14を取付ける回転可能なターンテーブ
ル12と、反応容器の周囲側壁に設けた蒸発源16と、反応
ガスの供給口18と、真空ポンプへのポート20と、から成
るものである。
なお、このイオンプレーテング装置は、以下の例、比較
例の場合のすべてにおいて用いられた。
例の場合のすべてにおいて用いられた。
被覆すべき基板としてISO P−30型超硬合金チップ(72W
C−9Co−8TiC−11TaC)を用いた。この超硬合金チップ
を有機溶剤により洗浄後、真空反応容器内にセットし、
この反応容器内の圧力を1×10-5Torr以上まで真空にし
たのち、Crイオン衝撃による洗浄、加熱を行って窒化ク
ロム皮膜の形成を開始する。皮膜を形成すべき金属の蒸
発源としてCrを用いるが、この例1では、反応ガスとし
て窒素のみを導入し、その圧力を70×10-3Torrとした。
蒸発源に70Aの電流を流すことにより、Crターゲットか
ら真空アーク放電によりCrイオンを放出させ、一方、超
硬合金に対して−300Vのバイアス電圧を引加した。この
条件下で超硬合金表面に窒化クロムを生成させた。この
結果、約2時間の製膜反応により膜厚が5μmの皮膜が
得られた。さらに、この皮膜のX線回折測定の結果得ら
れた回折チャートによれば、最大の回折強度を示すピー
クが被覆結晶の(220)面に存在することが明らかにな
った。なお、この測定はグラファイト(002)モノクロ
メータを備えたディフラクトメータを用いてCuKa線によ
って行った。
C−9Co−8TiC−11TaC)を用いた。この超硬合金チップ
を有機溶剤により洗浄後、真空反応容器内にセットし、
この反応容器内の圧力を1×10-5Torr以上まで真空にし
たのち、Crイオン衝撃による洗浄、加熱を行って窒化ク
ロム皮膜の形成を開始する。皮膜を形成すべき金属の蒸
発源としてCrを用いるが、この例1では、反応ガスとし
て窒素のみを導入し、その圧力を70×10-3Torrとした。
蒸発源に70Aの電流を流すことにより、Crターゲットか
ら真空アーク放電によりCrイオンを放出させ、一方、超
硬合金に対して−300Vのバイアス電圧を引加した。この
条件下で超硬合金表面に窒化クロムを生成させた。この
結果、約2時間の製膜反応により膜厚が5μmの皮膜が
得られた。さらに、この皮膜のX線回折測定の結果得ら
れた回折チャートによれば、最大の回折強度を示すピー
クが被覆結晶の(220)面に存在することが明らかにな
った。なお、この測定はグラファイト(002)モノクロ
メータを備えたディフラクトメータを用いてCuKa線によ
って行った。
このように製造した表面被覆超硬合金チップに対して切
削性能試験を行った。切削条件は、以下の通りであっ
た。
削性能試験を行った。切削条件は、以下の通りであっ
た。
被削材 SCM3 切削速度 180m/min 送り 0.3mm/rev 切込み 2.0mm 第2図はこの試験結果を示すものである。第2図は、切
削時間に対するフランク摩耗を示すものであり、この図
面から明らかなように、例1で製造された超硬合金チッ
プは後述する比較例1(Cr2Nの析出あり)、比較例2
(方位配列が(200)配向)及び比較例3(TiN単相被
膜)の試験試験結果より飛躍的に性能が向上している。
削時間に対するフランク摩耗を示すものであり、この図
面から明らかなように、例1で製造された超硬合金チッ
プは後述する比較例1(Cr2Nの析出あり)、比較例2
(方位配列が(200)配向)及び比較例3(TiN単相被
膜)の試験試験結果より飛躍的に性能が向上している。
例2 最初に、金属蒸発源としてTiを用いて、反応ガスとして
アンモニアガス圧を35×10-3Torrとしたほか例1と同様
な条件で膜厚2μmのTiN被膜を第1被膜として超硬合
金表面に形成した。その後、さらにこのTiN被膜上に、
ターゲットをCrとし、第2被膜とし膜厚が1μmのCrN
被膜を形成した。この例2の場合には、したがって、Ti
