JPH074238B2 - ペプチドc末端アミド化酵素の製造方法 - Google Patents

ペプチドc末端アミド化酵素の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ペプチドC末端アミド化酵素の製造方法に関
し、より詳しくは対応するcDNAを利用する前記酵素の製
造方法に関する。
〔従来の技術〕
生体内酵素反応によるペプチドC末端グリシン付加体の
C末端アミド化に関与する酵素は、ペプチジルグリシン
−α−アミデーティングモノオキシゲナーゼ(ペプチド
C末端アミド化酵素)(EC.1.14.17.3)と呼ばれており
(Bradburyら、Nature,298,686,1982:Glembotskiら、J.
Biol.Chem.,259,6385,1984)、次のような反応を触媒し
ていると考えられている。
生体内でのアミド化機構の解明、ならびに組換えDNA技
術によって生産されるペプチドでC末端がアミド化され
て初めて生理活性を示すペプチド類、例えばカルシトニ
ン、ガストリンなどへ生体外で転化する方法に利用すべ
く、本酵素を精製する試みがなされており、例えば、ウ
シ脳下垂体中葉(Murthyら、J.Biol.Chem.,261,1815,19
86)、ブタ脳下垂体(Kizerら、Endocrinology.118,226
2,1986:Bradburyら、Eur.J.Biochem.,169,579,1987)、
ブタ心房(Kojimaら、J.Biochem.,105,440,1989)、ア
フリカツメガエル体皮(Mizunoら、Biochem.Biophys.Re
s.Commun.,137,984,1986)、ラット甲状腺腫瘍(Mehta
ら、Arch.Biochem.Biophys.,261,44,1988)由来のもの
が報告されている。
しかしながら、これらの精製酵素を利用して前述のC末
端アミド化ペプチドを生産することは可能であるとはい
え、生物体組織等からこれらを抽出し、分離精製するこ
とが前提となるため、これらを工業的製造工程に利用す
るには各種の難点が存在した。
そこで、一般に行われるようになった組換えDNA技術を
用いるペプチドC末端アミド化酵素の大量生産に供すべ
く、その発現に必要な対応するcDNAの単離およびそれら
を利用した酵素の製造が試みられている。例えば、Eipp
er B.A.らは、Mol.Endocrinol1,777〜790,1987でOhsuy
e,Kらは、Biochem.Biophys.Res.Commun.150,1275〜128
1,1988で、そしてStoffers,D.A.らは、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,86,735〜739,1989で、それぞれウシの下垂体、
カエルの皮膚およびラットの心房由来のペプチドC末端
アミド化酵素cDNAを公表しており、また、必ずしもその
生産性において満足できるものでないが、カエル由来お
よびウシ由来のcDNAを利用した組換えDNA技術を用いた
ペプチドC末端アミド化酵素の生産例も知られている
(例えば、それぞれ特開平1−104168号および国際公開
WO89/02460号公報参照)。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述のcDNAを利用した技術は、ペプチドC末端アミド化
酵素の大量生産への端緒となり得るものであるが、いま
だその大量生産に成功したものといえない。
そこで、本発明の目的は対応するcDNAをより有効に利用
した組換えDNA技術を用いてさらに効率よくペプチドC
末端アミド化酵素の生産手段を提供するにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らも、ラットおよびウマ由来のペプチドC末端
アミド化酵素の単離ならびにそれらのcDNAの調製に成功
しているが、これらの一連の研究においてペプチドC末
端アミド化酵素cDNAはその膜貫通領域に相当する部分を
除いた断片を利用すれば、驚くべきことに、生産する酵
素を宿主細胞外に分泌するだけでなく全体的な生産量も
著しく増大することを見い出した。従って、前記課題