N被膜及びCrN被膜から成る複層構造の被覆超硬合金が得
られる。得られた超硬合金チップについて切削試験を行
った。第2図に示すように、例1より、さらによい性能
のものが得られた。
アンモニアガス圧を35×10-3Torrとしたほか例1と同様
な条件で膜厚2μmのTiN被膜を第1被膜として超硬合
金表面に形成した。その後、さらにこのTiN被膜上に、
ターゲットをCrとし、第2被膜とし膜厚が1μmのCrN
被膜を形成した。この例2の場合には、したがって、Ti
N被膜及びCrN被膜から成る複層構造の被覆超硬合金が得
られる。得られた超硬合金チップについて切削試験を行
った。第2図に示すように、例1より、さらによい性能
のものが得られた。
なお、例2におけるTiN被膜の代わりに、IVa族、Va族、
VIa族(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W)の元素の窒
化物、炭化物から成る第1の被膜を形成してもよく、そ
して、第1被膜と第2被膜との形成順序を入れ換えて両
方の被膜を形成することもできる。これらのいずれの場
合にも例2で製造されたものと同様な複層構造による効
果が得られる。この点に関して以下の例3、例4で示
す。
VIa族(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W)の元素の窒
化物、炭化物から成る第1の被膜を形成してもよく、そ
して、第1被膜と第2被膜との形成順序を入れ換えて両
方の被膜を形成することもできる。これらのいずれの場
合にも例2で製造されたものと同様な複層構造による効
果が得られる。この点に関して以下の例3、例4で示
す。
例3 最初に、金属蒸発源としてTaを用いて、反応ガスとして
N2ガス圧を20×10-3Torrとし、蒸発源の電流を150Aとし
てTaイオンを放出させる一方、超硬合金に対して−300V
のバイアス電圧を印加する。このような条件下で、超硬
合金表面上にTaNを2μm製膜した。その後、例1と同
様な方法でCrNを3μm製膜した。このようにして得ら
れたTaNとCrNの複層構造膜を有する超硬合金チップの切
削試験を行ったところ、60分後のフランク摩耗は0.07mm
であった。即ち、例2とほぼ同様な性能のものが得られ
た。
N2ガス圧を20×10-3Torrとし、蒸発源の電流を150Aとし
てTaイオンを放出させる一方、超硬合金に対して−300V
のバイアス電圧を印加する。このような条件下で、超硬
合金表面上にTaNを2μm製膜した。その後、例1と同
様な方法でCrNを3μm製膜した。このようにして得ら
れたTaNとCrNの複層構造膜を有する超硬合金チップの切
削試験を行ったところ、60分後のフランク摩耗は0.07mm
であった。即ち、例2とほぼ同様な性能のものが得られ
た。
例4 最初に、金属蒸発源としてZrを用いて、反応ガスとして
メタンガス圧を20×10-3Torrとし、蒸発源の電流を90A
としてZrイオンを放出させる一方、超硬合金に対して−
400Vのバイアス電圧を印加する。このような条件下で、
超硬合金表面上にZrCを2μm製膜した。その後、例1
と同様な方法でCrNを3μm製膜した。このようにして
得られたZrCとCrNの複層構造膜を有する超硬合金チップ
の切削試験を行ったところ、60分後のフランク摩耗は0.
06mmであった。即ち、例2とほぼ同様な性能のものが得
られた。
メタンガス圧を20×10-3Torrとし、蒸発源の電流を90A
としてZrイオンを放出させる一方、超硬合金に対して−
400Vのバイアス電圧を印加する。このような条件下で、
超硬合金表面上にZrCを2μm製膜した。その後、例1
と同様な方法でCrNを3μm製膜した。このようにして
得られたZrCとCrNの複層構造膜を有する超硬合金チップ
の切削試験を行ったところ、60分後のフランク摩耗は0.
06mmであった。即ち、例2とほぼ同様な性能のものが得
られた。
例5 最初に、例1と同様な方法で、CrNを3μm製膜した。
その後、金属蒸発源としてTiを用い、反応ガスとしてN2
ガスとC2H2ガスを用い、全圧を30×10-3Torrとなるよう
にし、蒸発源の電流を90AとしてTiイオンを放出させる
一方、超硬合金に対して、−300Vのバイアス電圧を印加
する。このような条件下で、超硬合金表面上にTiCNを1
μm製膜した。このようにして得られたCrNとTiCNの複
層構造膜を有する超硬合金チップの切削試験を行ったと
ころ、60分後のフランク摩耗は0.1mmであった。
その後、金属蒸発源としてTiを用い、反応ガスとしてN2
ガスとC2H2ガスを用い、全圧を30×10-3Torrとなるよう
にし、蒸発源の電流を90AとしてTiイオンを放出させる
一方、超硬合金に対して、−300Vのバイアス電圧を印加
する。このような条件下で、超硬合金表面上にTiCNを1
μm製膜した。このようにして得られたCrNとTiCNの複
層構造膜を有する超硬合金チップの切削試験を行ったと
ころ、60分後のフランク摩耗は0.1mmであった。
例6 最初に、例1と同様な方法で、CrNを3μm製膜した。
その後、金属蒸発源としてHfを用いて、反応ガスとして
アンモニアガスを用い、40×10-3Torrとなるようにし、
蒸発源の電流を100AとしてHfイオンを放出させる一方、
超硬合金に対して、−300Vのバイアス電圧を印加する。
このような条件下で、超硬合金表面上にHfを1μm製膜
した。このようにして得られたCrNとHfNの複層構造膜を
有する超硬合金チップの切削試験を行ったところ、60分
後のフランク摩耗は0.11mmであった。
その後、金属蒸発源としてHfを用いて、反応ガスとして
アンモニアガスを用い、40×10-3Torrとなるようにし、
蒸発源の電流を100AとしてHfイオンを放出させる一方、
超硬合金に対して、−300Vのバイアス電圧を印加する。
このような条件下で、超硬合金表面上にHfを1μm製膜
した。このようにして得られたCrNとHfNの複層構造膜を
有する超硬合金チップの切削試験を行ったところ、60分
後のフランク摩耗は0.11mmであった。
例7 最初に、例1と同様な方法で、CrNを3μm製膜した。
その後、金属蒸発源としてVを用い、反応ガスとしてア
ンモニアガスを20×10-3Torrとし、蒸発源の電流を120A
としてVイオンを放出させる一方、超硬合金に対して、
−200Vのバイアス電圧を印加する。このような条件下
で、超硬合金表面上にVNを0.5μm製膜した。このよう
にして得られたCrNとVNの複層構造膜を有する超硬合金
チップの切削試験を行ったところ、60分後のフランク摩
耗は0.13mmであった。
その後、金属蒸発源としてVを用い、反応ガスとしてア
ンモニアガスを20×10-3Torrとし、蒸発源の電流を120A
としてVイオンを放出させる一方、超硬合金に対して、
−200Vのバイアス電圧を印加する。このような条件下
で、超硬合金表面上にVNを0.5μm製膜した。このよう
にして得られたCrNとVNの複層構造膜を有する超硬合金
チップの切削試験を行ったところ、60分後のフランク摩
耗は0.13mmであった。
例8 最初に、例1と同様な方法で、CrNを3μm製膜した。
その後、化学蒸着法によりTiCを2μm製膜した。製膜
には反応ガスとしてN2を12l/分、CH4をl/分、TiCl4を0.
17l/分流し、全圧を6010-3Torrとした。この時、製膜温
度は1000℃である。このようにして得られたCrNとTiCの
複層構造膜を有する超硬合金チップの切削試験を行った
ところ、60分後のフランク摩耗は0.09mmであった。
その後、化学蒸着法によりTiCを2μm製膜した。製膜
には反応ガスとしてN2を12l/分、CH4をl/分、TiCl4を0.
17l/分流し、全圧を6010-3Torrとした。この時、製膜温
度は1000℃である。このようにして得られたCrNとTiCの
複層構造膜を有する超硬合金チップの切削試験を行った
ところ、60分後のフランク摩耗は0.09mmであった。
比較例1 反応容器内の窒素ガスの圧力を5×10-3Torrとして行っ
た以外は例1と同様な製膜条件で行った。形成された被
膜のX線回折測定の結果によればCr2Nの析出が認められ
た。得られた超硬合金チップについて切削試験を行った
ところ、第2図に示すように、性能は劣っていた。
た以外は例1と同様な製膜条件で行った。形成された被
膜のX線回折測定の結果によればCr2Nの析出が認められ
た。得られた超硬合金チップについて切削試験を行った
ところ、第2図に示すように、性能は劣っていた。
比較例2 バイアス電圧を−25Vに設定した以外は例1と全く同様
な製膜条件下でCrNを形成したが、この場合のX線回折
測定の結果によれば方位配列は(200)配向になってい
た。得られた超硬合金チップについて切削試験を行った
ところ、第2図に示すように、性能は劣っていた。
な製膜条件下でCrNを形成したが、この場合のX線回折
測定の結果によれば方位配列は(200)配向になってい
た。得られた超硬合金チップについて切削試験を行った
ところ、第2図に示すように、性能は劣っていた。
例1、比較例1、比較例2の切削試験結果から明らかな
ように、被膜をCrN単相とし、(220)配向になるように
制御することにより、被膜超硬合金の耐摩耗性は格段に