は、本発明の膜貫通領域に相当する部分を除いたペプチ
ドC末端アミド化酵素cDNAを含んでなり、そしてこれを
発現せしめることができるプラスミドにより形質転換さ
れた宿主細胞を培養することにより前記酵素またはその
前駆体を生成蓄積せしめた培養物より、これを採取する
ことを特徴とするペプチドC末端アミド化酵素の製造方
法によって解決される。
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明で用いることができるC末端アミド化酵素cDNA
は、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、
ラット、マウス等の哺乳類、ニワトリ、シチメンチョウ
等の鳥類、カエル等の両生類、ヘビ等のハ虫類、イワ
シ、サバ、ウナギ、サケ等の魚類などに存在するペプチ
ドC末端アミド化酵素のアミノ酸配列をコードするDNA
に由来し、それらの膜貫通領域に相当するDNA部分を除
いたものであればその起源を問わないが、好ましいもの
としては哺乳類由来のものが挙げられる。より具体的に
は、現在知られているペプチドC末端アミド化酵素のア
ミノ酸配列をアミノ酸の1文字表示で、しかも種間での
相同性を高くするように欠落部分(−で示す)を任意に
挿入して第1図に示されるようなアミノ酸配列をコード
するDNA断片であって、それらのC末端近傍の疎水性ア
ミノ酸領域に相当する部分を除いたcDNAが有利に使用で
きる。なお、各cDNAは、ウマ、ウシ、ラット、カエルI
およびカエルIIについて、それぞれ;Mol.Endocrinal.
,777〜790ページ、1987;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,
735〜739ページ、1989;Biochem.Biophys.Res.Commum.,1
48,546〜552ページ、1987;およびBiochem.Biophys.Res.
Commum.,150,1275〜1281ページ、1988に記載されてい
る。これらのうち例えば、第1図のウマおよびラットの
配列によれば、それぞれ88番号のV(バリン)から901
番目のI(イソロイシン)までの領域が前記疎水性アミ
ノ酸領域に該当する。従って、本発明でいう膜貫通領域
とは目的とするcDNAの前記疎水性アミノ酸領域をいう。
このような領域に相当する部分を除いたペプチドC末端
アミド化酵素cDNAは、既知の当該cDNAからそれ自体公知
の制限酵素を用いその部分を切除して調製されたもので
もよく、また当該cDNAのクローニング段階でmRNAのスプ
ライシングの差異により生じる各種cDNAから選ぶことも
できる。例えば、本発明で利用されるcDNAのクローニン
グは、それ自体公知の方法により、前述した各種動物の
諸組織を用いて実施することができる。具体的には、
+,−法、ハイブリダイゼーション法、PCR法など一般
に用いられている方法(例えば、Methods in Enzymolog
y,vol.152;Guide to Molecular Cloning Techniques,S.
L.BergerおよびA.R.Kimmel編、1987,Academic Press,IN
C.;Methods in Molecular Biology,vol.4;New Nucleic
Acid Techniques,J.M.Walker編、1988,The Humana Pres
s Inc.;Molecular Cloning A Laboratory Manual 2nd E
d.J.Sambrook,E.F.Fritsch,T.Maniatis編、1989,Cold S
pring Harbor Laboratory press参照)に従って行い、
得られたcDNAクローンの塩基配列を決定することにより
蛋白質をコードするcDNA領域を決定し、前述の膜貫通領
域に相当する部分が除去されているものから選べばよ
い。
ラットを例に説明すると、ペプチドC末端アミド化酵素
を多く生産する組織、例えば、ラットの下垂体をグアニ
ジルチオシアネートと共にホモジナイズすることにより
細胞を破砕し、塩化セシウム平衡密度勾配超遠心分離に
よりRNA分画を得る。続いてオリゴdTセルロースを担持
したアフィニティークロマトグラフィーにより、前記RN
A分画からポリAをもつRNA(ポリA+RNA)を単離する。
このポリA+RNAを鋳型として使用し、公知の方法、好ま
しくは岡山−Bergの方法(Mol.Cell.Biol.2,161,1982)
によって、cDNAライブラリーを得る。これらのライブラ
リーから適当なプローブを使用してポジティブなクロー
ンをスクリーニングし、増幅したcDNAライブラリーから
適当なプローブを使用して再スクリーニングして得たポ
ジティブなcDNAクローンを単離し、これらの制限酵素マ
ッピングおよびシークエンシングなどによって目的のcD
NAを構造決定することができる。また、前記cDNAを発現
ベクターに組込み、このもので形質転換した宿主のペプ
チドC末端アミド化酵素の生産性を評価することにより
目的のcDNAを含むプラスミドを選択することもできる。
このcDNAを発現させる宿主は、大腸菌、枯草菌、酵母な
どの微生物、昆虫、動物など由来の培養細胞系など通常
用いられる細胞でよい。発現プラスミドは、これらの細
胞中でcDNAを効率良く発現できるプラスミドであれば、
何でも良い。例えば、次に示す成書に記載のものなどか
ら適当に選ぶことができる。
続生化学実験講座1、遺伝子研究法II、一組換えDNA技
術−第7章組換え体の発現、(1986)、日本生化学会
編、東京化学同人;Recombinant DNA,Part D,Section I
I,Vectors for Expression of Cloned Genes,(1987)R
ayWuおよびLawrence Grossman編、Academic Press,IN
C.;Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd Ed.Bo
ok3,(1989)J.Sambrook,E.F.FritschおよびT.Maniatis
編、Cold Spring Harbor Laboratory Pressなど。
例えば、動物培養細胞として常用されているCV−1が宿
主として使用される場合は、pSV,pL2n,pCol型のプロモ
ーターおよび必要により選択マーカーを配したものが使
用できる。また、大腸菌についてはpGH,pKYP,pHUB型の
ベクターが、酵母についてはYRp,YEp型のものが使用で
きる。これらのベクターのcDNAによる組換え、および組
換えプラスミドによる宿主細胞の形質転換、形質導入は
それぞれ前述の文献等に記載されるそれ自体公知の手順
によって行うことができる。こうして得られる形質転換
された細胞は、由来する細胞を増殖するのに通常使用さ
れる培地および培養条件で培養することができる。
このような培養物から産生蓄積せしめたペプチドC末端
アミド化酵素の採取は、例えば動物培養細胞を用いる場
合には産生酵素が細胞外に分泌されるので、細胞を除去
した後の培養液から容易に採取できるが、必要により細
胞溶解物から採取してもよい。この採取・精製は通常の
酵素精製法、例えば沈殿による分画、ヘパリン親和性ク
ロマトグラフィーおよび透析等を組み合わせて実施する
ことができ、さらに本発明者らによって開発されたC末
端グリシン付加体をリガンドとする基質親和性クロマト
グラフィーを組み合わせて使用することが好ましい(国
際公開WO89/12096号公報参照)。このクロマトグラフィ
ーのリガンドとしては、グリシンを含め2〜6個のアミ
ノ酸残基からなるペプチド類、特にD−Tyr−Trp−Gly,
Phe−Gly−Phe−GlyおよびGly−Phe−Glyを使用するも
のが好ましい。精製手順の具体例は、前記公報の記載に
従って行うことができる。
〔実施例〕
以下の例で、ラット下垂体由来のペプチドC末端アミド
化酵素cDNAを利用する該酵素の生産について説明する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
例1.発現プラスミドの造製 ラット下垂体由来のポリA+RNAを用いてcDNAクローニン
グをおこなったところ、分子量の異なる5本のcDNAが得
られた(第2図、第3図、生化学、62,842(1989)参
照)。cDNAクローン202のEcoR I−Xma Iで切断される2.