向上したものになる。
ように、被膜をCrN単相とし、(220)配向になるように
制御することにより、被膜超硬合金の耐摩耗性は格段に
向上したものになる。
比較例3 金属蒸発源としてTiを用い、反応ガスとして窒素ガスを
用い、圧力を30×10-3Torrとした以外の製膜条件は例1
と同様な条件で超硬合金表面上にTiNを5μm形成させ
る。得られた超硬合金チップについて切削試験を行った
ところ、第2図に示す結果となった。
用い、圧力を30×10-3Torrとした以外の製膜条件は例1
と同様な条件で超硬合金表面上にTiNを5μm形成させ
る。得られた超硬合金チップについて切削試験を行った
ところ、第2図に示す結果となった。
例1と比較例3を比較した結果から明らかなように、本
発明の製造方法で得られたCrN単相膜は従来用いられて
いたTiN被膜より優れた性能を示す。
発明の製造方法で得られたCrN単相膜は従来用いられて
いたTiN被膜より優れた性能を示す。
(発明の効果) 以上詳細に説明したように、本発明によれば、被膜超硬
合金の耐摩耗性を大幅に改善できると共に優れた耐酸化
性を保証することができる。
合金の耐摩耗性を大幅に改善できると共に優れた耐酸化
性を保証することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明に用いたイオンプレーテング装置の概
略図である。 第2図は超硬合金チップを用いた切削性能試験の結果を
示すグラフである。 10……反応容器、12……ターンテーブル、14……基板、
16……蒸発源、18……反応ガス供給口、20……真空ポン
プへのポート。
略図である。 第2図は超硬合金チップを用いた切削性能試験の結果を
示すグラフである。 10……反応容器、12……ターンテーブル、14……基板、
16……蒸発源、18……反応ガス供給口、20……真空ポン
プへのポート。
Claims (5)
- 【請求項1】CrN単相の析出相から成り、(220)面にX
線回折測定の最大強度を有する結晶構造をした窒化物被
膜により被覆された表面被膜超硬合金。 - 【請求項2】請求項1記載の表面被覆超硬合金におい
て、超硬合金及び前記CrN単相被膜の間、または前記被
膜上にIVa族、Va族、またはVIa族の元素の窒化物、炭化
物から成る被膜が形成されていることを特徴とする表面
被膜超硬合金。 - 【請求項3】金属クロムを蒸発源とし、窒素ガス、アン
モニアガス、またはこれらの混合ガスを反応ガスとして
イオンプレーティング法により、超硬合金上に窒化物被
膜を製造する方法において、超硬合金に−50V〜−800V
のバイアス電圧を印加し、反応ガスの圧力を10×10-3To
rr以上にして製膜を行うことを特徴とする表面被覆超硬
合金の製造方法。 - 【請求項4】請求項3記載の表面被覆超硬合金の製造方
法において、前記窒化クロムの製膜を行う前に、超硬合
金上にIVa族、Va族、またはVIa族の元素の窒化物、炭化
物から成る被膜を形成することを特徴とする表面被覆超
硬合金。 - 【請求項5】請求項3記載の表面被覆超硬合金の製造方
法において、前記窒化クロムの製膜を行った後に、超硬
合金上にIVa族、Va族、またはVIa族の元素の窒化物、炭
化物から成る被膜を形成することを特徴とする表面被覆
超硬合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP33730889A JPH0737665B2 (ja) | 1989-12-26 | 1989-12-26 | 表面被覆超硬合金及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP33730889A JPH0737665B2 (ja) | 1989-12-26 | 1989-12-26 | 表面被覆超硬合金及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH03197663A JPH03197663A (ja) | 1991-08-29 |
| JPH0737665B2 true JPH0737665B2 (ja) | 1995-04-26 |
Family
ID=18307410
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP33730889A Expired - Lifetime JPH0737665B2 (ja) | 1989-12-26 | 1989-12-26 | 表面被覆超硬合金及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0737665B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4774080B2 (ja) | 2007-08-02 | 2011-09-14 | 株式会社神戸製鋼所 | 硬質皮膜被覆材および冷間塑性加工用金型 |
-
1989
- 1989-12-26 JP JP33730889A patent/JPH0737665B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH03197663A (ja) | 1991-08-29 |
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