58kbp(キロベースペア)のDNA断片を、動物培養細胞系
発現ベクターpSV2ベクター〔S.Subramani,R.Mulligan,
P.Berg,Mol.Cell.Biol.,854(1981)〕のHind III−B
gl II部位に合成リンカーを介して挿入し、このプラス
ミドをSV−205と命名した。次いで、SV−205のNsi I(7
00)−Xma I断片を、cDNAクローン201,202,203,204それ
ぞれのNsi I(700)−Xma I断片と置換した。これらの
発現プラスミドをSV−201,SV−202,SV−203,SV−204と
した。このうち、SV−203がcDNAの膜貫通領域に相当す
る部分が除かれていることを確認した。従って、SV−20
3が本発明に係るプラスミドであり、その他は比較例で
ある。
例2.動物培養細胞中での発現 培養細胞COS−7は、10%牛胎児血清を含む合成培地(D
MEM)中で生育させ、公知の方法により例1の発現プラ
スミドを用い形質転換した(C.Chen and H.Okayama,Mo
l,Cell.Biol.,2745(1987)参照)。このとき、細胞
5×105個に対し、20μgの発現プラスミドを使用し
た。3%二酸化炭素、35℃の条件下で24時間培養した
後、ウシ血清アルブミン(BSA)0.2%含むDMEM培地10ml
で2回細胞を洗浄した後、0.2%BSAを含むDMEM培地10ml
中、5%二酸化炭素、37℃の条件下で48時間さらに培養
した。
例3. 組換え細胞により生産されたC末端アミド化酵素
活性 例2で発現させた細胞培養液を遠心分離により細胞と上
清(培地)に分けた。
上清について酵素活性を測定した。アミド化酵素活性の
測定は、文献(Tohoku J.Exp.Med.156,191(1988))
に記載される方法に従った。すなわち、反応基質とし
て、40ピコモルのD−チロシル−L−バリルグリシンお
よび125I−D−チロシル−L−バリルグリシンを用い、
pH8.5の50mMヘペス−苛性カリ緩衝液中に100μg/mlカタ
ラーゼ、1mMのアスコルビン酸50μMの銅イオンを含む
反応液中、37℃で5〜10時間反応させた。イオン交換カ
ラムを用いて生産された125I−D−チロシル−L−バリ
ンアミドおよびD−チロシル−L−バリンアミドを分離
し、その放射活性をr−カウンターで測定することによ
り酵素活性を測定した。
測定結果を第1表に示す。
本発明に係るプラスミドSV−203を利用する動物培養細
胞により生産されるペプチドC末端酵素は、その酵素レ
ベルで比較例の約5倍以上であり、対応するcDNAの膜貫
通領域部分を除くことにより著しく増大することがわか
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、ペプチドC末端アミド化酵素を対応す
るcDNAの特定の組換えプラスミド−宿主系で極めて効率
よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はウマ、ウシ、ラット、カエルよりクローニング
されたペプチドC末端アミド化酵素cDNAより推定された
アミノ酸配列を一文字表示で示したものである。 第2図はラット下垂体mRNAよりクローニングしたC末端
アミド化酵素cDNAの塩基配列およびそれにより推定され
たアミノ酸配列を示したものである。 第3図はラット下垂体mRNAよりクローニングされた5つ
のC末端アミド化酵素cDNAを模式的に示したものであ
る。推定される酵素をコードされる領域をボックスで示
した。数字は翻訳開始点を1とした塩基数(bp)を示
す。TMは膜貫通領域に対応する部分を示す。制限酵素は
それぞれ次の略号で示した。 B(BamH I),N(Nsi I),RI(EcoR I),RV(EcoR V),
S(Sph I),X(Xma I) regionA〜Cは第2図に塩基配列を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 5/16 C12R 1:91)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜貫通領域に相当する部分であって、880
    −901のアミノ酸領域をコードするDNA配列部分を除いた
    ラット由来のヘプチドC末端アミド化酵素cDNAを含んで
    なり、そしてこれを発現せしめることができるプラスミ
    ドにより形質転換された宿主細胞を培養することにより
    前記酵素またはその前駆体を産生蓄積せしめた培養物よ
    り、これを採取することを特徴とするペプチドC末端ア
    ミド化酵素の製造方法。
  2. 【請求項2】前記宿主細胞が動物培養細胞である請求項
    1に記載の方法。
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